議会での質問・答弁

2022年12月14日

2022年第9回12月定例会 経済観光環境委員会 藤井とし子

上安産廃最終処分場の周辺盛り土について
産業廃棄物処理施設の設置許可について

上安産廃最終処分場の周辺盛り土について

(藤井とし子委員)
 最初に上安産廃最終処分場の周辺盛り土についてです。皆さんもご存知かと思いますけれども、安佐動物園の東側の野登呂山の中腹に開発された民間の安定型産業廃棄物最終処分場のことであります。
 これが平成5年にできて、その後少しずつ拡張していきまして、今ではもうかなり下からよく見えるという。こういうふうに今進んでいるわけですけれども、この間2度ほど拡張申請に市も許可をしてきた中で、私もこれまでも取り上げてきました。今日はこの処分場を支える盛り土について初めにお聞きいたします。
 令和3年7月に発生した熱海の大土石流災害を踏まえて、国による「盛り土による災害防止のための総点検」が行われました。広島県は1514ヶ所の盛り土を目視によって点検をした結果、課題があると判明したのが20ヶ所。是正指導を行っているということを新聞なども報道をしておりますけれども、4月に公表しました。この10月段階の報告によりますと、その20ヶ所のうち5ヶ所はもう既に是正されましたが、残りの15ヶ所は指導中ということです。そのうち広島市では東区とか安佐南区、安佐北区など4ヶ所ありますけれども、その一つが、上安産廃最終処分場の盛り土だったわけです。現在是正指導を受けているということですけれども、どういった指導を受けているのか、市の方では把握されているのかどうかをお聞きいたします。

(森づくり担当課長)
 この盛り土の是正指導の内容につきましては、盛り土の造成について所管しております広島県から、一部侵食している盛り土のり面の復旧や、盛り土周辺に散乱している廃棄物の撤去に関して是正指導中であると聞いております。

(藤井とし子委員)
 私も県の資料を見せていただきました。のり面の一部が侵食、そして廃棄物が確認されたということで、その中でも出水期、水が出る時期に向けた対策としては、暗渠排水、それから土嚢対策をしたと、それと周辺住民等への周知は済んだという報告があったということをお聞きしております。のり面復旧の指導は県が対応するとお聞きしましたけれども、廃棄物の撤去については、市の廃棄物指導課と聞いております。現在どういう状態で、どういった対応されているのかお聞きいたします。

(産業廃棄物指導課長)
 ご指摘の処分場周辺の盛り土部分に散見される廃棄物は、過去に土砂の流出等を防止するために設置されていた、土嚢袋に入っていたコンクリート片である旨を事業者から聞いているところ、本市は事業者に対し、適切な対応を指導しているところです。
 こうした中、事業者からは当該土地に係る所有権に係る疑問が地元住民から寄せられていることから、まずは土地の所有権の明確化を急ぐこととし、そのための確認作業を行っていると聞いています。

(藤井とし子委員)
 廃棄物の撤去の必要性はあるということは確認をされているということでしたけれども、実際にそれが進まないという理由を言われました。土地の所有権が確定されていないからいう理由だったと思うんですけども、この問題はこれまでも質問してきましたけれども、土地の所有の境界線がわからないということが一番の問題になっているかと思います。 この間の経過を言いましても、最初は平成5年時にはきちっと土地の確認はできてたわけですね。それが平成28年と令和2年の拡張申請のときにかなりの拡大があったんです。地元の人たちが言われるには、保安林である谷は、埋められたところがその敷地の一部として入れられたということで、それ以来境界がはっきりしない。拡張した当時、市は境界の確認は実際にはしてこなかったということも以前聞きました。このままずっと確認ができなかった場合どうなるのか。この点はどうでしょうか。

(業務部長)
 これまで議会の場で幾度もご答弁申し上げておるところなんですけども、土地の所有の境界の話でございますけども、本市の法令により、与えられている権限の範囲内においてのみ市民の権利や義務に係る調整を行うことができるということでございます。
 委員がおっしゃられてる●●からの財産権に係ることについて、本市が、与えられている権限がないことから、その調査とかいうのを本市が行うということはできないんですけれども、このことにつきましては前々からですね事業者にお伝えして、事業者自らの責任において地元住民に説明を行うように話をしているという状況でございます。
 今の廃棄物いくつか散見されるということでございますけれども、これが今直ちに生活環境保全上の支障を生じさせるというような状況ではありませんので、まず土地の所有者が誰であるかということを明確にした上で、廃棄物の対応を行うということの順番で今進めているということでございます。直ちに生活環境保全上の支障が生じるという状況にはないということでございます。

(藤井とし子委員)
 廃棄物の状態が表面だけなのか、中にあるのかどうかもまだ調査もされていないので、確定できないのではないかなと思います。そこで、こういう状況で盛り土の指導が入ったときに、措置をどうしても取られない場合どうするのかということを確認したんです。そうしたら、盛り土を作った行為者による是正措置を基本としつつも、行為者が是正措置をしない場合は自治体が行う、安全把握のための詳細調査や応急対策抜本的な危険箇所の対策について、国が予算措置をして、自治体の代執行も支援するということも視野に入れているということでした。
 あと廃棄物だけじゃなくて排水なども何の処置もされずにずっと河川に流れているということも問題だと思ってるんですけれども、そういうことを含めて、この4番に当たる廃棄物の不法投棄等の可能性がある盛り土に対する詳細調査や廃棄物の撤去処分等は市ができるということは国が言っておりますので、きちんと業者に指導されるということは当然です。
 現在所有をされている方も、令和3年に変わってるわけですよね。前事業者たちがやった盛り土なので、今の所有者がやれって言えばそれはそれで済むんです。そういう事情もありますので、いつまでも放置できないと思います。いつまた豪雨被害が起きるとも言えないわけですので、また熱海のような土石流災害が起こることを地元の人たちは大変心配もされているわけです。早急に市も責任を持ってこの問題を解決をされるよう今日は要望しておきます。

産業廃棄物処理施設の設置許可について

(藤井とし子委員)
 産業廃棄物処理施設の設置許可についてうかがいます。
 2022年、今年10月5日に広島弁護士会が産業廃棄物処理施設の設置について、環境配慮手続き条例の制定を求める会長声明が広島県、広島市、福山市と呉市に向けて出されたとそうです。この声明は市に届いているのでしょうか。

(産業廃棄物指導課長)
 本市は本年10月5日に広島弁護士会から声明書を受理しています。

(藤井とし子委員)
 受理されているということですから、これはきちっと検討していただきたい。具体的にどういった内容かということを私の方から簡単に言いますけれども、今産業廃棄物処理施設を設置する場合には、一度申請したら、なかなか止められないというのは法の仕組みで、事業者に対し以下の義務を課したらどうかという提案なんですね。
 一つは事業計画を策定する。そして周辺の環境に及ぼす影響について調査をしなさいということが一つ、それと設置許可に先立って以下の内容を含む制度を設けること、これは周辺住民に対して周知をすること、そして周辺住民への説明会の開催や第三者による意見書の提出の機会の確保とか、事業者による見解書の提出義務とか環境影響についての意見および情報交換等々いろんな情報を義務付ける。そういうことをしてはどうかという内容です。
 広島弁護士会は、この条例を求める理由について声明でも述べられておりますけれども、これをどのように受け止めたというか、どういうふうに言ってるのかちょっと説明してください。

(産業廃棄物指導課長)
 このたびの広島弁護士会からの声明は、産業廃棄物処理施設の設置の許可に先立った事前手続きを条例で制定化するよう求めているものです。その理由としましては、広島弁護士会は広島県内に多数の産業廃棄物最終処分場が設置されている中、一つ目は産業廃棄物最終処分場の設置を巡っては環境被害の防止と環境保全について細心の注意が払われるべきであること。二つ目として産業廃棄物最終処分場の設置に際しては、周囲の環境影響に配慮する手続き性が重要となることで、三つ目としまして、廃棄物処理法の定める生活環境影響調査は、自然環境が調査対象に含まれていないことや地域住民に計画が周知されるタイミングが遅くなり、事業者との早期柔軟な意見調整のための手続きに係る担保がないこと。四つ目としまして、広島県広島市などにおいては、産業廃棄物処理施設に関する事前手続きに係る要綱を定めているが、条例は設けられていないことなどを掲げております。

(藤井とし子委員)
 今回広島弁護士会さんは、いろんな環境問題での紛争などの対応もされてきた上での提案だということです。とりわけ安定型処分場というものは、金属くずや廃プラスチックなど安定5品目という呼ばれるもので、本来はそれほど環境への影響がないということが前提となっているんですけれども、実際には必ずきちっとした分別は困難で、上安産廃最終処分場も、基準より悪化した排水が河川に流れていたという事態もありますし、管理型なので地下水への影響も専門家からも指摘をされているわけです。
 日本弁護士会連合会も、安定型産業廃棄物最終処分場を今後新規に許可されないよう求める意見書を2007年に国に出されております。そういうわけで今の安定型処分場について住民の方たちは環境汚染、水の汚染、地下水への影響など、本当に心配をされながら地域で暮らさざるを得ないという状況があります。
 それで今回のこうした提案、広島県、広島市、福山市、呉市においても、産廃処理施設の設置に関する事前手続きについての条例がないということで、改めてこういう声明が出されたわけです。市は要綱を設けられているが、要綱では周辺住民への周知と言っても、実際に上安の場合でもかなり混乱もありました。
 そういった点でも、ぜひ広島市として、広島弁護士会の声明の趣旨を受けとめて、現在の要綱をより実効性のあるものにするためにも、産業廃棄物処理施設設置の際における環境配慮手続き条例の制定、名称はともかくそういったものを検討するべきだと思いますが、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。

(産業廃棄物指導課長)
 本市における許可申請前の手続きについては、これまで要綱に基づく事業者への指導により十分対応ができていることから、このたびの声明を踏まえて、直ちに条例を制定する必要はないと考えていますが、本市以外の事例も参考とし、また県との連携の要否なども含め対応を検討してまいります。

(藤井とし子委員)
 ぜひ検討していただきたいと思います。結局事業者はとにかく開発をして作りたいというのがありますけれども、住民は山を守りたいわけですし、自然を守りたい。水を汚して欲しくない、そういう思いで必ず対立します。そういったときに、市の立場として事業者本位の立場に立つのではなく、やはり環境を守る、住民の命を守っていくということが必要だと思うんです。
 環境アセスの問題も私は指摘したいんですけども、今の環境アセスは災害については考慮されていないと思うんですけれども、その点は把握されてるんでしょうか。

(環境保全課長)
 環境影響評価手続きの中で、項目に災害については対象とはなっていませんけれども、それについて我々の方で指導する意見を述べることは可能と考えています。

(藤井とし子委員)
 ですから、意見は言えるけども止めることはできないということが問題だと思うし、だからこそ、手続きの段階で行政力をしっかり使って、ハードルをきちっと設ける。そのための条例なると思うんです。ぜひそういう立場で検討していただくことを要望してこの件を終わります。

TOPへ