議会での質問・答弁

2022年03月08日

2022年第2回 2月定例会・予算特別委員会 総務関係

ジェンダー平等について
中央図書館について

ジェンダー平等について

(中森委員)
 おはようございます。総務関係の二つのテーマについて質問させていただきます。
 まず、ジェンダー平等ということなんですけれども、広島市では、基本計画の中の諸課題がSDGsのジェンダー平等の課題に関連づけられております。そうした課題の推進を通じて、広島市の行政としてジェンダー平等を進めていこうということだと思います。
 市の施策としては男女共同参画の推進ということになりますけれども、広島市として、男女共同参画社会の本来の目標というのはどういうものでしょうか。

(男女共同参画課長)
 男女共同参画基本法におきましては、男女共同参画社会の形成とは、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を負うべき社会を形成することをいうとされています。
 また、令和3年3月に策定しました本市の第3次広島市男女共同参画基本計画では、男女の人権が尊重され、対等なパートナーシップに基づき、一人一人が多様な個性や能力を発揮できる男女共同参画社会の実現を目指すこととしております。
 こうした社会を実現することは、本市が目指すべき姿である国際平和文化都市の実現にもつながると考えています。

(中森委員)
 なぜ男女共同参画を推進する必要があるのかと、なぜ我々の社会の中でジェンダー平等を推進することが必要であるか、こういうことについて、これを推進してきたんだというふうに思いますけれども、このなぜということについて、広島市行政としての御認識を伺います。

(男女共同参画課長)
 現在の我々を取り巻く社会を見ましても、固定的役割分担意識がいまだ根強く残っており、賃金面等においても、男女間の格差の解消など、女性が社会のあらゆる分野で活躍するためには多くの課題があると認識しています。
 こうした課題を解決するために、男女の人権が尊重され、性別による差別的取扱いがなく、個人として能力を発揮できる機会が確保されるよう、一層の男女共同参画の推進、ジェンダー平等の推進が必要だと考えております。

(中森委員)
 ジェンダーギャップということが言われておりまして、我が国は特にOECDの国の中でも、またその範囲をさらに広げた中でも非常に遅れているというふうに言われているわけですけれども、社会の様々な場面でジェンダーのバランスを図っていくということが求められているわけですけれども、現状はまだまだ程遠いというのが実態だと思います。
 中国新聞の元旦号に例年掲載されております広島のリーダーズクラブのそれぞれの挨拶が、今年も掲載されておりました。広島のそうそうたるトップ企業の126人のリーダーの顔がありましたけれども、そのうち女性は僅か4人、3%です。これがジェンダーギャップでなくて何だろうかというふうに、新年早々強く印象に残りました。
 世界に目を向けますと、政治の世界でも経済界でも、女性が力を発揮できているところが発展しているのではないかと思います。そもそも、人間社会の半分は女性が占めているわけです。そして、憲法では、男女同権、平等が規定されておりますが、残念ながらいまだに本質的な男女平等は実現しておりません。我々は、女性が男性と同等に社会で活躍できるように、仕組みを整えていかなければなりません。地方行政としてできることを最大限取り組む必要がこの分野でもあるんだというふうに思います。
 そういうことで、今日は広島市行政の職場の男女平等について伺っていきたいと思います。
 まず、男女共同参画推進、ジェンダー平等の実現を目指す広島市の自治体行政として、推進する立場にある広島市の行政の職場ではこれを率先垂範する、そういう必要があるというふうに思うんですけれども、お考えはどうでしょうか。

(人事課長)
 本市といたしましては、ジェンダー平等の実現に向けまして、女性職員はもとより、全ての職員が働きがいを持って生き生きと活躍できる職場づくり、これを率先して進める必要があるというふうに考えております。
 このため、平成17年に策定いたしました広島市職員子育て支援プラン、それと平成28年に策定した広島市女性職員活躍推進プラン、こちらを統合した広島市職員の女性活躍・子育て支援推進プラン、こちらを令和3年3月に策定いたしまして、このプランに基づき、女性活躍、子育て支援、仕事と家庭生活の両立に向けた取組、これを一体的に推進しているところです。
 こうした本市の取組につきましては、市内企業が参考としやすいよう、民間企業における先進的な取組とともに、事例集として取りまとめております。また、事例集につきましては、経済団体との連携による研修会での活用や会員企業への配布などによりまして、市内企業の取組の促進につなげていくこととしております。

(中森委員)
 この問題は、私どもも、また行政のほうも、目指す方向は一緒だというふうに思っております。市の取組の状況について、これからまた伺っていきたいと思いますけれども、市職員の男女比はほぼ同じになっていると思いますが、管理職への女性の登用はどの程度進んでいるのか、それから目標はどうなっているのか教えてください。

(人事課長)
 まず、本市職員の男女比率についてお答えさせていただきます。令和3年4月時点で、学校の教員等を除く総職員数、こちらが9,280人となっております。そのうち男性が5,736人で、その割合が61.8%で、女性が3,544人で、その割合が38.2%となっております。
 次に、管理職への女性登用はどの程度進んでいるのかという御質問がございました。こちらにつきまして、過去5年間の数値、これを申し上げますと、いずれも4月時点で学校の教員等を除き、平成29年は11%、平成30年は11.8%、平成31年は12.5%、令和2年は13.6%、令和3年になりますけれども15.1%となっておりまして、着実に増加しております。
 最後に、目標はどうかという御質問についてですけれども、こちらは令和3年3月に策定いたしました第3次広島市男女共同参画基本計画及び広島市職員の女性活躍・子育て支援推進プランにおきまして、令和8年4月時点で21%以上とすることを目標に掲げております。

(中森委員)
 本来的には、当然目標は50%ということでなければならないと思います。一気にはいかないと思いますけれども、やはりよく職場でも、これからどういうことが必要かということをぜひ論議していただいて、今の目標到達の前でもその数字を引き上げていくということをぜひやっていただきたいと思います。
 女性は結婚されて子供を産む可能性が高いというふうに思いますけれども、今の社会状況では、女性が子供を育てながら管理職として仕事をするというのは、これは様々な制約があるんではないかというふうに思うんですけれども、この点についてどのように御認識でしょうか。

(人事課長)
 本市では、再任用職員等を除く全職員を対象に毎年度実施しております職員意向調査、こちらにおきまして、業務の遂行や人事異動に当たり配慮してほしい事項、こちらを確認しております。今年度実施した調査におきまして、管理職となっている女性職員の子育てに関する配慮事項、こちらはほとんどございませんでしたが、その他女性職員の配慮事項、こちらを見ますと、時間外勤務や休日勤務を行うことが困難な場合がある、なるべく自宅から近い職場で勤務したいなどの回答が多数ございました。今後、管理職への女性登用、これを進めていく上で考慮すべき点があるというふうに認識しております。

(中森委員)
 いろいろ制約があっても、管理職として職務を十分にこなしていく、そのための配慮、仕組みというものがないと、女性は子育てがない状態じゃなければ管理職に就くのが難しいということになるんだと思います。
 人材の登用というのは個々の資質に基づいて行われるべきものだというふうに思いますけれども、女性であるがゆえに管理職に就いてもらうことができない、あるいは職員のほうが管理職を避ける、こういう状況にあっては、男性と同等に女性の管理職が力を発揮するという市役所にはならないんではないかなというふうに思います。
 女性が管理職として力を発揮できるようにするためどのような配慮が必要だというふうに今お考えでしょうか。あるいは、どのような仕組みが要るというふうに考えておられるのか。現状でそういう考え方に沿ってどういう取組がなされているのか、これについて教えてください。

(人事課長)
 管理職への女性登用、これを進めていくためには、子育てとキャリア形成の両立についての懸念を解消しつつ、具体的なキャリア形成に向けた仕組みを整える必要があるというふうに考えております。
 このため、広島市職員の人材育成基本方針、こちらにおきまして、出産・子育てを経験しながら管理職を目指せる具体的なキャリアパス、この例を明示するとともに、女性職員が中堅職員期に子育て等により配慮が必要となる場合に備えまして、若いうちから幅広い職務経験を積み、将来のキャリアデザインがしやすくなるよう、企画・管理部門、こちらに計画的に配置するとともに、中央省庁や自治大学校等への派遣研修の機会の充実を図っております。
 また、育児休業から復帰する前の職員を対象としました育児休業復帰前講座等におきまして、本市の現況や育児支援制度、これを説明するとともに、先輩職員からの経験談を聞く機会を設け、職場復帰への不安の解消を図っております。
 さらに、今後、管理職への昇任時期を迎える課長補佐級の女性職員を対象としまして、同様の境遇を経験してきたロールモデルとなる先輩職員との交流の場を設けまして、女性職員のキャリア形成の支援を行っております。

(中森委員)
 女性の中では、パートナーの支援を受けられないという、そういう立場にある方もいらっしゃる。女性がシングルマザーとして子育てをしている場合もあるんだというふうに思うんですよね。そういうことを考えますと、やはり管理職であっても、普通に考えるとやっぱり夕方になったら子供と触れ合える、きちっとそういう時間が確保できる、そういう業務の在り方、つまり定時に帰ることができる、そういうことはやはり欠かせないのではないかなというふうに思うんです。
 それから、そういうことを今はどうかということはあるんですけれども、違和感なく職場が受け入れることができる、そういうふうな状況になることも必要なのではなかろうかというふうに思いますけれども、そういう職場づくりについてはどうなんでしょうか。

(給与課長)
 本市では、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、所属長の意識改革と職場風土の醸成にポイントを置き、時間外勤務の縮減や年次有給休暇の取得促進など、本市職員の意欲を高め、能力を十分に発揮できる良好な職場環境づくりに取り組んでおります。
 こうした考え方の下、長時間勤務の縮減につきましては、平成31年4月から時間外勤務を命じることができる時間数の上限を設定し、さらなる縮減に取り組んでいるほか、年次有給休暇につきましては、休日、夏季休暇等との連続取得や年間の取得目標日数の設定による計画的取得などについて、毎年度、全ての所属長を対象に実施している研修などにより呼びかけています。
 今後とも、女性職員はもとより、全ての職員がその能力を存分に発揮し、生き生きと活躍できる職場づくりに全庁一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

(中森委員)
 現に今、局長級を含めて女性の管理職の方が随分増えてきたなというふうに思っているんですけれども、現状ではなかなか大変な状況を克服しながら頑張っていらっしゃるという方も多いのではないかなと思います。そういうことをあえてせずにというか、やっぱり家庭に大きなしわ寄せをすることなく管理職を、その役割を果たすことができるという、そういうことが必要なんだというふうに思うんです。
 次に、市役所の職場では、一般的に男女の賃金格差はないということだと思います。社会的には女性の非正規雇用の割合が高いということで、結果として男女間の賃金の格差が現れているということと、それから女性が多数を占める職場の社会的賃金水準が低いということで、全国的にはそれが男女の賃金格差という形で現れてきているという面が大きいんではないかなというふうに思います。
 これを是正するためには、非正規雇用の賃金水準を抜本的に引き上げていくということが必要だというふうに思いますし、非正規雇用を特別な臨時の業務だけに限るということもあると思います。つまり、働くなら正社員が原則、こういうことで、継続して業務があるところは基本的には正社員を雇用していくということが大事だと思います。もう一つは、女性が多数を占める職種の賃金水準を男性が多くを占める職種と同様に引き上げていくということが必要ではないかと思います。
 日本の男女の賃金格差は、最近の調査でOECD諸国の中でワースト2位だということになっております。女性の平均賃金は、男性のおよそ4分の3程度がせいぜいという状況ですね。男女共同参画の推進、ジェンダー平等ということを掲げる広島市の職場で、この課題をどう是正していくかということも重要なことではないかというふうに思うんですけれども、広島市としてのお考えをお聞かせください。

(人事課長)
 委員から二点御指摘がございました。一点目の働くなら正社員が原則であり、継続して業務があるところは正社員で雇用するという御指摘についてお答えをいたします。
 本市といたしましては、正規職員で採用するか否かにつきましては、単に業務の期間や継続性のみによって判断するのではなく、業務の内容や責任の程度などを踏まえた業務の性質により判断する必要があるというふうに考えております。
 こうした考え方の下、本市では令和2年度からの会計年度任用職員制度、こちらの導入に当たりまして、より効果的かつ効率的な執行体制を構築するために、全ての非常勤職員及び臨時職員について職の再設定を含む抜本的な見直しを行うとともに、正規職員と会計年度任用職員、こちらの役割分担の整理を行いました。
 具体的には、政策の企画・立案などに該当する業務は正規職員が担い、一方、補助的・ルーチン業務などに該当する業務は会計年度任用職員が担うよう整理しておりまして、今後とも個々の業務内容や性質に応じて適切な任用形態の職員を組み合わせることで効果的かつ効率的な執行体制を整えたいというふうに考えておりまして、関係者とも継続的に協議をしているところでございます。

(給与課長)
 続きまして、二点目、女性が多数を占める職種の賃金水準を男性が多く占める職種と同様に引き上げる必要があるとの御指摘につきましては、委員もおっしゃいましたように本市職員の給与は条例等で定めておりまして、職員と同じ給料表を適用している会計年度任用職員も含めまして、男女の賃金格差はございません。
 会計年度任用職員の給料の格付は、業務に必要な資格や経験等を考慮して設定しておりました制度導入前の非常勤職員、こちらの年収及び生涯賃金をともに上回るよう、関係者とも十分協議をした上で設定をしたところです。
 しかしながら、地方自治法の規定や総務省の事務処理マニュアルによりまして、会計年度任用職員には勤勉手当を支給しない制度となっているなど、処遇改善の余地があると考えております。
 このため、本年度の給与改定における期末手当の引下げに当たりましては、常勤職員が年間0.15月の引下げであったところ、この常勤職員と同じ引下げの月数を当てはめるのではなく、会計年度任用職員について引下げの緩和を行いました。具体的には、常勤職員の改定前の期末・勤勉手当全体の月数4.45月に対する引下げの月数の割合であるマイナス3.4%により会計年度任用職員の期末手当の改定を行うことで、年間で2.55月から0.1月の引下げとなり、結果として常勤職員と比べて0.05月引下げを緩和したところです。
 このように、会計年度任用職員の処遇につきましては、引き続き国や他の地方公共団体の動向なども考慮し、関係者とも協議しながら適切に対応してまいります。

(中森委員)
 市として努力をしておられないとは思いません。ただ、やはり会計年度任用職員という名前に変わりましたけれども、やっぱり非正規職員がたくさんおられるという、このことが私は問題なんではないかなというふうに思っています。
 昔は通常働くときは正社員で雇用するというのが原則だったというふうに思うんですけれども、その後いろいろな形で非正規雇用という様々な形がつくられて、それが随分と広がってきたなというふうに思っているわけです。
 昨年12月の総務委員会で市の非正規職員の男女比率を聞いたんですけれども、就職募集の際に提出を受ける書類に男女の別を示す項目がないということで、分からないという返事だったんですね。そこで具体的に伺いますが、放課後児童クラブの指導員など、非正規で特にフルタイムではない会計年度任用職員は女性がほとんどになっているんじゃないかなと思いますけれども、これはなぜだというふうにお考えでしょうか。

(人事課長)
 本市の会計年度任用職員、こちらの採用に当たりましては、先ほど委員からも御紹介がありましたけれども、性別による差は設けておりませんけれども、結果として放課後児童クラブの指導員でありますとか保育士をはじめ会計年度任用職員の多くを女性が占めている状況でございます。
 面接試験で志望理由などをお聞きする範囲で申し上げますと、子育てや家族の介護、そういった事情でフルタイム勤務が難しく、短時間勤務である会計年度任用職員を志望したというふうに答えられる方が多く、こうした事情が要因の一つではないかというふうに考えております。

(中森委員)
 実際に志望する場合の動機というのもいろいろあるかなというふうに思うんですけれども、結果として女性が多いと。やっぱりこれは賃金の問題ではないかというふうに私は思っているわけです。大体我々の社会では、基本的に男性の場合は一家を支えられる賃金というものを求めます。そうすると、年額200万円そこそこの非正規雇用ということになりますと、なかなか男性としては入っていきにくいということになっているんじゃないかというふうに思うんですよ。この点はどうお考えでしょうか。

(人事課長)
 先ほど答弁しましたけれども、本市の会計年度任用職員、こちらの採用に当たりましては、性別による差は設けておらず、結果としてその多くが女性職員となっている状況でございますけれども、女性活躍でありますとか働き方改革、これを進めていくことによりまして、個々の働き方や仕事に対する価値観、これの多様化が進みまして、今後、会計年度任用職員を志望する男性が増えていくのではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、正規職員は勤務時間もさることながら、政策の企画・立案などの業務を責任と権限を持って行う職員として整理しておりまして、今後とも個々の業務内容などに応じた任用形態の職員を適切に組み合わせることによりまして、効果的かつ効率的な執行体制、これを整えたいというふうに考えております。

(中森委員)
 現実の話として、特に放課後児童クラブの指導員の場合を見てみますと、市の政策で指導員を大幅に増やす必要があるにもかかわらず、現状でも欠員状態が続いております。しかも、欠員のままでは現場が回らないので、臨時的に埋め合わせをしてくれる方に来ていただいておりますけれども、それを探すのは、実は、本来責任のある教育委員会じゃなくて、現場の指導員たちがつてを頼って探しているというのが現状なんです。これはこれで問題なんですけれども、それにしてもなぜ指導員の欠員が解消できないかということになると、結局やっぱり給料が安いからじゃないかなというふうに思うんですよ。子供たちの育ちと日々の安全にも責任を負っている仕事なんですけれども、年収200万円そこそこでは間尺に合わないということではないかと思います。
 ただ、しかしながら、非正規雇用にこだわっているわけです、会計年度任用職員という形にね。この問題は、やっぱり解消するめどは立ってないということではないかなと思います。
 こういうふうに広島市行政の職場ではたくさんの非正規雇用の方がいらっしゃいますけれども、多くは女性がほとんどということになっておりまして、これらが結果として広島市の公務職場で男女の賃金格差の根源になっているんじゃないかというふうに思うわけです。
 差し当たって、放課後児童クラブの職場では業務の在り方も見直していただいて、原則、正規雇用に転換するということが必要ではないかと思いますので、これは検討を要請しておきたいと思います。
 子育ての場面では、男女が協働してこれに取り組んでいくという環境が必要でありまして、市の職員としては、そのためにつくられた制度を積極的に活用し、自らの家庭の中で男女共同参画に取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども、広島市行政の職場での男性の育児休業取得の目標というのはどういうものになっているんでしょうか。それから、現状の取得はどういう状況でしょうか。

(給与課長)
 令和2年度までの広島市職員子育て支援プランでは、男性職員の育児休業の取得率を13%以上とすることを目標に掲げておりまして、プランの最終年度である令和2年度の取得率は22.2%と目標を大きく上回りました。令和3年度からの広島市職員の女性活躍・子育て支援推進プランでは、令和7年度までに男性職員の育児休業の取得率を30%以上とすることを目標に掲げております。

(中森委員)
 目標は13%だけれども大幅に上回っているということなんですが、フランスのマクロン大統領が最近の演説で、フランスの男性の育児休業取得率が7割にとどまっているけれども問題だというふうに述べられたそうです。広島市の公務職場での男性の育児休業取得率、これは必要な人ですね、本来100%を目指すということだというふうに思います。これは先ほどのことも含めて、ぜひ積極的な目標を掲げて、その達成に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 男性職員が育児休業を取得できない条件があるということであれば是正が必要なんですけれども、その辺りもよく見ていただきたいというふうに思いますが、他方で女性職員の生理休暇の取得率も大変低いのではないかというふうに思うんですが、現状ではどういうふうになっておりますか。

(給与課長)
 生理休暇は、生理日の就業が著しく困難な女性職員が取得できる休暇であり、その人数が不明のため、取得率ではなく取得した人数でお答えいたします。令和2年度の生理休暇を取得した市長事務部局の常勤職員は、2,840名のうち61名となっております。

(中森委員)
 相当数若い、そういう年代の女性職員がいらっしゃると思いますけれども、それにしては非常に少ないなというふうに思いますが、女性職員の生理休暇の取得は、生理のある時期の女性職員の権利ということになっているんじゃないかと思うんですけれども、その点はどうですか。

(給与課長)
 生理日の就業につきましては、労働基準法第68条におきまして、使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならないと定められております。生理日の就業が著しく困難な女性の権利であると考えております。

(中森委員)
 生理の際の女性の体の状態というのは、いろいろなんだろうなというふうに聞いております。軽い方もおられるし、重い方もいらっしゃる。つらい痛みが短い人もおられれば、長く何日もかかるという方もおられる。広島市の女性職員、対象の方が先ほど二千何百人というふうにおっしゃいましたけれども、みんな生理が軽くてほとんど気にならない人ということではないというふうに思います。
 生理のときの体の状態は一様ではないというふうに思いますけれども、少なくとも痛みがあったりということで、つらくて仕事の能率も上がらないというふうな状態でもなかなか休めないということがあるとすれば、やはり女性が働きやすい職場とはとても言えないということではないかと思います。
 生理休暇を有給休暇に振り替えて取っているということも聞いておりますけれども、それで取得される方が少ないということであれば生理休暇を取ることを職場に言いにくい風土になっているんじゃないかなということで、これも問題ではないかというふうに思うんですね。
 生理は男性にはないわけです。女性にだけあります。それこそ、ワーク・ライフ・バランスが取れて、仕事とよりよい生活を両立させるための有給休暇なわけですけれども、女性だけがつらい生理のために有給休暇を使わざるを得ないということになりますと、生理というものに対する理解と母性保護ということに対する理解が広島市の職場では定着していないということになると思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

(給与課長)
 生理日の就業が著しく困難であるかどうかについては、委員がおっしゃいましたように個人差があるものと考えられます。例えば就業困難な日が週休日や休日であったり、そのほか夏季休暇や年次有給休暇などを取得した日であったりすれば、生理休暇を請求することがなかったということも考えられます。

(中森委員)
 要するに、気軽に生理休暇と言って取得することができる、そういう職場の風土といいますか、環境、理解、理解ということはちょっと違うかもしれませんけれども、そういうやっぱり職場の雰囲気といいますか、そういうものをつくっていくということが大事なんではないかなというふうに思います。やっぱりこれは権利として定着をさせていくということが必要だと思います。
 生理でつらいときは気兼ねせずに休める、そういう職場にしていく必要があるんだろうというふうに思います。そういう職場にしていくために女性職員たちの意見も聞いていただいて、具体的な取組を進めていただきたいというふうに思います。

中央図書館について

(中森辰一議員)
 中央図書館等の事についてはこの後も多くの委員がこれを取り上げられるんだろうという思いますけども、今日は図書館の在り方を含めて考えたいとおもいます。
 図書館とは何か、勉強が不十分でありましてそれを表現することは私にはできませんけれども、日本の図書館学のオーソリティで日本図書館協会の理事長もされて昨年亡くなられた竹内聡さんっていう方がいらっしゃいます。この方が昨年出版された最後の著書のタイトルに、「生きるための図書館」という言葉を採用していらっしゃいます。子どもたちが生きる力を養うのに大事なところいうことがあると思いますし、人々が自分の人生を豊かにしたり、仕事や勉強、研究のために必要な情報を得たり、本を通じて出会ったり、交流を深めたり、そういった様々の役割を持っているんだろうなという風に思います。
 そこで伺いますが、自治体が公立図書館を作って運営する理由というのはどういうもので、広島市はどういう考え方で図書館を作り運営してこられたんでしょうか。

(生涯学習課長)
 図書館は図書館法第2条第1項で、図書を記録その他必要な資料を収集し整理し保存して一般講習の利用に供し、その教養調査研究レクリエーション等に資することを目的とする施設と定められており、本市の図書館もその目的に則して運営をしております。

(中森辰一議員)
 図書館のあり方ということで、私は少し引っかかることがあったんです。今、広島駅前の商業ビルに中央図書館を移転させようとしておりますけれども、その際に、昨年9月に提出されたという広島駅南口開発株式会社の移転要請文書の中で、商業ビルの他のテナントと連携したにぎわい創出に取り組むという考え方が商業ビルへの移転を要請したビルのオーナー会社から出されているわけです。
 にぎわい創出に取り組むということが、広島市立図書館の目的の一つかというよりも、中央図書館をどうするかという重要な節目である中で、そういう時に中央図書館がにぎわい創出に取り組むというわけで商業ビルへの移転を要請しているということは、にぎわい創出に取り組むことが、広島市立図書館の極めて重要な役割である、と広島市の外郭団体であるこの商業ビルのオーナー会社が言っているに等しいという風に思います。これは広島市の行政のお考えなんでしょうか。

(生涯学習課長)
 昨年9月に提出された要望書に記載してある事項は、広島駅南口開発株式会社の考え方ですけれども、本市と致しましても、エールエールA館内のテナントと連携した合同イベントや、PRの実施により、多くの方に図書館に来ていただくための取り組みを行っていきたいと考えております。

(中森辰一議員)
 にぎわいっていうことがまったくないとは言いませんけれども、やはりこれは主な役割ではないという風に思っています。
 広島市の図書館の利用者が減っているということで、この移転問題の中で市が説明をしておりますけれども、このことについて市の分析を簡単に説明してください。

(生涯学習課長)
 近年、本市の図書館の入館者数が全体的に減少しておりますけれども、これは本市に限ったことではなく、全国的に減少しております。減少している理由としては、インターネットやスマートフォンなどの急速な普及により、図書館に行かなくても手軽に本や雑誌を読んだり、調べ物をしたりすることができるようになったことに加え、趣味や娯楽の多様化により読書ばなれが進んでいることなどが挙げられるのではないかと考えております。
 一方で、近年駅前に移転した図書館では、大幅に利用者が増加しており、利用者の増減には立地場所も関連があるものと認識をしております。

(中森辰一議員)
 広島市の図書館の貸出冊数、本の数についての市の分析があるのであれば説明をお願いします。

(生涯学習課長)
 本市図書館全体の貸出冊数の推移につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響がない年度で見ますと、平成21年度の年間約539万冊から平成30年度の年間約518万冊へと、10年間で約4%の減となっております。平成27年度に貸出上限冊数を5冊から10冊に引き上げたことにより、一時的に増加していますが、その後は減少が続いております。これにつきましても、入館者数の減少と同じく、インターネット等の普及や、趣味や娯楽の多様化により読書離れが進んでいることなどが理由として考えられます。

(中森辰一議員)
 ひとつ例をご紹介したいと思うんですけれども、先ほど紹介しました竹内聡さんの著書に、ある東京都の多摩地域にある人口23万の市の図書館の状況というのが紹介をされております。中央図書館と合わせて中学校区に1か所になるように図書館の分館を10館整備されました。人口比では2万人に1館が整備されました。都市部ですから、どこからでも大体自宅から歩いて10分の所に図書館があります。本当に身近なところに図書館があるわけです。
 各分館にはそれぞれ5万点以上の蔵書・資料がありますけれども、2015年の数字で市全体で所蔵資料は市民一人あたり5.9点という風になっております。その結果、本の貸し出し数は市民1人あたり11.4点。広島市より随分大きいと思いますけども今はその数字も年々大きくなってきているようであります。
 市民1人当たりの資料購入費、本などを買う費用は395円。職員は2016年で司書44人を含めて正職員62人、嘱託員155人、合わせて217人が高い専門性を持って市民に対応しております。
 後で広島市の数字を言いますけれども、ぜひこのことは覚えておいていただきたいと思います。竹内さんの本では、図書を選ぶ相談だけではなくて、図書館としてのレファレンスという一番重要な仕事を担う役目をしっかり果たしているという様子が描かれておりました。
 この市の図書館の基本方針は、
①市立図書館はどこでもだれでも気軽に利用できる市民の書斎であり続ける。
②地域に根ざした市民文化の創造に寄与する。
③そのために積極的な図書館活動を行う。そのために積極的な分館網の整備充実を進めること、市民の参加と協力を得るように努める。
 こういうことで長年にわたって取り組んでこられて、今紹介した状況まで到達をしておられます。この多摩地域の市というのは調べてみますとどうも調布市だと思います。
 費用だけで見た世界の図書館の水準を見ますと、日本図書館協会が紹介している数字ですけれども、フィンランドの国民一人当たりの図書館費は7,300円。年間です。デンマークが6,840円、スウェーデン4,728円です。何年も前の数字なんですけども、ちょっと桁が違うなと思います。
 政令市の実質図書館費、これは図書館費とされているものと、専任職員の人件費を足したものですけれども、一人当たり実質図書館費で一番大きいのはさいたま市で1,774円、図書館数は25館、専任職員数は164人、一人当たり貸し出し数は7.1点、さいたま市の市民一人当たり資料購入費は176円です。
 先ほど紹介しました調布市の図書館の半分以下。これが政令市で一番多いわけです。ちなみに一人当たりの資料費が一番多いのが静岡市で234円でした。広島市の一人当たり実質図書館費は746円。これは政令市20都市の中で19番目です。一人当たり資料費だけで言いますとわずか84円でしかありません。成果を上げている調布市のわずか1/4以下。専任職員も人口は5倍以上ですが、調布市の半分程度しかいません。日本の図書館協会が出している最近の数字です。
 広島市立図書館の実態を見ますと、コロナ前で市民一人当たりの貸し出し数が4.0点。これも調布市の数字と大きな開きがありまして、政令市の中でもかなり下の方ではないかと思います。
 平和文化都市として、文化水準の重要な要素であり、知の拠点である図書館に対して、広島市はもっとお金をかける余地が大きいんではないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

(生涯学習課長)
 図書館は市民の生涯学習の拠点となる施設であり、市民生活にとって大変重要な施設だと認識しております。こうした認識のもと、厳しい財政運営が続く状況ではありますが、図書館の運営に必要な予算は確保しており、引き続き限られた予算の中で市民のニーズに答えながら図書館サービスの充実に努めてまいります。

(中森辰一議員)
 にぎわいに図書館を導入しようというふうなことになっているわけですが、そういうことを考える前に、取り組むべきことがあるということが提示されているんじゃないかと思います。
 どう取り組んでいくべきか、私の考えですけれども、例えば市民がより本に親しむスタイルを身につけていくためには、子どもの時から本に親しむことは大変重要だと思います。今の図書館網の機能を高めて、子どもを含めて市民がより親しめるように発展させていくことが必要ではないかと思うんですが、どうでしょうか。

(生涯学習課長)
 現在、本市の図書館の体制といたしましては、総合的な管理運営や専門的な図書の収集などを担う、中央図書館をはじめ、子どものための専門図書館である子ども図書館、日常生活で必要とする図書を収集する各区図書館、それから漫画専門のまんが図書館があります。
 また、図書館等から遠い地域等にサービスを提供する移動図書館車の運営や、間接的なサービスとして公民館図書室等への配本業務なども行なっております。このような体制のもと、これまで市民からの要望や社会情勢の変化に対応したサービスを展開するなど、より利用しやすい図書館サービスの提供に努めてきており、引き続きその充実を図ってまいります。

(中森辰一議員)
 これついては後でまた提案しますけども、平成14年12月に市の諮問を受けて提出された21世紀広島図書館計画の提言というのがあります。20年前の提言なんですけども、ここで提起された課題と方向性について、これまでに取り組みがされて、実際に実現されたものがあるんでしょうか。

(生涯学習課長)
 平成14年度に作成しました21世紀広島市図書館計画の提言において、10の目標を定めて取り組んできており、その内容は平成23年度に作成した広島市立図書館サービスのあり方についての中で整理をしております。
 いくつか例示いたしますと、広島の個性となる資料情報の収集創造発信という目標については、平成20年度から貴重資料のデジタル化に取り組み、ホームページに掲載をしております。
 また、サービスの個別化、利便性の向上とアクセス環境の充実という目標については、平成16年度からインターネットによる検索予約システムの運用を、平成21年度から優良図書宅配サービスを開始しております。
 また、身近できめ細かな図書館サービスを受けられる適正な図書館の配置という目標につきましては、平成22年度から図書館で借りた図書の公民館での返却を可能としております。

(中森辰一議員)
 いくつかやってきたことがありますよという報告でしたが、この提言では、町の図書館化ということが提言をされております。要するに、市民生活のすぐ身近なところに図書館があるような街にしていこうということなんだと思いますけども、市民と本を結びつけていく上で大変大事なことだと思います。
 そのために重要なことは、いかに市民生活の身近に図書館を近づけていくことだと思います。そこで、今の市のそれぞれの施設の立地を考えますと、中学校区に一つ、先ほど調布市の図書館の例を言いましたけど、中学校区に一つ設置されております。公民館の図書室がありますね。ここを思い切って充実をさせて利便性を高めていくということが大事になってるんじゃないかと思いました。今の公民館の図書室の蔵書数はどの程度あるんでしょうか。

(生涯学習課長)
 公民館によって蔵書数は異なりますけれども、一館あたり おおむね4,000から5,000冊程度となっております。

(中森辰一議員)
 4,000から5,000冊、もう少し増やして欲しいなと思うんですけども、さっきの提言を作るにあたって実施した市民アンケートでは、図書館が近くにない、行くのが不便だから利用しない、こういう意見が3割ありました。それから、借りたり返したりが面倒だという意見も3割ありました。公民館での本の貸し出しの利便性ということが大事になっているかなと思うんですが、今公民館の図書室はどの程度利用されているでしょうか。

(生涯学習課長)
 公民館では、公民館専用の図書利用カードを発行し、貸し出す際に、自らが貸し出しノートに登録番号、日付等を記載する方式となっており、身近な公民館で本を借りることができることで、市民の読書環境の向上につながっているものと考えております。
 新型コロナウィルス感染症の影響がない平成30年度の貸出実績で申し上げますと、平均で1館当たり年間約2,900冊となっております。

(中森辰一議員)
 1館2,900冊、これをどう高めていくかということだと思うんですね。中央図書館だけではなくて、区の図書館も、人口十数万、20万を超える区もあるのに、あるいは安佐北区とか、佐伯区、安佐南区、安芸区は区域がが広いにも関わらず、区の図書館が1か所しかないということで、非常に不便になっております。交通の便が悪いという条件もあるかと思いますけども、そういう点でこの公民館の図書室の役割が大変おおきくなっているんじゃないかと思います。
 蔵書数の問題だけではなく、中央図書館と区の図書館とで本の予約、本の貸出・返却が相互に流通できるシステムが確立しております。これらのどこでも借りたり返したりができるわけですけども、公民館図書室はシステムにはまだなっていません。このことがやはりこの利便性という点で改善の余地があるのではないか。
 子どもたちが気軽に立ち寄れる図書館という点でいうと、公民館の図書室の分館化というのは非常に大事になっていて、そこでの取り組みをしていくことが必要ではないかと思います。区の図書館が身近でない市民にとって、この公民館の図書室が、身近で借りたり返したりも利便性も高い図書館ということで機能するようになっていくと、市民の図書館の利用はもっと活発になる可能性があるんじゃないかと私は思っているんですけども、この点はどのようにお考えでしょうか。

(生涯学習課長)
 公民館は、地域活動の拠点として地域住民がサークル活動や学習会などを行うことを目的として設置している施設であり、現在図書室は地域住民への身近な学習機会を補完するために、公民館の一角を利用して設置しているものでございます。
 公民館を図書館の分館とするためには、組織体制の見直しを始め、図書館の管理システムの公民館、全市で70館ございますけども、全館への配備、予約本の保管スペースや、担当する民営化(?)の確保、また全公民館への集配業務の委託など、新たに相当な人員と経費がかかるものと推察されます。
 こうしたことから、公民館の図書室を図書館の分館とすることは難しい状況にありますが、引き続き配本サービスの充実に努めるとともに、より一層の利用者数の増加に向けてPRにも取り組んでいきたいと考えております。

(中森辰一議員)
 現状では施設の制約もありますし、仕組みもそうなってはいないということなんですけども、施設という点で言うと、これから公民館も一つ一つ建て替えも進めていかれると思いますので、新しい公民館を作る時は、そういうことも考えて、仕組みを考えていただけると良いと思います。
 その際、提言の中では学校との連携みたいなこともあったと思うんですけども、子どもたちあるいは市民が、公民館の図書室で本の相談をするとか、あるいは区の図書館などとのつなぎをしていくとかいう点で言うと、やっぱりそこに一人の人を置いていく、蔵書数を増やしていくという数字と合わせて、そういう体制の充実ということも、さっきも言われましたけども必要になってくるかなと思います。
 これからの課題ですけども、やはりそういうことも展望していくということが必要なことじゃないかなという風に思うんです。ぜひ今後の検討課題として上げていただきたいと思います。
 他方で、こうした町の図書館化を進めていくことになると、将来的にも中央図書館の役割はますます重要になってくると思います。
 身近な図書館、差し当たっては分館、区の図書館ということに今はなってるんですけども、そういうことよりも、中央図書館というのはより専門的な知の拠点としての役割が重要さを増してくるんではないかと思います。 区の図書館のレファレンス機能を支援する、区の図書館におけないより専門的な資料を置くということも含めて、市民の様々な活動の支援の拠点になるということが大事なんだろうと思います。今はビジネスとか起業の支援なども行っておりますけれども、市民の知的要求に応えていく大学などとの連携も進めていくという風なことも、取り組んでいくことが必要だと思います。
 それから、それとは別に公民館の図書室を含めた、先ほども言いましたけれども、市内の図書館ももっと充実させていくことになれば、中央図書館のセンターとしての役割もますます多くなってくると思います。そうしますと、当然図書や資料の集配業務を増大していくということになります。そういう点でも、今回の中央図書館の移転という問題も、将来の問題も含めた形で考えていくってことが大事なことではないかと思うんです。
 商業ビルの荷物の搬出入口は二つありますけども、商業機能と両立させていくというのは、これから役割を大きくしていけばいくほどますます困難になるんじゃないかという風にも思います。
 そういう点では、将来の広島市の図書館機能を発展させることを考えると、現地を含めた建て替えということが検討されるべきではないかというのが私の意見です。
 もし建て替えるということになった場合は、40年、60年というようなことではなくて、100年は使える建物としての堅牢さと、将来の発展を見込んだ設計が必要だと私は思っております。
 それから、仮に移転するとなると、その跡地をどうするかということは必ず問題になります。あの土地を空き地にして置くというということにはならないと思います。その問題で、音楽ホールということが出てきていると思いますけども、実際どうなるかわかりませんが、どういうものを建てるにしても、その建設費は必ず問題になって参ります。仮に音楽ホールだという風にしますと、規模にもよりますけれども、200億円から300億円が新たに必要になってきます。現地建て替えであれば跡地問題は起きないわけですから、移転するのであれば、跡地に建てる施設の建設費を含めて費用の比較を考えるべきではないかと思います。
 先日も桑田議員から意見が出されておりましたけれども、そう考えると圧倒的に現地建て替えの方が費用は少なくて済むということにならないでしょうか。比較の仕方というのはこういう風に考えるべきじゃないかと思うんですがどうでしょうか。

(生涯学習課長)
 中央図書館の跡地に整備を検討する文化芸術施設につきましては、例えば音楽専用ホールやコンベンション機能など、中央公園内に新たに導入することになる機能の必要性が広く市民に認知され、施設整備に向けた機運が市民の間で十分に醸成される中で、それに相応しい内容を検討する必要があり、一定の時間を要するものと考えております。
 一方で中央図書館等は施設が老朽化している上、耐震性能も不足しており、機能更新が喫緊の課題となっていることから、中央図書館等の移転と文化芸術施設の建設費を関連付けると言うことは適切ではないかというふうに考えております。

(小池副市長)
 あの跡地問題と委員はおっしゃいましたけれども、今回エールエールA館に移転する場合には96億円で、建て替えの場合には百二十数億円という風に試算を出しております。そのうち百二十数億のうちの二十数億が立て替え仮移転経費ということで、桑田委員からも、それを除けば建て替えの場合と、エールエールへ移転する場合と同じじゃないかという指摘があったと思いますけれども、エールエールへ移転する場合には、エールエールの権利を買う部分もお金に入っておりますので、結局そこの権利を買って、そちらに入ることになって、今の中央図書館の立っている場所は当然更地になるわけですよね。
 今中森委員はそれが問題だとおっしゃいましたけど、むしろそこに新しく何かできる余地が生まれるわけなんです。例えば、音楽ホールのようなものを将来広島市に作る場合、中央図書館を移転していれば、、そこに建てることができます。けれども、もしそこがなければ全く別の土地を用意しなくてはいけないわけです。ですので、今回仮移転の話は置いておいて、それぞれが九十数億で同じだと言っても、その図書館の跡地が残る残らないの違いがあるわけです。図書館の跡地に今後何かを建てる権利というのが、当然その土地のことに関しては多分数十億になるものですので、それだけの違いがあるということはぜひご認識いただければと思います。
 その部分について、これから中央図書館の跡地を何に使っていくかっていうのは十分議論していきたいと思っております。

(中森辰一議員)
 フロアを買うのに60億円ぐらいとおっしゃっておりましたけれども、あれはあくまでもフロアの権利を買い取るということですし、土地の権利ということも付随してあるわけですけども、それはあくまでもビルのオーナーの一人としての権利だと思いますから、将来あのビルを建て替えようとか、いろんなことが起きてきた時に、それが60億円にあたるものかどうかという色々考え方があるかと思います。いずれにしても新しい土地が生まれるんだということもおっしゃいましたけれども、そういう考え方もあるかもしれませんけれども、今の図書館を充実させて欲しいということになりますと、やっぱりどうしてもあの商業ビルというに移転するっていうことになりますと、それなりの制約が出てくるかなと思います。
 将来の図書館のあり方ということを考えた時に、それが足かせにならないかということも考えなければならないかなと思います。将来100年を見越した柔軟性のある設計をと言いましたけど、そういうことが考えられるようなあり方というものが必要ではないでしょうか。
 今出ましたエールエールA館そのものの問題についての疑問もあるんですけども、それはまた明後日総括質疑の中で聞いていきます。

(小池副市長)
 説明させていただきたいんですけども、今回、先ほどの90億の話をしましたけれども、あの公共施設の適正管理推進事業債という、有利な起債を使うというお話をしておりまして、今回この有利な起債を使うことによって、エールエールに60億円ぐらいの権利を買うんですけれども、その部分にもこの起債が使えることになっていまして、この起債を使うと、基本的に充当率、事業費のうちの9割までは起債が使えます。そしてその起債の償還に対して、その50%を地方交付税で将来的に国からお金がもらえることになっています。単純に言えば45%割引、そういう金額で権利が買えることになっているので、非常に安く整備ができる。96億と言ってますけど、実質的には50億強ぐらいですかね。●●分除いた金額で市の負担でやることができるわけです。ですから、エールエールの権利を買うということも60億と言っていましたが、それが全部なくなるわけではなくて、土地の権利としてはエールエールがなくなっても、そのあと土地の権利は残るわけですから、三十数億と言ってますけど、それを非常に有利な形で買うことができるという状態になっているということもぜひご認識いただければと思います。

(中森辰一議員)
 あえて副市長が発言されましたので。土地の値段というのは将来どういう風になるか分かりません。それともう一つは地方交付税、これは国と地方との関係なんですけども、本来は、地方が自主的に税収をあげて、自分たちの裁量で運営していく。それを、今は国が税収として吸い上げてしまっているので、国から地方に還流してくるといいますか、地方分権とは違う形のやり方が取られていると私は思ってるんです。しかも地方交付税は常に国の裁量で変わってきます。今その交付税で措置をされるということも、これまでずっと何度も言われてきましたけれども、それが本当に将来も保証されてるかというと、私はそれをあまり信用してないです。これから先そういうものはどうなるかわからない。
 地方交付税で措置されるといわれているけれども、本当に措置されたのかどうかっていうのは実際にはわからないことになってるんじゃないでしょうか。市の財政局だって、これぐらい地方交付税で来るはずだったということじゃないかと思います。
 結局いくらになったかということは、国の地方財政計画とかそういうところによって左右されてくるものだと思いますので、それに左右されるというのは、あまり賛成できないと思っています。

(市長)
 今言われたのは、現状のシステムと理想を並べて、国家システムが安定できてないというご指摘ですけども、我々は現実の問題として、今のシステムをどう使ってやるかということをやってるわけです。理想を言われてることだって、将来できるかどうかわからないんです。そこを引き合いに出して、比較するというのはあまりにも無責任ではないでしょうか。今ある中央公園の土地だって国有地なんですよ。それを借りてるわけです。未来永劫借りられるでしょうか。その理屈であれば、国家はなくなるのか。皆さんの立場では、今の日本政府の立場が長続きするかどうかわからないというお立場ですからね。今予算を編成して、実際の予算措置をするという中で、国が許可する債券の発行、そういったことを前提にしながらやっていかなければいけないと思っています。したがって、今あるシステムの中でいかに有効なものを作っていくかという発想で説明してるということを分かっていただければと。それを信用できないから不安だというご意見は、意見として承りますけれども、我々今できることを最善を尽くすということでやらせて頂いているという風にご理解いただきたい。

(中森辰一議員)
 現実にそういう形で今財政が運用されていることは私はよく分かっています。
 ただ、地方自治体はどこでも懸念しておりますように、今臨時財政対策債などというものも出してるわけです。これは将来的に地方交付税でその償還も措置されるということになっているんですけども、しかしなぜこういう在り方について地方が反対の声をあげてるのかということも、私はよく考える必要があると思います。
 この臨時財政対策債というのは、将来の地方交付税の先食いだと私は思ってるんですけども、そういうことをやっている国の実態というのをやはり考えるべきだと思います。

TOPへ