議会での質問・答弁

2021年12月09日

2021年第5回 12月定例会 一般質問 藤井とし子議員

1.気候変動打開の取り組みについて
2.上安産廃最終処分場の南側盛り土について
3.中央公園の今後の整備方針について
①中央図書館について
②ファミリープールについて
4.学校給食の見直し方針について

1.気候危機打開の取り組みについて

(藤井とし子議員)
 気候危機の打開は、人類の生存にかかわることであり、最も重要な課題の一つです。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、危機がいっそう高まっていることを警告しており、従来に増して対応を急ぐことが求められています。
 先日開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を含めて、常に経済問題と温暖化ガス削減目標が天秤にかけられますが、私たちが住む地球が住めない状態になっていけば経済発展など何の意味もありません。それだけに気候危機を打開するための積極的な対策を国際的に協調しながら推進することは、私たち、今現在、社会を動かしている世代の、未来の世代に対する責任だと考えます。広島市が国際平和文化都市として活動するにあたっては、そういう立場で具体的な取り組みをより積極的に進め、他の都市をリードすることが重要であると考えますが、市長のお考えを伺います。
 いまやほとんどの国々が2050年のカーボンゼロへの到達を表明し、緊急的な中間目標として、EUなど多くの先進国が2030年までに温暖化ガスを1990年比で55%削減など積極的な目標を決めています。
 日本政府も2030年までの目標を2013年比で46%削減としていますが、46%という数字が低いだけでなく、近年で温室効果ガスの排出量が一番多い2013年比としているために、1990年比で計算すると約40%程度に削減目標が落ちてしまうまやかしの目標値であり、とても先進国だと胸を張れるものではありません。しかも、まだ実用化のめども立っていない新技術をあてにしていることや、国際的に厳しい批判を浴びている石炭火力発電を増やそうとしており、低い目標さえその実現性には大きな疑問符がついています。これでは、気候変動アクションネットワークから極めて不名誉な「化石賞」を授与されたのは当然で、気候危機対策に後ろ向きと批判されても仕方がありません。
 こうした日本政府に対しては抜本的な政策転換を求めていく必要がありますが、広島市が国際平和文化都市としてどう取り組んでいくのかも重要です。
 広島市は2009年(平成21年)に「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例」を公布し、温暖化ガス削減に向けた取り組みを進めてきました。また、2017年(平成29年)には「広島市地球温暖化対策実行計画」を策定し、その中で二酸化炭素削減目標を設定しています。それを見ると、日本政府と同様に2013年度比で2050年度の目標を80%削減とし、中間目標を2030年度で30%削減としています。
 この目標値は、2013年度比となっていること、我が国政府が掲げている目標よりもずいぶん低い目標であり、見直しが必要です。いまの国際的な取り組み目標を踏まえて、2050年目標はカーボンゼロとし、2030年の中間目標はEUにならって1990年比で55%削減とするべきではないかと考えます。どうされるかお答えください。
 また、広島市は、2017年の実行計画に基づいて、様々な取り組みを進めてきましたが、目標値の変更に合わせて、実行計画の内容も見直す必要があると思いますが、いかがお考えかお答えください。

(環境局長)
 本市は、昨年12月、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを表明しており、その目標の実現に向けて、現行の「広島市地球温暖化対策実行計画」を改定することとしています。
 この計画の改定については、令和3年10月に改定された国の地球温暖化対策計画の内容等を踏まえ、本市としての取組方針や施策等の検討を行い、令和4年度中の改定を予定しています。
 本市の2030年度の削減目標については、国の「温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する」という目標を踏まえつつ、2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを見据え、国の地球温暖化対策計画に位置付けられた対策や本市独自の施策の積み上げ等により、検討を進めていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 次に、地球温暖化対策等の推進に関する条例の中で、第9条から32条にわたって、温暖化ガスを排出する事業者にその排出削減計画や報告を求めています。
 第9条と第10条で、年間の原油換算エネルギー使用量が1500キロリットル以上の事業者、または二酸化炭素換算温室効果ガス排出量が3000トン以上の事業者に対して、3年ごとに事業活動環境計画書の提出を求め、その計画書の各年度ごとに実施状況を記載した事業活動環境報告書の提出を求めています。
 第16条と第17条で、50台以上の自動車を使用する事業者に、同様に3年ごとに自動車環境計画の提出を求め、それらの事業者に毎年自動車環境報告書の提出を求めています。
 これらの計画書を提出した事業者数は現在どれだけあるか、報告書を提出した事業者数はどれだけか。それらは、提出すべき事業者数の全部かどうか、提出しない事業者があるとすればその事業者数もお答えください。
 また、第13条と第19条で基準に満たない事業者が計画書の提出ができるとしていますが、計画書を提出した事業者数はどれだけか、お答えください。

(環境局長)
 「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例」第9条に基づく事業活動環境計画書については、現在、94事業者から提出されており、第10条に基づく報告書については、令和2年度には、対象となる94事業者全てから提出がありました。
 次に、同条例第16条に基づく自動車環境計画書については、現在、63事業者から提出されており、第17条に基づく報告書については、令和2年度には、対象となる63事業者全てから提出がありました。
 なお、同条例第13条に基づく特定事業者以外の事業者及び第19条に基づく特定自動車使用事業者以外の事業者について、任意に計画書を提出できるとされていますが、これまで提出された事例はありません。

(藤井とし子議員)
 第22条では、床面積の合計が2000平方メートル以上の建築物を新築しようとする者に対して、建築物環境計画書の提出を求めていますが、条例施行以来どれだけの建物についてこの計画書が提出されたか、また、提出するべき建築物の内の提出数の比率はどれだけか、また、第25条による、一戸建てと長屋を除く、2000平方メートル未満の建築物の新築で計画書の提出があったのは何件か、お答えください。

(指導担当局長)
 「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例」第22条に定める建築物環境計画書は、床面績の合計が2,000平方メートル以上の建築物を新築等しようとする場合に、当該建築物の環境への配慮に関する措置及び基準に基づく自己評価について、市に提出してもらうものです。その提出数は、同条例の施行日の平成22年4月1日から本年11月30日までの合計で、743件となっています。
 この期間において、同条により提出すべき建築物環境計画書の件数は、770件であり、提出率は、96%となります。
 次に、同条例第25条では、同条例第22条の建築物環境計画書の提出に係る要件に該当しない場合であっても、任意に建築物環境計画書を提出できるとされていますが、これについては、同条例施行の日以降、提出されたものはありません。

(藤井とし子議員)
 第35条では、広島市内に電気を供給する事業者に対して、温室効果ガスの排出抑制の取り組みや目標、再生可能エネルギーの利用の拡大の取り組みや目標を記載したエネルギー環境計画書の提出を求め、第36条によりその実施状況の報告書の提出を求めていますが、計画書や報告書を提出した事業者数はどれだけかお答えください。

(環境局長)
 令和2年度においては、同条例第36条に基づくエネルギー環境報告書について、令和元年度に本市の区域内に電気の供給を行った77事業者から提出がありました。
 また、第35条に基づくエネルギー環境計画書については、令和元年度に報告書を提出した77事業者に、新たに令和2年度に本市の区域内に電気を供給開始した19事業者を加えた96事業者から提出がありました。

(藤井とし子議員)
 次に、気候危機打開に取り組むにあたっては、広島市が取り組んできたように、省エネ対策と再生可能エネルギーの推進が重要です。
 まず、省エネルギー対策ですが、自治体にできるのは建物の断熱効果を高めたり、気密性を高めるための改修を推進することではないでしょうか。日本は、ヨーロッパに比べて断熱の取り組みが大変遅れているといわれており、インセンティブ効果を発揮できるような補助金制度の創設も考えられると思います。
 断熱対策で一番遅れているのが窓だといわれています。気密性の高いマンションでも結露が問題になるのは、窓の断熱対策が遅れているからで、気密性を高める改修を含めて、これらにポイントを絞った既存住宅の改修に補助金を出す仕組みを考えたらどうでしょうか。
 こうした取り組みは、地域内の仕事を増やす雇用効果もあると考えられます。是非ご検討いただきたいと思いますが、お答えください。

(環境局長)
 建物の断熱性能や気密性を高めることは、省エネルギー性能を向上させ、温室効果ガス排出量の削減に資することから、効果的な地球温暖化対策の取組であると考えています。
 こうした認識の下、本市では、断熱性能が高い外壁や窓、高効率の給湯器などにより、省エネルギー基準を超える性能を持つ低炭素集合住宅を新たに建築する事業者に対し、建築に要する経費への補助制度を実施しています。
 議員御提案の既存住宅の改修への補助制度については、現在、国が実施しているところであり、本市としては、こうした国の制度の活用を促すこと等を通じて、省エネルギー性能の高い住宅の普及啓発に努めていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 もう一つは再生可能エネルギーへの転換の促進です。
 自治体がこの課題に取り組むにあたっては、地域住民の生活環境に大きな影響を与えたり、発電施設をつくることで災害を引き起こすようなことがあってはなりません。
 再生可能エネルギーは、地産地消、地域の電力をできるだけ地域でまかなうという考え方を基本とし、広島市が持つ再生可能エネルギーの潜在力を最大限発揮できるよう、地域の環境に影響を与える大規模施設ではなく、中小規模の発電施設をたくさん設置していくことが重要です。
 広島市内で考えられるのは、山間部でのバイオマス発電や小水力発電、都市部でのあらゆる建物の屋根や屋上を活用した太陽光発電だと思いますが、専門家の知恵を借りながらこうした取り組みを、それぞれの事業で目標を定めて推進する、そうしたことを通じて、市としての温暖化ガス排出削減目標を達成できるようにとりくむ必要があるのではないでしょうか。どのように取り組まれるかお考えをお聞かせください。

(環境局長)
 再生可能エネルギーの導入促進については、本市としてふさわしい目標を定め、それに取り組むための諸条件を整えていくことが必要です。
 また、太陽光発電や風力発電などについては、設置場所により、防災・環境上の懸念が生じることも考えられ、こうしたことに対しては、明確な設置基準と、その基準を守るための具体的な手続等が定められておく必要があります。
 本市としては、こうしたことを踏まえつつ、地域における安全性の確保、環境との調和、さらには景観への配慮などを行いながら、再生可能エネルギーの導入を着実に進めていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 また、広島市の連携都市圏ということを考えると、小規模な風力発電施設の設置を含めて、それぞれの地域特性に応じた再生可能エネルギーの活用の推進が図れるのではないかと思います。
 そうした地域同士や大都市である広島市と連携した再生可能エネルギー電力調達のネットワークを造るといったことも考えたらどうかと思いますが、市のお考えをお聞かせください。

(環境局長)
 議員御提案の再生可能エネルギー電力調達のネットワークの構築については、関係自治体の意向はもとより、地域における電力供給量と電力使用量の需給バランス等を踏まえて考える必要があり、本市としては、先程御答弁しましたとおり、まずは、本市における再生可能エネルギーの導入を着実に進めていきたいと考えています。

【再質問】
(藤井とし子議員)
 気候危機打開に向けてについて、市長は昨日答弁の中で気候危機非常事態宣言を発するということを言われました。これは議会でも求めてきたことであり、本当に良かったと思っています。これから宣言をして、本気度を示すことが、より効果に繋がると思いますので、引き続きこの問題を取り組んでいきたいと思っております。

2.上安産業廃棄物最終処分場について

(藤井とし子議員)
 今年7月熱海市の「産廃を含む盛り土」が崩落し、土石流被害で多くの犠牲者を出したことを受け、国が全国の危険な盛り土の総点検を指示し、盛り土の緊急点検を行っています。県独自の調査に産廃処分場も含まれ、その内の1か所が安佐動物園南東側の野登呂山中腹で事業を続ける上安最終処分場です。
 ハザードマップを作成するために地元の人たちが山に入りこの谷埋め盛り土の存在を知りました。今年の8月の大雨後の10月14日に現地の状況を確認するために再度山に入ると、上安処分場の敷地につながる高さ約50メートル以上ある南側盛り土の法面が雨で浸食され そこからコンクリート片やアスファルト片、陶磁器片など明らかに産廃と思われるものが混ざっていることや盛り土の右端には上まで浸食すすみ、深い溝ができていることも確認しました。
 住民からは、今でも崩れそうな盛り土の上に、さらに産廃を何メートルも積み上げようとする計画が「なぜ認められるのか理解できない」という声が上がるのは当然です。市は、この問いに対して、「申請内容が法的に問題ないため」と繰り返されています。もし盛り土が崩落すれば、この谷の下には800軒以上の上安地域の民家が土石流被害を受けることは必至です。そんなことになれば許可をしてきた市の責任は免れません。   
 改めて上安産廃処分場について伺います。
 上安産廃最終処分場は今から29年前の平成5年に松一企画(株)が広島市に安定型処分場として申請し事業が開始され、徐々に拡張してきました。広島市は8年ほど前に松一企画から処分場を譲り受けたJAB協同組合が平成28年に問題となっている盛り土の上を新たに拡張申請し許可しています。令和2年にはこの盛り土の上にさらに大量に産廃を積み上げる申請も許可しています。
①平成28年に処分場の拡張申請された時に盛り土の上にさらに大量の産廃を積み上げることは問題だという認識は持たれなかったのか。

(環境局長)
 上安産業廃棄物最終処分場の埋立容量の変更に係る事業者からの申請について、施設の構造等の計画が技術上の基準に適合することなどを、現地確認に基づく専門家の意見聴取等も行ったうえで、許可要件への適合性を法令に基づいて審査し、許可しているものです。

(藤井とし子議員)
②今年3月に住民から指摘を受け、JAB協同組合が令和2年に拡張申請した事業区域の現況図面を地番だけでなく面積も大幅に修正した図面を市に今年9月に提出しています。なんと盛り土の法面まで処分場の区域内とするもので、保安林の境界線も大きく南側にされています。これまで間違ったものを申請していた以上、市は一旦工事を止めて、再度事実を確認し許可についての審査をやり直すというのが市のとるべき態度ではないですか。答弁を求めます。

(環境局長)
 申請書に添付されていた参考図書の内容の一部の修正がありましたが、最終処分場の区域や面積、埋立容量、施設の構造など、本市の許可内容に変更はなく、審査をやり直す必要はないと考えています。

(藤井とし子議員)
 もう一つの住民の心配は処分場から出る排水の問題です。
処分場からの排水については処分場西側の調整池からの排水の問題はこれまでも指摘してきました。今回は西側にある第2調整池の下の盛り土の下の黒いビニール管からでる排水は第1調整地からの排水と同様に異臭のある白い泡が混じった水が河川に流れ込んでいました。
③明らかに周辺の谷水とは違います。事業者は2号調整池からの表流水と主張し、市も疑うことなく認めておられますが現地を確認されたのか。ここの排水は住民が測定した水質の簡易検査でも異常な値が確認されています。事業者の言い分が正しいかどうか調査をするべきではないですか。荒谷川支流域では河川水を農業用水に活用しています。本当に安全な水だと市は市民に説明できますか。

(環境局長)
 処分場内の雨水流域の調整のため、広島県普通河川等保全条例に基づいて新たな調整池が設置された際、当該調整池の排水先であることを現地で確認しています。
 また、水質に係る地域住民からの要望を受け、本年10月、当該箇所の下流の直近の公共用水域で検査を行い、環境基準への適合性を確認しています。

(藤井とし子議員)
④住民の命にかかわる問題にもかかわらず、事業者も市もこれまで住民に対してまともな説明が一度も行われていないことに対して市はどのように考えておられますか。住民は知らなくてもよいと思っているのですか。

(環境局長)
 本市は、これまで、地域住民からの質問等に対し、適宜、説明や文書回答を行っているところであり、今後も引き続き、適切な対応に努めてまいります。
 また、事業者に対しても引き続き適切な住民対応に努めるよう、指導してまいります。

【再質問】
(藤井とし子議員)
 上安処分場について。出された申請それについては法的に問題がなかったという答弁でした。これは本当にそうなのかということをきちっともう一度調べて頂きたいんですね。
 この問題はもともと、3月に地元住民が説明会で保安林を法務局で記録されている地積、面積ですね、これよりも拡大し、保安林である矢口441これを法務局で記録されている地積よりもずっと拡大して、周辺の土地を含めて盛り土造成しているのではないかと指摘したからわかったわけです。指摘がなかったら今回修正を出していないということなんです。
 なぜこのことが今まではっきりできなかったのか。この間6回も拡張申請してきて、審査の中で確認できなかったのかということが非常に疑問なんです。現況地番図はとても重要で、土地開発行為の基本です。公有地、民有地及び買収地の境界を精査・確認して埋立面積なども出すのに重要です。この産廃処理量を算出するにも必要なわけです。それが全く間違って出されていた。地番図が全く違う状況になって出されていたいうことを、今になって修正、間違ってましたと出してきたわけですよね。なぜこういうことが起こったのか。これについての認識を伺います。

(環境局長)
 先ほど答弁しました通り、議員ご指摘のその現況地番図につきましては、処分場の場所の住所を表す参考図書として事業者が申請書に添付しているので、許可要件の審査に用いるものではありません。なお現在事業者からの報告を受け、参考図書の補正を行っているところでございます。

(藤井とし子議員)
 私もこの地番図を見せてもらいましたけれども、平成8年からすでに地番の改ざんをやっていたことになるんです。松一企画は1995年の平成7年に、同じようにこの処分場の一部で他人名義の土地を無断使用したとして、10月13日に不動産侵奪の疑いで社長が逮捕されています。
 そんなことをやっていると同時に、同じ山の中で同じ事をやっていたのではないかという疑問があるわけです。当時の中国新聞の記事によりますと、上安処分場は平成5年に県が森林法に基づく開発許可し、広島市の産業廃棄物の最終処分場として許可をした当時、近くの住民は県などに何度も連絡したけれども、民間同士のことと取り合ってくれなかったと。これに対し山林の開発許可をした県は、基本的には業者の提出した資料を信用するしかない、土地の境界線は所有者間の話で権限がないといい、市の当時の課長は提出された文書から、問題の場所は使用可能な土地になっていて、不動産侵奪と分からなかったと話しています。松一企画は、ここと同じ時期に同じことをこの処分場の南側でもやっていたことになるわけです。谷埋め盛土はおそらく松一企画が平成7年から8年に完成させて、それも地番図を変えて登記をしていたわけです。しかし、平成9年にも申請したのに、その正確なものがそれにも反映されてない。平成28年の図面にも反映されていない。そういうことを見過ごしているのでは、また同じことを繰り返すんではないかと思います。とりわけ、埋め立て盛り土の保安林じゃない所の地番をどんどん変えて、そこを埋め立てて、そのことをごまかすために行ったとしか思えません。
 引き続きこれもまた委員会でやりたいと思います。県と一緒にやっぱりもう一度調査をすべきです。この盛り土については、こうした不正を事前にチェックできるかどうかがとても重要なことだと思います。

3.中央公園の今後の整備方針について
(1)中央図書館について

(藤井とし子議員)
 広島市が令和7年度を目途に中央図書館と子ども図書館、映像文化ライブラリーを集約化し、広島駅前のエールエールA館内に移転する方針を検討していることについて、中国新聞でも市民の意見を紹介していましたが、賛否が分かれ、エールエールA館内の3フロア分でこれまでの中央図書館がはたしている役割が果たせるだろうかという疑問が出されています。
 中央図書館は市民の生涯学習の場と文化の拠点として、各区の図書館と違って、本の貸し出し閲覧業務などだけでなく現在地だからこそできる様々な重要な事業を行っています。例えば、自動車図書館です。毎日4台の自動車で市内17か所の図書館や71の公民館や集会所、児童館や院内学級などの本の定期的な入れ替えや、ともはと号などの巡回読書活動など本の物流拠点となっています。
 また、浅野家から寄贈をうけた室町時代からの約1万点の貴重な文献を浅野文庫として保存し、未来につなぐ重要な役割を果たしています。爆心地平和公園や広島城に近く、より理解を深めたいと図書館を訪れる人も多く、医療や介護などの専門的な資料や中小企業や起業したい人への情報提供で支援するなど、市民が利用しやすい市の中央という現在の立地条件を生かしその役割を果たしています。特に歴史的な蔵書や映像ライブラリーの資料については特別の温度湿度管理などが必要です。エールエールA館内へ移転して同じ機能が維持できるのでしょうか。
 広島駅の商業ビルに入れば周りがにぎわうだろうという理由だけで安易に移転を決めるのはあまりに拙速です。移転が今後40年50年将来にわたって続けていく大切な中央図書館の役割が果たせるかどうか、市民や現場の専門家も交えて、慎重な議論が必要です。改めてお聞きしますが、中央図書館の役割と目的はどういったもので、エールエールA館内のフロアに移転して本当にその役割が果たせると考えているのかお答えください。

(市民局長)
 中央図書館は、市民の教養等に資することを目的に、一般的な図書、資料の提供に加え、専門書や広島ゆかりの作家の作品、平和・原爆関係資料などを提供しています。また、本市全体の図書館資料の収集、整理や各区図書館等への集配を行うなど、本市の図書館全般を管理する役割を担っています。
 中央図書館等をエールエールA館に移転した場合には、より快適に読書できる閲覧スペースが確保できるだけでなく、開架書庫の増設や映像フィルム用の低温収蔵庫等の整備、各区図書館等への配送専の荷捌き場、図書運搬専用エレベーター等の確保も見込めることから、中央図書館の機能の大幅な充実・強化を図ることができると考えています。

(藤井とし子議員)
 移転ありきでなく現地建て替えも選択肢とすべきです。いかがですか。

(市民局長)
 現在の中央図書館は、老朽化が著しいなど多くの課題を抱えており、早急に建替を行う必要がありますが、現在地で建て替えるとすると、建替の期間中、本市全体の図書館資料の収集・整理や各区図書館等への集配等、中央図書館が有している機能を停止せざる得なくなります。
 それだけでなく、閲覧等の市民サービスを継続するためには、別途、臨時の図書館を用意する必要が生じます。こういったことを回避するために移転して再整備することとしたものです。

(藤井とし子議員)
 現在、中央図書館の指定管理者は、非公募で文化財団が指定管理者ですが、中央図書館などが移転するエールエールA館の10階では、ジュンク堂広島店が営業されています。全国で公立図書館の民間委託化をすすめたところがありますが、その多くは失敗して元に戻しています。図書館にとって司書など専門的な仕事を未来に継承していくためにも民間委託化はなじまない施設です。中央図書館の指定管理者は非公募を継続するべきと考えますがどうか。

(市民局長)
 中央図書館は、先ほど答弁しました通り、本市の図書館全般を管理する役割を担っており、また、平和・原爆関係資料など本市独自の資料の収集、整理、保存も行っていることから、これまで非公募で、専門的知識や豊富な経験を持つ職員を多く有する公益財団法人広島市文化財団を指定管理者としています。
 エールエールA館への移転後は、中央図書館が「『平和文化』を発信する拠点」となるよう、広島の歴史、文化、産業等の「広島らしさ」を学ぶための機能を強化することとしており、これまでの中央図書館の運営に係る専門的知識とともに、幅広い世代の利活用を促すための工夫が重要となってくるものと考えています。
 こうした視点に立って、利活用を促すための工夫が行えるようにすることを前提としつつ、引き続き非公募として取り扱うことが適当であると考えています。

【再質問】
(藤井とし子議員)
 中央公園についてですが、中央図書館については引き続き関係委員会でもやりますが、結局建て替える間が困難だからという理由を言われました。
 それなら建て替えの間だけでも、エールエールA館に行って、きちっと今のところにきちっと建て替えるということも考えられるのではないかと思います。
 できるだけ市民の声をしっかり聞きながら、慎重に決めていただきたいと思っています。

(2)ファミリープールについて

(藤井とし子議員)
 ファミリープールは、夏場の限定的な施設とはいえ、2ケ月で12万人が利用する市民から愛されている子どもの遊びの場として、かけがえのない施設です。
 ファミリープールの小人料金は340円、大人790円ですが、廿日市市の民間プールは土・日・祝日は就学前で900円、小学生は1600円、大人は2000円です。大人2人、こども2人の4人家族では1万円近い出費になります。安くて遊べる施設を、廃止するというのは賛成できません。ファミリープールは現地に建替え、こども図書館とともに、こども文化科学館と同一区域に残し、子どもの遊びと学びの場を一体的に保障すべきと考えますがいかがでしょうか。
 市は、ファミリープールの課題として、施設の老朽化に加え、来場者の駐車場不足、夏場の限定施設との課題を挙げていますが、そもそも老朽化は市が適宜に施設の耐震化や補修をしてこなかったからであり、理由になりません。来場者の駐車場不足ともいわれていますが、ファミリープールを紹介したインターネット上では、「交通の利便性が良い」となっています。駐車場がなくても利用できるということです。
 さらに、夏場しか使えない施設というのですが、プールなのですから当然でしょう。そのような理由で施設を廃止するなら、各小・中学校などに整備されているプールも廃止することになりませんか。ファミリープールは必要性のない施設とお考えなのですか、市の見解をお尋ねします。廃止のための理屈としか思えません。これまで、どのような検討がされてきたのかお聞きします。 今後、ファミリープールについては、市民の意見をしっかり聞いて施設の在り方を決めるべきではないでしょうか。今後は、令和4年3月に検討結果を取りまとめ、可能なものから順次、取り組みを開始するとしていますが、来年の3月に結論を出すというのは拙速ではありませんか。

(市長)
 藤井議員からの御質問にお答えします。「中央公園の今後の整備方針について」のうち「ファミリープールについて」の御質問がございました。
 中央公園については、令和2年3月に策定した「中央公園の今後の活用に係る基本方針」において、中央公園の理念として「にぎわいの空間」、「くつろぎの空間」及び「文化を醸し出す空間」の3つの空間特性を備えるものとし、周辺地区を含めた回遊性の向上にも留意しながら、老朽化等が進む公園内の公共施設の集約化等の検討をすることとしたところです。
 また、検討に当たっては、公園全体を「文化芸術ゾーン」、「こどもゾーン」などにゾーニングした上で、ゾーンごとに施設の特性や各施設の耐用年数、利用状況等を踏まえて機能・在り方の見直しを行うとともに、広島広域都市圏からの利用や都心のにぎわいづくりへの貢献といった観点も考慮しながら、市内全域を視野に入れた最適な配置を目指すこととしています。
 こうした中、ファミリープールは、昭和54年の開園から42年が経過し、本市としては、施設の老朽化はもとより、来場者用の駐車場不足、夏期のみの営業という効率性の低さ、といったことも課題であると考えていることから、他のプールとの役割分担の整理や民間活力導入の可能性を含め、抜本的な解決策を検討することとしたところです。
 こうした中央公園の整備については、これまでその基本方針の策定段階から市民の意見を聞いてきているところであり、個別の施設であるファミリープールについても、その方向性がある程度まとまった段階で改めてお聞きしたいと考えています。
その他の御質問については、関係局長から答弁いたします。

【再質問】
(藤井とし子議員)
 ファミリープールについてです。これも、まだ決めてないということだと思うんですが、一点だけ紹介しておきます。
 市議団に保育園の園長さんからメッセージが届きました。「毎年2ヶ月の間に合計10回園児を連れてファミリープール遠足をしています。申請すれば、私たち認可外保育園も引率者の入場料が減免され、本当に沢山の保育園や幼稚園が利用しています。広島市にも子どものことを少しは考えて欲しいです。」現在地での建て替え継続を改めて要望しておきます。

4.学校給食の見直し方針について

(藤井とし子議員)
 学校給食は、憲法と学校給食法に基づき、子どもの生存・成長・発達を保障するために、教育の一環として重要な意義をもっています。子どもの豊かな成長のために、「安全でおいしい」学校給食の充実を求める市民・保護者の声は切実です。この願いは、子どもをめぐる貧困が深刻さを増す中で、いっそう切実になっています。
 とりわけ、育ち盛りの中学生にとって、学校給食は必要不可欠です。本市は30年近く、デリバリー弁当給食を実施してきていますが、家庭からの弁当との選択制であり完全給食とは名ばかりで抜本的な改善が求められていました。これまで、日本共産党市議団は、中学校給食は自校調理や親子調理方式での早期実施を求めてきました。
 9月に出された学校給食の提供体制の見直しの方針は、中学校給食は今後5年間で全員給食化することに異議はありませんが、中学校での給食がセンター方式か自校調理方式かの議論もなく,市内の小中学校すべてを民設民営も含めて5か所の大規模給食センターに集約化するという内容であり、この方針には到底賛成できません。
 国も85年の合理化通知後の97年9月に保健体育審議会の答申で「学校給食を活用した食に関する指導を一層充実する観点から、学校栄養教職員が個々の給食実施校に配置され、これにより、児童生徒の実態や地域の実情に応じて、豊かできめ細やかな食事の提供や食に関する指導が行われることが望ましい。このような食に関する指導等が可能となるような単独校調理方式の移行について、検討していくことが望ましいとまで言っています。市が出されている見直し方針は、この答申が求める給食提供体制から逆行しているといわざるを得ません。
 安全で豊かな学校給食を実施するために、安全面と衛生面で行き届いた給食調理施設・設備を整備とともに学校ごとに調理場があり調理員の直接雇用をはじめ自治体が運営全体に責任をもつ自校・直営方式は、重要な意義をもっています。これまで議会の中で食育の重要性や、全国の給食の実情、子どもたちの最善の給食の観点から大規模なセンター給食から自校調理給食に戻した世田谷区や今治市などの自治体の取り組みなども紹介してきました。
 自校方式の給食の教育としての役割をどのように考えておられますか。今後自校調理の学校をどうされるつもりか。

(教育長)
 学校給食は、栄養バランスのとれた食事を摂るとともに、食事の大切さや感謝の気持ちなどを学ぶことができるほか、地場産物を食材に取り入れたり、広島の郷土料理や日本の伝統料理の献立にしたりすることで、食文化について学ぶことができるなど、食育を効果的に進める上で大きな教育的意義を持つものと考えています。
 全国の学校給食の提供体制については、直近のデータでは、校数ベースで自校調理方式が約40%、センター方式が約55%、その他の方式が約5%となっていますが、ただ今申し上げたような学校給食の持つ役割については、自校方式であってもセンター方式であっても違いはないものと考えています。
 また、今後自校調理の学校をどうするかとのお尋ねがありましたが、自校調理校については、9月に策定した「学校給食の充実に向けた給食提供体制の見直し方針」において、島しょ部と特別支援学校を除き、将来的には給食センター方式に移行することとしています。

(藤井とし子議員)
 教育の一環としての学校給食を実施するためには、栄養教諭(学校栄養職員)と学校給食調理員は専門職として重要な役割を果たしています。栄養教諭はアレルギー対応はじめ給食管理と食育を担っています。国の栄養教諭・学校栄養職員の配置基準では生徒550人以上の単独実施校で1名、それ以下の単独実施校は4校に1人の基準になっているため、本市の自校調理で提供している126校のうち64校に栄養教諭・学校栄養職員が配置されています。公設の給食センターでは、6001食以上で3名の栄養職員の配置が義務付けられ、五日市の旧来の2つの給食センターには、合わせて4名の栄養職員がいました。ところが民間会社が新たに建てた民設民営の給食センターは、国の栄養職員の配置基準がありません。そのため、市が独自に3名の栄養職員を配置しましたが結局3人に減らされたことになります。
 五日市の給食センターに続いて可部の給食センター化も民設民営で始めようとしています。
 今後、給食の提供体制の中で、栄養士の配置についてどう考えているのかお答えください。

(教育長)
 栄養教諭は、学校給食の統一献立の作成を分担して行ったり調理過程における衛生管埋を行うとともに、学校教育における食育推進において中心的な役割を担っています。
 民設の五日市地区学校給食センターについては、国の義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律)の対象外となりますが、献立作成や給食センターの受配校における食育の推進など栄養教諭の果たすべき役割を担うために必要な人数として3名を配置しています。
 今後も見直し方針に基づく取組を進めるに当たっては、同様の考え方で必要な体制を整備してまいります。

(藤井とし子議員)
 自校調理給食かセンター給食かでは栄養教諭の配置など教育的可能性から言っても大きく異るにもかかわらず自校調理方式かセンター方式かの給食の提供方式は市がきめると、市民や保護者の意見を聞こうとしない市の姿勢自体が問題です。
 保護者や市民の意見を聞くこともなく、自校調理方式をやめることは、コストには代えられない より良い給食の提供に市が責任を果たすことにならないのではありませんか。センター化の方針を決める前に自校調理かセンター給食か改めて子どもや保護者の意見を聞くアンケートを実施すべきです。どうされますか。

(教育長)
 今回の見直し方針の検討に当たっては、児童生徒や保護者等の学校給食に対するニーズを勘案することが重要であることから、現在の給食内容に対ずる評価や、学校給食に期待する点などについて意見を聞くため、平成30年度に小・中学校の児童生徒、保護者等約2万人を対象に「学校給食に関するアンケート調査」を実施し、その結果を踏まえ検討を進めてきたところです。
 学校給食をどのように提供するかといった手法に関する部分については、経費面や衛生管理面など総合的な観点から設置者において責任を持って判断すべきものと考えており、今後、改めてアンケートを実施する予定はありません。

【再質問】
(藤井とし子議員)
 給食について。学校給食の見直し案を見せてもらいましたが、今小学校、中学校、特別支援学校含めて206校あるうち、126校が調理室を持って、自校調理給食をやっています。
いずれそれを全部センターにするという、重大な方針だと思います。デリバリー給食の課題の中で調査した結果が書いてありました。デリバリー給食はやはり味が良くないと言ってるのが27%、温度管理も。自校調理は味は1%が良くないと。センターでは味は3%。デリバリーを除いたら自校調理の方が味もよく温度管理も良いというのが、生徒のアンケートです。デリバリーは除いてですけれども、残食率もデリバリーは21.7%、自校は2.4%。10倍もあるんです。それでもセンター化を決断されたということで、私は驚くんです。
 教員のアンケート、食育の役割を果たせているかという点では、自校調理と先生が答えてるのが94%もあるんです。給食センターは70…8%これは味のことですね。味評価で自校は一番評価が高いんです。残食率も一番少ない。センターの1/3ですね。教員のアンケートでも、やはり給食の食育の役割を果たしている自校調理の評価が高い。こういうまとめを出しておきながら、自校調理方式をとらず全部センター化にするという結論が出るのが本当に不思議です。
 なぜ中学校給食が自校調理を原則にして、どうしても困難なところはセンター、一時的にセンター化とする方針としなかったのか再度お聞きいたします。

(教育長)
 以前行ったアンケートの結果もご紹介をされながら、これを見てなぜセンター方式としたのかというようなお尋ねだったと思います。
 平成30年のアンケートでやった結果として今数字のご紹介もありましたけど、明らかになったことは、やはりデリバリーは大きな課題を抱えているということが明確になったという風に認識をしております。
 このアンケートから得られた、デリバリーの課題があるということ、また給食調理場について本当に多くがもう老朽化して、ここ10年20年のうちには建て替え時期が一斉に来るというような状況がありまして、そこに対応していく必要もございます。
 また文部科学省の方が出している給食の安全基準、これも望ましい水準ということで見ると、なかなか個々の自校調理の中ではそこまで行き得てないというところもあります。
 こうしたいろんな課題を総合的に解決する方策として、何が一番良いか経費面も含めまして総合的に検討した結果として今の見直し方針をお示ししたものです。

(藤井とし子議員)
 給食については、それは納得できるものではありませんので、また議論をしていきたいと思っております。最善の給食をやはり将来にわたって決めるわけですから、もっと議論してほしいと思います。

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