議会での質問・答弁

2020年06月24日

2020年第4回 6月定例会 厚生委員会 きせ康平議員

3.黒い雨降雨地域拡大について 

(きせ康平議員)
 最後に黒い雨の降雨地域の拡大について聞いてまいります。まず初めに、政府の想定する今の黒い雨の降雨地域については今のままでいいのかそれとも拡大させるべきと考えているのかお答えください。

(調査課長)
 本市はかねてより黒い雨降雨地域拡大について要望してきており、昭和50年には黒い雨降雨地域の全域いわゆる大雨地域と小雨地域を被爆地域とするよう国に要望し、昭和51年にはその地域の一部である大雨地域が健康診断特例区域に指定されました。この区域指定は一部地域に止まったということから、本市では小雨地域を含む黒い雨降雨地域全域を健康診断特例区域に指定するよう、昭和52年以降、国に要望をしております。
 また、科学的合理的根拠が必要との国の基本方針も踏まえ、平成20年以降大規模な調査を実施し、黒い雨は従来言われていた範囲よりも広く降った可能性が示唆されたことから、その結果をもとに、国に対して要望を行ってまいりました。
 さらには平成22年度以降、平和宣言においても黒い雨降雨地域の拡大を訴え続けているところでございます。

(きせ康平議員)
 拡大させるべきだとしていたからこそ、今もご紹介いただきましたが、松井市長も就任以来一貫して毎年平和宣言で要請しています。
 また、さかのぼると広島市では2008年から9年にかけて県と協力して大規模調査を行い、今ご紹介いただきましたけれども、その未指定地域住民の、被爆者に匹敵する健康不良状態にあるという報告書を作成して、翌2010年には県とまたその他の降雨地域内の3市5町の首長名義で国に要望書を提出しました。しかしその後、要望書は政府から切り捨てられてしまいました。これを受けて黒い雨の被害者の方々はやむなく法に基づく救済を求めて2015年11月に広島地裁へ提訴しています。
 裁判の手続き上、被告は広島市と広島県になっているんですけれども、実質的な被告は国・厚生労働省になります。原告は今88名もの人数になりますが、現在ではそのうち14名の方がもう亡くなってしまっています。まさに命をかけてたたかっている裁判です。この判決が被爆75年の今年7月29日に行われます。
 そこでお聞きします。7月29日の判決が仮に原告勝訴となった場合、国が何を言ってこようとも上告せずに、県と協力して国を説得し、解決すべきと考えますが、市としてどう対応するかお答えください。

(援護課長)
 被爆者健康手帳等の審査は、地方自治法に規定する法定受託事務であり、都道府県及び広島市・長崎市が国の委託を受け、現行の法律や政令等に基づいて事務を行っております。したがいまして判決後の対応につきましては、国や被告である広島県と協議した上で判断することになると考えています。

(きせ康平議員)
 国と県とで判断するという形になるんですけれども、この間の原爆症裁判においては、原告が勝訴しても国が控訴するということが続いてるんです。そんな中で広島市はかつて画期的な判断をしているんですね。
 これが2009年の3月25日広島地裁で判決が行われた3号被爆者裁判になるんですけれども、この裁判では原告が勝訴したのですが、その際の市の対応をご説明ください。

(援護課長)
 本市は原告勝訴の判決を受けて、控訴しない方向で検討を進めた上で国と協議を行いました。その結果、国は、本裁判は被爆者への救護活動に対する原告の被ばく状況の事実認定が争われたものである為、控訴するか否かは実際の判断でよいとの見解が示されたことから、本市は最終的に控訴しない事と致しました。

(きせ康平議員)
 いま答弁いただいたように、上告せずにその場で認めて、原爆症認定証(※原爆手帳)を発行したっていう形なんです。
 3号被爆者のこの規定は、1号・2号では救われない被爆者の方々を広く救うものであって、この時の市の対応というのは本当に多くの被爆者に勇気と安心を与えるものとなったんです。
 ぜひこのたびの裁判も、同じ3号被爆の問題で改めて上告(※原告)が勝訴となった際には、再度多くの方々に勇気と安心を与えるような対応をとっていただきたいということを強く要望して質問を終わります。