議会での質問・答弁

2020年03月20日

2020年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議案討論 中原ひろみ議員

おはようございます。
日本共産党の中原ひろみです。日本共産党広島市議団を代表して令和2年度第1回広島市議会定例会に上程された議案について討論をします。
反対する議案は、
第1号議案 令和2年度 広島市一般会計予算 及び修正案
第9号議案 令和2年度広島市後期高齢者医療事業特別会計予算、
第10号議案 令和2年度広島市介護保険事業特別会計予算、
第11号議案 令和2年度 広島市国民健康保険事業特別会計予算、
第12号議案 令和2年度 広島市競輪事業特別会計予算、
第16号議案 令和2年度 広島市開発事業特別会計予算、
第29号議案 広島市中央卸売市場業務条例の全部改正について、
第34号議案 広島市国民健康保険条例の一部改正について、
第47号議案 広島高速道路公社定款の変更に係る同意について
の9議案です。残りの39議案は賛成です。

 第1号議案、広島市一般会計予算について反対する理由を述べます。
 昨年10月、消費税10%増税で家計消費の低迷が続いています。零細な商店は、複数税率に対応するレジの更新コストが負担できないと廃業した事例も少なくありません。新年度予算では、そのような深刻化する市民の暮らしを応援し、地域経済を守る予算が期待されました。
 しかし、14万人もの高齢者が利用していた高齢者公共交通機関利用助成事業を8月で廃止するだけでなく、幼児教育・保育の無償化により浮いた32億円もの財源が、子ども医療費補助の年齢拡大や、一部負担の軽減などに使われなかったことは、大変に残念なことです。
 例えば、子ども医療費補助の対象年齢を現行制度のまま、通院を中学3年生まで拡大するのに新たに必要となる財源は、約12億円です。保育料の無償化で浮いた32億円で十分に実現できます。財源はあるのに拡充しないのは、子どものために予算を使う気がない「冷たい市政」だということを示すものだと言わねばなりません。

 行政経営改革推進プランでは、「広島市の将来の発展のために、聖域なくあらゆる経費を見直し、社会保障のための義務的な支出と将来の発展に必要な施策に取り組むためのバランスをとる」としていますが、やろうとされていることは、就学援助の適正化など市民予算の一層の削減です。それとは対照的なのが巨大開発です。
 広島高速5号線トンネル工事は、談合疑惑が解明されないまま87億円の事業費を増額しただけでなく、凍結されていた高速5号線と高速2号線をつなぐ連結路整備を復活させ、新たに167億円の事業費を追加しました。国道2号線高架延伸事業も、事業費が1.4倍へと膨れ上がりました。広島駅南口広場の再整備事業は155億円、サッカースタジアム建設には230億円、西風新都アストラムライン延伸には570億円など大型事業が目白押しですが、財源は大丈夫なのでしょうか。
 令和2年から令和5年までの財政収支見通しでは4年後には約82億円の税収が増えるとの見通しになっていますが、これは消費税増税による景気悪化を考慮しない甘すぎる見通しです。
 加えて、新型コロナウイルスによる感染拡大と感染防止対策で日本も世界経済も大打撃を受けています。そのような状況のもと、市の財政収支見通しは崩れかねません。
 新型コロナウイルスの終息が見えないなか、賑わいとか活力のためとして、開発を優先させるべきではありません。
 広島市の将来の発展のためというなら、今は、不用・不急の巨大開発を凍結し、この財源を、感染症対策のための医療や保健所の体制強化、衛生資材の確保、何よりも未来を担う子どもの健全育成のための児童館整備、放課後児童クラブの環境改善と指導員の処遇改善、中学校への自校調理室の整備など、子どものためにもっと予算を使うべきです。
 コロナ不況・コロナ災害ともいえる事態となっている今、自治体に求められることは、各種イベントの中止や観光客の激減などで、経営不振に苦しむ中小零細業者などの実態調査とともに、学校休校による給食中止で食材を納入していた業者への損失補償をはじめ、長期の自宅待機により子ども達は、大きなストレスを受け、夜泣きする、うなされる、寝付けないオネショなど精神的な影響が出ています。子どもたちの健全育成のためにも学校の再開が求められます。
 国が、臨時休校で仕事を休んだ保護者などに休業補償する助成金の申請受付を始めていますが、予備費の枠内での緊急対策であり、国民生活を防衛するには不十分です。国だのみや国待ちでなく、家計と中小企業を助ける自治体独自の各種支援策を早期に具体化し、財政措置を図るべきです。
 何にもまして、暮らしと景気を支えるため、消費税を5%に引き下げる緊急減税を国に強く求めていただくよう要望します。

 次は、第16号 広島市開発事業特別会計予算
第47号 広島高速道路公社定款の変更に係る同意について一括し反対理由を述べます。
 広島高速5号線二葉山トンネル工事は、非常識な契約に対する談合疑惑が解明されないまま、第三者委員会の報告を隠れ蓑にして、87億円もの事業費の増額を認めただけでなく、凍結されていた高速2号線と高速5号線を連結する連結路整備費を突然に復活させ、167億円もの事業費を増額しました。まさに便乗増額です。
 開発の為なら「なんでもあり」という状況です。このような広島市政を見て、自治体は何のためにあるのか、誰のためにあるのか、と怒りを感じるのは私一人でしょうか。
 200万人広島都市圏構想のもと連携中枢都市宣言を錦の御旗に、開発優先の市政を進める議案には賛成できません。

次は第9号、後期高齢者医療事業特別会計予算
第10号、介護保険事業特別会計予算
第11号、国民健康保険事業特別会計予算
第34号 国民健康保険条例の一部改正について、反対の理由を述べます。

国は、社会保障分野の給付減と負担増を全世代に強いる全世代型社会保障改革を打ち出しています。その最大の標的は医療や介護分野です。後期高齢者医療は保険料が引き上がっただけでなく、窓口負担の1割から2割への引き上げも狙われています。
 国保も、国の要求に従い県単位化後の6年間で法定外繰り入れを廃止しようとしていることは問題です。新年度は、国民健康保険料と介護納付金の年間の限度額が96万円から99万円へと3万円引き上がります。
 高額所得者に保険料の負担増を求めることは理解できますが、最高限度額を負担する所得水準が低いことが問題です。夫婦2人、子ども2人の4人家族の場合、総所得が718万円をこえると最高限度額の99万円を保険料負担します。所得の14%もの負担は、サラリーマンの健康保険料と比べ倍近い負担になっています。最高限度額が適用される所得水準を引き上げることが必要です。
 高すぎる国保料を引き下げるために、国に対し、国保会計へ公費投入を増額するよう求めるとともに、広島市独自に、子どもの均等割りを廃止し、子育て世帯の保険料負担を軽減されるよう求めておきます。

 介護保険制度も改悪が繰り返され、国家的詐欺と言われるまでに介護の危機は深刻化しています。20年度末には、介護サービス利用料の一割負担の世帯に設けられてきた年間負担上限額44万円は廃止されます。また、施設入所者の食費・居住費の負担も増えます。住民税非課税世帯で本人の年収が120万円を超える場合、自己負担が2万2千円増え、食費・居住費・サービス利用料・保険料を合わせると月に8万2千円の負担となり年金収入のほとんどを施設利用費に充てることになります。このような負担増は、高齢者にも支える現役世代にも痛みをおしつけるものです。
 国に対し、障害者が65歳になった途端に、介護保険サービスに強制的に移行させられ、低所得障害者の利用料が発生する、障がい者総合支援法の介護保険優先原則を廃止するよう強く求めていただくよう要望しておきます。

 次は、第12号議案競輪事業についてです。
競輪は、ギャンブルの一つです。ギャンブル依存症を増やすことにつながりかねない事業を公共が推進すべきではありません。

 第29号議案 広島市中央卸売市場業務条例の全部改正についてです。
 この中央卸売市場業務条例の全部改正は、国の規制改革推進会議が打ち出した「総合的なTPP関連政策大綱」に基づき、国が2018年6月15日に市場法を改定したことに伴うものです。

 広島市が提案している全部改正条例は、規制緩和を目的にした国の改正市場法に沿うものになっています。
81条あった条文は26条の条文へと圧縮され、「セリ人の登録は廃止」となり「届け出制」に、「市場外の物品の卸売禁止」も廃止されます。
 特に、現行の広島市中央卸売市場業務条例が、第41条で禁止していた卸売の相手方の制限、つまり卸売業者が仲卸業者以外に販売することを禁止した「第三者販売禁止の原則」がありません。第三者への販売の自由化が進めば、大手が良いものを買い占め、小さな業者はほしいものが変えなくなり商売ができなくなります。
 さらに、卸しの第三者販売は、市場そのものが大手スーパーの利益を優先する場になり、産地と大手スーパーの直接取引などで、「大根1本1円」とか「キャベツ1個1円」などと特売日に合わせた買いたたきの不利益も懸念されます。品質と需要でなく、仕入れや販売力の高い大手との力関係で価格が決まっていくのでは市場の信頼はなくなってしまいます。
 そもそも、国の市場法改正の狙いが、市場でセリをしない、市場に仲卸売業者がいない、市場を物流センターにすることで、自治体が持っている広大な市場用地と施設を民間企業に委ねることにあります。市場の機構をなくし、卸売市場の公的役割を後退させる条例には賛成できません。

 最後に第32号議案 広島市障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例について意見を付します。
 この条例制定は、障害を理由とする差別を解消し、障がいのある人も、きちんと人権を尊重されながら地域で暮らせる社会を実現するうえで、大きな前進であり重要な条例です。
 その意味から、事業者に対しても、障害者の社会的障壁を取り除くための合理的配慮が義務規定となるよう見直しを求めておきます。

TOPへ