議会での質問・答弁

2018年06月22日

2018年第2回 6月定例会 一般質問 近松さと子議員

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2018年6月22日
【質問項目】
1、核兵器廃絶に向けて
2、かき船について
3、高齢者公共交通機関利用助成制度について
4、国民健康保険について
5、子どもの貧困対策について
6、会計年度任用職員について
7、基町住宅団地について
【発言動画】
YouTube 広島市議会動画チャンネル 平成30年広島市議会第2回定例会


核兵器廃絶に向けて

(近松さと子議員)
 日本共産党近松さと子です。市議団を代表して一般質問を行います。
 最初に核兵器廃絶について、米朝首脳会議に関連してお聞きします。
 6月12日、シンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)国務委員長が史上初の米朝首脳会談を行いました。「朝鮮半島の完全な非核化」と「北朝鮮に対する安全の保証の提供」を米朝が相互に約束する共同声明に署名し、朝鮮半島の平和体制の構築に向けて協力する「新しい米朝関係」を確立することを表明しました。
 日本共産党は、長年にわたって厳しく敵対してきた米国と北朝鮮が、初の首脳会談を行い、非核化と平和構築をすすめ、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意したことに対して、心からの歓迎を表明するものです。
 朝鮮半島で軍事的な衝突が起きれば一番被害を受けるのは韓国と日本です。対話による問題の平和的な解決こそ真の道であり、戦争しないために知恵と力を尽くすのが政治の責任であることを示したといえます。
 被爆者団体は、6月14日に開かれた定期総会の中で「米朝首脳会談が確認した朝鮮半島の非核化への前進を期待する」という特別決議を上げ、非核化と平和体制構築のスタートに向けて具体的な努力を求めています。朝鮮半島非核化と核兵器禁止条約は合致するものであり、両国に賛同批准することを呼びかけました。
 改めて訴えるべきは、核兵器を脅しの道具に使う軍事的威嚇に勝者はいないということです。そもそも、核兵器を持って他国より優位に立とうという核抑止論にしがみつく国があるから、決して認めることはできませんが、北朝鮮のように体制を保証するための自衛として核保有に走る国が出てくるといえます。核兵器を禁止しその廃絶に踏み出してこそ、すべての国の安全を保障することができます。
 今後、開始される非核化と平和のプロセスが成功をおさめるならば、北東アジアの情勢を一変させる可能性があります。日本が核兵器禁止条約の不参加の理由としてきた「北朝鮮脅威論」も問われてきます。北東アジアで核兵器のない世界の流れを強めるよう力を尽くすのは、日本自身の安全の保障のためでもあり、唯一の被爆国としての役割です。
 そのために、被爆地の市長として、あらためて日本政府に核抑止論から抜け出し、核兵器禁止条約に署名するようにもとめるべきではありませんか。

(市長)
 近松議員からのご質問にお答えします。「核兵器廃絶に向けて」についてのご質問がございました。
 人類史上最初の被爆都市である広島は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という思いを根底に据え、核の抑止力に頼る政策と核兵器がこの世からなくなることを願い、訴えなければならないと考えています。
 このため本市としては、被爆地・広島にしかできない役割である「被爆者の体験をベースにした平和を思うヒロシマの心を内外の市民社会に発信し、共通の価値観としてもらうよう努力を重ねること」を根底に、様々な取組を進めています。
 また、こうした取り組みは、被爆者の平和への思いが市民社会共通の価値観となり、市民社会の総意としての平和への願いが核保有国やわが国を含む核の傘の下にある国の為政者に届くようにすることが重要であることから、世界で約7,600の都市が加盟する平和首長会議と一体となって、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 核兵器禁止条約の早期締結についても、平和首長会議において行動計画の重点取組事項に位置付けて取り組んでおり、国内加盟都市会議から日本政府に対し、本気になって核保有国と非核保有国の橋渡し役としての行動を起こすとともに、実効性のある核兵器禁止条約となるよう力を尽くすことを要請しています。今後とも、同条約の早期締結に向けて、加盟都市と連携し、取り組んでいきたいと考えています。

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かき船について

(近松さと子議員)
 次に、かき船「かなわ」について質問します。
 かき船「かなわ」は、世界遺産「原爆ドーム」のバッファゾーンの中でも、景観に重要な役割を持つ元安川の水面に設置されました。そのため、世界遺産の価値を損なうものであると撤去を求める市民の声があり、裁判にもなっています。本来、元安川は市街化調整区域内のために都市計画法の開発許可を受けないと建築物は建てられません。
 そのため市は、かき船「かなわ」は建築物ではない、船だと主張してきました。しかし、設置されてから3年近く、一度も、実際に動かして見せたことはありません。
 これは、かき船文化を守るということを名目に一民間業者の利益を優先した開発行為であり、世界に対して広島市の信頼を裏切るものです。そこで、改めてお聞きします。
 3月の予算特別委員会で、我が党の中森議員が、かき船「かなわ」と同じく台船の上に1階建ての建物を建てている東京の天王洲運河の水上レストランの場合は、船の法律とともに建物の法律も適用されており、かき船「かなわ」も船舶安全法だけでなく建築基準法も適用し、建物の安全に市が行政としての責任を果たすべきだと質しました。
 それに対して市の答弁では、かき船「かなわ」は、取り外し可能なロープや碇で係留され、桟橋や給排水などのインフラ設備についても、容易に着脱可能な構造だから「随時かつ任意に」移動可能であり、自力では動かないが引っ張れば今の位置から動かすことができると述べました。
 さらに、東京の例は動かさないのが前提の設置のしかたになっているから建築基準法が適用された例であり、広島のかき船「かなわ」とは違うと述べました。
 そうなると、この問題の根本は、動かすのが前提なのかどうかです。動かないものは建築物であるということです。それならば、かき船「かなわ」は動かすのが前提になっているのでしょうか。繋留ポストにつないだままで動かさずに営業することが前提で、元安川の中に設置されているのではありませんか。 それなら、東京の水上レストランと同じですから、建築基準法を適用する必要がありますがどのようにお考えですか。

(指導担当局長)
 建築基準法では、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの」と定義しており、かき船「かなわ」が建築物に該当するか否かについては、これが定着しているかどうかということになります。
 ところで、かき船「かなわ」は、桟橋や給排水等のインフラ設備と接続していますが、容易に着脱できる構造となっています。また、かき船本体は、取り外し可能なロープや碇を備えており、これによって係留されています。さらに、満潮時には浮き、移動が可能な状態になります。したがって、過去の定着性の有無を争点とした判例などからしても、随時かつ任意に移動が可能であり、土地に定着するものではないと判断しました。
 
(近松さと子議員)
 平成元年1月19日付の建設省住宅局建築指導課長通知「海洋建築物の取り扱いについて」で、「従来より、建築基準法第2条に言う『土地に定着する』状態とは、水面、海底等に定常的に桟橋や鎖等で定着された状態も含むものであるとの判断が確立しており、このような状態にある工作物に対しても、その使用実態に即して建築基準法が適用され、建築確認等の必要な手続きが行われてきた」と述べています。
 すなわち、インフラ設備などが容易に取り外し可能であっても、動かすことを想定していないなら「土地に定着している」状態ですから建築物であるということです。
 広島市は、本当は、建築基準法を適用しなければならないのに、解釈を曲げて船だと言い張り、都市計画法の適用を免れようというのではありませんか。明確にお答えください。

(指導担当局長)
 都市計画法における市街地調整区域内の建築に係る許可の規定については、このように建築基準法における建築物に該当しない、かき船「かなわ」には、当然、適用されないこととなります。

(近松さと子議員)
 そこで、実際に、かき船「かなわ」を動かすことについて考えてみました。かき船が川底からわずかでも浮き上がることができるのは、大潮などのときの満潮時の前後1時間程度です。
 動力がありませんから、移動するためには別の大きな船で引っ張るしかありません。そのような船が元安橋や平和大橋の下をくぐってかき船「かなわ」のところに来ることができるのは川の水面が低い干潮のときだけです。しかし、干潮のときはかき船「かなわ」は川底についたままです。つまり、別な船で曳いて動かすということは困難です。これでは、到底「随時かつ任意に」移動することなどできないではありませんか。
 そうなると「かなわ」は違法建築物であり、それを免れるために広島市行政が脱法行為をやったのではないかという重大な疑惑が生じます。
 「随時かつ任意に」移動するというなら、動かして見せてください。広島市行政の信頼がかかっています。どうするのか明確にお答えください。

(指導担当局長)
 かき船「かなわ」は、中国運輸局による検査に合格した船舶安全法に基づく係留船です。したがって、係留船は係留に用いているロープや碇を解き、また、給排水のインフラ設備を取り外し、桟橋を離れることで移動できるようになります。
 したがって、かき船が随時かつ任意に移動が可能であることの確認については、現状をもって足りていると考えております。

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高齢者公共交通機関利用助成制度について

(近松さと子議員)
 日本共産党市議団は、今年の1月から3月にかけ市政へのアンケートに取り組み、3,029名の市民から回答をもらいました。その中で、高齢者公共交通機関利用助成制度について意見を聞いたところ、最も多かったのは、元の6,000円に戻すべき48%、3,000円で残すべきは19%、もっと増額すべきは13%、合わせて存続拡充を求める意見が8割を占めています。廃止してもよいと答えた方は13%でした。
 寄せられた意見の一部を紹介します。「交通弱者の切り捨ては絶対反対です。私は、85歳でも元気でボランティア活動をしていますが、交通費助成金受給者を犠牲にしてまで、ポイントはほしくはありません。自動車の運転も出来ず、外出もままならぬ方々こそ、恩恵を受けるべきです。いずれみんな弱者になります。優しい市政を求めます」
 また、別の市民は「助成金が減額されたら、高齢者はますます外出しなくなり、病院の通院も困難になり、健康寿命も下がります」
 さらに「交通費が高く、病院に通うときに心細くなる。高齢者の福祉がよいと感じない」という意見もありました。
 このように、高齢者の交通助成制度の助成額の削減について反対の声がたくさん寄せられました。市は、いきいきポイント事業に移行してこれまでの高齢者公共交通機関利用助成制度は廃止するという市の方針について、市民に理解されているというお考えでしょうか。

(健康福祉局長)
 高齢者公共交通機関利用助成については、これまでの市議会における説明や議論を経たうえで、高齢者いきいき活動ポイント事業に移行することとし、その意向を促進するために、当面交通費助成を半額とすることとして、地域団体説明会や市民説明会を開催するとともに、昨年8月のポイント手帳送付の際や本年5月の制度案内のチラシ送付の際に説明するなど、あらゆる機会を捉えて高齢者の方に周知してきたところです。
 したがって、昨年9月の制度開始語、活動団体の登録数は、1万件を超え、高齢者からもすでに8千件を超えるポイント手帳が提出されているのは、高齢者いきいき活動ポイント事業の導入から周知まで一貫した説明を行ってきた成果であり、多くの市民にご理解いただいているものと考えています。

(近松さと子議員)
 そもそも、この制度ができた当時、多くの自治体で公共交通機関の利用を自由にできる敬老パス制度がつくられていました。広島市でも、敬老パスを実現してほしいという運動が広がり、8,000円余りを補助する制度が実現しました。
 全国を見ると、東京、札幌、仙台、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡など、多くの大都市で一部負担があるものの、敬老パス制度などが継続しています。
 今議会に対して、高齢者の団体が、改めて敬老パス制度を念頭に、公共交通費助成制度の拡充を求める請願もだされました。老人福祉法は「老人は多年にわたり、社会の発展に寄与してきたものとして、かつ、豊富な知識と経験を有するものとして敬愛されるとともに、生きがいをもてる健全で安らかな生活を保障されるものとする」とうたっています。
 この福祉法の精神にそって、他都市で実施している敬老パス制度を求める声について、市としてどう受け止められますか。

(健康福祉局長)
 敬老の想いをこめた事業の創設については、少子高齢化の一層の進展が見込まれる中で、その必要性や費用対効果の観点から、慎重に考える必要があると考えています。
 
(近松さと子議員)
 この問題の最後に、交通政策の観点で高齢者の交通費助成についてお聞きします。
 アンケートには「母に免許証を返上するよう勧めています。山の上に住んでいます。車がないと不便なので、公共交通利用助成額を6,000円に戻してほしい」という声がありました。今、高齢者による事故が増加し社会問題にもなり、運転免許証を返納するか迷っている方がたくさんおられます。
 しかし、車なしでは買い物も通院も困難な地域で暮らす高齢者にとっては、免許証を返上すれば、たちまち日常生活に支障が生じます。
 そのため、広島市は、団地などを走る乗り合いタクシーなど地域交通の普及を進めていますが、その際、高齢者は公共交通利用助成制度を利用することができます。
 全国で、車がなくても団地で住み続けられるように公共交通手段の確保と同時に交通費助成を新たに始める自治体が増えています。前橋市は、免許証の返納をすればタクシー券を出す事業を始めました。
 こうした交通弱者の高齢者への交通費助成の役割や意義についてどのように考えておられますか。

(健康福祉局長)
 高齢者が交通弱者であることに着目した交通費助成については、あらゆる年齢層にわたって交通弱者が出現することになる地域における生活交通の確保が、まちづくりの重要課題となる中での考慮要素ではありますが、公共交通政策の一環として取り組むべきものと考えています。

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国民健康保険について

(近松さと子議員)
 市民アンケートの回答にも、国民健康保険料が高すぎて払えないという声が書き込まれています。
 非正規労働者は、「年金保険料と国民健康保険料で収入の1/4を支払うのは正直きついです。家賃を払うと食費と水光熱費でほぼ残りません」
 年金生活の人は「年金生活で高い保険料を払って、病院にかかれば支払いがある。毎月厳しい」
 定年退職したばかりの人は「高すぎる、恐ろしいくらい。現役の時よりも高くなった。介護保険料もあり、無茶苦茶だ」と悲鳴の声をあげています。アンケートに答えた人のうち、これ以上の引き上げは困ると2,117人81%が答えています。
 6月11日、広島市から国保加入者へ今年度の保険料の納付書が送られました。非正規労働者や年金生活の高齢者が加入する国民健康保険は、所得が低いのに高すぎる保険料が、さらに暮らしを追い詰めています。
 市は、高くて払えない保険料を引き下げるのではなく差し押さえなど滞納世帯への制裁強化をすすめています。
 今年から市町が運営してきた国保事業に県が加わり、財政運営を握りました。国のねらいは、医療費を削減するためストレートに加入者の痛みとして保険料に跳ね返るようにすることです。
 そのため、市町が独自の保険料軽減のためのおこなってきた一般会計からの赤字補てんの法定外繰り入れを解消するように自治体に迫り、本市もこれに従い、繰入をなくす計画を作成しました。
 一方、初年度である今年は、全国で高い保険料の試算が示されて、あわてて国は法定外の繰り入れを維持し、保険料の値上げを抑えるよう促しました。
 そうした中で、今年の一人当たりの保険料額は2018年(平成30年)度117,643円と前年比1.5%の引き上げになったとしています。
 モデル世帯の保険料を見ると給与収入500万円、360万円の単身者は、所得割が減ったので前年より下がっています。 一方、給与収入360万円の子どものいる4人世帯や年金収入200万円という夫婦世帯の保険料が上がっています。
 これは、2014年(平成26年)度の計算方式の変更で4年間段階的に設けられてきた激変緩和策がなくなったためです。以前の市民税方式では、子どもなど扶養家族や障がい者など加入世帯の構成に応じて控除がなされ、保険料の軽減がなされていました。
 こうした世帯の事情に配慮した軽減がなくなり、値上げになっています。
 そこでお聞きしますが、今回、所得の高い世帯は保険料が下がったのに、低所得世帯・子育て世帯などの保険料が上がったことについてどのように受け止めておられますか。

(健康福祉局長)
 保険料の算定方式の「市民税方式」から「所得方式への変更は、税制改正による所得控除等の見直しに伴い保険料に影響が生じないようにする趣旨で行われたものであり、必要な制度改正であったものと認識しています。
 しかしながら、算定方式が変更になることで、保険料が大きく増加する世帯があることから、そうした世帯に対しては、段階的に保険料を引き上げることを目的に、一定期間の激変緩和期間を設けたものであり、その激変緩和期間が終了することで、保険料が上がることになったものと承知しています。

(近松さと子議員)
 とりわけ、子育て世帯は高い保険料を負担しています。給与収入400万円の子育て4人世帯は、協会けんぽの保険料では約20万円ですが、国保では約40万円と2倍の開きがあります。
 子どもが増えれば世帯の人数に応じて保険料が上がる応益割という国保独自の仕組みによるものです。所得に応じて保険料が決まるサラリーマン等の加入する健康保険では考えられません。
 あらためてお聞きしますが、同じ収入でも子どもが多いほど保険料が上がる国保加入の子育て世帯の負担についてどのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 国保は、応能・応益の負担によって、お互いを支えあう相互扶助の制度であり、被保険者は、所得割保険料のほか、被保険者均等割、世帯平等割による保険料を負担することとされています。
 子どもについての被保険者均等割は、応益負担によるものですが、子どもが増えれば、その家庭の生活費自体も増加することから、その負担を軽減するために、保険料が軽減されるようになっています。また、この軽減は、平成26年度から5年連続で拡充されています。
 本市においては、県の国民健康保険運営方針で示されている、所得割、被保険者均等割、世帯平等割、の負荷割合に対し、子育て世帯の生活費負担軽減という観点から、当分の間、子育て世帯に配慮した付加割合とすることにしているところです。

(近松さと子議員)
 これまで、市としての独自軽減の実施をもとめてきたところですが、市は、県単位化したため県内の自治体すべてが同じルールでおこなうべきという考えを示され、独自の軽減に背を向けられています。
 一方、県内では福山市が、国の実施する低所得者の保険料減免を受ける世帯の子どもについて、二人目から均等割りを2割軽減するという独自の減免を行っています。また、同じ政令市の仙台市は、今年から子ども世帯の市独自軽減策を始められました。18歳未満の子ども一人につき9,504円軽減するというものです。約1億円の予算です。広島市に当てはめれば、2億円で可能です。
 国保法77条には、被保険者に特別な事情がある場合、市町村の判断で国保料を減免できることを規定しています。本市として子育て軽減についてどのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 子どもについての被保険者均等割を軽減することについては、平成30年度から、国保が都道府県単位化され、応能・応益負担の原則の下で、将来的に県内どこに住んでいても、同じ所得水準で同じ世帯構成であれば、同じ保険料となる「統一保険料率」とすることを、県や他市町とともに目指している中、本市が独自で、国保法第77条に基づき、子育て世帯に対する保険料軽減措置を講じることは、適当でないと考えています。
 もし仮に措置するのであれば、別途新たな制度を創設し、必要な財源なども含めて、県や他市町と調整したうえで、県内全体で行う必要があると考えます。
 なお、本市としては、子育て世帯の負担軽減については、次世代の健全育成の観点から、国において所要の措置を好悪ずるべきであるとして、指定都市市長会や全国市長会などを通じて、国に対して、支援制度の創設を要望しているところです。

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子どもの貧困対策について

(近松さと子議員)
 昨年7月、市は、広島県と一緒に市内4,000名の小学5年と中学2年の児童生徒とその保護者に生活実態や学習環境を聞く調査を行いました。子どもの貧困に関する施策を検討する事を目的にしたものです。その内容は、「4人に1人が生活困難」と新聞に大きく掲載された県の結果とおおむね同じでした。
 調査は、①世帯の所得が低いか②公共料金や家賃の滞納経験など家計の逼迫の状況③誕生日を祝えないなど経済的な理由による子どもの体験や所有物の欠如について聞いています。
 このうち2つ以上に該当する生活困窮層の世帯は、小学5年、中学2年ともに8.8%でした。また、いずれか1つの要素に該当する周辺層まで含めた生活困難層は、小学5年で24.8%、中学2年で26.4%になっています。さらに、ひとり親世帯のうち小学5年生では61.5%、中学2年で52%が生活困難層であり、あらためてひとり親世帯の深刻な状況が浮き彫りになりました。
 現代の貧困の問題は、家や食べ物がないという絶対的な貧困ではなく相対的貧困です。経済的な困難により、機会やモノなどのはく奪を問題視され、学力や健康、心身の発達などに影響を与えることが指摘されています。今回の調査からも経済的に困難な層ほど、子どもの成長に必要な学びや経験、人とのかかわりなどが奪われることで、子どもが孤立や無力感を味わい、自己肯定感が低く、社会とのつながりも薄くなりがちという状況が見て取れます。
 こうしたことを放置すると貧困の連鎖をうみ、経済成長の鈍化など社会的な損失が大きいということが広く認識されてきました。日本は、2013年子どもの貧困をなくす対策法が成立しましたが、2015年の相対的貧困率は13.9%と前回よりは減少したものの先進国OECD主要国の中で依然として高く、最低水準にあります。
 広島の子どもたちが経済的な事情で誰も夢や希望を諦めなくていい、誰も置き去りにしない社会にするため政治の責任が問われています。
 そこでお聞きします。今回の調査結果についてどのように受けとめましたか。特に、市として子どもにかかわる施策を貧困と格差をなくす視点で見直し、改善することが求められています。その際、具体的な目標を設けて、計画をたてるべきですが、どのように考えておられますか。

(こども未来局長)
 広島県と連携して昨年度実施した「広島市子どもの生活に関する実態調査」では、調査世帯の約4分の1が生活困難層に該当し、中でも、ひとり親世帯においては半数以上が生活困難層となっています。
 また、生活困難度が高いほど、子どもの授業の理解度や自己肯定韓などが低い傾向がみられ、中学2年生の生活困難層においては、授業がわからないと回答した割合が約2割、自分は価値のある人間だと思わないと回答した割合が約4割という結果でした。
 これらの結果については、本市の子どもを取り巻く生活実態の厳しさや、その事が子どもの学力や自己肯定感などに与える影響を示唆するものとして受け止め、子どもの健やかな成長のためには、貧困の状態にある子どもに対して、より一層の支援の充実を図っていく必要があると考えています。
 本市のこどもの貧困対策については、平成27年度から31年度を計画期間とする「広島市子ども・子育て支援事業計画」において、「子どもの貧困の問題に対する総合的な施策の推進」を重点施策として掲げ、子どもとその保護者に対し、教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援に関する様々な施策を展開しているところです。
 当該事業計画については、今年度から、次期計画の策定作業を行っており、ご指摘の目標設定を含めて、検討を進めてまいります。

(近松さと子議員)
 今回、指摘したいのが、医療機関への受診抑制です。
 今回の調査では、経済的な理由で医療機関への受診を控えた経験の有無を聞いています。「医療機関で自己負担金を支払うことができないと思った」と答えた小学5年の保護者は生活困窮層27.8%、生活困難層で21.9%でした。中学2年では、生活困窮層で22.2%、生活困難層で10.7%に上ります。
 このことは、生活困難度が高いほど受診抑制の傾向がみられることを示しています。本市の小学5年生全体にあてはめると150人、中学2年生全体に当てはめると約120人に及ぶと聞いています。調査の対象だった小学5年生と中学2年生は現在行われている本市の子ども医療費助成制度の通院助成の対象外です。
 病気になっても窓口でお金が払えないから病院にかかるのを我慢した子どもたちが存在するということを受け止め、受診抑制をなくすためにも子ども医療費助成制度の対象年齢拡大が必要ではないでしょうか。どのようにお考えですか。
 拡大を求める声に対して財源のことを挙げられますが、小学校入学前までしか助成しない広島県に対して医療費補助制度の対象年齢拡大を働きかけてはどうですか。

(健康福祉局長)
 子ども医療費補助制度については、平成29年1月から、通院の対象年齢を小学3年生まで拡大したところです。今回の調査対象である小学5年生と中学2年生は、通院について子ども医療費補助制度の対象外ですが、ともに生活困難度が高いほど経済的理由により受診抑制をしている傾向があるとの調査結果が出ており、このことも踏まえ、所得水準に応じ、通院の補助対象年齢のさらなる拡大に向けた検討を進める必要性を改めて認識したところです。
 子ども医療費補助制度における通院の補助対象年齢をさらに引き上げていくことについては、今後、国における全世代型の社会保障に向けた議論と本誌の財源確保のあり方を念頭におきつつ、本市の子育て施策全体のあり方を検討する中で、検討していく必要があると考えています。
 また、子どもの医療費助成に関する県の補助制度については、これまでも県内の市長とともに対象年齢の拡大を働きかけているところであり、今後も要望を継続してまいります。

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会計年度任用職員について

(近松さと子議員)
 今年の初め頃から町内会の掲示板に、放課後児童クラブ指導員募集のチラシを目にするようになりました。いくら募集しても人が集まらない状況が続き、教育委員会の苦肉の策といえるでしょう。
 しかし、それでも今年4月の採用に向けて、放課後児童クラブと児童館の指導員を100名募集しましたが、69名しか応募がなく、51名しか採用できませんでした。
 また、昨年度は、せっかく採用しても1年未満の指導員が8人も退職するという状況です。4月1現在、31名が欠員のため臨時職員で穴埋めをしていると聞きました。
 放課後児童クラブと児童館指導員は全員が非正規職員です。現在、勤務時間は正規職員の4分の3ですが、40年働いても年収200万円程度で、正規職員の平均年収の3分の1にもなりません。一時金は4分の1程度です。放課後児童クラブの指導員でいえば、今年から長期休業中の開所時間を前倒しで実施するため、時間外の早出をおこなうことになりました。指導員になり手がいない状況を改善し、子どもたちが安心して利用できるようにするためには待遇改善は待ったなしです。
 本来、地方公務員法には、自治体の仕事について、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営・つまり正規職員が原則とされています。しかし、長年に渡って正規職員を削減し、非正規化を進めてきました。保育士の6割、給食調理員の8割が非正規職員です。本来恒常的な仕事は、正規職員で担うべきところを任期の定めのある非正規職員が半数以上の市の仕事が多くあることは、このこと自体が問題です。同時に、正規職員との均等待遇が求められてきました。
 こうした中、2年後の2020年4月から、地方公務員法と地方自治法の改正により、本市の臨時職員のべ17,562人、非常勤職員のべ7,071人の雇用のあり方が変更することになります。主な内容は、非正規職員の任用の根拠を適正化することと会計年度任用職員の新設です。そこでお聞きします。
 第一に、新たに設けられた会計年度任用職員になれば、今の嘱託職員という雇用の不安は解消されるのでしょうか。今年の4月から民間に働く非正規雇用労働者は、「無期転換ルール」が始まり5年を超えて雇用が継続していれば、本人の申し出により期限に定めがなくなる無期雇用へ転換することになりました。
 一方、公務に働く臨時・非常勤職員には労働契約法は適用されず、任用であることを根拠に「いつでも雇いどめ、いつまでも非正規」です。放課後児童クラブを利用する子どもたちは毎年継続して通ってきますが、指導員は更新するとはいえ任期は1年という不安定な雇用形態です。今回の改正地公法・自治法でその問題は解消されるのでしょうか。

(企画総務局長)
 今回の法改正により、平成32年4月から導入される会計年度任用職員は、その処遇改善を図りながら、適正な人員配置を行えるようにするために導入されるものであり、「会計年度任用」と、任用期間が限定されるような呼び名ではございますが、客観的な能力の実証を経て再度任用することが可能であり、同一の職がある場合は、翌年度も引き続き働くことができる制度となっております。

(近松さと子議員)
 第二に、会計年度任用職員になることで、嘱託職員の待遇は改善されるのでしょうか。今回の改正で、これまでだせなかった手当の支給が可能になったといわれています。
 しかし、実際のところ、会計年度任用職員はフルタイムとパートタイムに分かれるとされ、フルタイムは退職手当など諸々の手当を支給するが、1分でも勤務時間が短いとパートタイムとみなし、賃金ではなく報酬とすることや手当の支給も期末手当のみという格差が残りました。
 今後、本市の嘱託職員は、すべて会計年度任用職員のパートタイム職員とみなされるのでしょうか。また、そのことにより、嘱託職員のこれまでの賃金や手当よりも待遇はよくなるのでしょうか。
 国は、今回の法改正の趣旨は任用の適正化と勤務条件の確保であると国会で答弁していますが、任用の適正化といって脱法状態を解消しても待遇改善が進まなければ、年々業務量が増え、責任の重くなる嘱託職員の苦労に報いることになりません。 人手不足も解決できません。どのようにお考えですか。

(企画総務局長)
 総務省が示した会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルでは、会計年度任用職員の職の設定に当たっては、現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの職の必要性を十分吟味したうえで、適正な人員配置に努めることとされております。
 また、その処遇については、フルタイム勤務か短時間勤務かを問わず、期末手当を支給することができるようになります。加えまして、フルタイム勤務の場合、時間外勤務手当や地域手当、退職手当等が支給でき、短時間勤務の場合も、退職手当を除きまして、フルタイム勤務の職員との均衡に留意して報酬水準を定めることとなります。これによりまして、処遇改善は図られるものと考えております。
 会計年度任用職員の職の設定や勤務条件等については、今後、この事務処理マニュアルに沿って、市全体の職員体制の在り方や財政負担等も踏まえ、関係者とも協議しながら検討していきたいと考えております。

【再質問】
(近松さと子議員)
 会計年度職員についてもお聞かせください。
国のマニュアルに沿ってやっていく中で、処遇改善も図れるんじゃないかということでしたが、今おきている、放課後児童クラブなどの人手不足、これはいま、嘱託職員、保育士さんの方でも募集しているが、募集をかけても応募がないという状況にあると言います。
 それぞれの担当課に聞きましたら、嘱託職員それぞれの給与だけ上げるわけにいかない、全体のバランスがあるんだというようなことをおっしゃるんですが、今回の法改正によって、総務省からもマニュアルが示されて、そういう中で処遇改善が進められると言われましたけれど、こういう人手不足の状況が解消されるのか、そこについてお聞きしたいと思います。

(企画総務局長)
 人手不足の問題に対して処遇改善がどう寄与するのかということだと思うのですが、人手不足の問題が一体どういう要因によって起きているかによって違うとは思いますけれども、一般的に申し上げまして、やはり処遇を改善することによって雇用が確実に確保できるということは間違いないことだというふうに思っております。
 今回の会計年度任用職員制度は先ほど申しましたように今までボーナスが非常勤の嘱託職員には出ていなかったものが、今度は期末手当が2.6月分出るようになります。
 このへんはやはり、臨時職員の底上げになるわけですから、大きな問題だというふうに思っておりますし、留守家庭指導員の問題も今度は処遇改善のところでちゃんと給与表等を定めていく形になりますから、年々での給与改定とも行われていくことになりますので、大きな処遇改善になるというふうに思っています。
 それによって雇用の確保も進むものであろうと考えております。

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基町住宅団地について

(近松さと子議員)
 広島市は、隣接する中央公園をサッカー場建設候補地の一つとするために、基町住宅地区の住民に今後のまちづくりについて説明するとお聞きしました。
 そもそも、基町住宅地区の生活環境の整備は市の責任であるとお考えですか。特に、どのような課題があると認識されているのでしょうか
 。今回示されるのは、こうした課題を解消するものですか。

(指導担当局長)
 基町住宅地区は、本市が、市営住宅群にあわせて、保育所、小学校、店舗など生活に必要な公共施設を一体的に整備した街ですが、建設後、約40年が経過し、建物の老朽化や少子・高齢化によるコミュニティの活力低下など、様々な地域課題が顕在化しております。したがって、基町のまちづくりについては、引き続き、この街をつくった本市が責任を持って取り組んでいくべきものと考えています。
 このような考えに立って、住民説明会では、高層棟のリニューアルや基町ショッピングセンター内へのデイサービスセンターの設置、若年世帯等の特例的な入居の推進などの当面の取組に加え、中長期的なまちづくりの取組も含め、基町の将来を見据えたまちづくりの方向性について説明したいと考えています。

(近松さと子議員)
 基町住宅地区には、サッカースタジアムの建設よりも地区住民のコミュニテイの維持や高齢化対策が待たれています。
 私も、これまで、県営住宅跡地を活用して、地区住民の超高齢化に対応できないかと提案してきました。
 現在、基町住宅地区には、広い空き地があります。元安川の東側にある市営高層・中層アパートに囲まれた県営住宅の跡地です。
 県は300戸の県営住宅の用途廃止を決め、今年の3月末をもって国有地であるため国に跡地を返還しました。
 5月7日、私は、国有地を管理・処分する中国財務局で県営住宅跡地(約2ヘクタール)の活用について方針を聞きました。その中で、国として施設を建設して活用する予定はないことや売却についても考えておらず、処分を保留するつもりだという回答がありました。具体的に聞くと都心部の国有地であるから有効活用するために広島市の意見や意向を聞いてその活用策を検討するということでした。
 国のこうした方針についてお聞きになられましたか。その際、市は、どのように回答されているのでしょうか。

(指導担当局長)
 広島市の意見や意向を聞いて、その活用策を検討するという国の方針については、聞いており、本市としては長期的な観点に立った活用策が決まるまで、当面、オープンスペース(解放広場)として活用したいと考え、現在、国と協議をしています。

(近松さと子議員)
 そもそも、広島市は「県営住宅廃止を踏まえた土地活用などの検討」について地元の意見の把握や検討をするとされています。
 このことは、2013年7月に地元団体・有識者・市住宅部・区役所などが、団地の課題を解消するために作成した基町住宅地区活性化計画に明記されています。
 この計画にのっとり、今後、どのように住民の意向を反映し、活用策を検討するのか具体的な考えをお聞かせください。

(指導担当局長)
 基町地区のまちづくりの取り組みの一環として、県営基町住宅跡地を活用することについては、引き続き、基町住宅地区活性化計画の改定やその後の取組を進めていく際に、住民の意見を伺い、検討していきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 これまでのやり取りの中で、市は「高齢化の進む基町地区において、身近な場所で泊りのできる介護施設が整備されることは、同地区の高齢者の介護が必要な状態になっても地域で安心して暮らせることにつながるものと考えます。また、このことについては、今後、基町地区の街づくりの視点にたち検討する必要があると考えています。」と回答されています。
 今回の住民説明会で、新たな介護施設の整備について具体的に考えを示されるのでしょうか。
 また、2017年に作成された市営住宅マネジメント計画で、中央公園に面した中層の市営基町アパート17号館については建て替える方針を公表されました。中区には、江波地区に市営住宅と特養ホームなど介護施設を備えた悠々タウンがあります。
 こうした先行事例に倣い、基町住宅地区の高齢者が安心して住み続けられる具体策を検討すべきですが、どのようにお考えですか。

(指導担当局長)
 住民の方々の高齢化への対応として、身近な場所で泊りのできる介護施設が整備されることは、地区の高齢者の方々が地域で安心して暮らせることにつながるものと考えています。
 こうしたことから、住民説明会では、基町地区のまちづくりの取り組みの一つとして、宿泊型の福祉・介護施設の整備を推進する胸の説明をすることにしており、今後、基町住宅地区活性化計画の改定等の際に、住民の意見を伺い、具体化を図っていきたいと考えています。

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