議会での質問・答弁

2025年06月18日

2025年第2回 6月定例会 議案質疑 中森辰一

1.第56号議案 令和7年度広島市一般会計補正予算(第1号)
(1)中央図書館等の移転整備

(2)第56号議案 令和7年度広島市一般会計補正予算(第1号)北部地区学校給食センター(仮称)等の整備

2.第66号議案 指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について

3.第76号議案 変更契約の締結について(西風新都環状線梶毛南工区道路新設工事(その2))

4.第77号議案 変更契約の締結について(駅前大橋線橋りょう等新設工事)及び第78号議案 変更契約の締結について(駅前大橋線軌道等新設その他工事)

1.第56号議案 広島市一般会計補正予算(第1号)について
(1)中央図書館等の移転整備

中森辰一
 本定例会に上程された諸議案について、質疑を行います。
 まず、第56号議案、広島市一般会計補正予算(第1号)について伺います。
 補正予算項目のうち、中央図書館等の移転整備として、7149万6千円が計上されています。
 これは、エールエールA館に中央図書館を移転するために建物を改造するにあたって、工事の支障となる配管等が複数確認されたために、内装の形状変更と、配管の位置変更の工事が追加で必要になり、そのための工事費3000万円を今年度に繰り越しましたが、それでは足りないため、7000万円余りを追加で計上したものです。合わせて、1億149万6千円ということになります。
 この工事の設計は、この建物を設計し施工管理した業者だからということで、あえて特命随意契約で発注したものです。今回の工事の支障となる配管等は、建物の建設の際に設置されたものであれば、この建物を設計した今回の設計受注業者が持っている設計図面等に、そのことが記録されているはずで、今回の整備のため設計図面にはそのことが反映したものになっていたはずです。
 改めて確認します。この配管等はいつ設置されたのか、エールエールA館の建設時期との関係と合わせてお答えください。

市民局長
 第56号議案令和7年度広島市一般会計補正予算第1号城中央図書館の移転整備のうち、全部移転整備について3点のご質問にお答えします。
 まず、工事の支障となった配管等はいつ設置されたのか。エールエールA館の建設時期等の関係はどうかについてです。
 これらの配管等は、平成11年に広島駅南口ブロック市街地再開発組合が、エールエールA館を建設した際に設置した配管等であると、広島駅南口開発株式会社から聞いています。

中森辰一
 また、この配管等を設置した業者はどこか、設計したのはどこか、エールエールA館の建設の際の設計会社とは違うのかどうかも、お答えください。

市民局長
 次に、工事の支障となる配管等を設置した業者および設計会社はどこかについてです。
 設置したのはエールエールA館建設当時の設計者および工事請負者です。

中森辰一
 仮に、以上の質問に答えることができないとするなら、広島駅南口株式会社には、必要な資料の保全管理の点で問題があったということであり、そのために余分な税金の支出が生じたということになりますが、このことについて、市はどのようにお考えか、お答えください。

市民局長
 最後に、広島駅南口開発株式会社には必要な資料の保全管理の点で問題があり、そのために余分な税金の支出が生じたということになるがどうかについてです。
 広島駅南口開発株式会社からは、広島駅南口Aブロック市街地再開発組合から保留床を引き継ぐ際、再開発事業に係る契約書や竣工図等の書類一式の引き継ぎを受けたと聞いています。
 また、エールエールA館が建設された平成11年当時の竣工図には、天井裏にある配管等の高さや位置などまでは記載されていないことが一般的であると聞いています。
 このため、設計段階において、現場での施工内容の見直しの有無や、見直しがある場合にどの程度行うかなどを正確に見込むことは困難であり、このたび補正予算に計上した事業費は、本来の目的を達成する上で必要な経費であったと考えております。

【再質問】
中森辰一
 三つの議案について再質問をさせていただきたいと思います。
 まず補正予算のうちの中央図書館等の移転整備費についてでありますけれども、今回の予定していない配管等の問題による増額っていうのは、繰越分を含めて1億円余りとなっております。小さい額ではないと思います。
 竣工図に現実の配管等が書き込まれていなくてもですね、それがあるということは記録されていたということを聞いておりますので、実施設計を行うときにそのことを想定した調査っていうのはやっておく必要があったんではないかなというふうに思っています。
 商業ビルとして営業していたわけでありますけれども、何らかの方法で調査をやることはできたのではないかなというふうにも思います。
 建築設計の専門家が設計者ですからこういうビルでこういう使い方をしていればどういうふうに配管等が設置されるようなことになるかといったことは、推測もついたのではないかなというふうにも思うわけです。
 最初からなかったそういうその記録がきちんと残されていなかったということで、今回のような場合ですね調査をしなかったというその結果、工事費を増額して余分な支出をしなければならない事態になったということになりますと、やっぱり設計会社の方もオーナーである広島駅南口株式会社の方も、やっぱり取り組み方に問題があったというふうになるんではないかなという疑問が残ります。この点について、改めてご認識をお聞かせいただきたい。

市民局長
 第56号議案令和7年度広島市一般会計補正予算の中央図書館の移転整備等のうち、再質問をいただきました。
 何らかの方法で市の方が事前に配管等の位置を調査できたのではないか。また実施設計があの建設時の施工会社が行っている以上、推測がついたのではないか。今回は十分な事前調査ができておらず、不手際があったのではないかというご質問だというふうに受け止めております。
 今回の実施設計は、先ほども答弁しましたけれども、エールエールA館が建設された平成11年度当時の竣工図をもとに行っておりまして、この竣工図には天井裏の配管等の位置は書いてありますけれども、具体的な高さとかですね、そういったものがですね、詳細まではあの記録をされていないものがございました。
 実施設計を行うときには、まだフロアがですね購入ができておらず、天井も張られているという状況でありましたので、実際実施設計をするにあたっては、現場を確認してですね、状況を見てからの設計ができればよかったんですけれども、そういうことができない中でですね、実施設計を行っていった状況がございます。
 そういった中でですね、今回の施工の内容なんですけれども、あの膨大な書架をですね、設置するにあたって600本以上の支柱をですね、天井とですね、あの床の間に張り巡らして、それで書架を固定するという、一つ一つ固定するという作業を行っております。
 やはり支柱を立てるにあたって、どうしても支障になってくる配管等があって、、それを実際の現場の中で確認しながら支柱の位置を変えていく、あるいは配管の方をずらすというあの工事を1個1個行っているという今状況が生じております。
 ですので、今回ですね確かに1億超のお金がかかってはおりますけれども、これについてはしっかりと安全な施設を作っていく上でどうしても必要な金額であったというふうに考えておりますし、我々も確認できるものは事前に全て確認をした上で、実際工事をする上でしっかりした施設を作っていくという作業をしておりますので、これは必要な経費だというふうに考えております。

(2)第56号議案 令和7年度広島市一般会計補正予算(第1号)北部地区学校給食センター(仮称)等の整備

中森辰一
 次に、補正予算項目のうち、北部地区学校給食センター(仮称)等の整備について伺います。
これまで計上されていた49億757万5千円に加えて、今年度、令和7年度分の事業費が1億8774万8千円増額する、その理由は資材価格高騰などに伴い、としています。工事を始めて、わずか1年で4%近い増額を求められたわけですが、「など」を含めて、その事業費増額の内訳と、値上がりの比率を内訳項目ごとにお示しください。

教育長
 第56号議案令和7年度広島市一般会計補正予算第1号についてのうち、北部地区学校給食センター等の整備に関して事業費増額の内訳と値上がりの比率についてのご質問にお答えをいたします。
 事業費増額の内訳は、建築工事が約7400万円、電気設備工事が約2400万円、機械設備工事が約9000万円となっております。
 建築工事や設備工事の事業費については、土木工事とは異なり、施工単位ごとに、資材単価、労務単価、機械器具費などが一体となった複合単価を用いて積算することになっているものが多いため、資材分や労務分の増額分について、それぞれの総額をお示しすることは困難でありますが、施工単位によっては、資材単価や労務単価のみで積算しているものもあるため、値上がりの比率が確認されたもので申し上げますと、資材単価では、コンクリートが5%増、鉄骨が最大で7%増となっており、労務単価では普通作業員が5%増、電気工・配管工が5%増、交通誘導員が9%増などとなっております。

2.第66号議案 指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について

中森辰一
 次に、第66号議案、指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について伺います。
 これは、高速道路事業の全体事業費を150億円増額するための、整備計画の変更について市議会の同意を求めるものです。
全体事業費が増額になったのは、高速5号線の建設費を150億円増額せざるを得ないからですが、その理由は、建設資材費の高騰等によるとしています。
まず、この建設資材費の高騰等の、「等」の内容について、説明してください。

道路交通局長
 第66号議案、指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について、4点のご質問にお答えします。
 まず、全体事業費の増額理由は、建設資材費の高騰等によるとしているが、「等」とは何かについてです。
 建設資材費の高騰以外の増額理由については、労務費の高騰、地域住民の安全・安心に係る対策、高速道路の機能強化、橋梁の構造の変更、橋梁工事の施工条件の変更によるものです。

中森辰一
 高速5号線の建設では、これまで繰り返し事業費の増額変更が行われてきたところです。高速5号線建設でのトンネル工事は、当初はナトム工法で掘削することにしていました。
 しかし、ナトム工法によるトンネル掘削によって大きな地表面沈下を引き起こした高速1号線建設工事での経験を経て、ナトム工法は一部のみとして、残りはシールド工法に変更するとしました。
 そのようにして、トンネル工事のあり方が確定したのが平成26年です。この時の完成時期は平成29年度となっていました。
 その後、シールド工法によるトンネル掘削工事での度重なるトラブルによって工事期間が大幅に延長し、この間の資材価格の高騰や労務費の上昇を含めた事業費の見直しが繰り返され、今回を含めて4回目となっています。
 いま示されている完成時期は令和10年度です。平成26年のときに示された完成時期よりも11年遅れることになります。
 そこで質問です。事業費の増加要因はいくつかありますが、そのうちで、完成が11年遅れる、11年余分に工事期間がかかる、その余分な11年間という期間中の資材費の高騰と労務費の上昇によって、どれだけ余分に事業費がかかることになったのか、お答えください。
 この11年間で増額となった高速5号線の事業費のうち、当面、市が市債の増額によって負担する出資金の額はどれだけあるかお答えください。

道路交通局長
 次に、今回を含め、直近4回の整備計画変更において建設資材費の高騰と労務費の上昇によってどれだけ追加の事業費がかかることになったのか。
 また、4回の整備計画変更において市の出資金はいくら増えたのかについてです。
 直近の4回の整備計画変更において、「建設資材費の高騰や労務費の上昇」を要因として増額した事業費の合計は、約132億円となります。
 また、その際の全体事業費の増額分に対する本市の出資金の合計は71億2500万円です。

中森辰一
 工事期間が11年も遅れた要因は、トンネル掘削が何十回も中断したからです。一度はシールドマシンも壊れてしまいました。
 何とかリカバリーしましたが、シールドマシン面板の掘削ビットの交換は当初計画したよりも何倍もの回数に及び、その度に掘削を中断しました。当初住民に説明したよりも住民生活への振動などの影響が大きかったことも含めて、掘削の速度を落とさざるを得ないこともありました。
 いずれも、設計や掘削計画、シールドマシンの運転のあり方などに問題があったのだと思います。そのような中で、市が余分に大きな費用負担を負うことになったわけですが、これらが高速道路の料金収入で返還されるのは、いまのところ30年先だと説明されています。
 その間は、市が税金を使って銀行に返す取り組みをしなければなりません。そこにあてられる分の費用、予算は、毎年の予算の中で、市民生活のために使うことができませんし、30年先がどうなるかは予測できないという問題もあります。
 完成が11年も遅れたことにより費用負担が増加してしまったことについて、高速道路公社、あるいは市・県はどのようにお考えか、また、どのような教訓を得ているのかお答えください。

道路交通局長
 次に、完成が遅れたことにより費用負担が増加したことについてどのように考えているのか、またどのような教訓を得たのかについてです。
 本市としては、費用負担の増加は、本事業を確実かつ安全に進めるために必要不可欠なものであったと考えています。
 工事については、規模が大きくなればなるほど、関係者の了解をしっかり取り付けることが重要になるということを痛感しています。

中森辰一
 また、トンネル工事期間が11年も遅延したことによる物価や労務費などの高騰分だけではなく、掘削ビットの交換回数が何倍にも増えたことなど、工事内容が変わったことによる費用を含めた費用の増加分を市と県が出資する広島高速道路公社と、受注業者である大林組などのJVのどちらが負担するべきかについて、中央の建設紛争審査会に調停が持ち込まれました。
 しかし結局、調停は不調となりましたが、この結論はどういうことになったのか、この不調に終わった調停の対象となった費用分は、今回の150億円に含まれているのかどうか、お答えください。

道路交通局長
 次に、中央建設工事紛争審査会の調停は不調となったが、この結論はどうなったのか。
 また、不調となった調停の対象となったものは、今回の150億円の増額に含まれるいるのかについてです。 
 公社からは、「調停が打ち切りになった令和6年3月以降、新たな状況は生じていない」と聞いており、今回の整備計画変更の増額には含まれていません。

【再質問】
中森辰一
 第66号議案ですが、また細かく細かいところは、委員会でも必要があればやりたいというふうに思っているんですけれども、今回の場合ですね、計画より工事の進捗が大きく遅れたとその原因は、想定外の地表面の変化などで掘削を停止したなどのこともありましたけれども、やっぱり大きくはシールドマシンが壊れたということを含めて、これまででは考えられないほど、計画の何倍もの掘削ビットの交換を余儀なくされた。その度にシールドマシンを止めて、メンバーと掘削面との間に充填された水を排水する地点交換作業を行うという大変面倒な作業を行うか、こういう回数が極めて多くなってしまったということになると思います。
 市としては、高速道路公社としてもですけれども、地質調査をして設計に反映した岩石の硬さを超えるものはなかったというのが、この議会で答弁をされたことでありましてこれが公式見解だと思います。
 しかし想定よりも掘削ビットの磨耗が激しくて計画よりも何倍も多い頻度でシールドマシンを止めて掘削ビットの交換を繰り返し、初めの方ではシールドマシンのメンバーが損傷するという。通常あり得ない事故も引き起こしてしまいました。
 市の言い分通りだとしますと明らかにシールドマシンの設計に問題があった、あるいはシールドマシンが設計通りのものではなかったということになります。これは、やっぱり発注者側の責任ではあるまいというふうに思うわけです。
 今回の11年も工事の完成が延びてしまったということの責任の多くが、やっぱりこれは受注者側にあったんじゃないかということであればですね、今回の増額分の多くは、受注者側に負担してもらう必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
 市としてはこの負担のあり方についてどのようにお考えになっておられるのか、その点改めてお聞かせいただければと思います。

道路交通局長
 ただいま再質問ございました点についてお答えさせていただきます。
 まず66号議案でございます。シールドトンネル工事の完成が遅れたことに伴い生じた費用の一部を受注者の方に負担してもらう必要があるのではないかというご質問でした。
 シールドトンネル工事につきましては、工事の完成が契約工期を超過をしております。履行遅延が発生しているという状況がございます。この履行遅延について公社からは、受注者の責めに帰すべき事由と考えており、損害の支払いについては、契約約款に基づき適正に対処するというふうに聞いております。

3.第76号議案 変更契約の締結について(西風新都環状線梶毛南工区道路新設工事(その2))

中森辰一
 次に、第76号議案、変更契約の締結について(西風新都環状線梶毛南工区道路新設工事(その2))について、伺います。
 これは、西風新都の環状道路の新設工事の請負金額を、13億3100万円から18億4107万700円に、5億1000万円あまり、4割近い大幅な増額を行うものです。
 理由は、不安定な地層に対する土工及び法面工の変更等であるとしています。4割近く、5億円を超える増額変更というのは、工事のあり方に関わる変更だと考えます。
まず、これほどの大きな変更を行うことになったことについて、計画を進める側としてどのように受け止めておられるか、お答えください。

都市整備局長
 第76号議案、変更契約の締結について、政府不信と環状線沿線価値県南工区、道路新設工事その2について3点のご質問に順次お答えします。
 まず、5億円を超える、当初契約額の4割近い増額の変更は、工事のあり方に関わる変更だと考えるか。計画を進める側としてどのように受けとめるているのかについてです。
 梶毛南工区は、急峻な山沿いにおいて、大規模な切土や盛土を行いながら、法面保護等の対策を講じた上で、新たな道路を整備するものです。
 この度の主な変更は、掘削時に、風化した地盤が一部確認され、詳細な現地調査・試験を実施した結果、崩れやすい不安定な表土層が厚く堆積していることが新たに判明したため、安全性を考慮し、法面が崩れないように対策を講じるものです。
 このことは、工事着手後に判明した事象であり、やむを得ないものと考えています。

中森辰一
 法面を施工する地層が想定よりも不安定な地層だったということですが、安全な道路を建設するために必要なら工法の変更を行うことは当然です。ただし、ここに何の教訓もないのか、と思います。
 このような道路建設など、公共施設の建設を計画し実行しようとするとき、一定の事業規模を見積もって、年度ごとの予算にどう割り振るかを考えて計画するでしょう。今回の工事は、環状道路の梶毛南工区のその2となっています。今回の対象工事契約は、市が進める環状道路建設の一部に過ぎません。
 西風新都の幹線道路の建設では、すでに似たような理由で建設費が大幅に増やされることが起きています。毎年予算化する建設費の一部が、このように予測を超えて大幅に増えることになると、計画に齟齬が生じることに繋がりますし、全体の予算計画にもしわ寄せしていき、問題が生じることに繋がります。そのようなことは最大限避けるべきです。
 そのためには、事前の調査を充分に行う必要があります。工事をやっていたら、地層が不安定だということがわかったというわけですが、こんなことは設計と工事計画をつくる前に、つまり発注する前に、丁寧に地盤調査を行っていれば、事前に判明していたことではないのでしょうか。
 この点について、どのようにお考えか、お答えください。

都市整備局長
 次に地層が不安定であることは、工事を発注する前に、丁寧に地盤調査を行っていれば、事前に判明していたのではないか。この点についてどのように考えているのかについてです。
 事前の調査については、延長約2kmの全線において、ボーリング調査などを実施し、その結果をもとに、地質・地層を推定しています。
 ボーリング地点の選定については、全ての箇所を全面的に調査することは、時間的・経済的に非効率であるため、一般的に尾根部、谷部など、地層の変化点を中心に実施することとしており、事前調査としては、適切であったと考えています。

中森辰一
 市全体の予算の状況を考えながら、適切に工事を計画して予算化するためには、途中で大幅な工事費の変更がないようにする必要があります。広島市では、このような、途中で工事内容を変更して大幅に工事費が増えるということが多い、と率直に感じています。
 今後、工事を計画する際は、物価高騰などの要因を除いて、事前に避けられる増額事案なら事前の準備を丁寧に行って、そういう事態にならないように取り組むことが必要です。どうされるか、お答えください。

都市整備局長
 最後に、工事を計画する際は、物価高騰などの要因を除いて、事前に増額事案を避けることができるよう、事前の調査などの準備を丁寧に行うことが必要であるが、今後どうするのかについてです。
 本工事においては、事前に適切な調査を行っていましたが、設計時には想定できない要因が発生し、増額となったものです。
 今後も、工事を計画する際には、経済性等を考慮し、事前に地質調査など、必要な調査を行ってまいります。

4.第77号議案 変更契約の締結について(駅前大橋線橋りょう等新設工事)及び第78号議案 変更契約の締結について(駅前大橋線軌道等新設その他工事)

中森辰一
 次に、第77号議案と第78号議案として、変更契約の締結についての議案が2件あります。いずれも、広島駅南口再整備に関わる事業のうち、広電の電車のルート変更に関わる工事委託契約をそれぞれ増額するものです。
 77号議案では、61億9000万円から121億円に59億1000万円の増額。理由は、物価水準の変動等や西側ペデストリアンデッキの施工手順の見直し等によるとしています。
 78号議案では、124億5000万円から204億円へと79億5000万円の増額。理由は、物価水準の変動等や関連工事との工程調整等によるとしています。
 それぞれ理由に違いはありますが、共通しているのが、物価水準の変動等というところです。
 物価水準の変動等、というのは、資材価格などの物件費が高騰しているという部分と、労務費が上昇しているという部分があると思います。それぞれの額と上昇率をお答えください。

道路交通局長
 続きまして、第77号議案、変更契約の締結についておよび第78号議案変更契約の締結について2点のご質問にお答えいたします。
 まず、物価水準の変動等の資材価格などの高騰と労務費の上昇について、それぞれの額と上昇率はどうかについてです。
 第77号議案および第78号議案における合計額でお答えしますと、資材価格などの高騰によるものが約68億円、労務費の上昇によるものが約19億円であり、上昇率はそれぞれ約45%、約22%となっています。

中森辰一
 労務費が上がっているのでその分を引き上げてもらいたいという要求は、これは当然応える必要があると考えますが、こうした理由による公共工事の変更契約が最近ずいぶん増えてきています。
 ただ、こうして引き上げた労務費部分が、実際に現場で汗を流して働いておられる建設労働者の給与額にきちんと反映しているのかどうかが、大変気になるところです。こうしたことは、以前から工事契約に関して議論してきたところです。
 最近、市政報告会を開いて市政に関わる報告を行った際に、ある建設労働者の方から疑問が出されました。
 物価高騰や労務費上昇だという理由での変更契約が増えていると言うが、建設現場で働いている自分の周りや建設関係の知り合いに聞いても、自分の給料はまったく上がっていないという返事ばかりだし、自分もちっとも上がっていない。物価高騰はわかるが、労務費上昇という理由で工事費の変更契約が行われているのは納得がいかない、というものでした。
 公共工事に市民の税金から支出を行うというのは、完成した公共施設の利用によって市民生活・市民福祉の向上、地域の活性化などをはかるという面とともに、地域経済を担っている企業の仕事を増やすと同時に、そこで働く労働者・市民に支払われる労賃、給与を通じて、市民生活の向上に寄与し、地域経済の活性化に貢献するという面もあります。
 物価高騰に応じた賃金の引き上げが、大手企業を中心に進められていますが、なかなか中小企業にまで行きわたっていないとされています。物価高騰及び労務費の上昇に伴って工事契約額の増額を行う場合は、公的に発表されている資材費の上昇率と職種ごとの労務費の上昇率を確認して増額する額を確定しているものと思います。
 そうなると、労務費の増額に見合った比率で、現場で働く労働者の賃金も引き上げられなければなりません。そうでなければ、労務費上昇に対応するために契約額を増額する理由が成り立たないことになります。
 私たちの社会では、市が直接契約を交わす元請けの工事会社が直接工事を行うのは、小規模なものだけです。中規模、大規模な工事は一次下請け、二次下請け、三次下請け、それ以上と重層的な下請け構造の中で工事が行われています。元請け会社が落札した際に見積もられた人件費単価が、末端の現場労働者にまで適用されているかどうか、それにふさわしい額を現場労働者が受け取っているかどうかを、チェックする仕組みはありません。
 しかし、労務費が上がっていることを理由に工事費を増やす変更契約を結ぶ以上は、少なくとも労務費を増やした比率で、現場労働者の賃金が上がる必要があります。労務費単価が上がったからと契約額を増額したけれども、それが現場の労働者には回らずに、その分、会社のもうけが増えただけになった、ということでは、変更契約を行って税金の支出額を増やす意味がないわけです。それは無駄な支出となります。
 変更契約を行う元請け会社の方も、労務費上昇を理由に契約額を増やした限りは、末端の下請け会社の現場労働者まで、賃金がきちんと引き上げられたことを証明する必要があると考えます。
 以上について、税金を支出する側の市の行政当局として、どのようにお考えでしょうか、また、労務費の増額のために変更契約を行って税金の支出を増やしたら、それが実際に現場で働く建設労働者にいきわたっているかどうかをチェックする必要があり、それが税金を拠出する市民への責任ではないでしょうか。どうされるか、お答えください。

道路交通局長
 最後に税金を使って、労務費上昇を理由とする増額変更を行うのであれば、元請会社には、下請け会社の建設労働者まで賃金がきちんと引き上げられたことを市に対して証明する必要があり、市もそれをチェックする責任があると思うかどうかについてです。
 下請け会社の建設労働者まで賃金がきちんと引き上げられるようにすることについては、国から建設業者団体に対して「公共工事設計労務単価の上昇を十分に踏まえ、現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払われるよう最大限努める」旨の通知が出されています。
 本市としては、こうした通知が出されていることを踏まえ、市内において、その主旨が徹底されるよう、代行発注者である広島電鉄に対して周知しているところです。

【再質問】
中森辰一
 もう一つ、77号と78号議案の労務費の上昇分についてですけれども、この変更契約で支出を増やすという問題について、重ねてお聞かせいただきたいと思うんですが、人件費、労務費が上がっているということは、我々の社会で起きている問題としてよくわかっていることなんですよね。
 ですから、労務費の増額分として契約額を増額すること自体は、これは必要なことであります。
 その額も国土交通省とか、建設物建設物価調査会というのがあります。ここが公にしているデータを使って、発注者、受注者双方が確認しているものであろうと思いますので、その変更額自体はこれは納得できるものだろうと思います。
 ただそれが実際にですね、それぞれの工事の現場で建設を担っている、働いておられる労働者の給与に反映していない可能性が考えられるけれども、それをチェックする仕組みは現状ではありません。
 先ほど国の方の通達がありますというお話で、これは色受注者側にも伝えているということでありましたけれども、しかし、チェックする仕組みはないわけですよ。
 賃金を引き上げる流れというのは、今現に起きております。ただ、多くは大手企業で起きていることであって、中小企業に行き渡るかどうかっていうことが、これが課題になっているわけですね。
 最初に紹介した、建設現場に携わっておられる方が言われたことは、世の中の労務費上昇の流れが公共工事の契約変更として反映しているけれども、しかし、その流れは末端の中小企業の労働者のところにまではいまだ十分行き渡っていないということを率直に言っていただいたというものと私は受けとめております。
 労務費が上がったからその分だけ工事費を増額する、これは必要なことなんですけれども、それが現場の労働者の賃金を引き上げることになっていない、ということになると、税金による支出額を増やす意味がない。
 意味あるものにする、それを担保する仕組みがないということが今問題なんではないかなと思うわけです。
 今は元請けの方にそういう通達があるよということを要請する、そこだけにとどまっているわけですよね。
 そこはやっぱり市民にきちんと説明ができるようにしていくためにはですね、やっぱりこの変更契約を行って労務費の上昇分だと言って税金の支出を支出額を増やす。このことについてやっぱりそれを担保する仕組みっていうのがいるんじゃないかと思うわけです。
 労務費を上げる分あるいは上がった分として増額した費用が、現場の労働者の賃金の引き上げ分として行き渡っているという保証がないとなりますと、これは市民はなかなか納得できないんじゃないかなと思います。
 この二つの変更契約というのは、額も大きいわけですので、やっぱりこれは大きなポイントになるんではないかなと思います。これからまだまだ変更契約ということは繰り返されることになるんだろうと思います。
 それはやっぱり資材費の高騰、それから労務費の上昇、この二つが常に伴ってくると思います。
 労務費上昇分として、税金の支出額を増やす変更契約を行ったということが、我々の社会で有効に生きるようにしていく。そのためにこれはやっぱり市民に対する責任ではないかと先ほど言いましたけれども、やっぱり何らかの仕組みが要るんじゃないかというふうに思うんですけども、これはどのようにお考えでしょうか。

道路交通局長
 続きまして第77号78号の件で、労務費の増額についてはやむを得ないが、それを末端の作業員までいくような、そういった担保する仕組みが必要ではないかというご質問であったかと思います。
 このことに関しては、元請会社とですね下請け会社との間での代金の支払いを適正に行うということだと思っております。
 先ほどご答弁しましたように、本市としましてはですね、国の通知が出されていることを踏まえ、その趣旨が徹底されるよう広島電鉄の方へ周知をしているところでございます。
 また国においては建設業違反というようなものに該当するものがある際のですね、通報窓口といったものも開設されているということですので、そういったものをご利用いただくということではないかと思っております。

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