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10月4日・本会議 中森辰一議員の議案質疑


指定管理者制度について
  「原則公募」とする根拠について (再質問)
  非公募施設のコストダウンについて
  コストダウンの手段について
  派遣職員の引き上げについて
  職員の定期昇給について
  サービスや業務拡大について
  経費の大幅変動への対応について
  事故等による損害賠償の責任について

新球場建設をめぐる財源問題について
  市負担の建設資金の財源について
  県、経済界の資金負担について
  (再質問)
    3者協定書による建設資金の負担割合の明確化について
    財政健全化計画の既存事業への影響について
  (再々質問)
    建設資金の市負担を「市民に見える形」で示すことについて



指定管理者制度について

  指定管理者制度導入について、非公募の施設の指定議案と債務負担行為の補正予算案が出されているので、これらの議案について総括的に質問します。

「原則公募」とする根拠について
  先日の答弁でも、制度の趣旨として原則は公募で、非公募にする合理的な根拠のあるものを非公募にという考え方が述べられたが、原則公募という考え方は法律にはうたわれてない。実際、同様の施設であっても自治体によって公募か非公募か、その判断のあり方には違いがあります。それは法律を読んで、自治体としてそれぞれ独自に判断をするべきものだと思いますが、何を根拠に原則だと言われるのかお答えいただきたい。

≪企画総務局長≫
  公の施設の管理の実施者は、従来、公共的団体や公益法人等に限られていましたが、民間のノウハウや発想も活用する目的で、その範囲を民間事業者等まで拡大するために地方自治法が改正されたこと、さらに、法改正時の総務省の通知で、「指定の申請に当たっては、複数の申請者から事業計画書を提出させること」と明示されていることなどから、公募により選定することが法の趣旨であると考えています。

−−−再質問−−−

  指定管理者制度の総務省の通知は、法律に委ねられているのですか。

≪企画総務局長≫
  「公募が原則」の解釈の基になった通知は、総務省所管の改正地方自治法の解釈の統一のための解釈通知です。通知が根拠になって法的拘束力が出てくるものではありません。
  ただ、今回の改正自治法は、指定管理者の定めをし、管理者が選ばれてくる手続は条例に委ねられています。広島市の条例は、応募しようとする人からの申請を受けてということに6月議会でなっています。
  通知は、解釈通知を示しているものでありますが、法的解釈を全国的に示したもので、法律上からすれば、このような解釈通知を出さなくても、全国どこでもそのように解釈するだろうと思います。

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非公募施設のコストダウンについて
  公募の施設では、全体として最低7%のコストダウンを求められるものになっています。非公募の施設全体でも、7%程度のコストダウンをおこなうと聞いていますが実際どうなのか、額と比率でお答えいただきたい。また、最近の4年間のコストの動きついても教えていただきたい。

≪財政局長≫
  管理経費の削減目標は、第2次財政健全化計画の歳出(物件費等)の経費削減目標を踏まえて設定し、公募・非公募の違いを問わず、7%の減としました。しかし、管理経費のうち人件費や水光熱費の占める割合が高いなどの理由により、目標に達していない施設もございます。
  その結果、広島平和記念資料館など、本定例会に議案を提出している非公募施設について、指定期間の総額で約10億円、率にして約3%の経費削減となっております。
  なお、最近4年間のコストの動きにつきましては、近年の厳しい財政状況の中で、人件費を除く施設の管理経費について予算のマイナスシーリングを設けていること、また、給与のカットなどにより人件費の縮減にも努めていることを勘案すると、減少傾向にあるものと考えています。

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コストダウンの手段について
  各団体では、そうしたコストダウンをどのように実現するお考えか、総括的にお答えいただきたい。また、各団体のコストダウンについて、当然、総人件費のカットが主な手段となると思いますが、どうなのかお答えいただきたい。

≪財政局長≫
  管理経費のコストダウンは、個々の施設ごとに事情は異なりますが、主には人員配置の見直しや施設の管理運営経費の精査などにより実現されているものと考えています。

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派遣職員の引き上げについて
  コストダウンの手段として、市からの派遣職員の引き上げが言われてきたが、どうされるのか。また、派遣職員を引き上げるとすると、どのような規模でおこなうのか、決まっていればお答えいただきたい。

≪企画総務局長≫
  公益法人等が、自らの管理経費の縮減を目的として、派遣職員を本市へ戻したい場合、主管局を通じて企画総務局に協議があります。
  今後、公益法人等から、来年度の職員増減員計画が提出されることになっています。それを基に、引き上げの対象となる派遣職員のポストや人数を検討したいと考えており、引き上げる派遣職員数は、現在まだ決まっていません。

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職員の定期昇給について
  非公募であっても、今回の指定管理者制度の導入で、前年より何%かダウンの経費で指定を受けた団体では、そうした水準の枠内の経費で4年間、施設の管理運営をおこなわなければならないことになります。各団体では、前年よりも大幅なコストダウンを要求されているわけで、経費を減らすためにいろいろやっても、職員構成が変わらなければ人件費部門の余裕はないのではないかと考えます。
  一方、職員の平均年齢が上がれば人件費単価が上がる可能性がある。例えば、子どもがいれば成長するにつれて子どもの養育費がかさむが、それについて行政が保障する仕組みはほとんどないのがわが国の現状で、それを定期昇給という企業側の制度が補うというしくみが社会的に永く定着してきました。
  いまなお行政の仕組みが変わっていない以上、企業の側がそれを補う定期昇給が社会的に必要ですが、余裕のない状態で4年間経費が固定されるということになると、この4年間は結婚をしたり、子供をつくったり、子供を進学させたりと、現在の生活費以上に経費がかかるようなことを給与面で保障することはできないということになる。つまり職員に対しては、結婚するな、子供をつくるな、子供を進学させるな、という枠組みで経営をせよということになりはしないだろうか。職員の定期昇給についてどのようにお考えですか。

≪企画総務局長≫
  指定管理者は、指定の期間、自らが提出した事業計画書に基づき、その提案した管理経費の範囲内で施設の管理をおこなうことになります。したがって、定期昇給については、指定管理者が管理経費の中で、指定管理者の給与規定に基づき対応していくことになります。

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サービスや業務拡大について
  利用者市民の要望に積極的に応えて、サービスや業務内容の拡大をしたいというときに、それがコストアップを伴うことであると、他のサービスや業務を削るのか、それができなければ市民要望に4年間は応えることができないということになりかねません。
  実施するべき業務内容が決められた上で、必要な経費も前年より大幅に抑えられた水準で固定されるという条件では、そうした積極的な業務展開の余地が、4年間はコストの上昇変動が許されないためになかなか困難ではないでしょうか。こうした新たな市民要望などへの対応とコストの負担についてどのようにお考えですか。

≪企画総務局長≫
  指定管理者が利用者の要望に応えて、サービスや業務内容を拡大しようとする場合は、市と協議する必要がありますので、その際、経費の負担区分も明確にしていくことになります。

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経費の大幅変動への対応について
  今、原油の値上がりが続いていますが、こうしたことなどによるコストアップの要因はいくらでもありますが、そういう事態が起きるたびに指定期間の間は人件費を削って対応するしかないということにもなります。あるいは、最初から人件費を大幅にカットして、ある程度の余裕をつくって、そうした事態に備えるということになりはしませんか。
  そうした変動要因については、どのようにお考えですか。また、経費の大幅な変動があったときに、一律に職員にそうした事態の犠牲を押し付けることにならないように、何らかの配慮をおこなう考えがあるのか伺っておきたい。

≪企画総務局長≫
  物価上昇等のリスクについては、指定管理者が負うことになり、自然災害等の不可抗力等によるものについては、市と指定管理者とで協議することになります。また、経費の大幅な変動があった場合でも同様ですので、一律職員に犠牲を押し付けることにはならないと考えています。

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事故等による損害賠償の責任について
  公募・非公募に限らず、施設が利用される中で、事故などによって人身の損害や施設の損傷といった事態がありえます。被害者から損害賠償を求められた場合、施設に重大な損傷があった場合、責任の所在を明らかにしておく必要があります。
  これまでの委託契約ではどうなっていたのか、指定管理者制度導入後はどうなるのか、市としてどのようにされるのかお答えください。また、これらのことは協定書等に明記される必要があると思いますが、この点についてもどうされるのかお答えください。

≪企画総務局≫
  現行の公の施設の管理委託の場合、被害者からの損害賠償や施設の損傷の負担区分については、管理委託契約上、受託者に責めがある場合は受託者が損害賠償の責任を負い、または原状復旧等をおこなうこととされています。
  また、受託者に責めがない場合は、市が損害賠償の責任を負い、原状復旧は市の負担になると考えています。
  指定管理者制度導入後も、同様の考え方のもとに、損害賠償や施設の損傷についての取扱いを協定書等に明記することにします。

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新球場建設をめぐる財源問題について

  補正予算案に、新球場建設を推進するための予算が出されているので、基本的な点について質問します。

市負担の建設資金の財源について
  今回の補正予算案は、新球場を貨物ヤード跡地に建設することで、県、財界と合意を見たことによるものだと思いますが、今後、問題となるのは事業費の確保です。この問題で広島市のリーダーシップの発揮がいろいろ言われてきましたが、リーダーシップの発揮とは巨額の資金を引き受けて太っ腹をアピールすることではないと思います。市としては、新球場建設を推進するにしても、財政建て直しと両立するものでなければなりません。
  日本共産党市議団は、市民球場建て替えには賛成する立場ですが、財源問題は市民負担と直結する問題であるので、あえてお伺いします。
  市長は選挙の公約に基づいて公共事業見直し委員会を設置し、事業費が10億円以上のものを対象にゼロからの見直しをおこないました。しかし、元々、財政再建を進めるために大規模公共事業の見直しをおこなった際、新球場建設の項目はありませんでした。
  公共事業見直し委員会の報告をもとに、市民生活に密着した、どうしても必要と判断された小規模な公共事業費を確保した上で、財政再建と両立する範囲で実施する大型事業を決めていったはずです。その財政再建では市民生活直結の諸項目も削減の対象となっています。党市議団としてはそれらの内容には異論がありますが、それにしても新たな大型事業を組み込むような余地はなかったはずです。
  そういう中で、市当局はヤード跡地に建設するなら建設費の半分程度は負担できると言い始めましたが、これ自体が財政健全化方針で市民生活を削りながらの負担です。このことをまずはっきりさせる必要があります。どのような形の負担であろうと、この点は変わることはないと思いますが市長の認識について答弁を求めます。あわせて、市が負担するとしている建設資金の財源はどのように調達するお考えかお答えいただきたい。

≪財政局長≫
  新球場の建設は、単に野球場を造るということだけでなく、本市のまちづくりや活性化につなげていく重要なプロジェクトです。また、一方で、議員指摘の小規模な公共施設整備や市民生活に密着した事業についても、本市にとって重要なものと認識しております。
  このため、新球場建設に係る本市の負担額を検討するにあたっては、これらの事業に対する影響についても考慮に入れた上で判断したところです。
  今後、新球場建設の事業計画や事業費が確定してくることになりますが、市民生活に密着した事業の実施に支障がないよう、国のまちづくり交付金などの確保や充当率の高い市債の活用等により財源確保に努め、財政健全化計画との整合も念頭に置きながら、財政運営に意を用いてまいります。

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県、経済界の資金負担について
  市は、残りは県と経済界が負担してほしいと要請していますが、先日の答弁でもありましたが新球場建設促進会議の「とりまとめ」の中で、「広島市が中心的役割を果たし、広島県、経済界等が積極的にこれに協力する」となっています。しかし、これを読んだだけでは、残りの財政負担について県や経済界が保証しているとまでは読めません。
  ご承知のように、県は、あれほど緊急課題だとして、何が何でもと住民の反対を押して建設を進めていた出島沖産業廃棄物埋立処分場の建設を3年間遅らせると決めました。橋梁談合問題で受注業者が確保できないことを理由にしていますが、それとは別に、国の補助金を削られ、県がそれに財政的に対応できていないということも指摘されています。
  また、県庁舎建て替えのための積立をしていたが、今年度は財政難でそれも見送っています。つまり、県の財政は、県が進める事業以外に資金を提供するような余裕はないと思われる状況になっています。
  経済界のほうも、経済団体が独自に潤沢な資金を抱えているということではなく、企業から寄付を集めるということ以外にはないと思いますが、1円でも多く株主の利益を増やすことを求められている各企業が、巨額の寄付を簡単におこなうようなご時世ではありません。市民から集めている「たる募金」にどこかの企業が高額の寄付をしたということも聞いていません。
  このような中で、広島市としては足りない資金を県と経済界が確実に拠出してくれるという確証があるのか強い疑問があります。こうした点について、どのような見通しを持っておられるのか、根拠も含めてお聞かせいただきたい。
  仮に、新たに市民に負担を求めるような形での建て替えということになれば、計画の是非について、改めて市民と相談する必要があります。県や経済界が、市が考えていたほどに負担できないとなった場合、市としてはどこまで負担する考えなのか、あるいは、いま言われている負担、資料によれば建設費90億円のうち、使用料でまかなう借入金26億円を除く64億円の半分、32億円以上は負担しないということなのか、市長のお考えをお答えいただきたい。

≪都心活性化担当局長≫
  球場建設費の県、経済界等の負担についてですが、建設資金については、促進会議の「とりまとめ」の中で「広島市が中心的役割を果たし、広島県、経済界等が積極的にこれに協力する。」ことが確認されています。
  ヤード跡地に新設する場合、市の中心的な役割を仮に、市、県、経済界等で負担しなければならない額の2分の1とすると、32億円になると見込んでいます。具体的な負担額については、施設内容や事業費の見込みを前提に協議する必要がありますので、事業予定者を選考するコンペの提案等も踏まえながら、本年度末を目途にその確保に向け広島県、経済界等と協議し、判断したいと考えています。

  今回の補正予算は全体の建設費の規模から見れば額は小さいが、具体的に新しい市民球場建設に向けた出発点になるものです。これで事業を進めていいのかどうかの判断が問われます。これまで、経済界などと共同しての大型事業推進については、経済界の都合で市が責任をかぶってきた紙屋町地下街開発や南口開発の「悪しき前例」があります。
  いずれにしても、市と県と経済界の3者が協力し合って新しい市民球場をつくろうという形まではできたのだとしたら、具体的に建設に向けて足を踏み出そうとする前に、財源問題で3者で協定を結んでおくなど「目に見える形」を示しておくべきではないかと思います。

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−−−再質問−−−

  新球場建設のとりまとめの文書で、半分負担の根拠を3者で協定書を結んでおくべきではないでしょうか。今のままでは、市がどこまで負担するのかわかりません。

≪都心活性化担当局長≫
  建設費の負担割合の2分の1の根拠ですが、とりまとめの中で建設資金の確保は市が中心的役割を果たすことになりました。県、経済界も積極的に参加するということになっています。促進会議を踏まえて、市が中心的役割を果たすということで「2分の1」というのも一つの考え方だということを、市の姿勢として県・経済界に示したものです。
  実際に負担する場合は、施設内容、事業費などを明確にする必要があります。現時点では、具体的金額を見込んでいませんが、国の「まちづくり交付金」についても、その確保に向け国に対して積極的な要望をしています。今年度末に事業計画を策定し、財源確保に努め、実現可能な計画を示したいと思います。

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  新たな市民負担を強いるときに、健全化計画のなかで進めている事業への影響は大丈夫なのか再確認したい。

≪財政局長≫
  財政非常事態宣言では、なんら対策を講じなかった場合、平成16〜19年度で1395億円の財源不足が生じるとしています。健全化計画に沿って運営しているなかでも、障害者、生活保護、福祉、医療、教育など市民生活に直結する予算は確保して、市民生活への影響は最小限にとどめなければならないと考えています。
  一方、投資的経費を抑制せざるを得ません。平成16〜19年度で投資的経費に充当可能な一般財源は、1585億円という枠を設けています。このうち、現行の実施計画では1569億円を計上しています。残り16億円のなかで、新球場のほか、市立養護学校など事業費未定の事業もあり、次の実施計画にまたがってくるものもあります。
  投資的経費に充当可能な16億円(年4億円)の留保が、厳しい財政状況の中で、次の実施計画期間においても継続することを前提した場合、上限の見込み32億円は、年4億円の留保を償還にまわしたベースの4割に相当しますが、大規模プロジェクトのなかで検討し、他の事業費未定事業にもできるだけ影響が出ないような形で、新球場の上限額を検討して示しています。

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−−−再々質問−−−

  新球場建設資金について、半分を市が負担し、残りをどうするのか、市民に見える形で示すべきです。あらためて答弁を求めます。

≪都心活性化担当局長≫
  今年度末までに、新球場建設の事業計画を策定するが、その中では県と経済界との負担割合、事業の内容、事業費、国の支出金はどうなるかなど、財源について示します。
  将来の球場使用料(26億円)を見込んだ借入れができる額、そういったものを精査して、仮の見込額を出し、残った額を市、県・経済界で負担するといったことになろうかと思いますが、今年度末までに明らかにしていきます。いずれにしても事業自身に支障がないように財源確保に努力したいと思います。

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