議会での質問・答弁

2025年12月05日

2025年第5回12月定例会 一般質問 中森辰一

1.核兵器問題に関する市長の姿勢について
(1) 平和記念公園と米パールハーバー国立記念施設との姉妹協定について
(2) 米大統領の核実験実施指示について
(3)非核三原則について
2.基町相生通地区市街地再開発事業について
3.就学援助制度などについて

1.核兵器問題に関する市長の姿勢について
(1) 平和記念公園と米パールハーバー国立記念施設との姉妹協定について

中森辰一
 お疲れ様です。日本共産党広島市議団を代表いたしまして、一般質問を行います。
 まず第1は広島市の平和行政についてです。
 報道によると、被爆80年の今年8月6日に合わせて、アメリカ合衆国国務省のタミー・ブルース報道官が「広島の人々の和解の精神は、アメリカと日本の同盟関係を強くした」と述べました。また、「6日は広島の人々と彼らの変わらぬ平和と希望のメッセージをたたえ、厳粛に過去を顧みて追悼する日だ」とも述べたそうです。
 アメリカ政府の報道官から出た「和解」という言葉は、当然アメリカが広島に原爆を投下し、人類史上類例のない非人道的な被害を与えたことを意識したものでしょう。
 広島の市民は、アメリカの市民とは相互に交流事業を進め、アメリカ社会に被爆の実相の理解・普及を進めてきました。その前提にはアメリカ市民との「和解」が既にあったわけです。
 しかし、アメリカ政府が未だ非人道的な原爆の投下を反省も謝罪もしていない中で、アメリカ政府と「和解」をしたということはありません。
 ましてや、広島市も広島市民も核抑止政策を伴う軍事同盟である日米同盟の強化に貢献した事実もありません。
 原爆によって亡くなった人々を追悼することは当然ですが、「過去を顧みる」というなら、原爆投下は人道に反する行為であり、誤りであったことを認めるべきです。
 このようなことをアメリカ政府が公式の場で表明したのはなぜでしょうか。
 一昨年5月に開かれた広島サミットに合わせるように、同年6月29日松井市長がアメリカ大使館で、広島市の平和記念公園とアメリカ政府が管理運営する国立パールハーバー記念施設との姉妹協定に、市民との合意形成もなく、市議会にも諮らないまま調印したことが思い当たります。
 協定締結の判断について、議会で問われた市当局はしきりに「和解」を強調し、広島への原爆投下についてのアメリカ政府の反省や謝罪の問題は「棚上げ」したと答弁されました。
 この協定の成立によって、アメリカ政府は原爆投下への反省や謝罪をしていなくても許されたのだ、と受け止めたんではないでしょうか。
 そこから広島市民が「和解」をしてくれた、それが日米同盟は投資してくれている、と考えているのではないのかと、考えざるを得ません。松井市長は姉妹協定を結んだが、広島市として原爆投下を許したわけではないとのメッセージを公の場で発信するべきでしょう。どうされるか、答弁を求めます。
 広島市行政のアメリカの原爆投下責任への曖昧な態度は、和解を強調する副教材の「平和ノート」でも見えてきます。
 改めて原爆投下は、戦争中であっても人道に反する許されない行動であったとアメリカ政府に伝える必要があります。どうされるか答弁を求めます。

国際平和推進担当局長
 核兵器問題に関する市長の姿勢について、数点の質問に順次お答えします。
 まず、平和記念公園とパールハーバー国立記念施設等の姉妹協定についてのうち、主として原爆投下を許したわけではないというメッセージを公の場で発信するべきではないか。また、原爆投下は戦争中であっても、人道に反する許されない行動であったと思いか政府に伝える必要があると思うかどうかについてです。
 メッセージに関わる議員のご提案につきましては、広島平和記念都市建設法第6条に基づき、平和記念都市の完成に向け、不断に活動すべき市町としては、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」と訴えてきた被爆者の寛容と和解の精神に基づく広島の心こそ世界中に訴える必要があると考えているところです。
 なお、原爆投下の責任に係る議論につきましては、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見によって、核兵器の威嚇および使用は一般的に国際法に違反するとされており、このことはアメリカを含む全世界に伝わっているものと考えられます。
 したがって、本市としましては、それを踏まえた上で、米国側の市民社会における核兵器廃絶の機運醸成を図っていきたいと考えています。

中森辰一
 アメリカ市民との「和解」と交流は、この姉妹協定のはるか以前からあって、ホノルル市との姉妹協定姉妹都市協定以降、YMCAによる50年以上にわたるハワイの市民との交流も続いてきました。
 また最近、戦艦ミズーリ艦上での被爆写真展がなされましたが、姉妹協定がない3年前にも、戦艦ミズーリ艦上で約半年間も被爆写真展が開催されました。
 アメリカ市民との「和解」と交流は、この姉妹協定などなくてもやってきたし、これからもできるということです。
 アメリカ政府が広島への原爆投下責任を自覚しないで済む状況などを作ってはならず、それを「棚上げ」して結んだ平和記念公園とアメリカ国立パールハーバー記念施設との姉妹協定は、破棄するべく取り組むべきだと考えますが、どうされるか答弁を求めます。

国際平和推進担当局長
 次に、アメリカ市民の和解と交流は、姉妹公園協定がなくてもやってきたし、これからもできるため、姉妹公園協定は破棄すべく取り組むべきだと考えるがどうかについてです。
 先ほどご答弁しました通り、本市は平和記念都市の完成を目指し、被爆者の寛容と和解の精神に基づく広島の心を世界に訴えていく必要があると考えているところであり、締結した姉妹公園協定に基づく交流は円滑に実施できただけでなく、その意義が参加したバカ者にもしっかりと伝わるものになりました。
 このため、本市では次回の姉妹公園協定の更新に向けて、引き続き未来志向に立ち、和解の精神を具現化した交流の実績を積み重ね、平和文化の米国側の市民社会に根づかせていきたいと考えております。

(2) 米大統領の核実験実施指示について

中森辰一
 次に、10月30日アメリカのトランプ大統領が自身のSNSで、アメリカ国防総省に対し、核実験を行うよう指示したと明らかにしました。
 このニュースはたちまち世界中に広がり、世界中からまたアメリカ国内からも一斉に批判の声が上がりました。
 長崎市長はその日のうちに記者会見で厳しく非難する声明を出されました。11月1日に原爆ドーム前で市民による抗議集会が開かれましたが、この中で広島市長はどこに行ったのか、何をしているのかとの声が上がりました。広島市長がなんら動いていなかったからであります。
 トランプ大統領の核実験指示の意図についていろいろ言われているようですが29年にわたって核爆発を伴う核実験が行われてこなかったのは、世界中の核兵器廃絶を求める世論の広がりがあったからで、そこには広島の被爆者を始めとする世界中の博市民と、その国々の政府の長年の運動の積み重ねがありました。
 その中には当然、広島市と長崎市の多大な努力も含まれます。その到達が核不拡散条約であり、核兵器禁止条約です。トランプ大統領の発言はどのような意図があったにせよ、そうした努力と到達を一顧だにしないものであり、アメリカが中心的な役割を持つ核不拡散条約さえも踏みにじるものです。
 これは広島として厳しく非難するべきです。この点の市長のご認識を明らかにしていただきたいし、今からでも厳しい非難声明を発していただきたい。どうされるか、答弁を求めます。

国際平和推進担当局長
 次に、米大統領の核実験実施指示について、トランプ大統領の核実験実施指示に対する市長の認識を明らかにするとともに、今からでも厳しい非難声明を発すべきと思うがどうかについてです。
 先月7日の市長記者会見におきまして、市長は世界を先導し、世界に平和をもたらす力があるはずの米国大統領には、その言動がノーベル平和賞の受賞を推薦する人々の期待に応えるものであることを我々市民社会は心から願っているとした上で、核実験は断じて容認できない旨を表明したところです。
 このたびのトランプ大統領の核兵器の実験の指示は1992年以降、爆発を伴う核実験を凍結することとしている中でのものであり、それが何を指すのか明らかではなく、また、この指示を受けて、ロシアのプーチン大統領が核実験の準備に関する発言を行ったとされています。
 いずれにしましても、これまで本市はいかなる核実験の実施にも抗議し、再び実施する。実施することのないよう求めてきているところであり、そうした発言が具体的な動きに繋がるかどうか。引き続き注視していくとともに、実際に核実験が実施されれば、厳重に抗議したいと考えています。

 (3)非核三原則について

中森辰一
 次に、10月21日、初めての女性の内閣総理大臣が誕生しました。
 私たちは、男性ばかりだったところに、女性の総理大臣が誕生したこと自体は意義があったと考えるものです。
 ただし、女性であろうが男性であろうが、どのような立場に立って、どのような政策を進めようとしているかがあらゆる日本国民にとって重要であると考えます。
 高市首相が唐突に発言され、内外に大きな影響を与えている「台湾有事」における存立危機事態発言は、米国を守るために自衛隊が中国に対する武力交渉を行うことがあり得ると宣言したもので、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」とした日本国憲法第9条に明確に反する宣言です。
 戦後日本政治の大原則である平和主義とは相いれない考え方であります。
 その点で、被爆都市ヒロシマにとって、核兵器についてどのような考えであるかは注目するところですが、高市首相はご自分の著書の中で、2022年12月に安保三文書が閣議決定される際、日本の国是である非核3原則を削除するよう要請したことを明らかにしておられます。
 その当時の岸田政権を含め、歴代自民党政権は一貫して「『非核3原則』を堅持」の立場でしたが、他方で、米国と同様、核抑止の立場に立ち続けてきました。
 しかし実際は、「非核三原則」のうちの「持ち込ませず」が、いざというときの軍事政策として問題があるというのが、高市首相のお考えだということです。
 「非核三原則」はアメリカの核の傘に頼る政策とは矛盾するということでしょう。核抑止論は、いざというときは、広島長崎の惨禍を引き起こしてもいいという考え方で、核兵器の使用は人道に反するとの立場から核兵器廃絶を訴える立場と矛盾します。
 しかし、日本政府が「持ち込ませず」を撤廃し、日本国内に核兵器が存在してもいいということになるとむき出しの核抑止の立場核兵器を使用することもあり得るという立場だけが見えてくるようになります。
 「持ち込ませず」を撤廃すれば、日本国内に米国の核兵器が存在しうることになり、まさに米国の核を後ろ盾に、周辺諸国ににらみを利かせる軍事大国に進んでいく、また、核兵器の保有そのものを進めていくようになるのではないかと強く危惧するものです。
 市長は、高市首相の「持ち込ませず」撤廃の考え方をどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
 首相は、非核三原則について引き続き堅持すると明言せず。木原官房長官は「具体的な内容について今後検討を進めていく」と述べ、自民党は見直しを視野に検討を行うとのことです。
 広島市の市長として、日本の国是としてきた「非核三原則」は引き続き堅持するよう政府や与党に要請するべきではないかと考えます。どうされるかお答えください。

国際平和推進担当局長
 最後に非核3原則について、高市首相の「持ち込ませず」撤廃の考え方に対する市長のお考えを伺いたい。また、日本が国是としてきた非核3原則を引き続き堅持するよう政府や与党に要請すべきと思うがどうかについてです。
 先ほど川村議員にご答弁申し上げた通り、本市としましては、安全保障や外交防衛など国家の存立に関わる政策の決定については、国民の生命と財産を守るという視点に立ち、国政の場で十分に議論を尽くし、国民の多くが納得できるようにすることが極めて重要であると考えています。
 その上で、日本政府には、核抑止力に依存することを明示して、国家間の緊張を高めるような対応を行うのではなく、被爆者の平和への願いをしっかりと受け止め、核兵器も戦争もない世界の実現に向け、対話による信頼醸成を通じて、緊張を緩和することに主眼を置き、国民の生命と財産を守るため、あらゆる外交努力を尽くしていただきたいと思います。
 また、NPT核兵器不拡散条約第6条で、各締約国に核軍縮誠実交渉義務があること、また、同条約第2条で、核兵器国には、核不拡散義務があることがそれぞれ明記されていることを踏まえれば、日本政府が非核3原則を堅持することは、同条約を批准していることの当然の帰結であると考えており、引き続き国における議論の状況を注視しつつ、長崎市とも連携しながら、機会を捉えて必要な対応をとってまいります。

【再質問】
中森辰一
 いくつか再質問を行います。最初にパールハーバー記念施設との姉妹協定の問題ですけれども、この場でも何度も指摘してまいりましたように、アメリカは広島への原爆投下を反省も謝罪もしていないからこそ、核兵器の開発競争をリードしてきたし、核抑止論の先頭に立ってきたわけですよ。
 ここが非常に大事な問題なんですよね。パールハーバーの基地っていうのは、太平洋地域で最も重要なアメリカの米軍基地で原子力潜水艦なども欠航する。もしかしたら過去を積んでるかも知れない。そういう源泉なども結構するわけですから、各軍事基地ということもできます。
 その軍事基地の中にあるパールハーバー記念施設のとの姉妹協定というのは当然、極めて慎重に判断する必要がありました。
 ですから、市長もそれよりこの今回の協定の前の3年前にハワイの住民からの皆さんから要請があったときは保留にしてたじゃないですか。そのところがですね、今回この協定とのいわば、市長の独断でなされたわけですね。
 しかもその際、反省や謝罪の問題っていうのを棚上げしたということが、アメリカの政府の側が今回のようなですね広島への人道に反する原爆投下という。抗議の責任が現在された。いうふうに私は考えても不思議はないんじゃないかなというふうに思うわけです。
 アメリカとしても、この問題というのは気にしとったというふうに思うわけですよ。後、現実にトランプ大統領ってのはそんなことは全く意に介さずに、核実験を指示したなみたいなことを発言をしているわけですよ。
 こういうですね、アメリカの姿勢とに問題していかなくちゃいけないんだというふうに思います。人道に反するから核兵器をなくすんだという点から、やっぱりこの反省と謝罪っていうのを曖昧にしてはいけないんだというふうに思います。
 それで、質問ですけれども、広島市としてはこのアメリカ政府が広島への原爆投下について反省や謝罪をしない。反省や謝罪を行ういうことは必要ないというふうにお考えなんでしょうか?この点をお答えください。
 それから、棚上げというふうにおっしゃったけれども、この棚上げということはいつまで続けるお考えなのかお答えください。
 それから、非核3原則の問題ですけれども、この非核3原則、沖縄の施政権返還の際の過去の申し込み着とか。アメリカが艦船などに核兵器を積んでいるかどうかは明らかにしない政策をとっている。
 そういう中で、日本の港湾にアメリカの艦船が日本の港湾にアメリカの艦船が寄港する。そういう際に核を搭載しているかどうかあえて確認しないといったことも含めてですね、実際にはこの核の持ち込みというのは大変不透明な状況にあります。
 それでも非核3原則は堅持する。首相が言明してきたことが、やっぱり被爆国政府としての立場あるんだ。いうふうに示すものだったというふうに思うんですよね。
 仮にそれがなくなるとすると、日本は核抑止論の立場だけがはっきりするということになって、被爆国政府として内外にこれまで発信してきたということが消滅してしまうということになるんではないかなというふうに思います。
 広島市としてそのようなことは容認できないということではないんでしょうか。
 市長は記者会見の際に議論やることは必要なことだというふうに言われていたようですけれども、これは被爆国日本の政府の立場として、核廃絶の取り組みを推進するというのであれば、後退させてはならないということではないかと思うんです。
 その点で、今、見直しが言われているわけですから、広島市としては今後も非核3原則を堅持せよと政府に対してあえて直接要請するべきではないかというふうに思います。その点も改めて答弁を求めます。

国際平和推進担当局長
 2点の再質問をいただきました。まずパールハーバー協定でございますけど、反省・謝罪は行う必要がないと考えるのか、また、棚上げはいつまで続けるのかということだったと思います。
 米国の謝罪とかっていう問題がありまして、そういうものがなぜ必要だという意見もあると思いますが、本市としましてはですね、まずは被爆の実相、そして、「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」という被爆者の平和への願いを、多くの米国市民に享受していただく、そして、こういったことがですね、2度と起こらないよう、核兵器廃絶に向けてともに取り組んでもらうようにすることが大事だと考えております。
 最近の米国の世論調査においても、若い世代では、「原爆投下を正当化できない」とする割合が増えてきているというようなこともあります。
 そうした中でですね、この協定に基づきまして、未来志向の取り組みを進める中で、被爆の実相と科学者の平和への思いをですね、しっかり続けていくことが重要であると考えておりまして、こうしたことがですね将来的には、正しいそういった評価というか、そういったものに繋がるのではないかと考えております。

 もう1点ですけど、非核3原則後退しないように市として要請をしようという。わかったと思います。反対の要請ということですが、本市としましては、被爆者の願いである。核兵器廃絶に向けて取り組んでいるところでありまして持ち込ませないということも大事ですが、そもそも核兵器をなくしていく。これに取り組んでいくことが重要であると考えております。
 そのため、これまでも日本を含む世界の為政者に対して、核抑止力に依存することなく、対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制の構築に取り組むよう訴えてきているところです。
 先ほどご答弁しましたとおり、非核3原則に関しましては、現時点で要請することは考えておりませんが、引き続き議論の動向を注視しながら、これまでの要請等も踏まえまして対応していきたいと考えております。

中森辰一
 それから原爆投下についての反省と謝罪という問題ですけれども、被爆者の皆さんはね、それは未来志向という考え方を持っておられたにしてもそれはやっぱり原爆投下は反省してもらわんといけんよ。
 これは当然のことだというふうに思っているわけですよ。
 首長はそれは広島市はそういうふうに未来志向だいうふうなことかもしれないけれども、しかし現実にはね、やっぱり政府の思惑の中で様々なそれぞれの国の思惑の中でいろんなことが起きているわけですよ。
 そのときにやっぱり広島市としてはこの原爆投下っていうのは誤りだったんだということをはっきりさせていく、アメリカはやっぱりきちんと反省すべきだ、これ人道に反することはやっちゃいけないんだということをきちんと言っていくっていうことが必要ではないかなというふうに思うんですよ。
 この点どういうふうにこれから動いていかれるのか改めてお答えください。

国際平和推進担当局長
 改めてその認識ということですが、とですね、本市としましてはですね、まずは被爆の実相、被爆者の部屋の願いを世界に向けて発信し、多くの下の下に共有してもらう。掛け金のない実現に向けて取り組んでいただくようにすることが、やはりまずは重要だと考えております。
 引き続き公園協定に基づき実施している若者事業も継続していきながら、また世界8500を超える平和首長会議加盟都市とも連携しながら、こうした交流事業を含む様々な取り組みを通じて、被爆の実相や被爆者の平和への願いを世界の多くの方々に共有していただくとともに、あらゆる暴力を否定する平和文化を市民社会に根づかせていくことで、市民社会の核兵器廃絶に向けた創意を形成していきたいと考えております。

2.基町相生通地区市街地再開発事業について

中森辰一
 次は、基町相生通地区市街地再開発事業についてです。
 基町相生通地区市街地再開発事業は、紙屋町と八丁堀地区との間に位置する区域の約7500平方メートルの敷地に、地下1階地上31階高さ約160mの高層ビル、中国電力の変電所、市営駐輪場の三つの施設を建設する大規模な個人施工の民間不動産開発事業です。
 この事業には、国・県・市で合わせて202億円もの税金が投入されることになっております。
 広島市はこの事業について、「紙屋町・八丁堀地区の活性化に向けたリーディングプロジェクト」、「官民が連携して推進することで、国際水準の都市機能の集積・強化を図る」としています。
 それにしても、このプロジェクトはあくまでも民間の地権者による民間の不動産開発事業です。
 このような民間の事業に巨額の税金を投入する公益性・公共性とはどのようなものかお答えください。
 民間の地権者が所有する土地にビルを建設するのは民間の地権者としての経済活動です。 
 つまり、利益を得るための事業です。この基本は、市が地権者の1人であり、市営駐輪場建設がその事業の一部として含まれていても変わりません。
 地権者のうち、商工会議所は営利団体ではありませんが、団体としての活動を行う経済的な基盤の一部として、利益を得るための活動を行う場でもあるので、一部営利企業は営利活動だと言えます。
 他の3人の地権者はいずれも株式会社であり、明白な営利企業を達成し駐輪場建設の部分は事業全体の一部に過ぎない上に、市が保有する権利部分も敷地全体のわずか2.354%新たな市営駐輪場でも延べ床面積の2割程度と極めて小さく、このことをもって建設事業全体の公共性を主張することはできません。
 営利活動である民間地権者による再開発ビルの建設事業になぜ巨額の税金が支出支出されるのかお答えください。

市長
 中森議員からのご質問にお答えします。基町相生地区市街地再開発事業についてのうち、民間の市街地再開発事業に税金を投入することの公益性、公共性と営利活動である民間地権者による再開発ビルを建設事業への税金支出の理由についてのご質問がございました。
 本市における基町相生通地区市街地再開発事業は、都市計画法および都市再開発をに基づき実施しているものでありまして、具体的には、敷地を一体的に利用することで、防災対策や省エネルギー対策が施された都市にふさわしい新たな業務や商業等の機能を有する高層ビル等を建築し、平面駐車場や耐震基準法満たしてない立体駐車場等から土地利用の転換と新たな都市機能の導入を行うことによって、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るといったものであります。
 また、基町相生通地区市街地再開発事業は、都市計画法および都市再開発法にも定めるところによりまして、補助金の交付対象とされているものでありまして法律レベルで公益性、公共性があるものとされているところであります。
 なお、営利活動である民間地権者による再開発ビルの建設事業は投資計画および都市再開発法に定める市街地再開発事業として予定されていることから、補助金の支給対象となるものであります。
 その他のご質問については関係局長から答弁いたします。

中森辰一
 そもそも都市再開発法は、再開発事業費は施工者が負担すると規定しております。
 民間事業者が自社の事業者建物の老朽化などに伴って建て替えを行う際は、その事業者が費用を負担します。民間事業者はそれに備えて、建物の減価償却費の計上という形で税の免除を受けて積み立てを行います。
 ですから、民間事業者が自分の土地に建物を建てる場合は、自社だけでやるか、隣接する他のいくつかの事業者との共同で行うかを問わず、自らの負担で行うのが当然です。ゆえに、都市再開発法でも費用は施工者の負担としています。
 ところが同じ法律には、自治体が予算の範囲内で援助補助を行うことができると追加して規定し、さらに自治体が補助を行えば国も補助を行うことができると規定しております。
 この法の「できる」規定を最大限活用して、広島市は41億円の補助金を支出し、それに連動して県が37億円、国が124億円を補助します。あわせて202億円、民間ビルの建設費570億円のうち、35%が補助金という異常なことになっております。予算の範囲内とされておりますが、市は予算、財源がないので、借金までして補助金を出します。
 市街地再開発事業として、ビルの建設を行うことによって、容積率の大幅な緩和などの優遇措置を最大限活用して、自らが保有する不動産の価額分の権利を確保した上で、新たな建設費を負担することなく、新たな営利活動の場を確保することができます。
 この事業の地権者のうち、朝日新聞関係の2社にとっては15年前に建物の老朽化で取り壊して更地にしていたところに、新たな不動産物件を確保することができることになりました。
 中国電力ネットワークにとっても、60年経過した変電所施設が老朽化し、手狭になっていて更新を検討していたところに、建設費の負担なく、施設の更新ができることになりました。
 いずれにとっても渡りに舟てこれら3社には大きな利益をもたらすことになりました。商工会議所も同様です。
 その上に、これら民間事業者は、本来自分で負担しなければならない建設費のうち、35%を税金で賄ってもらえるわけで、これはあからさまな民間事業者への利益供与ではないでしょうか。
 借金までして特定の民間事業者に巨額の利益供与を行うのは、公共性に反するのではないでしょうか。以上2点についてお答えください。

都市整備局長
 基町相生通地区市街地再開発事業についてのうち、残りの5つのご質問にお答えをいたします。
 事業者が負担すべき建設費のうち35%を税金により賄っており、これは民間事業者への利益供与ではないか。また、特定の民間事業者に巨額の利益供与を行うことは公共性に反するのではないかについてです。
 先ほど市長がご答弁した通り、基町相生通地区市街地再開発事業は、公共性の高い事業であり、本市は都市計画法および都市再開発法に基づき補助金を交付しているものであって、民間事業者への利益供与という御指摘は当たりません。

中森辰一
 この再開発地区と同じ相生通り沿線に相次いで建設計画が報道された。ホテル建設とオフィスビル建設があります。
 これらはいずれも自らの費用で建設するものであり、ホテルの方は隣接する敷地を購入して、より広い敷地にビルを建設するそうです。
 この二つの事業はいずれも広島市が推進する都心活性化に大きく貢献するものでしょう。税金を投入しなくても、こうした民間の建設事業が行われます。
 こうした事例を見ても同じように、建物の建設を行う民間建設事業のうち、市街地再開発事業という名を付けると、巨額の税金が投入されるのは整合性がとれません。
 いずれも相生通りに面した新規のみ、民間のビル建設ですが、自力でビルを建設する二つの事例に対して、この再開発ビル建設はどこがどう違うから事業費の35%もの巨額の税金を投入するのかについて説明を求めます。
 1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、被災者への生活再建支援金の制度ができました。支給額は前回でも最高わずか300万円です。今はそのうち住宅の再建に200万円を活用できますが、このような制度をつくると作る議論をしたとき、政府は当初、個人の資産形成に繋がることには税金を出せないと主張していました。今ではわずかではあっても、最高200万円は使えるようになっていますが、個人の資産形成に税金は出せないという政府の考え方は今でも変わっていません。このことと、まさに民間企業の資産形成である再開発ビルの建設に巨額の税金が投入されるのはつじつまが合わないと考えますが、どうお考えかお答えください。

都市整備局長
 次に、相生通り沿線で進むホテル棟の建設計画とどこが違うため、再開発ビルの建設に巨額の税金を投入するのか、個人の資産形成については出せないという政府の考え方があるが、民間企業の資産形成である再開発ビルの建設に巨額の税金が投入されるのはつじつまが合わないと考えるかどうかについてです。
 一般の民間事業者によるホテルやオフィスビルの建設とは異なり、都市計画法および都市再開発法に基づく市街地再開発事業に対しては、補助金の交付が行えるようになっているところでございます。

中森辰一
 この事業の経緯を見ると、この事業を仕掛けたのは広島市のようです。
 個人施工である組合、個人施工である組合施行であれば、都市再開発法に則って、市街地再開発事業として施行すれば、再開発ビルの建設に様々な公的支援がなされることになっています。
 市街地再開発事業の目的についての国土交通省の説明では、土地利用の細分化や老朽化した木造建築物の密集、十分な公共施設がないなどの都市機能の低下が見られる地域で行われる事業となっています。
 広島市にも、広島駅周辺など、そのような事例がありました。都市再開発法はこのような区域に適用して、土地の利用のあり方を整理一定の広さの道路を確保し、防災上の問題を解消することができるように容積率を緩和したり、事業に対する税制上の優遇措置を与えたりすることで、再開発がスムーズに進むようにしようとするものです。
 しかし今回の事業地は、元々地権者は広島市+3人、つまり4人しかおらず、小さな土地が密集しているという状況はなく、ちと変電所の建物の老朽化以外、防災上の問題もなく、朝日新聞グループ2社の土地は更地でした。
 それらの土地をどう有効に活用するかを、4人の地権者が相談して、自前の資金で高層ビルを建てるなりすればいいことで、容積率の緩和などはともかく、巨額の補助金を入れる必要性があるとは考えられません。その点は、広島駅前の再開発事業とは意義が大きく異なります。
 そういうところにあえて巨額の補助金が出るようにして、再開発事業を仕掛けたのはなぜかお答えください。

都市整備局長
 次に、建築物の老朽化以外に問題のない区域において、巨額の補助金が出るよう、広島市が再開発事業を仕掛けた理由は何かについてです。
 本再開発事業は、周辺街区における建築物の老朽化や土地の低未利用という課題増加する見込み観光客への対応や、多様な働き方を実現する業務機能の確保などの紙屋町八丁堀地区の課題原爆ドーム周辺の景観上の課題などに一体的に対処するために、都市計画法および都市再開発法に基づき実施することとしたものでございます。

中森辰一
 この事業の土地計画この事業の都市計画決定の前年比は、市営基町駐車場の土地建物地下の駐輪場部分を切り離した上で、広島商工会議所の土地建物と財産交換し、商工会議所が地権者に加わりました。
 この財産交換について、意図的に商工会議所に有利なようになされた不当なもので、市民に損害を与えたと市民が市長などを訴えた損害賠償を求める裁判が進行中です。
 広島商工会議所の土地建物は、商業地とはいえ、紙屋町交差点から遠く、周辺の商業集積も小さい、容積率も300%しかありません。
 市営基町駐車場は元町と八丁堀の中間あたりにあって、商業集積地に隣接し、容積率が100%、しかも土地の面積が商工会議所の2倍以上もあります。
 駐輪場の地下部分を除くとはいえ、市営基町駐車場が商工会議所ビルより3400万円安いということはあり得ないという原告側の主張は普通に考えれば納得できるものです。
 原告側は広島に関わりがない関わりを持たない東京地方裁判所の不動産鑑定士を30年務められた方による不動産鑑定を証拠として提出されています。
 それを見ると、商工会議所ビルの鑑定額は市が委託して出された鑑定額よりも低い20億円に対し、市営基町駐車場の鑑定額は、再開発事業がないものとしての鑑定額でも、市が委託して出された鑑定額約26億円の3倍以上、約87億円になっておりました。
 この裁判の結論は、判決を待たなければなりませんが、判決を待つまでもなく言えることがあります。
 それは、広島商工会議所は財産交換という形で、基町相生通り地区市街地再開発事業の地権者になることによって、老朽化した商工会議所ビルの建て替えを保有する不動産資産を維持した上で、建設費の負担なしに実現できたということです。
 これだけでも巨額の利益を得ることができたと言えます。そしてそのことは、他の3社の株式会社の地権者とともに、202億円もの税金投入があるからこそ得る利益だと考えますが、このことを肯定されるか、否定されるか、お答えください。

都市整備局長
 次に、広島商工会議所は、市街地再開発事業の権利者となった結果、老朽化したビルを建設費の負担なく、建て替えることが可能となった。このことは、税金投入によって得られる利益であるとの理解だと考えるかどうかについてです。
 民間事業者が事業実施に当たって補助金の交付を受けようとする場合には、都市計画法および都市再開発法に基づく市街地再開発事業とする必要があります。
 その手続きには一定の時間が必要である他、都市計画決定のための市民意見の聴取土地の共同化のための合意形成公共性の高い施設とする必要があるなど、相当の負担が求められます。
 また、これまで申し上げてきた通り、本再開発事業への補助金は、都市計画法および都市再開発法に基づく。公共性を踏まえたものであることから、利益供与という御指摘は当たりません。

中森辰一
 この再開発事業の中での市営駐輪場の建設費が主に割り当てられた。不動産価格だけでは足りないということで、敷地の権利分だけで12億円、さらに床の権利分で10億円以上との数字も聞いておりますが、そのような権利の買い取りを行ったし、行う予定となっております。
 仮に東京の不動産鑑定士による鑑定通りだとすると、商工会議所と財産交換した市営基町駐車場の不動産の規模は少なくとも半分以下で済んだでしょう。
 そうなると、駐輪場建設のために追加で20億円以上も税金を支出しなくて済んだと考えます。
 そうなるのかそうならないのか、明確な答弁を求めます。
 あわせて、事業費570億円のうちの市営駐輪場の建設費、あるいはその割合をお答えください。

都市整備局長
 最後に、仮に東京の不動産鑑定士による鑑定通りの場合市営基町駐車場棟建設のために追加で20億円以上も税金を支出しなくて踏んだのではないか。また、事業費570億円のうち、市営基町駐輪場等の建設費、あるいはその割合はどうかについてです。
 現在、本市と広島商工会議所の財産交換に係る裁判が行われておりますが、この裁判で提出された原告側の鑑定評価書については、国土交通省に定める不動産鑑定評価基準や過去の判例から逸脱していると考えられることから、本市は不当な鑑定評価である旨の反論をしているところであり、この鑑定評価に係る過程に基づくご質問への回答は、裁判中のため、お答えすべきではないと考えております。
 なお、市営基町駐輪場等の建設費は、今後、市街地再開発事業施行者と特定業務代行者の間の契約の中で決まってくるものであるため、事業費570億円のうち、どの程度の割合を占めるものになるかは現時点でお知らせお示しできません。

【再質問】
中森辰一
 基町相生通り地区の市街地再開発事業に関して、お金を出すということについて、これは法律にあるからっていうそういう理由でしたよね。補助ができるというふうに書いてあるからやってるんだということなんですが、このやっぱり基本原則は自分のお金でやりなさいと今日国も自治体も、それは予算の範囲内でできるんですよと、補助ができるんですよって書いてあるだけなんですよ。このできる規定を最大限活用して、35%なんていうね、途方もない規模で、この民間のビルの建設に補助補助金を出している。ここが問題じゃないかというふうに言ってきたわけですよ。やっぱりこれはもう一度よく考えていただく必要があるんではないかなというふうに思います。それで、質問ですけれども今回投入される税金202億円、これはこの新しい不動産資産の価格、このビルですね。この価格の中に含まれるのかどうか。そのご認識をお答えください。それから実は朝日新聞系の2社の土地とし中基駐車場の土地の間に市道があります。この市道の上空6m余りまでは広島市が使えますということになっているんですがこの道路そのものも今回の敷地の中に含まれていて、広島市はこれからはこの道路をそして運用するために使わせてもらうんだ、無償でというふうな形に変わるということになっております。この元々の道路の所有権というのは、この新しい広島市のね、所有権というのはこの新しい市営駐輪場の取得の際に価格に反映されるのかどうか、この点を教えてください。

都市整備局長
 2点ほどご質問をいただいたかと思います。まず、202億円の補助金が全体の事業の価格にどの程度含まれるのかということだったと思いますけれども、まず補助金自体は公共性の高い施設に導入されておりましたを対象に算出し主交付しているものでございまして、具体的に申し上げますと6階部分のオープンテラスであったり、1階のオープンテラスであったりします。
 この部分の所有というのは土地部分は確か区分所有であったと思いますが、ちょっとどのようにこの財産が所有の区分がされてるのかっていうのがちょっと手元に資料がないので、正確にお答えできないので、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
 もう一点の市道の道路部分もどのように価格に含まれているのかというご質問だったかと思いますけどもうこちらも手元に資料がなくて正確にお答えできないので、先ほどの質問とあわせて後ほどお答えをさせていただきたいと思います。

中森辰一
 基町相生通り地区の問題ですけれども、これからもですね本会だけではない市街地再開発事業というのはいくつもいくつも行われていくんだろうというふうに思うんですよね。その際に、今後もこうした今回35%という規模になりましたけれども、これだけの規模のその補助金をこれからもやっていくのかどうか、あるいは今回だけのことであるのかその点をお答えいただきたいというふうに思います。

都市整備局長
 今後の市街地再開発事業への対応についてのご質問だったかと思います。今後の市街地再開発事業の対応につきましてはどのような再開発事業がなされるのかということを現出てきた時点で、その事業の内容をよく審査評価させていただいて、公共性公共性とか公益性とか、そういったものを判断させていただきながらどのように対応するのかを検討させていただきたいというふうに考えております。

3.就学援助制度などについて

中森辰一
 最後は就学援助制度などについてです。
 日本国憲法第26条第2項には、義務教育はこれを無償とすると明記されています。
 しかし現実には、給食費、学用品費、修学旅行費、体操服代、卒業アルバム代など様々な個人負担が必要で、所得の低い子育て世帯にとっては重い負担です。
 そこに行政が支援を行い、どの子にも必要な学習条件を保障するために、就学援助制度があります。
 制度の対象を、生活保護に準ずる程度に困窮状態にあるものとし、かつてはこの制度の財源の半分は国の補助金で行われていました。
 ところが、2005年に補助金が廃止され、地方交付税に振り替えられて以降、地方自治体によってそのあり方には変化が生じるようになっています。
 広島市では、生活保護世帯に準ずる状況とは生活保護基準と同等だと同等ということだとして、2022年度から制度利用のための所得基準を生活保護基準の1.0倍に引き下げたため、その当時の説明ではおよそ社人の小・中学生がこの制度を利用できなくなるとの説明でした。
 ところが下、実際には基準引き下げの前年と比較すると、3年後2024年度には制度を利用する児童生徒が4419人も減少しました。
 市教育委員会は、世帯所得の増加などが背景にあるとしているようですが、子育て世帯がどんどん裕福になっているわけではありません。
 確かにこの間少しずつ最低賃金が引き上げられており、児童生徒の保護者の家庭の収入も徐々に増えてはいるでしょう。
 しかしそれらは今の物価高騰にはとても追いつかず、生活は逆に厳しくなっています。
 そうした実態を踏まえて、制度の所得基準を引き上げなければ、実際は年々生活が厳しくなっている保護者世帯に対して、実質所得基準を切り下げたのと同じ結果をもたらし、その役割が肯定することになります。
 そのようにして制度を利用できなくなったと考えられる児童生徒が4400人を超えるという事態になってしまったわけです。
 実態として、制度の基準を切り下げる結果になっていることについて、市教育委員会はどのように認識しておられるかお答えください。

教育長
 就学援助制度などについて数点のご質問にお答えいたします。
 まず、令和4年度からの就学援助制度の認定基準の見直しが、実態として基準を切り下げ、認定者数が減少する結果となっていることについてどのように認識し、認識しているのかについてです。
 令和6年度における本市の就学援助認定者数は、認定基準見直し前の令和3年度と比較すると減少しておりますが、これは認定基準の見直しによる影響だけでなく、少子化に伴い児童生徒の全体数が減ったことや、経済情勢の変化により、所得や世帯所得が増加したことなどが大きく円居影響しているものと考えています。

中森辰一
 児童生徒の保護者たちは、この10月からは3000品目の食料品等の値上がりで、一層生活困窮が進みます。
 それに加えて、わずかな収入増に伴って、税金や社会保険料の負担まで増えているという問題もあります。
 私は、就学援助制度を運用するに当たっては、児童生徒の保護者の家庭の経済状況について、物価と生活の現実がどのように変化しているのか、十分に認識し、それを踏まえて基準を引き上げるなどの柔軟な対応を行うことによって、憲法の趣旨にのっとった学習条件の保障ができ、制度の効果を上げることができると考えます。それが教育行政教育委員会の役割ではないでしょうか。
 行政は少し収入が増えただけで税金を不増額したり、保険料を増額して徴収するだけではなくて、その中で市民生活がどのように厳しくなったか、しっかりと受け止めた施策を行うべきでしょう。
 さらに、これだけ物価が上がっているのに、就学援助利用の所得基準のもととなっている生活保護基準自体が十分に引き上げられていない問題があって、生活保護利用者の生活水準の切り下げが起きております。この点も踏まえる必要があります。
 まずは、2022年度からの3年間の児童生徒の保護者家庭の収入の状況を検証して、実態として所得基準の切り下げにならないように、基準の引き上げを行うべきだと考えます。どうされるかお答えください。
 制度を利用できなくなると、学用品費や給食費などの標準的な支給品目の合計で、小学校で約7万円、中学校で約9万円の負担が増えることになるとされています。
 特に新入学時は、新入学学用品費を加えると、小学校で約12万円中学校で約16万円と増えます。物価高騰の中、年々高額になる学用品費などは、子育て世帯には一層重い負担です。
 市は生活保護基準と同等の所得基準が準ずるということだとしておりますが、実際に生活保護利用者と同じ所得の場合、生活保護制度を利用せず、生活保護利用者と同等の生活水準を確保しようとすると税や社会保険料窓口負担などの負担が生じる分の所得の上乗せが必要です。その規模はおよそ生活保護基準の3割程度になると考えられます。
 家庭の経済状況が厳しい児童生徒に十分な学習条件を保障しようとするなら、制度利用の所得基準を生活保護基準の1.3倍程度に引き上げるとともに、全体としての賃金の引き上げ状況と物価の動向などを考えて柔軟に基準を見直し、改善を図ることが求められると考えます。どうされるかお答えください。

教育長
 次に、令和4年度から令和4年から3年間の保護者家庭の経済状況を検証して、認定基準の引き上げを行うべきではないか。認定基準を生活保護基準の1.3倍程度に引き上げるとともに、賃金や物価の動向などを考えて柔軟な基準の見直しを行うべきと考えるかどうかについてです。
 本市の就学援助制度については、認定基準の基礎となる生活保護基準額が平成元年度のままとなっていたことや、社会保険料等二重に考慮する算定式となっていたことなど課題などの課題を解消し、制度の持続性を高める観点から、令和4年度に見直しを行い、その際、認定基準の算定に用いる生活保護基準額に乗じる係数についても、1.13から1.0に変更しています。
 就学援助の認定基準を初め、社会保障など様々な施策の適用基準として用いられている生活保護基準は、全国消費実態調査のデータ等をもとに、物価変動所得や消費の実態が反映されたものと認識しております。
 こうした中、令和5年10月に生活保護基準が見直された際には、就学援助制度においても、令和6年度申請分から見直し後の生活保護基準を算定式に用い、認定基準の引き上げを行っています。
 また、本年10月にも生活保護基準が見直されたところであり、それを踏まえて、令和8年度申請分から認定基準の引き上げを予定行う予定としております。
 さらに、仮に一時的な収入激減があった場合には、個々の生活実態の聞き取りを行った上で、制度の適用対象とするなど、きめ細やかな対応を行っているところであり、現行の制度を適切に運用していきたいと考えております。

中森辰一
 行政が、市民から税金を集める意味は、それを有効に活用して、特に社会保障制度の充実を進め、今の資本主義社会でどうしても生じる格差を縮小し、市民全ての生活の底上げを行うことにあります。
 就学援助制度はそれに対応する制度の一つで、憲法26条にある。等しく教育を受ける権利を保障するためのものだと考えます。
 国と自治体が一緒になってこの権利を保障するために制度を拡充
することが必要です。
 国に財源負担の拡大を求めるとともに、市としては、税収が増えているのですから就学援助の対象の拡大と内容の拡充に取り組むべきです。
 そもそも、市が就学援助制度の認定要件を見直した理由は、歳出削減のためでした。
 全ての事務事業を見直すとしながら、機材開発は聖域とされ、市長は広島駅南口再整備の事業費が約160億円も増額された際には、「どんなことがあっても断固やりぬく」と議会で発言されました。
 先ほど指摘したように、借金をしてまで民間のビル建設に巨額の税金を投入します。
 しかし、本来市長が断固やるべきことは、未来を担う子どもたちの育ちに責任を負う自治体として、全ての子どもたちに等しく教育を保障するとともに、よりよい環境の中で、学ぶことができるように、就学援助制度の改善、学校での学用品費や学用品を学校が用意すること、あるいは特別教室や体育館へのエアコンの設置など教育条件の一層の改善整備に取り組むことであり、教育委員会はその立場で積極的に施策を提言し、市町に実施を要請するべきではないでしょうか。
 以上について、市教育委員会のお考えをお聞かせください。
 以上一般質問といたします。ありがとうございました。

教育長
 最後に、全ての子どもたちが等しく教育を保障されるとともに、よりよい環境の中で学ぶことができるよう、教育委員会は積極的に施策を推進すべきと考えるがどうかについてです。
 教育委員会では、これまでも教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上、および地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、本市教育行政の推進に取り組んできており、子どもたち1人1人の個性特性が尊重され、これからの社会を担う人材として、確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく備えた心身ともにたくましく思いやるが、思いやりのある人へと成長していくことができるよう、引き続き必要な予算や人員体制の確保に努めてまいります。

【再質問】
中森辰一
 就学援助制度の問題ですけれども、私が言ったのはですね、この何らかの施策の対象所得基準で線引きをしていて、して、やってるわけで運営してるわけですけども今みたいにですね物価がどんどん上がって、賃金の収入もとても追いつかない。こういう中に行って、実質生活が厳しくなってきているそうであるのですがそういう状況に合わせて、やっぱりその基準も柔軟に見直しをすることが必要ではないかということを提起したんです。実際に基準のもとにしている生活保護基準、確かにちょっとだけわかりましたよ。こんだけ物価が上がっている食糧費が上がっているのにですね。例えば100円ですよ1人これでどうするどうするというんだというふうに、下実際にその生活を受けている人たちは言っておられますよ。そういうものを基にしてあくまでもここにこだわるということじゃなくて、実態を見て柔軟に対応した方がいいんじゃないですかということを聞いたわけですよ。そうしないとですね、やっぱり暮らしの実態そういう保護者の家庭の実態暮らしの実態に合わせて、やっぱりこの制度を適用していくという。本来の制度の意味が弱まっていくじゃないですか。そのあたりの考え方をもう一度お答えください。

教育長
 就学援助制度についての再質問でございます。
 令和4年度から本市の制度を見直した際の考え方につきましては昨年度、先ほどもご答弁した通りでございましてこれまでも、答弁申し上げているところでございますが、その上で本市における全児童生徒数に対する就学援助の認定者数の割合を示す認定率につきましては、制度の見直し後におきましても、全国平均に比べると引き続き高い水準で推移しておりまして、他の自治体の生徒に比べて直ちにこの認定基準の見直しが必要な状況にあるとは考えていないということで申し上げました。
 それでそもそも国の生活水準が低いのではないかというお話もございましたけど、本来これは国が国民に対して保障する最低限の生活水準を確保するという観点から、その水準の妥当性などについて議論されるべきものであるというふうに考えておりまして、国に対しては、物価高騰の状況や地域の生活実態を踏まえた見直しを図るよう、全国市長会等を通じて従来から要望しているところでございます。
 こうした中で、今国におきましてはですね、既存の個々のいろんな支援策だけでは、昨今の物価高騰に対する国民生活への支援が十分行き届いていないという判断から、今大規模な経済対策を講じようとされていると理解しておりますので、本市としてはまずはこうした財源も最大限に活用させていただきながら支援の充実を図っていくことが重要であると考えております。

中森辰一
 それからその教育委員会ですけれども、私は今のような状況の中で必ずしも生活保護基準というのが、暮らしの実態を反映しているとは限らないというふうに思っています。その点でいうと、生活保護基準にあくまでもやっぱりこだわるんじゃなくて、実態をきちんと見てですね、それで独自の基準というものを作ってもいいんじゃないかなというふうに思っておりますのでその点のは検討できるのかどうかその辺を教えてください。

教育長
 就学援助制度を認定基準につきまして、現状において正しい見直しが必要な状況にあるとは考えておりませんが、今後の国の動向なり他都市の動向などを踏まえながら、必要に応じて検討することは可能であると考えております。

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