議会での質問・答弁

2025年10月28日

2025年第4回 10月臨時会 決議案討論 中村たかえ

決議案第4号 ガザ地区を始めとする中東地域の平和的解決を求める決議案

 近年、ガザ地区をはじめとする中東地域において、紛争により多くの市民の命が奪われ、生活の基盤が破壊される深刻な人道危機が続いている。
 とりわけ子供や高齢者、一般市民といった罪のない人々が犠牲となり、その数は6万7000人を超える。しかも、このうち8割以上が民間人だとの調査報告もあるなど、安全と生存が脅かされている現状は極めて憂慮すべき事態である。
 本市は被爆の惨禍を経験した都市として、いかなる場所においても人命が軽んじられることを許さず、世界恒久平和の実現を希求してきた。戦争や報復の連鎖によって新たな悲しみや苦しみが生まれることを断じて許してはならない。
 本市議会は、関係当事者および国際社会に対し、一刻も早く暴力の応酬を停止し、国際人道法を遵守した上で、対話と外交による平和的解決を強く求める。また、避難民や被災市民の命を守るために、生きるための人道支援、とりわけ食料、医療、水、衛生などの基礎的な支援、基礎的支援を早急に実施し、支援物資の搬入と配布を安全かつ持続的に確保することを要請する。
 そのためには、国際社会が監視と検証の体制を強化し、支援活動が妨げられることのないよう環境を整備することが不可欠である。
 さらに国際連合が主体的な役割を果たし停戦合意が着実に履行されるための強固で実効性のある国際的な枠組みの構築を強く求める。
 本市議会は、被爆地広島の名において、世界の全ての人々が恐怖や暴力におびえることなく、安全と尊厳を持って生きられる未来の実現を願うものである。
 以上決議する。


討論

 日本共産党の中村たかえです。党市議団を代表して、決議案第4号ガザ地区を始めとする中東地域の平和的解決を求める決議案に、意見を付して賛成の立場で討論を行います。
 今年10月10日、パレスチナのガザで2年以上にわたって続いた非人道的な虐殺行為を終わらせるための重要な一歩となりうるイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意が行われました。
 これは多くの国際社会の声に応えたものであると言えます。
 しかし、報道によると、ガザ地区保健当局は、10月16日にイスラエル軍の砲撃により、少なくとも7人が死亡したと発表。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関によると、イスラエルは依然として人道支援物資の搬入を妨害しているとのことです。
 そのもとで、パレスチナガザ地区を支援してきた41の国際NGOは抗議声明を発表し、人道アクセスは国際法上の義務であり、停戦の恩恵として与えられるものではないと指摘しています。
 停戦合意後の戦闘行為および人道支援物資の搬入を妨害するイスラエルの行為に怒りを込めて強く抗議するものです。
 もう一つ強調しなければならないのは、イスラエルの非人道的で国際法違反の蛮行を支援した国がアメリカであるということです。
 アメリカ政府はロシアのウクライナへの無法な侵略行為を非難する一方で、パレスチナの人々を蹂躙し続けているイスラエルの擁護を続けています。
 とりわけ深刻なのは、トランプ政権になって以降、パレスチナ連帯を反ユダヤ主義と決めつけて、言論統制を強化していることです。
 日本政府は、このアメリカ政府のダブルスタンダードに追随の立場です。
 今年7月、国連総会で日本も含めた142カ国が賛成したニューヨーク宣言では、パレスチナの公正で平和的な解決の道は、パレスチナとイスラエルがそれぞれ独立した主権国家として共存する二国家解決だと宣言しました。
 そのため、パレスチナの国家承認はその不可欠な要素だと宣言は強調しています。
 パレスチナの国家承認は、パレスチナに連帯し、イスラエルを国際世論で包囲し、蛮行をやめさせる意思表示そのものです。既に国内加盟国の8割が国家承認をすると表明しています。
 日本政府はニューヨーク宣言の二国家解決に賛同しておきながら、さきの国連総会では、アメリカ政府の意向を汲んで国家承認を見送りました。
 こうした状況のもとで、国際平和文化都市を掲げる被爆地広島の市議会が、イスラエルとイスラム組織ハマスの双方と国際社会に平和的解決を求め、難民支援を含めて早急な人道支援を呼びかける本決議案は、重要な意義を持つものです。
 政府によって起こされる戦争を繰り返さないことを誓い、平和と自由と人権を尊重する国際社会の一員となることを決意した日本国憲法を持つ日本政府は、アメリカ政府の顔色をうかがい忖度することなく、国際社会と一致して、イスラエルの国際法、人道法違反蹂躙を許さない強い姿勢が必要です。
 その意見を述べて賛成討論とします。
※全会一致で可決

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