議会での質問・答弁

2025年10月02日

2024年度決算特別委員会 全体会議 総括質疑 中村たかえ

1.広島市行政について
(1)ジェンダー平等の実現について
(2)会計年度任用職員について
(3)指定管理者制度について
(4)市民生活の支援について

1.広島市行政について
(1)ジェンダー平等の実現について

中村たかえ
 会派を代表して総括質疑を行います。広島市行政について全体視点でお聞きしていきたいなと思っています。
 まずはジェンダー平等の実現についてです。
 広島市は国際平和文化都市の具体化として、大きく三つの目標、「世界に輝く平和のまち、国際的に開かれた活力あるまち文化が息づき、豊かな人間性を育むまち」を掲げておられます。
 さらにそれらを補強する上で、広島市男女共同参画推進条例の前文では、こうした平和を平和の定義としても、「紛争や戦争のない状態だけを言うのではない。全ての人が差別や抑圧から解放されて初めて平和と言える。男女においては、性別による差別がなく、対等のパートナーとして責任を分かち合い、個性や能力を十分に発揮できる社会を実現することが必要である。
 それは本市が目指す国際平和文化都市に欠かせない要件の一つであり、これまで各種の取り組みが行われてきた」とあるように、こうした視点で2020年から2024年の5年間で取り組まれ、今第3期が始まっていますが第2期、世界に誇れるまち広島創生総合戦略が策定されて、取り組まれました。その中で持続可能な開発目標、SDGsの17のゴールを達成することも掲げられております。
 そうした観点から、改めてジェンダー平等社会実現への取り組みの状況をお聞きいたします。

男女共同参画課長
 本市では、第3次広島市男女共同参画基本計画に基づき、人権が尊重され、対等なパートナーシップのもと、1人1人が多様な個性や能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を実現するために、様々な政策を展開しています。
 そして、第2期、世界に誇れるまち広島創生総合戦略においては、重要業績評価指標として、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性活躍の推進に取り組む企業数、固定的な性別役割分担意識を持たない市民の割合などを設定し、働く場における男女共同参画の推進や男女の人権を尊重する市民意識の醸成などに取り組んできました。
 具体的には、女性活躍の推進や働き方改革に積極的に取り組んでいる企業を広島市男女共同参画推進事業者として表彰し、受賞企業の先進的取り組みが他の企業にも広がるように努めた他、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定セミナーや相談会を開催し、個々の企業の課題解決や女性活躍を推進する行動計画の策定を支援しました。
 また、人々の意識の中に依然として根強く残っている男女の固定的性別役割分担意識は、男女共同参画社会の形成の大きな障害となっています。
 このため、男女共同参画に関する広報啓発活動の充実を図るとともに、広島市男女共同参画推進センターゆいぽーとにおいて、男女1人1人の自立と社会参画および課題解決のために必要とされる知識技能を習得するための学習研修サービスを提供するなど、ジェンダー平等の推進に資する取り組みを積極的に行っているところです。

中村たかえ
 全体的なジェンダー平等の取り組みをお聞きしました。
 ジェンダー平等の広島市の実現に向けては、各局がもう既に日々取り組んでおられることだと思います。
 その中で特に女性の声がちょっと届きにくい分野でもある都市整備や経済観光の分野でジェンダー平等をどのように位置づけ、施策に反映させてきたか教えてください。

経済企画課長
 先ほど男女共同参画課長が答弁しました通り、本市では全庁挙げて、第3次広島市男女共同参画基本計画に基づき、1人1人が多様な個性や能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を実現するために、様々な政策を展開しております。
 経済観光局では、創業時に必要な基礎知識を学ぶ研修会や窓口相談、低利の融資制度等の総合的な支援を行う創業チャレンジベンチャー支援事業などの施策を行っており、性別に関わらず誰もが個性や能力を十分に発揮できるジェンダー平等なまちの実現を目指して取り組んでおります。

都市整備調整課長
 都市整備局では、市営住宅入居に係るDV被害者に対する優遇措置の実施などの政策を講じております。
 今後も性別に関わらず、平等に機会が与えられるというジェンダー平等の考えを念頭に置きながら政策を進めていきたいと考えています。

中村たかえ
 ありがとうございます。全庁を挙げてジェンダー平等を位置づけておられるということを改めて確認させていただきました。
 具体的に男女共同参画とかジェンダー平等っていうふうに名前を冠しなくても、日々の業務で意識されてるっていうことは本当に大事だなと思います。
 その上で改めて強調ですが、このSDGsを推進する上で、国際平和文化都市を築く上で人権の尊重とジェンダー平等は本当に横断的に実現されなければならないものだと思います。
 女性差別をなくし、男性も女性も、あらゆる性の人が抑圧や差別を受けずに生きていけるっていうことは、誰もが自分の力を発揮し、社会を支えるっていうことになります。
 これは本当に持続可能な発展をするために重要だっていうことで、国連でも高く位置づけられています。
 あれこれの目標や課題っていうのは当然ありますがそうした点では、ジェンダー平等の実現がSDGsの達成には不可欠だ、それが世界共通の認識でもあります。
 そこでお聞きします。創生総合戦略で、ジェンダー平等が位置づけられていない基本目標と施策があるように見受けられるんですが、なぜなのか教えてください。

政策企画課長
 委員の御指摘は、総合戦略において、参考資料として掲載している基本目標とそれに基づく施策達成を目指すSDGsのゴール対応表の記載に関することと認識しておりますけども、この対応表は市議会で議論いただきながら議決を得て、令和2年6月に策定いたしました第6次広島市基本計画において整理した、計画に掲げる施策により達成を目指す主なSDGsのゴールを掲載したものです。
 よってここに位置づけていない施策がジェンダー平等に係るSDGsのゴールと全く関係がないというものではございません。

中村たかえ
 ジェンダー平等と関係ないと思っていないということが改めてわかりました。
 ただそこで言うとですね、基本目標2の「国際的に開かれた活力あるまち」のところに、具体的なゴールとして設定されてないっていうことなんですよね。
 別に軽んじてるわけじゃないっていうことは大変重要なんですが、改めて強調する必要があるんじゃないかなというふうに思ってます。
 おさらいにもなりますが、ジェンダーというのは、社会的文化的に作られた性別による差、いわゆる性差です。
 男らしく女らしく、男はこうあるべき、女はこうあるべきと性別によって、あるべき姿や役割を決めつけるないし押し付ける性別役割分担は、性別による差別を強化します。
 特に女性が家事育児に従事するべきだという見方は、結局稼ぐのは男性だということになり、女性も男性も自らの生き方を自由に選ぶことが困難になります。
 ジェンダー平等は女性を優遇することが目的ではなく、女性も男性もあらゆる性の人も誰かに踏まれずに生きていけることが目的です。
 しかし、ジェンダー平等と聞くと、そこで思考停止し、女性のことや性的マイノリティのことだけやればいいと思う方も残念ながら少なくありません。
 そこでお聞きします。ジェンダー平等といった場合、安易に女性目線、女性活躍と狭く捉えておられるのではないか、特定の部署だけで取り組むこととなっていないか懸念しています。
 市としてジェンダー平等をどのように位置づけておられるでしょうか教えてください。

政策企画課長
 ジェンダー平等については女性が生き生きと活躍できることはもとより、性別によることなく対等のパートナーとして責任を分かち合い、誰もが個性や能力を十分に発揮できるような状態であるというふうに考えております。
 そうした状態を作り出していくためには、本市のあらゆる部署が所管の政策について、ジェンダー平等の視点を持って取り組んでいくことが重要であると考えており、先ほどの委員からの質問に対して、関係課長からも答弁申し上げました通り、その実現に向けて、特定の部署だけでなく、各局で取り組んでいるところでございます。
 また、今年度計画初年度とする第3期、世界に誇れるまち広島創生総合戦略の重点プロジェクトとして掲げた地域創生のまちづくりにおいては、女性が生き生き活躍できるジェンダー平等なまちを四つの柱の一つと位置づけて、全庁的に取り組みの充実を図っているところでございます。

中村たかえ
 先ほど紹介された地域総出のまち作りの四つの柱、その四つどれもが大事なんですがその中に、ジェンダー平等を高く掲げているっていうことは本当に歓迎しています。
 ただ同時に、男女共同参画課長も言われたかと思うんですが固定的な性別役割分担のこの意識っていうものを乗り越える必要があるんだと思うんです。
 未だに女性は家事育児なんなら介護も担うというような意識が社会的にまだ強くあり、女性が社会と関わり働くことになれば、稼ぐ男性稼ぐ夫を補助する程度の仕事、それでいいという見方もされ間されている状況です。
 これまで女性が多くを担ってきたケア労働の場も、その専門性が軽視されがちです。
 そのため給与が全産業平均よりも少なく、さらに非正規で働くことも多くなります。
 そのもとで女性が自立して生きていく経済力を持つことが困難な状況も多数起こっている状態です。それは男性が家族を養わなければならないプレッシャーとも表裏一体です。
 ジェンダー平等の土台は、男女の賃金格差をなくすことが欠かせないという理由はここにあります。
 その点で、女性が多く働く公共の職場での官製ワーキングプアをなくすことが必要になってきます。

(2)会計年度任用職員について

中村たかえ
 そうした視点で会計年度任用職員や指定管理者制度のもとで働く非正規職員についてお聞きしていきます。
 まずは会計年度任用職員についてです。令和6年度の会計年度任用職員の人数と人件費に占める割合はどのようになっているでしょうか。
 また会計年度任用制度が始まった令和2年との比較を教えてください。

人事課長
 会計年度任用職員の人数は、令和2年4月時点の5640人に対し、令和6年4月時点では5641人となります。
 また人件費全体の決算に占める非常勤職員の非常勤雇用の職員の人件費の割合は、令和2年度の11.8%に対し、令和6年度では15.3%になっています。

中村たかえ
 職員の実数がすごく増えてるわけじゃないのに、この人件費が占める割合が高くなっている理由っていうのを教えてもらえますか。

給与課長
 ここ数年の職員の給与改定に伴う人件費の増であると考えております。

中村たかえ
 処遇について改善が進んでいるっていうことがわかりました。これはまた後で教えていただきたいと思います。
 ただ、この処遇改善も進んでいるから人件費の割合も高くなっているというふうに受けとめたんですが、それをもって非正規の職員の暮らしが安定しているとは言えません。
 次の質問なんですが、年度途中の退職や定年退職に伴う正規職員の欠員の解消っていうのはどのように対応されてるんでしょうか。

人事課長
 いずれの場合におきましても、正規職員で補充することとしており、そのため必要な職員数を採用しております。

中村たかえ
 正規職員の欠員は正規職員で補充している、それは本当に重要なことだと思います。
 安定的に職員の育成や技術の継承ができるように引き続き努力していただきたいですし、職場によってはそれが困難な場合もあるかもしれませんが、できるだけ会計年度で穴を埋めるようなことをせずに、引き続き対応していただきたいと思います。
 会計年度任用職員さんが多い職場のいくつかの状況を教えてください。
 保育園の給食調理員だとか保育士のフルタイム任用職員さんが正規職員の代替要員になっている状況があるんじゃないかということを思っているんですが、そのあたりどうでしょうか。
 また正規の給食調理員がいない保育園は何園あるんでしょうか、教えてください。

幼保企画課長
 保育園等におきましては、令和2年度からの会計年度任用職員制度の導入に合わせて、正規職員が担う業務と会計年度任用職員が担う業務を整理しました。
 具体的にはまず、保育士については、正規職員は保育計画の企画立案等を行うクラス運営の責任者としての役割を担い、フルタイム勤務の会計年度任用職員は、正規職員と連携しながら保育計画に基づく日々の保育を実施する役割を担うこととしています。
 次に、給食調理員につきましては正規職員は提供食数が多く、従事する調理員も多い大規模な保育園において短時間勤務の会計年度任用職員を統率して調理業務を行う責任者としての役割を担い、フルタイム勤務の会計年度任用職員は正規職員が配置されていない保育園に1園当たり2名を配置し、相互に連携協力して、短時間勤務の会計年度任用職員とともに、調理業務を担うこととしています。
 なお正規職員を配置していない園は43円です。
 このように保育士および給食調理員、それぞれについて正規職員とフルタイム勤務の会計年度任用職員がその役割を果たしながら職務に当たることによって、保育および給食の安定した提供体制を構築しているところであり、フルタイム勤務の会計年度任用職員が正規職員の代替となっているという状況にはありません。

中村たかえ
 先ほどフルタイム任用職員さんが保育に当たるときは日々の保育にあたっていると、正規雇用の保育士さんは、計画立案を行って役割分担をしているんだっていうことを言われました。
 ただ状況によっては担任が正規保育士さんで、副担任が会計年度任用職員だっていうこともあると思うんです。
 担任の方が育休や産休を取った際、担任の役割を結局会計年度任用職員さんが担うことになるんだと思うんです。
 やっぱりそういうときに先ほどの説明だったら役割分担だって言われましたけど、対子どもの場面においては、市が決めたその役割分担が通用しない場面もあると思います。
 やはり正規保育士を増やすっていうことも重要ですし、給食調理員さんも提供数の大小だけではなくて、そこに目の前に子どもたちがいるっていう場でやっぱり責任を同じような責任を負っているっていうことは認識する必要があると思います。
 放課後児童クラブと児童館についてもお聞きしたいと思います。
 放課後児童クラブおよび児童館の指導員さん、あと市民課出張所業務推進員さんの役割について教えてください。

放課後対策課長
 児童館は、放課後等の児童の安全安心な居場所として、健全な遊びを通して、児童の健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とした施設です。
 また、放課後児童クラブは、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に対して、遊びや生活の場を与え、児童の健全な育成を図ることを目的としています。
 こうした目的を持った児童館および放課後児童クラブの指導員は、児童の自主性や社会性、創造性を高めるような遊びや季節行事などを企画立案、実施するとともに、児童に対し、集団の中での遊びへの意欲や態度、基本的生活習慣等を身につけさせるための指導や援助などを行う役割を担っています。

区政課長
 市民課出張所業務推進員は窓口等において、住民票の写しおよび戸籍関係証明等の請求受付・交付や、住民異動届および印鑑登録等の各種届け出の受付処理など、各種行政サービスの基礎となる市民の個人情報を取り扱う重要な役割を担っています。

中村たかえ
 それぞれ重要な役割があるということを説明していただきました。
 とりわけ、放課後児童クラブ、児童館の指導員さんは子どもの成長に欠かせない、本当にかけがえのない役割を担われています。が、全員が会計年度任用職員さんです。
 市民課出張所業務推進員さんは、説明があったように、行政サービスの基本情報を取り扱う、個人情報を取り扱う大変重要な業務を担われています。
 こうしたところで、専門性や業務内容の重要性を十分評価すべきだということも強調したいと思います。
 やっぱりこの保育園だとか放課後児童クラブ、児童館、とりわけ子どもに関わるところで同じような責任を果たしているのに、片方は非正規で、片方がフルタイムで、もちろん先ほど役割分担のことも言われましたが、子どもに向き合うっていう重さは変わらないと思います。
 そのあたりは引き続き認識をいろいろ聞いていきたいと、今後聞いていきたいと思います。
 同じように、会計年度任用職員さんが多い職場の消費生活相談員さん、高い専門性を持って資格国家資格などもお持ちです。
 こうした消費生活相談員さんや認定調査員の令和6年度の欠員状況を教えてください。

人事課長
 いずれの職種においても、令和6年度末時点で欠員はありません。

中村たかえ
 欠員が出ないように引き続き努力していただきたいのと同時に、あわせて強調しておきたいのは、消費生活相談員も認定調査員も国家資格など公的な資格を持って、高い専門性や知識に基づいて業務をされています。
 しかもどちらも個別性の高い判断が必要になる大変高度な業務を行う分野でもあります。
 少ない人員のもとで新しい人に業務を教えながら日々の業務に当たるのは大変だという声も聞いてます。
 そこに欠員があるようだと、専門的な技術や培ってきた経験の継承にも支障が出かねません。
 でもそもそも専門性が高いにも関わらず、非正規であれば、万が一欠員が出た場合の解消も大変厳しいものになると思います。
 当然今回お聞きした職種以外にも重要な役割を担われている会計年度任用職員さんがたくさんおられます。
 正規職員も会計年度任用職員も市民生活を支える重要な仕事に変わりはないし、なんなら、先ほど紹介した職場は会計年度任用職員さんが支えられています。
 そうしたもとで、広島市は政令市の中でも、とはいえ、会計年度任用職員の処遇改善に努力されているところだと思います。
 そこでお聞きしますが、これまで会計年度任用職員についてどのような処遇改善をしてこられたのか教えてください。

給与課長
 令和2年度の会計年度任用職員制度の導入に当たっては、その処遇について関係者との協議結果を十分尊重し、制度導入前の非常勤職員のときと同様に、65歳に到達する年度まで、再度の任用を可能とするとともに、職務経験を考慮した給料の格付けや昇給の実施、休暇制度や社会保険の適用など、その勤務条件を改善したところです。
 その後も可能な限り手厚い処遇となるよう、毎年関係者と十分な協議を行い、令和4年度以降は常勤職員の給与改定率を大きく上回る報酬の引き上げを行うとともに、昨年度からは常勤職員と同じ月数の勤勉手当を支給するなど、適切に対応してまいりました。

中村たかえ
 多くの政令市で再公募の制限を求めたり、いろんな制度が正規雇用よりも不十分だということがある中で、そういった再公募の制限も設けない。できる限り処遇を良くするんだっていう、そういう努力はわかりました。
 だからこそなんでこんなに非正規雇用にこだわるのか、正規職員としないのかっていうのも疑問です。
 とりわけ専門性の高い業務にも関わらず、非正規だっていうことで保育士さんなんかもか人員の確保も困難だっていう状況があると思います。
 そういった場面を見れば、会計年度任用職員さんの処遇改善を努力しているっていうだけでは収まらないことがあるんじゃないかと思います。
 職場を良くしていこう、市の施策をしっかり進めていこうっていうときに働く皆さんが心から力が合わせられるっていうように、どの職種も業務内容や責任に見合う処遇をまず正規職員だっていうこともあると思いますが、正規職員にするべきだと思いますが、そのあたりいかがお考えでしょうか。

人事課長
 本市では、会計年度任用職員制度を導入する際に、全ての非常勤職員および臨時職員について、職の再設定を含む抜本的な見直しを行い、個々の業務の内容や責任の程度などを踏まえた職務の性質により、正規職員と会計年度任用職員の役割分担の整理を行いました。
 今後も正規職員と会計年度任用職員の役割分担のもと、適切な任用形態の職員を組み合わせながら、効果的かつ効率的な執行体制を確保していきたいと考えています。

中村たかえ
 先ほども処遇改善の取り組みも教えていただきましたし、この間の役割分担の整理をしたんだということも、この間もお聞きしてます。
 とはいえやっぱり同じ職場で同じ業務を行うこともあると思います。
 とりわけ、直接市民と接する職種であれば、市民から見れば、正規も非正規も同じ市の職員さんです。しかしそこで処遇の面では差がついている。
 これは市の現場だけではなくて全体的なことですが、非正規の職員の側から見て、正規職員との心理的な溝は深いものがある。このあたりはぜひ認識していただきたいと思います。
 児童館、先ほどもお話聞きましたが、会計年度任用職員の処遇改善していると言われても、館長さんも非正規
です。
 である職員の方は新しい人が入ってきても、館長の給与水準を知ると、働き続ける展望がなくなると言われた。そんな話をお聞きしました。
 専門性もあって、経験が重視される職場で長く勤めることに希望が持てない状況があるっていうのは、大変問題だと思います。
 専門性や責任、勤務年数に見合った待遇を実現して、市の行政や関連職場で働く職員の皆さんが、生き生きと働き続けられる環境、生活できる賃金にする。その上で、市民サービスの更なる向上を目指していただきたいと思います。

(3)指定管理者制度について

中村たかえ
 次に市の施設を管理されている指定管理者のもとで働く職員さんたちについてお聞きしたいと思います。
 まずは昨年度の指定管理料の追加措置の内容と決算額
を教えてください。

分権業務改革担当課長
 指定管理者の責めに帰すことができない不可抗力に該当するものについては、指定管理者が適切に施設を管理運営することができるよう、指定管理料を追加し措置しており、令和6年度は、光熱水費の高騰に伴うものが4億833万3000円、利用料金の減収に伴うものが231万2000円となっております。

中村たかえ
 ちなみにこの利用料のところで231万っていうのは、これ具体的に聞いてもいいですか。

分権業務改革担当課長
 こちら利用料の減少分を追加措置いたしましたのは、広島国際会議場になりまして、こちらは施設の特性上、国際会議の調整などは、2年前、3年前から行うということになりますが、この2年3年前というのが、まだ新型コロナウイルスの感染拡大時期とか重なっていたということで、こういった大きな国際会議とかが誘致できなかったというところについては指定管理者の責めに負うことができないということで、不可抗力として整理したものです。

中村たかえ
 先ほどの水光熱費も本当に急激な物価高騰なので、不可抗力だと。でも、いろんな事情で利用料の減収分も不可抗力だということで措置がされたということはわかりました。
 本当に物価高騰は市民生活だけでなくこうした施設の運営の場面でも大きな影響が与えられています。
 指定管理者制度において水光熱費はわかりました、あの物価高騰は、水光熱費以外のものも上がってます。この間賃金上昇もあります。その場合その分の確保っていうのはどうなってるんでしょうか。
 安定的に人員が確保できる人件費っていうのは、確保はそれぞれの施設でできているんでしょうか教えてください。

分権業務改革担当課長
 指定管理料は施設ごとのこれまでの管理の実態等を踏まえつつ、昨今の賃金上昇や物価上昇の状況、新たな業務の追加などの特殊要因を考慮して、市が設定した上限額の範囲内で、指定管理者が提案した額をもって決定していることから、既存の指定管理料に含まれているものと考えております。

中村たかえ
 なので施設の方で提案された額なんだっていうことだと思うんですけど、ただやっぱりさっき言われたように物価高騰は、本当に予想ができないぐらい今もう続いてます。
 やっぱそういう点で修繕費を節約したり、敷地内の植物の剪定も自分たちで取り組んでいるというような実態もあると聞いてます。
 そうした場合ですね、やっぱり市民サービスの維持のためには、人件費や施設修繕費に対応できるように、そうはいっても期間内の管理料の増額っていうのは必要なんじゃないでしょうか。どうお考えでしょうか。

分権業務改革担当課長
 先ほどご答弁しました通り、指定管理料は施設ごとのこれまでの管理の実態等を踏まえつつ、特殊要因を考慮して市が設定した上限額の範囲内で指定管理者が提案した額をもって決定しております。
 この施設の実態等というところに先ほどの工夫されているという事例というところが予見可能かどうかっていうところであると、そういった業務についてもこれまでの実態等を踏まえて、予見して提案していただくものだと思っております。
 このため、指定管理料には施設の適切な管理運営に必要となる人件費や修繕料も含まれているということから、原則規定の指定管理料の範囲内で対応されるべきものと考えております。

中村たかえ
 予見をするべきだっていうことだと思うんですけど、
令和6年度は道路や施設建設の公共事業において、賃金上昇分を含めた契約額の増額を行った議案が7件だったかと思いますが、増額分が全て賃金上昇分とは言いませんが、少なくとも何らかの手当がこの間されてきました。
 公共の仕事をしている、同じように公共の仕事をしている指定管理者も賃金上昇分は補填されるべきだと思いますが、そのあたりを教えてもらえますか。

分権業務改革担当課長
 公共工事につきましては、当初の契約の際に、賃金上昇等を見込んでいないため、変更契約を行っておりますが、指定管理料につきましては、賃金上昇や物価上昇等を考慮して市が設定した上限額の範囲内で指定管理者が提案した額をもって決定していることから、原則規定の指定管理料の範囲内で対応されるべきものと考えております。

中村たかえ
 ちなみに管理料に物価や賃金上昇分っていうのは、この間どれぐらいを見込んでおられるんでしょうか。

分権業務改革担当課長
 昨年度に選定を行った施設における指定管理料の上限額は、日本銀行が物価安定の目標を、消費者物価の前年度比上昇率を2%と定めていることや、昨今の物価上昇の状況を踏まえ、今後の物価上昇分として、令和5年度決算額を基準に指定管理料全体で毎年度2%の上昇を見込んで設定しております。

中村たかえ
 物価の上昇率もあるんですけど、最低賃金の引き上げ率もあると思うんですよね。
 それでいうと、2024年の最低賃金の引き上げ率は5.15
%だったと。初めて広島市の産地最賃が1000円を超えました。物価は大体2%上昇することを見込まれたっていうことなんですけど、賃金のところでいうと毎年3%ぐらいの賃上げが進められています。
 でも今年度で言えば6.37%だと。最賃すれすれの賃金でなくとも、最賃が上がれば事業者も賃上げが労働者から求められると思います。
 やっぱり結局物価高騰に見合った賃金にしなければ人が定着しないっていうことだと思うんですよね。
 人件費分の管理量が不足すれば、他と比べて賃金となって人員確保にも影響が出るんだと思うんです。
 ちょうどこれも確認なんですけど、先日の経済観光環境委員会で指定管理者の業務実施状況の報告がありました。中小企業会館や湯来ロッジはいろんな事情がありつつ自己資金が繰り入れられています。
 これも事業者がやるべきことでいいんだっていうふうにお考えなんでしょうか。

分権業務改革担当課長
 繰り返しとなりますが指定管理料は施設ごとのこれまでの管理の実態等を踏まえつつ、昨今の賃金上昇や物価上昇の状況新たな業務の追加などの特殊要因を考慮して市が設定した上限額の範囲内で指定管理者が提案した額をもって決定しております。
 また、本市と指定管理者の間で締結する基本協定書において、指定管理業務の実施に係る本市および指定管理者のリスク分担を定めており、賃金上昇や物価上昇等の維持管理コストリスクや利用者減などの需要リスクについては市指定管理者のリスクとしております。
 このため、収支不足を先ほどご紹介があった施設で起こった諸要因については、管理経費の増加だけでなく、利用料金収入の落ち込みなどそれぞれの施設によって様々な理由があると考えますが、いずれにしても、不可抗力と認められるものを除き、原則規定の指定管理料の範囲内で対応されるべきものと考えております。

中村たかえ
 最初の契約の時点で公共事業として管理者制度の違いがあるってことはわかりました。
 しかし物価高騰が終わりが見えません。あの指定管理者は、途中から増額をしてほしいっていうことは言い出しにくいものがあると思います。
 そうなると結局人件費が減らされたり、そして人がいなくなれば市民サービスが低下をする、こういう懸念は残ります。
 指定管理者が運営されている施設で、図書館司書さんや学芸員さんなど多くの専門性の高い職員さんも非正規雇用で働いておられます。
 文化や学術活動を支える人たちがこうした不安定雇用の非正規のままっていうのは文化や学術を軽視していると見られかねません。
 さらに専門的知識や経験が断絶してしまうような事態が起こったり、人員確保にも困難が生ずることもあると思います。
 ある図書館司書さんは文化で自立した市民を育てるっていう職場に誇りを持っているっていうことを話してくれました。
 ただ、若い司書さんが入ってきても低い処遇を理由に、すぐに転職してしまうんだということに危機感を持たれてます。
 やっぱり物価に見合った給与にするっていうことが必要なんだと思います。
 市の代わりに公共施設を維持されている、とりわけ専門性の高い分野に対して、その専門性へのリスペクトを言葉だけじゃなくて具体的に示すことも必要なんだと思います。
 その点で、専門職を正規雇用として雇えるようにする、そのための人件費の保障も必要だと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

分権業務改革担当課長
 施設を適切に管理運営するにあたって、職員をどのような形態で任用するかは、指定管理料の範囲内で個々の職員の業務の内容や責任の程度などを踏まえて、各事業者が判断すべきことであると考えております。

中村たかえ
 各事業者が判断するのは確かにその通りなんですけど、やっぱり市の施設を担っているっていうところに、市も責任を一緒に分かち合うということが必要だと思います。
 でも改めてですがこうした指定管理者制度のもとで臨時職員として市民サービスの前線を担っておられる。人の多くは女性だと思います。
 結局、家事育児介護とさらに仕事をしようと思ったら、フルタイムで働くことが難しい。だからそれをニーズって言うのは事実ではあるけれども女性が置かれている状況の理解がちょっと弱いと言わなければなりません。
 やっぱり市の業務を行う指定管理の労働者の待遇を市職員とせめて同じように、とりわけ臨時職員さんのところは会計年度任用職員と同等にすべきではないでしょうか。その辺りいかがでしょうか。

分権業務改革担当課長
 施設の管理運営に従事する職員の処遇につきましては、労働基準法、最低賃金法、その他労働者の使用に関する関係法令を遵守した上で、指定管理料の範囲内で、個々の職員の業務の内容や責任の程度などを踏まえて、各事業者が判断すべきことであると考えております。

中村たかえ
 法令遵守は当然だと思います。ただやりがいを持って働きたくても業務や責任専門性に見合った処遇でないと展望を持って働き続けるのが難しいっていうことだと思うんです。
 令和6年度には安佐南区民文化センター、佐伯区民文化センターは、これまで担ってきた広島市文化財団が、人員確保が困難だっていうことで、指定管理に手を挙げられませんでした。そういう事態も起こってます。
 市民サービスの一環である区民文化センターの運営、
止めることできませんから指定管理料を引き上げて再公募した結果、民間事業者が応募し、その事業者が指定管理者となって今運営をされてます。
 ただ、やっぱり民間事業者は利益が出なければ、事業を継続する理由はありません。
 万が一施設運営によって事業者の収益が出なければ、まずは人件費や施設修繕費が削減されるんじゃないでしょうか。
 あんまりないことですが事業撤退も起こり得るかもしれません。それは結局市民サービスの低下にも繋がると思います。
 先ほど不可抗力の場合は、何らかの手当をしているっていうそういう説明もありました。
 それが予見できるようなことは、あらかじめ契約の指定管理のときに、金額を決めてもらうんだっていうことを言われていました。
 ただやっぱり指定管理者制度のもとで事業者は、あまり大きな額を言ったら、仕事がもらえないんじゃないか、さらにそこで働く人たちは自分が首切られるんじゃないか、そんな不安を抱えているっていうところは、認識していただきたいと思います。
 このテーマで最後に一応お聞きします。やっぱ民間の力を借りるっていうのは、私はもちろんあるんだと思い
ます。
 とはいえ、市民の財産である公共施設の管理運営が、結局民間事業者が自分たちの利益を出す場、その儲けの場、そういうふうになってるんじゃないかっていう懸念は拭えません。そのあたりの見解を教えてください。

分権業務改革担当課長
 指定管理者制度は、公の施設の管理主体について、市の出資法人や公共的団体に限らず、幅広く民間事業者等を対象とし、そのノウハウを活用することにより、多様化する住民ニーズに効果的、効率的に対応していくことを目的とする制度であり、市が求めるサービス水準を担保していただく必要があることから、単に利益を追求するためのものではありません。

中村たかえ
 民間ノウハウを活用するんだって言われてるんですけど、本当にその民間ノウハウが発揮されればいいですけど、それ結局利用料が引き上げられるだとかそういった場面もでてきかねません。
 そもそも公共だからこそ安定的に低価格で市民に文化や学術活動を提供することができるんだと思います。
 さらに公共だからこそ、そこで働く人たちの雇用を保障することも可能だと思います。
 文化や市民生活を豊かにする公共施設の運営に市が責任を十分果たす必要があるということを述べておきます。

(4)市民生活の支援について

中村たかえ
 あの最後ですが広島市が市民生活をどうやって支えてきたかっていうことをお聞きしたいと思います。
 この間国は物価高騰対策として様々なメニューと交付金を示してきてます。
 令和6年度の物価高騰対策の交付金の決算額と、そのうち市民生活を支えるための金額はいくらか教えてください。

総合調整課長
 午前中の質疑で山内委員にもご答弁申し上げましたが、令和6年度における物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の決算額は、174億4081万3216円となっております。
 このうち交付金全体の88%にあたる約153億円を、低所得世帯等に対する給付金事業に充てており、残りの約21億円については学校給食に関する負担軽減や中小企業者等への省エネ機器の導入支援、各種社会福祉施設への支援などに活用しているところでありまして、これらの事業全てが市民生活を支えるためのものとなっております。

中村たかえ
 ほとんどが低所得世帯の給付金事業に充てられているということがわかりました。
 ちなみに市独自に物価高騰対策として上積みの対策っていうことはあったんでしょうか。

総合調整課長
 物価高騰対策につきましては全国的に生じている課題でもありまして、基本的には国が責任を持って対応すべきものと認識しております。
 その上で国において基礎自治体の実情に応じた支援が可能となるよう交付金などの措置が講じられているところでありまして、我々としましてはこうした国の制度を最大限に活用しながら支援策を講じているということでありまして、本市における物価高騰対策につきましては一部事業費は一般財源のものも含まれますが、基本的には国の交付金を使って支援をしているということでございます。

中村たかえ
 あくまで国の補助金の範囲内で行われたっていうことがわかりました。
 ただ、令和5年度には市の施設の光熱費の補助に、こうした物価高騰対策、市の施設の光熱費の補助に使われたっていうこともあったかと思います。
 だから、それでいうと令和6年度は限られた世帯ではあるけれども、給付金の直接支援もあり、他には間接的ではあっても、市民生活につながるような支援がされたっていうことはわかりました。
 ただ、国の制度なので致し方ないことですが、事務費がかかるような給付金や、手間がかかる上に複雑な仕組みの定額減税は愚策と言わなければなりません。
 市民がリアルに助かるような水道料金の負担軽減や学校給食費の無償化など、こういうことにこそ税金が使われるべきです。
 国の支援メニューの範囲も狭かった事情もあるかと思います。ただやっぱり国の補助金待ちじゃなく、市独自にも市民生活を支える施策を進めるような行政運営を期待して質問を終わります。

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