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大西オサム
おはようございます。日本共産党の大西理です。日本共産党市議団を代表して討論を行います。
令和7年第3回広島市議会定例会に上程された議案のうち、反対するのは、第86号議案第87号議案第89号議案第94号議案第96号議案第102号議案、第103号議案の7議案です。意見を付して賛成をする議案は第85号議案第93号議案第98号議案の3議案です。他の議案は賛成です。
最初に反対する7つの議案について、その理由を述べます。まず、第86号議案令和7年度広島市西風新都特別会計補正予算第1号と第87号議案令和7年度広島市再開発事業特別会計補正予算第1号についてです。
これは西風新都地区のインフラ整備を、広島市が公共事業として実施するにあたり、開発事業者の負担分として提供された宅地を売却し、その収入28億4920万円を政府親と特別会計から開発事業特別会計へ繰入、それを開発事業基金として積み立てようとするものです。
開発事業基金に積み立てられた資金は、広島市が開発事業を行う際の財源の一部となり、広島市の開発事業以外には使えないものです。
当局の説明によれば、西風新都特別会計による都市基盤整備都市基盤施設整備に対し、民間開発事業者がその負担分として提供されたのが、今回売却された宅地であり、広島西風新都推進計画20132で計画されていた西風新都特別会計によるインフラ整備は既に終了しているとのことでした。
一方、今年度当初予算にも、西風新都内の幹線道路整備として8億円余りが計上されていますが、その財源は国庫補助金、市債、一般財源であり、西風新都特別会計とは別に、一般会計による公共事業として実施されるインフラ整備が行われてきています。
つまり、市民生活を支えるための一般財源が政府浸透のインフラ整備に投じられており、特別会計の財源だけで、西風新都のインフラ整備が賄われるわけではありません。この一般会計による整備も含め、開発の利益を享受しているのは、民間の開発事業者です。
しかし、開発事業者から宅地として提供される負担分は、西風新都特別会計によるインフラ整備部に限られるとのことです。
従って、開発の利益を享受する民間事業者の負担は、より大きくあるべきです。いずれにせよ、西風新都地区としては、財源がどこから出されているものであれば、必要な整備は行われてきました。
その結果として、西風新都特別会計で実施した公共事業分が、開発事業者の負担分として提供された宅地の売却収入となっています。
しかし実際には、市民の税金でインフラ整備が行われてきたことさらに、西風新都特別会計の財源である開発事業特別会計基金も元は市民の税金による一般会計から生まれたものであり、市民が納得できるものではないと考えます。
以上を踏まえれば、開発事業開発事業にしか使えない基金へ繰り入れることは問題であり、この宅地売却収入は本来一般会計に戻すべきだと考えます。したがって、本議案に反対いたします。
次に、第89号議案、広島市個人番号の利用に関する条例の一部改正についてです。
これは行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律つまりマイナンバー法の改正に伴い、規定の整備を行うというものです。
本来、マイナンバーカードの取得は義務ではないにも関わらず、国が保険証の廃止を強行し、マイナンバーカードの取得利用を強制すること自体が問題だと考えます。
個人情報は人権です。自分のデータがどのように使われるのかを自分で決定する権利を始めとした人権、プライバシー権を守る仕組みが求められますが、現状では不十分です。政府がマイナンバー制度を急ぐ背景には、国民の税や社会保障情報を一元的に管理する共通番号の導入を強く求める財界の要望があります。
狙いは各自が収めた税や保険料に見合った社会保障しか受け取れない仕組みへと変身させる。大きな制度改革にあり、改悪にあります。
政府はマイナンバー制度によって、公平公正な負担と給付が実現できると説明しています。しかし現実には、安倍政権以降だけでも、大企業向けに11兆円を超える減税が行われ、今も不公平、不公正な大企業の優遇税制は温存されたままです。
このような状況で導入されるマイナンバー制度は、国民の所得資産、社会保障給付を把握し、徴税強化と給付削減を押しつけるためのものに他なりません。したがって、マイナンバー制度は廃止すべきであり、その法令改正に伴う条例改正にも反対をいたします。
次に、第94号議案、広島市保育園条例の一部改正についてです。これは高南保育園、可部東保育園、八幡東保育園を廃止するものです。
議案質疑で中森議員が指摘したように、平成21年11月26日の横浜市立保育園廃止処分取消請求事件についての最高再判決では、前に保育を受けている児童およびその保護者は、保育の実施期間が満了するまでの間、当該保育所における保育を受けることを期待しうる法的地位を有するとし、保護者の子どもたちが卒園するまで、当該保育園で保育を受ける法的権利があることを認めています。
本年度末で八幡東保育園での21名の在園児の保育を打ち切るのは、保護者たちの法的権利を侵害することになると考えます。
また、現在借地に立地している保育園は12園あるとのことですが、今後同様のことが発生する可能性を考えたとき、八幡東保育園の廃止を含む本議案には賛成できません。よって、第94号議案には反対いたします。
次に、第96号議案、広島市学校給食センター条例の一部改正についてです。
これは可部地区学校給食センターを廃止し、新設される広島市北部地区学校給食センターを条例に位置づけるものです。
北部地区学校給食センターからは、自校調理方式の小中学校も含め、安佐南区北部の小・中学校と安佐北区の小・中学校に給食約1万2000食を配送する形に転換することになります。
このことについて、各学校の保護者、子どもに説明をしたり、意見を聞いたりすることが未だに行われていないとのことでした。
また、学校教育、食育の面でも、さらには災害時対応なども含め17校もの自校調理場廃止することは、子どもたちと保護者、地域にとって不利益だと考えるため、条例改正には反対いたします。
次に第102号議案と第103号議案の2件の変更契約の締結についてです。
いずれも広島市中央図書館を中古の商業ビルエールエールA館に移転整備するための工事費を追加の工事が必要になったためとして、それぞれ変更契約を行おうとするものですが、中央図書館の移転整備費は当初、現地建て替えか移転かを比較検討した際に示された事業費から大きく膨らみ、さらに賃料もかかり続けることになります。
そもそも、広島の文化の拠点である中央図書館が中古の商業ビルに移転すること自体、文化の軽視ではないかという根本的な疑問が残り続け、市民の理解は得られないと考え、反対いたします。
次に、意見を付して賛成する議案についてです。第85号議案令和7年度広島市一般会計補正予算第3号および第98号議案、和解についてです。
これは3年前に小河内保育園で当時5歳の園児が行方不明となり、太田川放水路で溺死した事件に関して、保護者が市を提訴したことに対して、和解で合意し、4000万円を支払うことになったものです。
裁判で市は国の基準通りに保育士を配置していたため過失はないと主張しました。しかし事故は、国の配置基準を満たした状況のもとで発生しています。
さらに、その後広島市が柵の設置や保育士の増員を行ったこと自体、安全対策や保育士配置に不十分さがあったと認識していたことを示していると言えます。
安全性を考えると、保育士の配置は、特定の年齢クラスだけの問題ではありません。
また、園の周囲を柵で囲んでも安全が確保されるわけでもなく、事故は園内でも起こり得ます。
したがって、全ての年齢のクラスで、現行より手厚い配置基準とすることそして安全対策を抜本的に改善することを求める意見を付して、本議案には賛成いたします。
最後に、第93号議案、広島市阿戸認定こども園条例の一部改正についてです。これは認定こども園を新たに可部に設置するため、条例の名称等の改正をしようというものです。
そもそも認定こども園制度は、幼稚園、保育所、双方の機能を持たせることになるため、施設整備や職員の配置、資格などについて、幼稚園、保育所の現行基準を下回る懸念は拭えません。
保護者、現場の職員の意見をよく踏まえ、必要な施設整備職員の配置で質の高い保育教育を行うことを求める意見を付して賛成いたします。以上で討論といたします。
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