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1.今年の平和記念式典のあり方及び
ロシア・イスラエルへの対応について
2.生活保護利用世帯のエアコン設置補助について
3.PFASの広島市内での汚染と対策について
藤本さとし
日本共産党の藤本さとしです。党市議団を代表して質問いたします。
8月6日の平和記念式典のあり方などについて質問します。
今年の平和記念式典は、被爆から80年の節目の式典として、国内外から注目されると思うものです。
昨年の平和記念式典は、一昨年の8月6日に発生した運動団体による市職員への暴行事件とされるものの発生を理由に、平和記念公園全体を封鎖して参列者の規制を行うという、極めて異常な状態の中で行われました。
近年、式典会場の外で行われる拡声器によるシュプレヒコールなどが、式典中の会場内に聞こえてきていたことに対して、これを規制せよとの議論が本市議会でも繰り返しなされてきました。
しかし、我が国では戦前、表現の自由がなく、表現活動が厳しく抑圧された中で戦争が遂行された結果、国の内外で膨大な人々の命が失われ、広島と長崎では原爆投下により、今日に続く非人道的な事態が引き起こされました。戦後も米国などの占領軍により、表現活動が抑圧され、被爆者援護の声を上げることすら困難な状況が続きました。今日、被爆者援護の施策が大きく前進し、被爆の実相と核兵器廃絶の要求が、広く世界中に共有されるようになったのは、何よりも表現の自由が保障されているからです。
核兵器廃絶と戦争のない世界を実現するためには、世界に向けて世論を大きく広げていくことが必要です。そのために最も重要なことは、憲法で保障された表現の自由です。表現の自由は、民主主義社会を維持するための絶対必要な条件であり、堅持すべき大原則です。
広島市当局も、そのことを理解しておられるからこそ、これまで色々あっても、式典中に音を出しながらデモ行進を行う運動団体側と、粘り強く交渉を続けて来られたのだと考えます。
ところが、昨年の式典では一転して、公園全体を封鎖して、入場者の持ち物検査を行いました。しかし、そういうことをやっても、デモ行進自体を規制することはできませんし、音の制限もできず、昨年も式典会場に聞こえてきていました。他方で、あのような物々しい警戒態勢を敷いて、被爆者を含めた式典参加の市民に負担を強いたことに対して、市民の間から厳しい批判の声がありました。
総理大臣や衆参の議長も参列されることから、従前から警備は厳重に行われてきましたが、同時に、以前は式典会場ではない公園の北半分は、自由に立ち入ることができて、何の制約もなく、平和の願いや祈りの行動ができました。ところが、北半分を含めて公園全体が完全に封鎖されて、宗教的な道具も含めて、持ち物の持ち込みを制限したために、個々の宗派のやり方で犠牲者に対する祈りをささげる場さえも奪われてしまいました。公園北側で集まりを開くことを許可されなかったために、近くの集会場に会場を変更した団体もありました。
一番大事な8月6日8時15分前後のタイミングで、それまで規制のなかった公園北半分まで封鎖して、亡くなった被爆者を悼み、核兵器廃絶と世界恒久平和実現への決意を高めようとする、市民の表現の自由を抑え込んだことは厳しく批判されるべきことです。
式典中の厳重な警備は行うとしても、8月6日8時15分の原爆投下時刻の直後だからこそ、惨劇の場となった場所を象徴する区域で、静かに祈りをささげたい、「核兵器は二度と使わせない」との誓いを新たにしたいという人々の想いを、両立させることが必要です。
あの全面封鎖した平和記念公園の状況は、8月6日の広島を体験しようと平和記念公園に来られた外国の方々にも、式典中は大きな負担をかけたことと思います。それらの方々はあのような異様な状況をどう感じられたでしょうか。持ち物検査では、子どもにまで持参した水筒の水を飲ませて、水であることを確認するなど、そこまでやるのかとの反発の声も聴きました。
極めて暑くきつい日差しの中で、被爆者やその遺族の方々が、持ち物検査で並ばされたことに抗議して、式典に参列しなかった被爆者・遺族がおられたと聞いています。厳戒態勢を優先させて、高齢の被爆者や遺族への配慮が、足りなかったということでしょう。
8月6日の平和記念式典は、総理大臣などの出席を得て挙行する、単なる定例のセレモニーであってはなりません。平和記念式典はより多くの被爆者や遺族、市民と内外の人々が一緒に、被爆によって亡くなった方々を悼み、二度と繰り返させないことを誓い合う場であり、何よりも被爆者・その遺族・市民が主役でなければならないのではないでしょうか。以上について、市長のお考えをお聞かせください。
市民局長
今年の平和記念式典のあり方およびロシア・イスラエルの対応についてのうち、数点の質問に順次お答えします。
まず、平和記念式典は、総理大臣などの出席を得て挙行する定例のセレモニーであってはならない。何よりも、被爆者遺族市民が主役でなければならないと考えるかどうかについてです。
平和記念式典は、被爆者、遺族、市民を始めとする様々な方々の参画と協力のもとで、その前身となる平和復興市民大会が開催され、それ以降、同様のやり方で引き継がれているものであり、原爆死没者慰霊碑が建立された昭和27年以降は、本市が主催し、現在まで、原爆死没者の慰霊と世界恒久平和の実現を目的として実施しています。
また、総理大臣の出席については、唯一の被爆国の首脳自らが原爆被爆者の慰霊と世界恒久平和の実現への決意を世界に向けて発信していただきたいという多くの市民の思いのもと、市として出席の要請をし続けてきた結果、昭和46年に当時の佐藤栄作総理大臣が初めて出席し、平成6年以降は総理大臣本人による出席が定着しています。
本市としては、こうした経緯を踏まえつつ、引き続き、原爆死没者の慰霊と世界恒久平和の実現を祈念することを目的として、被爆者やその遺族・市民および各界有志のご参列のもと、式典を開催していきます。
藤本さとし
そういう点で、市長が熱心に進める平和文化の普及で、平和の意識を醸成していこうとすることと、ヒロシマの想いを発信する中心地、拠点である平和記念公園を強権で封鎖して、最小限の表現の自由を抑え込んで、式典だけを挙行するあり方が両立するのか、極めて疑問です。
すでに今年の平和記念式典も、平和記念公園全体を封鎖して持ち物検査をするなど、昨年と同様のやり方で挙行するとのことです。昨年の様々な方面からの批判や見直しの意見には、まったく聞く耳なしということのようですが、平和都市広島は民主主義に沿った対応を行うべきではないでしょうか。
市長はあくまでも広島市民の想い・願いを代表して平和宣言を発するのであって、市民抜きの平和宣言はありえません。世界で最も自由と民主主義を体現するべき平和都市広島市が、昨年の物々しい状況を再現して、多くの市民を排除した中で平和の訴えを発しても、空々しく聞こえてしまうのではないでしょうか。
今年の平和記念式典では、少なくとも制限区域を式典が行われる南半分に留め、北半分は自由に個々の市民が追悼や核兵器廃絶にむけた取り組みなどをできるようにするべきです。
市民局長
次に、入場規制範囲を平和記念公園が行われる南半分にとどめ、北半分は自由に追悼や核廃絶、核兵器廃絶に向けた取り組みなどをできるようにするべきと考えるかどうかについてです。
平和記念式典は、8月6日という日に8時15分という時間を組み込み、平和記念公園という場所を限定した上で、参列者が厳粛な雰囲気の中で、原爆死没者を慰霊するとともに、世界恒久平和の祈念を滞りなく行えるよう、実施してきているものであり、とりわけ厳粛な雰囲気の中で行うことが平和推進基本条例に明記されていることから、同条例を踏まえつつ維持していく必要があります。
このように、厳粛な雰囲気の中で、円滑な式典が挙行できる環境を確保するための所要の規制は不可欠であり、表現の自由を制限しようとするものではございません。
藤本さとし
また、持ち物検査のあり方も長く並ばなくていいように、改善するべきです。
被爆者と遺族の参列者については、別の入り口を設けて、並ばなくていいように配慮が必要です。どうされるのか、明確な答弁を求めます。
市民局長
最後に、持ち物検査のあり方も長く並ばなくて良いように改善するべきではないか。さらに、被爆者と遺族の参列については、別の入口を設ける配慮が必要ではないかについてです。
昨年の式典では、被爆者および遺族や一般の参列者は入場口で手荷物検査を受けた後、参列者席東側に設けた金属探知検査場を通過して、中央参道を挟んで東西に設けた席に着席する動線としていました。
そうしたところ、中央参道を横切る西側の席への移動が円滑に進まず、東側の席が混雑し、その影響で参列者が検査場前に長時間並ぶ状況となりました。
このため、今年は、被爆者および遺族席や一般席を全て西側にまとめ、西側にも金属探知検査場を設けることにより、中央参道を横切っての移動を極力回避できるように見直しており、これにより、多くの参列者が滞留する状況を改善するよう考えています。
さらに、手荷物検査場と金属探知検査場のそれぞれの入場口には、被爆者や遺族、高齢者および障害者など配慮が必要な方のための優先入口を設けることとしています。
【再質問】
藤本さとし
被爆80年に当たって、市長さんの自らの思いを直接お聞きしたかったんですが少し残念です。
平和記念式典のあり方については、平和記念式典中も式典とは関係なく、公園を訪問され、慰霊される方も多いと思います。
そういう方も、8時15分、原爆が炸裂したその瞬間に、各個人が自由に自分のやり方で祈りを捧げることができるよう、ある程度広い場所をこれからも公園の中に確保いただくよう、改めて要望いたします。
藤本さとし
次に、今年は昨年までと異なり、各国代表の参列について、招待状ではなく、開催案内を送るだけにしました。この間、ロシア及びベラルーシもイスラエルも、招待するべきか否かについて議論がなされてきました。
ロシアは隣国に対して、3年以上に渡って国際法違反の侵略行為をいまなお続けており、占領したウクライナ東部4州を自国の領土とすることを要求しています。そのために、多くの市民の命を奪ってきたし、いまなお奪い続けています。
強大な軍事力を使って、都市を攻撃し、子どもを含めた市民の命を無法に奪うことは、重大な国際人道法違反の行為であり、平和都市としてロシアは到底許すことができないことを続けている国です。核兵器の使用をほのめかしていることも、絶対に容認できません。引き続き、国際社会は、国の体制のあり方を超えて一致して非難を強め、直ちに軍隊を撤退させ、和平交渉に入るよう求めることが必要です。
また、イスラエルは、国際社会との合意を無視して、長年にわたってパレスチナの人々を軍事力で迫害し、土地を奪い、命を奪ってきました。このこと自体、国際法にも国際人道法にも反する重大な犯罪です。
ガザ地区は、イスラエルが建設した壁によって囲われ、2か所の検問所を通らないと地区の外に出ることができず、天井のない監獄だと言われています。イスラエルは一昨年10月から、ハマスによる攻撃と多くの人質をとっていることを理由におよそ220万人といわれる、どこにも逃げ場がないガザ地区の人々に対して、毎日のように軍事攻撃を続け、犠牲者は5万数千人と言われ、増え続けています。ガザ地区の人々のほぼ半数が、18歳以下の子どもたちです。この子どもたちに何の罪があるのでしょうか。
ハマスの行為は国際法に違反し許されず、直ちに人質を解放するべきです。
他方、圧倒的な軍事力でガザの都市機能のいっさいを破壊し、国際人道法を無視して、医療施設まで破壊しつくし、国際赤十字の救急医療活動にさえも攻撃を行いました。イスラエルは、飢餓で死に直面しているガザ市民のための食糧支援さえ遮断し、食糧を求めて集まっただけのガザ市民まで攻撃し殺害しており、極めて悪質で、その非人道性は際立っています。このような国家による行為に対して、国連はジェノサイドであると厳しく批判しました。
国連をはじめとする様々な国際機関からの批判や勧告を一切無視して、人道に対する犯罪をやめようとしないイスラエルに対して、世界中から非難が集中しているのは当然です。これは、米国のトランプ政権が主張するような反ユダヤ主義ではなく、人道の立場から考えれば当然の非難です。そのイスラエルに軍事支援をしてジェノサイドに加担している米国もまた、厳しく非難されなければなりません。
イスラエルは、直ちに軍事攻撃を停止し、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の占領地から撤退するべきです。
世界に恒久平和を訴えてきた平和都市として、これらの国の犯罪行為について、ヒロシマがどのように対応するのかが問われています。市長はこの事態をどのようにお考えでしょうか。
また、原爆による被害の非人道性を国際社会に訴えてきた広島市長としても、どのように行動されるお考えでしょうか、お答えください。
国際平和推進担当局長
今年の平和記念式典のあり方およびロシア、イスラエルへの対応についてのうち、2点のご質問にお答えします。
まず、核兵器の非人道性と恒久平和を世界に訴えてきた広島市の長として、ロシア、イスラエルの犯罪行為をどのように受け止め、どのように行動するかについてです。
被爆者の平和への願いである「ヒロシマの心」を世界中に広げ、あらゆる暴力を否定する「平和文化」を振興し、市民生活の安寧が確保される平和な国際社会が実現する環境作りを目指してきている本市としては、戦禍により多くの人々の命や日常が湧いていることに心を痛めています。
本市はこれまでも平和首長会議共同アピール等を通じて、1日も早い武力行使の停止と対話による平和的解決に向けた外交努力を求めるとともに、平和文化を市民社会に根づかせ、核兵器のない平和な世界の実現に向けた具体的な行動へ歩みを進めるよう訴えてきているところであり、適切な機会を捉えて、罪のない一般市民が犠牲になる都市への武力行使の停止と対話による問題解決が進むよう、長崎市とも連携しながら訴えていきたいと考えています。
藤本さとし
昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の訴えが力を発揮して世界を動かし、核兵器禁止条約が発効しました。被爆者の訴えが世界を動かしたのは、核兵器の使用が非人道的な事態をもたらすことが理解されたからです。
昨年の平和宣言では、ロシアとイスラエルの行為について、批判的な文脈で触れてられていました。今年は改めて、ロシアがやっていることと、イスラエルがやっていることについて、人道に反するとの立場で厳しく批判し、直ちに軍事行動を停止し、占領地から撤退するよう 求めるべきではないかと考えますが、答弁を求めます。
国際平和推進担当局長
次に、今年の平和宣言で、ロシアとイスラエルによる軍事行動の停止と、占領地からの撤退を求めるべきと思うがどうかについてです。
平和宣言は、被爆の実相とともに被爆者の体験や平和への願いをしっかり伝えることに主眼を置きつつ、世界の為政者とそれを選出する市民社会が、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に取り組むために必要となる行動理念を提示することするために行ってきているものであり、今年の平和宣言につきましても、これまでと同様に、被爆者や有識者で構成する「平和宣言に関する懇談会」のご意見を伺いながら、内容について検討を行ってまいります。
藤本さとし
生活保護利用世帯に対するエアコンの設置補助についてお聞きします。
総務省の発表によると令和6年から過去3年間の5月から9月までの熱中症で搬送された人数は令和4年に71,029人、令和5年に91,467人、令和6年に97,578人と増え続け、令和6年は前年より、6,111名多く、6.7%増加しました。昨年は平成20年の調査開始以降「最も多い搬送人員数」となっています。
消防庁は今年の5月12日から5月18日までに熱中症による救急搬送された人数は738人で前年同時期の603人に比べ、135人増加したとしています。5月1日から18日までの累計は1,153人となりました。
気候変動の健康影響を研究する東京大学大学院の橋爪真弘教授によれば、暑さで増える病気は熱中症だけでなく、心筋梗塞や糖尿病なども、悪化して死亡する可能性があると指摘しています。橋爪教授は「エアコンの使用をためらわないでほしい。行政による費用補助など社会的なサポートも必要だ」と訴えています。
体温調整機能が低下している高齢者や持病のある人、乳幼児などには特別な配慮が必要です。広島市の公式ホームページでも熱中症予防として、室内では冷房など空調設備を利用することを呼び掛けています。
昨年9月議会での中村議員の質問に令和6年8月現在、本市の生活保護利用世帯18,112世帯のうち、エアコンが設置されていない世帯は356世帯で約1.9%と答弁されました。その主な理由に「必要がない」が158世帯、「お金がない」が44世帯と答弁されました。
そこで、お聞きします。この調査はどういう意図でおこなわれたのですか。酷暑でエアコンが必要はないということは考えられないのですが、なぜ「必要がない」と答えたのか、丁寧に事情を聞く必要があるのではありませんか。
健康福祉局長
生活保護利用世帯のエアコン設置補助について四つの質問に順次お答えいたします。
最初に生活保護世帯のエアコン未設置世帯数の調査は、どのような意図で行ったのか。また、なぜエアコンが「必要ない」と回答をされたのか、丁寧に事情を聞く必要があるのではないかについてお答えいたします。
近年の記録的な猛暑に伴い、熱中症による健康被害の増加が懸念される中、生活保護世帯の個々の状況に応じた熱中症予防を図る観点から、ケースワーカーが家庭訪問する際に世帯の家計状況や健康状況に加え、エアコンの設置の有無やその必要性を聞き取るなどし、実情の把握に努めているところです。
本市の生活保護世帯の98%を超える世帯でエアコンが設置されている中、エアコンが「必要ない」と回答された世帯では、「近隣に多くある公共施設や商業施設で暑さをしのぐ」や、「エアコンの風が肌に合わない」などの理由を挙げられており、他に「他の冷房器具がある」、「日中の不在が多い」という回答もありました。
藤本さとし
また、「お金がない」という世帯について、経済的理由によって、エアコンが使用できない状況を見過ごすということは憲法25条の生存権の侵害になるのではないかと考えます。市の認識をお聞きします。
健康福祉局長
次に経済的な理由により、エアコンが利用できない状況を見過ごすことは、憲法第25条の生存権の侵害に当たると考えるかどうかについてです。
エアコンがない生活保護世帯に対しては、国の制度に基づき、エアコン購入費の支給対象となる場合には、支給申請を助言し、支給対象とならない場合には、必要に応じて社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度の利用の助言や、貸し付け窓口への同行支援を行っています。
さらに、ケースワーカーが、高齢者等の熱中症に特に注意が必要と考えられる世帯を訪問した際には、熱中症の症状や予防法を掲載したリーフレットを活用し、こまめな水分、塩分補給などの予防法の啓発や注意喚起するなど、個々の世帯の状況に応じた対応を行っているところです。
藤本さとし
これまでも紹介しましたが、奈良県生駒市では、すべての生活保護利用世帯にエアコンがない、または故障して使えない世帯を対象に給付事業を創設しました。生駒市では担当ケースワーカがエアコン未設置の世帯を把握し、連絡して、申請を支援しています。
平成30年4月に厚労省が生活保護の利用を始めた人にエアコン設置を認めました。しかし、それ以前に生活保護を開始した世帯はエアコン購入費用の支給はありません。また、それ以降でもエアコンの故障等で買い替えが必要になった世帯に対する支給はありません。
市は保護費のやりくりや社会福祉協議会の生活福祉資金貸付の活用を求めていますが、物価高騰や月々の返済が困難である生活保護利用世帯はエアコン購入をあきらめざるを得ません。
そうした中、東京都葛飾区は、国のエアコン設置基準では市民の命が守れないと、自治体独自に助成制度を創設されています。生活保護利用世帯だけではなく、住民税非課税世帯にもエアコンの購入費・設置費合わせて、最大10万6千円の支給を行なうというものです。このような命を守る制度こそ自治体に求められます。
本市も市民の命を守るために、生活保護利用世帯と住民税非課税世帯にエアコンの購入資金と設置費を支給すべきではありませんか。市の認識をお聞きします。
健康福祉局長
次に、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対して、エアコンの購入資金と設置費用を支給すべきと考えるがどうかについてです。
生活保護制度は、法定受託事務として、国が定めた法令や通知等に基づき運営することとされており、エアコン等の家具什器類は、保護費のやりくりによって計画的に購入することが原則とされています。
一方で、生活保護制度において、一定の要件を満たす世帯に対し、臨時的経費として購入費用を支給できるとされている他、生活保護世帯や住民税非課税世帯などを対象に、エアコンの購入費に活用できる社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度が設けられています。
こうした生活保護制度の趣旨や補完する制度が設けられていることから、本市独自でエアコンの購入費や設置費を補助することは考えていません。
藤本さとし
物価高騰が続き、電気代が値上げされる一方で、安倍政権下の平成25年から27年にかけて生活保護費が最大1割も減額されました。
お米などの物価高騰で生活保護を利用しながら、食料を求めてフードバンクの列に並ぶという異常事態になっています。電気代が心配で、エアコンがあっても使えないという世帯もあります。
生活保護利用世帯や住民税非課税世帯に、新たに電気代の補助を行うべきだと考えますが、市の認識をお聞きします。
厚労省も、熱中症の予防にエアコン設置の必要性を認めています。広島市も、国に生活保護利用世帯のエアコン設置や電気代の補助を求めていくとともに、市としての独自の支援策を実施するよう重ねて要望いたします。
健康福祉局長
最後に、生活保護世帯や住民税非課税世帯に新たに電気代の補助を行うべきと考えるかどうかについてです。
全国的な物価高騰に対しては、これまでも国において累次にわたる給付金の支給やガソリン価格の負担軽減支援、政府備蓄米の売り渡しなどの施策が実施されており、さらに来月からは、暑くなる夏への夏への対応として、電気・ガス料金の負担軽減支援が実施される予定であり、基本的には国が責任を持って必要な諸施策を講じるべきものであると考えています。
【再質問】
藤本さとし
生活保護利用世帯のエアコン設置について答弁いただきました。 広島市内でも昨年、生活保護利用世帯で設置されていない方が亡くなられたとお聞きいたしました。
昨年と一昨年の夏は、気象庁が統計を取り始めて、からの平均気温偏差が過去最高で、日本で最も暑い夏となりました。
今年も暑い夏が想定されており、エアコンの利用は絶対に必要となっています。
しかし、物価高騰が激しく、所得が低い世帯の暮らしは全く余裕がありません。生活保護利用世帯、さらに住民税非課税世帯へのエアコンの設置、買い替えの費用補助は、どうしても必要です。
そういう対策もせずに熱中症で救急搬送され、今年も死者が出ることになるのは、ある意味では必至のことだと思います。
それで市としての市民の命を守る責任が果たせるのでしょうか。国がやらないのなら、市が独自にやるべきと考えます。
所得の低い方への暑さ対策への支援と、また亡くなられたようなことが起こった場合に、市としてどう考えるのかとそういうことについてお聞きをいたします。
健康福祉局長
再質問で、生活保護の方でエアコン設置されてない方への今後の対応についてのご質問だったと理解しております。
現在内閣府の消費動向調査によりますと、令和7年3月末時点でエアコンの普及率というのは88.5%となっておりまして、一定程度設置していない家庭もあるというふうに考えております。
そうした中で、本市の生活保護世帯については98%を超えるエアコンの方が設置されてるわけなんですけれども、それはやはり各区におきましてケースワーカーが家庭訪問する際に、その世帯の家計状況や健康状況に加えて、エアコンの有無の状況を聞き取るなどして実情の把握に努めた上で、それぞれの必要な制度の助言や、あるいは貸し付け窓口への同行支援などを行っている結果だというふうに理解しております。
現在様々な理由でエアコンの設置が必要ないという世帯の方おられますけれども、真に必要な方がエアコンをできるように引き続き配慮してまいりたいと考えております。
また、エアコンの設置のありなしに関わらず、必要に応じて熱中症予防について、これ大事なことでございますので、被保護者に対しまして、こまめな水分補給や塩分補給、扇風機やエアコン適切に利用するなどの熱中症予防に関する呼びかけを引き続きしっかり行ってまいりたいと考えております。
また特に高齢者、障害者のある世帯につきましてはより熱中症に注意いただく必要があるため、訪問によって把握した保護世帯の状況を踏まえながら周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
藤本さとし
生活保護利用世帯のことについて、ケースワーカーなど1人1人が丁寧に対応するということを言われました。
住民、そういう対象の方々に経済的な負担に本当にならないように丁寧な対応を指導してほしいと思います。
また、これからもやはり電気代の補助など、経済状況もなかなか厳しくなっておりますので、再度、これからも検討していただくようお願いいたします。
藤本さとし
有機フッ素化合物・PFASの汚染について質問します。
最近、広島市内で汚染が相次いで発覚しています。PFASは、自然界にはない物質で人間が人工的に作り出したものです。1万種類以上の物質があると言われていますが、その中には、発がん性の可能性のある物質が含まれており、生まれてくる子の出生時低体重との関連が指摘されています。さらに、高濃度のPFAS汚染にさらされた人々には、肺疾患との関連性も報告されています。
そのため、政府は2020年5月にPFOSとPFOAを人の健康の保護に関する要監視項目に位置づけ、暫定的な指針値としてPFOS及びPFOAの濃度の合計数値を1リットル当たり50ナノグラム以下と設定し、河川水や地下水などへの監視を強めています。1ナノグラムは、10億分の1グラムという単位です。
政府の暫定指針値は、体重50キロの人が、水を一生涯にわたって、毎日2リットルを飲用したとしても、この濃度以下であれば、人の健康に悪影響が生じないと考えられる値として設定されたものですが、PFASは自然界には全く存在しない物質で、まだ未知の部分もあります。市民が飲用する水や食べ物には、ほんらい含まれていないものであり、極力ゼロにすべきです。
そこで、まずお聞きします。現在、広島市内の日常的な監視、PFASを含む水質の監視は、どのようになっているでしょうか。
市長
藤本議員からのご質問にお答えします。「PFASの広島市内での汚染等対策について」のうち、「広島市内におけるPFASを含む水質の日常的な監視」についてのご質問がございました。
本市においては、環境の保全および創造における目指すべき都市の姿として「将来にわたって、豊かな水と緑に恵まれ、かつ、快適な都市生活を享受することができるまち」を掲げて、その実現に向けて、自然環境、都市環境、生活環境、地球環境という四つの環境区分ごとに、様々な施策を推進しているところであります。
議員ご質問の水質の日常的な監視については、大気質や水質など主に市民の健康西尾生活影響を与える生活環境の保全等と維持向上を図るための対策などを推進する一環として行っているものであります。
具体的には、カドミウムや鉛など毒性評価が定まっている物質については、国が定める環境基準に適合しているか否かについて定期的に監視を行っており、令和7年度では、河川60ヶ所、海域配置13ヶ所で調査を行うことにしております。
一方、直ちに適用を判断する環境基準が定められていないPFOSおよびPFOAについては、要監視の対象と位置付けられておって、引き続き知見の集積に努めるべきこととされておりまして、現時点では八幡川水系の泉橋、瀬野川水系の石仏橋の2ヶ所で調査を行うことにしております。
なお、本年3月にPFOSおよびPFOAの暫定指針値の超過が認められた湯坂川の支川については、国の対応手引き書の中で、慢性的に摂取した際の毒性評価値のもとで、PFOSおよびPFOAについては、継続的に摂取する水が暫定指針値を下回ることが望ましいとされていることから、湯坂川の支川の近傍の地下水も含めた上で、引き続き濃度の経年的な推移を把握するための調査を行っていくことにしております。
その他のご質問については関係局長から答弁いたします。
藤本さとし
広島市の現在の監視のもとでも、市内で1リットル当たり50ナノグラムを超えるPFASの汚染が発覚しています。市内で汚染が明らかになった2か所の地域ごとに、現在どういう対策をされているか、順次お聞きします。
まず水源が、米軍川上弾薬庫近くの東広島市内にある瀬野川では、今年2月に安芸区上瀬野町の石仏橋近くの川の水・河川水で暫定指針値である50ナノグラムを超える83ナノグラムが検出され、住民の間に不安の声が広がりました。その付近では、家屋の井戸水などの地下水の調査でも、最高44ナノグラムという高い数値が検出され、地域住民に不安が広がりました。
日本共産党市議団として安芸区の現地を訪問し、住民の声を聞きました。地域の人々は「早く解決してほしい」「井戸水を飲んでいるのだけれども大丈夫か。」「広島市から市の水道水を早く引けと言われているが、補助は出ないのか」など、たくさんの声をお聞きしました。
この地域のPFASの汚染に対して、市はどのような対策をされていますか。 お聞きします。
環境局長
PFASの市内広島市内での汚染と対策についてのご質問に順次お答えします。
まず、瀬野川水系のPFASの汚染に対して市はどのような対策を行っているのかについてです。
瀬野川水系においては、令和5年11月の河川調査において国が定めた暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)の超過が認められたことから、同年12月以降、河川1ヶ所および飲用利用のある近傍の地下水2ヶ所において、月1回、PFOSおよびPFOAの調査を実施しています。
調査結果については、井戸所有者に報告した上で、回覧により地域住民への周知を図るとともに、市ホームページでも公表しています。
なお、地下水2ヶ所の調査結果については、調査開始以降、暫定指針値を超過したことはありません。
藤本さとし
次に、太田川に合流する三篠川では今年3月に、安佐北区狩留家町にある支流の湯坂川水系で91ナノグラムの河川水が検出されました。ここにも、党市議団は現地を訪問し、「50ナノグラムを超えた川の水を、そのまま水田に入れて農業をしていいのか」などの住民の声を市に届けました。この付近の家屋にある井戸水の検査では、最高21ナノグラムのPFASが検出されました。
この湯坂川水系で最高91ナノグラムの河川水が検出された場所から百数十メートル上流には、令和6年度に廃止された安定型の産業廃棄物最終処分場があり、その処分場から流れ出していると見られる水の放出口があります。
私たち党市議団が視察に行った時にも、この放出口からかなりの流量で水が河川に排出されていました。この放出口から上流ではPFASの検出はゼロですが、この放出口の下流の河川水から、91ナノグラムが検出されています。
この検査だけではPFASの発生源を特定することはできませんが、安定型の産業廃棄物最終処分場の可能性が高いのではないかと考えます。
「早く発生源を明らかにして欲しい」という地域住民の声に応えるためにも、市としてこの産業廃棄物最終処分場から出る水の検査など、発生源を特定する作業を早急に行う必要があると考えます。
この水が流れ出している所は川の中であり、公共の場であるため、検査に支障はありません。
市としてこの流れ出している水の検査をされ、発生源の特定に取り組まれる考えがあるのか、お聞きします。
環境局長
次に、井坂、井坂坂川水系について、上流の産業廃棄物処分、最終処分場から出る水の検査をなど、発生源の特定に取り組む考えはないのかについてです。
安佐北区狩留家町を流れる湯坂川およびその支川においては、本年3月に、本市がPFOSおよびPFOAの調査を実施したところ、支川の一部地点で暫定指針値の超過が認められました。
これを受けて、本年4月に、当該超過地点の近傍地域における地下水について、生活用水としての利用状況等を踏まえて3ヶ所で水質検査を実施したところ、全ての地点で暫定指針値を下回っていました。
これにより、暫定指針値を超過した水が飲用に供されている状況にないことが確認できたことから、現時点で排水源の特定など追加調査を実施する予定はありませんが、先ほど市長がご答弁しました通り、今後とも、暫定指針値を超過した水が飲用に供されることのないよう、湯坂川支川およびその近傍の地下水について、継続的な監視調査を実施するとともに、その結果を地域住民に情報提供することにより、住民の不安解消に努めてまいります。
藤本さとし
また、広島市内全体に、産業廃棄物最終処分場は、埋立てが完了した所も含めて何か所あるのでしょうか。
環境局長
次に、市内全体で産業廃棄物最終処分場は、埋め立てが完了したところも含めて何ヶ所あるのかについてです。
市内の産業廃棄物最終処分場は、稼働中の施設が5ヶ所、埋め立て終了または廃止した施設が8ヶ所、合わせて13ヶ所あります。
藤本さとし
PFASは近年に明らかになった問題ですから、埋め立て時には検査をしていないと思います。しかし、今回のように自然環境の汚染源となる可能性が指摘されている訳ですから、市内の産業廃棄物最終処分場をすべて調査し、市民の安全が脅かされないよう、急いで対策すべきではないでしょうか。市の考えをお聞きします。
環境局長
最後に、市内の産業廃棄物最終処分場をすべて調査し、急いで対策すべきでではないかについてです。
産業廃棄物最終処分場の調査は、廃棄物の処理および清掃に関する法律に基づいて行う必要がありますが、PFOSおよびPFOAについては、環境基準が定められていないことから、同法における最終処分場の維持管理基準にも定められておらず、現時点において調査を行いません。
したがって、本市としては、国に対し、PFOSおよびPFOAに関する科学的知見の集積を行うとともに、必要となる対策等を早急に示すよう、また、深刻な影響を懸念する自治体の様々な取り組みに対する財政支援を行うよう、引き続き時期を捉えて要望していきたいと考えています。
藤本さとし
合わせてその時に、PFAS以外の危険な物質も総合的に調査をして、市民の安全を確保していただくよう要望します。
また、地下水の問題では、農村部では井戸を掘ってその水を飲んできました。美味しい地下水を飲めることは、田舎に住む住民として当たり前のことです。
そういう点で、湯坂川や瀬野川の水系で、PFAS汚染のために、美味しい地下水を飲むことを心配せざるを得ない状況は非常に残念ですし、自治体としても早く改善する必要があると思います。
もちろん、その地下水にPFASなどの有害物質が基準を超えて含まれていれば、自治体の役割は、まずそれをいち早く検知して住民に知らせ、住民が体内に取り込むようなことを防ぐことです。
そのためにも、PFASの汚染源を早く特定して、その対策を強めることが必要です。そして、暫定指針値である50ナノグラムを超すような濃度の高い汚染水を人間の生活環境から可能な限り隔離し、汚染地域がさらに拡大していくことをくい止めることが大切です。
しかし、PFASは自然界にはまったく存在しない物質であり、市民が飲用する水や食べ物にはほんらい含まれてはならないものです。
広島市は、水道水だけではなく、自然の美味しい地下水も安心して飲め、河川水を利用して安全な農作物を生産できる、このPFASの問題でも、市民の健康に生きる権利を最大限に保障すること要望して、質問を終わります。
【再質問】
藤本さとし
最後に、PFASの汚染についてです。有機フッ素化合物PFASの汚染について91ナノグラムの高い汚染が見つかった湯坂川のすぐ上流にあるのが、先ほど私が訴えました、産業廃棄物最終処分場です。
そこからでているとみられる水の検査は、行わないと言われましたが、この地域の井戸水の検査では21ナノグラム、50ナノグラムの指針値には届きませんでしたが、比較的高い値が出たことは事実です。
地域で汚染が広がる原因を特定しなければ、住民の命を守ることはできません。市内には産業廃棄物最終処分場が13あると言われましたが、汚染の可能性があるところは全て早く検査し、確認をして、市として市民の命を守る責任を果たしていただきたい。率先して果たしていただきたいと思います。
湯坂川水系でも、汚染源の可能性のあるこの産業廃棄物最終処分場から出る水の検査をもしやらないとすれば、広島市はPFASの汚染源を特定する、そういう必要そのものが、その核心の地域では汚染が激しく進んでいても、必要はないとそういう考えでしょうか、再度お聞きいたします。
環境局長
PFASの汚染と対策についての御質問で、排出源の特定の調査をしないのかということのご質問、再質問がございました。
先ほどご答弁しましたように、現時点で暫定指針値を超過した水が飲用に供されている状況にないということが確認できたということで、追加調査を実施する予定はないというふうにお答えをいたしました。
今後、継続的に監視する中でですね、暫定指針値を超過した水が飲用に供されるというような危険性が出た場合にあってはですね、その水は飲用に供されないための手段としてですね、その排出源の特定などの調査についても検討していきたいと考えております。
藤本さとし
PFASのことについてですが、検査をしないということですが、これまでもう、完全に積み終わった産業廃棄物最終処分場については、市も検査をするそういう対象にはされてこなかったと思います。
しかし、そういう中でこういう事件が起こっているわけですから、やはり検査地点なんかも追加をして、住民の暮らしに影響がないよう、健康に命に影響がないよう、そういうしっかりとした検査体制を作っていただくことを要望したいと思うのですがいかがでしょうか。
環境局長
最終処分場の全ての調査というところでの、そういう拡大調査地点の拡大というご質問だったと思います。
これについては先ほどもご答弁しましたように、最終処分場について、その管理の基準にも、PFASについては、現段階で定められてない、どの程度PFASについて、排出する基準がある、あるというのがないという状況でございますので、現時点でその最終処分場に特定してですね、調査するということは考えております。
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