議会での質問・答弁

2025年06月11日

2025年第2回 6月定例会 法人の経営状況の報告について質疑 中村たかえ

報告第8号 法人の経営状況報告について
広島駅南口開発株式会社

中村たかえ
 おはようございます。日本共産党の中村たかえです。報告第8号法人の経営状況報告のうち、広島駅南口開発株式会社についてお聞きします。
 最初にエールエールA館の運営についてです。令和6年度の予定損益計算書では、賃貸事業収入は14億2042万円でしたが、今年度報告の賃貸事業収入は13億8211万9000円となっています。想定と違った要因をお答えください。
 今後の資金計画についてお聞きします。昨年度、中央図書館移転のために、8階から10階の3フロアを広島市が買い取りました。まだ地権者との調整がつかず、一部賃料が発生している状況です。
 市が負担する賃料の1億1876万3000円の内訳は、中央図書館の閉架書庫として使う地下2階と7階、図書館フロアの8階と9階の一部を含みます。福屋が8階から10階までのテナントとして利用していたときに払っていた賃料と、市が買い取り後に一部発生している賃料を比べたときの差額があまりないようだと、結局市が減収補填をしているのではないかという疑念が残るのではないかという問題意識を踏まえてお聞きします。
 市が支払う図書館部分の賃料は周辺の相場と比較してどうなっているかお答えください。
 今後市がフロアを全て買い取った後、賃貸事業収入が減ることになると思います。また福屋は、令和3年に契約更新し、その際、広島駅南口開発株式会社は、敷金48億円の返還をしていることから、令和3年以降、20年の間の賃料の大幅な引き下げがあったのだと思います。そこからさらに福屋からの3フロア分の賃料収入が減っています。
 一方で今、広島駅周辺は新しい広島駅ビルミナモアが開業し、この夏には駅前大橋線の開通が控えています。さらに市は楕円形のまちづくりとしてウォーカブル推進計画を定め、その一環としてエールエールA館を活用した歩きたくなる歩行空間作りを進め、エールエールA館南側周辺のペデストリアンデッキの整備などを取り組んでおられます。
 そこでお聞きします。エールエールA館に関わる各工事の進捗状況を教えてください。
 こうした整備状況を踏まえると、広島駅周辺の地価は上昇することが予想されます。そこでお聞きします。今後、エールエールA館のテナント料を引き上げる予定があるのか、お答えください。
 報告を読むと、予定損益計算書の特別利益の項目で、国と市からの補助金収入として12億4262万8000円が計上されています。
 ここにはペデストリアンデッキの整備のための補助金として、今年度分の4億3539万2000円が含まれています。残りの約8億円は、今年度中のペデストリアンデッキ完成に関わって、これまでの国と市からの補助金が計上されているのだと聞いています。
 今回のこの約4億円は、整備事業への補助金などで、経営への直接の支援ではありません。しかしこれまで市は、同社への貸付金の支払い利息を引き下げるという手厚い支援だけでなく、さらに損失補償を設けて、市が同社の経営を丸抱えの形をとるような異常な事態もありました。今後も、市が広島駅南口開発株式会社の減収の穴埋めをすることがあるのではないかという疑念が持たれかねません。
 令和7年度の事業計画では次のように書かれています。今後広島市が策定する当社および広島地下街開発株式会社の経営改革プランを踏まえて、これまで以上に機動的な事業運営を展開するための取り組みを着実に実行し、都心の交通結節点における中核的な商業的施設としての長期にわたる安定的な経営基盤の強化を目指すと書かれていました。
 さらに市は出資法人経営改革推進室という新しい部署を設け、経営コンサルタントも活用し、経営改革を進めていこうとされていると思います。
 そこでお聞きします。今後市からの支援ありきの経営にならないようにすべきだと思いますが、市の認識をお答えください。
 最後に、ジェンダー平等の推進の角度でお聞きします。
 令和4年の女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、自社の女性活躍に向けた一般事業主行動計画作りや公表が義務づけられています。100人以下の企業は努力義務とされているものです。
 ただ同社は、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を努力義務であるにも関わらず定められております。この点は、若い世代や女性が働きやすい環境を整えるために大変重要な点だと思います。この計画の策定には、現状と課題の認識がまず重要になります。
 そこでお聞きします。女性社員の割合と勤務形態はどうなっているでしょうか。また、社外取締役を含めて役員に女性が1人もいない現状をどう認識されており、今後どのようにするつもりかお答えください。
 先日来日したアイスランドの女性大統領は、メディアの取材に次のように答えています。
 ジェンダー問題で男女が対立する必要はない、人口の半分を占める女性が活躍できない社会で持続的な発展は望めないと語っており、女性がいない、もしくはごく少数の意思決定機関などをおそらく想定されているんだと思いますが、エンジンが二つあるのに一つしか使わない飛行機のようなものだと述べられております。
 そこでお聞きします。女性がいきいき活躍できるジェンダー平等なまちを掲げる広島市が同社の一番の株主となっています。その立場から、役員にも女性を増やすという提起を強めるべきだと思いますが、市はどうされるの、どう対応されるのかお答えください。以上お聞きし、質疑といたします。

企画総務局長
 報告第8号法人の経営状況についてのご質問のうち、広島駅南口開発株式会社と広島地下街開発株式会社の経営改革プランを踏まえて長期にわたる安定的な経営基盤を目指していくとある。今後市からの支援ありきの経営とならないようにすべきと考えるが、市の認識はどうかについてお答えします。
 本市はエールエールA館および紙屋町シャレオの運営がこれまで以上に機動的に行われることで2社の経営基盤強化を図ることを目指しており、そうしたことを実現できるよう、市の支援策のみならず、収支構造や財務体質の改善、組織人員体制の見直しなどを含めた経営改革の具体策を検討しているところです。

都市整備局長
 報告第8号法人の経営状況について、数点の質問に順次お答えします。
 まず、令和6年度の予定損益計算書では、賃貸事業収入は14億2042万円だったが、今年度報告の賃貸事業収入は13億8211万9000円となっている。想定と違った要因は何かについてです。
 賃貸事業収入の計画と決算の際、約3800万円は、地代収支について経理処理を変更したことが差異が生じた主な要因であると広島駅南口開発株式会社から聞いています。
 具体的には、エールエールA館の所有形態として、多数の権利者と共有であることから、他権利者からの受け取り地代と、他権利者への支払い地代が存在しますが、その経理処理について令和6年度計画時点では、収入、出資の双方に計上していましたが、監査法人との協議を踏まえ、令和6年度決算より、両項目の差引後の地代収支を計上する処理に変更したため、差異が生じたものです。
 なお、両項目の差引後の地代収支を営業費用として計上していることから、最終的な利益に影響はないと、当社から聞いています。
 次に、市が支払う図書館部分の賃料は周辺の相場と比較してどうなっているのかについてです。
 個別の賃貸借契約に係る詳細はお答えできませんが、広島駅南口開発株式会社からは、広島市との賃貸借契約締結に際し、周辺相場や成約事例を参考にしながら、広島市が賃借する図書館部分の面積、場所や当該区画の運用に必要な経費などを踏まえ、賃料を提示したと聞いています。
 次に、広島市は楕円形のまちづくりとして、ウォーカブル推進計画を定め、エールエールA館南側ペデストリアンデッキの整備などに取り組んでいるが、エールエールA館に関わる各工事の進捗状況を教えてほしい、についてです。
 広島駅南口開発株式会社では、令和3年度からエールエールA館館内通路や同館から、東部河岸緑地につながるペデストリアンデッキ等の整備を進めているところです。
 同社からは、現時点において、工事は順調に進捗しており、館内通路およびペデストリアンデッキともに、事業最終年度である本年度中に完成させる予定であると聞いています。
 次に、ミナモアの開業、駅前大橋線の開通や、ペデストリアンデッキの整備など、今後、広島駅周辺地区の地価は上昇するものと予想される。その際、エールエールA館のテナント料を引き上げる予定はあるのかについてです。
 議員ご指摘の通り、A館が所在する南区松原町は、国土交通省が公表している地下工事において、広島駅南口広場の再整備等の進展に伴う利便性やにぎわいの向上への期待感などから、ここ数年、地価は上昇傾向にあります。
 また、広島駅南口開発株式会社は、現在、経営の安定化のため、令和8年春のペデストリアンデッキによる広島駅とエールエールA館の接続や、中央図書館等の開業に合わせて全館リニューアルを行っており、令和8年度以降、A館の価値向上に伴い、収益力が向上していくものと考えています。
 同社としては、令和8年度以降、リニューアルによる誘客効果や地価の上昇傾向を踏まえつつ、テナントに対して適切な賃料や共益費の負担を求めていくよう取り組むと聞いています。
 次に、広島駅南口開発株式会社の女性社員の割合と、勤務形態はどうなっているのか。また、社外取締役を含めて役員に女性が1人もいない現状をどのように認識し、今後どのようにするつもりかについてです。
 令和7年4月1日現在、広島駅南口開発株式会社における派遣社員を含む女性社員の割合は14名のうち、2名の約14%で、勤務形態は常勤社員が1名、派遣社員が1名です。
 同社としては、子育て期間中の社員が仕事と子育て等を両立し、安心して働き続けることができるよう対応する必要があると認識しており、平成29年度に自主的に一般事業主行動計画を策定しており、引き続きジェンダー平等に向けて取り組みを進めていくと聞いています。
 最後に、女性が活躍できるジェンダー平等のまちを掲げる広島市が、広島駅南口開発株式会社の一番の株主である。その立場から、役員にも女性を増やすという提起を強めるべきだと思うが、市はどのように対応されるのかについてです。
 本市では、ジェンダー平等の実現に向け、女性職員はもとより、全ての職員が働きがいを持っていきいきと活躍できる職場づくりを率先して進める必要があるという考えのもと、令和3年3月に策定した広島市職員の女性活躍・子育て支援推進プランに基づき、女性活躍、子育て支援、仕事と家庭生活の両立に向けた取り組みを一体的に推進しているところです。
 こうした本市の取り組みや、民間企業における先進的な取り組みについては、市内企業に参考としていただけるように周知しており、広島駅南口開発株式会社においても、これらの事例を参考にしながら、ジェンダー平等等に向けた取り組みを進めてもらいたいと考えております。

中村たかえ
 少しもうちょっと教えて欲しいんですけど、今回昨年度出資法人経営改革推進室が創設されました。
 そのもとで今年度経営コンサルタントも活用するんだと。市の支援だけじゃなくて2社の財務改善をしながら経営を安定化させるっていう話だったんですけど、つまり、この財務改善の中で、これまでのような過度な市からの税金の投入は、考えてないっていうことなんでしょうか。

企画総務局長
 財務改善につきましては、ただいまこの本年1月に委託契約を締結をいたしました経営コンサルタント会社の支援の中でですね、協議をしながら、どういった具体的な対策をとっていくかというようなことをですね、今具体策を検討しているところでございまして、市の支援ありきということではなくてですね、そういった収支構造の改善、財務体質の改善についてですね、トータルで経営改革を進めていきたいと考えております。

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