国民健康保険 日本共産党はこう考えます |
滞納問題の発端は国の負担削減 介護保険導入で制裁を強化 行政が責任をもって保険料を下げるべき 自治体独自の補助制度適用者にも資格証明書を出させる国の措置 国民健康保険は、日本の国民皆保険制度のなかで、どの健康保険にもはいれない方を対象にした制度です。 自営業の方、事業所が政府管掌健康保険に加入しない小規模な事業所に働く方、現役を引退された方(高齢者を含む)、無職の方などが対象です。当然、不況で会社が倒産したり、リストラにあって失業状態の方も対象となりますので、加入者が急増しています。 失業で加入者が増えるということは、保険料の負担能力に問題があるわけですから、当然、保険財政は厳しいものとなります。 本来、共済保険や組合健保、政府管掌健保などの被用者保険にくらべて収入が低い世帯が多いので、保険料収入を期待すること自体に無理があります。ですから、政府や地方自治体による財政的な支援がどうしても不可欠となります。 滞納問題の発端は国の負担削減 1984年、政府は国保財政に対する国庫負担比率を45%から38.5%(広島市は被爆者対策で負担の上乗せがあります)に大幅に引き下げてしまいました。 地方自治体は、その引き下げ分を加入者の負担に転嫁したために、保険料が大幅に引き上げられ、深刻な滞納問題が引き起こされてしまいました。 滞納問題は、長引く不況のもと、年々深刻になっています。しかし、政府はみずからの責任を棚上げし、「払わないのが悪い」と言わんばかりに滞納者の保険証を取り上げる法改悪を強行。これに地方自治体の多くが追随し、資格証明書の発行(=保険証の取り上げ)をおこなってきました。 広島市は政令指定都市の中でも率先して資格証明書を大量に発行してきました。 上にもどる 介護保険導入で制裁を強化 国は、介護保険を導入するにあたって大量の滞納者がでることを予測し、保険者である地方自治体に対して1年以上滞納で介護保険の利用を制限する制裁措置を義務付け、国保にも同時に適用する法改悪をおこないました。 これにより、ほとんどの地方自治体がなんらかの形で資格証明書を発行する事態になっています。 広島市では、市民に対する医療費補助制度として、乳幼児医療費補助制度、一人親家庭医療費補助制度、重度障害者医療費補助制度、老人医療費補助制度(改悪されてしまいましたが)の4種類の独自補助制度を持っていますが、これらの適用者には資格証明書を発行しないように取り扱ってきました。 ところが、国はこうした取り扱いをさせない措置をとったため、広島市では2001年10月から、上述の独自補助制度の適用者にも資格証明書を発行するようになりました。 上にもどる 行政が責任をもって保険料を下げるべき 一方、市町村は国保会計を維持するために、一般会計から補助金として国保会計に繰り入れをおこなっています。 広島市の国保加入者1人あたりの繰入額は非常に少ない実態にありますが、それでも政令指定都市の中では保険料が中程度です。したがって、広島市は他の都市よりも条件に恵まれているといえます。 保険料滞納の最大の理由は生活困窮と事業不振です。これに対処するには保険料の減免制度を積極的に活用することと、一般会計からの繰り入れを増やして保険料の引き下げに思い切ってとりくむことが必要です。 繰り入れの実態を見る限り、その余地はかなりあるといえます。 |
自治体独自の補助制度適用者にも資格証明書を出させる国の措置 |
改悪法のなかで、資格証明書を出さない場合を、国がおこなう公費医療(老人保健法、被爆者援護法、精神保健法などによるもの)の対象者と定めています。 厚生労働省の通知は、法が定めた以外の自治体独自の制度対象者を、それに加えてはならないとしており、従わなければ国の国保への国庫補助金を削減するという制裁措置をもうけています。 これまでも、国は自治体独自の医療費補助制度があることを理由に、国保への国庫補助を削り、自治体独自の補助制度を敵視してきました。 上にもどる |