個人情報は保護されるのか?
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)

 日本共産党広島市議団は2002年8月7日、広島市長に対し、個人情報保護法制が整備されるまで、「住基ネット」からの離脱と凍結・延期を政府に要請するよう申し入れました。
 申し入れでは、「個人情報が流出し、不当に利用されるのではないか」「絶対に情報が漏れないという保証はない」など、不安が市民から出されていることをあげています。
 また、広島市が政府見解と同様に、個人情報の保護規定での対応、全国地方公共団体での安全体制の構築、情報漏えいのおそれがある場合の緊急時対応計画の策定などを講ずると説明しているが、それで市民の不安が解消されるのかと問題提起しています。
 対応した沼田卓壮市民局次長は「申し入れの趣旨を市長に伝える」と回答しました。

市長への申し入れ

 「住民基本台帳ネットワークシステム」(住基ネット)が、この8月5日から実施されました。これに対して、地方自治体の首長、議会から「延期を」「不参加」の声が相次いでいます。
 日本共産党は、99年に「住基ネット」導入を決めた「改正」住民基本台帳法ができたときに反対の立場をとってきました。今回の「住基ネット」については、各方面から指摘されているように、個人情報が流出し、不当に利用されるのではないかという強い不安が市民からも指摘されています。
 政府は、全国単一のオンラインシステムで管理するといっていますが、どんなコンピューターシステムでも、絶対に情報が漏れないという保証のあるシステムはありません。「住基ネット」の実施により、個人のプライバシー侵害の危険が現実のものとなってきています。
 「改正」住民基本台帳をつくるとき、政府・与党は、「個人情報保護の法律が必要」と約束したにもかかわらず、国会に提出された「個人情報保護法案」は、行政機関が個人情報を目的外に使うことには罰則がない一方で、報道・表現の自由を脅かす欠陥法案だったため、世論の反対にあって、成立しませんでした。このような状況のもとで、「住基ネット」稼動だけをすすめることは、道理がありません。
 広島市は、「住基ネット」に対する見解として、厳格な個人情報保護のための規定がおかれているとか、全国地方公共団体のセキュリテイ体制の構築、情報漏えいのおそれがある場合の緊急時対応計画の策定など、運用面の対策も講ずるなどと説明し、政府見解と同様に個人情報の保護は図れると断定していますが、これで市民の不安が解消されるでしょうか。以上の点から、次のことを申し入れます。

 1. 本当に個人の情報が守られる個人情報保護法制が整備されるまで、広島市は当面、「住基ネット」から離脱すること。

 2. 政府に対して「住基ネット」を凍結・延期するよう要請すること。

2002年8月7日 日本共産党広島市会議員団
団長
幹事長
副幹事長
皆川 恵史
中森 辰一
中原 洋美
石川 武彦
村上 厚子

広島市長  秋 葉 忠 利  殿