「女性助役」の役割
日本共産党はこう考えます
 秋葉忠利市長は、2002年の年頭のあいさつで、「女性助役の登用」を発表。132人の公募があり、女性の関心の高さが示されました。
 日本共産党は、女性助役の役割について、次のように考えます。

  1. 今日、男女平等と女性の地位向上は、政治の最大課題のひとつ
  2. 広島市における女性助役の意義と役割
  3. 「財政難のなか、なぜ3人の助役か」の意見について
  4. 日本共産党は国政でも市政でも、男女平等・女性の地位向上のために奮闘しています
1 今日、男女平等と女性の地位向上は、政治の最大課題のひとつ
戦後の国際的流れのなかで制定された「男女共同参画基本法」
 20世紀は、戦争と平和の問題でも、民主主義の問題でも、人類社会が大きな進歩を記録した世紀でした。女性分野でも、歴史的に続いてきた女性差別が克服され、女性の尊厳と民主主義にとっても目覚しい前進が勝ち取られてきた世紀でもありました。
 とりわけ第二次世界大戦後に生まれた国連での「世界人権宣言」による人間の平等、差別の禁止がうたわれ、女性の分野でも1975年の国際婦人年に続き、1979年国連で採決された「女性差別撤廃条約」は、「男女平等の実現は人間の尊厳を守ることであり、男女差別は社会と家族の発展を妨げ、人類の進歩にとって大きな損失」とし、「政治・経済・社会・文化などあらゆる分野での平等の達成のために差別的制度・慣行などを一掃し、立法を含む適切な措置をとること」を各国に義務付けました。70年、80年には、世界各国で男女平等のための法整備が進められてきました。
 一方、わが国では、憲法で男女平等が明記されているにもかかわらず、社会のなかで広く女性差別が残り、「女子差別撤廃条約」が批准されたのは1985年のことでした。
 これを受けて、日本の女性の基本的な人権を国際水準に高める運動が広がり、1999年に「男女共同参画基本法」の制定、翌年に「同基本計画」が制定され、全国の自治体でも、条例や基本計画の策定が進められています。

広島市でも条例制定
 広島市でも、多くの女性の世論と運動で、昨年9月、「広島市男女共同参画推進条例」が制定されました。
 この条例の前文には、「現実には、社会において、性別による固定的な役割分担等を反映した制度又は慣行がいまだに根強く残っており,男女平等の達成には多くの課題がある。また、国際化、少子高齢化及び高度情報化が急速に進展する中で、豊かで生き生きとした地域を実現して未来に引き継いでいくためには、男女が互いの人権を尊重し合い、あらゆる分野で対等に協力し、政策又は方針の立案及び決定に参画することが重要である」とあります。
 この条例を単なる宣言に終わらせず、真に男女平等と女性の地位向上に結びつく実効性のあるものにするために、全市民的な協力と政治の役割が今、問われています。

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 2 広島市における女性助役の意義と役割

 こうした時、秋葉市長が発表した公募による女性助役の登用」が、市民的関心を呼んだのも当然です。条例を確実に生かしていく上で大きな意義があります。
 女性助役の登用だけでなく、広く公募したということは、広島における女性の政治参加、社会参加を大きく励まし、促進するものです。
 女性の抱える現実はまだまだ厳しく、雇用の場での男女賃金格差や女性差別、子育て、介護の負担と仕事の両立などで多くの女性が悩み、社会参加したくてもできない状態におかれています。
 また、DV(ドメスティック・バイオレンス)による被害対策やそれをなくす取り組みも早急に求められます。このような条件整備、環境改善なしに、真の男女共同参画社会は実現できません。

女性の社会参画の条件整備こそ
 新しい女性助役には、このような女性の社会参加の条件整備にこそ、女性としての視点、感性を大いに生かしてもらうことが求められるべきではないでしょうか。
 男女共同参画事業は、行政においては複数の部局にまたがる大きな仕事です。現在のたて割り行政を見直し、各部局の担当者からなる推進委員会をおいて、連携して進める必要があります。
 例えば、保育園の待機児解消、子ども病院建設、小児医療の充実、介護保険制度の充実、特別養護老人ホームの建設、雇用状況の調査、指導などをとってみても、男女共同参画事業という新しい視点からみれば、これまで以上のスピードと内容が各部局に求められます。
 さらに、環境問題、ゴミ問題などは、分別・リサイクルなどに日常的に気を配っている多くの女性の意見を取り入れることが、解決策を見出す上で重要だと思います。
 こうしてみると、女性助役の役割は、市民の願いを実現する上で大変重要なものとなります。応募された132人もの女性のなかには、これらの願いを持っておられる方も少なくないのではないでしょうか。
 もちろん、男女平等の達成は、女性、男性が一緒に取り組む問題です。女性助役をおいたからといってそれだけで事業が進むわけではありません。行政においても女性の幹部を積極的に養成するなどの努力は不可欠です。こうした改革をすすめる上でも女性助役の役割を明確にする必要があります。

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 3 「財政難のなか、なぜ3人の助役か」の意見について
財政難を言うならムダな大型公共事業こそ見直すべき
 現在、女性助役をめぐっての市議会での議論の特徴は、この問題を民主主義と男女平等の達成という流れのなかでとらえず、もっぱら「財政難のなか、なぜ3人の助役か」など財政問題を理由にした否定的なものになっています。
 残念ながら、これまで述べてきたような男女平等の達成への政治の役割を女性助役に求める議論は不充分です。
 助役一人分の年間の支出は、約3000万円といわれており、財政が厳しいなかで確かに小さな支出とは言えません。しかし、財政難を理由に予算を見るならば、他に削るところがあるのではないでしょうか。
 例えば、船の入るあてもない出島沖埋め立て事業や車優先の高速道路建設など不要不急の大型公共事業には毎年何十億円、何百億円とつぎ込まれ、市議会では日本共産党以外の会派はこのようなムダ使いに賛成しています。
 財政難を言うならこうしたムダ使いにこそメスを入れるべきです。教育、福祉、医療など市民の暮らしをよくする事業につながる女性助役の役割を明確にするならば、そして、女性や市民の願いにこたえる仕事をする女性助役であれば、決してムダな予算ではないはずです。

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 4 日本共産党は国政でも市政でも、
男女平等・女性の地位向上のために奮闘しています

 日本共産党は80年前、党を創立したときから、綱領に「男女平等」をかかげ、そのために一貫してたたかってきました。「主権在民」「男女平等」を憲法に明記させた背景にも日本共産党の奮闘がありました。現在、女性議員の数が全国で第一党となっているのもこうしたど努力の結果です。
 日本共産党市議団は今後とも、女性の願いに答える市政実現のために奮闘します。21世紀を真に人権が尊重され、男女平等、女性の地位向上にさらに大きな前進をかちとる世紀にするために一緒にがんばりましょう。

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