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お疲れさまです。日本共産党の中村孝江です。党市議団を代表して、総括質問を行います。よろしくお願いします。
まず述べたいのは、先の衆議院選挙は、国の予算審議を後回しにしてまで行うべき争点がなく、高市首相は「国を二分するような政策」と言いながら、まともに国民の前で語らないままに行われた選挙でした。そのもとで、後出しで語られた憲法改定などは、決して白紙委任をされたわけでないということを強調しておきます。また、3分の2の議席の下で、与党幹部による国会審議を軽視するような発言もありますが、民主主義というのは、議論を尽くして結論を出す過程を重視するものです。日本共産党は、住民のみなさんとともに、ブレずに、暮らし、平和、人権を守る立場で、国政でも地方政治でも奮闘する決意を申し上げて、質問に移ります。
1.平和行政について
(1)非核三原則について
まずは、広島市の平和行政についてです。
昨年の首相就任以来、高市首相は「非核三原則の見直し」をいまだに否定していません。改めて指摘しなければならないのは、「持ち込ませず」の見直しの危険性です。
「持ち込ませず」を見直すことによって、在日米軍基地のみならず、自衛隊基地内に米軍の核兵器が持ち込まれかねません。日本が直接核保有していないとしても、実際に国内に核兵器が配備される事態になれば、「持たず」の部分すらあいまいになるのではないでしょうか。さらに、昨年12月には、安全保障政策を担当する政府幹部が「日本も核保有すべき」という発言をしました。これに対し、官房長官はコメントせず、政府幹部の処遇について触れませんでした。
いまや、非核三原則の見直しにとどまらず、核保有発言まで政権から飛び出す状況になっています。1月の臨時議会において、市議会では全会派一致で「非核三原則の堅持を求める意見書」を可決しました。一方、市長は会見で見解を述べただけです。そこでお聞きします。
ここで強調しておかなければならないのは、非核三原則の堅持を明言しない首相はこれまで一人もいなかったということです。被爆の実相を語る被爆者が少なくなる中で、非核三原則は犠牲になった多くの被爆者や救済されることなく亡くなられた被爆者、今も尊厳をかけてたたかっている被爆者の叫びであり、戦後を生きる私たちの決意です。だからこそ、歴代の首相も国是として、堅持する立場を表明してきたのではないでしょうか。その点で、核兵器廃絶と世界恒久平和を世界に強く訴える平和式典で、首相が何を語ることができるのか疑問です。
高市首相は、憲法9条を変えて戦力を持つことを明言しています。これは、憲法99条の憲法擁護義務を一番守らなければならない立場の総理大臣として、問題だと言わなければなりません。憲法9条の戦力不保持という世界に誇るべき戦争放棄の条文は、広島・長崎の惨状を目の当たりにし、原爆の惨禍を繰り返してはならない、二度と政府の行為によって戦争は起こさないという戦後の人々の決意が込められています。
(2)アメリカ・トランプ政権とパールハーバー国立記念施設との姉妹協定について
今年1月3日、トランプ大統領がベネズエラを爆撃し、マドゥロ大統領を拘束連行しました。問題がある指導者であったとしても、アメリカにもどの国にも、国際法を無視した武力行使は認められていません。アメリカ国内でもヨーロッパでも、トランプ政権への批判が広がっています。一方で、高市首相は、トランプ大統領の国際法違反について批判していません。トランプ政権のあからさまな国際法違反を批判もできず、ましてや容認するようでは、ロシアやイスラエルのような「力による現状変更」を批判できなくなるのではないでしょうか。
アメリカはこれまでも国際法を無視し、他国への先制攻撃で戦争を繰り返しています。そのアメリカ政府のもと、パールハーバー国立記念施設でも、核開発の歴史や軍事力を誇り、子どもたちに「強い潜水艦」のイラストを描かせるなど、戦争を煽る仕掛けがいたるところに存在しています。そうした施設と平和公園の姉妹協定を、継続するのはいよいよ正当化できません。広島を訪れ、平和資料館で真摯に学び、核兵器廃絶と平和を誓うアメリカを始め世界の人々に、不信感を与えかねないではないでしょうか。
この姉妹協定のはるか以前から、すでに、ホノルルを含めアメリカから広島・長崎を選んで原爆について学び、謝罪する市民やアメリカ国内で核廃絶の運動をしているアメリカ市民もたくさんいます。それに対して、原爆投下の反省も謝罪もしていないのがアメリカ政府です。
この姉妹協定の問題の背景には、2023年のG7サミットを契機にした、日本とアメリカの両政府の思惑が色濃く存在しています。広島ビジョンでは、「核抑止」が肯定されました。さらに、市長が独断で調印した姉妹協定が、被爆地ヒロシマがアメリカの核戦略へのお墨付きとなるものとして機能しています。今年2月、新戦略兵器削減条約=新STARTが失効したことで、ますますアメリカやロシアによる核開発競争の加速が懸念されています。こうした下で、被爆地ヒロシマが、核兵器を使用する前提で核開発を進めているアメリカ政府に忖度した姉妹協定を、締結の時のように議会に何の説明もなく、議論もしないまま自動的にこの協定を延長させてはなりません。姉妹協定の6条には、期間延長について、「満了日 90日前までに書面にて終了の通知がない場合は、5年間延長することができる。」とあります。そこでお聞きします。
2.ジェンダー視点のまちづくり
(1)ジェンダーに基づく暴力をなくす
次に、ジェンダー視点のまちづくりについてです。
1993年に、国連で「女性に対する暴力撤廃宣言」が採択されました。そこでは、レイプやDV、セクシュアル・ハラスメントなどの女性に対する暴力は、個人間の問題ではなく、ジェンダー不平等の社会構造に根本原因があるとしています。女性や子どもへの痴漢被害、芸能界での性暴力、自衛隊内でのセクハラ、女性支援をする団体や女性の権利を求める政治家への脅迫など、女性嫌悪=ミソジニーを背景にした女性への暴力が後を絶ちません。広島市での不同意性交等・不同意わいせつなど性犯罪の件数はこの5年で増加が続いています。そこでお聞きします。
ジェンダーに基づく暴力をなくすという点では、学校での取り組みも重要です。発達段階に応じて、生命の安全教育も行われていますが、子どもを被害者にも加害者にもしないという点で、教員や大人への啓発も求められているのではないでしょうか。児童・生徒だけでなく大人向けにもデートDVの研修を行っている団体の方は、「生徒へのデートDVの研修で、教員も理解が深まる。また生徒自身がデートDVに気づき、生徒同士で「それおかしいよ」と声をかけたり、教員に相談できたりしている。」と実態を語っています。とくに、子どもの変化に気づくためにも、大人が防犯の角度だけでなく人権としての包括的性教育を学ぶことが求められています。
(2)セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスライツ
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスライツ=性と生殖の健康と権利についてです。これは、「自分の体、性や生殖について、誰もが十分な情報を得られ、自分の望むものを選んで決められること。そのために必要な医療やケアを受けられること。私たちが心も体も健やかに、自分らしく充実した人生を生きるうえで欠かせない「基本的人権」」だと解説されています。
女性の健康といった場合に、フェムテック・フェムケアが前面に出てくるようになりました。策定中の第4次男女共同参画基本計画や広島市健康づくり計画「元気じゃけんひろしま21(第3次)」でも、新たに記述されています。フェムテック・フェムケアの、女性の健康課題を解決し、女性の活躍を応援するという側面は大事ですが、経済活動における範囲にとどまる取り組みです。女性が働くときに、生理や更年期をコントロールして、休まず長く働き、経済に貢献することを求めています。ここには、女性を安い労働力として「活躍」させる問題をはらんでいることを指摘しておきます。
昨年、経済産業省主催のフェムテックの研修会に参加しました。その際、女性の生理・更年期の理解と負担軽減を進めている企業の取組が紹介されました。特徴的なのは、メディアの経営企画部長の方が紹介した「社内アンケートを取ったら、突然の生理で困ったことがあるという人の割合が72%だった。労働の損失という視点もあり、トイレに生理用品を設置。トイレットペーパーと同様にしていきたい」という経験です。コロナ禍のもと、困窮者支援としての「生理の貧困」にスポットがあたっていましたが、今、経済的損失を補う視点でも、女性の健康課題を解決するという視点でも、生理用品のトイレへの設置がトレンドとなっています。
そこで、生理用品の無償提供についてお聞きします。
東京都大田区では、去年6月から中学校の女子トイレに生理用品の設置が始まっています。この取り組みは、保健室への相談につなぐことを前提としていますが、今回の施策について、「生徒が安心して学校生活を送れるよう、緊急時用として」設置すると発表されています。
中国新聞が行った「生理用品の設置について」のアンケートでは、ナプキンが手元になくて困った経験がある人は約7割おり、公共施設や学校トイレにナプキンがあれば、7割の人が「利用したい」と答えています。「周期が安定しない10代は生理の失敗一つでクラスの居心地にも関係する。もしもに備えてトイレに(ナプキンが)あれば要らない涙を流すこともないと思う」というコメントも寄せられています。
(3)プレコンセプションケアと官製婚活
今、懸念しているのは、政府が人口減少対策として、プレコンセプションケアを大々的に進めようとしていることです。プレコンセプションケアというのは、受胎前ケア・妊娠前ケアです。世界保健機関やアメリカ疾病予防管理センターでは、母子の健康を目的に取り組まれています。こども家庭庁では、「性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザインや将来の健康を考えて健康管理を行う」概念としています。大前提として、プレコンセプションケア=受胎前ケアは、安全に妊娠出産するためのケアです。この度の国が示した概念は、「健康な母体で健康な子どもを産む」ことや「産めよ増やせよ」の思惑をごまかしていると指摘しておきます。とくに、重大なのは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスライツや包括的性教育の視点が欠けており、まともな性教育なく、女性に妊娠出産させようとしていることです。あるジャーナリストは「国家的なお母さんになりましょう運動」と特徴づけています。そこで、お聞きします。
プレコンセプションケアと対をなす施策として、ライフデザインがあります。来年度予算でも、ライフデザイン支援と官製婚活の予算が計上されています。ライフデザインというのは、自分がどういう仕事をし、いつ結婚し、子どもを何人設けるかということを考える取り組みです。結局、こうした取り組みを通じて、結婚、妊娠、出産が強要されかねないのではないでしょうか。
来年度予算の考え方でも、合計特殊出生率の向上を掲げておられます。結局、ライフデザインや官製婚活の先には子どもを産むことがゴールになっているということではないでしょうか。そもそも、合計特殊出生率の数値の改善をしようとすると、女性が結婚し、たくさん子どもを産むことが奨励されることにつながります。女性にだけ少子化の原因を求めるような考え方に固執することはいい加減やめるべきです。
また、若い人たちが、出会いがないから結婚しない・できないという背景には、低賃金のため長時間働いて手取りを増やさなければならなかったり、奨学金返済が負担になっていたりするなど経済的な理由や働きすぎによって自由な時間がないなどの問題があります。行政が行うべき支援は、出会いの場をつくることではなく、若年層の家賃補助や奨学金返済支援など若い人の生活を支える施策に取り組むことです。なお、結婚を視野に入れた出会いを求める人は、民間のマッチングアプリなどすでに利用しています。
そうしたもとで、広島市は「女性がいきいき活躍できるジェンダー平等なまち」を掲げておられますが、それは広島で結婚し、子どもを産む女性のみを想定しているのではないかと心配になります。結婚を選ばない、選べない、子どもを持たない、持てない人は見えていないのではないかと思わざるをえません。
官製婚活は、個人の幸せになる権利よりも少子化対策を優先することになり、一人ひとりののびやかに自由に生きる環境を保障するジェンダー平等政策とは逆行するのではないでしょうか。
憲法13条は、すべての人が個人として尊重され、幸福追求権が保障されると掲げています。一人ひとりの生き方を応援するのが、政治の役割であり、行政がサポートすべきことであると述べておきます。
3.地方自治体の役割
(1)国民健康保険について
国民健康保険についてです。昨年、私の事務所に国保料が異常に高くなっているが、どうにかならないかと相談の電話がありました。その方は、70代前半で年金が前年から年間3万円増えたため、非課税世帯から課税世帯となり、国保の軽減から外れてしまい、前年の倍近くの保険料となっていました。年金が月2500円ほど増えたとしても、国保料だけでなく市民税など税金の負担がそれ以上に増えてしまい、年金は増えているのに、かえって生活を圧迫する事態が起こっています。そこでお聞きします。
これまで生活保護を利用していた方で、年金が月500円上がったため、生活保護が利用できなったという方がおられます。少ない年金所得から国保料を納め、窓口負担もあるというのは、治療中断につながりかねません。治療継続を保障するために、国保法44条に基づく一部負担減免制度をもっと利用しやすくする必要があるのではないでしょうか。
この間、社会保険料を減らすことを掲げた政党が増えてきています。ここで注意が必要なのは、社会保険料を減らすといった際の財源が、OTC類似薬の保険外しなど患者負担を増やすことと一体になっているということです。社会保険というのは、いざというときに誰でも医療にかかることを保障した制度です。とくに、患者負担を増やすということは、高齢者や難病患者、慢性疾患患者の医療へのアクセスを阻害することになります。これは、憲法25条2項が定めた国の責務である社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に反するものではないでしょうか。
私たち日本共産党は、国民健康保険制度を支えるために、国費の投入を求めています。社会保障を充実させる財源は、庶民から搾り取るのではなく、TaxTheRich=これまで優遇減税を受けてきた大企業や大金持ちに支払い能力に応じた適切な課税を求めるものです。
(2)保育園の給食調理員について
地方自治体の役割は住民の福祉増進です。その点で、公共の現場でケアに携わる人を大切にすることが住民の福祉を豊かにすることにつながります。今、市として子ども・子育てに注力する予算案が提案されています。そこに関連して、保育園の給食調理員についてお聞きします。保育園に通う子どもで、乳幼児や医療的ケア児に対するきざみ食やとろみ食、宗教食など個別の対応をすることも増えてきていると伺っています。保育園の給食も、単にお腹を満たすだけものではありません。食習慣を身につけ、心と体の成長を支えるものです。そうした中で、保育園の給食調理員は、食べ方に配慮が必要な子どもが、安全に給食を楽しめるように努力をされており、重要な役割を果たしておられます。その役割を考えると正規調理員が必要となります。そこでお聞きします。
医療的ケア児の受け入れがある園に限らず、どこの園に通う子どもも、給食を安全に楽しめるように、各園に正規調理員をおくべきであり、そのための職員の増員を求めます。
(3)DX推進について
最後に、DXの推進についてです。政府を上げて、自治体のDX化が推進されています。市民サービスの向上や職員の負担軽減のために、必要な取り組みであると思います。同時に、「効率的」「合理性」の下で、切り捨てられる住民が出てこないか懸念もあります。台湾のデジタル大臣を務めたオードリー・タン氏は、「デジタルから遠い人に合わせてシステムをつくることが大事」だと述べておられます。現在、第2期広島市DX推進計画が策定中です。そこでお聞きします。
デジタルに遠い人にも恩恵があるようなやさしいデジタル技術の導入が求められています。弱い立場に置かれている人が、行政サービスから遠ざけられることがないように、DXの推進も、困っている人へ施策を届けるという視点を持っていただくことを要望します。
憲法97条では、多くの犠牲の上に獲得された人民の基本的人権は、幾多の試練を耐え、今と未来の人民に対して、侵すことのできない永久の権利と謳っています。最大の人権侵害である戦争をしない、させないために政治の役割が求められます。自治体でいえば、一人ひとりのしあわせを応援するために、役割の発揮が求められます。多くの施策がありますが、数値ありきでなく、いかにして広島で生きていきたいと思える市民を増やしていくか、その視点が重要だと思います。憲法を生かし、一人ひとりの生き方を応援する市政運営を求めて質問を終わります。