議会での質問・答弁

2025年09月17日

2025年第3回 9月定例会 一般質問 中原ひろみ

1.被爆80年被爆地の役割を果たそう
(1)日米訓練、ガザのジェノサイド、核武装論などについて
(2)平和宣言について
2.地方自治体の役割について
(1)物価高騰から市民生活を守ることについて
(2)高額療養費制度の限度額について
(3)OTC 類似薬の保険給付除外について
(4)生活保護裁判の画期的判決について
(5)最低賃金の引上げについて
(6)公契約条例について
(7)アストラムライン延伸について
3.大型開発から暮らし応援に転換を
(1)就学援助制度について
(2)広島高速5号線について
4.学生支援について
(1)入学金について
(2)学生の通学費補助制度について

1.被爆80年被爆地の役割を果たそう

(1)日米訓練、ガザのジェノサイド、核武装論などについて

中原ひろみ
 お疲れ様です。日本共産党の中原ひろみです。党市議団を代表して一般質問をします。
 私たちは今、再び核使用の危険に直面しています。ロシアによる核威嚇、イスラエルとアメリカによるイランの核関連施設への先制攻撃に加え、7月には日米両政府の核使用を想定したシナリオに基づく訓練を、自衛隊が実施しているとの報道もありました。
 日本共産党市議団は党国会議員団を通じ、この報道の事実関係を政府にただしたところ「米軍が核兵器を使用する」というシナリオの存在は否定されていません。
 さらに現在、9月11日から25日まで、陸上自衛隊と米海兵隊を過去最大規模の2万人を動員し、米軍と中国との武力衝突などを想定し、アメリカのミサイル発射装置を使う実働訓練「レゾリュート・ドラゴン25」が沖縄県など8都道県で実施されています。
 また、中国四国防衛局の説明によると、今日から岩国基地で空母艦載機着陸訓練(FCLP)を実施するとしています。
 これは、空母の甲板を陸上の飛行場の滑走路に見立てて着陸する訓練です。広島県は、騒音被害や事故発生の危険が大きい艦載機の着陸訓練は、県民の安全・安心を脅かすものだとして遺憾を表明し、防衛大臣、外務大臣、駐日米国大使および米海兵隊岩国航空基地司令官宛てに訓練の中止を求める要請書を提出するとしています。
 大竹市や廿日市市も訓練は容認できないと抗議しています。
 広島市はこの訓練を受け入れるのですか。市も、市民の安心・安全を確保する立場から訓練の中止を求めるべきですがどうされるかお聞きします。

国際平和推進担当局長
 本市はこれまでも、岩国基地に関して、騒音や事故の発生など、平和な市民生活への影響が懸念されることから、広島県等と連携し、着陸訓練や低空飛行訓練の中止を、日米両政府に対して要請してきており、本年5月にもFC LPが逆に基地で実施される可能性があるとの情報を得た際に、日米両政府に対し、今後の訓練においても、逆に中止使用しないよう強く要請しております。
 議員ご指摘の通り、この度のFC LPの実施決定を受けて、中国四国防衛局から事前に説明を受けた広島県が、日米両政府に対し、岩国基地を使用しないよう強く要請しており、本市としましても、状況を注視しつつ、市民の安全安心を守る立場から、市民生活に影響を及ぼすような事態が発生しないよう、引き続き広島県等と連携を図りながら、必要な対応をとっていきたいと考えております。

中原ひろみ
 まさに今、いつでも戦争できる国へと、被爆国日本がアメリカの核戦略に加担を深めていることはとても危険で重大な問題です。
 先の参議院選挙でも「核武装は安上がり」と、核武装を声高に叫ぶ勢力が台頭しました。
 ガザでは、イスラエルによるジェノサイドで、6万人を超える犠牲者が出ており、子どもの死傷者は5万人を超えると報道されています。
 イスラエルはガザに対し食料を制限しただけでなく、食料配給所に集まった人々に発砲し・殺害を繰り返すなど深刻な人道状況が発生しています。
 そうした世界情勢のもと、被爆80年の平和宣言は世界から注目されました。被爆地広島は核兵器廃絶をどのように訴えるのか、広島市の「平和」「人道」に対する姿勢が問われました。
 その為、私たち党市議団は6月議会で、今年の平和宣言は、恒久平和を訴える広島の発信として、国際法と国連憲章を踏みにじる武力攻撃を直ちにやめるよう求めるべきと要請しました。
 しかし、これらの悲惨な軍事攻撃について平和宣言では、ほとんど触れられませんでした。とても残念です。
 ヒロシマはイスラエルのジェノサイドを見過ごしているのかと受け止められないか心配です。
 平和宣言では、「平和文化」が強調されました。平和文化の普及は大事なことですが、同時に、今起きている非人道の極みに対して、当然に声を上げるべきではないでしょうか。
 世界に恒久平和を訴えてきた広島市として、市長の名で「ジェノサイドをやめよ」と、発信すべきではありませんか。「核武装は安あがり」とする核武装論や、核使用を想定した日米訓練のシナリオの存在についても市長の見解をお聞きします。

市長
 被爆者の部屋への願いである広島の心を世界中に広げあらゆる暴力を否定する平和文化を振興し、市民生活の安全が確保される平和な国際社会が実現する環境作りを目指している本市としては、今年の平和宣言において自国のことのみに専念する安全保障政策に警鐘を鳴らし、世界中の為政者に対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制の構築に向けた議論をする意味でも、開始すべきと呼びかけたところであり、こうした呼びかけはジェノサイドという言葉使っておりませんが、ジェノサイドを含むあらゆる暴力を否定するためにも行っているところであります。
 また、核武装は安上がりといった核兵器の保有を容認するような声があることや、博士を想定した日米訓練のシナリオがあることは、市民社会に平和文化がまだ十分根付いてないことの表れではないかと考えております。
 加えて、核のタブーを脅かし、核兵器の使用可能性を高めるだけではないかとも危惧しております。
 このような状況だからこそ、本年6月に全ての為政者に対し、暴力行為に依存することなく、対話による外交登録によって問題解決を求めることなどを内容とする平和市長会議共同アピールを発出したところであり、本市は引き続き世界の8500を超える平和首長会議の加盟都市と連帯して、赤い世代の平和学習の更なる推進など、平和文化を市民社会に根づかせることに磯注力し、核兵器のない世界を目指すという総意を形成していきたいと考えております。

【再質問】
中原ひろみ
 大変残念な答弁ばかりですね。平和と暮らしを守れるのかと改めて言わせていただきたいというふうに思いました。
 ガザの飢餓を止める、停戦を求める声明を出すべきではないかということを言いましたけども、この文面ではジェノサイドは入れてないけれども、言葉を入れてないけど思いを入れたという。こんなことではね、伝わらないというふうに思いますよ。やはりきちっと文面にして伝えることこそ、必要ではないかというふうに思うわけです。
 それから広島市の今のそういう今日から始まっております。空母艦載機着陸訓練ですね。これは5月ぐらいに情報を得たときに、国はやめるように言ったんだと。だから今始まるときに、ときにはもう言わないんだというようなことでしたけどこれも駄目でしょ。
 やはりその時々にきちんと市の被爆地としての役割、国際平和文化都市広島市総合計画で言われている平和をやはり実現、形にしていくべきではないかというふうに思うんです。
 私ももうこのFCLPというものの訓練どんなものか調べますとね。今日から25日まででしたか。土日祝日を除く毎日午後の時間から1時半からですね、夜の21時45分まで訓練やるんですよ。
 6時間で、これはやはり爆音とだから事故の危険も多くてやはりこれは中止を求めて当然だと。5月にも中止せよと言ったけど、いざやってくるときにもやはり中止せよということが必要じゃないでしょうか。
 やはり岩国市長はですね、このようにおっしゃってますね。
 空母艦載機着陸訓練を認めないのは、基地の町岩国としても最低限の基本的な姿勢なんだといろいろ基地の街だけど、こんな危険な訓練だけはいかに基地の街としても認められないという思いで抗議をされております。
 やはりこういう自治体としてのですね、命と暮らしを守るというこの最前線に立った要請や行動力を私は必要だというふうに思います。
 その点では広島の行動力は少しかすんでいるのではないかと言わせていただきたいと思うんです。
 それで聞きたいのはね、結局、今後もいろんなことが起きてくると思います。
 核兵器の問題もそうですし、日本が戦前にまたなっていくというような状況もある中で、やはり今広島が戦争でなく、やっぱり非暴力による協力と共同の社会を求めるんだというこの思いを社会に働きかけていく、常に機敏に働きかけていくという、そういう役割を担っているという気持ちがあるかないかというのを聞かせていただきたい。

国際平和推進担当局長
 再質問ということでまずですね岩国基地のFC LPの中止についてでございますがちょっと補足もさしていただきますと先ほどご答弁をした通りです。
 基地問題については騒音の問題など、市民の安全安心を守る観点からですね、広島県等と連携して対応しておりますが、今年5月の際はですね事前に情報がありましてですね。こうしたこともありまして今後の訓練においても、逆に基地を使用しないよう要請したところです。
 この度はちょっとそういう情報もなくですね今、今現在の県等を通じてですね、情報入手しているところでありまして引き続きですね。ええ。状況も注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 もう1点ですね広島がもっと訴えて役割を果たしていくべきというところのご質問ですけど、先ほどの市長からのご答弁もあり、申し上げましたけど、本市はこれまで一貫してですね。武力や核抑止力に依存することなく、対応を通じた平和的解決、これを図るよう世界に対してですね、平和宣言やアピール文等を通じて訴えております。
 引き続きですねジェノサイドそういった暴力を否定するために、こうした訴えは当然続けてまいりたいと思います。
 ただしこれまで国連や国際社会からも様々な働きかけございますが、なかなかそういった武力と衝突とか紛争終結しない現状におきましては、やはり為政者を選ぶ、これは市民社会、市民社会にですね核兵器や戦争のない世界を目指す、そういう形成していくっていうことがますます重要だと考えております。
 引き続きですね本市としましては世界の8500を超える平和首長会加盟都市とともに、あらゆる暴力を否定する平和文化を振興しまして、平和的解決を求める市民社会の思いを国際的な規模で醸成していくことで、平和な世界の実現に取り組んでまいりたいと考えております。

(2)平和宣言について

中原ひろみ
 平和宣言は、被爆都市の見解を表明する場であり、年々世界から注目が高まっていくと考えます。
 そこで、平和宣言の起草の在り方の見直しを提案します。
 広島では宣言文をつくり上げる過程で、7人の市民などから意見を聞いて、市長がまとめられているようです。7人の名簿は市のホームページで公開されていますが、意見の内容は非公開です。
 このやり方では、市長一人が起草して宣言文を作成したのとほとんど変わらず、被爆都市、平和都市の市民を代表して市長が平和宣言を発するものになっているとは言えません。
 長崎市の平和宣言の起草過程は、広島市とは対照的です。最終的には市長がまとめられるのですが、委員20人以内で組織する平和宣言文起草委員会へ長崎市長が原案を提出し、3回にわたり公開の場で議論され活発な意見が出されています。
 起草委員の人選も規則で明らかにされており、被爆者や学識経験者、若者を含めた市民に委嘱されています。
 これからの平和宣言は、世界情勢とそれに対する市民の受け止め、意見を反映した宣言文にしていくことが必要です。市民とともに作り上げる宣言にすべきです。
 各分野の市民意見を反映させるには7人では少なすぎます。市民が参加して起草できるよう公開の平和宣言文起草委員会の設置などに形を改めるべきと考えます。
どうされるかお聞きします。

国際平和推進担当局長
 議員ご指摘の平和宣言に関する懇談会は平和宣言のにあたって、現市長が平成23年に市民等からのご意見等を聞くために立ち上げたものが元となっており、平和宣言を行うにあたり、広島平和記念都市建設法第6条に規定する普段の活動の一環として位置づけ、設置運営してきているものです。
 これまでの運営状況を踏まえるならば、出席者から自由かつ率直なご意見をいただき、記者会見で主要な意見を紹介しながら、それらが反映された宣言文を作成することにより、訴えるべき内容がしっかりと整理でき、広く国内外に伝わるものができていると考えていることころです。
 本市としては市住民の協力を得ながら、平和宣言を起草する現行の式はこのように機能していることから、現時点で見直すことは考えておりません。

2.地方自治体の役割について

(1)物価高騰から市民生活を守ることについて

中原ひろみ
 国や地方自治体は一体だれの為にあるのでしょうか。平和な日本は地方自治なくしては存在しません。自治体の使命は、住民の福祉を向上させることです。
 今、国民が政治に求める最大の願いは、消費税率の引き下げなどの物価高騰対策ですが、石破総理の辞任により次期総裁をめぐり政治の空白がもたされていることは、大変に遺憾なことです。
 アメリカ言いなりに軍事費ばかりを突出させ、教育・イ療・農林漁業・中小企業予算など、暮らしや社会保障予算を犠牲にしてはばからない政権に対し、自治体として市民の命を守る立場から言うべきことを言うとともに、必要なことは市独自に施策を実施して、くらしを守る防波堤の役割を果たすことが求められます。
 物価高騰から市民生活を守るため、「国待ち」や「国以上の支援はしない」という広島市の姿勢は自治体のあるべき姿とは言えないと考えます。その点の認識を伺います。

企画総務局長
 物価高騰対策については、基本的には国が責任を負うべきものとしつつ、基礎自治体の実情に応じた支援ができるよう措置されているところです。本市としましてはこうした国の措置を最大限に活用し、本市の実情に応じた独自の支援策を講じていきたいと考えています。

【再質問】
中原ひろみ
 それから、物価高騰に対してはですね、本市の実情に踏まえて、対応していく本市の事情って何ですか。それ聞きたいですね。本市の実情がどうなったら物価高騰対策し貸してくれるんですか。

企画総務局長
 物価高騰対策についての再質問でございますが、本市の基礎自治体としての実情に応じた支援ということですけども、まず本市として比べまして産業構造ですとか雇用環境とかそういった違う実情も異なっているという予定もございますが、本市としましては広域都市圏の構想の実現、あるいは地域相談街作りといったこういった取り組みを進めている中で、そういった取り組みのですね効果のを考えながら、支援策を講じていきたいと考えております。

(2)高額療養費制度の限度額について

中原ひろみ
 高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限を設けることで、医療費が高額となる場合でも支払いを一定の金額内に納める制度で、お金の心配をせず医療を受けることができる憲法25条の生存権を保障する重要な制度です。
 広島市の国民健康保険の令和6年度の高額療養費の利用件数は約14万件、本来の窓口負担額と高額療養費を用いた自己負担限度額との差額の総額は約88億円です。つまり、年間に約88億円の市民負担を軽減することで命が守られてきたのです。
 しかし政府は、この高額療養費の患者負担を今年8月から3年間で段階的に引上げるという制度改悪を発表しました。しかし、がんや難病患者らから強い反発があり、国は「凍結」を表明しましたが、今後の引き上げを否定していません。
 予定されていた改正内容は、年収650万から770万円の世帯の場合、現行は8万100円の負担上限額を13万8600円に引き上げ、5万8500円もの負担増を強いるもので、 厚生労働省は、この引上げが実施されれば、約2270億円分もの受診抑制が起きると想定していたようです。市長は高額療養費制度の必要性についてどのような見解をお持ちですか。
 島根県知事は高額療養費上限引き上げについて国民の受療権を侵害する「国家的殺人未遂」と断罪されていますが、国に対し、高額療養費上限引き上げの「撤回」を求めるべきと考えますが、いかがですか。

保健医療担当局長
 高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療費の自己負担に一定の歯止めをかける仕組みであり、医療におけるセーフティネットとして重要な役割を果たしているものと認識しています。
 本市としては、国において高額療養費制度に関し、改めて方針を検討するとされており、その検討に当たっては、丁寧にプロセスを進めていただきたいと考えているところ国においても、そうした努力を行うとされていることから、適切な対応をしていただけるものと考えています。

(3)OTC類似薬の保険給付除外について

中原ひろみ
 政府の「骨太の方針2025」には市販薬と有効成分が重複する風邪薬、胃薬、解熱鎮痛剤、目薬など5,000品目を超えるOTC類似薬を保険給付から除外する、とんでもない改悪が検討されています。狙いは最大一兆円の医療費給付削減です。
 「OTC医薬品」とは薬局で医師の処方箋なしに購入できる市販薬のことです。
「OTC類似薬」は、医師が処方した薬で、含まれる成分や、その効果は市販薬と同じでも、保険が適用されるため自己負担1~3割で購入できます。一方、市販薬は、市販薬としての製造や流通にかかるコストや宣伝広告費なども加わり、40倍も価格が高くなる場合もあります。
 特に、アレルギー疾患は、通院と処方薬が欠かせません。アトピー性皮膚炎の罹患(りかん)率は小学生では約15%、何らかのアレルギー疾患を抱える小中学生は約35%と、特別な病気ではありません。
 アトピー性皮膚炎では「全身に塗る保湿剤が1回の治療で2000円だったのが、保険から外れれば6万円以上かかる」といいます。「物価高の上に保険適用外では、生きていけなくなる」「実質、死の宣告だ」と、難病患者の団体から怒りが広がっています。
 OTC類似薬が保険から外されれば、アトピーで医療を受けている子ども医療費助成や難病公費医療の対象外となってしまい、子どもの命を守るという医療費補助制度の目的が成り立たなくなります。
 日本医師会も、患者が自己判断で市販薬を使用すると重症化する恐れがあり「健康への大きなリスク」だと強く反対しています。
 医師の診断と処方を前提に使われてきた薬を保険外とすることは、医療行為の否定につながり、国民皆保険制度の根幹を揺るがします。
 市民の命と健康に多大な影響を及ぼすOTC類似薬の保険外しは絶対に実施してはならないと考えます。
 市は、OTC類似薬が保険給付から外された場合の、市民負担やリスクについてどのような見解をお持ちですか。国に対し、保険外しをやめるよう求めるべきと考えますが、どのようにされるか伺います。

保健医療担当局長
 OTC類似薬が保険給付の対象から除外された場合、高額療養費や各種助成制度を利用している患者の負担が増加することなどが懸念されます。
 国に対しては、医療機関における必要な受診を確保し、低所得者の方の患者負担などに配慮しながら、導入のぜひを含めて検討するとされていることから適切に対応されるよう求めたいと考えています。

(4)生活保護裁判の画期的判決について

中原ひろみ
 全国で1000人超が原告となった生活保護費の引き下げ処分の取り消しを求めた「いのちのとりで裁判」で、最高裁は6月27日、平成25年から最大10%(年間削減額670億円)に及ぶ生活保護費の大幅引き下げを「違法」とし、裁判官全員が一致して減額処分を取り消す判決を言い渡しました。
 利用者が最低限度の生活を満たせない状態を9年以上にわたり強いてきたことは、憲法13条の「個人の尊厳」、25条の生存権と生活保護法3条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の侵害にあたるとして国の行政を厳しく断罪した画期的判決です。
 判決までに多くの原告が亡くなっていますが、国は判決の言い渡しから3か月近くたつにもかかわらず、原告に対し謝罪も補償も行なっていません。
 広島市も、これまで「基準引き下げは適切」と説明されてきましたが、判決を受け「平成25年当時の保護費は違法」な金額との認識をお持ちですか。判決に対する市の評価をお聞きします。

健康福祉局長
 国が平成25年から27年に実施した生活保護基準の改定に関して、国全国で訴訟が提起され、最高裁は大阪と大阪と名古屋の上告審判決で、当時の基準改定に伴い、自治体が行った減額決定処分を取り消したものと承知しております。
 これは国の基準改定に関して、物価変動率のみを直接の指標として用いた判断の過程および手続きに過誤欠落があったとして、違法とされたものであると認識しております。

中原ひろみ
 国に対し、原告だけでなく保護費が減額された全ての受給者に対し、判決に則り速やかに、平成25年改定前の保護基準額との差額保護費を遡及して支給するよう求めるとともに、国待ちにせず、市独自に該当する市民に対し、救済措置を講じるべきではありませんか。

健康福祉局長
 法定受託事務である生活保護制度につきましては、生活保護法に基づき、実施機関である自治体が国の定めた保護基準に従って必要な保護を実施することとされています。
 最高裁判決を受けまして国は学識経験者から成る専門委員会を設置し、行政処分取り消しの判断理由が示されたことによる補填法的な効果や、原告からの意見聴取なども踏まえ今後の対応について検討を行っているところであり、今後こうした専門委員会の議論を経て、国から国から示されるであろう具体的な対応方針を待って適切に対応してまいります。

中原ひろみ
 広島市の原告にかかる平成25年の基準改定により、減額された生活保護費はどのようになっていますか。

健康福祉局長
 生活扶助費は日常生活を営むために必要な費用ですが年齢やその世帯人員別に定められており、平成25年の基準改定により減額されたのは、改定のあった月の前後で比較すると本市の場合、原告43世帯分の合計は、月額で5万890円となります。

中原ひろみ
関連する国保の一部負担金減免、市営住宅の家賃減免などへの影響はどのようになるかについてもお聞きします。

健康福祉局長
 生活保護基準に連動して軽減や減免の措置が行われる国民健康保険の一部負担金減免制度や、市営住宅家賃減免制度などへの対応につきましては今後国から示される方針に従い、関係部局と検討してまいりたいと思っております。

(5)最低賃金の引上げについて

中原ひろみ
 5月14日に開かれた「新しい資本主義実現会議」で石破首相は、「賃上げこそが成長戦略の要」「最低賃金を時給1500円」と断言し、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」を打ち出しました。
 が、その中身は2029年まで5年間をかけて、実質賃金で1%程度の上昇を新たな賃金水準にするというものです。
 こんなテンポでは貧困と格差が広がるばかり、あまりにも遅すぎると言わざるを得ません。
 日本共産党は大企業がため込んでいる内部留保に時限的に課税して10兆円を生み出し、この財源を使って、中小企業を支援すれば、時給1700円への引き上げは可能と提案しています。
 最低賃金の引き上げは、大企業・中小企業を問わず、すべての労働者の賃金の底上げにつながるとともに、非正規ワーカーの賃上げに直接結び付くものであり、政治の決断と責任で実行できるものです。
 少子化対策のためには、安定した雇用とともに、賃上げこそが不可欠です。この点について、市の見解をお尋ねします。

経済観光局長
 安定した雇用や賃上げは若者の生活を守り、希望する人の結婚や出産を後押しすることに寄与するものであり、ひいては少子化対策としても有効であると認識しています。

中原ひろみ
 労働基準法第1条は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」としています。
 しかし、一日、8時間という法律の上限まで働いても、現行の最低賃金では生活保護基準程度の賃金しか得られません。
 さらに、最低賃金の地域間格差が、若者の大都市部流出や地域経済疲弊の要因にもなり大きな問題になっています。
 現時点で最も高い東京都は(1163円)、最も低い秋田県は(951円)で、212円もの格差があります。11月から最低賃金が上がり、地域間格差は9円縮小します。
 しかし、全労連とそのシンクタンクである労働運動総合研究所の研究者が実施した最低生計費調査では、地方は住居費が安いが交通費が高いなどで、25歳単身者の税込の生活費は全国どこでも月額24万円以上が必要であるとしています。
 つまり、働く者の生計費には都市部と地方の間で、ほとんど差はないということです。ですから、どこでも、どんな働き方でも最低賃金は時給1700円にすることが、人間らしく暮らす最低限の要求です。国に対し、早期に時給1700円にするよう申し入れることが必要です。いかがですか。

経済観光局長
 最低賃金については、最低賃金法の規定により、毎年、国の中央最低賃金審議会において、労働者の生計費や賃金上昇率などを考慮して、地域別最低賃金額の目安が示されます。
 これをもとに、公益代表、労働者代表、使用者代表委員とする各都道府県の地方最低賃金審議会において、地域の実態を勘案して審議され、厚生労働省の機関である各都道府県労働局により決定されています。
 こうしたことから本市から国に対して、最低賃金の一律引き上げを要望することは考えていません。

中原ひろみ
 最低賃金の決定は都道府県労働局長にゆだねられています。岩手県は今年度(18億円)を賃上げのための予算として確保し、一時間当たりの賃金単価を「60円以上」引き上げ賃上げした事業主に従業員一人当たり6万円、最大50人分、1事業所当たり最大300万円を上限に支給しています。
 支援制度を使って少しでも賃金をあげたら従業員が定着し応募もあるかもしれないと期待の声が寄せられています。
 広島県に対し、岩手県のように中小企業・小規模事業者の賃上げを自治体から進める制度の創設を市から求めるべきと考えますがどのようにお考えですか。

経済観光局長
 本市では、中小企業等の賃上げは投資するためには生産性や付加価値の向上など、着実な賃上げを実施できる環境作りを進めることが重要であると考えており、地域の中小企業等に寄り添った形で経営金融技術支援を行っています。
 また県は生産性向上に資する設備投資等を行う企業に対し、その費用の一部を国が助成する業務改善助成金の上乗せ補助を行っています。
 こうしたことから、本市から県に対して事業者の賃上げを直接補助する制度の創設を要望することは考えておりません。

(6)公契約条例について

中原ひろみ
 自治体ができる賃上げを進める制度の一つとして公契約条例の制定を提案します。
 公契約とは国や地方自治体の事業(工事・サービス・物品調達など)を民間企業などに発注・委託する際に結ぶ契約に、賃金・報酬下限額を設定し、自治体・受注者の責任などを契約事項に加えることで、中小企業・小規模事業者の賃上げにつなげるというものです。
 「公契約条例」を全国で初めて定めたのは、千葉県野田市ですが、2025年1月現在、全国で90自治体に広がっています。
「理念型」の条例は23都府県57自治体、労務単価や時給の下限を定める賃金条項を盛り込んだ「賃金条項型」の条例は、9都県33自治体で制定されています。
 公契約条例は、ILO(国際労働機関)第94号条約に基づくものです。日本は未批准ですが、住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は、労働者に人間らしい労働条件を保証すべきであり、発注者たる公的機関は、それを確保するための責任を負っているのです。
 しかし、広島市が発注した公共事業に従事しているという市民から、「人件費の引上げで事業費を増額する「変更契約」が議会で承認されたと聞いたが、自分たちの賃金は何も変っていない」との訴えがありました。
 巨額の税金が人件費の高騰を理由に支出されているのに、肝心の労働者の賃金に反映されないのでは、詐欺のような事業費増額と言わざるを得ないわけです。
 市はこの市民の訴えをどのように受け止められているでしょうか。

財政局長
 下請け業者の労働者の方の賃金がきちんと引き上げられるようにすることについては、6月議会において、中村議員道路交通局長がご答弁した通り、国から建設業者団体に対し、公共工事設計労務単価の上昇を十分に踏まえ、現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払われるよう、最大限努めることを求める旨の通知が出されているところです。
 本市においては、全ての入札参加者に配布するパンフレットに国の数値と同様の内容を盛り込むなどの取り組みを行っており、引き続き適正賃金の支払いに資するよう、事業者への周知を図ってまいりたいと考えています。

中原ひろみ
 物価高騰が始まった2021年度以降の4年間で、賃金水準の引き上げなどを理由とした事業費の変更案件は何件ありましたか。

都市整備局長
 本市では、労働者の賃金や物価の変動に対応するため、広島市建設工事請負契約約款に、賃金水準や物価水準の変動に基づき、発注者または受注者が請負代金額の変更を請求することができるいわゆるスライド条項を規定しております。
 ご質問のありました2021年度以降の4年間で、このスライド条項を適用し、請負代金額の変更を行った工事のうち、賃金水準の変動を含んだ工事の件数は32件でございます。

中原ひろみ
 日本の建設業界は、世界でもまれに見る重層下請け構造で、中小零細の建設従事者はその傘下に置かれ、今や、ゼネコンは外注依存で利益を吸い上げる構造となっていると指摘されています。
 そうしたなか、杉並区は公契約条例で、労務費の不透明な中抜きを許さない仕組みとして、事業者から支払われた賃金が労働報酬下限額より低い場合、労働者は受注者等に申し出て是正を求めることができると定めています。
 また、アルバイト、パート、派遣労働者など雇用形態を問わず、ひとり親方や指定管理の協定も条例の対象としています。
 広島市でも物価上昇を上回る賃上げにとどまらず、労働者と家族が人間らしい生活ができる賃金を実現する「賃金条項型」の公契約条例の制定が必要と考えますが、市の見解をお聞きします。

財政局長
 契約条例は、地方公共団体からの受注業務の履行に当たり、事業者が労働者に支払う賃金に関する定めなどを内容とするもので、このうち、議員ご指摘の賃金条項型は、一定額以上の賃金の支払いを事業者に求める規定を有するもので、政令指定都市では、2都市のみが制定しております。
 本市では賃金等の労働条件の具体的な内容については、現行の労働法制のもと、原則、労使当事者間の交渉において決定されるべきものとの認識により、当事者間での適正な労働条件の確保に向けた交渉を促す環境を醸成することが重要と考え、公共工事等における最低制限価格等の水準の見直しや、業務委託の労務単価の増額改定などを行い、ダンピング受注を防ぐとともに、従事する労働者の方の賃金に幸せがおる場合、及ばないような環境作りに取り組んできたところでございます。
 引き続きこれらの認識のもと、入札契約制度の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

(7)アストラムライン延伸について

中原ひろみ
 改めて指摘するまでもなく、自治体の仕事は、市民の命と財産を守ることです。
 災害からどうやって命を守るのか、終わりの見えない物価高騰から市民生活をどう支えるのかということです。
 広島駅南口再整備事業は約155億円から約520億円へと膨らみました。まるで青天井のように事業費増額が繰り返えされる大型公共事業は一旦、凍結すべきと考えます。
 特に、アストラムライン延伸事業は、現在でも760億円の事業費とされていますが、物価高騰や人件費高騰などを理由とした、これまでの事業費の増額状況を考えれば、1000億円を超える事業費へと膨らむことは容易に想定されることです。
 巨額の予算を投じて、アストラムラインを延伸すれば、少子化が克服できるでしょうか。
 今、自治体に求められているのは、若者が将来に希望を持てる雇用、人間らしく暮らせる賃金、教育費の軽減、医療の充実など、安心して子どもを産み育てられる広島市にすることです。
 何が何でも、アストラムライン延伸事業を進めるのではなく、一旦、中止して、予算の軸足を教育、保育などをはじめ、介護・医療など命を大切にする社会保障の拡充へと転換すべきではありませんか。市の考えをお聞きします。

道路交通局長
 アストラムラインの延伸のような大規模プロジェクトの実施は、本市に新たな投資を呼び込み、都市の活力を見出し、ひいては税源の涵養に繋がることで、社会福祉や社会保障、教育などのソフト施策を持続可能とするための財源確保にも資するものと考えています。
 その上で、アストラムラインの延伸は、政府心と都心を結ぶ西風新都デルタかの循環を創出するとともに、広島広域都市圏の各市町との結びつきを深める広域的ネットワークを形成し、ヒト・モノ・カネ・情報の更なる好循環を生み出すために実施するものであり、本市のまちづくりにとって不可欠な都市基盤を整備する重要な事業と考えていることから、着実に推進していくこととしています。

【再質問】
中原ひろみ
 大型開発は、妥当だと5号線も妥当だったと、アストラムラインも妥当なんだというにも関わらずですね、賃金の引き上げは国にも市・県にも言わないっていうんでしょう。これおかしい話じゃないですか。納得できませんよ。

3.大型開発から暮らし応援に転換を

(1)就学援助制度について

中原ひろみ
 このまま、巨大開発ばかりに予算を投入し、借金を増やすことは、市民生活をこれまで以上に犠牲にするということです。
 実際、広島市はこれまでに「事務・事業の見直し」のもとでも、大型開発だけは聖域にしてきました。犠牲にされたのは就学援助制度や、放課後児童クラブなど子どもの予算でした。
 これ以上、子どもの予算を削り開発を最優先することは認められません。
 就学援助制度は令和4年に認定基準が生活保護と同等の収入に見直しされて以来、認定率は毎年 下がり続け、市の支出額は減り続けています。
令和4年度と令和6年度を比べると認定者数は2379人減り、認定率は1.9%下がり、支給総額は1億円を超える削減となっています。まず、認定率が下がった理由をお聞きします。

教育長
 就学援助の認定率が令和4年度と比べ、令和6年度に下がった理由としては、経済情勢の変化に伴う世帯所得の増加などを背景に、就学援助の申請者自体の数が減ったことにより、認定者数が減少したことなどが考えられます。
 なお、本市における就学援助の認定率については、全国の動きと同様に、近年減少してきているものの、全国の認定率を比べると、引き続き高い水準で推移しております。

中原ひろみ
 「いのちのとりで裁判」により平成25年度の保護費は違法とされました。
 よって、現在の生活保護基準額をもとにした就学援助制度の認定基準の係数を1.0でなく1.3や1.5へと市独自に見直すべきですが、市の見解を伺います。

教育長
 本市の就学援助制度については、認定基準の基礎となる生活保護基準額が平成元年度のままとなっていたことや、社会保険料等二重に考慮する算定式となっていたことなどの課題を解消し、制度の持続性を高める観点から、令和4年度に見直しを行い、その際、認定基準の算定に用いる生活保護基準額に乗じる係数についても、1.13から1.0に変更しております。
 議員からご紹介のあった最高裁判決において、違法との判断が示されたのは、国が平成25年から27年までに実施した生活保護基準の改定についてであり、この判決が直近の生活保護基準をもとにしている本市の就学援助制度に直ちに影響を及ぼすものではないと考えております。

【再質問】
中原ひろみ
 それから就学援助ですけどね。世帯の所得分が増加したと賃上げの影響が少しあるんでしょう。そりゃ今世帯の所得は増加したけれども、それで子育て世帯がどんどん裕福になっているということではないというふうに思うんですよ。
 なぜならですね。賃上げは物価高騰に追いついてないんですよ。これは私達の実感じゃありませんか。生活子育て世帯だけが物価上昇でも高い賃金になってるんですかそんなことはないでしょ。さらに収入が増えますとね、税金も連れて増えていく。それから社会保険料の負担も増えるんですよ。
 だから結局ね、可処分所得世帯が自由に使えるお金っていうのはそう増えてない。その一方で物価高騰が追いかけてくるわけですから、実質の暮らしは大変という。この認識が市教育委員会にはないのかどうか聞きたいですよ。いかがですか。

教育長
 先ほどもご答弁いたしましたが、現行の制度は、認定基準の基礎となる生活保護基準額が平成元年度非常に古いものとなっていたことや、社会保険料と二重に考慮する算定式となっていたことなどの課題を解消するということで、直近の生活保護基準額基準をもとにする制度に見直しておりますので、制度としては妥当なものであるというふうに考えております。

中原ひろみ
 教育長、私が聞いたのは、制度がどうかっていうことじゃなくって、今の子育て世帯が賃金が上がったことで、みんなが裕福になっているというようなご認識ですかって聞いてるんですよ。
 賃金は上がってるけど、可処分所得は下がってるんじゃないですかって実際の暮らしは大変になっているという認識はないんですかというふうにお聞きしたんです。
 それで物価高騰対策で一番求められるのはやはり消費税の税率の引き下げだと思うんですけどね。この税率引き下げは、これは勝手に地方自治体が、広島は今度7%にしましょうとかさ決められないわけですよね。
 だけど、就学援助制度は、広島市が独自にその内容を決められるじゃないですか。
 どのどういう世帯をその認定するのか、どんなものを支援するのかその金額しか決められるんですから、それこそ今の物価高騰で苦しむ子育て世帯が少しでもこの楽になるように、みんながお金の心配なく勉学に励めるように、小中学生ですから義務教育ですけど、本来義務教育は無償なんですから、お金かけることがあってはいけないんですから、そこの基本に立ち返った就学援助制度にするような気持ちはしないのかどうかも聞きたいですね。

教育長
 物価高騰でいろいろご苦労されている市民の方がいらっしゃるということは認識しておりますけど、一応それに対する対応を市として全体としてどうするかというのは他の施策も含めて全体として考えていくべきものというふうに考えておりますので、現在就学援助制度を単独制度としてこの制度を見直すということは考えていないということでございます。

(2)広島高速5号線について

中原ひろみ
 改めて、広島高速5号線整備事業について伺います。
 この事業は、緊急性も必要性も採算性もない開発事業だったといわねばなりません。
 シールドトンネル工事は当初契約額に材料費が入っていないという「ずさんな契約」で、87億円を増額。マシントラブルによるカッター交換が予定の10倍以上も発生したことで工事期間は長引き、当初完成予定の2020年7月を5年過ぎても完成していません。
 この工事期間の延長等により事業費はさらに150億円も増額されました。
 そして現在、掘削工時に関する事業費が足りないとしてJVが、事業費の増額を求める裁判を起こす始末となっています。
 このような事業の在り方は「異常」と考えますが、市はどのように受け止めておられますか。

道路交通局長
 トンネル工事については、県市において最も地表面沈下の抑制に優れたシールド工法を採用することとし、その後、公社で工事を施工するにあたり、地域住民の安全確保と安心の構築を図るための具体策を取りまとめて、地域住民へ丁寧に説明するとともに、住民の要望に沿った対応を行ってきたこと、さらには掘削中に生じた様々な事象に適切に対応してきたことから、本事業の期間と事業費の見直しを行ってきたものであり、完成に向けて必要な対応であったと考えています。
 なお、今回の事業費増額等の訴訟については、公社からは、工事契約約款に則り、発注者と受注者が対等の立場で協議等を行ってきたが、合意には至らなかったため、受注者側が解決の方法として、司法手続きを選択されたものであると聞いています。

中原ひろみ
 人口は減るなか、低賃金で働かされている若者の多くが、「マイカーは持てない」「持たない」という生活実態にあります。
 そうしたもと、計画交通量は減少せざるを得ず、通行料による採算計画は見直しが迫られるのではありませんか。
 通行料の値上げなど、結局は市民負担に転嫁されることが危惧されます。どうされる考えなのかお聞きします。

道路交通局長
 本年6月議会でお示しした広島高速道路の収支見通しについては、公社からは国から公表されている最新のデータ等を踏まえて、料金収入の算定の基となる計画交通量を予測しており、国からの最新データは、将来人口の増減、経済成長および都市圏の再開発の動向等を加味した上で算出したものであると説明を受けており、本市としても妥当なものであると考えています。

4.学生支援について

(1)入学金について

中原ひろみ
 今年3月14日、日本共産党の吉良よし子参議院議員が、若者の調査をもとに、入学しない学生が払う入学金の二重払いが、学生の学びたい思いを阻害し、保護者の経済的負担を重くしていることを告発し、是正を求める質問をしました。
 これに対し文科省は、6月26日 私立大学の入学料や納付期限について学生の経済的負担の軽減をするよう通知を出しています。
 この通知を受け、「二重払いの入学金」を返還すると発表した私立大学もあります。これは大きな一歩です。
 この文科省通知は私立大学に対してのものですが、入学金の負担軽減は国公立大学も求められます。市はこの通知をどのように受け止められていますか。

企画総務局長
 本年6月に文部科学省が出した通知は、私立大学の受験生が併願が可能な総合型選抜等の増加等により、複数の大学に入学料納付する機会が拡大している状況があることから、こうした受験生等の経済的な負担の軽減を目的としたものです。
 一方で、国公立大学の入学料につきましては、国において私私立大学を含む全ての大学を対象として、令和2年度に高等教育の修学支援制度を創設し、経済的な負担軽減に加え、少子化対策の一環としても運用されてきていることから、本市としましてはこうした入学料の減免等については、国の政策として検討されるべき事項であると受け止めています。

中原ひろみ
 広島市立大学の入学金は、市内の学生は28万2千円ですが、市外は42万3千円と14万円をこえる大きな差が設けられています。
 2022年9月議会で、法人の経営に関する私の質疑に対し市は、入学金は「入学にともなって必要な手続き準備のための諸経費」だと答弁されました。
 だとすれば、入学しない入学辞退者には入学金を返還すべきですし、市内か市外かで入学金に差をつける根拠もないと考えます。
 そもそも、入学手続きに30万円近いお金がなぜ必要なのか疑問です。市の見解をお聞きします。

企画総務局長
 入学料につきましては、令和4年9月議会におきまして学校教育法第6条の逐条解説を引用して、大学の提供する諸種のを便益を受ける学生としての地位を取得する対価としての性質を有していること、また、入学にともなって必要な手続き準備のための人件費、印刷費、通信費、等の諸経費に要する手数料としての性格をあわせ有すると解釈されるされていることを当時の企画総務局長が答弁したものです。
 このため、入学料は単に事務手続きの費用という性格のものではないことから、納付後に入学を辞退された場合であっても返還する必要はないと考えており、この点について平成18年の最高裁判所判決においても、入学料が不相当に高額であるなど、特段の事情がない限り大学側に返還義務はないとされています。
 また広島市立大学は本市が設置し、運営費の多くを広島市民の税金で賄っている大学であることから、入学料については、入学の日に属する月の初日の時点で継続して1年以上市内に住所を有している者や、配偶者または1親等の親族は継続して1年以上市内に移住し住所を有しているものと、それ以外のものとで差を設けているものであり、その額について、本市議会の議決を経て認可したものです。

中原ひろみ
 また、令和7年度の入学料総額と、入学料が大学の運営費全体のどれ位を占めるのか。
 前年度の入学辞退者数と入学辞退者が収めた入学金はいくらあるのか伺います。

企画総務局長
 令和7年度予算における市私立大学の入学料収入は、1億8139万6000円で、運営費全体の約3.6%を占めています。
 また令和6年度入学辞退者数は、市外の者1名で、当該入学者入学辞退者が納めた入学料は42万3000円です。

中原ひろみ
 国に対し、軍事費を見直し、教育予算を増やして高等教育の無償化を求めるとともに、市立大学においても、根拠のない入学金は廃止すべきですが、どのようにお考えですか。

企画総務局長
 高等教育の経済的負担の軽減については先ほどご答弁した通り、国において令和2年度に高等教育の修学支援制度を創設され、その後一部拡充を図りながら運用されてきています。
 このため高等教育の無償化についても、国の施策として、検討されるべきものと考えています。
 なお本市としましては、これまで毎年、他の公立大学設置団体とともに本制度の更なる充実強化について要望を行っており、今後とも国の対応状況を踏まえつつ、要望を行ってまいりたいと考えています。 
 また、入学料についてはこれも先ほどご答弁しましたが、最高裁判決において、その性質上返還義務はないと判断されていることに加えて、広島市立大学の運営を支える主要な財源の一つとなっていることから、廃止することは困難であると考えています。

【再質問】
中原ひろみ
 それからもう一つ。大学入学料ですけども、お一人いらっしゃったんですね。市外の方で42万円本来返すべきところを返してないって言うんですが、私立でもこの大学は入学料は23万円なんですよ。広島市の方が高いんですよ。
 安い入学料ももらっている私立の方が返してですよ、高い入学料も求めた市立大学の方が返さないっていうのは、これはまだ納得できないじゃないですか。私は広島市の市大のお金はお1人ぐらいだったら返してあげればいいと思いますけどね。
 国の高等教育予算がだんだん削られてるっていうのが、大きな入学金を返せない入学金という制度がいつまでも残ってしまう原因だと思いますけれども、やはり入学金の制度、入学金どうして返せないのか、42万円がなぜ返せないのかを聞きたいですね。

企画総務局長
 広島市立大学の辞退者への入学料の返金返還ですが、これ先ほどご答弁をいたしましたけれども、入学料については最高裁判決においてその性質上返還義務はないと判断されていることと加えまして、広島市立大学運営の主要な財源となっていることから、廃止することは困難であると考え、返還するということは困難であると考えております。

(2)学生の通学費補助制度について

中原ひろみ
 市立大学だけでなく、広島で学ぶ学生全体に対する支援も求められています。
 東京のNPO法人が食料支援に応募した354人の学生を対象に実施したアンケートでは、91%の学生が、物価高騰のもと家賃、食料、電気、ガスなどすべてが値上がりし、一日一食しか食べれないと困窮した生活実態を訴えました。
 広島市が昨年9月4日に実施した「学生・若者に優しいまち」づくりをテーマにした市政車座談義では、学生から「アストラムラインやバスを利用しての通学費の負担軽減を求める」意見が出されています。
 少しでも学生生活の負担が軽減できるように広島市が支えることで、学びを保障するだけでなく、将来的に地域の担い手を生む力にもなると考えます。
 仙台市では、昨年の10月から学生向けの「せんだいバスフリープラス事業」をスタートさせています。宮城交通と市交通局の路線バスが1ケ月8000円で乗り放題、通学でもアルバイトでも買い物でも利用できるというこれまでにない事業です。
 広島市でも、市内に住民票があり、市内の大学に通う学生の通学定期の補助制度を検討してみてはいかがでしょうか。市の見解をお答えください。

企画総務局長
 我が国は人口減少はもはや避けられない情勢にあり、そうした状況下にあっても、将来にわたって活力を維持し、住み続けてもらえるまちであるためには、若い世代が自らの将来展望を開くことに繋がると実感できるような所生活環境を整えていく必要があると考えています。
 そのため本市では、本年3月に策定した第3期、世界に誇れるまち広島創生総合戦略の重点プロジェクトとして、地域総出のまち作りを掲げ、その柱の一つとして学生、若者に若優しいまちの実現を目指すこととしています。
 こうした方針に基づき、現在、学生等のニーズも把握しながら、学生生活の支援に繋がる取り組みについて大学等と意見交換を行っているところであり、今後教授の精神に基づく地域総出での具体的な支援策について検討を進めていくよう考えています。

TOPへ