2002年6月 女性助役−2回めの否決− 
なぜ無記名投票による採決なのか?
なぜ白票を反対票とみなすのか?
日本共産党は女性助役に賛成しました
各議員の採決方法からみえること
なぜ無記名投票?市民の期待裏切る「理由なき否決」


 6月議会では、市民公募で選ばれた猪爪範子(いのづめのりこ)氏が、3月議会に引き続いて再度、女性助役候補として提案されました。
 3月議会では、異例の無記名投票で否決された同氏ですが、6月議会でも投票方法をめぐって議会が紛糾。結局、3月議会と同様、無記名投票によって同氏の選任同意案は否決されました。
 6月議会で否決に至るまでの経緯を、順を追って報告いたします。

なぜ無記名投票による採決なのか?

 採決にあたり、議員から「無記名投票」と「記名投票」を求める2つの要求書が議長に提出されました。これらの要求書に対し、それぞれ起立採決がおこなわれましたが、どちらの要求書に対しても賛否の態度を明らかにしない議員がいた結果、いずれの要求書も過半数30に達せず否決される事態となりました。 
各議員の採決方法への態度へ(中国新聞より)

「投票方法」をめぐる皆川恵史議員の発言要旨
 これまで広島市議会における助役選任は、各議員の態度が明らかとなる起立採決でおこなわれてきた。
 しかし、3月議会では「反対理由も示さない」「誰がどう投票したかも分からない」異例の無記名投票で女性助役候補が否決された。今回も無記名投票ということになると、今後、広島市の助役選任は無記名投票で採決するという「悪しき慣習」の流れを作ることにもなりかねない。
 なぜ無記名投票にする必要があるのか。市民の注目度も高い議案であるだけに、議員の態度がはっきりと分かるこれまで通りの起立採決か、記名投票にすべきである。
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 皆川議員のこれらの提起に対し、平野議長からは何の返答もなく、最終的には議長職権で「無記名投票」で採決することとなりました。結局、今回も無記名投票で採決する理由は明らかにされないまま、議事が進められていきました。

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なぜ白票を反対票と見なすのか?

 こうして無記名投票によって採決することが決まったあと、平野議長より「無記名投票における白票を反対票とみなす」との提案がなされました。この提案に対し、議員からは「異議」が相次ぎました。

「白票の取り扱い」をめぐる石川武彦議員の発言要旨
 本来、白票は採決に対して賛成でも反対でもない、いわゆる「棄権票」としてみなすべきものである。それを一方的な解釈で「反対票」とみなすようなことがあれば、議会としての見識が問われる重大な問題である。一般常識からもかけ離れていると言わざるを得ない。
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 結局、この議長提案に対しても起立採決がおこなわれ、起立多数で「白票を反対票」と見なすこととなりました。
以上のような経過を経て、無記名投票による採決がおこなわれた結果、女性助役選任同意案は、賛成24票、反対35票で否決されました。(議員59名 議長除く)
 この35票の反対票の中には「白票」が含まれていますが、無記名投票であるため、どれだけの白票が含まれているのかは不明であり、また各議員がどのように投票したかもわからない、突き詰めれば、なぜ否決されたのかもわからない「理由なき否決」となったのです。

 この結果をうけ、女性助役誕生を期待して議会を見守っていた傍聴者からは、「あきれた」「ずるい」などと、無記名投票へのため息まじりの批判の声があがりました。

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日本共産党は女性助役に賛成しました

 本会議質疑で中森辰一議員が、「再度、猪爪氏を提案した意義」を市長に質問。「男女共同参画を推進する様々な取り組みのひとつとして女性助役を選任したい」との市長答弁をうけ、日本共産党は男女共同参画推進の立場から、女性助役選任同意案に賛成しました。
 なお、3月議会においても、同様の理由で女性助役選任同意案に賛成しています。

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偶然の一致?各議員の採決方法の選択から見えること

 下表は「投票方法」を起立採決した際の、各議員の態度です。
 「無記名投票に賛成した議員」と「どちらでもない議員」の数を足すと、女性助役選任同意案の反対票(35票)と同数であり、一方、「記名投票に賛成した議員」の数は同議案の賛成票(24票)と同数です。
 同議案は無記名投票で採決されたため、今となっては各議員がどのように投票したのか知る由もありませんが、この偶然の一致を皆さんはどう受け止めますか?

無記名投票に賛成した議員
(新政クラブ)
浅尾宰正、井口聡、碓井法明、金子和彦、兼枡栄二、木島丘、
倉本忠宏、谷口修、種清和夫、橋本昭彦、増井克志、宮本健司
(自由民主党)
児玉光禎、月村俊雄、松浦弘典、母谷龍典、柳坪進
(連合同士会)
酒入忠昭、多田敏治、仲津幸男
(ひろしまフロンティア21)
熊本憲三、佐々木寿吉、永田雅紀、山田春男
(無所属)大原邦夫 (ライフステージ)中本弘 (自民クラブ)木山徳和
27名 35名
どちらでもない議員(起立しなかった議員)
(公明党)

谷川正徳、鶴見和夫、戸田満、中山忠幸、平木典道、福島和宏、
松平幹男、水野なつ子
8名
記名投票に賛成した議員
(新自民クラブ)

伊藤稲造、今田良治、大野芳博、沖宗正明、海徳貢、下向井敏、
宗像俊昭
(日本共産党)
石川武彦、中原洋美、中森辰一、皆川恵史、村上厚子
(社民党議員団)
太田憲二、田尾健一、鈩谷君子、都志見信夫、若林新三
(連合同士会)
沖洋司、松坂知恒
(自民党・市政改革クラブ)
土井哲男、藤田博之、前本一美、村上通明、元田賢治

24名
敬称略、平野博昭議長(新政クラブ)は採決に加わっていない (2002年6月29日付 中国新聞より作成)

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臨時議会で山田康氏が新助役に選任−無記名投票で採決
 7月26日の臨時議会で、新助役候補として山田康(やまだやすし)氏の選任同意案が出され、採決の結果、新助役に選ばれました。
 しかし、その採決に至るまでのプロセスは、6月議会でおこなわれた「無記名投票で採決し、白票は反対票と見なす」というやり方を、そのまま踏襲したものでした。
 くしくも、6月議会で皆川議員が指摘した通り、無記名投票で助役が選任されるという「悪しき慣習」が現実のものとなってしまいました。

副議長選挙が行なわれました

 7月3日の本会議で、種清和夫副議長が「一身上の理由」により辞表を提出したため、これをうけて新副議長選挙が行なわれ、公明党の戸田満議員が新副議長に選ばれました。

◆投票総数 60票
 戸田 満議員(公明党) 47票
 土井 哲男議員(自民党・市政改革クラブ) 5票
 皆川 恵史議員(日本共産党) 5票
 下向井 敏議員(新自民クラブ) 1票
 白票 2票

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