議会での質問・答弁

2022年06月13日

2022年第5回 6月定例会 一般質問 近松さと子議員

1.核兵器廃絶について
2.物価高騰からくらしを守るために
3.中央図書館について
4.高速5号線トンネル工事について


核兵器廃絶について

(近松さと子議員)
 ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略から3か月半が経ちました。女性や子どもを含む市民の犠牲者が増え続けていることに、悲しみと怒りでいっぱいです。ロシアの侵略は、紛争の平和的解決をもとめて、武力行使の禁止をうたう国連憲章に違反する行動です。病院や避難所・原発への無差別攻撃はジュネーブ条約など国際人道法に反する戦争犯罪です。
 とりわけ、核大国であることを誇示し、いざとなれば核兵器を使用すると脅していることはまさに危険きわまりない行為であり人類全体への挑戦です。こうしたロシアの核兵器による威嚇について、被爆者からは「血も凍る思いだ」と強い怒りの声が上がりました。グテレス国連事務総長は、核戦争の可能性が「ありうるところに戻ってしまった」(3月14日)と危機感を強めています。
 そうした下で、カナダ在住の広島の被爆者、サーロー節子さんは岸田首相に宛てた手紙の中で、「世界の国々がこれから核の脅し合いの連鎖に陥り破滅への道を突き進むのか、それとも、理性を持って核の恐怖から共に抜け出していくのか、被爆国日本の行動こそがその鍵を握っているといっても過言ではありません。」と訴え「今世界は、広島からの声を必要としています」と強調しました。非人道的な結末を絶対に引きこさないために、核大国ロシアの横暴を終わらせ、平和の国際秩序を回復させることがもとめられている時、まさに、被爆地広島の出番であると思います。
 まず第一に、核戦争の現実的危機が生まれているもとで、この戦争を終わらせるために被爆地広島はどのように行動していくのかということです。戦争を終わらせるのは国際世論の力です。これまでもベトナム戦争やイラク戦争など反戦平和の世論と運動が戦争を終わらせる大きな力になりました。広島でも、原爆ドーム前にたびたび市民が集まり、「ロシアは撤退を」「市民殺すな」「核兵器使うな」と声を上げました。
 中国新聞オピニオン欄に掲載された記事の中で、国連の中満泉事務次長は平和を取り戻すために「国連憲章に基づく国際秩序を守り補強していくこと」と強調しています。今求められているのは、「国連憲章を守れ」の一点で世界が団結し、この国際世論の力で侵略を止め、侵略者に責任を取らせることです。国連では臨時総会が開かれて、史上最高の141か国がロシア非難決議に賛成しました。国連憲章違反であることを厳しく非難する決議の採択にはオーストリアやコスタリカ、アイスランドなど核兵器禁止条約の誕生に力を尽くした諸国政府がリードしたと伝えられています。この141か国の賛同国が結束して、さらに賛同を増やすことがもとめられています。
 一方、米国バイデン大統領は「民主主義対専制主義のたたかい」だといい、日本の岸田首相も同様に「価値観を共有するG7主導の秩序の回復」を強調します。しかし、「価値観」の違いを強調すれば、排除の論理により対立と分断を招きかねません。どの国も否定できない国連憲章に基づく結束こそ重要です。
 広島市として、国連とも連帯し、世界の平和市長会議の加盟都市に対して「国連憲章に基づく平和秩序の回復」の一点で団結しようとに呼びかけるべきですが、どのように考えますか。

(市長)
 近松議員の御質問にお答えします。「核兵器廃絶について」のうち、「『国連憲章に基づく平和秩序の回復』を目指した平和首長会議加盟 都市への団結の呼び掛け」についての御質問がございました。
 ロシアのウクライナへの侵略は、武力の行使や核兵器の使用を示唆するという威嚇により、他国の主権や領土を侵害する暴挙が国家レベルで行われているものと認識していますが、各国政府の対応を 見ると、こうした非人道的な行為に対しても、自国の安全保障や貿 易への影響などを考慮し、対応が割れている状況にあります。
 こうした中で、平和首長会議は、市民社会の立場から、平和的な解決に向けた賢明な外交努力を国連加盟国や国連事務総長等に求めるとともに、加盟都市間で連帯していくことを表明しています。平和首長会議のこうした取組は、平和的手段による国際紛争の解決と武力による威嚇や武力の行使を慎むことを原則に行動しなければならないと定める国連憲章の精神にも合致するものであると考えています。
 したがって、私が会長を務める平和首長会議としては、こうした取組を行っている加盟都市の更なる拡大を図るとともに、引き続き、市民社会がヒロシマの心を理解し、平和への思いが国際的な規模で広がっていくよう、各国政府関係者や国連等への働き掛けをして参りたいと考えています。
 その他の御質問については、関係局長から答弁いたします。

(近松さと子議員)
 来年のG7サミットの開催地が広島に決まりました。ロシアが核兵器の使用も辞さないと脅す中で、核兵器の悲惨さを伝える上で広島ほどふさわしい場所はありません。湯崎県知事は、記者会見で、「核兵器が使用される恐怖から逃れる唯一かつ確実な方法は廃絶しかないことを改めて理解してほしい」と求めました。まさに、核廃絶こそ人類が核戦争の恐怖から逃れる道です。この認識を共有した諸国政府と市民社会が力を合わせ核兵器禁止条約が実現しました。ここにこそ核戦争を防ぐ希望と未来があります。
 今こそ、被爆国日本政府は、核兵器禁止条約に参加し、世界の国々に条約参加を呼び掛けるべきです。せめて、今月予定されている禁止条約の第1回締約国会議にオブザーバー参加することは最低限の被爆国としての責任です。日本政府が核兵器の非人道性を告発し、ロシアは核兵器使うなと訴えることは、核兵器のない世界の実現に大きなインパクトをあたえることではないでしょうか。どのようにお考えですか。

(市民局長)
 日本は核軍縮の問題に関し非常に熱心に取り組んできたという長い歴史があると評価されている国でもあることから、日本政府には、橋渡し役をしっかりと果たしてもらいたいと考えています。引き続き、機会を捉えて、一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准するとともに、まずは同条約の締約国会議へのオブザーバー参加を求めていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 一方、岸田首相は、米国バイデン大統領との首脳会談で、「米国の核抑止も含む「拡大抑止」を揺るぎないものにする」と合意しました。しかしこれは、広島でサミットを開催する意義を台無しにしてしまうものではないでしょうか。どのようにお考えですか。

(市民局長)
 本市としては、広島で開催されるG7サミットでは、各国首脳に平和記念資料館の視察や被爆者との対話など、被爆の実相や市民の平和への思いに触れていただく機会を設け、核兵器がもたらす結果をしっかりと受け止めてもらいたいと考えているところです。
 米国の核抑止を含む「拡大抑止」への合意は、短期的な対症療法により、現実的な課題に取り組もうとするものと受け止めており、日本政府には、目標として掲げている核兵器廃絶に向けて、核軍縮、核不拡散を実現していくために如何なる行動を取るべきかという発想で取り組んでいただきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 二つ目に、被爆地広島に問われるのは、ウクライナ危機に乗じて、高まっている日本国内での「核抑止力」強化の議論を許すのかということです。安倍晋三元首相や日本維新の会などが、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核シェアリング」について議論すべきだと主張し、非核三原則も「タブー視してはならない」とも述べていることは見過ごせません。被爆の惨禍を知る被爆国日本の政治家、政党としてその資格があるのかが問われる重大な問題です。
 被爆者団体は、「国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃虚と化す危険な提言だ」として撤回を求めて猛抗議を行いました。広島市としても唯一の戦争被爆国の立場と相いれない発言は絶対に許されないという態度を示す必要がありますが、どのようにお考えですか。

(市民局長)
 核兵器に関していろいろな考えが提示されていますが、多くは現下の世界情勢を背景に、短期的な視点に立って行われているものであると受け止めています。
 本市としては、引き続き、被爆の実相や被爆者の平和への思いを伝えていく中で、一旦核兵器が使用されれば広島が体験した非人道的な結末を招き、核兵器がある限りその危険は消えないということ、また、絶対悪である核兵器は必ずや廃絶すべきものであることをできるだけ多くの市民社会や為政者に理解してもらうよう努めてまいりたいと考えています。
(近松さと子議員)
 「核抑止力」論は、いざとなれば核の使用も辞さないことを前提とする考え方です。この立場は、広島と長崎の悲劇を繰り返してもしかたないということであり、二度と被爆者を生んではならないと世界に訴えてきた被爆地広島の願いと相いれません。
 さらに、プーチン大統領のような、反撃を受けて自国の国民にどんな悲惨な被害が出ようとも核兵器の使用をためらわない指導者が登場しているもとで、いよいよ「核抑止論」は無力になりました。核抑止というのは、「核兵器を持っていれば、相手国が核兵器を使用しようとしても、反撃を恐れて使うことができない」ことを前提にした考え方です。しかし、ロシアは、核兵器の先制使用を国家の基本戦略にすえ、プーチン大統領自身も「殉教者」となることを公言しています。こうした国に対しては、核抑止論の理屈は通用しません。はっきりしているのは、核兵器というのは、「抑止」と無縁の脅迫と支配、侵略の道具であり、人類が手にしてはいけない絶対悪であるということではないでしょうか。
 核抑止論強化の大合唱の中で「核抑止力」を容認する政党に対しても「核抑止」の呪縛からぬけだし、核兵器禁止条約への参加をはたらきかけていくべきですが、どのようにされますか。

(市民局長)
 本市としては、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という平和への思いを根底に据え、核兵器廃絶や核兵器禁止条約への一刻も早い参加を訴え続けてきているところです。
 一昨年の11月には、日本政府だけでなく、各政党や超党派で構成される議員連盟の代表者を広島・長崎両市長が訪問し、核兵器禁止条約に関する建設的な議論を国会において行うよう要請したところであり、今後とも、機会を捉えて強く働き掛けていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 さて、ウクライナ危機に便乗して、「日本が攻められたらどうするのか」と言って政治家が危機感をあおり、国民の不安とも相まって、広島市の目指す核兵器廃絶と恒久平和を目指す上で、大きな逆風が吹いています。
 来日したバイデン大統領は、台湾有事に軍事介入すると発言しました。いま一番現実に起こりうる危険は、台湾をめぐってアメリカと中国が戦争を始めるということです。そうなると、170を超える米軍基地が攻撃目標となり日本の国土が戦場になります。「台湾有事は日本有事だ」と軍備拡大を煽る政治家が横行していますが、それは日本の国土を戦場にする極めて無責任な言動だと言わねばなりません。米中戦争を絶対に起こさせないために独自の外交力を発揮するところにこそ日本政府の責任があります。
 日本が積極的に参加すべき枠組みがあります。東南アジア諸国連合の10か国は友好協力条約を結んで以来46年間、毎年1000回を超える国際会議を開いて信頼関係を築き、これらの国同士の軍事紛争はない状態が続いています。日本やアメリカ、中国など多くの国が個別に、この東南アジア友好協力条約に加盟し、さらに、日本、アメリカ、中国、ロシアなどの8か国を合わせて東アジアサミットを構成して、毎年会議を開いています。この枠組みに「民主主義対専制主義」といった価値観は関係なく、これを東アジア全体の実効あるものに高めていくことで戦争のない枠組みを築き上げることができます。平和憲法を生かした独自の日本外交を進めることこそ、東アジアをそして日本を戦場にしない道であるということを日本政府に強くもとめるものです。

【再質問】
(近松さと子議員)
 核兵器廃絶ですが、ウクライナへのロシアの侵略で再び悪夢が呼び起こされたという思いがいたします。自国の安全のために核兵器を持つべきというのが核抑止力ですけど、これはもう人類の先祖を脅かす幻想であることは、世界が既に乗り越えた悪しき遺産のはずです。
 しかし今、米国の核の傘をさらに強化しようとか、核を共有しようというような大合唱が起きているわけです。今の答弁によりますと、そうは言っても短期的なそういう見方をされているようでありますが、短期的なウクライナでの侵略に乗じて行われている主張ではありますけれども、これを短期的として軽視していいのか、そういう思いはいたします。政府とか国会とか政党とか、特に政党などには一昨年ぐらいに被爆地広島市として要望されたということでありますが、こういうことを今こそやるべきじゃないかと思うんですが、そこについて一つお聞かせいただきたいと思います。

(市民局長)
 まず今回のロシアのウクライナへの侵略による侵略によりまして、核の抑止力なくして、平和が維持できないのではないかと、そういった考えから、影響を増してきておりまして、こうした米国の核抑止、いわゆる基本抑止を含む拡大抑止への合意というのが、 皆さんの中で取り上げられてきております。そういったことを我々としては短期的な対症療法というふうに受け止めておるわけですが、あくまでも先ほどご答弁しましたように日本政府はその目標として掲げております核兵器廃絶、これがございますので、 私ども広島市としては、引き続き、この核軍縮核不拡散を実現していくために、いかなる行動をとればいいかという発想で取り組んでいただきたいということをしっかりとお伝えするとともに、究極の目標である核兵器廃絶に向けてですね、より一層、国に対し、あるいは国連機関に対してしっかりとですね、 発信をしてまいりたいと考えております。

(近松さと子議員)
 悪の烙印が押された核兵器を抑止力とする考え方は、いくら短期であっても人類を破滅に立たせる元凶ですので、平和宣言でもしっかりそれを求めて頂きたいと思います。

物価高騰から暮らしを守るために

(近松さと子議員)
 コロナ危機による景気の低迷、生活の困難が長期に及んでいるところに、ガソリン、食料品、電気料金をはじめ急激な物価高が暮らしを直撃し、事業者や市民から悲鳴が上がっています。年内に1万を超える品目で値上げが予定されている今回の値上げラッシュは、ウクライナ危機や新型コロナの影響だけでなくアベノミクスが進めた「異次元の金融緩和」による異常円安が根っこにあります。それなのに、日銀総裁がこの政策をさらに続けると繰り返し発言したことで、円安がいっそう進み、耐え難い物価高を起こしています。まさに、アベノミクスの失政によるものといえます
 国は、4月に「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」として地方創生臨時交付金1兆円を創設し、広島市には事業を申請すれば約31億円が交付されることになっています。私たち日本共産党市議団は、物価高騰から市民のくらしを守るため広島市に対して10項目の要望を行いました。今回の補正予算にも、要望した学校給食費の食材費の補填などが盛り込まれたことは評価するものです。今後、この交付金を活用して余さず市民の生活と営業を守るために使っていただき、さらに必要なら市が独自の予算を確保し、支援することをもとめます。

(企画総務局長)
 本市においては、従来から国や県との役割分担を明確にした上で、地域固有の課題解決など基礎自治体として必要な行政サービスを提供することを市政運営の基本としています。
 このため、議員御指摘の教育や社会保障に関する政策については、国に第一義的な責務があることを前提とした中で、基礎自治体としての本市の役割を果たすため、国や県に対して、必要に応じて様々な制度改善の要望を行うとともに、財政支援制度の拡充を訴えており、その充実に努めているところです。
 コロナ禍における世帯所得の減や経営危機等に直面する生活者や事業者に対する支援についても、基本的には国及び県において講じられるべきものという考え方の下、これまで、共助の精神に基づく地域での支え合い、事業者同士が連携した取組への支援など、国や県の公助による下支えの補強・補完に資するような対策を講じてきたところです。
 こうした中、この度国が講じた「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」に係る地方創生臨時交付金については、原油価格や物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担を軽減する目的で創設されたもので、国の支援措置の上乗せ・横出しを含め国の施策を補完する支援なども認められており、本市としては、この交付金を最大限に活用し、本市の実情に応じた対策を講ずべく現在検討しているところです。
 なお、今回の補正予算に計上している「物価高騰に伴う学校や保育園等の給食食材購入費の追加措置」については、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」に係る交付金が創設される以前の交付金を活用することが可能とされていたことから、先んじて計上しているものです。

(近松さと子議員)
 特に、市内の中小事業者への支援です。燃料、材料、資材、食品の値上がりが続いています。価格に転嫁して値上げすれば、大手事業者との価格競争に負けて取引先を減らしかねません。市内中小事業者にも事業継続のために直接の支援策を講じるべきではありませんか。

(観光局長)
 本市では、従来から、市内中小事業者への事業継続に関する支援として、中小企業融資制度による金融支援や、窓口相談による 経営支援などを行っているところであり、この度の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の「原油価格・物価高騰対応分」を活用した新たな支援策についても、現在検討を進めているところです。
 なお、この検討に当たっては、昨今の原油価格や物価高騰による地元経済への影響や追加的な対策の必要性について、地元経済団体や業界団体、金融機関等への聞き取り及び意見交換を行っているところです。

(近松さと子議員)
 さらに、介護・福祉施設では、利用者の送迎用の車のガソリン代の値上げが負担になっています。こうしたところにも補助を行うべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 ガソリン代に限らず多くの品目で生じているこの度の物価高騰が、介護・福祉施設に与えている影響については、施設を運営する事業者ごとのおかれた状況の把握に努めているところであり、本市としては、この度の地方創生臨時交付金の「原油価格・物価高騰対応分」を活用し、新たな支援策を講ずべく、現在検討を進めています。

(近松さと子議員)
 今こそ、物価高への緊急の対策とともに、アベノミクスで損なわれた経済の土台を立て直す改革に踏み出すことが欠かせません。そのためには、格差を拡大してきた新自由主義を転換して「やさしく強い経済」に大転換させるために、私たちは「五つの提案」を掲げています。
 一つ目は消費税5%への緊急減税です。物価を5%近く引き下げる効果があります。二つ目は、政治の責任で賃金が上がる国にすることです。三つ目は、再生可能エネルギーや省エネ対策など気候危機打開に取り組み、経済効果を上げることです。四つ目は、男女の賃金格差をなくし、ジェンダー平等を進めて経済全体を成長させることです。
そして、五つ目は、社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実することです。
 これまで、社会保障は、とかく日本経済の足を引っ張るかのように言われてきましたが、実際には、大きな経済効波及果があるということを2012年版の厚生白書で政府自身が認めています。このことは、教育の無償化や社会保障が充実している北欧などの国が、GDPや一人あたりの生産性が高いということで証明されています。国民が将来への不安が少なく、安心してチャレンジできる社会こそ経済も成長できるということです。
 この分野は自治体でもできることがあります。私たち党市議団が市民に対してアンケートを実施したところ2500通の回答が寄せられました。回答を寄せた市民は、高齢者層が多かったという傾向はあったものの、市政に望む政策として46%と一番の要求が多かったのは、国民健康保険料と介護保険料の引き下げです。
 また、小中学校の給食費の無償化は37%、子ども医療費補助の年齢拡大は31%と強い願いであることもわかりました。さらに、放課後児童クラブの利用料の有料化について59%が反対と答えています。
 こうした教育や社会保障の個人負担を減らす政策は、個人消費を促す内需拡大効果があり、経済を上向かせる方向だと考えますが、どのように思われますか。
 国民健康保険料と介護保険料の引き下げや放課後児童クラブの無料継続、学校給食費の無償化・子ども医療費助成拡充といった家計を温める施策を物価高騰対策に加えて、景気対策や経済対策という観点からも市として実施すべきではありませんか。

【再質問】
(近松さと子議員)
 物価高騰については本当に商品の値上げラッシュが続いています。野菜の値段も上がってカレーライスは庶民の味方だったはずなんですけれども、一個100円のじゃがいもですとか玉ねぎなど、前にしましたらカレーを作るのもためらうというところです。
 それなのに6月から年金が下がるという通知が届きまして、障害者のある方などは障害年金も下がるわけで、就労支援の事業所で働いていてお昼はカップ麺を食べられているということですけども、それも値上げをされたと。頼りの年金も下がると。これでもう、なお一層節約に努めないといけないと肩を落とされているような状況です。
 岸田首相はバイデン大統領に軍事費の相当な増額を約束されたわけですけれども、社会保障予算や教育予算にも相当な増額をして欲しいというのが率直なところです。
 また、中小業者の全国組織が4月に全国511業者に緊急アンケートしたところ、もうあらゆる業種に、値上げ、原材料仕入れ値の上昇が響いていて、78%の事業者が上がったと答えていて、その上昇後の価格に転嫁できないというのが76%、赤字になって経営が苦しくなったというのが85%と答えています。
 今まで国のコロナの事業復活支援金などがあったんですが、これも5月末で終了したということで、こうしたことの復活や、さらに市が独自に支援を行う、また上乗せや横出しなどもしていただくように事業者の意見もよく聞いてさせていただきたいと、要望しておきます。

中央図書館等について

(近松さと子議員)
 中央図書館とこども図書館などを一体化して広島市南口開発の商業ビル、エールエールA館に移転しようとする市の計画に対して、市民から強い反対の声があがり、本市議会でも厳しい異論が出され、賛否が拮抗しました。本年度の予算を採決する際には付帯決議がつけられました。そのような状況に対して、直後に開かれた総務委員会では、市民局長が商業ビルへの移転案と移転して建替える案、現地で建て替える案について検討する旨の答弁を行い、商業ビルへの移転に反対する請願と陳情は、継続審査となりました。
 市としては、こうした経過を踏まえ、市民の意見もよく聞いて、3つの案について誠実な検討を行う必要がありますが、どのようにこの問題を進めていかれるのか、改めて取り組みの方向についてお答えください。

(市民局長)
 中央図書館、こども図書館及び映像文化ライブラリーの再整備については、議会の付帯決議を踏まえて対応することにしており、まずは、議会・利用者・有識者などの関係者から意見を聴取し、中央図書館等に求められる機能等を盛り込んだ図書館整備方針を策定します。その上で、整備候補地の比較検討に係る資料を整え、議会等への説明を経て、最終的な整備地を決定することにしています。

(近松さと子議員)
 この問題についてのこれまでの議論の中では、移転先の商業ビルそのものの問題や移転や建て替えの費用などと合わせて、広島市の図書館のあり方についても議論がありました。
 図書館そのものが、現状で市民に身近なものになっているかどうか、市民の図書館の利用が他の自治体と比べて少ないのではないかといったことは、公立図書館の本質にかかわる問題でありたいへん重要です。今年の予算特別委員会で、身近なところに図書館を整備することに長年かけて取り組み、いまは中学校区に一つの本格的な図書館を整備した東京都調布市の例をあげて、広島市がやるべきことは多いのではないかと提起しました。
 調布市では、市民1人当たりの貸し出し数で広島市のほぼ3倍となっています。これは、図書館政策を進める目標としては大変重要な指標ですが、広島市としての課題認識はいかがでしょうか、お答えください。

(市民局長)
 本市としては、貸出冊数は、図書館政策を進める上で重要な指標の一つであると考えています。しかし、近年の全国的な傾向として、インターネットやスマートフォンなどの急速な普及により、図書館に行 かなくても、手軽に本や雑誌を読んだり、調べものをしたりすることができるようになり、趣味や娯楽の多様化により読者離れが進んでいる中で、この指標は、図書館として目指すべき、知の情報拠点として、また、読書の習慣づけを働きかける場としての機能の発揮を必ずしも的確に反映するものにはなっていないと考えています。
 なお、本市の市民一人当たりの年間の貸出冊数は、新型コロナウイルス感染拡大による休館等の影響がなかった平成30年度では、政令市の市民一人当たりの年間の貸出冊数の平均に当たる4.2冊となっており、人口規模の大きい政令市間における比較においては、一定程度の貸出しを行うことができている状況にあると認識しています。

(近松さと子議員)
 人口23万7千人、安佐南区とほぼ同じ人口を擁する調布市では本館と分館を合わせて中学校数と同じ11館の図書館が整備されています。そこに働く専任の職員数は164人で、司書は44人。広島市は図書館として整備されているのは11館2室で、専任の職員は120人、司書数は34人。人口当たりで比べると、広島市の専任職員数は調布市の7分の1です。図書館にとって重要な図書などを購入する費用は市民1人当たりでみると広島市は調布市のおよそ5分の1です。調布市では市民に対する図書館サービスという点で広島市よりはるかに手厚く、市民が図書館に親しみ、利用をさらに増やすことになっているものと思います。この点についての広島市の課題認識を伺います、お答えください。

(市民局長)
 図書館として目指すべきは、知の情報拠点として、また、読書の習慣づけを働きかける場として、さらに、利用しやすく役立つものとして機能することであると考えており、本市の図書館サービスとしては、各図書館における貸出に加えて、地域への移動図書館車の巡回や、中央図書館等から各公民館の図書室や集会所の地域文庫等への配本など、地域住民が身近な施設でサービスを受けられる体制を整えています。
 さらに、近年のインターネットやスマートフォンの急速な普及などにより進んでいる図書館の利用者数の減少傾向に歯止めをかけるために、 今後は、利用者の利便性に配慮した図書館の配置や、館内の機能及び関連機能の充実等を図っていく必要があると考えています。
(近松さと子議員)
 次に、市民が身近なところで図書館にアクセスできるようにしようと考えたとき、少なくとも中学校区ごとに設置されている公民館が重要な役割を発揮できるのではないかと思います。公民館には図書室が備わっていますが、図書館という規模ではありません。
 一つは、公民館の図書室を拡げることを考えてみてはどうでしょうか。公民館の会議室などを活用して、図書室に組み入れることは考えられないでしょうか。そうすれば少なくとも2倍以上の図書を置けるようになるのではないでしょうか。

(市民局長)
 公民館は、社会教育法の規定により、図書を備え利用を図ることと並んで、定期講座を開催するなど様々な学習機会を市民に提供する役割等を有しています。
 したがって、こうした学習機会を市民に提供する役割等を果たすために使用できるようにしている会議室の一部又は全部を図書室に転用することは、市民サービスを低下させることにつながりかねないことから、現時点では考えていません。
(近松さと子議員)
 もう一つは、置かれている図書の内容を、利用する市民の要望に沿ったものに柔軟に変えていくことです。最初からどういう要望にも応えられるようにと本を置こうとすれば、どうしても一定の規模、数万冊という規模にならざるを得ません。規模が限定される公民館では、利用者の要望を受けて本の入れ替えをしていくことを考えたらどうでしょうか。
現状でも、公民館の図書は、中央図書館が定期的に図書の入れ替えをしていると思いますが、入れ替えをする図書は、積極的に利用者の要望を入れたものにしていくということにしていったらどうでしょうか。
 各区に1か所しかない区の図書館にアクセスしにくい条件にある市民の方が圧倒的に多いと思いますが、希望する分野の本が置かれるようになれば、公民館の図書室を利用する人も増えていくのではないかと思います。 以上、2点について、市のお考えを伺います。お答えください。

(市民局長)
 公民館の図書については、公民館からの依頼を基に、地域の利用者の好みのジャンルなどに応じて中央図書館が月に1回の入替えを行い本を借りることができるようにするとともに、リクエスト図書制度により、利用者が希望する本の貸出しを中央図書館に依頼して借りることができるようになっています。
 利用者の要望に応じた図書については、まずはリクエスト図書制度の周知・活用を図るとともに、各公民館が利用者の要望をより詳しく把握することなどにより、充実を図ってまいります。

(近松さと子議員)
 現状で限られた市民しか利用できていない図書館をより多くの市民が利用できるように、特に市民の身近なところで利用しやすいように、広島市の図書館体系のあり方を発展させていこうと考えれば、それに応じた柔軟な対応ができる中央図書館が必要になってくるでしょう。そう考えると、すでに建設から20数年経過した既存の商業ビルを活用するというのは、いかにも発展性がないのではないでしょうか。
 とりわけ、公民館などの市民により身近な施設との本の入れ替えなどが今より頻繁になればなるほど、現状の商業ビルにある商品の搬出入の設備を兼用するというのは限界があると思います。やはり、広島市の図書館体系についての将来の発展ビジョンをつくって、広島市中央図書館専用に設計した施設をつくるべきだと考えますが、市はどのようにお考えでしょうか、お答えください。

(市民局長)
 本市としては、図書館整備方針を現在作成しているところであり、この方針において、将来を見据えた本市の図書館等のあり方や、図書館に求められる機能等を盛り込むことにしています。新たに整備する図書館等については、この整備方針に基づいて、その機能が十分発揮できるような施設にしたいと考えています。

【再質問】
(近松さと子議員)
 図書館こども図書館移転の問題です。本当にこれは国際平和文化都市の看板が寄られた問題じゃないかと私は思っています。図書館の再編移転の問題が起きまして、今回の一定の再編計画は移転ありきで進めるやり方が破裂鉄則だというのが多くの方の共通の思いでした。
 私たちの市民アンケートとった中でも40歳以上は賛成意見に賛成反対わからないが同率ぐらいだたんですけど結局4月末で閉め切ってみましたがやはり32%が移転に反対というそういう声が寄せられています賛成は24は分からないも25ほどありました。
 子どもの本の作家の中川翔子さんが、文化に関わる大事なことに関して全く議論が尽くされていないと批判を寄せられています。
 日本の図書館2020によりましたら、市民一人当たりの図書館費用は2018年決算で一番多いさいたま市が1774円、広島市は746円で半分以下です。政令市の中でも広島の市の図書館予算が少ないということに見られるように、やはり図書館サービスと言うのが軽視されてきたんじゃないかと私は思いますし、それは私たち議員も議会も十分こうしたことを問題にしてこなかったことは反省していきたいと思います。
 一人当たりの図書館の費用は、フィンランドはもう桁違いですね、7300円。デンマークでしたら6840円。日本とは桁違いの予算が付けられております。図書館行政があまりにも貧困であるということを痛感いたしました。こうしたことはまた総務委員会などでも聞いていきたいと思うんですけど、フィンランドは教育こそ人的投資だとして国を挙げて生涯教育に力を入れています。このことはよく知られているんですが、もう世界トップクラスの図書館の利用率の高さを誇っているということです。フィンランドの公共図書館が世界一の表彰も受けたんですが、やはり文化へのアクセスはすべての人の権利であるという理念を持っていて、そのために図書館は市民の声に耳を傾けて、市民が求めるような公共の場であろうと努めて図書館を建設運営しているということです。
 同じくこれも国際的な賞を受賞しているデンマークの図書館建設計画、17年のうち13年間は市、民をはじめ様々なステークホルダー利害関係者と言うらしいですけど、これとの対話と合意形成に費やされた図書館は民主主義教育の中心を担う重要な場所と位置づけて、子どもから大人までディスカッションやワークショップが繰り返されたという。これは東洋経済オンラインで読めますので、皆さんもぜひ読んでいただければと思います。日本でも図書館は基本的な人権の一つとして、知る自由を持つ国民に資料と施設を提供する重要な任務とするということが宣言をされているわけです。知る自由を保障するということは、やはり民主主義社会の土台を築くという、それが図書館だと思うんです。
 今回の図書館の再編移転計画というのは、民主主義社会の基本である市民の声、これをやっぱりないがしろにしてきた、十分に聞いてこなかったことが、大きな問題としてあるんじゃないかと思います。
 市は移転ありきで進めてこられたということで様々な批判がありますが、これについて真摯に反省されているのかどうかを聞きたいと思いますし、今後関係者から意見を聞いてと言われたんですけれども、反対の声をあげている市民団体の皆さんには意見を聞く場を設けられるんでしょうか。やはり賛成の人に対してはすぐに市長が会って、テレビでも報道されたり新聞にもすぐ載ったわけです。
 しかし反対の市民団体の皆さんとの懇談いうのは市長さんされたんでしょうか。またそういうことをされるつもりがあるのか、そこもお聞きしたいと思います。それから、最終的には整備地を決定するのに、期限を設けられるんだろうか。デンマークのように13年間も議論するというわけにはいかないかもしれませんけれども、スケジュール、期限ありきで進めるのは問題だと思うんですが、そこらについてお聞きしたいと思います。

(市民局長)
 今回の図書館の整備について真摯に反省しているのか、そしてまたいろんなご意見をうかがうのかという御指摘ですけれども、今回は議会から出されました付帯決議、これを真摯に受けとめております。重く受けとめております。
 したがいまして、その付帯決議に沿いまして今回の図書館の再整備についてはしっかり取り組んでまいりたいと思いますし、今ご指摘ありましたように様々な方のご意見をしっかり受けとめて、今回の整備方針を打ち出したいというふうに考えております。

広島高速5号線トンネル工事について

(近松さと子議員)
 広島高速5号線トンネル工事は、全長1.8㎞のうち、1.4㎞をシールド工法で、0.4㎞をナトム工法で掘削します。シールド工法を多くの区間で採用したのは、地下水位低下をほとんど引き起こさない、地盤沈下を発生させない工法だとされているからです。
ところが、ナトム区間は昨年の3月には本体工事が完成していますが、シールド区間は難航し、当初の完成予定からすでに大幅に遅れています。シールド区間の掘削は残り660mですが、今年度中の完成どころか目途も立たないとしています。
 昨年9月24日の建設委員会の際、当時、工期が8か月も遅れた理由として、掘削工事で固い岩盤が発生したことと説明しています。そこでは、「二葉の里地区から牛田地区に至るまでの掘進過程において、事前調査で想定していた以上の硬い岩による摩耗や、掘削による予期せぬ粘性土が形成され、カッターに固着して回転できなくなるなどの不具合が生じ、当初計画を上回るカッター交換が必要となった」との報告がありました。その後も工事は何度も中断し、今年の3月22日までにも、カッターだけで、当初の計画の9回を超える40回の交換が行われていました。そのため、工事が着手される直前に牛田地域住民に説明した「住宅地直下のカッター交換は極力しない」との約束は守れなくなりました。
 地盤沈下を防ぐために決められたカッター交換の回数について、住民との約束が守れない事態をどのように受け止めていますか。

(道路交通局長)
 公社では、牛田地区の掘削に際して、それまでの掘削過程において、事前調査で想定していた以上の硬い岩による摩耗などの不具合が生じたことを踏まえ、住民の安全・安心の確保の観点から想定を上回るリスクに備えておくことが重要であると考え、昨年3月に掘進計画を見直し、住宅地直下の3箇所で計画的にカッター交換を行うこととし、地域住民へ説明の上、掘削に着手しています。
 本市としても公社と同様に、安全・安心の確保を第一優先として工事を進めることが重要であると考えています。

(近松さと子議員)
 公社はカッター欠損の原因を「岩盤が堅硬な所と脆弱なところが複雑に入り乱れ、岩石の強度のばらつきが大きい」とし、まるで「想定外」であったかのように説明しています。しかし、2013年2月にトンネル直上になる牛田地域の住民が起こした二葉山トンネル建設工事差止請求裁判で、原告側が二葉山の岩盤評価について「断層や節理が多く脆弱な岩盤」と指摘し、工事の中止を求めていました。それに対して、市は「岩盤は節理がなく堅硬な岩質」だと主張し、「原告が主張する不規則な亀裂によるマシントラブルは推測の域を超えない」と反論し、工事着手すべきと主張してきました。今になって、掘削工事を実施するなかで、「節理沿いに肌落ちが生じる」岩盤だったこと、「石英が多く硬い」という事実を施行管理委員会に公社が報告していますが、まさに、原告が指摘したとおりだったではありませんか。そこで、いくつか質問します。
 第一に、公社の地質調査が不十分だったのかということです。トンネル工法の適否判断は、「地質情報」から始まります。地質条件を明らかにする責任は工事の発注者である公社にあります。公社の地質調査は十分であったとお考えですか。
 二葉山トンネル建設工事差止請求裁判では、市が委託したトンネル安全検討委員会が、「牛田地区についてはトンネルが地質工学的に良好な岩盤を通過するとされている」との書面を裁判所に提出し、工事着手のお墨付きをあたえています。このトンネル安全検討委員会の意見は、極めて無責任な見解と思われますが、市はどのようにお考えですか。
 そもそも、工事ありきの姿勢であったため、基本中の基本の地質調査がいい加減になり、工期完了の見通しもたたない事態を招くことになったのではありませんか。

(道路交通局長)
 公社では、公正・中立な立場で客観的データに基づき科学的な検討を行うために、専門家で構成する広島高速5号線トンネル安全検討委員会を設置し、その意見を踏まえて通常の4倍の密度でボーリング調査を実施しています。
 また、この調査結果などを踏まえた同委員会の最終報告において「地表面の建物に被害が生じない状況で安全なトンネル工事が可能である」と総括されており、委員会の意見は妥当なものと考えています。
 今回のシールドトンネル工事においては、こうした事前調査をしっかり行っても、想定した以上の硬い岩が出てきたものです。
 なお、こうした状況は他のトンネル工事においても発生することであり、避けられるものではないと考えています。

(近松さと子議員)
 第二に、シールドマシンの問題です。二葉山トンネル工事では13.67mもの大きな盤面を掘削しますが、国内外のトンネル工学の専門家である大阪大学名誉教授谷本親伯(ちかおさ)氏は、シールド工法で成功している盤面の大きさは直径5~6m。それより大きくすると時間とお金をかけても必ず失敗すると指摘されています。飛騨トンネルでは12.85mの大きさの盤面のシールドマシン工事が難航し、最後は結局、ナトム工法で反対側から掘ったとのことです。
 そもそも、故障続きのシールドマシンは100億円もかかったのに欠陥マシンだったのですか。このシールドマシンは公社の所有だと聞きましたが、いつどのような契約がおこなわれたのでしょうか。

(道路交通局長)
 シールドトンネル工事は、設計段階から民間企業の優れた技術を活用するため、「設計・施工一括発注方式」を採用しており、その内、シールドマシンの製作は、平成28年5月に約94億円で契約されています。
 また、シールドマシンについては、専門家で構成するトンネル施工管理委員会で妥当と判断された設計に基づき製作され、公社において、掘削等の機能が仕様を満たしているかなどについて、適正に検査したうえで引渡しを受けており、欠陥マシンであるという指摘は当たらないと考えています。

(近松さと子議員)
 また、13.67mもの大きな盤面を掘削するシールドマシンを扱うことができる技術者が施工会社JVにいないのではありませんか。掘削を開始した3か月後の2018年12月に、突然シールドマシンが故障した時、中央部の17インチカッターが壊れて、カッターの破片が見つかっても、その異常さに気付かないまま掘削し続け、シールドマシンの盤面まで削ってしまうというお粗末な運転がされていました。
 さらに、カッターにかかる力を確認できる装置や、摩耗や損傷を検知する装置、カッターの押し付け力を確認するシステムも未整備であったことが施工管理委員会に報告されています。
 大きな盤面のシールドマシンを適正に運転でき、工事の適正さを評価、判断する熟練した技術者がJVにおられるのかどうか、お答えください。

(道路交通局長)
 公社からは、配置技術者に一定規模以上のシールドトンネル工事の施工実績を有することなどの資格要件を設定しており、それに沿って配置された3名の技術者は、本工事と同じ泥水式シールドトンネル工事の経験を有し、従事者を指導監督していると聞いています。
 また、シールドマシンについても、専門業者により適正に操作を行っていると聞いています。
(近松さと子議員)
 今回のシールドマシンの工法を含め施工上の問題があれば、受注した施工業者であるJVの責任です。シールドマシンを製造したロビンス社や掘削中に何度もカッターを損傷させたJVには責任はないのでしょうか。今回のようなカッターの損傷はだれの責任であるとお考えですか。工事契約ではどのようになっているのかお聞きします。
 第三は、増額される事業費の問題です。壊れたシールドマシンの補修、交換をはじめとして、新たな事業費が発生するとしていますが、掘削工事が完了してから修理費用の負担割合をJV側と協議して決めるとしています。カッター損傷の責任をどこが負うかを、いまだに明らかにしていません。
 予定を超えて交換したカッターの費用は一体いくらまで膨らんでいるのですか。費用を賄うのは、発注した公社か受注したJVか、それともシールドマシンを製作したロビンス社なのか。一体どこが負担するのか。明快な答弁を求めます。
 事業の遅延やシールドマシンの損傷による事業費の増大で、事業の費用対効果は低くならざるを得ず、事業の必要性が問われます。市民から税金の無駄遣いとの批判も免れません。市は、見通しの甘さから来る「損害金額」を早く市民に公表すべきではありませんか。

(道路交通局長)
 契約図書では一定の岩盤強度までに生じたカッター交換は、受注者の責任において費用を負担することになっており、予定を超えて交換したカッターの費用は、契約図書に基づき公社と受注者で協議 を進めているところです。
 こうした協議を経て、今後公社が負担する金額は、高速5号線建設に必要な費用として適正なものであり、議員が言われる損害というものではありません。
 その負担額は、今後、双方の協議が調った段階で速やかに公表する考えであると公社から聞いています。
【再質問】
(近松さと子議員)
 5号線の二葉山トンネルの工事遅延による追加費用の問題ですが、結局シールドマシンが壊れるのは岩盤が想定よりも硬かったからなんですか。硬かったのなら、市の地質調査が不十分だったということになりますけれども、実際に市が施工業者に出された仕様書で、その硬さというのは想定された硬さ以上の硬い岩が出ているのかどうか、ちょっとそこも確認しておきたいと思います。

(道路交通局長)
 シールドマシンの性能のことについて、岩盤が実際相当硬かったんだろうかというご質問がありました。
 実際仕様で想定している岩盤より硬いものが現地に発生しております。またそれだけでなく、掘削によって粘り気が発生してマシンが止まるというような状態も発生しております。
 こういったことを含めまして公社とJVは契約上の約款に基づいて現在協議を進めているというところでございまして、この協議が整い次第、速やかに公表したいと考えています。

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