議会での質問・答弁

2022年02月15日

2022年第2回 2月定例会・予算特別委員会 議案質疑 近松さと子議員

保育士等処遇改善事業について
民間放課後児童クラブ職員処遇改善事業について

保育士等処遇改善事業について

(近松さと子議員)
 お疲れ様です。日本共産党の近松さと子です。市議団を代表しまして質疑をします。
 第296号議案令和3年度広島市一般会計補正予算第12号のうち保育士等処遇改善事業と民間放課後児童クラブ処遇改善事業についてお聞きします。
 今年の2月から9月まで保育士や放課後児童クラブの職員の給与収入の3%、9,000円引き上げるという処遇改善費が予算化されました。コロナ克服新時代開拓のための経済対策に基づく岸田政権の目玉政策として全額国費で行われます。
 この背景には日本は給与が上がらない国になったことがあります。この30年で、米国はおよそ1.5倍に。韓国はおよそ2倍に増えました。一方日本はと言うと30年かけてわずかに4%程度というのが日本の働く人の給与の現場です。そこで岸田首相が、公的部門の給料の引き上げを打ち出したものです。
 今回給与を引き上げる保育士などの職員はケア労働者と呼ばれ、新型コロナの感染拡大の中にあって自粛休業要請の下でも仕事を休まず保護者の就労を支え、子どもたちの命を守ってきました。とりわけオミクロン株の感染は10代未満の子どもに広がり、保育園や放課後児童クラブでも大変緊張を強いられる日々が続いていると聞いています。この中で保育士や放課後児童クラブ指導員のこうした役割についてどのように受け止められておられますか。

(こども未来局長)
 保育園や認定こども園などは、新型コロナウイルスの感染拡大状況下においても、社会的機能を維持するために就業を継続することが必要な方のため、原則開所するよう要請されている施設であり、そこで働く保育士は、感染予防に最大限配慮しつつ、保育サービスの提供を続けており、地域社会において大変重要な役割を果たしてぃただいてぃるものと考えています。

(近松さと子議員)
 最初に保育士の処遇改善についてお聞きします。2020年の賃金構造基本統計調査によると保育士の平均給与は249,800円で全労働者の平均賃金33万円336000円と比較すると月額で8万円の差があります。保育士を始めケア労働者は従来から女性が多く働いていますが、家事や育児の延長とされてその専門性が軽視されてきました。その為他の産業より給与が低いことが人手不足の大きな要因にもなっています。
 今回の処遇改善の目標である月額平均9,000円の給与引き上げについては保育関係者からは桁が違うのではないかという声もあがっています。このことについてはどのように受け止めておられますか。

(こども未来局長)
 本市においては、保育士の安定的な確保を図る上で、処遇改善は重要なものと考え、これまで、全産業の労働者との賃金格差解消に向けて、国に公定価格における処遇改善加算の拡充を要望するとともに、単市で上乗せする「保育士等処遇改善事業」を実施しています。
 こうした中、国は今回、経済対策に基づき、処遇の一部改善を行っているところですが、本市としては、引き続き単市事業を実施するとともに、更なる処遇改善を行うよう、国へ要望してまいります。

(近松さと子議員)
 保育士の場合、引き上げる補助額は運営費である公定価格場の職員配置基準を基に算定されます。戦後間もなくに定められた職員の配置基準は1歳から2歳児6人に保育士1人、3歳児20人に1人、4歳以上30人に1人でずっと改善されていません。多くの保育所でこの基準を上回る人数を配置しているため、実際の一人当たりの支給額は9,000円を下回る額になると言われています。この9,000円を下回る状況について市としてどのようにお考えでしょうか。さらなる引き上げ措置を進めるべきですがどうでしょうか。また、本来なら公定価格場の職員配置基準を実態に合わせて引き上げることが必要です。このことについてはどのようにお考えでしょうか。

(こども未来局長)
 今回の国による処遇改善は、公定価格の見直しにより実施されるものであり、公定価格上の配置基準に基づいた算定内容となっています。
 本市としては、配置基準の改善や賃金改善に必要な財源措置は、本来、国の責任において講じられるべきものと考えており、これまでも国に対して処遇改善に合わせて保育の質の向上のための配置基準の改善などについて、他都市と連携して要望しており、引き続き要望してまいります。

(近松さと子議員)
 国は、今回の保育所や放課後児童クラブの処遇改善事業に公立の施設や非常勤職員も給与引き上げの対象としました。広島市の公立保育所の処遇改善についてはどのように進められるんでしょうか。また、いくらの給与引き上げになるんでしょうか。

(こども未来局長)
 公立の保育園・認定こども園においては、会計年度任用職員を対象として収人の3%程度の処遇改善を行う予定としています。
 具体的な改善額については、現在、関係者と協議しながら検討を進めているところです。

民間放課後児童クラブ職員処遇改善事業について

(近松さと子議員)
 コロナ禍で、放課後児童クラブ指導員の役割について、どのように受け止めているのか。

(教育長)
 放課後児童クラブは、保育園と同様に、新型コロナウイルスの感染拡大状況下においても、原則開所するよう要請されている施設であり、そこで働く指導員は、感染予防に最大限配慮しつつ、サービスの提供を続けており、大変重要な役割を果たしていただいているものと考えています。

(近松さと子議員)
 次に放課後児童クラブ指導員の処遇改善についてお聞きします。今回2月からの給与引き上げは10月以降も実施することが前提とされていますが、民間事業者も先が見込めないのでは思い切った給与の引き上げに踏み切れません。放課後児童クラブ指導員の処遇改善は保育士と同じように9月まで全額国費が当てられますが、10月分からは国の負担が1/3に下がり、都道府県と市町が1/3の負担になります。2023年度以降についても給与の引き上げは継続されると考えて良いのでしょうか。

(教育長)
 この度の「放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業」は令和4年2月から9月までの間が対象となっていますが、この事業の活用に当たり、令和4年10月以降も、この事業により講じた賃金改善の水準を維持することが要件となっていることから、10月以降も賃金改善を継続することとしています。

(近松さと子議員)
 広島市の公立放課後児童クラブの職員の処遇改善についてはどのように進められるんでしょうか。また、いくらの給与引き上げになるんでしょうか。
 特に放課後児童クラブの指導員の9,000円の給与引き上げについて、1日6時間以上かつ月20日以上勤務している常勤職員を国は基本とするとされています。本市の放課後児童クラブの指導員は5.5時間であり6時間9,000円と均等の引き上げをすべきだと思いますが、どのように考えているでしょうか。以上の質問についてお答えください。

(教育長)
 公営の放課後児童クラブで勤務する指導員についても、保育園と同様に、この度の国の事業を活用し、3%程度の賃金改善を図ることにしています。
 具体的な改善額については、保育園の取扱いとあわせて、現在関係者と協議しながら、検討を進めているところです。

【再質問】
(近松さと子議員)
 これまで私たちも保育などのケア労働者の給与引き上げ処遇改善については、国や自治体の責任であると、それを求めてまいりました。今回は政治の力で保育士などの処遇改善が一歩進んだことは評価できるものですけれども、皆さん誰もが9,000円上がるんだと思ってらっしゃると思うんです。ところが保育園では、子どものために手厚く保育士を配置しているところほど9,000円に届かない。こういうことは本来あってはならないことじゃないかと思うんです。
 保育士全てに9,000円の引き上げができるように、もちろん公定価格などで国が責任持ってやるべきだと思うんですが、広島市として努力をされるつもりはないのかということも改めてお聞きしたいと思います。
 それと保育士さんについて、2023年度以降について聞いていなかったので、それについても答えていただきたい。保育士さんの9,000円引き上げについては公定価格に上乗せをするんだということをお聞きしているんですけど、2023年度以降も確実に引き上げられるのか、今の時点で国は補正予算を組んでいます。9月までのことがやられて、それ以降のことも本予算でやられるということではあるんですが、2023年度以降は、確実に引き上げられるということがないと、放課後児童クラブにもお聞きしましたが、事業者は見通しを持って給料の引き上げができないんじゃないかと思います。これについてもお聞かせください。

(こども未来局長)
 保育士の処遇改善についてですが、広島市としては、このたび一部ですが処遇改善されたということは認めておりまして、ただ繰り返しになりますが、本来配置基準の改善だとか、賃金改善に必要な財源措置、これはやっぱり国の責任をもってやるべきものだと考えております。
 ですから、単市でもちろんできる範囲の処遇改善を行っておりますが、引き続き国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
 それから23年度以降の措置でございますが、先ほど答弁しましたように、これは公定価格の上で積算されるようになりますので、当然その額は23年度以降もこの上がった水準を保っていけるものと考えております。

(近松さと子議員)
 今回は民間だけでなく公立の施設でも、保育士さんなどの処遇改善が対象になったわけなんですが、本市は会計年度任用職員などの非常勤職員を引き上げの対象とすると言われました。
 日本が給与の上がらない国になったということ、その要因の一つが、やはり正社員が非正規化されたことにあると思います。そういう意味で特に自治体の非常勤職員である会計年度任用職員は官製ワーキングプアとも言われてまいりました。
 放課後児童クラブの指導員さんにお聞きしましたら、30年勤務しても年収が250万円、月額17万円です。今検討されています会計年度任用職員の保育士さん、あるいは放課後児童クラブの指導員さん、給料引き上げは9,000円ではなくて、一律3%の引き上げを考えていると言われたんですけども、そうであるならば全員が3%以上になるのかどうか。3%に満たない人が出ることはないのか。保育士さん、それから放課後児童クラブの指導員さん、それぞれについて見通しをお聞かせください。

(子ども未来局長)
 先ほども答弁しましたように、本市としては収入の3%程度の処遇改善を行う予定として進めていますが、具体的な改善額については関係者と協議しながら検討を進めているところでございます。

(教育長)
 こども未来局長と、先ほど私も答弁しました通り、直営公営の児童クラブの給料表というのがあります。この給料表というのが、保育であるとか放課後児童クラブ類似のもののバランスを考えて作られているということもありますので、今保育園の扱いと合わせて関係者と協議して検討を進めているということで、考え方は現在支払っている元となっている給料表の3%をやっていこうと認識をしております。

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