議会での質問・答弁

2022年02月07日

2022年第2回 2月定例会・予算特別委員会 包括外部監査結果報告に対する質疑 藤井とし子議員


(藤井とし子議員)
 おはようございます。日本共産党の藤井敏子です。日本共産党市議団を代表して令和3年度包括外部監査結果報告水道事業に関する経営管理について質疑を行います。次の2点について質問します。

 はじめに、「広島市水道ビジョン」の具体的な取り組みの目標設定について伺います。
 現行の「広島市水道ビジョン」は平成30年2月に改訂され、向こう10年間の事業運営の指針を定めています。その中の施策目標「安全でおいしい水の供給」の主要事業である「水質管理体制の強化において、具体的な取り組みの一つに「残留塩素濃度の提言・監視」が掲げられています。この取り組みについての目標値や目標達成時期見通しについては未設定とのことでした。重要な施策であるため目標達成時期をできるだけ早い時期に明確にしておくことが望ましいとの監査人の意見がつけられています。
 そこでお聞きしますが、市は監査人の聞き取りに対して法で定められた残留塩素濃度0.1mg/L以上で、かつ旧厚生省はおいしい水の要件であると示した「0.4mg/L以下の水道水を利用する給水人口の割合を75%以上にする」を目標値とするとしています。これについては検討会にて審議中の数値であり、正式決定したものでないため、広島市水道ビジョンにおいても目標値として掲げていないと答えています。
 そこでお聞きします。「安全でおいしい水の供給」のための主要事業である水質管理体制の強化について現状はどうなっているのか。
 現在どういった検討を行っているのですか。今後、早期に目標を決定していくためにどう取り組んでいくのかお答えください。

(水道局長)
 令和3年度包括外部監査結果報告について5点のご質問に順次お伝えします。
 まず広島市水道ビジョンの具体的な取り組みの目標設定についてです。広島市水道ビジョンの政策目標、安全でおいしい水の供給の主要事業である水質管理体制の強化について現状はどうなっているのかについてです。
 水質管理体制の強化のうち、残留塩素濃度の低減・監視の取り組みとしては、消毒用の塩素を従来は浄水場において集中的に注入していたものを経由する配水池等において分散して注入するための追加塩素設備や残留塩素計等を整備することにより、残留塩素濃度の低減化を推進してきました。
 次に、残留塩素濃度の目標値の設定についてどういった検討を行っているのか、今後早期に目標を決定していくためにどう取り組んでいるのかについてです。
 残留塩素濃度については、水道法で0.1mg/L以上確保することとされている一方で、濃度が高すぎるとカルキ臭が強くなることから、1mg/L以下という目標値が設定されています。
 本市の水道水はこの目標値を十分満たしていますが、お客様によりおいしい水をお届けするため、平成30年に策定した広島市水道ビジョン残留塩素濃度の低減・監視を掲げています。これに伴い、残留塩素濃度の目標値やその達成時期を設定するため平成30年度から給水区域内全域について残留塩素濃度の実態調査を継続して行なっているところです。
 今後においては、令和5年度に完了予定している残留塩素濃度の実態調査の結果に基づき、できるだけ早期に残留塩素濃度の目標値及びその達成時期を設定するとともに、低減手法や監視体制など必要な取り組みについて計画を策定したいと考えています。

(藤井とし子議員)
 次に水道事業の広域連携について伺います。
 水道事業は市民のライフラインとして重要な事業であり、日本共産党市議団としては、フランスのヴェオリア社が主体である「水みらい広島」(株)を指定管理者としている広島県が進める広域連携については民営化につながりかねないものであり、統合による連携企業団方式への参加は反対の立場で議論をしてきました。市は、議会での議論も踏まえて、広域連携に参加せず、令和2年6月に「統合によらない連携」を選択するに至りました。
 監査人からは広島市は広島県が進める水道事業の広域連携に対して「統合による連携」企業団方式に参加せず、統合以外の連携を判断・選択を行ったことに対して、「水道法改正では、各都道府県が主導し、広域連携を進めるようにも規定されている」として、なぜ、広島市水道局が統合以外の連携を選択するに至った根拠を示す市独自にまとめた経過や資料はないのか疑問が出されています。これにどう答えられたのか。お答えください。
 広報・広聴活動の必要性については、情報をできるだけ市民に公開することは、水道事業を市民に理解し、協力して貰うためにも重要です。こうした意見についてはどのように受けとめているか。お答えください。

(水道局長)
 次に、水道事業の広域連携について本市が統合以外の連携を選択するにあたりその根拠を示す市独自にまとめた経過や資料はないのか、監査人から疑問を出されたがどう答えたのかについてです。
 広域連携による効果の推計にあたっては、各市町等の決算や固定資産をもとに試算条件を統一した上でシミュレーションを行う必要があるため、広島県が事務局を務める広島県水道広域連携協議会の中で各市町も参加して検討を行いました。その結果をとりまとめたものが広島県水道広域連携推進方針であり、これが根拠を示す資料に該当するものです。
 また事務局である広島県は、外部委託も利用しながら約2年の期間をかけて当該方針の取りまとめを行っており、これを各市町が個別に行うことは現実的ではない旨を回答しています。
 次に、情報をできるだけ市民に公開することは水道事業市民に理解して協力してもらうためにも重要であると監査人から意見が出されたが、どのように受け止めているのかについてです。
 水道事業の広域連携の検討状況については、機会をとらえて議会で説明するとともに、市民へはホームページなどを通じて情報公開を行ってきたところです。将来にわたって信頼される事業運営を行うためには、市民との相互理解を深めていくことは大変重要であると考えています。このため、今後ともホームページなどを通じて積極的に情報公開をおこない、寄せられた市民意見については事業運営の参考としていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 最後に、水道事業の広域化について国は推進していますが、2018年改正水道法の下でも、官民連携の在り方も、広域化の在り方も、決めるのは地方自治体です。地方自治体として、「地域の自然的・社会的条件に応じた」もっともふさわしい水道の計画を立てることや、水は人権の視点で、公衆衛生の維持、向上の責任を自覚し、必要な人員の採用もして、公共部門としての知識経験技術を維持・継承していくことがどうしても必要です。こうした点からも水道事業は基本的に民営化にはなじみません。すでに先行して民営化した海外の多くの自治体では、水道料の高騰を招くなどの問題もあり、再公営化が相次いでいます。
 広島県は、統合以外の連携を選択した自治体に対して、統合への参画を促していくとしていますが、今後の広島市の基本的姿勢についてお答えください。

(水道局長)
 最後に、県は統合以外の連携を選択した自治体に対して、統合の参画を促していくとしているが、今後の広島市の基本的姿勢はどうかについてです。
 本市としては、これまで議会からも数多くのご意見をいただきながら進めている経営改革を着実に進めることとしており、企業団へ参画することなく単独経営を維持した上で、職員研修の共同実施をはじめとする事務の広域的処理などに取り組むことで企業団や市町との協力関係を構築していきたいと考えています。以上でございます。

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