議会での質問・答弁

2020年09月24日

2020年第6回 9月定例会 総務委員会 近松さと子議員

第91号議案 「和解について」
陳情第92号「8月6日の平和記念式典における静謐(ひつ)の確保について」
報告 「指定管理者の業務実施状況(令和元年度)の評価等について」
報告 「令和2年平和記念式典に関するアンケート調査等の結果について」
報告 「広島市パートナーシップ宣誓制度の創設について」
付託案件外 世界遺産原爆ドームとバッファーゾーン

第91号議案 「和解について」

(近松さと子議員) 
 補正予算のうち、損害賠償請求事件に係る和解金と第91号議案の和解についてお聞きしたいと思います。
 100時間を超える残業をされて亡くなった、入職されて2年目の女子の職員の方の事件は、当時本当に衝撃を受けました。ちょうど電通の女性社員が自殺をされて、この時間外労働という過労自殺が本当に社会問題になった時に、広島市もかと思いまして、本当にショックを受けたんですけれども、和解条項には再発防止を図るため時間外勤務の縮減やメンタルヘルス対策の充実、職場環境の整備に引き続き取り組むと書いてありますが、2019年4月から労働基準法が改正されて、残業時間の上限規制というのも始まったんですけど、広島市ではその残業時間の上限規制というのはどのようなものか、今お答えできますでしょうか。

(給与課長)
 本市におきましても、平成31年4月から時間外勤務を命じることができる時間数の上限を設定して、時間外勤務の縮減に取り組んでございます。
 上限の内容を簡単に御紹介しますと、まず原則として時間外勤務を命ずることができる時間というのは一月45時間、年間360時間でございます。例外として、業務の量や時期を自らでコントロールすることが難しい他律的業務の比重が高い部署につきましては、年6回まで月45時間を超えて時間外勤務を命ずることができます。ただし、月100時間未満、それから連続する二から六月の平均が月80時間とする。それから、年720時間以下となるようにする。そういった上限を設定してございます。

(近松さと子議員)
 他律的な業務というのが、どんな業務なのか。原則は月45時間以下で、年間360時間以下。だけど、例外として他律的な業務は上限を引き上げているということです。他律的な業務というのは、どんな業務になるんでしょうか。

(給与課長)
 先ほどお答えしましたように、業務の量や時期を自らでコントロールすることが難しいものとなります。対外的に様々な対応をしている、区役所等も含めてですけれども、市民の方などからの様々な対応がある中で、業務の量を自らでコントロールすることが難しいような部署については、時期を定めて他律的業務の比重が高いということで指定をしております。

(近松さと子議員)
 それから、災害なんかのときには特例があると聞いているんですけど、それについてはどういうふうになっているんでしょうか。

(給与課長)
 災害につきましては、特例業務として取り扱ってございます。特例業務と言いますのは、上限の時間が、いわゆる規制の対象外となる業務ということです。災害のほかに選挙の関係も突然選挙が行われるということがございますので、一時に多くの業務を集中してこなさなければいけないということがございますので、災害と選挙に関しては特例としてございます。それから、コロナの関係も特例としてございます。

(近松さと子議員)
 広島は豪雨災害が相次いでいますし、それから今は新型コロナ禍でありますし、そしてまた解散総選挙というようなことも言われて、職員の皆さんは、この特例業務のさなかにあるんじゃないか。それから、もう間近にいろんな問題が降り掛かってきてると言いますと、特例業務というのが残業時間の規制がないということになりましたら、もう何時間でも残業していいというふうに考えていらっしゃるんですか。何か歯止めというのはないんでしょうか。

(給与課長)
 特例業務というのは、委員おっしゃるように、時間外勤務の上限時間の規制は掛かりません。これは先ほど例として御紹介しましたように、本当に役所の方でコントロールすることが難しいような場面、一度に集中して大量の業務を処理しなければならないような緊急の場合に限られて、特例業務として指定してございます。
 上限の規制の対象とはなっていないわけですけれども、そうした特例業務を行っている部署に対しては、長時間労働を行った場合の血管疾患や精神疾患の発症との関連性が強まるとされていることから、こうした業務であっても上限時間を超えて命ずる場合には、職員の健康の確保に最大限の配慮を行うよう通知をしております。

(近松さと子議員)
 上限規制のない特例業務、自治体の職場ではやむを得ないような業務もあるとは思うんですけれども、やはり職員さんの健康については本当に配慮していただきたいと思います。それがやっぱり住民の皆さんへのサービス向上にもつながると思います。ですから、今回出された議案では損害賠償で和解をされたわけですが、和解条項というのを今一度かみしめて、この和解条項に沿った職場環境に努めて、もう二度とああいう事件がないように全庁で取り組んでいただければと思います。

陳情第92号 「8月6日の平和記念式典における静謐(ひつ)の確保について」

(近松さと子議員)
 デッドヒートしたので、私も式典のアンケートの時に聞こうかと思っておりましたが、この陳情でいろいろ御意見が出たので何点かお聞きしたいと思うんですけど、まず私はおかしいじゃないかと思ったことがありました。団体のメンバーについて委員の方からどんな人かと聞かれたときに、性別とか年齢とか、名前を言われたわけじゃないけれども、プライバシーに関わることをこういう場で明らかにされるのはどうかと。私は別に団体の肩を持つわけではないですが、一般的に団体に対して謝罪されるべきじゃないかということが1点あります。
 そして、私もこの平和記念式典について、やはり祈りの場として考えていらっしゃる方もいらっしゃるんで、静かに平和記念式典が行われ、そして世界に発信ができればいいと個人的には思っております。しかし、市の方が公権力を使って条例などで法的拘束力を持たせて規制をするという1点については、やはり表現の自由などの問題で私はやるべきではないと思っております。
 まず一つ聞きたいのが、暴騒音条例というのを県が作っていますけれども、それが85デシベルという規制をされているということでした。しかし、それはデモ団体の拡声機なんかには適用しないと県が判断しとると聞きますが、その理由について御存じなら説明していただきたいです。

(市民活動推進課長)
 県議会でこの条例案が議論されたときに、議員さんの中から市民活動等のデモ行進等については適用しないという決議がなされましたので、その結果、市民運動には適用しないという運用がなされているというふうに把握しております。

(近松さと子議員)
 やはり、そういう政治的な主張とか市民活動なんかに関わるような音については、制限を加えたら問題だと県議会でも判断をされたということ。これは、やっぱり重い判断じゃないかと思います。
 それからもう一つ、最初の頃でしたが、市がアンケートを取られた時に、こういう条例を制定して規制することに対して被爆者団体に御意見を聴かれていたと思うんですけど、そのとき賛成というのが1団体あったかと思いますが、あとは反対とか慎重であるべきとかそういうような御意見だったと思うんです。被爆者団体の御意見についてはどういうふうに、この条例制定について受け止めていらっしゃいますでしょうか。

(市民活動推進課長)
 全体といたしましては、条例制定は望ましくないが、式典は静かにしてほしいといった声であったと把握しております。

(近松さと子議員)
 広島市基本構想を策定されまして、国際平和文化都市として大きな歩みを進めていこうということも宣言される中では、やはり世界の基準から見ると自由とか民主主義、人権というのがこういう世界の中では重んじられる中で、そういう国際基準、国際的な人権条項を守る自治体であるべきじゃないか。そうしてこそ、世界で核兵器廃絶を言う発言力というのが重さを持ってくる。国際的にも認められるものじゃないかと思います。ですから、私も静ひつを求める立場ではありますけれど、こういう条例による規制については反対です。

報告 「指定管理者の業務実施状況(令和元年度)の評価等について」

(近松さと子議員)
 2点ほど聞きたいと思うんですけど、いつもこの指定管理者の業務で不適正事例があったら聞かせていただいとるんですが、この市民局の文化交流会館の指定管理者、広島アートウインド運営企業体は、前回も労働基準法関係で不適正事例が指摘されたんですが、続いての指摘ということで、どのように原因とかを分析していらっしゃるでしょうか。

(文化振興課長)
 こちらの指摘については、前回1年前に報告させていただいた時と同じ労働基準監督署からの指摘、是正勧告に基づいているものでございます。内容としては、先ほど局長の方から説明しましたように、こちらの職員については1か月単位の変形労働時間制を採用しており、あらかじめ定めた労働日ごとの労働時間数を超えて勤務をした部分の全てを時間外として計算すべきところを、超過勤務の調整として予定時間より短時間勤務を行った際に、誤ってその時間調整分を時間外から差し引いて算出するという支払をしていたものです。こちらについては、不適正事例発覚時、令和元年6月より2年間遡及することとし、支給不足分が発生している労働者の実態の把握及び不足額を算定し、支給不足額を8月分給与と合わせて支給するとともに、対象者全員に不備があったことを謝罪したとの報告を受けております。
 もう1点の就業規則の変更を労働基準監督署長に届けていなかったという件ですけれども、こちらについては、平成31年4月から労働基準法の改正により年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務付けられたことに伴う就業規則の一部改正であり、この就業規則自体は一部改正していたんですけれども、未届けとなっていました。対応としては、未届けの発覚後速やかに労働基準監督署長に届け出、6月20日付けで受理されています。この内容は、先ほどの繰り返しになりますけれども、昨年度の9月議会に報告した案件と同じものの年度がまたがっているので、改めて令和元年度として報告しているものでございます。

(近松さと子議員)
 分かりました。去年報告されていたことと年度がまたがっていたので、改めて報告をされたということだったんですが、労働基準法の改正についての就業規則の変更についてはきちんと届けられなくちゃいけないことだったと思いますので、法令をきちんと遵守して適正に労務管理をしていただきたいと思います。
 それともう一つ、クアハウス湯の山でレジオネラ菌が検出されたということなんですが、以前民間の三原市のみはらし温泉ですか、レジオネラ菌でそこの施設を利用された方が亡くなって大きな事件になったような記憶があるんですけど、レジオネラ菌が検出されるというのはクアハウスにとっては重大な問題であると思うんですが、どうしてそういうことが起きたのか、そこらを教えてください。

(スポーツ振興課長)
 クアハウス湯の山では、プール、浴室の水を採取してレジオネラ菌の有無を判定する水質検査を年2回実施していますが、この度6月29日に検査の結果、レジオネラ菌が検出されたことが判明したため、直ちに臨時休館といたしました。検出された原因としましては様々な要因が考えられますけれども、新型コロナウイルス感染拡大防止のため実施した4月17日から5月21日までの臨時休館中のうち約2週間は、通常の勤務体制を午後10時から午後5時に短縮したためポンプによる循環時間が減少したことや、利用再開後も利用者数が減少したことに伴い浴室からあふれる水量が減少したため交換水量が減少したことなどが原因ではないかと考えられます。

報告 「令和2年平和記念式典に関するアンケート調査等の結果について」

(近松さと子議員)
 今年は新型コロナの影響で参加者が大変絞られました。ですから、アンケートに答えた方も随分少なかったということはあると思うんですが、答えていらっしゃる回答を見ましたら、私が式典の中で座っていて感じたこととほぼ同じような傾向だったと思うんです。というのが、聞こえたという中でも、式典への影響があるような音量じゃなかったというのが半分以上おられますし、そういう点では今後とも関係者に要請し、話合いを続けるべきだというのが、随分ポイントが増えています。そして、何もする必要もないという方も、規制をするべきという方と同じぐらいの割合となっているわけですが、実際のところ、昨年が25分間にわたって聞こえたけれども、今回は12分だったということなどがあります。
 市として、今回団体に要請をされて、それを団体が一定配慮して、市の要請に応えてくれたと判断をされているんでしょうか。

(市民活動推進課長)
 私どもの要請に対し、一定の配慮はしてくださったと思います。ただ、85デシベル以下ですると言った言葉には反しておられたので、その辺については申し入れたいと思います。

(近松さと子議員)
 結論としては、要請に対して十分な、100%応えていただいたというふうには思ってないけれども、一定程度は応えていただいて、そして来年も要請を引き続き続けていこう。これが、今の市のスタンスだと認識してよろしいでしょうか。

(市民活動推進課長)
 今後とも話合いを持って、解決に向けて努力したいと思います。

報告 「広島市パートナーシップ宣誓制度の創設について」

(近松さと子議員)
 私もこの制度を求めてきた一人として、いよいよ制度ができるということで喜んでおります。
 左利きの人と同じぐらい、LGBTの人たち、性的少数者と言われる方の数というのはあるというふうなことが言われて、男と女しかないというふうに私たちは思っていましたけど、そうじゃなかった。性というのはすごくグラデーションのように多様なんだということを、私もいろいろ公民館でそういうLGBTの人たちの講座等があって、今そういう勉強をしている途中です。
 そういう中で、日本は同性婚というのを認めていない、先進国でも本当に唯一の国です。アジアでは台湾が認めていますが、今そういう人たちが裁判も起こされていて、その裁判のスローガンを聞いたら、そうかと思ったんですけど、結婚の自由を全ての人に、幸せになる人が増えるだけじゃないかと呼び掛けていらっしゃって、そうだなと私もその言葉で胸にすとんと落ちたんですけども、実際にはパートナーシップ制度で法律婚のような権利とかいうのは残念ながらほとんどなくて、財産の相続もできませんし、例えば扶養なんかの控除もできません。税金のことも何もそういう法律婚と同じ権利というのはないんですが、しかしパートナーシップ制度の中で、先ほどおっしゃったような広島市のいろんな制度を法律婚、また事実婚なんかと同じように利用できるようにされるということを進められるのは、すごく重要なことだと思います。
 それで改めて一つほど聞きたいんですが、この法律婚、異性婚などと同じではないけれども、このパートナーシップ制度が、LGBT、性的少数者の方たちにとってどんなメリットがあって、広島市の私たちが暮らす社会にとってもどういう役割があるのか、改めてそこを説明していただければと思います。

(人権啓発課長)
 同じような答弁になるかもしれませんけども、性的マイノリティの方々につきましては、社会とか職場であるとか学校等で理解を得られずに、嫌がらせやいじめを受けたり、就職や職場の処遇で不利益な扱いを受けたり、そういった偏見や差別に苦しんでいらっしゃる方々がいらっしゃいます。本制度を運用していくことで、性的マイノリティに関する社会理解を促進するということが、まず一つの狙いとしてございますし、また性的マイノリティの方々に対し婚姻と同等の効果を及ぼしませんけれども、行政機関に一定のパートナーシップという関係を認知してもらうということに関しての安心感を保障することにつながるのではないかと考えております。
 また、先ほども申し上げましたけれども、市の制度の範囲ではございますが、行政サービスが享受できるといったところで効果があるものというふうに考えております。

(近松さと子議員)
 昨日の中国新聞に大きく出ておりました。このパートナーシップ制度は、もう日本の人口の3割の方がこの制度があるところで暮らしていらっしゃるということになるということです。それの中に広島市も入っていくということになるんですけど、ただパートナーシップ制度がせっかくできても、やっぱり周りの人たちの偏見とか誤解とかがあったら名のり出ることができない、パートナーシップ制度の宣誓をすることができないんじゃないかと思うんです。だから周りの理解者を増やすという活動も必要なんじゃないかと思うんです。
 世田谷区に私も行きまして、ここではアライという活動、LGBTの人たちを応援する、理解するという応援団のことらしいんですけど、そういうアライという人たちを増やす活動を、自治体が当事者団体と一緒に一生懸命やられているというのを知りました。是非そういう活動にも当事者の人たちと一緒に取り組んでいただいて、私たち、皆さんもアライになるように努力したらどうかと思います。これは要望です。

付託案件外 世界遺産原爆ドームとバッファーゾーン

(近松さと子議員)
 世界遺産原爆ドームとバッファーゾーンということで発通を出させていただいているんですが、バッファーゾーンの中でのいわゆる商業行為について、ふさわしいのかどうかいうことをお聞きしたいと思いまして質問をさせていただきます。
 バッファーゾーンの中にはいろんな建物などがあるんですが、これまで私たちは、かき船の移設について、これは問題だと反対をしてきたりしたところもあるんですけど、その中で原爆ドームがありまして、その道路を挟んだ所におりづるタワーがあるんです。そのおりづるタワーの催しについてお聞きしたいと思うんですが、平和団体とか女性団体などが市に要請されたんです。1階のお土産屋さんの隣のカフェで、カフェはもう外から丸見えの所なんですけど、そこでジャパニーズビューティービアガーデンというショーが行われていた。これがふさわしくないんじゃないかという御意見なんです。そのビアガーデンというのは、ミスコンテストの入賞者が多く所属しているモデル事務所とのコラボレーションビアガーデンで、各ミス・ミセスコンテストの出場経験者らを中心としたメンバーが開放的な店内で優雅で迫力あるウォーキングやダンスショーを行い、お客様は飲食しながらショーをお楽しみいただけますというふうにホームページで紹介されているんですが、女性団体の方がびっくりされて、世界的にはジェンダー平等の声が高まっている中、バッファーゾーンの中で女性を商品化するという商行為が行われるということは、平和と人権の観点から見てどうなんだろうか。この地を二重に冒とくすることではないかということで、平和団体などの皆さんと一緒に市の方に要請をされたというところなんですが、そもそも世界遺産原爆ドームは本市にとってどのような存在なのか、答えていただければと思います。

(被爆体験継承担当課長)
 原爆ドームは、核兵器による被爆の惨状の痕をほぼ当時のままの形で伝えている唯一の建物であり、時代を超えて核兵器廃絶と世界恒久平和の大切さを訴え続けている人類共通の平和記念碑であると考えております。

(近松さと子議員)
 そして世界遺産に1996年に登録されたわけなんですが、この世界遺産にはバッファーゾーンというのがありまして、原爆ドームの世界遺産としての価値を守るために世界遺産委員会と合意をしてエリアが定められているわけです。先ほどの地図で言えば、この黒い太い所がバッファーゾーンになるわけなんです。やっぱりこのエリアを守るということは広島市の責任だと思うんですけど、どう考えられますか。

(被爆体験継承担当課長)
 原爆ドームのバッファーゾーンは、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷・破壊等の脅威から保護し保存するという世界遺産条約の目的を達成するため、平成8年の世界遺産への登録に当たって設定したものです。このバッファーゾーンについては、文化財保護法、都市公園法及び広島市公園条例、河川法、景観法及び広島市景観条例などの国内関係法令等に基づき、これまでも適正に保護してきているところです。

(近松さと子議員)
 日本ICOMOS国内委員会が、かき船の移設の問題の時に市長宛ての懸念表明を出されました。世界遺産の登録に決定的な影響力を持つ世界遺産委員会の諮問機関なんですけど、同委員会は、原爆ドームのバッファーゾーンは単に周辺の景観を規制し整えるゾーンというだけでなく、この遺産の持つ鎮魂と平和への祈念の意味との深いつながりを持ったエリアとして認識されるべきですと述べています。バッファーゾーンに関する同委員会の指摘については、どういうふうに考えていらっしゃいますか。

(被爆体験継承担当課長)
 原爆ドームのバッファーゾーンの区域と原爆ドーム、平和記念公園、平和記念公園に接する平和大通り及び平和記念資料館を対象として、平成18年に本市が策定した平和記念施設保存整備方針では、この区域を含む平和記念施設の役割を原爆犠牲者を慰霊し鎮魂する場、核兵器廃絶と世界恒久平和を祈念する場、被爆の惨禍を後世に伝える場、平和を学び考え語り合う場、人々が集い憩う場、行動する場、国際平和文化都市の象徴と位置付けており、認識は相違していないものと考えております。

(近松さと子議員)
 かき船の移設のときには、そういう中で集いとかにぎわいの場というのも、平和記念施設保存の整備方針の中にあるから、かき船はそういうかき船文化として必要なんだというようなことをおっしゃったんですが、果たしてどうなのかということを私たちは問題提起をしてきたわけです。
 今回、このバッファーゾーンの中でこういうショー行為のようなことが行われるというのは、やはりドームへの否定的な影響が生じるんじゃないかと思うんですが、ふさわしいと考えられるかどうかお聞かせください。

(被爆体験継承担当課長)
 委員から御指摘のありました催しにつきましては、複数の市民団体から本市や主催者に対して否定的な意見が寄せられており、被爆者団体からは本市へ要望書の提出がありました。この催しは民間企業が行っているものであり、関係法令等遵守されている以上、本市が指導等を行うことはできませんが、原爆ドームの前で原爆犠牲者への慰霊、鎮魂を静かに祈りたいという方がいらっしゃることを踏まえ、寄せられた意見を昨日主催者に伝えたところでございます。

(近松さと子議員)
 改めてお聞きするんですけど、原爆ドームの持つ意味と深いつながりを持ったエリアとして、バッファーゾーンの雰囲気を守ることが原爆ドームの価値を守ることになると思いますが、改めてどのようにお考えですか。

(被爆体験継承担当課長)
 繰り返しになりますが、バッファーゾーンは国内関係法令等に基づき保護することとしており、これまでも平和推進課と、文化財保護法、都市公園法及び広島市公園条例、河川法、景観法及び広島市景観条例などを所管する関係部局とが連携しながら、適切な管理を行っています。今後とも各部局が密に連携することによって、市としてバッファーゾーンの保護に取り組んでまいりたいと考えております。

(近松さと子議員)
 今回はそういう女性団体、平和団体の声を運営者側の方に伝えていただくことができたんですけども、原爆ドームとその隣は繁華街で、どうしてもそういう経済活動、商行為、様々の境が本当に分からなくなってくる所じゃないかと思うんです。やはり経済、観光、行政からすれば、そういうにぎわいの場を持っていきたいと思っていらっしゃる。それがかき船だったんじゃないかと思うんですけど、平和行政の立場でも、かき船については容認をされてきたというところがあります。やはり私は、バッファーゾーンの雰囲気を守ることが原爆ドームの価値を高めるということになるので、そうしてこそ国内外から観光客の方が原爆ドームに集まって、周辺ににぎわいを生むことになるんじゃないかと思います。バッファーゾーンの中ににぎわい施設を持ってきてにぎわいを作ることではなくて、それは平和行政の中でしっかりとその線引きをする。にぎわい施設はバッファーゾーンの外でやってもらうということが必要ということを、平和行政として観光や経済行政にきちんと示すべきだと思います。
 それから、最後にちょっと先ほどの平和記念式典のことを一つ言いますと、バッファーゾーンの中でデモなどのいろんなことをやられているということにはなりますけれども、経済の自由と表現の自由、どちらが守られなくてはいけないのか。どちらも守られなくてはいけませんけれども、より守られなくてはいけないのは表現の自由だと言われているということは、皆さん御承知のとおりだと思います。経済の自由というのは他に代替措置があるけれども、表現の自由というのは奪われると取り返しがつかないと言われているということだと思います。

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