議会での質問・答弁

2020年12月11日

2020年第8回 12月定例会 文教委員会 きせ康平議員

1.就学援助制度について
2.放課後児童クラブについて

1.就学援助制度について

(きせ康平議員)
 委員外ではありますが、このようなお時間を頂きましてありがとうございます。一般質問でも先日お伺いいたしましたが、就学援助の縮小について、また、放課後児童クラブの有料化について、もう少々聞きたいことがありますので、御質問させていただきます。
 まず初めに、就学援助についてお聞きしてまいります。
 就学援助について、本会議にて、教育長が、現行制度の評価として、他都市よりも現状低所得者世帯をより広く対象としてカバーできていると答弁された状況でございますが、もちろん認定基準額がそこまで高くない中で、ここまで25%というところは、市の努力というのもやはりあるとは思います。けれども、ここまで努力をしないと救える方が救えないという状況かと思いまして、やはり今の努力というところは、ある意味、市として当たり前の姿ではないのかとも思います。
 要は、ほかの自治体で、基準が高くてもそこまで広がらないというところは、その周知徹底ができていないのではないか。まだまだそういった足りないところがあるのではないかということだと思うんですけれども、現行の制度について、ここまで今努力しながら広げている一方で、この度縮小させるということになるんです。改めて現行制度についての認識を確認させていただきたいのですが、市として、今の現行制度のままでは、要は他都市に比べてよりカバーしているので損をするだとか、ある意味悪いことをしているのではないかという認識をお持ちなのかどうか、どんな認識をお持ちなのかお答えください。

(学事課長)
 今回の見直しにつきまして、平成31年度の実績に基づいて試算した結果を見ても、認定率は24.7%で、ほぼ4分の1の世帯をカバーしており、また、政令市の中で最も高く、生活保護を受けるための直接的な基準は満たさないとしても総合的に判断したときに同程度の者である準要保護者への支援としては、適切な制度になっているというふうに考えております。

(きせ康平議員)
 パーセントを下げながらも、ある程度カバーしているというところでありますが、あるべき姿とこの間よく言われておりますけれども、そもそも、縮小し排除することが、市としてあるべき姿との認識なのか、改めてちょっとお伺いします。

(学事課長)
 就学援助制度の本来あるべき姿とは、準要保護者を認定する際に用いる算定式において、生活保護基準額が平成元年度のままとなっていること、また、申請者が負担する社会保険料を二重に考慮する運用になっていることの解消を図り、生活保護を受けている者に準ずる程度に困窮している者に対する経済的支援策としての役割をしっかりと持続的に果たすことができる制度であるということでございます。

(きせ康平議員)
 あるべき姿というところで、正していくんだということにおいて、排除しても、それはあるべき姿だからしょうがない、排除されてもしょうがないということだと思います。
 また、社会保険料の重複という言葉を今頂きましたが、そもそもこの係数について、当初、今の現行制度に変更、改定した際の係数の考え方というのは、要は従前の認定額との均衡を考慮したという係数だったかと思います。というところで、30年変えてこなかったということから、その係数が社会保険料に近いという認識で、市が勝手に認識を変えて、社会保険料として、結果、重複してるからこれを無くすんだということだと思いますが、そもそも違うところへ考え方を変えるというのは、手荒いと言いますか、横暴なのではないかと思いますけれども、市がどう考えているのか、ちょっとお答えください。

(学事課長)
 係数に関してお答えいたします。生活保護基準額に乗ずる係数については、昭和49年当時、文部省では、標準4人世帯の昭和48年度における生活保護基準額の1.3倍の額が、昭和49年度の市町村民税の所得割の課税最低所得とおおむね一致したことから、1.3倍程度が適当であると通知していました。 この通知は既に廃止されており、また、現在では市町村民税の所得割の課税最低所得は生活保護基準額を下回って、当時とは逆転しています。したがって、生活保護を受けている者に準ずる程度に困窮している者である準要保護者の認定基準において、生活保護基準額に係数を乗ずることの意義は失われているものと考えています。
 また、平成2年度に、認定基準額の算定式の基礎を、当時の特殊学級就学奨励費需要額から生活保護基準額に変更する改正を行いましたけれども、その際、従前の認定基準額との均衡を考慮して、係数1.13を乗ずることとして、そのまま現在までこの算定式を用いております。
 この改正から30年が経過し、社会経済情勢の変化とともに、政令市における係数も様々な状況となり、現在、この係数を用いている意義は、社会保険料の負担を考慮することにあると考えております。

(きせ康平議員)
 今の話の中で、もともと国の方では、生活保護基準額に1.3を掛けるべきだとしながら、更に言うと、その後係数で言ったら最大で1.4まで上がってる時期もあるという状況ではありますが、従前の認定との均衡を保つということで、要は排除される人を出さないようにということで、この間、変更される際には、影響を受けないようにというところを考えられているのも一部あったかとは思います。
 なぜこの度そこが考えられないのか。排除せざるを得ない、結果として排除となるという話になりますけれども、特に考慮がなく排除するというところについて、市として何とも思わないのか。排除はもう結果だからしょうがないという考えなのか、ちょっとお答えください。

(学事課長)
 見直しに伴いまして、令和3年度に就学援助を受けた一部の者が就学援助を受けられなくなることがあった場合は、急に援助が受けられなくなり計画的に生計を維持していくことが難しくならないように、支援を徐々に減らしていく激変緩和の手法で救済していきたいと考えております。
 今回の見直しは、要保護者に準ずる程度に困窮している方に対する経済的支援策である就学援助制度を、本来あるべき姿に改めて、持続可能性を高めようということであり、平成31年度の実績に基づいて試算した結果として、認定者数と支給額が4.4%の減になりましたが、認定率は24.7%で、ほぼ4分の1の世帯をカバーしており、この就学援助制度の低所得者に対する経済的支援策としての本来の役割はしっかりと維持できていると考えております。

(きせ康平議員)
 改めてあるべき姿という言葉も発せられましたけれども、市の認識としては、排除することをやっても、あるべき姿としてこれでいいということだと思います。
 仮にこの制度を進めた際に、先ほど激変緩和という言葉もありましたが、結局、排除される方は4年目以降は無くなってしまうわけですけれども、1年目4分の3、2年目2分の1、3年目4分の1と徐々に減らされていくということになります。確認ですが、例えば1年目はその基準を外れるけれども、低所得で激変緩和を受けれる状況になりました。次の年、ちょっと所得が上がってこれを外れることになりましたと。そうすると経過措置も外れると思うんですけど、さらに3年目のときに、またちょっと所得が変わって下がりましたとなったときの3年目の対応というのはどういうふうに想定されているか、ちょっとお答えください。

(学事課長)
 委員御指摘のことも含めまして、詳細な設計はこれから検討していこうと考えております。

(きせ康平議員)
 激変緩和で何とかするんだということを言われるのであれば、仮に進める際にはそういったところもしっかり考えていただきたいと思います。あるべき姿というところで、先日の答弁では、縮小していても十分な制度になっているというふうな発言をされていますけれども、こういった形が、見放すことが、市の姿勢だという認識でよろしいですか。

(学事課長)
 繰り返しになりますけれども、今回の見直しによって、認定率は24.7%で、ほぼ4分の1の世帯をカバーしておりまして、この就学援助制度の低所得者に対する経済的支援策として、本来の役割はしっかりと維持できているものと考えております。

(きせ康平議員)
 25%から24%へと下がるわけで、今の試算上では1,060人が要は見放されることになるんですけれども、それでも十分な制度という認識でよろしいですか。ちょっと確認しときます。

(学事課長)
 経済的支援策としての本来の役割は果たしているものと思っております。

(きせ康平議員)
 見放しても十分だということは分かりました、市の方針として。

2.放課後児童クラブについて

(きせ康平議員)
 続いて、放課後児童クラブのことを聞いてまいります。
 先日の答弁で、保護者にアンケートを取りましたということで、保護者が求めたサービス向上策を幾つか言われたかと思いますが、改めて確認でちょっとお答えいただけますか。

(放課後対策課長)
 保護者アンケートの結果、ニーズが高いことが把握できた項目としましては、長期休業中等の昼食の提供、施設面の改善、今休みになっている第2土曜日を開けるということ、それから、市によるおやつの提供などがございます。

(きせ康平議員)
 今の答弁の中で、休業中の昼食と、あとは保護者側から出ているおやつも出してほしいということがあったと思いますが、もしこれを実現させるということになると、アンケートではこのサービスのためなら利用料も払ってもいいということだったと思うんですけれども、お弁当とおやつであれば、実費負担ということになるのではないかと思うんです。利用料とはまた別の考え方になってくると思いますが、その辺りどういう考え方になりますか。

(放課後対策課長)
 現在、おやつの提供に当たりましては、保護者の方に買い出しを行っていただいております。また、長期休業中等の昼食につきましても、保護者の方に用意していただいております。
 それらを市の方で保護者に代わって行うということは、保護者の負担軽減になりますので、サービスの向上につながるものと考えております。

(きせ康平議員)
 もちろん手間というところでは大分改善されるのかとは思うんですけど、そういう実費負担は利用料とはまた別じゃないかと思うんですけど、それを利用料として徴収を考えていくということになってくるんですか。

(放課後対策課長)
 現在検討しております受益者負担というのは、今言われたおやつの実費の部分であるとか、それから弁当の実費の部分であるとか、要は子どもが直接食べるもので、特に昼食につきましては、家庭においても必要なものになりますので、その部分を無料にするとかということではなくて、現在サービスの向上も検討しておりますので、そういった新たに行うことになる経費であるとか、あと本会議の方でも御答弁させていただいていると思いますけれども、近年全学年が対象になったりとか、あと利用率が増加していることに伴いまして、運営経費が大きく増加してきておりますので、そうした中で持続的に運営していくためには、そういう運営経費の一部について、保護者の方にも一定の負担をお願いすべきであるというふうに考えているということです。

(きせ康平議員)
 実費負担と利用料というところで言うと、おやつを用意する、また、お弁当を用意するという手間賃というところも利用料に含めていく予定なのか、それとも、実質掛かるところだけを実費負担するのかということで言うと、どういった形を検討されてますか。

(放課後対策課長)
 おやつの提供ですとか、それから昼食の提供につきましては、今、具体的にどういう形で提供ができるかというところを、関係業者とか現場の指導員の方とも話合いをしております。
 そうしたやり方が詳細に固まり、それに係る例えば配送のコストであるとか、そういった一定のサービスを提供するに当たって、経費というのが掛かってくると思うんです。そうしたものについては、放課後児童クラブの運営に係る経費ということで、受益者負担をしていただく際には運営経費の中に含まれてくるというふうに考えております。

(きせ康平議員)
 掛かるものは実費負担という形になってくるかとは思うんですけど、この話だけでもあれなので、次に行きますが、先ほどの就学援助の認定というところで、今の状況から試算して1,060人が排除される予測になっている状況ではありますけれども、先日もいろいろと検討されているという答弁もありましたが、こういった対象外となる1,060人の層も低所得というような認識を持っているのか、それとも要は排除してもいいような世帯というふうに捉えているのか、認識をちょっとお伺いします。

(放課後対策課長)
 1,060人という人数につきましては、就学援助の制度を見直した場合に、見直し前と見直し後でそれぞれ対象になる児童数を試算した結果としてそういう数字になっているというふうに認識しています。
 いずれにしましても、負担軽減策につきましては、今、料金体系と併せて検討を行っておりますので、今後検討を進めていく中で、経済的な理由で利用が困難とならないように配慮してきたいと考えております。

(きせ康平議員)
 今、ならないように配慮していきたいという言葉を頂いて、それだけでもいい答弁だったと思うんですけれども、この就学援助の対象から外れた世帯というのは、本当にこれまで、要は収入が少ないということから就学援助自体も受けざるを得ないにもかかわらず、外れてしまうなんていうのもあるとは思います。
 そうした中で、同じ方々がこっちも有料化になってくると、二重の負担ではないですけれども、本当に心身共に負担が大きくなってくるということで、是非どこに手を差し伸べるのかというところをしっかり考えていただきたいと思います。
 先日の一般質問でもちょっとお話させていただきましたが、今、コロナ禍において、おやつ代の月1,000円程度が払えないから放課後児童クラブをやめざるを得ないという世帯が出ている中で、そういうときこそ手を差し伸べるということが必要であると思いますが、現状で言えば、サービス向上策も出ていない中で有料化だけは先行して話をしていくという状況にありますけれども、この発表というのが、ぎりぎりの苦境に立たされている保護者の方々に対しては、本当に心を折るようなメッセージになってるという状況だと思うんですけれども、それに対して、市の認識を改めて御答弁いただけますか。

(放課後対策課長)
 放課後児童クラブのサービス向上や受益者負担につきましては、令和2年度から令和5年度を計画期間とする広島市行政経営改革推進プランにおいて検討すべき課題として位置付けておりまして、この期間内の実施に向けて、これまで検討を進めてまいりました。
 サービス向上策を実施する場合には、その実施に直接関わることになる指導員の理解と協力が不可欠ですけれども、現在、コロナウイルス感染症の対応によりまして、指導員の負担が増加しておりますので、その対応がある程度落ち着く期間を考慮するとともに、実施に係る指導員や関係業者との協議を調える必要もありますので、そういった時間を考慮しまして、令和5年度当初からの実施を目指す旨を、先日の委員会で発表させていただいたところです。

(きせ康平議員)
 もちろんいろいろと検討する時間というのもあるとは思いますけれども、是非とも保護者に対しての目線というのも考えていただきたかったと思います。コロナ禍において、特に低所得者世帯というのは本当に今心が折れそうな状態なんです。その日食べる物がないような方々もいらっしゃれば、本当に明日、あさって、生きていられるかも分からないなんていう世帯も聞きます。殊にひとり親世帯なんていうのは、もう重々厳しいなんていうこともお聞きいたしますが、そうした厳しい状況の中で、この放課後児童クラブにしろ、就学援助の縮小にしろ、本当にこの度示された見直しは、保護者に対して冷たいというふうに言わざるを得ないと思います。
 市の姿勢として、子どもを助ける、援助を必要とする方々を助けるというふうな方向性を掲げてますけれども、それと本当に逆行するような政策を掲げることについて、そこの認識がしっかりあるかどうかをちょっと最後にお聞きしたいと思います。

(放課後対策課長)
 一部繰り返しになると思うんですけれども、現行の放課後児童クラブの制度は、平成27年度に特に大きな改正がありまして、現在、法律に基づく事業として、対象児童が全ての学年に拡大をされて、また、利用率も年々上昇しております。それに伴いまして運営経費も増加しておりまして、このままでは現行のサービス水準を維持しながら持続的に運営していくことも困難になるという可能性がございます。そうした状況があり、また、放課後児童クラブ自体が、放課後とかそれから長期休業中等の児童の居場所として重要な役割を果たしているということは、当然認識は持っておりますので、そうした事業を安定的に運営していくところに市としては大きな責任を負っているんではないかというふうに考えております。

(きせ康平議員)
 その見直しについて、いろいろと今言われましたけれども、結果として市の態度を見ると、保護者の方々、また、子どもたちを本当に救わない市政だということを改めて最後に言わせていただいて、僕からの質問は終わらせていただきます。

TOPへ