議会での質問・答弁

2021年10月07日

2020年度決算特別委員会 全体会議 総括質疑 近松さと子議員

1.新型コロナ対策と財政について
(1)市民・事業者への支援
(2)財政調整基金
2.子どもの貧困対策について
(1)子ども医療費助成制度
(2)就学援助制度
3.公共事業について
(1)高速5号線事業
(2)広島駅南口再整備事業
(3)市立保育園の耐震化
4.パートナーシップ宣誓制度について

1.新型コロナ対策と財政について

(1)市民・事業者への支援

(近松さと子議員)
 新型コロナ対策と財政についてというテーマです。新型コロナの感染拡大の初年度の年でした。初めての緊急事態宣言の下で外出自粛、営業自粛の影響を受け、多くの事業者や市民が苦境に立たされました。市としてどのように対策を取り組んできたのかを聞きたいと思います。
 まず市民の暮らしはどうだったのか、影響はどうだったのか。広島市の、国から事業を受けてやられている住居確保給付金というのがあります。令和2年度の件数と総額、そして市民の困窮についてはどのように把握されたのかお尋ねします。

(保護自立支援課長)
 令和2年度におけます住居確保給付金の支給決定件数ですが、1217件で、総支給額は2億3千187万7701円となっております。
 困窮された方はどのように把握されたかというご質問でございますけれども、本市では市社会福祉協議会及び各区の社会福祉協議会内にくらしサポートセンターを設置し、専任の相談支援員等が、生活に困窮している方からの様々な相談に応じ、関係機関等と連携を図りながら自立に向けて継続的な支援を行っております。
 令和2年度におきまして、くらしサポートセンターには離職や廃業により失業された方からの相談に加え、緊急事態宣言等に伴う休業要請により収入が減少した自営業者や非正規雇用労働者等から、コロナが収束すれば収入の回復が見込めるため、それまでの間の家賃や生活費に関して何か支援はないかといった相談が多く寄せられました。
 こうした方に対しては、支給要件が拡大された住居確保給付金や生活福祉資金の特例貸付など、国による緊急支援策が確実に受けられるようにするとともに、ハローワークの就労支援窓口と連携した就労支援などを実施しています。

(近松さと子議員)
 昨年は緊急事態宣言が発令されて、その後今年まで国レベルでは5回緊急事態宣言が発令されています。ここまで長引くとは当時はまだ分かりませんでした。市民の皆さんも宣言が明けたら仕事に復帰できると思われていたかもしれませんが、しかし働く場の休業も長期間に及んでいるんじゃないかと思います。
 先ほど言われた社会福祉協議会の生活福祉資金特例貸付ですけれども、一応貸付ということですので、1年後にはもう返済です。一年猶予はありますが、返済が待っています。その時に、非課税世帯になれば返済はしなくてもいいということではありますが、そうは言っても貸付制度です。さらにあの事業者の苦境も大変だったと思うんですけど、これについては市としてはどのように把握されてきたでしょうか。

(経済企画課長)
 本市では、経済団体や業界団体、商店街、金融機関、観光関連事業者等への聞き取り調査などによりまして実態把握を行っており、現状におきましても、飲食業や観光宿泊業を中心に新型コロナウイルス感染症の影響は幅広い業種に及び、感染症の終息が見通せない中廃業を余儀なくされる店があるなどの声を聞いておりまして、市内で業者は厳しい経営状況が続いていると認識しております。

(近松さと子議員)
 事業者も、国の融資でお金を借りて、しのがれてきたというところは大きいと思います。しかし長引くコロナ禍の中で体力のない事業者ほど過重債務に陥って、今年の民間の調査機関によれば、今年1月から3月の間、やはり休廃業の数が前年と比べて増えているということが言われております。融資の返済も始まっていて、行政に対しては利市の補給や借り換え制度が欲しいという声も上がっています。
 さらには緊急事態宣言は5回も出ているのに、事業者への持続化給付金、家賃給付金これも大変厳しい要件で、一回限りの細切れの支援です。給付金の再支給も求められていると聞いています。
 市民の生活も、休業を余儀なくされてアルバイトやパートなどの収入が減って困窮している女性や学生を支援する団体からは再度の給付金も待たれているという状況です。
 広島市として、こうした市民や苦境に立った事業者に直接支援を市独自として行なってきたものはあるんでしょうか。

(政策企画課長)
 直接支援というものを本市が実施した緊急経済対策のうち、国や県の制度によらない個人・事業者に直接的に効果を及ぼす支援と捉えますと、それにつきましては社会福祉施設や児童養護施設等の従事者への支援、市内の留学生への支援、事業者が行うテレワークとICT環境整備への支援などがありました。

(近松さと子議員)
 コロナ禍の一年半、誰一人取り残さない覚悟で公助の力を発揮してほしいと求めてまいりました。
 ただ、これまでは市民や事業者の支援は自粛を要請した国や県が行うべきだとして、その補完は共助の仕組みで行うとして、共助にこだわって来られました。
 新型コロナの感染拡大による影響で、苦境に立たされた市民や事業者への支援が十分であったとお考えでしょうか。

(政策企画課長)
 今回のコロナ禍での困窮は、国及び県が打ち出した新型コロナウイルスの蔓延防止対策によって引き起こされたものであることから、困窮している方の状態を緩和または解消するための直接的な支援は、第一義的には国及び県において講じられるべきものであると考えております。
 また、実際に困窮する市民・事業者に対しては、国及び県において様々な支援が講じられております。
 そこで、地域共生社会の実現を目指す本市としては、国や県が行う個人や事業者への直接的な支援の足りない部分を単に補うといった発想に立つのではなく、基礎自治体としての本市の役割を踏まえつつ、一過性のものではなくコロナ禍後の社会のありようも見据えて、地域での支え合いや事業者同士が連携した共助に主眼を置いた取り組みこそ重要であると考え、その支援に注力しているところです。
 こうした取り組みをしっかりと支援することで、多くの市民・事業者が共助の精神に立って、自分たちの日常生活、経済活動の維持に努めるとともに、困窮する方の支援を一緒に担ってもらえるような状態になれば、現下の困窮状態を緩和させることはもとより、共助の精神に基づく地域共生社会づくりの確実な進展にも繋がるものであり、十分な支援になると考えております。

(近松さと子議員)
 去年もそのことについてはちょっと議論をさせていただきましたが、テナントオーナーに支援し、オーナーがテナントに対し家賃を引き下げるという事業をされました。30億円の予算が組まれましたが、決算では12億円ということでした。
 1件当たりの家賃引き下げ額が少なかったからということで、家賃を引き下げて、テナントが出て行くのを防ぐという役割を果たせた、そういうオーナーさんも少なくはなかったとは思います。
 周辺部で家賃の比較的安いようなところは、それでオーナーさんもテナントさんも喜ばれたというところはあると思います。
 私が相談を受けた中区の中心街の美容院は、緊急事態宣言ではもうお客さんが来られなくて、どうにかしてほしいという訴えがありました。そういう方は、広島市にこういう制度ができたのでぜひこれで家賃を下げて欲しいとお願いをされましたけど、やはりオーナーさんは首を縦に振っていただけませんでした。
 こういう共助の仕組み、オーナーさんを支援するような制度も否定はしませんが、家賃を直接支援するような制度があればよかったんじゃないでしょうか。
 国の家賃支援給付金は、3ヶ月30%何ヶ月か続いて収入が減るような大変限定的なものでありましたので、そういうものを補完する役割、直接支援するということは大事なんじゃないかと思いました。
 それと、残りのお金で飲食店へ一律15万円の支援もされました。これは実行委員会という形をとって、共助の仕組みだということでやられましたが、実際には直接支援だったんじゃないかと思います。
 当時、飲み屋さんみたいなところは協力金があるけれども、例えば喫茶店とかお好み焼き屋さんにはお客さんが減っても何もなかったわけですよね。そういうところに15万円の支援というのは大変喜ばれました。しかしよく考えてみればお店の収入の状況では15万円じゃ足りないようなところももちろんあったわけです。
 共助共助と言われて、いろんな組織や団体を通してやられるんですけども、困っている事業者の声を聞いて、それに応じて、やり取りの中で金額とか事業の中身とかを決めていくということも必要なんじゃないか、事業者の声をしっかり聞いて、寄り添った支援というのが求められているんじゃないかなと私は思います。

(2)財政調整基金

(近松さと子議員)
 次は財政調整基金の事をお聞きします。コロナ禍で少なくない自治体が財政調整基金も減らしてコロナ対策に取り組んでいると聞いています。
 広島市では、市の貯金である財政調整基金が増えています。令和2年度の予算では新型コロナ対策として18億円を財政調整基金から取り崩して確保すると聞いておりました。しかし令和2年度末の基金残高は49億円となり、前年度比10億円の増になっています。これはどういうことなのか教えてください。

(財政課長)
 財政調整基金は年度間の財源調整などを行う手段として設けられているものであり、予算編成にあたっては、歳入総額において必要となる一般財源が不足する場合に、その取り崩しを行っているところであります。
 令和2年度予算においても、そうした一般財源を確保するため約18億円の財政調整基金の取り崩しを行うこととしていましたが、予算措置以降の歳入歳出全体の動向、具体的には歳入面で市税が上振れしたことや、歳出面で事業の中止等による減額補正や、事業の不用額が生じたことなどにより、例年程度の実質収支を確保できたことなどを踏まえて、決算ではその取り崩しを行いませんでした。
 これに加え、令和元年度の決算剰余金の一部である約9億円を財政調整基金に積み立てた結果、令和2年度末の残高が前年度末に比べて約9億円増加しました。

(近松さと子議員)
 具体的に言いますと、今日も議論になっていましたタブレットなんかは、予算がされた時には財政調整基金を取り崩すみたいなことが言われたと思うんですけど、それは実際にはどのようになったんでしょうか。

(財政局長)
 先ほど答弁した通りでございまして、結果的に歳入全体で歳出がまかなえれば取り崩しはしないということですので、予算上はその時点ではタブレット端末を整備するためには取り崩して一般財源を増やす必要があったんですけれども、決算で見れば歳入で歳出がまかなえているので、取り崩す必要はなくなったということです。

(近松さと子議員)
 控室でお聞きした時には、臨時交付金それなので手当てをしたということ、それからもちろん収入が上振れしたり、支出不用額が出たりそういうのもので手当てをした、だから基金を取り崩す必要がなかったということをお聞きしました。
 今日もラインナップが色々ありましたが、国のコロナの臨時交付金は、自治体にとって大変使いやすい、自由度が高い制度だったと聞いております。
 こうした国の財源も充てられて、結果として財政調整基金を取り崩すことなく済んだということじゃないかと思うんですが、それならば、自由度のあるこの臨時交付金をもっと国の支援が不十分なところに上乗せしたり横出ししたりというところにも使っていただけたらよかったんじゃないかと思います。
 令和2年度の決算では、決算剰余金が約19億円出ております。この半分が繰越金として12月議会の議決を経たら基金に積み立てられると聞いております。
 財政調整基金がさらに9億円増えることになるんじゃないかと思うんですが、財政運営方針の見通しを越えて令和3年度の基金の残高は54億円になるということも聞きました。
 新型コロナ禍で市の貯金というのが増えているんですけれども、これに対してはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

(財政課長)
 財政調整基金は社会経済情勢の変動があった場合の年度間の財源調整に加え、災害などの不測の事態にも対応できるよう、財政の健全な運営に資するために設けているものでありまして、安定的な財政運営を行っていくうえで重要な財源であるとを認識をしております。
 財政運営方針で掲げた目標残高39億円は、今後4年間の収支見通しとして110億円ものを収支不足が見込まれるなど、厳しい財政状況の中で達成すべき最低限の目標として掲げたものであります。
 このため令和2年度末の決算において、目標を上回る残高を確保できたことは今後のより安定的な財政運営につながるものであると考えており、引き継ぎ目標残高を確保しながら新型コロナウイルス感染拡大や災害対応などの不測の事態にも迅速かつ柔軟に対応できるよう努めてまいります。

(近松さと子議員)
 新型コロナはまだ終息を迎えたわけではありません。ワクチン接種も進んで、重症化される方が減ったりという、いい面はありますが、感染対策の担当にお聞きしましたら、ワクチンを打っても感染しないわけではなく、感染者が増えれば重傷者も増える、第六波というのは必ず来ると言われました。
 今国の方では、ワクチンや検査の陰性証明などで、行動制限の緩和も言われてはいるんですけれども、やはり医療の状態なども見ながら慎重にやってかなくてはいけないし、もし感染拡大が大きな山を迎えれば、市民も事業者もそして医療機関も大変な思いをすることになりますので、感染拡大を防がないといけません。
 そのための備えとか対策もしっかりしていただきたいと思いますので、このことは要望させていただきたいと思います。

2.子どもの貧困対策について

(1)子ども医療費助成制度

(近松さと子議員)
 令和元年10月から、幼児教育・保育の無償化が始まりました。国から交付金が入って、これまで市が独自に保育料の軽減措置を行って来られた一般財源およそ32億円これは一年分ですけれども、浮くということを聞いております。
 いったいこの32億円はどうなったのかという問題意識でお聞きしたいと思うんですが、私たちは子どもの貧困対策や子育て支援のため、子どもの医療費助成や就学援助の拡大に使うべきだと求めてまいりました。
 それで子どもの医療費助成についてお聞きしますが、2020年令和2年度の事業費、予算と決算額はどうなっているでしょうか 。

(福祉医療担当課長)
 令和2年度の当初予算額は23億4158万6千円で、決算額は17億1298万8千円となっております。

(近松さと子議員)
 残念ながら今、少子化に打ち勝つことができずに、子どもはどんどん減っているんですけれども、こうした事業費も減ってきている傾向なんでしょうか。

(福祉医療担当課長)
 過去5年間の決算額を申し上げますと、平成28年度は約20億1千万円、平成29年度は約23億円6千万円、平成30年度は約22億6千万円、令和元年度は約22億円1千万円でしたが、令和2年度の決算額は先ほどご答弁しました通り、約17億1千万円となっております。
 このうち令和2年度の決算額が過去5年間の中で大幅に減少している理由としては、新型コロナウイルス感染症の拡大による受診控えや、子ども特有の感染症等が大きく減ったことなどによるもので、少子化の進行によるものだけではないと考えております。

(近松さと子議員)
 令和2年度の減少というのは、コロナで受診控えが起きたからということですけれども、確実に子どもの数というのは減ってきているんじゃないかと思います。
 子どもの医療費補助が来年1月から小学校6年まで引き上げられますが、さらに中学校3年まで対象年齢を引き上げることが必要だと思うんですけども事業費はどのようになるでしょうか。

(福祉医療担当課長)
 令和3年度当初予算をもとに、制度改正後の2年ベースの予算額を試算いたしますと、通院の補助対象年齢を小学校6年生までにすることで扶助費のみで約5億4千万円の増額となります。
 対象年齢を中学3年生まで拡大した場合は、さらに扶助費を約4億9千万円増額する必要があり、現行の制度と比べて約10億3千万円の増額となります。
 また、子ども医療費補助制度につきましては、引き続き国に対し、国の責任において子ども医療費補助に係る統一的な制度を創設するよう要請していくことを前提にしつつ、今後の制度の見直しについては令和4年1月からの制度改正後の状況も踏まえながら、さらに検討を進めていくこととしております。
 このため現時点で今後いつ見直しを行うかということについては、現在お答えすることはできません。

(近松さと子議員)
 結局6年生まで引き上げると総額ではいくらになるんでしょうか。中学校3年まででは総額事業費はいくらになるのか。もう一回答えてもらえませんか。

(福祉医療担当課長)
 現在小学校3年生までが対象となっておりまして、1月から小学校6年生まで引き上げることによって5億4千万円の増額が見込まれます。
 また、それを中学3年生までに拡大した場合には、加えて4億9千万円の増加が見込まれますので、現行の小学3年生までと比べて中学3年生までに拡大した場合は10億3千万円の増額が見込まれます。

(近松さと子議員)
 幼児教育・保育の無償化の32億円があれば十分おつりがくるくらいの金額じゃないかと思います。それと、2017年に小学校5年生と中学校2年生の子どもと保護者を対象に、子どもの生活実態調査が行われました。このこともこれまで何度も指摘をしてきました。
 調査からは、生活が困難な世帯ほど経済的理由で受診控えがあるということが明らかになっています。あれから4年ぐらい経ってるんですけども、来年1月からは小学校5年生の子どもは6年生までの年齢引き上げで受診控えというのがなくなるんじゃないかと期待していますが、しかし中学校2年生の子どもたちは、調査の段階では受診控えがある、それについては何の手だてもまだ取られてないということになります。
 このことについて広島市としてはどのように考えておられるのか。

(福祉医療担当課長)
 本市が平成29年に小学校5年生と中学2年生の保護者を対象に実施した子どもの生活に関する実態調査では、経済的理由で子どもに医療機関を受診させなかった経験があったと回答した生活困窮層の保護者の割合は、中学2年生が10.7%であるのに対し、小学5年生は21.9%と2倍になっておりました。
 また、小学生と中学生を比較すると、小学生の方が傷病に罹患しやすく、医療費の負担が大きいこと、また本市が平成30年度に未就学児から小学6年生までの子どものいる世帯を対象に実施した子ども子育て支援に関するニーズ調査により、小学生の保護者の経済的支援に対するニーズが高いことが明らかになりました。
 こうしたことから、令和4年1月から通院の補助対象年齢をまずは小学6年生までに拡大するとしたものです。

(近松さと子議員)
 もちろん小学生の方が病気にもかかりやすいですし、早くしてあげるべきだとは思いますけれども、広島市の中学生にも経済的な理由で病院にかかれない子が、少なくともこの調査をした時にはいて、その後解消された保証はありません。
 中学生であっても、一人でも経済的な理由で病院にかかれないという子どもを残したらいけないんじゃないでしょうかそれについてはどう思われますかもう1回聞かせてください。

(福祉医療担当課長)
 本市におきましては、将来を担う子どもたちを安心して産み育てることができるようにしていくことは喫緊の課題と考えており、改めて子ども子育て支援施策の充実にあたっての考え方を整理し、各種施策の見直しを行いながら子ども子育て支援施策の全体を充実し、将来にわたって安定的に運用できるようにしていくこととしております。
 本市としましては、今後も子ども子育て支援施策を全体として充実するとともに、将来にわたって安定的に運用していく中で、可能な限り子どもの医療費を充実させていきたいと考えております。

(近松さと子議員)
 ちょっと私の質問の答弁になってないんですけど。中学生でも受診控えがあるという調査結果が出ました。中学校2年生ですけど、経済的な事情で受診控えをするような子どもたちを一人でも残してはいけないという立場に立たれているんでしょうか。イエスかノーで答えてください。

(福祉医療担当課長)
 繰り返しになりますけれども、子ども医療費補助制度については国の責任において統一的な制度を創設するよう要請することを前提にしつつ、令和4年1月からの制度改正後の状況も踏まえながら、さらに検討を進めていくことしております。

(近松さと子議員)
 時間がないのでもうここでやめますけれども、はいと言っていただけなかったのはとても残念です。
 広島市の子どもたちの命を守るというところで、覚悟を持っていただきたいなと思います。

(2)就学援助制度

(近松さと子議員)
 続きまして、削減が打ち出された就学援助についてお聞きします。幼児教育・保育の無償化の、国からの交付金で浮いた一般財源について、東京都の世田谷区は給食費だけの就学援助制度を作って、この所得基準を大幅に引き上げました。
 給与収入で4人世帯760万円までの世帯に給食費無償化を拡充したものです。
 私たちもこれまで議会でこのことを紹介し、見習うべきだと市に提案をしてきましたが、広島市は逆に、子育て世帯の負担を増やすという方向を示されています。
 2020年令和2年度の就学援助制度の事業の予算と決算額を教えてください。

(学事課長)
 令和2年度の就学援助の当初予算額は19億6618万7千円で、決算額は17億501万3千円でございます。

(近松さと子議員)
 こちらも少子化のことについてお聞きしたいと思うんですけど、この事業費はどのようになってるでしょうか。

(学事課長)
 おたずねの事業費につきましては、平成28年度の決算額は20億2352万円で、3億1850万7千円減少しております。
 なお、この5年間の児童生徒数はほぼ横ばいであり、決算額の減少は、世帯の経済状況の変化によるものと考えられます。
 また、令和2年度の事業費が、新型コロナウイルス感染症対策のための一斉臨時休業措置等による給食費の減額、及び修学旅行・野外活動の中止短縮等により、予算額より約2億2000万円減少したことも影響しております。

(近松さと子議員)
 事業費が減っているのは、少子化ではなくて世帯の収入が増えているからじゃないかと言われるわけですが、しかしそれならばなおさら削減をする理由はないんじゃないかと思います。
 わずか8000万円の削減です。私が少子化のせいじゃないかと言いましたけれども、事業費が減っているのに削減をする必要はないんじゃないかと思います。
 さらに32億円の財源もあります。110億円の収支不足が生じるとした財政運営方針には、放課後児童クラブの有料化や就学援助制度の削減に取り組むことを打ち出されましたけれど、子どもの貧困対策・子育て支援策にも逆行し、少子化を加速させるというこの姿勢は本当に問題じゃないかと思います。
 32億円の財源が一体何に使われているのか、改めて聞きたい。聖域なのが大型開発です。

3.公共事業について

(1)高速5号線事業

(近松さと子議員)
 公共事業についてお聞きします。広島高速5号線トンネル工事は談合疑惑が晴れないまま、事業費を87億円増額する計画変更をしただけではなく、凍結されていた高速5号線と高速2号線をつなぐ連結道路整備を復活させて事業費を追加されました。
 そもそも高速5号線の整備計画の変更で増額された事業費は、関連公共事業も含めていくらなのか。それによって事業費総額はいくらになったのか教えてください。

(高速道路整備担当課長)
 令和元年度に広島高速道路の整備計画を変更しています。高速5号線の事業費は関連公共事業を含め347億円の増額となり、事業費総額は1471億円となりました。

(近松さと子議員)
 347億円増えて、1471億円になったということですが、令和2年度のこの関連公共事業も含めて、事業費そして市の負担はいくらだったんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 広島高速道路公社が実施する有料道路事業の令和2年度予算額は106億円、決算額は47億9千万円です。
 本市はこの決算額のうち、1/4にあたる11億9750万円を出資金及び貸付金として公社へ支出していますが、これは供用後の通行料金により全額償還される仕組みとなっております。
 また、本市が実施する関連公共事業の令和2年度予算額は16億円7120万円、決算額は19億7120万円です。
 本市はこの決算額のうち、おおむね1/2にあたる9億9500万円を負担しています。

(近松さと子議員)
 整備計画の変更前、増額を除いた場合は、この令和2年度の事業費はどのようになっていたんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 令和元年度の整備計画変更による増額が認められなかった場合、令和2年度は規定予算の範囲内での予算計上しかできず、その額は関連公共事業を含め38億4800万円となっていましたが、仮にこのような状況になっていた場合は、令和2年度の事業執行に必要な予算は組めなかったことになると考えてます。

(近松さと子議員)
 そうしますと、整備計画を変更して令和2年度の事業費でどれだけ市の負担が増え、事業費はどれだけ増えたっていうことになるんですか。

(高速道路整備担当課長)
 市の負担額でいいますと、関連公共事業費を含めて増額されなかった場合と比べますと、23億6700万円の差額になります。

(近松さと子議員)
 令和2年度の高速5号線だけで、市の負担が23億円増えたということです。34億円の財源はこちらにも回ったんじゃないでしょうか。

(2)広島駅南口再整備事業

(近松さと子議員)
 続いて広島駅南口再整備事業についてお聞きします。令和2年度の特別委員会、令和3年の2月になりますけれども、特別委員会で事業費が当初155億円であったのが、360億円へと大幅に増額することが報告されました。市として事業費の増額を認める判断をされたのはいつだったんでしょうか。

(広島駅南口整備担当課長)
 広島駅南口広場の再整備等については、実施設計の段階において路面電車の乗降場とにぎわい空間をおおう大屋根の追加、あるいはペデストリアンデッキの拡張追加等の施設規模の変更などが必要となったことから、昨年9月の都市活性化対策特別委員会において、事業費の見直しを進めている旨を報告しています。
 その後事業費が確定し、その増額分を含め市として実施可能と判断したことから、本年2月の同特別委員会において見直し後の事業費を報告したものでございます。

(近松さと子議員)
 そして令和2年からは市債の発行も抑制しなくてはいけない財政運営方針のもとで、100億円の市の負担増、今回のこの南口再整備で100億円の市の負担が増えるわけですが、これについてはどういう理由で決断されたんでしょうか。

(広島駅南口整備担当課長)
 本事業につきましては、陸の玄関にふさわしいまちづくりの総仕上げとしまして、JR西日本や広島電鉄と連携して取り組んでいる非常に重要なプロジェクトでございます。
 当初と比べ約100億円の市の負担額は、国庫補助金などの特定財源を確実に確保するよう努めるとともに、これまでと同様プロジェクト間での優先順位付けや、進度調整などを図ることなどで対応できると考えています。

(近松さと子議員)
 疑惑を持たれた高速5号線のトンネル工事費の増額に始まり、たがが外れたように2年連続で大型開発事業の大幅な増額が行われました。
 令和2年からの幼児教育保育無償化で浮いた財源32億円をあてにしての増額ではないでしょうか。子どもたちの貧困の解消という点ではまだ中学生の子どもにその恩恵が及んでおりません。
 経済的な理由で病院にかかれないという子どもたちもまだ残しています。今の時点では小学校5年生の子どももその恩恵がまだ読んでおりません。そして、さらには就学援助制度も削減をするというような方向です。
 貧困対策や子育て支援、少子化をに打ち勝つんだと威勢のいいことを一時は言われておりましたけれども、結局少子化にも負けているという敗北宣言をしている状況じゃないかと思います。
 今まで持続可能な社会をということで色々と言われてきましたけれど、やはり私は安心して子どもが産み育てられる社会こそ持続可能な社会と言えるんじゃないかと思っております。

(3)市立保育園の耐震化

(近松さと子議員)
 もう時間が6分しかありません。保育園の耐震化はそれでは到底終わりそうにありませんので、また分科会でしっかりやらせて頂きますのでお願いします。

4.パートナーシップ宣誓制度について

(近松さと子議員)
 最後に同性カップルのパートナーシップ宣誓制度についてお聞かせください。
 広島市は、午前中の質疑でも「世界に誇れる街というのは住んでいる人が生き生きとくらせる街だ」と言われました。これは性的少数者の広島市民にとっても同じことだと思います。この性的少数者LGBTの人たちの人権が保障される街でなければならないと思っております。令和2年度から、今年の1月になりますけれども、広島市が同性カップルのパートナーシップ宣誓制度をスタートさせました。
 中国新聞によりましたら、中国地方の5県と全107市町村合わせた計112自治体のうち、今25%に当たる28自治体が導入を検討しているということが報じられました。
 そこでお聞きしたいと思います。今年の1月この制度が始まったんですが、この1月以降宣誓したパートナーは何組でしょうか。

(人権啓発課長)
 令和2年度における宣誓件数は12組でございまして、現時点では22組となっております。

(近松さと子議員)
 スタートした時点で、岡山市と相互に利用できる連携協定を結ばれたとお聞きしましたが、その後どのようになってるでしょうか。

(人権啓発課長)
 現在、連携協定を結んでいるのは3市でございます。岡山市と本年1月1日に連携協定を締結し、その後今年度に入ってから、4月1日に福岡市と、9月27日に安芸高田市と連携協定を締結しております。

(近松さと子議員)
 県内でも安芸高田市などが拡大をされて、3市と連携協定を結ばれているということですね。
 宣誓書の受領カードを提示したら利用できる事業というのはどのようになってるんでしょうか。

(人権啓発課長)
 パートナーシップ宣誓書受領証等を提示することで利用可能な行政サービスは、昨年度制度をスタートさせた段階では、身体障害者などに対する軽自動車税、こちらは種別割になりますがこちらの減免と、市営住宅の入居、保有個人情報開示請求、市営合葬墓の使用申込など6件をお知らせしておりましたが、その後、火災に起因するものを除く罹災証明書の交付など2件を追加致しまして、本年10月1日現在で8件となっております。

(近松さと子議員)
 それぞれの局に、利用できる事業について検討してもらっているんだということをお聞きしましたが、その際にやはりネックになる、それは同性カップルがまだ法的に認められていないということにあるんでしょうか。どのようなことが問題になるんでしょうか。

(人権啓発課長)
 パートナーシップ宣誓により利用可能となる行政サービスにつきましては、市の条例規則要綱等に基づきまして、事実婚の関係や親族関係にあることを条件にしているサービスを対象に、それぞれの制度所管課におきましてご検討いただいてきたところでございます。
 検討にあたりましては、各制度所管課におきまして、パートナーシップ宣誓制度及び行政サービスそれぞれの趣旨に照らして公的に利用可能とすることができるかどうか、国の財政支援等の制度と齟齬が生じないかなどを検討した上で判断することとなります。
 こうした検討の結果、利用できる事業と利用できない事業とに区分されているものと認識しております。
 なお、現時点で利用可能かどうか結論に至っていない事業もございますため、引き続き制度所管課で検討を進めていただくよう定期的に全庁照会を行っているところでございます。

(近松さと子議員)
 他都市などで問題になりましたのが、法的に認められていないということで、税金を使ったような給付事業は駄目なんじゃないかとかそんなことも言われたり、いろんな裁判にもなったりもしているようですが、しかし世田谷区などでは、そういうこともあり性的マイノリティの皆さんの権利擁護という点では給付金も含めて前向きに考えたいというようなことも言われたりもしています。
 先般スイスで同性婚が法的に認められたということをお聞きしました。
 いよいよ総選挙も間近になっておりますので、同性婚を日本の社会で認めていくという議論が前進して、LGBTの人たちの権利が守られる擁護される社会にぜひ前進させていきたいなと私も思っております。
 では私の方からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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