議会での質問・答弁

2021年09月24日

2021年第3回 9月定例会 消防上下水道委員会 中森辰一議員

豪雨災害防止の施策について
(中森辰一議員)
 お疲れ様です。委員の皆さんには大変恐縮でありますが、委員外から豪雨災害の防止ということについて、少し時間を取らせて頂いて質問させていただきます。
 今年も災害が発生いたしました。改めて豪雨災害対策について質問させていただきます。近年集中豪雨が頻繁に発生しております。土砂災害危険箇所をたくさん抱えている広島市内でも、毎年土石流災害とか土砂崩れが発生する危険が増しておりますし、毎度の集中豪雨の際には、いつもどこかの河川の氾濫の危険が発生していて、避難指示がよく出されております。こうした状況についてどのように広島市としては受け止めておられるでしょうか。

(砂防事業推進担当課長)
 今後も気候変動による豪雨の頻発、激甚化に伴う土砂災害や浸水被害の発生の可能性があると認識をしており、引き続き防災減災に取り組んでいく必要があると考えております。

(中森辰一議員)
 広島市内には大小たくさんの河川があります。3年前の集中豪雨の際には護岸の崩壊、越水、橋の崩壊、流出、さらに内水の氾濫もありました。今年7月の豪雨でも、累積雨量は3年前の雨量に匹敵するものでしたが、幸いにも被害はこの時よりも今回は規模が小さかったという状況になっています。
 しかし、残念なことに亡くなる方があったことは本当に痛ましいことです。前回の災害発生からわずか3年で、規模は小さかったとはいえまた集中豪雨で被害が発生しました。河川の問題では3年前に被害が発生した箇所の復旧は当然ですが、被害が発生しなかったところも、同じような集中豪雨でも護岸の崩壊などが発生する可能性のある箇所というのはたくさんあるんじゃないかと思います。これはどういう状況でしょうか。

(砂防事業推進担当課長)
 過去の豪雨等で被害がなかった河川施設でも、今後被害が発生する可能性はありえますが、時々の災害発生条件によって結果的に被害の有無が別れるためあらかじめ被災箇所を指定することは困難です。

(中森辰一議員)
 基本的には災害防止という観点で護岸が作られているんだと思いますが、現実にはその時の流れの状況などで、護岸が崩壊したり、いろんな事態が起きていて、今回もそういうことで発生しています。
 今年もまだ台風の被害が心配されており、来年もまた集中豪雨が繰り返し発生することは想定されていると思います。
 川に関しては危険箇所の点検とか、改善が計画的に、しかもできるだけ短期間に進められる必要があります。今その状況によって、色々危険な状況が変わりうるという答弁でした。
 なかなか事前にそういう危険性を察知するのは難しいのかと受け止めたんですが、それでもやはり大雨が発生したときに、やはり危ないところはきちんと整備をしておく必要があると思います。その点について計画があるのかどうか、どういうことになっているのか教えてください。

(砂防事業推進担当課長)
 本市域の太田川等の主要河川では、各河川管理者によって河川整備計画が策定されています。
 こうした中、近年の豪雨の頻発・激甚化を踏まえ、国においては防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が閣議決定され、所要の事業財源を確保する措置がなされ、計画に基づく事業の進捗が図られているところです。

(中森辰一議員)
 一応計画が作られているということなんですね。今後、これまでの想定を超える豪雨というのは、当然発生する可能性を考える必要があります。実際に近年の気候変動の影響だと多くが指摘していますが、年々回数を重ねるごとに、発生する豪雨の酷さがだんだん大きくなってきているように思います。
 広島では、洪水被害のハザードマップも作られていますが、護岸の崩壊に至らないように、危険な護岸の強度を上げる砂防工事なども先ほど答弁された計画の中で進められているということでいいんですか。

(砂防事業推進担当課長)
 事前防災対策は国県市が各々で役割分担のもと、連携して取り組む必要があります。こうした考え方のもと太田川水系では本年3月に流域全体のあらゆる関係者が共同して取り組む流域治水プロジェクトが策定されており、これに基づく堤防整備や河道掘削等も進められています。

(中森辰一議員)
 最近川の様子を見て気になったことがあるので聞いて行きます。護岸がしっかりしていても、川の容量を超えることの雨が降ると、水が堤防を越えて洪水が発生するだけではなく、護岸の崩壊を招くということは、最近の洪水の状況を見てもよくわかると思います。それへの対策として、堤防を高くするなども当然考えられますが、かなりの資金がいりますし時間もかかると思います。
 洪水に対応する方策の一つとして、既存の河川の断面積を大きくするということがあるんじゃないかと考えていて、川幅を大きく広げることは大変難しいと思いますが、同じ川幅で川底を深くするとか、場合によってはいま河川敷があるところもありますけど、そういうものも必要に応じて変えて、そこから川底を深くするといったようなことも必要になるんではないか。
 それほどやはり近年の水量は非常に増えていると思います。さしあたっては川底を深くしていくということもありうると思うんですが、その点についてはどうでしょうか。

(砂防事業推進担当課長)
 ご指摘の通り、河床掘削による河川断面の拡大については、洪水を抑制する上で効果的であり、これまでも主に太田川や三篠川において国県が実施してきたところでございます。

(中森辰一議員)
 3年前の豪雨災害の時に、私も護岸が崩壊したところを見に行きましたし、その上流の方も見に行きましたし、団地の被災箇所も随分と見させていただきました。
 その時瀬野川で流れの間にずいぶん砂が堆積をしていて、浚渫が必要ではないかというも上がっていました。
 最近は私は見に行ってないんですけど、浚渫はしたんですか。

(砂防事業推進担当課長)
 瀬野川については、平成30年7月豪雨災害を受け、河道内に堆積した土砂の浚渫を行っていると河川管理者である県から聞いております。

(中森辰一議員)
 また見に行きたいと思います。今広島市内の川で一番大きな太田川放水路ですが、これも同じように何年もの間に豪雨が繰り返されてきました。川底にだいぶ砂が堆積しているように見えます。例えば己斐橋の前後では、岸に近いところにずいぶん土砂が溜まっているのが橋の上からも確認できます。川は十分に断面積を確保されて、初めてその役割を果たすことができると思います。
 これは市民の安全に関わる事です。太田川の土砂の堆積状況について、その実態を広島市が把握しておられるのかどうか。太田川は十分に川の断面積は確保されているということなのかどうか。分かっていることを教えてください。

(砂防事業推進担当課長)
 国においては、放水路を含む太田川全体を対象とし、毎年度場所を移しながら定期的に河川断面の調査を実施しています。この間においても、出水後の点検や河川巡視等により調査を行っており、この度の大雨についてもこうした調査結果を踏まえ適切に対応すると国から聞いています。

(中森辰一議員)
 全ての国に教えてもらうという状況なのかと思います。
 前に予算特別委員会で、佐伯区の岡ノ下川の下流で、満潮の時には電車が水の上を走ってるような状況の写真も示して、こういう状況だと言ったことがあるんですけど、地元ではいつ越水するか心配しておられるということを取り上げました。
 あの時に、土砂の堆積があって、浚渫する必要があるんじゃないかと地元の方はおっしゃっておられましたが、あそこは汽水域の範囲に入っているので、海が川の流水を吸収するから大丈夫だと県の言い分を紹介したことがあったと思います。
 ただ、そうだとしても川の水位が海の干満に関係のないところでは、やはり土砂の堆積が心配もされる可能性があると思いますが、その点はそういう風に理解してよろしいですかね。

(砂防事業推進担当課長)
 通常、河川管理者は議員ご指摘のような事態にならないように必要に応じた適切な対策を講じており、県管理の岡ノ下川も同様であると考えています。
 なお、本市に土砂の堆積を心配する市民の声を頂いた場合は、現地確認を行った上で、河川管理者に情報を提供していきます。

(中森辰一議員)
 次に、今年7月の豪雨で西区でも土石流災害が発生しました。その中には市民の住居に甚大な被害を起こしたものがあります。今回の豪雨で住居に被害を及ぼした土砂災害の箇所いくつあったんでしょうか。

(砂防事業推進担当課長)
 このたびの大雨により被災した住居は9月17日正午時点で罹災証明の交付を受けた者が84棟であり、本市へ撤去依頼のあった民有地内への土砂等の流入は9月22日時点で256件となっています。

(中森辰一議員)
 この発生箇所は何か所になりますか。

(砂防事業推進担当課長)
 土石流の発生箇所については、手持ちの資料がありませんので後ほど回答させていただきます。

(中森辰一議員)
 私が聞きたかったのは市内で災害が何か所で発生したかということです。あとで教えてください。
 いずれにしても、今回西区だけでなく、安佐南区でも発生していました。
 今回の豪雨で土石流対策のための砂防堰堤が設置されていたり、がけ崩れ防止対策が施されていたところでは被害が防がれたところが多かったんではないかと思うんですが、どういう認識ですか。

(砂防事業推進担当課長)
 国が4基、県が3基の合計7基の砂防堰堤で被害を防ぎ、あるいは被害拡大の抑制につながり、また市及び県が施工した急傾斜地崩壊防止施設においてはがけ崩れがなかったことから、防災減災効果を発揮したと考えています。

(中森辰一議員)
 砂防施設をきちんと整備しておくということが非常に重要だと思います。今回の豪雨で土石流災害が発生したところ、ここは表面は復旧が大事なんですけども、今後同じところで災害が発生しないように防災施設を設置する必要があります。
 この問題は今回でも本会議で2人が取り上げましたが、市としてこの点についてはどのようにお考えですか。

(砂防事業推進担当課長)
 砂防堰堤の整備は土石流が発生し被害のあった箇所が考えられますが、整備箇所の判断は事業者である国県でなされるものであり、現時点で本市の立場で箇所を申し上げることは困難です。
 また、急傾斜地崩壊防止施設の整備については一定の条件のもと土地所有者等の要望に基づき公共が施工するものであり、現時点で要望を受理しているのは一箇所でございます。

(中森辰一議員)
 問題はやっぱり危険なところを市としては認識しているし、県もここはレッドゾーンですとかいうかたちで指定しているんですよね。
 どういうところにどういうものを作らなければいけないのか、これは行政として市も県も把握しているはずだと思います。これがなかなか進まないのは、もしかしたら地元の方から設置要望がないということなのかどうか。そうだとすると、設置の要望を出して頂けるような働きかけが必要なんじゃないでしょうか。その点はどういうことをやっていますか。

(砂防事業推進担当課長)
 危険な箇所については、市内全域については令和元年の12月に広島市内全域において土砂災害警戒区域等の指定をして住民の方に危険な箇所については周知しております。またそういった対策について求める声については市のホームページ等で周知をさせて頂いて、分かりやすいホームページの作成に取り組んでおります。

(中森辰一議員)
 今回も土石流が発生したということがありますが、こういうところを含めて、例えば砂防堰堤の設置を考えていくということになるのだと思います。
 ここへ砂防堰堤を作ってほしいという地元の要望が提出された場合に、やはり今回そういうものが発生したところが優先的に設置されていくという段取りになるのかどうか。

(砂防事業推進担当課長)
 被害があった箇所のうち、公共事業の条件を満たすものについては、土地所有者等の要望に基づき、優先的に公共において整備します。

(中森辰一議員)
 先日の中国新聞の報道を見ますと、県内で5箇所を緊急に県が国の補助を得て砂防堰堤の整備をするということが出ていました。その時に、例えば今回の西区の田方3丁目、己斐上5丁目、ここは土石流が発生して住家に大きな被害をもたらしたということで、ここも国として緊急に検討を進めていくという記事でした。己斐上3丁目、ここは実際に被害があったのは1軒だけでしたが、ここはまだ全然出てないということで、よくよく聞きますと、地元からの要望がまだ出されてないという話でした。
 しかし私が知ってる範囲では、ここはずっと以前から3箇所渓流があって、堰堤を作ってもらいたいという強い思いが地元にあるんです。しかし実際に要望書を出そうと思うと地権者の同意を得なければならないので、残念ながらこの己斐上3丁目の方はまだ地権者がたくさんいるもんですから、それを全部見つけて処理を整えるというところまでいってないとお聞きしました。
 でもここは3年前もそうですし、それ以前も繰り返し土石流が規模は小さいですが発生しているところなんです。この己斐上3丁目の指定の避難場所は地元から随分離れた学校になっています。すぐ同じところに己斐中学校があるにも関わらず、ここは避難場所に指定されていません。その理由は、土石流のレッドゾーンにかかっているからです。
 という事は、やはり早くここに設置するという取り組みしなければなりません。そういう作業が進むように、地元任せではなく市としても、地権者を見つけて書面を整えていくということが必要なら、支援をしていくなどの取り組みもいるんじゃないかと改めて思いました。その点どういうお考えなんでしょうか。

(砂防事業推進担当課長)
 急傾斜地等の対策については、個人の所有の土地であるということから、一義的には地元の人が責任を持って同意の取りまとめをお願いしてるところですが、相談があった場合については、構図等の見方など市民の方の相談に乗って、皆さんの同意が取れるような環境づくりに努めているところでございます。

(中森辰一議員)
 例えば、下水道を設置するなど市が主導して物事を進めていくような時には、やはり市で努力して地権者を見つけ出して同意をとるということをやってると思うんですよ。
 同じように行政の方で、ここは危険箇所だとか砂防施設を作る必要があるとかいうことを認めている限りは、やはりそれを早く設置できるようにしていくという方向で、行政としても地元住民と協力し合いながら早くその作業が進んでいくように取り組んでいく必要があるのではないか。
 この100年ぐらいの広島の土砂災害の発生状況を見ていますと、広島市に関わるところでは私の記憶では新しいところが22年前の6.29災害でした。この時32人がお亡くなりになりました。それより以前だと、戦前の大正15年までさかのぼります。それ以外に広島市がかかわる災害はなかったんです。でも22年前からそれ以降、8.20災害が発生しました。そしてそのわずか4年後にあの西日本豪雨災害が発生しました。
 そして今回規模は小さかったけれども、3年後に発生したということで、災害が発生するサイクルがどんどん短くなってきているのはよくわかると思います。今年もまだ台風の被害が発生するかもしれませんが、毎年こういう重大な災害が発生する可能性は年々高まってきているということを考えると、防災施設の整備はできるだけ急いで進めていく必要があります。
 その点で先ほど申し上げたように、住民任せで要望をあげさせていくということじゃなくて、ここは必要なんだということを住民に対し知らせていく、働きかけをしていく、要望を出させていく取り組みがいると思います。努力をしている地元でも、なかなか地権者の同意が集まらないから要望書の提出に至らないというところは、行政の方も地権者を見つけるということは行政の方が経験もノウハウもあるので、協力していきながら、できるだけ早く必要な箇所に砂防施設が設置できるように取り組んでいただきたいなと思いますけ。その点についてお答えをお願いします。

(砂防事業推進担当課長)
 砂防堰堤の整備については、国土を保全し、市民生活の安心安全を支える極めて重要な施設であるから、砂防法において県及び国において行うものとされています。
 本市としては、毎年の要望はもとより災害発生時にも機を逃すことなく国に要望しております。また急傾斜地崩壊防止施設の整備については、県に対して補助金の増額や、県事業の更なる推進を要望をしており、本市の予算についても令和3年度の当初予算はこれまでで最大の11億1000万円となりました。
 また、住民への周知についてもホームページ等で分かりやすいような体系に今年リニューアルさせていただきまして、市民が本市に相談しやすいような環境作りに努めてまいりました。今後も引き続き本市に相談しやすいような環境づくりに努めてまいりたいと思っております。

(中森辰一議員)
 広島市もたくさんの危険箇所を抱えています。災害が発生する可能性というのはどんどん高まってきているのが現状です。そういう中で、危険性もありしかも発生すれば住民に被害が及ぶところには1日も早く必要な防災施設、砂防施設が設置されるようにしていくこと、そのために住民に知らせるだけでなく、予算も増やしていく必要があります。ただ予算ををつけようと思っても、実際にそこで事業をやるということにならないと予算はつかないわけですから、事業をやるということが決められるような取り組みを進められるように行政としても積極的に取り組んでいただきたいということをお願いして終わります。