議会での質問・答弁

2021年03月10日

2021年第1回 2月定例会・予算特別委員会 経済観光環境関係 藤井とし子議員

1.大規模風力発電(仮称)広島西ウインドファーム事業について
2.有機農業について

1.大規模風力発電(仮称)広島西ウインドファーム事業について

(藤井とし子議員)
 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどから山の話が出ておりましたけれども、中心市街地はかなり賑やかに開発を色々やられてるんですけども、周辺の安佐南区、安佐北区、佐伯区など、山が一体どうなるんだろうかと私自身は非常に不安に思っています。開発事業者が山に入れば、儲けるために産廃処分場などをどんどん作ったり、今これから申し上げます発電業者も開発のひとつです。
 私の家の近くでも、安佐動物園まで歩いて行けるんですけども、産廃業者がおり、動物園の周辺になると産廃が両脇に積み上げているところを通ることになるんです。ハイキングに行こうと思っても、そういう状態で本当に悲しくてなりません。そういう思いを込めながら質問したいと思います。
 まず大規模風力発電(仮称)広島西ウィンドファーム事業についてです。再生可能エネルギーの普及拡大は、地球温暖化防止対策の観点から必要だと思います。しかし、大規模な風力発電の中国山地への設置には問題が多すぎることについて、昨年9月議会の経済環境委員会でも取り上げてきました。
 今、国が洋上風力発電を推進しようという時になぜ、事業者がこの中国山地、とりわけ広島県を選んだのか。湯来の住民の方からは不安の声も上がっております。昨年8月には、議会に対して事業に反対する陳情も出されております。
 改めて、この事業計画の概要を簡単に私から説明いたします。この資料は、2月14日に湯来西公民館で行われた学習会で聞いてきたものです。
 これは日本地質学会会員の越智秀二さん。防災士でもあります。中国山地を災害時にくまなく足で歩いて、この山地の状況を知り尽くした方です。その方の承諾を得まして、この資料を使わせていただきます。
 ここが、今予定されております地域です。これはちょうど湯来の街が下にあります。そして冠山、十方山、そしてもみの木森林公園があります。そういうこの中国山地の中でも1000メートル級の山々が連なっているところに、風力発電計画が行われようとしているわけです。
 その範囲はこういう風になるんですけれども、この事業者は日本電源開発株式会社、Jパワーです。水力、火力発電のほか今全国24カ所で風力発電を展開しております。この計画は、15万4,800キロワット、国内で最大規模です。対象区域は安芸太田町、廿日市市、広島市佐伯区湯来の3地域の広域にわたる2,700ヘクタールのうち、風力発電設置想定範囲の面積は940ヘクタールとなります。
 山の尾根部に高さ150メートル、リーガロイヤルホテルの高さの風車が、山の頂上付近に36機建設が予定されています。それと合わせて、取り付け道路とは別に、各風車をつなぐ幅4メートルの道路も尾根沿いに約25キロメートル作る大開発計画です。現在は事業者である電源開発株式会社による環境影響評価手続きが行われています。
 そこでお伺いいたします。この大規模風力発電事業は現在どのような段階にあるのかお答えください。

(環境保全課長)
 現在、環境影響評価法及び電気事業法に基づく環境影響評価方法書手続きが行われております。この環境影響評価方法書の縦覧が、本年1月26日から2月25日まで行われ、その期間中に事業者による説明会が本市域内において2回開催されております。また、この手続きでは住民などがこの事業に対する意見を事業者に提出することができ、その期限が3月11日とされています。今後本市は県知事からの求めにより環境影響評価方法書について環境の保全の見地からの意見を述べます。

(藤井とし子議員)
 環境影響評価方法書に対する市の意見を述べられておくということですが、私もこの事業についていろいろ調べてみたところ二つの問題があると考えています。
 まず一つ目は、この風車の稼働によって発生する超低周波音による健康被害についてです。この図でも示したのは、湯来温泉から見た風車群のフォトモンタージュです。多分こういう位置にできるのだろうということです。
 これが蛇ノ谷川です。蛇のつくところは名前を聞いただけでも、非常に危険な谷川、河川だということが分かるんじゃないかと思います。
 この風力発電そのものの構造ですけれども、約18メートル四方の土台があります。そして18 メートルほどの杭を24本、山の尾根に打ち込んで建てるそうで、そのためにいろんなことが想定されるわけです。
 まず、超低周波音の被害というのは、デシベルとは違って、100から200ヘルツの波数、低周波というそうです。20ヘルツ以下が超低周波音というそうで、実際には音としては聞こえない空気振動で、一般的には音が外耳から入って中耳へとつながるんですけども、この超低周波は外耳ではなく、外界から骨伝導を介して内耳に直接伝えられる状態になるそうです。
 健康被害としては、耳が詰まりを感じたり、頭痛、それから不眠障害、息苦しさ、イライラから失神まで、本当にたくさんの症状があるそうです。
 風車の周辺の建物の状況についてお伺いしますが、本市に建設が計画されている風車から住宅までの距離はどれくらいあるのでしょうかお答えください。

(環境保全課長)
 環境影響評価方法書におきまして、湯来地域では風力発電機設置想定範囲から1キロメートル未満の距離にある住居等の建屋は152とあると記載されております。なお500メートル未満の距離に住居等はないとされています。

(藤井とし子議員)
 湯来地域でも1キロメートル以内という近いところに住宅が152もあるならば、被害が生ずる可能性があるのではないでしょうか。事業者の方法書の説明会に私も行きましたが、低周波音については一応調査はするとしております。調査はすると言いましたが、これは個人的な受け止め方の違いだというような言われ方もされております。
 そこでお伺い致します。全国各地の風力発電施設で超低周波音による被害が報告されていますが、環境省はこの超低周波音の被害について、どのような見解を示しているのでしょうかお答えください。

(環境保全課長)
 環境省は、風力発電施設から発生する通常人には聞こえないとされる超低周波音による健康影響について、現段階では明らかな関連を示す知見は確認できないという見解を示しております。

(藤井とし子議員)
 環境省は、超低周波音というのは健康被害とは関係がないということでした。しかし、実際には国内外で超低周波音による被害が各地で訴えられています。諸外国では規制も進んでいることも言われております。ですから、湯来においても地域に超低周波音による被害が及ぶようなことがあれば、過疎化や人口減少などの影響が心配されると思います。
 そこでお伺いいたします。風力発電施設からの超低周波音による影響について市はどのように考えておられますか。

(環境保全課長)
 環境影響評価方法書において、事業者は、事業計画地周辺に住居等が存在し、風力発電施設の稼働に伴う超低周波音の影響のおそれがあるとしまして、これを環境影響評価項目として選定し、今後調査予測評価を行うこととしております。
 本市は、環境影響評価方法書手続きの前に行われた計画段階環境配慮書手続きにおきまして、超低周波音に関する意見を述べておりますが、地域住民等からも懸念の声が寄せられていることから、超低周波音についての調査予測評価が適切に実施された上で、住民等への影響が極力回避される事業計画となるよう意見を述べていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 調査をするよう意見を上げられたということですが、低周波被害を研究されている小林芳正という科学者の方によると、低周波音の敏感者、誰でも感じるものではなくて、敏感な方に特に現れるということで、1~3%ぐらいはいると推測されています。たいていは発症までの潜伏期間があるので、長時間にわたってみれば敏感者はもっと多いだろうということです。
 ですから、環境省が公害と認めていない現状では、湯来でも地域に超低周波音による被害を訴える人が出ても、何ら対応されないということになるのではないかと心配します。
 先ほど言いましたように、この地域に住むことを諦めたり、出ていくということまであるのではないでしょうか。こういう影響も否定できません。このことだけ取っても、この計画は撤回させる以外はないと思っております。
 そして二つ目の問題は、自然環境への影響、森林開発工事が土砂災害を誘発しかねない問題です。
 そこで資料を見ていただきますが、この地域、冬場は凍結する、そして春先は落石がとても多いところです。潜在的な土砂崩壊の危険性を持った地域だということです。
 ここに風力発電を36基も建設する工事は、この地域に甚大な災害をもたらすことが懸念されております。今回新たな地域が追加もされました。さらに地域も拡大していくかもしれません。
 世界でも日本でも事故は起きております。こういう事故についても今回方法を教えては評価対象にはなっておりません。
 これは日本の例です。台風20号で淡路島の風車を国が調査をした倒壊現場の写真です。南海トラフ地震も近くあるという中で、これも心配されるところです。
 豪雨災害についても見ていきます。近年、豪雨の回数が増加していることは皆さんもご存知と思います。時間雨量50ミリ以上は1976年から1985年までは平均174回、それが2004年から2013年までには平均241回。80ミリ以上は67%増加しています。危険な状態の上にさらにこういう気候の変化という問題に、中国山地がさらされているのです。
 広島西ウインドファーム計画地と、土砂災害危険箇所についての図です。
  土砂災害の発生が想定される場所、これがそれぞれ182箇所と160箇所。立岩ダムの近くですねこちらが189箇所。合わせて531箇所。これが危険土砂災害の心配される渓流です。湯来地域に限ってみたら189箇所です。冠山の周辺です。ここが善福寺というお寺のあるところです。
     

 もともとこの地域は土砂災害の大変多い地域です。その山の上を造成すれば、土砂災害の危険性はさらに上がるだけです。風車の建設工事は標高800から1000メートル付近の尾根部分の木を切り 開くわけです。尾根を守るのが普通のやり方ですが、尾根部分を切り開いたら、災害の原因になるというのが専門家の指摘です。
 風力発電の基礎は18メートル四方で、深さ18メートルの杭を24本設置する計画です。一期工事あたり50平方の土地を造成して、掘削土砂量は一か所でほぼ一トン。風力発電同士をつなぐ道路は4メートル以上とされ、尾根部を中心に建設します。
 ですから、少なくとも25キロメートル、掘削土砂量は20万トン以上になると考えられております。
 この赤いところが尾根であります。この尾根伝いに36基を立てて、それをつなぐ道路を作るというんですから、尾根部が開発されていくということです。
 越智先生も、工事で岩盤を掘削する場合、大きな振動で樹木の根が浮いて、むき出しになった岩が冬場の凍結して亀裂が拡大する。道路を伝って山の中に新たな水道(みずみち)ができて、思わぬところに崩壊を起こしやすくすると工事の問題点を指摘しています。
 これをちょっと見て頂きますと、先ほど言いました善福寺から見た予定地です。これが先ほど言いました蛇ノ谷川の水系です。ここの部分を見ていただくと、いろいろな谷の河川が集まって、善福寺周辺のところに流れ出るのだという危険を指摘されています。
 これが、善福寺のところに石塁というのができていまして、土石流堆積物を利用して作られたものです。19世紀前半頃にできたと言われています。ですから、昔から蛇ノ谷川には何度もこういう土石流災害があったということを示しております。
 これがもう一つそのもう少し奥のところ。打尾谷石垣群というんですが、この石垣も土石流で起きた石を積み上げて築いたものです。
 今豪雨災害が非常に心配をされているんですけれども、これは安浦町市原地区の土石流。2018年ですから、この間の西日本豪雨災害です。頂上付近から下までは大体7、800メートル。湯来で言えばそのぐらいになります。こういう頂上付近から麓のところに土砂が集中していくということは直近でもあり得ることです。
 また、越智先生が言われるには、この湯来の蛇ノ谷川周辺を地質的にみた場合、安佐南区八木の土石流災害現場と本当に似ているそうです。八木でも、時間雨量80ミリメートル以上の豪雨により、ホルンフェルス化した堆積岩類が、この斜面崩壊を起こしたといいます。
 これは落差約300メートルの土石流が流下したことです。ですから打尾谷周辺についても同様な心配をされるということは当然ではないかと思います。
 災害への懸念について述べてまいりましたが、何もしなくてももろく崩れやすい上に、こうした土地改変をするわけです。前回、計画段階の配慮書の手続きに対して、市は一度意見を述べておりますけれども、この災害の懸念については述べていらっしゃいません。理由はなぜでしょうか。

(環境保全課長)
 環境影響評価手続きは、対象事業に係る環境の保全について適切適正な配慮がなされることを目的とした手続きでございます。県知事から求められる意見は、環境の保全の見地からの意見となります。このため前回の計画段階環境配慮書手続きにおいて、本市は県知事に対して環境の保全の見地からの意見を述べたものです。

(藤井とし子議員)
 地域特性を踏まえた環境配慮が行われるよう言われているわけですので、今度は方法書になります。どんな方法で評価をするか言う事が出されています。そのことについてもしっかりと意見をあげていただきたい。
 事業者の説明会に私も参加をしましたが、災害に対する評価が抜けていることに気づきました。
 評価の方法書の説明部分です。これを見てもらいますと、地形改変及び施設の存在に対する影響、これは×になっていて、これを評価の対象にはしておりません。
 なぜかということなんですけども、ここに書いてありますように、地形及び地質対象事業実施区域に学術的に重要な地形及び地質がないためと最初から結論付けて住民に説明をしているのです。本当にそれが妥当な判断なのかというのが全くわかりません。越智先生なども、地質学的なきちんとした調査が行われずに、問題ないとされるのではないかということが非常に心配されています。
 先ほども言いましたけども、湯来の問題で言えば、環境影響評価そのものは、動物などの環境には評価の重点を置きますけれども、災害など人の安全に対する評価が対象にされないという問題があることを指摘しておきます。
 こうした地域に大規模風力発電計画を進めて、土砂災害は絶対に引き起こさないと言えるのでしょうか。また、湯来地域と市民の命を守る立場で、独自に地質や地震、土砂災害などの調査検討を行い、その結果を踏まえて県知事への意見を述べるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

(環境保全課長)
 環境影響評価法においては、環境の保全に関する項目が調査予測評価の対象とされておりまして、災害や事故の発生についてはその対象とされておりません。地震、土砂災害などに関する調査検討は環境影響評価とは別に、事業者において適切に実施され、事業計画に反映されるべきものと考えております。
 また、土砂災害の防止などの事業による安全面の審査につきましては、今後、開発行為などに係る各種許認可手続きにおいて実施されることとなります。
 なお、本市に対して地域住民等から災害に関する懸念の声が寄せられており、そうしたことも念頭に置きながら、今後環境影響評価方法書について意見を述べたいと考えております。

(藤井とし子議員)
 しっかりと意見を述べて頂きたいと思います。
 もう一つあったんですけども、山に25キロメートルの道路をつけて行くということがどんなに危険かということですが、これは鞆の浦スカイラインの崩壊現場です。道路から法面へと崩壊していくところです。
 これは呉娑々宇山です。道路から崩れて、下の方に被害を与えている現場です。
 これは野呂山の道路の崩壊現場です。道路からもう崩れていく。水が本来行くべきところに行かずに、水が集まって谷を下っていくのです。
 こういうことがあちこちに起こった時に、本当に業者は対応されるのかどうかもはっきりしていないと言われますので、引き続き見ていきたいと思います。
 市民の命を守る立場、湯来地域の自然をしっかり守る立場で当たっていただきたい。この素晴らしい冠山周辺の自然は、山が、森があるから、水内川の清流が守られているんだと地域の方も言われます。水内川が土砂で埋まれば洪水に繋がる。そして湯来地域の人たちはこの間何度も洪水を経験していて、怒っていらっしゃることも伺いました。
 ぜひこのことについて、引き続き市民を守る立場で当たっていただくことを要望しておきます。

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2.有機農業について

(藤井とし子議員)
 次は農業問題です。環境にやさしい持続可能な農業として期待されるのが有機農業です。化学肥料や農薬を使用しない有機農業の普及・推進を私も要望してきました。
 国連では2014年、国際家族農業の10年を延長して、2019年から28年までの10年間を国際家族農業の10年とすることを決議しました。日本も共同提案国になっています。つまり国連は、世界中で営まれている様々な農業の中で、企業農業や大規模経営ではない、家族単位で営まれる小規模な家族農業を支援するということであります。
 この農業はSDGsに沿った、エコロジカル、つまり自然と環境と調和した農業です。持続可能な社会達成のために最も重要な要素は、10年単位で政策的・財政的に支援をしようという世界の大きな動きが起こっているのです。
 生活と生産が一体の家族農業は、地域に根ざし、化石燃料や化学肥料・農薬を使わず、新鮮で滋養豊かな多様な作物を作る。地球環境に優しいアグロエコロジーというのですが、これに挑む力がある。その担い手は、技術革新や企業参入ではなく、家族農業だということを強調されます。安心安全な国産の食べ物を子や孫に、と消費者の願いとも合致します。これまでの日本の農業政策の大転換が求められているわけです。
 そこでお伺いいたします。本市は環境にやさしい農業として、化学肥料や農薬の使用を低減するエコファーマー認証制度や、栽培方法の普及に努めていらっしゃいますが、化学肥料、農薬をしない有機農業はなぜ進まないのかお答えください。

(農政課長)
 有機農業とは、有機農業の推進に関する法律において、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷を出来る限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業と定められています。
 しかし現状において、有機農業は病害虫による品質や収量の低下が起こりやすいこと、多くの場合は生産コストの大幅な増加が伴うなど様々な課題があり、特に化学肥料や農薬を全く使用しない農産物を生産することは、技術の難易度が非常に高く、本市で採用する農家はほとんどいない状況です。

(藤井とし子議員)
 ほとんどいないと答弁をされてましたが、実際の世界の状況を見てみますと、これは2016年度で耕作面積に対する有機農業の取り組みの面積割合を示したグラフです。出典は「農林水産省有機農業をめぐる我が国の現状について」からですけれども、有機農業は消費者の健康志向の高まりと、SDGsの目標達成に貢献できるとして注目されており、世界中で様々な取り組みが行われています。
 世界の有機農業の取組面積のなかで、今日本はわずか0.2%です。消費はどうかと言いますと、これはスイスが一番で270ユーロですけども日本は8ユーロ。スイスは日本の34倍です。 難しいと言いながらも、世界ではこうした動きがあるので、やれないことはないと思うんです。
 来年度の事業で、農業の多様な担い手の育成事業があります。家族農業でも可能な有機農業について、支援さえあれば希望する農業者もいると思います。また、全国的に有機農業を希望する人が若者を中心に増えてもいます。就農支援や技術支援を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

(農政課長)
 有機農業を希望する方には、有機農業を行いやすい環境の農地のあっせんや、有機農業に必要となる技術情報の提供などの支援を行っています。

(藤井とし子議員)
 ぜひ支援を行っていただきたい。今、未来を担う子どもたちの学校給食を中心に、有機農業が全国で広がっています。若いお母さんをはじめ有機の給食を望む声も広がっています。来年度は国で、学校給食の有機化に向けて、1億5,000万円と昨年度の1.5倍の予算が付けられているわけですけれども、地場産の有機野菜の学校給食への活用が望まれます。こうした国の予算も活用して、今後子どもたちのため、安心安全な有機農産物の給食への使用が進むようにするためにも、広島市の農業方針に有機農業推進を位置付けるべきだと思いますがどうでしょうか。

(農政課長)
 本市では、環境にやさしい農業として、一般的な栽培基準よりも化学肥料や農薬の使用を低減した農家のエコファーマーとしての認定などを進めています。先ほど答弁した通り、有機農業の希望者には農業生産技術指導を行うこととしており、そうした取り組みにより、安全安心な農産物の生産を進めてまいります。

(藤井とし子議員)
 ぜひそのことを大いに宣伝をしていただきたい。私自身も化学肥料も農薬も使わないで、できるわけないと思っておりましたけれども、今日本の有機農業の技術は本当に進んでいて、土づくり、土壌を重視するというやり方なんです。土の中の微生物というのが注目されていて、微生物を上手に活用すれば、化学肥料は使わなくてもいいんです。使えば土壌が悪くなり、菌を殺してしまいます。まったく逆の発想と言うか、微生物を生かした農業というのが有機農業です。農薬ももちろん使わなくてもやっていける。私も直接取り寄て実際に食べてみたりしています。やり方によってはこういうものを普及することは可能だと思うんです。
 農水省も昨年11月に緑の食料システム戦略というのを出しました。今、日本は農産物輸出拡大が看板政策なんですけど、輸出輸出と言いながら、実際には日本の農薬漬けの農産物では受け入れられなくなっているんです。農薬の規制緩和から今政府は大転換を迫られているということを改めて感じるところであります。
 日本政府は昨年11月に、2050年までに有機農業面積を25%にするという方針を打ち出しました。農薬も5割減、化学肥料3割減、これは評価しますが、どう実現していくかといった時に、推進するためにはやはり地方自治体がどう動くかということが重要になります。
 学校給食の有機化や、地域での市場をどうつくるか。また地域の協力や住民をどう参加させるかということが、今地方自治体に求められている重要な役割だと思います。
 文教関係でも言いましたが、もうすでに愛媛県今治市や東京都世田谷区、千葉県いすみ市では、学校で使う米は100%有機化。有機米を学校給食で実現しているんです。農薬を使わないお米を子どもたちが食べられるという、本当に素晴らしい取り組みを行っています。
 ですから、今日本の政策では輸出は無農薬・有機をやって、日本の子どもたちには農薬の農産物を食べさせるということになりかねないわけです。今日本の有機農業の技術革新は進んでいます。この有機農業推進に力を入れていただきますよう要望して終わりたいと思います。

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