議会での質問・答弁

2021年02月19日

2021年第1回 2月定例会・予算特別委員会 総括質問 近松さと子議員

1.核兵器廃絶について
2.新型コロナ感染症対策について
①事業者支援について
②検査について
③医療従事者の支援について
3.第8期広島市高齢者施策推進プランについて
4.保育について
5.ジェンダー平等と第3次広島市男女共同参画基本計画について


1.核兵器廃絶について

(近松さと子議員)
 日本共産党市議団を代表して総括質問を行います。
最初に、核兵器廃絶についてお聞きします。
 従来の考え方の枠組みが大きく転換する激動の時代が始まりました。世界と日本の歴史は大きく変わろうとしています。新型コロナの感染拡大によって、効率最優先でケアを軽視する新自由主義の脆弱性や開発を進めて環境を破壊する資本主義の限界が明らかになりました。ジェンダー平等に向けて、もはや後戻りのできない流れも生まれています。
 そして、核兵器禁止条約の発効によって「核なき世界」に向けての第一歩が踏み出されました。
 広島と長崎に原爆が投下されてから76年目になる今年の1月22日に、核兵器を違法とする禁止条約が正式に発効しました。この日に合わせて被爆者をはじめ市民がそれぞれ平和公園に集い、さまざまな催しが企画されて喜びを表現しました。
 長い苦しみの中で、核兵器の禁止を訴え続けた被爆者の声に市民社会と世界がこたえ、人類史上初めて、核兵器が国際法で禁止されたのです。米国を先頭とする核保有5大国は、共同して条約に敵対し妨害もしましたが、途上国を含む多くの国ぐにがその圧力をはねのけ、条約の批准に至りました。昨年の国連総会では、130か国が核兵器禁止条約促進決議に賛成し、禁止条約への支持を広げていることは、大きな意義をもつものです。禁止条約は参加していない核保有国に対して法的拘束力はありませんが、核兵器は「悪魔の兵器」として、使用するものは「無法者」の烙印を押されるという事実上の拘束力を持つことになります。「核兵器は違法である」という国際規範を私たちは手にし、世界は新たな段階へと入るのです。
 ところが、唯一の戦争被爆国である日本の菅首相は、1月22日参議院本会議で米国の核の傘に依存する安全保障政策を理由に、核兵器禁止条約に批准署名しないことを再び明言しました。唯一の戦争被爆国として情けない態度です。
 こうした態度をとる日本政府に対しては、ICANのベアトリス・フィン事務局長が、昨年10月、「日本の経験を考えると、日本が核兵器を合法のままにしようとしていることに失望している。日本は核兵器がどういうものかをよく知っているが、条約を支持しないことで、政府は同じことが再び起きるのを許そうとしている。」と厳しく批判をしています。米国の核の傘に依存する核抑止論とは、米国の核兵器をいざとなれば使ってもやむを得ないという考え方です。「二度と同じ体験を他の誰にもさせたくない」という被爆者の願いとも相反するものです。
 国際法で核兵器が違法化された今、改めてお聞きします。核兵器が使用されたことによる破滅的な代償を誰よりも知っているはずの被爆国日本政府が、核兵器を使うことも核兵器が合法のままでもよいとする態度をとっています。被爆地の市長として、日本政府の態度を許されるのでしょうか。

(市民局長)
 日本政府は、唯一の戦争被爆国として、核廃絶というゴールは共有しているとしながらも、核兵器禁止条約への対応については、日本のアプローチと異なることから署名は行わないという、従来からの方針を維持しています。
 しかし、この度の核兵器禁止条約の発効は、核兵器はいらないという市民社会の声が世界の潮流になっていく、その大きな転換点であると考えています。このことを見極めていただくため、日本政府に対し、昨年11月、広島・長崎両被爆地、及び平和首長会議国内加盟都市会議の総意として、同条約の締約国となるこど、そして締約国となるまでの間、当面は締約国会議にオブザーバーとして参加し、核保有国と非核保有国の橋渡し役としてリーダーシップを発揮していただくよう市長が長崎市長とともに要請しました。
併せて、こうした政府の取組を支援してもらうため、各政党の党首や核兵器廃絶に係る議員連盟の代表者に対しても、一刻も早い同条約の署名・批准に向けて、国会での活発かつ建設的な議論を行っていただくよう要請したところです。

【再質問】
(近松さと子議員)
 市長の答弁は、私のジェンダー平等に対して答えていただけるのかなと淡い期待をしておりましたが、少し残念でございました。副市長さんがおられる前にして言うのもなんですが、一人の副市長さんぐらい、女性の方を登用するというぐらいの意欲・態度を持っていただければということを思いました。
 ちょっとお聞きしたいことがあります。核兵器禁止条約のことについてですが、広島市が国に対して核兵器禁止条約に入ってほしいと働きかけるということについては大切なことで必要だとことだと思うんですが、私が申し上げたかったのは、入らないと言われる日本政府の考え方のもとに核抑止論があるんじゃないかということです。
 核抑止論というのは、核兵器を使うぞと脅すことです。被爆国日本政府が、保有や使うことを前提にした核抑止力の立場に立つということは、やはり道義的にも許されないと思うんです。もう使わないと言われるのなら、それこそ核兵器はもう必要がないということになります。ですから、核の傘から出るということを進めていくべきだと思います。
 被爆者は、他の誰の頭上にも、二度と再び核兵器の惨禍を繰り返してはいけない、と命を削って繰り返し繰り返し世界に訴えてきて、それで核兵器禁止条約が実現したわけです。やはりその願いと相容れないのではないかと思います。
 改めてもう一度お聞きします。日本政府が核兵器の非人道性というのを認められるんでしたら、核兵器を使用する可能性は容認できないんじゃないかと思います。日本政府に、核抑止の立場と決別するということを求めるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

(市民局長)
 核兵器の非人道性を踏まえれば、核抑止論というものは当然成り立たないと思っております。そのたびに、昨年11月に要望した際におきましても、核兵器の使用は人類の存続を脅かすものであり、人類が核兵器と共存することは決してできないと申し上げております。
 ただ残念ながら、我々は国の政策に直接関与することはできないわけでございます。我々としましては、この要望を政府にも行いましたし、各政党にも行っております。こうした被爆地の思いを誠実に受け止めていただいて、国政の場でしっかり議論していただきたいと願っているところでございます。

2.新型コロナ感染症対策について①事業者支援について

(近松さと子議員)
 新型コロナウイルス感染症の対策についてお聞きします。
 第一に、事業者への支援についてです。
 新型コロナウイルス感染者の国内感染確認から1年がたちましたが、現在、国は2度目の緊急事態宣言を10都道府県に発出しています。昨年12月には、広島市も第三波の感染急拡大を経験し、東京以上の爆発的な感染拡大を招き、政府の分科会が緊急事態宣言の目安としたステージ4という最悪のレベルに達しました。そのため広島県は、12月12日から感染拡大防止集中対策期間を設定して、2カ月にわたって自粛がよびかけられてきました。
 飲食店への営業自粛と市民への外出自粛が要請されるなか、売り上げの減少で苦しむ中小企業事業者に直接支援を行い、地域に根ざして活動する中小業者を「新型コロナ危機でだれ一人取り残さない」支援策を構築すべきです。
 広島市の新年度予算のうち新型コロナウイルス感染症対策に関わる予算は、2月補正予算と合わせてワクチン接種事業69億円など115億円が計上されましたが、県が実施する飲食店への協力支援金と応援支援金の広島市負担分はあわせて約14億円です。一方、昨年『テナントとテナントオーナーの支えあい』の共助の事業と銘打って開始した新型コロナで苦境に立つテナントへの家賃を引き下げるオーナー補助事業30億円は、別事業へ10億円流用し今回9億円の減額補正をしようとしています。なぜ、見込み通りの利用がなかったとお考えでしょうか。

(経済観光局長)
 本事業の予算額については、コロナ禍で自らの経営も厳しい中、家賃減額を行うテナントオーナーを最大限支援するという考え方のもと、不動産関連団体等へのヒアリング結果や、類似の補助事業を実施している政令市の実績を参考に、5,000店舗、1店舗当たり最大60万円の申請を見込みました。
 申請結果としては、延べ6,389店舗、1店舗当たり約18万円となっており、申請店舗数は見込みを約1,400店舗上回ったものの、1店舗当たりの申請金額が見込みより約40万円少なく、不用額が生じたため、このたび減額補正を行うものです。

(近松さと子議員)
 さらに「飲食店だけではない」と飲食店への営業自粛要請で食材やお酒、燃料などを卸している卸し業者も収入減に苦しみ、悲鳴があがっています。国の持続化給付金や家賃給付金は、昨年12月までを対象として打ち切られました。こうした中で、庄原市では国や県からの応援金の対象にならなかった飲食店や旅館業、卸業者などに30万円の応援金を支給する予算を組みました。広島市としても飲食店以外の事業者にも独自の支援策を講じるべきではありませんか。

(経済観光局長)
 この度、県から、飲食店以外の事業者に対する支援として、「県内飲食店と直接取引があり、かつ、売上が前年比で30%以上減少した県内中小企業者に対して県が30万円を支給する制度や、外出機会の削減要請等による影響を受けた県内中小企業者を支援する市町に対して、県が事業費の一部を補助する制度を創設する方向である。」との情報提供がありました。
 本市としては、これまで、国・県・市の役割分担を念頭に置いた上で、事業者に対する直接的な支援である「公助」による下支えにも取り組みつつ、それを補完・補強するために、地域での支え合い、事業者同士が連携した「共助」による取組を支援してきており、今後、県の市町に対する補助制度の内容を確認した上で、これまでと同様の考え方の下、この補助制度を活用した支援策について検討していきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 国に対して、中小業者への直接支援を実施・拡充するために新型コロナ地方創生臨時交付金を増額することを要請すべきです。さらに、経営難に陥っている全ての事業者に対象を拡大した第二弾の持続化給付金の再給付や補正予算で1兆円追加されたGoToトラベルの予算を飲食業・観光業などへの直接支援へ切り替えることをもとめるべきです。どのようにお考えですか。

(経済観光局長)
 本市は、国に対して、指定都市市長会と連携し、これまで、累次にわたり要望を行ってきたところであり、本年1月には、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の増額や、持続化給付金、雇用調整助成金といった各種給付金・助成金、家賃の負担軽減支援など、既存支援策の期間延長、要件緩和、再給付も含めた支援策の充実・強化などについて要望を行っています。
 引き続き、本市の経済状況及び国・県の支援策の動向をしっかり把握しつつ、国・県・市の役割分担を念頭に置きながら、感染拡大防止と経済活動のバランスに配慮し、本市の経済の回復に向けた取組を進めるとともに、適.宜、国に対する要望も行っていきたいと考えています。
 なお、国の「GoToトラベルキャンペーン」については、感染拡大防止の次の段階における有効な支援策となり得るものであり、予算は確保しておく必要があると考えています。

(近松さと子議員)
 新年度の予算を組んだ松井市長は、記者会見で「まちづくりのための施策を着実に進める」と述べ、JR広島駅南口の再整備やサッカースタジアムの建設費など建設事業費が大きく膨らみました。特に、JR南口の再整備の当初事業費の見込みは155億円だったものが、360億円に2.3倍に跳ね上がったことを議会に報告されたときは、異常な膨張ぶりに誰もが驚きました。陸の玄関口だからと強調されますが、それにしてもこんな超豪華な玄関が必要でしょうか。
 広島駅周辺では、1月末にはホテルニューヒロデンが営業を終え、すべての従業員が解雇されたと報じられました。長引くコロナ禍で倒産や休廃業が相次いでおり、仕事を失った人は増え続けています。厚労省のまとめでは、新型コロナウイルスの感染拡大による解雇・雇い止めになった人が広島県で2,000人を超えたといいます。また、広島労働局のまとめでは、県内の雇用調整助成金の申請は1月29日時点で5万6321件に上っているそうです。業種別にみると宿泊、卸売りがそれぞれ20%弱を占め、飲食は15%となっています。こうした業種は女性の従業員の割合も高く、その大半が非正規雇用で働き、仕事や収入を失っているといわれています。さらに、DV被害、子育てや介護の悩み、女性の自殺が急増し、苦境に立つ女性の実態がコロナ禍で浮き彫りになっています。広島市には、大きなダメージを受けた市民と事業者に寄り添った姿勢が求められています。今、全力を傾けるべきは、新型コロナ感染症から市民のいのちとくらし・営業を守ることではありませんか。どのようお考えですか。

(企画総務局長)
 議員御指摘の、企業の業績や資金繰りの悪化、世帯の所得減などを直接的に緩和するための諸措置など、新型コロナウイルス感染症対策の一環として取り組むべき課題については、基本的に国及び県において講じられるべきものと考えており、本市としては、国・県の動向も踏まえながら、地方創生臨時交付金を最大限活用し、「共助」の精神に基づく地域での支え合い、事業者同士が連携した取組への支援など、国や県の「公助」による下支えの補完・補強に資するような対策を講じてきているところです。
 そうした中で、この度の予算編成に当たっては、感染症対策として、国・県との役割分担の下、新型コロナウイルスワクチン接種やPCR検査の実施、社会福祉施設や飲食事業者、交通事業者への支援など、必要な措置を講じられるよう予算を計上するとともに、長期的な視点で課題解決を図るための施策を着実に実施するよう意を用いているところです。

【再質問】
(近松さと子議員)
 先ほど経済観光局長さんはGoToは必要な予算だと言われました。これは補正予算で組まれているんですから、この3月までに使おうかというような組まれ方をしているということです。私たちも、コロナが終息すれば、こういうGoToトラベルのようなことをやったらいいと思うんですけど、3月までを想定しているような補正予算、国の補正予算でGoToトラベルを推進するというのはいかがなものかと思います。それよりは、今たちまち困っている飲食店や旅館業のようなところに支援をして欲しい、そういうことで国に求めてほしいと申し上げたところです。
 今コロナが長引いておりますので、中小業者の皆さんは本当に大変です。以前も、「死刑宣告をされたようだ」と言われた事業者の声も紹介させていただきました。そういう中で毎月の家賃の固定費が大変な負担で、福岡市がやっているような、家賃補助を直接支援してほしいという要望がありましたので、そのこともこれまで求めてきました。
 市は昨年8月、テナントの家賃を引き下げるという、オーナーへの一部補助事業を始めました。30億円の予算で、9億円余ったので、10億円は他の事業に流用されたということで、補助件数が多かった割には、補助額が1件当たりが18万円で、予想より少なかったと、40万円ぐらい考えていらっしゃったのに少なかったということで、予算の1/3から執行できなかったということですけど、このオーナーが1/3は負担しないといけない、2/3を見ましょうという、引き下げる金額を、そういうオーナーの善意に頼るという仕組みであったために、やはり1/3しか予算が使えなかった。その原因はそういうところにあるとお考えでしょうか。
 続いてお聞きします。年末年始に、予算の一部10億円を活用して、実行委員会を通してすべての飲食店に一定の要件で15万円支給する事業をされました。これはいつどのように決まったんでしょうか。あの応援金の原資というのは市の税金ですよね。しかし、盛んに共助の事業という宣伝をされていますが、どこがどういうところで共助と言えるのか。私は、市民がそもそも税金を出し合っている、自治体に税金を出し合っていることこそ共助じゃないかと思うんです。ですから、その税金を使って市長が市民の不調に対して直接支援をする事業を行う、これこそ市長の仕事で、公助の役割を発揮するということじゃないかと思うんですが、そこについてのご認識をお聞かせください。

(経済観光局長)
 テナントオーナーの補助金について、補助率が3/2ということで、利用が少なかったのではないかということでございます。
 実際、いろいろ補助を受けられたテナントオーナーの声を聞きますと、例えば昨年12月いっぱいで休業検討していた店舗に減額を提案していただいて、退店回避につながったとか、対象期間が拡大されたことで更なる減額の後押しになったという声を聞いています。それから、テナント事業者からもこれまで減額に応じてくれなかったオーナーが、の額を減額してくれたということで、そういった声もたくさんを聞いております。元々の見込みは、市内の中心部の店舗を想定しておりましたので、結果的に申請店舗数の見込みを大きく上回りましたけれども、申請金額が少なくて、不用額が生じたということでございます。
 それから2点目です。12月に行いました飲食店に対する応援の関係の支援金がどのように決まったのかということでございます。
 広島市飲食店応援実行委員会、これは飲食関係団体で構成されております。そちらの方から、昨年の市の感染状況が12月以降急速に感染拡大しまして、昨年12月12日から新型コロナウイルス感染拡大防止対策というのが始まった状況下にございまして、年末年始を迎えるということで、実行委員会の方から、当時の感染経路が飲食の関係での感染が多いということを鑑みて、苦しい経営状況なんだけれども、率先して感染拡大防止に協力するのを支援してほしいという要望が12月中旬にございました。
 なおかつ、並木通りに面したところに、業界団体の方からも人を出して、ワンストップの窓口を作ると言ったような共助の取り組みをされましたので、そういったことに答えて応援金を補助として、実行委員会へ支給をして飲食店の申請を受けてそちらの方から応援金を支出するという形にしております。
 それから、先ほどの応援金につきましては、国の臨時創生の交付金を使って財源として充てております。

(近松さと子議員)
 今コロナ禍は、災害に匹敵する状況だと思います。市民に対して、事業者に対して、政治がどんなメッセージを出すのか問われている時じゃないでしょうか。先の希望と生きる勇気につながるというのが本当の支援だと思います。
 確かにオーナー制度で助かったオーナーさんやテナントさんもたくさんいると思うんですけれども、やはり市長がこれまで共助を強調されてきたんですが、誰かの善意をあてにするような共助を中心にするようなことは、もうやめたほうがいいと思うんです。
 今回の15万円の飲食店への助成も、先ほど言われたように年末年始全ての飲食店を支援して欲しい、県の支援制度は限定的でしたので、そういう事業者の声に応えて、直接支援を行われたんだと思うんです。ですから、やはり市民の願いに沿って、直接支援を行う、これが市長の役割だと思います。
 そして、私は胸がつぶれる思いがしたのが、昨年、学童保育の指導員の先生から、コロナでお母さんがパートの仕事が減って、保護者会が出しているおやつ代が払えないから学童を止める世帯があるというのを聞いたことです。それから、保護者会が「お米が欲しい人差し上げます」と機関紙に出したら電話が殺到したという話も聞きました。本当に子育て世帯にもコロナの影響が本当に直撃しているんです。
 そういう中で放課後児童クラブの基本料金の有料化を2023年からやる、そして22年からは就学援助の対象となる世帯1,000名以上の利用者を切り捨てる、こういうことを発表されている。市民に、子育て世代にどんなメッセージが届いたのか本当に考えられたことがあるんでしょうか。
 中国新聞にも、110億円の財源不足になると言いながら大型開発への投資は四年間で1,300億円にのぼると書いてありましたが、大型開発はコロナ禍でもどこ吹く風ということじゃないですか。
 やはり市民が生業で最低限食べていける、そして明日への希望が、生きていける希望が持てるような政治にするために公助の力を発揮して下さい。

②検査について

(近松さと子議員)
 次に検査についてお聞きします。
 2月17日現在、広島市の人口10万人当たり1週間の平均陽性者は2.0人となり、県の警戒基準の4人も下回りステージ1へと大幅に改善されました。そこで、お伺いします。昨年12月、ステージ4へと感染が急拡大した要因はどこにあると市はお考えですか。また、感染拡大に歯止めがかかった要因についてもどのように分析されているか伺います。

(保健医療担当局長)
 昨日の宮崎議員の御質問にも答弁致しましたが、昨年12月以降、本市において感染者が急増した要因については、東京など感染拡大地域との往来により感染した方が会食や職場で感染を拡げ、そこで感染した方から家庭内に感染が拡がり、更に家庭内で感染した方が、勤務先の高齢者施設や医療機関、事業所などで感染を拡げたことによるものと考えています。
 また、感染拡大に歯止めがかかった要因については、昨年12月以降に、広島県と連携した集中対策を実施する中で、買い物等も含め外出機会の削減など日常生活を大幅に制約してでも感染予防に協力いただいた市民一人一人の取組の成果によるものと考えています。

(近松さと子議員)
 感染症対策の切り札としてワクチン接種への期待が高まっています。安全性の確認と必要量の確保が難しいという問題があり、効果を得るまで数年かかるというのが専門家の一致した見解と聞きます。ワクチン接種事業を円滑に実施するためにも、感染のリバウンドを起こさせないことが必要です。そのためにも感染者を早期に発見し、保護する戦略的な検査が求められています。
 1月8日、ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑、山中伸弥両氏ら学者4氏が共同声明をだしました。第1項目に「医療機関と医療従事者への支援の拡充」第2項目に「PCR検査能力の大幅拡充と無症状感染者の隔離の強化」を掲げて、政府に抜本的対策をもとめました。新型コロナ感染症の厄介な点は、無症状の人が自覚のないまま感染を広げる特徴をもっていることです。そのため、感染者を早期に発見し感染を広げない積極的な検査戦略が必要です。私たちも国に対して、感染源・地域を特定した検査や医療機関と高齢者施設への社会的検査を全額国費でやるべきだと求めてきました。ようやく、国も改正された対処方針に症状のない人への検査を盛りこみ、社会的検査の実施計画の策定を自治体にもとめています。
 広島市民病院では、2回目のクラスターが発生したと報じられました。1回目の時のような面的な検査が求められているのではないでしょうか。
 というのも1回目のクラスター発生後、12月12日に最初の感染者が確認されたことを受け、5日間で職員、患者、出入り業者など約2,000人を一人残さず検査されたと聞きました。
 さらに、無症状の陽性者を保護しただけでなく、陰性と判断された濃厚接触者も2週間自宅待機するという措置を講じたといいます。
 その結果、早期に抑え込み、救急受け入れを1週間で再開できるようになりました。これまで、医療機関や介護施設では、PCR検査を濃厚接触者だけに限定したためクラスターを抑え込めず機能不全に陥りました。
 広島市民病院の取り組みのように、面として施設に関わる全員を短期間で検査し、陽性者を一気に発見するやり方を今後のクラスター対策で生かしていくことが必要だと思いますが、どのようにお考えですか。費用を含め市として支援するお考えはありませんか。

(保健医療担当局長)
 本市では、PCR検査は、検査前確率が高い場合(感染の拡がりを疑う状況にある場合)に実施するものであるという国の新型コロナウイルス感染症対策分科会の見解を踏まえ、保健所において適切に実施することにしています。このため、医療機関や介護事業所等において患者が発生した楊合で、感染の拡がりを疑う状況にあれば、患者の濃厚接触者に限らず、感染の拡がりが疑われる方も含めて、PCR検査を実施しているところです。
 したがって、本市が実施する積極的疫学調査で感染の拡がりを疑うような状況にない方々についてまでPCR検査を行うことは考えていません。

(近松さと子議員)
 現在、県は、高齢者・障害者の入所施設の職員を対象にした定期的な抗原検査を実施していますが、第3波では、保育所や学校施設でクラスターが発生しています。こうした接触が避けられない施設や通所施設にも定期的な抗原検査を広げ、職員だけでなく利用者も加えるなど社会的検査を拡大するべきです。どのようにお考えですか。

(保健医療担当局長)
 先程御答弁したとおり、本市では、あくまで感染の拡がりが疑われる方に対して、検査を実施するものと考えています。

③医療従事者の支援について

(近松さと子議員)
 医療従事者への支援についてお聞きします。
 新型コロナのもとで、多くの女性が医療や介護などケア労働の現場を支えています。とりわけ感染症患者に対応する看護師の人員不足は深刻です。日本看護協会によると、コロナ感染症対策病院の看護師の退職が21.3%にも上っているといいます。
 舟入市民病院では、当初は2ヶ月で交代とされていましたが、看護師の離職、休職者が相次ぎ、代わりがいない、終わりも見えないコロナ看護に心身ともに疲れはて、離職やメンタル不全による病休者を生み出す状況になっているとの訴えが寄せられました。今後、ワクチン接種事業でも医療従事者の確保が喫急の課題となる中、こうした最前線で命と向き合う大奮闘をされてしている医療従事者を粗末にするようなことでは、市民の命は守れません。
 感染症病棟で働く看護師に桁違いのストレスがかかっていることを市はどう受け止めていますか。毎日、感染の不安と闘いながら献身的に患者と向き合っている看護師に対し、市として危険手当や特別手当の増額するべきではありませんか。また、国に対してすべての医療従事者への二度目の慰労金の支給を求めるべきではありませんか。

(保健医療担当局長)
 舟入市民病院は、本市において一例目の患者が発生した昨年の3月7日以降、市内外の多くの患者の受け入れを積極的に行い、治療の主導的な役割を担ってきました。一方で、舟入市民病院において患者の治療に従事する職員は、感染するリスクへの不安や、本人及び家族への風評被害など、様々なストレスを抱えながらも、感染症指定医療機関に従事する職員としての覚悟を持ち、昼夜を分かたず、現場の第一線で懸命に対応していただいています。このことについては、心から感謝しているところです。
 広島市立病院機構では、舟入市民病院職員のこうした労苦に報いるため、感染症の対応に従事した職員に対して、昨年4月には功労金を支給するとともに、6月には日額4,000円の特殊勤務手当を新設し、12月には国からの給付の慰労金を支給しています。更に、来月下旬には、特例一時金を支給する予定と聞いています。
 議員お尋ねの慰労金の支給については、医療従事者の士気向上に繋がるものであることから、今後、機会を捉えて国に要望してまいります。

(近松さと子議員)
 コロナ禍のもと一般患者の減少とコロナ対応による出費で、多くの医療機関が赤字経営を余儀なくされています。国の医療機関への補助金(減収補填)は、検査機器や空気清浄機やオンラインのパソコン費用など、感染症関係の施設整備へと使い道が限られ人件費や診療報酬の減収分の補てんに使えないため、仕方なく職員のボーナスをカットして病院経営を維持する事態になっています。コロナ患者を受け入れていない病院でも入院患者の転院などコロナ対応の後方支援の役割を果たして、地域医療体制を支えているのです。医療現場の頑張りに応えて、いまだに損失補てんがなされない医療機関に大幅な財政支援をするよう国に求めることが必要です。市として支援することに付いてどのようにお考えですか。

(保健医療担当局長)
 医療機関への財政支援については、昨年5月、指定都市市長会から国に対して、「地域における医療提供体制維持のため、感染拡大の影響に伴う外来患者の減少等により経営状態が悪化している医療機関への財政的支援を行うこと」を要請したほか、7月、10月、11月にも同様の要請を行っています。今後も機会を捉えて国に必要な支援を要望してまいります。
 また、本市としては、「共助」の精神に基づき、発熱患者等とその他の患者の混在を避けるなど院内感染の拡大防止策を講じる診療所に対し、広島市域の医師会や歯科医師会と協力して補助金を交付するなど、医療従事者が安心して診療できるよう支援を行っているところです。

【再質問】
(近松さと子議員)
 昨日から、医療関係者のワクチン接種、新型コロナの対応が始まりました。コロナの感染拡大を防ぐこと、ワクチン接種を同時に自治体いは取り組まないといけません。それは大変な局面だと思っております。そういう中で、医療機関を支援するということも、体制を整えておくということを本当に大事なんじゃないかと思うんです。
 2月16日の中国新聞によれば、福山市は、コロナ患者を受け入れていない病院に後方支援を担ってもらうため、補助金を出す予算を組むと報じられました。コロナ患者は、回復してもすぐ退院というわけにはいかず、リハビリなどが必要で、引き続き入院が必要な方も少なくないそうです。でもコロナ専用病院でベッドをずっと使ってもらうわけにはいかないので、そういう患者さんが転院して、受け入れてもらう病院が必要になるので、それを補助するということだそうです。こういう医療支援についてはどう思われますか。

(保健医療担当局長)
 感染者が療養終了後、転院を受け入れた福山市のような病院支援はどう考えるかというお尋ねですけれども、現時点では今広島市内の医療機関から、そういった声が市の方には届いておりませんが、今後感染症の療養を担っていただいている医療機関からのお声も考えながら適切に対応して参りたいと考えております。

3.第8期広島市高齢者施策推進プランについて

(近松さと子議員)
 次に、第8期の高齢者施策推進プランについてお聞きします。
 介護保険制度が始まってから21年たちます。来年度から実施される介護保険制度の運営計画を含めた第8期の高齢者施策推進プランが策定されました。介護が必要になった高齢者に対して、十分な介護サービスを保障するために3年ごとのプランでは、介護基盤整備の目標を立てて、その達成に取り組んできました。そこでお聞きします。
 第1は、特養ホームの整備についてです。
 第8期プランが示している高齢者人口の推移をみると、高齢者人口の増加以上に75歳以上人口の増加幅が大きいため、第7期の1年目から第8期の3年目までの6年間に要介護3以上の人は約3,300人増える見込みとなっています。第6期までで整備できた特養ホームの数は4,500人分です。要介護3以上の高齢者に対する特養ホームの整備率は約25%ですが、これを第8期終了年の要介護3以上の高齢者数に当てはめると5,132人分が必要で、新たに632人分の整備が必要となります。
 第7期で整備されるのは、第8期に食い込む形で来年度予算に計上されている130人分を入れて260人分ですから、要介護3以上の高齢者に対する特養ホーム整備率を25%程度とすると、第8期ではあと372人分必要だということになります。
 入所対象を原則要介護3以上とした以降も特養ホームの待機者が常に3,000人を超える状況が続いており、待機者解消に向けてもっと思い切って増やす必要があります。
 介護人材の不足が続いている中ではありますが、第8期の特養ホーム整備はせめて500人分以上の整備目標にするべきです。市のお考えをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 待別養護老人ホームをはじめとする施設・居住系サービスの整備については、今後、中重度の要介護認定者の増加が見込まれることから、施設の定員数を計画的に増やしていく必要があります。
 その際、入所を希望する高齢者の心身の状態や家族状況など個々の事情に応じた適切な介護サービスが提供できる体制にすることが重要であると考えています。
 こうした考え方に基づいて検討した結果、特別養護老人ホームについては、待機者のうち入所の必要性が高い人が早期に入所できることを目指した上で、第8期中に整備する定員数を180人分と見込んだものです。

(近松さと子議員)
 第2は人材確保の問題です。
 第7期のプランでは、必要な介護サービスの量の見込みに見合う介護人材の確保が重要な目標となっていましたが、ここでも多くが目標未達成となっており、必要な成果を上げることができていません。介護基盤の整備が目標未達成となっているのは、人材確保の目標が未達成となっていることが最も大きな原因です。
 その上、介護職員の資質向上、優秀な介護人材の確保などのために取り組まれた「介護マイスター」認定者を増やす取り組みも目標からはるかに遠い結果となっています。介護人材については、量と質の両面で目標には大きく届かない結果になりました。こうした実態について、どこに問題があったとお考えか、お答えください。

(健康福祉局長)
 介護人材については、今後増加する中重度の要介護認定者に対し、より専門性の高い人材が注力できるよう、身体介護等の特別な技能を要しない「生活援助員」の資格を持つ者を確保することとしている中で、資格取得者は着実に増えるとともに、中高生へのアンケート調査によると、介護職を将来の職業選択の一つとして捉える者も少しずつ増えてきています。
 こうしたことを踏まえ、介護サービスの安定的提供という目標を達成するためには、必要な介護サービスを適切に提供できる資格取得者を育成し、その就業を確保することが重要な課題となってきています。
 第7期では、こうした課題の解決に向けて、介護職員を対象とした福利厚生の充実や求職者と事業者のマッチング機会の創出に加え、新たに介護職未経験者の参入促進などに取り組んできたところですが、育成と就業確保の連携が必ずしも十分でなかったこともあり、目標を達成できていません。
 第8期では、こうした結果を踏まえ、新たに介護職に就くことを希望する人に対し資格取得と就業を一体的に支援する方策を講じることなどにより、年々増加する介護ニーズに的確に対応できる人材の確保に努めていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 第3は処遇の問題です。
 介護人材確保の結果を受けて、第7期の推進状況の文書では、介護人材不足が深刻であるとしたうえで、質の高い人材育成と実質的な処遇改善が必要であるとの認識が述べてあります。極めて重要で専門的な職務を担いながら、常に処遇改善が課題になってきたのが介護職員です。
 しかし、広島市は、国が処遇改善の施策を実施した際、それが極めて不十分であったにもかかわらず、国の施策を理由に、市の独自の処遇改善の施策を廃止してしまいました。国に対して抜本的な処遇改善の要請を行うとともに、現状打開の取り組みの一つとして、改めて広島市独自の処遇改善のための財政措置を行うべきだと考えます。どうされるかお答えください。

(健康福祉局長)
 介護職員の人件費を含む介護報酬については、制度を所管する国の責任において適切に措置されるよう、これまでも他の指定都市と共同で国に対し要望しており、そうした中で国において介護職員の処遇改善加算を拡充するなどの対応が行われたことから、独自に設けていた福祉施設職員に対する給与改善費補助を廃止したものです。
 このように、介護報酬については、既に国の責任において適切に措置されていることから、本市としては、国が設けた処遇改善制度が介護現場で有効に括用され、介護人材の確保につながるよう、事業者に対する制度の内容や手続き等を説明するセミナーの開催や社会保険労務士等による助言などにしっかり取り組んでいきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 第4に、国の動きに連動して広島市でも、安上がりの在宅介護サービスを推進してきましたが、第7期の推進状況の文書をみると、生活援助特化型訪問サービスの資格取得者の就業や住民主体型生活支援訪問サービスを行う実施団体数はほとんど増えていません。
 このことは、わずかな報酬で、専門性の必要なサービスを提供することも、ボランティアがそれを担うことも、うまくいかないということが示されたということではないでしょうか。広島市はどのように受け止められたか、お答えください。

(健康福祉局長)
 生活援助特化型訪問サービスは、平成29年度の総合事業の開始を契機に導入したものでありまして、今後、要支援・要介護認定者が増加する中で、掃除・調理等の生活援助の充実が重要な課題となり、これについては、身体介護等の特別な技能を要しない「生活援助員」を養成し、この生活援助員が主体となって支援する仕組みを設けることで、介護人材の有効活用等を図ろうとしたものです。
 現在、このサービスは、訪問介護員等が中心となって、月平均1,200人の利用者に提供されていますが、今後、高齢化が加速する中で、のニーズは更に高まることが予想されることから、養成しました生活援助員へのキャリアカウンセリングや職業紹介などにより就業を促進することで、サービス内容の充実を図っていきたいと考えております。
 また、住民主体型生活支援訪問サービスにつきましては、サービスの利用者からは、その丁寧な対応が好評を得ておるところでございまして、実施団体は毎年4団体程度増え、現在30団体となっております。令和3年度からは、新規の実施団体に対する運営費補助を現行の10万円から20万円に増額し、より多くの団体に本事業への参加を促していきたいと考えております。

4.保育について

(近松さと子議員)
 保育施策についてお聞きします
 広島市には、昨年4月現在、保育園と幼稚園・認定こども園など私立が267園と公立幼稚園19、公立保育園87、公立認定こども園1園の公立107園があります。
 昨年度、今後さらなる少子化が進むことを理由に、幼児教育・保育の一体的な質の向上を図りながら、公立幼稚園と公立保育園の統廃合をすすめるというビジョンを策定し、今年度実施方針案をしめしました。それによると、定員割れしている公立幼稚園は統廃合をすすめ、公立幼稚園6園と公立保育園9園を統合し、新たに認定こども園にして、安佐南区2園とその他の区は1園の拠点園化を進めるとしています。公立保育園は、山間地域についてセーフテイネットとして残し、私立保育園の取り組み支援などを担うとしながら、今後の10年で保育需要の減少する白木地域を皮切りに3中学校区の公立保育園11園の統廃合を検討するとしました。
 児童福祉法は24条第1項で「自治体の保育実施義務」を規定しています。それを直接果たすのが公立保育園です。民間の認可保育園に支出している運営費の位置づけが「委託費」であることがその証です。公立保育園は住民の税金でつくられた自治体が運営する施設です。だから、地域住民の要求に応えるための保育・子育て支援施策を実施する責任があります。公立保育園の保育士は同じ研修を受けるなど自治体のビジョンを共有します。そのような施設が地域の各所にまんべんなく設置されていることが地域の保育のスタンダードをつくり、民間保育園の保育条件や保育環境などに影響を与えます。
 また、公立保育園は「公共性が高い」という特徴があるため、広範な市民が求める保育内容をつくる必要があります。障害のある子どもや外国にルーツをもつ子どもの受け入れなどそのような必要があるからこそ、私立保育園で言われる「特徴のある保育」ではなく、「普通の保育」をする施設となります。そのことにより保育内容においても地域のスタンダードをつくっているのです。市として、公立保育園の役割をどのように認識しておられますか。

(市長)
近松議員からの御質問にお答えします。「保育について」のうち、「公立保育園の役割について」の御質問がございました。
 現在、本市における保育サービスの提供体制は、公立園が88園、私立の認可園が203園となっております。こうした状況を前提としながら、保育の実施に責任を負う本市といたしましては、いずれの施設においても、国が示す施設や職員配置などの基準等を満たしながら、保育を必要とする子どもに必要なサービスの提供を行っているところであります。
 こうした中、現状の課題認識といたしましては、保育の質の更なる向上と多様な保育ニーズへの対応を進めながら、近い将来、少子化の進展によって保育需要が減少するといった中で、いかに保育サービスの提供を維持していくか、といったことになろうかと考えています。
 このため、私は、公立・私立、幼稚園・保育園等を問わず、全体最適の視点に立って、幼児教育・保育の一体的な質の向上を図るとともに、持続可能な提供体制を構築していくための基本方針として、昨年3月に「広島市幼児教育・保育ビジョン」を策定し、その中で、公立・私立それぞれの特性を踏まえた役割分担を進めることといたしました。
 具体的には、延長保育の実施などに柔軟に対応してきている私立園が、保育サービスの提供体制の中心を担い、公立園は、公益性が高いといった観点から、私立園の取組を支援するとともに、中山間地域で生活する子どもが必要な保育サービスを受けられる環境の保持などのために、地域におけるセーフティネットの役割を担うものというふうに整理いたしました。
 こうした考え方を踏まえ、現在、ビジョンに基づく実施方針の策定を進めており、公立・私立の役割分担を踏まえて、公立園が蓄積してきたノウハウの提供による私立園の取組の支援などを具体的に進めて参りたいと考えております。

(近松さと子議員)
 一方、市が保護者にアンケートをとったら公立よりも民間保育園の方が保護者の要望に答えられるという結果が出ました。公立保育園に不満足な点としては、施設・設備が上がっています。特に施設の老朽化は誰の目にも明らかです。また、今後求める点としては、完全給食の実施つまり幼児の主食持参の解消がもとめられています。これらの理由で公立保育園が選ばれないとしたら、保育の実施義務を果たすべき行政の怠慢です。保護者の要求にこたえて施設の更新や完全給食の実施について改善していくべきではありませんか。

(こども未来局長)
 今後、更新時期を迎える公立保育園は、その多くが昭和40年代に本市の保育事情に即して整備されたものであり、今後の地域ごとの需給状況を踏まえた提供体制を検訂した上で、適正な規模で施設更新をしていくことが重要であると考えています。
 また、給食に関しては、国の制度設計が副食のみの提供を前提としたものとなっているため、引き続き、こうした考え方に基づいて、給食の提供を行っていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 昨年春、緊急事態宣言が出されて、小中学校が休校となっても保育園などは、保護者が働いており、子ども一人でいることができない年齢であることから、原則開所が要請されました。それでも、自粛要請の結果、保育現場では登園児が減少しました。そうした中で、一人ひとりの子どもに配慮できるゆとりが生まれ、本来の保育ができたと現場から声が上がっています。
 感染予防を徹底し、緊張感をもって保育を行いながらも、現行の国基準、例えば3歳児20人に担任一人、4,5歳児30人に担任一人ということがいかに貧しい基準であり、保育からゆとりを奪い、子どもの発達を阻害しているのか改めて実感したというものです。
 学校の学級定員が40年ぶりに引き下げられますが、保育園では70年前から見直されていません。あまりにも子どもに関心がなさすぎるのではないでしょうか。少子化がすすむのであれば、配置基準を引き下げて本来あるべき「ゆきとどいた保育」ができるように改善することが必要ではありませんか。どのようにお考えですか。

(こども未来局長)
 本市では、国の基準に従がって条例で保育士の配置基準を定め、この基準による年齢別の児童数に応じた配置を行っているほか、年次有給休暇や休憩の取得、研修参加の際の代替保育士の加配、障害児の保育や延長保育を実施する際の加配などの措置を講じています。
 さらに、保育に関わる業務をICT化するシステムの導人支援や、保育士の補助を行う保育補助者の活用などにより、保育士の負担軽減を図り、保育中の児童に対して、より目が行き届くよう努めています。
 本市としては、配置基準の改善や必要な財源措置は、本来、国の責任において講じられるべきものと考え、これまでも他都市と連携して国に要望してきており、引き続き国の状況を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

5.ジェンダー平等と第3次広島市男女共同参画基本計画について

(近松さと子議員)

 ジェンダー平等についてお聞きします
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元会長森喜朗氏がJOCの会議で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言したことが国の内外で大問題になりました。政策決定の場に女性が平等に参画し、意見を表明することを否定するまさにとんでもない暴言です。
 森氏が「ここにいる人は(モノを言わず)わきまえた人ばかり」と発言したためTwitterでは「#わきまえない女」という抗議の思いを込めた言葉がトレンドの1位となり、怒りが広がりました。広島出身のアスリート為末大さんも「黙っていることは容認したことになる」と「性差別に反対」と声を上げました。私も広島市議会の女性議員有志のみなさんと森氏の辞職をもとめる抗議文に名を連ねました。
 さらに、駐日欧州連合代表部やドイツ、フィンランドの在日大使館などが名指しこそしませんが“抗議ツイート”を連投し、東京の国連広報センターも「沈黙を打ち破ろう。誰かが一線を越えたら、声を上げよう。家父長制への無言の迎合は、受け入れてはいけません」とツイートしました。
 なぜ、世界から問題にされたのでしょうか。そもそも、今やジェンダー平等は世界共通の価値観です。オリンピック・パラリンピックの開催国には、男女平等や性的マイノリテイの尊重などのジェンダー平等をすすめるという五輪モデルを世界に示す責任が課せられています。森氏のような立場の人の女性蔑視発言が公式の場でまかり通るとなるとオリンピック開催国が日本でいいのかが問われることになるのです。
 また、日本自身の問題もあります。2014年の世界女性スポーツ会議を契機に、2017年にスポーツ庁や日本のスポーツ団体が合同で署名し、2020年までに各団体の女性役員を40%にしようと決めたのでした。実際には、東京五輪組織委員会でも23%にとどまっています。
 これを契機に、ジェンダー平等に取り組み、民主的な運営で平等な組織に生まれ変わり、暴力もハラスメントもないスポーツ界に変わってほしいと願っています。さらに、ジェンダー平等の世界ランキング121位という不名誉な地位にある日本をかえるチャンスにしようではありませんか。
 さて、今年、本市は、第3次の男女共同参画基本計画を作成しました。
 市は、ジェンダー平等をどのように定義されているのでしょうか。基本計画の中で、ジェンダー平等についての認識をどのように広げていくのでしょうか。

(市民局長)
 ジェンダー平等とは、社会的・文化的な性、すなわちジェンダーに基づく差別や偏見がなく、一人一人が多様な個性や能力を十分に発揮できる状態と考えています。
 このジェンダー平等の認識を広げていくため、現在策定中の第3次広島市男女共同参画基本計画においては、あらゆる分野における政策・方針の立案及び決定過程に女性の参画拡大が図られるよう企業や地域団体などへ意識改革を促す働き掛けを行うほか、「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識の解消を始めとした男女が互いの人権を尊重する市民意識の醸成に向けた啓発活動、また、子どもの頃からの男女共同参画を推進する教育の充実などに取り組むこととしています。

(近松さと子議員)
 また、政策決定の場への女性の参画を推進することについて、各種審議会などへの女性の委員の登用や市役所での幹部職員への女性職員の登用について、これまでもそれぞれ目標をもってきましたが、いづれも達成できていません。新しい基本計画では、新たにどのように取り組むのかお聞かせください。

(市民局長・審議会委員について)
 本市では、第2次広島市男女共同参画基本計画において、市の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に向け、審議会の委員への女性の選任に向けた取組を進めてきましたが、目標の達成は困難な状況です。
 その理由としては、審議会委員を構成している学識経験者や各種団体において、例えば建設分野など特定の分野で女性が少ない現状にあることや、団体の構成員に女性はいるが、団体の長には男性が多いことなどが挙げられます。
 こうした状況を踏まえ、現在策定中の第3次広島市男女共同参画基本計画においては、委員の選任分野の拡大や充て職の見直し、委員の選出母体に対する役員への女性の登用の働き掛けを粘り強く行うなどにより、女性委員の選任の一層の推進に努めたいと考えています。

(企画総務局長・市幹部職員について)
 本市では、第2次広島市男女共同参画基本計画において、「管理職に占める女性職員の割合を16%以上にする」ことを目標として掲げ、女性職員の職域拡大、育成及び登用に向けた取組を進めており、目標は達成していないものの、その割合は平成27年4月時点の10.3%に対して令和2年4月時点で13.6%となり、この5年間で着実に増加しています。 
 現在策定中の第3次基本計画においても、女性職員が管理職に必要な知識や能力を修得できるよう、引き続き、幅広い職域やライン職への配置拡大、派遣研修の機会の拡充を図るとともに、今後管理職への昇任時期を迎える課長補佐級の女性職員を対象に先輩女性管理職との交流の場を設けるなど、女性職員の育成に着実に取り組むこととしています。

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