議会での質問・答弁

2020年12月10日

2020年第8回 12月定例会 議案質疑 近松さと子議員

第112号議案市営住宅条例の改正について


(近松さと子議員)
 日本共産党近松さと子です。日本共産党市議団を代表して、議案の質疑を行います。
 第112号議案市営住宅条例の改正についてお聞きします。 来年1月から、いよいよ広島市もパートナーシップ宣誓制度を導入します。県内では初めてですが、政令指定都市では、20の内すでに15市が導入し、今年9月時点で749の同性カップルが宣誓をおこないました。また、広島市が制度の相互利用を予定している岡山市でも7月の開始から5組のカップルが宣誓を行っているそうです。
 2015年、東京の渋谷区と世田谷区で、同性カップルを自治体が証明したり、宣誓を受け付けたりするパートナーシップ制度が創設され、この5年間に急速に広がりました。当事者団体の調査によれば、今年の10月1日現在、パートナーシップ制度のある自治体に住む人は、30.25%と3割以上に上ります。
 世界を見ると、国際オリンピック委員会(IOC)は2014年末、オリンピック憲章が掲げる「オリンピズムの根本原則」を改訂し、「性的指向」による差別の禁止を加え、人権尊重の意志を強く示しました。東京オリンピック・パラリンピックを控えた日本も性的マイノリティへの対応が国際社会から問われることになります。
 特に日本は、先進7か国の中で、唯一法律上の性別が同性同士のカップルは、法律での婚姻関係が認められていません。パートナーシップ制度は、国が法律で認める「結婚」とは違うものなので、相続などの問題は解決しませんが、自治体がカップルと認めることで、性的マイノリティへの理解が進み、人権の尊重と多様性を認める社会への一歩になることが期待されているところです。
 今議会に、広島市のパートナーシップ制度の導入を契機に、宣誓をおこなった同性カップルに対して、市営住宅への入居を認める条例改正が提案されました。そこでいくつかお聞きします。
 そもそも、広島市のパートナーシップ制度とはどのようなものですか。

(市民局長)
 広島市パートナーシップ宣誓制度は、一方又は双方が性的マイノリティである2人が、互いを人生のパートナーとし、日常の生活において相互に協力し合うことを約した関係、すなわちパートナーシップである旨の宣誓書を提出し、本市が受領証及び受領カードを交付するものです。
 この制度によって当事者の宣誓を行政が公的に認知することにより、性的マイノリティの方々の生きづらさや不安を軽減し、安心感を持って自分らしく生活できる社会を実現するとともに、性的マイノリティの方々の現状や悩みについて、市民の理解がより一層促進されることを期待しています。

(近松さと子議員)
 これまで、同性のカップルが二人で一緒に暮らすために、市営住宅への入居を希望しても、入居できなかったのはなぜですか。

(指導担当局長)
 市営住宅に二人以上で入居する場合には、広島市市営住宅等条例に基づき、夫婦や親子などの親族である必要があります。
 同性カップルは、婚姻関係が認められていない現状においては、親族と認めていなかったため、これまで市営住宅に入居できませんでした。

(近松さと子議員)
 現在、男女のカップルについては、入居者が死亡または市営住宅を立ち退いた場合、入居者と同居していた夫婦は内縁関係であっても、入居の権利を承継して市営住宅に住み続けることができます。
 同じようにパートナーシップ宣誓をおこなった同性カップルについても、パートナーが死亡もしくは退去した場合、残されたパートナーも住み続けることができるのでしょうか。また、同居についてもおなじでしょうか。

(指導担当局長)
 今後、パートナーシップ宣誓を行った二人が、共に市営住宅に居住した後で、二人のうち一人が死亡するなどした場合、残された方は、入居の権利の承継手続をした上で、引き続き市営住宅に居住できることになります。
 また、市営住宅に入居している方と新たにパートナーシップ宣誓をした方は、同居の承認手続をした上で同居できることになります。

(近松さと子議員)
 今回の改正で、市営住宅の入居については、同性カップルも男女の夫婦と同等の扱いになったということでしょうか。

(指導担当局長)
 この度の条例改正によって、パートナーシップ宣誓をした方は、市営住宅の入居者資格である夫婦や親子などの同居親族と同等として認めることになります。

(近松さと子議員)
 最後に、社会的な認知が広がってきたとはいえ、当事者がかかえる困難は依然として大きなものがあります。とくに、性的マイノリティについて関心や知識がないことからくる差別と偏見にたいする当事者の苦痛はたいへんなものです。自らの性的指向や性自認に対する周囲の態度から「死にたい」と考えた当事者は少なくないことは繰り返し紹介されているところです。
 特に、性自認や性的指向など性に関する情報を本人の了解なく暴露する行為は「アウティング」と呼ばれ、一橋大学生が自ら命を絶った事件もおきており絶対に許されない行為です。
 同性カップルが市営住宅の入居手続きを行う際、本人が希望しないのに性的マイノリティであることを暴露されることがないよう対応が求められますが、どのようにお考えですか。

(指導担当局長)
 市営住宅の入居の申込をした方が、パートナーシップ宣誓をしているという情報は、他の来庁者に分からないよう配慮が必要と考えています。
 これまでも市営住宅の入居手続においては、他の入居希望者と手続のタイミングが重ならないよう留意してきたところですが、今後も、例えば別室にご案内するなど、十分配慮してまいります。

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