議会での質問・答弁

2020年09月17日

2020年第6回 9月定例会 一般質問 藤井とし子議員

1、平和について
2、「黒い雨」の訴訟について
3、コロナ禍の下での行政の役割について
4、有機農業の推進と学校給食について
5、気候非常事態宣言と南工場の建て替えについて
6、指定学校変更許可基準の改正について


平和について

(藤井とし子議員)
 2017年に国連で採択された核兵器禁止条約は、現在、署名した国は84か国、批准した国は今年の8月に44か国となり、いよいよあと6か国が批准をすれば発効するところまで来ました。ところが安倍前首相は、平和記念式典の挨拶でも核兵器禁止条約について一言も触れることなく、直後の記者会見では、敵基地攻撃能力の保有について「新しい方向性を打ち出し、速やかに実行に移していく」と語り、首相辞任の会見でも同様の発言をしています。
 敵基地攻撃能力を持つべきだという議論は、政府・自民党がこれまで曲がりなりにも堅持するとしてきた「専守防衛」からの重大な逸脱であり、憲法の平和原則を破壊し、国際法も、現実も無視した極めて危険な暴論です。相手を抑え込む能力を高めれば、相手は抑え込まれないように自らの攻撃能力を強化し軍備拡大競争になります。政府はすでに、敵基地攻撃を可能にする巡航ミサイルやF35ステルス戦闘機の取得、「いずも型」護衛艦の空母化などをなし崩し的に進めています。今後、本格的な敵基地攻撃能力の保有に乗り出せば、軍事費の膨張は数兆円単位となり、際限がありません。専門家は、地下や移動発射台がある相手国のミサイルすべての位置を把握し破壊するのは不可能だとし、核兵器による報復攻撃の危険性も指摘しています。
 日本政府がやるべきことは、被爆国として自らが核兵器禁止条約に直ちに署名、批准するとともに、朝鮮半島の完全な非核化の実現にむけて、米朝のプロセスを後押しし、東アジアに平和的な環境をつくるための憲法に沿った外交努力ではありませんか。
 改めて伺います。核兵器禁止条約が発効する意義を市長はどのように受け止めておられますか。

(市長)
 藤井議員の御質問にお答えします。「平和について」のうち、「核兵器禁止条約が発効する意義」についての御質問がございました。
 核兵器禁止条約は、核軍縮・不拡散を確実に行うための実践的な核軍縮措置であるNPT(核兵器不拡散条約)とともに、「核兵器のない世界」の実現を目指すために不可欠な条約です。同条約は世界の市民社会が「ヒロシマの心」を共有するための新たな国際的な枠組みとなるものであり、その発効は核兵器廃絶に向けた重要な一里塚であると考えています。発効まであとわずかまでこぎつけたことは、共に取り組んできた被爆者や平和首長会議加盟都市など、思いを同じくする多くの方々の御尽力の賜物と考えています。
 しかし、世界にはいまだ1万3千発を超える核兵器が存在し、核軍縮に向けた取組も、自国第一主義などによる国家間の緊張の高まりから、停滞した状況にあります。また、核保有国や核の傘の下にある国は、同条約への署名・批准に反対の姿勢を貫いており、同条約の発効により直ちに核兵器廃絶が実現する訳ではありません。
 今後は、同条約をより実効性の高いものにするために、核保有国の締約国会議への参加や、署名・批准国の拡大に向けた取組を進めていく必要があります。そして、為政者に核抑止政策に頼らないという大きな決断を促すのは国内外の市民であり、被爆体験を基にした平和を希求する「ヒロシマの心」が、その市民社会の共通の価値観となることが何よりも重要であると考えています。
 本市としては、今後とも、被爆の実相を「守り、広め、伝える」ための取組や「迎える平和」の取組を推進するとともに、164か国・地域の8,000都市に迫った平和首長会議加盟都市と連携し、「ヒロシマの心」の発信力を強化し、平和への大きな潮流をつくることにより、核兵器廃絶に向けて為政者の政策転換を強力に後押しする環境づくりを進めてまいります。

(藤井とし子議員)
 また、敵基地攻撃能力の保有は、憲法と国連憲章に2重に違反する先制攻撃論そのものであり、核兵器が使用される引き金になりかねません。被爆地広島の市長として、敵基地攻撃能力の保有方針は、明らかに憲法違反であると厳しく抗議するべきだと思いますが、市長のお考えを伺います。

(市民局長)
 我が国の安全保障に係る事案については、国民の多くが納得できるようなものにすべきと考えています。そうした視点を踏まえて、国政の場でしっかり議論していただきたいと考えています。

「黒い雨」訴訟について

(藤井とし子議員)
 国が1976年9月に黒い雨の大雨地域のみを健康診断特例区域に指定したことに対して、「降雨地域は正確ではない」「なぜ大雨地域だけの指定か」という声から始まった運動は40年前にさかのぼります。降雨地域の拡大を国や県市に何度も、訴えつづけても国は認めず、5年前に裁判に訴えたものです。当初の原告88名のうち無念にも16名の方が判決をみることなく亡くなられています。まさに命がけで闘ってきた裁判です。
 5年に渡る裁判で7月29日、広島地裁は「黒い雨」を浴びて被害を受けた人たちの援護対象区域を狭くした国の不当な線引きを退け、被爆者の被害実態にもとづき広く救済することを国に求めた原告に全面勝訴の画期的な判決を下しました。その内容は第1にこれまでの論争になってきた3つの降雨図を検証した上で、降雨図に含まれない地域もあり得ることも考えて判断すべきであるとしたこと。第2に「黒い雨に放射性微粒子が含まれていたと認められると、外部被ばくに加え、内部被ばくの影響も加味した健康被害を生ずる可能性を指摘したこと。第3は原告全員が被爆者援護法1条3号の身体に原子爆弾の放射線の影響を受けるような事情のもとにあったものに該当すると述べ、原告全員への被爆者手帳の交付を命じたことです。判決は「国のこれまでの1980年の被爆者対策基本問題懇談会の答申の科学的合理的根拠を盾に、被爆者の援護・救済の対象を狭く抑え込えこんできた厚生労働省のこれまでの被爆者援護行政について、被爆者援護法に基づく行政を怠ってきたと明快に断罪しています。
 ところが、8月12日、国は、原告84人全員を被爆者と認めた広島地裁判決を受け入れず、広島県・市とともに広島高裁に控訴しました。
 控訴を受けて、原告・弁護団や被爆者団体は「被爆者の苦難に満ちた人生と無念のうちに亡くなった多くの「黒い雨」被爆者の思いを踏みにじるものだ」「腹の底から込み上げてくる憤りを禁じ得ない」と抗議の声を上げました。「控訴断念」を求める原告をはじめとする被爆者の悲痛な声にあくまで背を向け、裁判を長引かせる国の姿勢は重大です。しかも、降雨地域拡大のためにこれまで、ともに頑張ってきた広島市と広島県が国に追従して控訴を決断し、被爆者の期待を裏切ったことに対して、日本共産党市議団は、すべての黒い雨被爆者に代わって満身の怒りをもって抗議します。
 国は今回の判決についても、「十分な科学的知見はない」「長崎体験者訴訟の最高裁判決と異なる」と強調し、「蓄積されてきたデータの最大限の活用など最新の科学的技術を用い、可能なかぎりの検証を行う」と区域の拡大も視野に検討を始める考えを示しました。これに対して、弁護団の竹森事務局長は「そもそも、黒い雨援護地域に指定された際、放射線量が問われたことはなく、広島地裁判決で科学的な結論はついている。再検証の必要はない」高野原告団長も「再検証について、これまで住民や市などが何度も国に援護区域の拡大を訴えてきたが、認められなかった経緯を考えるとあまり信用できない」と指摘しています。控訴をやめて高齢化した原告全員に直ちに被爆者健康手帳を交付し、すべての「黒い雨」被爆者の早期救済に乗り出すことが最善の道であると控訴取り下げをもとめています。
 広島市も、国に控訴断念をもとめ、直前に行われた平和式典での平和宣言でも「黒い雨の援護区域の拡大」を要望されてきたのではないでしょうか。
 そもそも、今回の広島地裁判決を援護区域の拡大を訴えてきた市としてどのように評価されていますか。お答えください。

(保健医療担当局長)
 この度の判決は、原告の方々の請求を全面的に容認するものであり、これは、心身に苦しみを抱えてこられた黒い雨体験者の方々の長隼の切なる思いと「黒い雨降雨地域」の拡大を目指す本市の思いを、司法の場で認知いただいたものと受け止めています。

(藤井とし子議員)
 今回の裁判において、法律的には、国は補助的立場であり、被告である広島市と広島県が、広島高裁に控訴せずに判決を確定させる選択もあったのではありませんか。

(保健医療担当局長)
今回の裁判は、国から、本判決が、これまでの累次の最高裁判決とも異なり、また、十分な科学的知見に基づいたとはいえない判決内容となっていることから、上訴審の判断を仰ぐべきとの強い要請を受.け、また、被爆者健康手帳等交付事務が法定受託事務であり、本市は、法律上これを適切に履行していかなければならない立場にあることから、控訴せざるを得ないと判断しました。
 勝訴された原告の方々のお気持ちを思うと、誠に辛い思いはありますが、国に対しては、控訴審の対応どは切り離して、黒い雨を体験された方々の援護を早急に進めることを強く求めてまいります。 

(藤井とし子議員)
 現に2009年の3号被爆の裁判では、被告である広島市は控訴を断念し、判決が確定しました。今回は、なぜ、できなかったのですか。

(保健医療担当局長)
 この度の黒い雨集団訴訟は、援護対象区域外にいたとされる方が被爆者援護法第1条第3号に定める被爆者に該当するか争われているものですが、2009年のいわゆる3号被爆者裁判は、被爆者の救護に当たった方が同様に3号被爆者に該当するかが争われたものです。
 この、裁判では、救護に当たった原告が、多数の負傷した被爆者が集合していた環境の中に、相応の時間とどまったと認められるかなど、被爆者の救護に携わづた原告の被爆状況の事実認定が争われたもので、当時は各自治体が設けた審査基準に基づいて事実認定が行われていたことから、国は、控訴するか否かは、審査庁である自治体の判断でよいとの見解を示し、本市は最終的に控訴しないこととしました。
 一方、この度の裁判では、先ほど御答弁したとおり、国から、本判決が、これまでの累次の最高裁判決とも異なり、また、十分な科学的知見に基づいたとはいえない判決内容となっていることから、上訴審の判断を仰ぐべきとの強い要請を受け、また、被爆者健康手帳等交付事務が法定受託事務であり、本市は、法律上これを適切に履行していかなければならない立楊にあることから、控訴せざるを得ないと判断しました。

(藤井とし子議員)
 被爆者の被害実態にもとづき広く救済することを国に求めた広島地裁の判決を確定させることこそが、国が定めた援護区域の外でも黒い雨の影響が及んだと認め、裁判に参加していない同じような立場の人たちの救済につながるのではないでしょうか。
 広島市は国の区域拡大も視野に検討を始めるという言葉のみを信じて、控訴を受け入れる理由にしています。市長は、記者会見で控訴したことを「苦渋の選択」や「ソクラテスの弁明」のたとえで毒杯を飲んだ行為と表現しましたが、毒を飲まされたのは、被爆者手帳を目の前にしながら無情にも遠ざけられた原告の被爆者の皆さんです。80才90才を超えた原告らに対して「もっと頑張れ」と言うことは、命がけで頑張ってこられた原告らに対してあまりにも冷たい仕打ちではありませんか。
 今からでも控訴を取り下げ、速やかに被爆者手帳を交付するべきです。どうされますか。以上の5点について答弁を求めます。

(保健医療担当局長)
 仮に、本市が控訴を取り下げ、この度の広島地裁の判決が確定したとしても、被爆者援護制度は、国が本来果たすべき役割に係るものであり、国が、被爆者健康手帳交付に関する法令等を改正しない限り、本市が、裁判に参加されなかった黒い雨体験者には、被爆者健康手帳を交付する仕組みになってぃません。
 このことから、裁判に参加していない黒い雨体験者をも救済できるよう、国に対して「黒い雨降南地域」の拡大も視野に入れた検証を早急に実施するとともに、今年度内には方向性を示すよう、要請しているところです。

コロナ禍の下での行政の役割について

(藤井とし子議員)
 日本感染症学会の舘田一博理事長は8月20日、新型コロナウイルス感染症が広がる日本社会の現状について「第二波の真っただ中にある」と表明されました。新型コロナ感染者数は9月12日現在で全国では75,000人を超えています。広島市内では、299人、広島県内では458人の方が感染確認されています。こうしたなか、広島県は、感染が点から線、面へと広がるフェーズ3を想定した、検査体制の整備方針を発表しました。 しかし、国は、経済対策を優先させるGOTOキャンペーンを強行し、「三密を避けた新しい生活様式の徹底」を市民によびかけるだけで感染防止には「無策」です。感染防止が市民頼みでは、今後の感染拡大を防ぐことはできません。
 そこで以下2点を提案します。
 1つ目はPCR検査の戦略的な拡大です。
 東京都医師会は、国の無策に抗議しつつ、PCR検査を診断目的から防疫目的に切り替えて、無症状者を含めて「感染力」のある人を見つけ出して、隔離・保護することが感染拡大を防ぐうえで必要だと強調されています。世田谷区では、区長が「誰でもいつでも何度でも」というスローガンのもとに全ての区民を対象にした無料のPCR検査を実施することを宣言されました。千代田区では集団感染が発生すると多くの命が危険にさらされるとし、感染すれば重度化のリスクの高い高齢者が入居している介護施設での感染予防を徹底するために、区内の介護施設で働く職員全員を対象に定期的なPCR検査を実施することを決めています。
 先日、医科・歯科医療関係者から、次のような深刻な実情をお聞きました。歯科治療が必要な高齢者が入所されている介護施設が、感染を恐れて施設への往診を拒否されたため、必要な治療ができずに症状が悪化したというのです。安心して往診し必要な治療ができるように、早期に医療と介護関係者の定期的なPCR検査体制をつくってほしいとの要望をお聞きしました。
 社会を支えるために不可欠なケア労働に従事する医療、介護をはじめ、福祉施設、保育園・幼稚園、学校などの労働者は、人との接触が避けられないため、集団感染によるリスクが高くなっています。安心して通院できる・介護サービスが提供できるようにするためには、先進自治体に学び、広島市もこのような施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査を行うことが必要ではありませんか。そのための財源を集中して確保すべきですが市の考えをお聴きします。

(保健医療担当局長)
 PCR検査は、発熱等の症状から感染が疑われる方に対して、感染の有無の判定を行う検査であるということを踏まえた上で、効果的に実施する必要があると考えています。
 したがづて、議員御提案の施設の職員や出入り業者に対するPCR検査については、かかりつけ医などの医療機関で唾液によるPCR検査が受けられる体制を医師会などと協力して整備し、発熱等の症状がある方に随時検査を実施できる方策を講じる方が効果的であると考えています。

(藤井とし子議員)
 また、市民に積極的な感染防止の行動を呼びかけるなら、市全体の感染確認数だけを発表するのでなく、市中感染が広がっている地域が少しでも特定できるように、区ごとの検査数や陽性者数、感染者の発症日別の陽性者数をまとめて公表されるよう提案します。いかかですか。

(保健医療担当局長)
 感染拡大防止に必要な情報については、これまでも個人情報の保護に留意しつつ、積極的に市民に提供しており、議員御提案の内容も含めて、引き続き必要な情報を提供してまいります。

(藤井とし子議員)
 2つ目は医療や保健所体制の基盤を強化させることです。
 全国的には家族の感染を危惧して看護師が退職された病院もあり、舟入市民病院では、経営を維持するため事務職員の雇止めが提案されていると聞いています。このままでは看護師確保も困難になるのではと不安の声が上がっています。ますますゆとりのない医療現場となり、内部からの医療崩壊も危惧されます。コロナ禍のもと地域医療を担う病院やクリニック等の医療機関では、患者数が激減しどこも経営危機に直面しています。ところが、国による減収になった医療機関への直接の損失補填はありません。市民の命を守る地域の医療機関が安定的に維持されるよう、国に対して、コロナの影響による減収の補填を求めるべきだと考えますがどうされますか。

(保健医療担当局長)
 医療機関への減収の補填については、本年5月に、指定都市市長会から国に対して、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動維持の画立に向けた提言として、「地域における医療提供体制維持のため、感染拡大の影響に伴う外来患者の減少等により゜経営状態が悪化している医療機関への財政的支援を行うこと」を求めているところです。

(藤井とし子議員)
また広島市の広島市民病院・舟入市民病院、安佐市民病院も同様に収支が悪化しています。地方独立行政法人といえども広島市が整備した市民の病院です。労働条件等にしわよせがいくようなことがないよう、市として責任をもって補填されるよう求めておきます。同時に、国が進める公立病院の再編・統廃合計画の撤回を求めるべきと思うがどうされますか。

(保健医療担当局長)
 昨年、国が公表した.再編・統合の検討が必要な公立・公的病院についてば、人口構造の変化等に伴い、地域の医療を取り巻く状況が厳しさを増す中で、地域・医療構想の達成や地域包括ケアシステムの構築の推進が求められており、とりわけ医療提供体制については、病床の機能分化や医療機関の連携強化等により、より質が高く効率的なものとしていくことが必要となってくることが背景にあるものと受け止めています。
 このため、公立・公的病院の再編・統合の検討については、国による機械的な分析だけで判断し得ない地域の実情に関する知見を補いながら、県が設置し、医師会や病院、行政等で構成する地域医療構想調整会議においで議論を尽くす必要があると考えており、安芸市民病院の建替えに当たっても、本年8月に、同会議に諮り、合意を得たところです。

(藤井とし子議員)
また、各区の保健センターもこれまでの業務を一時的に止めて、コロナ対応に追われています。今後の感染状況の長期化も踏まえて、保健所と各区の保健センターの人的体制の強化が必要と思われますが、この点についても伺っておきます。

(保健医療担当局長)
 保健所及び保健センターでは、通常の業務に加えて、新型コロナウイルス感染症に関する市民や医療機関からの間合せへの対応や、一感染が確認された患者等への積極的疫学調査などを行うことから、感染の拡大に伴って職員の負担が大きく増加しました。
 このため、感染症対策の組織の要となる保健部健康推進課には、感染拡大の状況,に応じて、健康福祉局や他の部局からの応援職員を配置するとともに、本年8月と9月に新たに4名の職員を配置し、体制を強化しました。
 また、各区の保健センターでは、コールセンターの回線数の増加や対応する時間帯の拡大、本市退職保健師の配置に加えて、検体を医療機関から衛生研究所に搬送するなどの業務を区役所全体で分担するとともに感染者の発生状況に応じて、保健所や他区の保健センター、広島県の保健師等を応援配置するなど、体制の強化を図ってきました。
 引き続き、新型コロナウイルス感染症の対応の長期化を見据えて、感染者の発生状況にと応じた体制の整備に努めてまいります。

有機農業の推進と学校給食について

(藤井とし子議員)
 世界規模のコロナ禍と地球温暖化による干ばつや豪雨災害などの気候変動は世界的に作物の適地を変えるなど、農業にも大きな影響を与えています。とりわけ、自国の食料確保のため、ロシアやベトナムなど20か国が小麦やコメなどの輸出を禁止するなど、世界的な感染拡大は「食のグローバル化」が大変脆弱であることを顕在化させました。改めて日本の「食の自給率の向上」が喫緊の課題であることを認識するものです。しかし、日本の「食の自給率」は国民の基礎代謝すら賄えない37%まで落ちこんでいるにもかかわらず、日本政府は農業団体の反対を押し切ってTPPやFTAと自由貿易協定を進め農産物輸入をさらに拡大し、このままでは食の自給率は今後14%まで下がるだろうと指摘されています。ところが、国はこうした問題に目を向けずに、「強い農業」「農業の成長産業化」輸出拡大を掲げ、アメリカからの農産物輸入を推進し、2017年には農業競争力強化支援法を成立させ、これまで長年かけて日本のコメや麦等の主要農産物の種子の育成技術を蓄積し守ってきた種子法を廃止しました。その狙いはグローバル企業など含む民間企業に、主要農産物の種子育成の技術や知見まで提供させるものです。今、また狙われているのが種苗法の改定です。これまで種苗の自家増殖は原則自由であったのを原則禁止にするもので、これでは日本の食料自給を支えている中小家族農業がやっていけなくなるのは明らかです。
 こうした中、国連では2018年、小農民の権利宣言が採択され、2019年から家族農業10年がスタートし、国連食糧農業機関は報告書の中で、この50年間から60年間、世界が、進めてきた大規模化や農薬の多用、地球の裏側から食料を運んでくる農業は持続可能ではないと指摘しています。SDGsの推進は国際社会の共通認識になりつつあり、小規模家族農業を維持していくことの重要性を主張しています。こうした背景にはグローバル企業のアグリビジネスに地域農業が壊滅させられた国々の実態があるからです。
 日本政府の農業の大規模化、輸出重視の農業政策のもとでアメリカからの農産物の輸入が、今後、さらに拡大されるなら日本の農業が危機的状況になるだけでなく、もう一つの大きな問題として「食の安全」が脅かされることがあります。世界では農薬の多用やホルモン剤などの使用による健康への影響が明らかになり、ミツバチ絶滅の原因と言われているネオニコチノイド系農薬の規制強化や使用禁止する国々がEUやアジアでも広がるなか、日本は今や農薬基準が最も緩い国になっています。また、アメリカやカナダでは発がん性が明らかになった除草剤、グリホサートが小麦を収穫直前に乾燥させるために大規模に使用され、日本は、その残留農薬の基準を2017年に5PPMから30PPMの約6倍に大幅に緩和しました。他にも、日本は米国の遺伝子組み換え農産物の輸入の拡大要求に応じて、遺伝子組み換え食品の表示義務さえなくし、国民が知らないあいだに食べさせられる事態を作ろうとしています。
 このままではアメリカで売れなくなった危険な農産物や加工品、遺伝子組み換え食品が日本の市場に出回り、大人も子どもも食べさせられることになります。フランスや韓国ではこうした輸入自由化の動きに対抗して、自治体が安全な地域の有機農家を支援し、出来た農産物を学校給食に積極的に活用する仕組みを作り子どもと地域の農業を守っています。
 食の自給率が低下している中で、輸入農産物の拡大のため農薬基準を大幅に緩和させている日本の状況を市としてどのように受け止めておられますか。

(保健医療担当局長)
 農薬の残留基準値の設定については、厚生労働省の諮問を受けた内閣府の食品安全委員会が科学的なデータに基づき食品健康影響評価を行い、同省に答申した後、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の審議・評価を経た上で、同省が人の健康に悪影響が生じない数値として設定したものであることから、安全性に問題はないと考えています。

(藤井とし子議員)
 千葉県いすみ市のように学校給食に有機米を提供するなど、子どもの健康守る立場から、自治体が有機農業育成推進の立場に立つべきと考えますがどうされますか。

(経済観光局長)
 有機農業とは、「有機農業の推進に関する法律」において、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生・産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定められています。
 しかし、現状において、有機農業は、病害虫による品質や収量の低下が起こりやすいこと、多くの場合は生産コストの大幅な増加が伴うことなど様々な課題があり、特に化学肥料や農薬を全く使用しない農産物を生産することは、技術の難易度が非常に高く、本市で採用する農家はほとんどいない状況です。
 こうした中で、本市では、環境にやさしい農業として、化学肥料や農薬の使用を低減する栽培方法の普及に努めることとしており、一般的な栽培基準よりも化学肥料や農薬の使用を低減した農家のエコファーマーとしての認定や、エコファーマーの栽培基準に準じた“ひろしまそだち”栽培指針等により、安全・安心な農産物の生産を進めてまいります。

(藤井とし子議員)
 次に学校給食の問題です。
近年、日本でも格差と貧困の拡大がさらに進み、子ども食堂やフードバンクなどのボランティアの取り組みが全国各地で起こっています。このことは貧しい食生活を強いられている食料弱者が確実に増加していることを反映しており、改めて公的責任、とりわけ学校給食の役割がますます重要になっています。未来を担う子どもたちの心と体をどう作るのか、学校給食の安全な食の確保に対しての行政の姿勢が問われています。
 ところが、学校給食では、発がん性が明らかなグリホサートの残留農薬が確認されている輸入小麦を使ったパンが使用されています。市当局は残留農薬について基準値内だから大丈夫と検討もせず、使用は止めないと答弁されてきましたが、では一体どれくらい残留農薬が含まれているのか測定し、市民に明らかにすべきです。どうされますか。
 学校給食での輸入小麦の使用のパンはやめて、米粉パンかご飯に切り替えるべきです。どうされますか。

(教育長)
 小麦に含まれるグリホサートなどの残留農薬にりいては、先ほど保健医療担当局長もご答弁申し上げました通り、内閣府の食品安全委員会において、現状の科学的知見の下、神経毒性や発がん性など人体への影響に関するリスク評価を行い、これに基づいて厚生労働省が子どもや妊婦を含めた人の健康を損なうおそれがない範囲で残留基準値を設定しています。
 我が国で使用される輸入小麦については、その輸入の際、農林水産省において、この基準に適合しているかどうかの検査が行われており、これにより、学校給食用のパンに使用する小麦をはじめ、国内で流通する輸入小麦の安全性が確認されていると認識しています。
 したがって、現状において、本市独自に学校給食に使用される輸入小麦の残留農薬検査を実施すること、また、学校給食における週1回のパンについて、残留農薬を理由として、米粉パンやご飯へ切り替えることは考えていません。

(藤井とし子議員)
 また、有機農産物を学校給食に積極的に活用できるようにすべきだと考えるがどうかお答えください。

(教育長)
 学校給食においては、一定の食材費の下で、日々大量の野菜や果物を安定的に確保する必要がありまず。このため、現在の我が国における有機農産物の供給量やそのコストなどを踏まえると、学校給食で有機農産物を積極的に活用していくことは困難であると考えています。

(藤井とし子議員)
 安全でおいしい給食の提供は国民の負託を受けて行政が行うものです。広島市は、この間の中学校給食をデリバリー弁当と家庭からの弁当との選択制で20年以上続けてきましたが、広島市はこの学校給食を通じてどういった子どもを育てようとしたいのかが見えてきません。
 現在、広島市として学校給食全体と提供方式の見直しを検討していますが、どういう教育的視点で見直しを行っているのですか。
 また、その検討状況はどうなっていますか。
 私たちは、デリバリー給食の問題を解決し、教育としての給食は直営の自校調理方式が望ましいと主張し続けています。
 どういう給食にするのか決めるのに食の専門家や保護者も市民の入った検討会も作らず、行政が一方的に決めることは民主教育本来のあり方からして問題だと指摘してきましたが、改めて、この点についての認識を伺います。

(教育長)
 給食の提供体制を見直すに当たっては、デリバリー給食では十分な対応ができていなかったおいしい給食の提供や食育の充実、より安全でより効率的、かつ持続可能な提供体制の構築、老朽化する自校調理場一給食センターへの対応といった様々な課題をトータルで解決することを目指しているところです。
 その検討状況についてですが、この度行おうとしている給食提供体制の見直しは、デリバリー給食の調理業者のほか、パンなど主食の供給業者、また、野菜等の調達に係る市場関係者などに影響する可能性があるため、これら関係事業者と丁寧に協議・調整を行いながら検討を進めることとしていました。
 しかしながら、これらの関係事業者は、新型コロナウイルス感染症に起因する学校の臨時休業に伴う給食中止により大きな影響を受けたことから、予定していた協議・調整などが遅れている状況です。
 今後は、これら関係事業者の状況を確認しながら、できるだけ速やかに検討を進めていきたいと考えています。
 また、この度の見直し検討に当たっては、児童生徒や保護者等の給食に対するニーズを勘案することが重要だと考え、昨年1月に小・中学校の児童生徒、保護者等約2万2千人を対象に「食に関するアンケート」を実施したところです。
今後は、このアンケートの結果も踏まえた上で方針案を作成し、議会にも適宜ご説明し、御意見を伺うなど、丁寧に進めてまいります。

 気候非常事態宣言と南工場の建て替え規模の見直しについて

(藤井とし子議員)
 地球温暖化防止は待ったなし、海水温が30度を超え、巨大台風が発生しやすくなっているだけではなく、50年100年に一度という豪雨が毎年続き、そのたびに多くの犠牲者をだし、被害も甚大化広域化しています。さらに今年の夏も最高気温が40度に達する自治体も出ており、命や健康にかかわる深刻な状況が続いています。こうした中、世界的にも気候非常事態宣言をする自治体が増え、日本国内でも現在、29自治体がこの宣言を行い、何らかの具体的な地球温暖化防止対策の取り組みや行動を始めています。  
 気候非常事態宣言を発する自治体が増えていますが、広島市としてどう取り組もうとされていますか。

(環境局長)
 本市においては、平成29年3月に策定した広島市地球温暖化対策実行計画に基づき、地球温暖化対策に取り組んでいるところです。
 この実行計画には、気候非常事態宣言の主な趣旨である、気候変動の現状認識や対策の重要性等について示していることから、現時点で当該宣言を行うことは考えていませんが、今後も、市民一人一人の地球温暖化防止に対する意識を高め、行動につなげていくよう、地球温暖化対策の取組を進めていきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 広島市も2017年3月に温室効果ガス80%削減を目標とした「地球温暖化対策実行計画」を策定していますが、まだまだ市民のものになっているとは言えません。
 日本政府は石炭火力発電をやめるどころか、推進する国として国連では2度も化石賞を受ける恥ずべき態度をとり続けています。
 広島市は特に廃棄物の分野のCO2削減が遅れています。ごみの焼却熱を発電に利用するからと石炭火力発電と同じプラスチックごみなどの焼却化を、サーマルリサイクルとして推進しようとしていますが、これは国際的には通用しません。しかも廃棄物処理能力自体を減らしていこうとする努力も見られません。現在、焼却能力300トンの南工場を建て替えるため、停止していた安佐北工場の日量100トン分を再稼働させて、建て替える間の5年間対応しようという計画が進められています。建て替えの間の市内全体の焼却能力日量1100トンです。今年4月から事業所のプラスチックごみを焼却する分を見込んでも日量約850トンです。焼却ごみは定期点検中の休炉分を考慮しても1100トンで対応できるわけですから、令和10年度に稼働する南工場の規模が300トン炉のままというのはあまりにも過大な処理能力だと言わざるを得ません。
 広島市も気候非常事態宣言を行う同時に、ごみの一層の減量と資源化の具体的な目標を市民に明らかにし、ごみの再資源化とゼロエミッションの一層の推進でCO2削減に向けての市民レベルの協力をもっと進めるべきではありませんか。

(環境局長)
 本市では、ごみを可能な限りゼロに近づけ、環境への負荷を極めて小さくする「ゼロエミッションシティ広島の実現」を基本理念に、広島市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画を策定し、ごみの排出量、焼却量及び埋立量それぞれの減量目標を定め、ホームページで公表するとともに、その目標達成に向け、市民、事業者、行政が一体となって、ごみの減量・資源化に取り組んでいます。
 今後も、市民・事業者と協働で取り組んでいる「買い物袋持参運動」や「食品ロスの削減」など、ごみの発生を抑制する施策について、市民・事業者へより一層の周知を図り、市民一人一人の意識を高め、ごみの減量・資源化を推進していくことで、CO2の削減に繋がるものと考えています。 

(藤井とし子議員)
 今後、人口減少も見込まれます。CO2削減という環境問題解決のためにも南工場の建て替え規模は見直すべきだと思うが当局の考えをお聞きします。

(環境局長)
 建替え後の南工場、中工場及び安佐南工場の3工場による可燃ごみの全量焼却体制を、将来に亘り安定して維持していけるよう、各工場の定期的な点検・補修等による休炉期間を考慮した実質処理能力や、災害発生や突発的要因による稼働停止などのリスクを踏まえると、南工場は日量300トンの焼却能力で建替える必要があると考えています。


6、指定学校変更許可基準の改正について
(藤井とし子議員)
 広島市教育委員会は8月26日の教育委員会議で、来年度(2021年度)から、児童が多く、規模が過大になっている6つの小学校において、学校の過密状態を和らげるために、来春に入学する新1年生を対象に、希望すれば、空き教室のある隣接校に入学先を変更できるとする指定学校変更許可基準を改正したことを報告したとの新聞報道がなされました。
 振り返れば、2004年に中学校の通学区域の弾力的運用が導入されたときも、学校現場に十分な説明もなく実施された経緯があります。当時の教育長は「保護者、市民の理解と協力を得ながら進めたい」と説明していました。しかし、この度の「小学校1年生の隣接校への入学」については、議会にも何の報告もなく、あまりに唐突で一方的なやり方ではないでしょうか。
そこでお聞きします。
 どういう意図をもって、こうした計画が出されたのか。

(教育長)
 指定学校変更許可制度は、一定の事由に該当すれば、保護者の希望により指定学校を変更することができる制度です。
 この度の改正については、この制度において過大規模校が抱える課題の緩和につながるような運用ができないかと考え、31学級以上の過大規模校が指定学校になっている場合に、保護者が希望すれば隣接校に指定学校を変更できるよう許可事由を追加することにしたものです。
 この改正により、少しでも児童数が少ない学校に通わせたい、あるいは、通学距離が短い小学校に通わせたいといった、保護者のニーズに応えるとともに、過大規模校におけるクラス増の抑制や児童の過密の緩和につながることを期待しています。

(藤井とし子議員)
 地域や学校現場の合意はとられているのか。議会の意見はいつ聞かれるのか。

(教育長)
 今回の改正は、既存の指定学校変更許可基準に許可事由を追加するものであること、また、その内容も、強制的に通学区域を変更するのではなく、保護者の希望によって指定学校を変更することができるようにするものであることから、地域の方々や議会に特段の説明を行うことは考えていませんが、御意見が寄せられれば、丁寧に説明したいと考えています。
なお、対象となる過大規模校及びその隣接校には、趣旨や内容についてしっかり説明した上で改正を行っています。

(藤井とし子議員)
 安佐南区の対象校の春日野、山本、祇園の3校は隣接しています。いったいどこの学校に行くことになるのかお答えください。

(教育長)
 春日野、山本、祇園の3小学校は、同じ祇園中学校区の小学校であることから、これらを1つの学区とみなし、その学区の境界が接する全ての小学校のうち、過大規模校と空き教室がない小学校を除いた10小学校へ指定学校を変更することができるようにしたところです。
 具体的には、長束、原、古市、大町、安、安西、伴東、大塚、己斐上、三篠の10小学校です。

(藤井とし子議員)
 また、過大規模、過密化した教育環境の改善は、本来、広島市の責任で実施すべきものです。それを行わずに、小学校新1年生のみを隣接校に入学させることで、一時しのぎをしようとするものであり、根本的な解決にはなりません。分離新設も見通した計画も同時に持つべきと考えるがどうか、お答えください。

(教育長)
 本市における児童数は、全体としては減少傾向にありますが、宅地開発や大規模マンションの建設等により、地域によっては児童数が増加しく教室不足など様々な課題が生じている学校もあります。
 こうした状況が、将来にわたって続く見込みであれば、校舎の増築などの対応を検討することとしていますが、これらのハードの整備には一定の期間が必要であることなどから、この度の指定学校変更許可基準の改正のように、クラス増の抑制や児童の過密の緩和も期待できるソフト対策についても取り組んでいこうとするものです。

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