議会での質問・答弁

2020年09月11日

2020年第6回 9月定例会 報告に対する質疑 中森辰一議員

地方独立行政法人広島市立病院機構の経営状況報告について

(中森辰一議員)
 日本共産党広島市議団を代表して、地方独立行政法人広島市立病院機構の経営状況の報告について、質疑を行います。
 新型コロナウイルスの全国的な感染拡大の中で、感染患者を受け入れている病院だけでなく、どの医療機関も経営に大きな影響を受けているのが全国的な状況になっています。
 広島市立病院機構は4つの市立病院を運営している県内でも最も大規模な病院経営組織ですが、特に新型コロナウイルスの感染患者を市立病院で受け入れていますし、外来は紹介を受けた患者を診る形になっているとはいえ、入院も外来も、今回のコロナの影響をどのように受けているのか、たいへん気になるところです。
 決算の状況を見ると、入院収益は予算に対して5億5千万円余りの不足となり、外来収益は、逆に10億5千万円余りの超過達成となっています。これだけで見ると予算に対して実績が大きく上回っているように見えます。しかし、資本収支を含めた最終的な収支差額は7億4千万円余りの赤字、それを除いた収支差額も1億9千万円余りの赤字になっています。
 まず、この赤字の要因はどのようなものであるのかをお答えください。

(保健医療担当局長)
 令和元年度については、12月末時点で、前年度に引き続き、黒字決算が達成できる見込みでしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、舟入市民病院を始め、広島市民病院、安佐市民病院において、患者が受診を控えたことなどから、外来等の患者が減少し、収支が悪化したことが要因であると聞いております。

(中森辰一議員)
 次に、コロナの問題は、年度末の時期になってからの問題ですが、その中でも3月の影響が大きいのではないかと考えます。今年の3月だけで、予算と比べて、収益がどのようになったのか、入院、外来、医業収益の状況をお答えください。

(保健医療担当局長)
 広島市立病院機構における令和2年3月分の決算と予算との比較ですが、医業収益は、決算額が51億9千4百万円で、予算額とほぼ同額となっております。このうち、入院収益は、決算額が35億8600万円で、予算額の36億2600万円と比べて4千万円の減となっており、外来収益は、決算額が14億6700万円で、予算額の13億9900万円と比べて6千8百万円の増となっております。
 なお、外来収益が増額となっておりますのは、がん治療の化学療法の患者数が増えたことに加え、高額薬剤の使用による1人当たりの単価が増加したことによるものですが、さきほど御答弁しましたとおり、全体としては外来の患者が減少し、収支が悪化したと聞いております。

(中森辰一議員)
 1年間の経営の結果としての赤字に対して、病院機構としてどのように対応するお考えかお答えください。

(保健医療担当局長)
 令和元年度の赤字1億9345万6千円については、これまでの赤字の累計である1億9638万4千円と合わせた3億8984万円が次期繰越欠損金として翌年度に引き継がれることになります。
 このため、広島市立病院機構では、更なる収入の確保と経費の削減に取り組む、ことにより、収支の改善を図ることにしているという風に聞いております。

(中森辰一議員)
 また、私は、この赤字はコロナの影響によるものと考えていますので、広島市として一定の財政的補助を行う必要があるのではないかと考えていますが、広島市としては、この赤字にどのように対応しようとお考えか、お答えください。

(保健医療担当局長)
 令和元年度については、第二種感染症指定医療機関である舟入市民病院において収支に影響があったことから、広島市立病院機構に対して約4千5百万円の運営費負担金を追加で支出したところです。
 新型コロナウイルス感染症の影響による広島市立病院機構への本市の財政支援につきましては、今後の収支状況を見極めつつ、必要に応じて、検討してまいりたいと考えております。

(中森辰一議員)
 コロナの影響は、今年度こそ大きくなると思っていますが、これについて、病院機構はどのようにお考えか、お答えください。
 しかし、今年度の予算を見ると、入院収益、外来収益とも昨年度より増加するというものになっています。入院収益の方は昨年度予算に比べて、控えめに500万円余りの増としてますが、外来収益は昨年度の予算に比べて15億円余りも増やす予算になっています。昨年度の実績が予算より10億円以上も上回ったことを考えての見込みだと思いますが、昨年度の実績よりさらに5億円近く上回る予算になっているのは驚きです。
 この予算は、いつ策定したのでしょうか、お答えください。

(保健医療担当局長)
 広島市立病院機構の令和2年度予算は、令和元年11月末時点の入院・外来収入の実績等を踏まえて積算し、令和2年3月26日の理事会において承認を得たものです。

(中森辰一議員)
 今は、9月ですが、例えば第一四半期の3か月間は、前年実績に比べて、入院収益と外来収益はどのようになっているでしょうか。また、今年度の予算に対してどのようになっているでしょうか、お答えください。

(保健医療担当局長)
 令和2年度第一四半期の入院収益は、78億8千万円、前年実績が86億9千万円で、差引8億1千万円の減となっており、外来収益は、36億6千万円、前年実績が40億4千万円で、差引3億8千万円の減となっています。
 また、令和2年度の予算との比較ですが、入院収益は予算額88億2千万円と比べて、9億4千万円の減、外来収益は予算額41億6千万円と比べて、5億円の減となっております。

(中森辰一議員)
 広島民医連の調査によると、県内の医療機関では、医療収入が2割以上落ち込んでいるところが多いことや規模の小さい医療機関では3割以上減収になったところが多いことが報告されていますが、おそらく、広島市立病院も厳しい経営状況におかれているのではないかと推察しています。
 広島市立病院機構としては、今年度の経営の成り行きについて、どのように展望しておられるのか、お答えください。

(保健医療担当局長)
 新型コロナウイルス感染症の影響による患者の減少や、感染者の入院病床の確保による入院患者の減少、さらには個人防護服や医療資器材等の購入費の増加などにより、現在までの収支状況は厳しい状況にあります。
 このため、各病院では、感染者のための病床確保の補填や個人防護服の購入について、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用する一方で、医療消耗備品や被服費等の削減、医療機器の購入を翌年度に先送りするなど支出を抑制することなどにより、収支の改善を図ることにしていると聞いております。


【再質問】
(中森辰一議員)
 コロナに関して、広島市立病院全体として規模が大きいということもあって、相当な市民の医療に関して役割を果たしている一方で、このコロナの影響というのは小さい病院に比べると大きな規模ではないのかなと受け止めました。
 年間を通してこれからどうなるか、おそらく秋冬の感染の状況によってはかなり変わってくる可能性があると思っております。仮に病院運営上たいへん大きな赤字を1年間で抱えてしまったという時に、行政としても何らかの、コロナに関わって国からの支援であるとかを大いに活用しつつ、病院経営に対して一定の責任を負うという姿勢が広島市行政として必要なのではないかと。
 結果として、現場で必死になって医療を守っている医療スタッフの、例えば人件費にしわ寄せがあったりとか、無理に医療単価を増やすということで、結果患者さんの側に身体的にも経済的にも負担を増やすという形で市民にしわ寄せするという事態を招いてはなりません。
 病院のことについてはまた一般質問でも聞くつもりですが、既に一部では人件費という面でしわ寄せがあると聞いています。経営上厳しい事態になったときに、病院を設立した広島市の行政として、無理な運営をすることがないよう、必要な財政的な手当を行うことが必要です。
 その点についての基本的な考え方、広島市行政としての考え方をお聞きしておきます。

(保険医療担当局長)
 今の基本的認識ですが、まさにおっしゃる通りだと考えています。コロナウイルスに関する市立病院機構への影響も相当大きいものと考えていますので、引き続き市立病院機構の病院運営が適切にできるように、そして、そこで働くスタッフ、そこで受け入れさせていただいている患者の皆さんが安心して順応できるようにしっかりと支えたいと考えております。

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