議会での質問・答弁

2020年06月15日

2020年第4回 6月定例会 一般質問 中原ひろみ議員

1.被爆75年被爆地の責務について
 ①平和宣言について
 ②パークPFI事業について
 ③緊急事態条項改憲について
2.コロナ危機を乗り越え新しい社会を
 ①憲法を生かす政治を今こそ
 ・くらしと営業への支援について
 ②コロナ禍の教訓を生かし社会の見直しを
 ・医療体制の立て直しについて
 ・開発から福祉分野へ転換を
 ③種苗法の改定について
 ④危機管理・避難所の見直しについて
 ⑤子どもの学びと健康について
3.就学援助の基準額の適正化につい


1.被爆75年被爆地の責務について
①平和宣言について
(中原ひろみ議員)
 日本共産党広島市会議員の中原ひろみです。市議団を代表して一般質問をします。
 今年は広島・長崎への原爆投下から75年、そして、世界が3度の戦争の惨害を防ぐことを決意し、国連を創設してから75年の節目に当たります。人類の生存にとつて死活的な課題である核兵器廃絶は、世界の圧倒的多数の願いとなっています。
これまで、核兵器禁止条約に調印した国は81ヶ国、批准国は38ヶ国で、残り12ヶ国が批准すれば条約が発効します。まさに時間の問題です。被爆者国際署名は1,051万筆、7割の自治体首長1,200人が署名し、自治体の約4分の1にあたる433自治体が、日本政府に対し核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書を採択しています。
 しかし、肝心の被爆国の日本政府が核兵器禁止条約に背を向け続けていることは許されないことです。
新型コロナウイルスの大流行によりNPT再検討会議が延期されるなか、トランプ政権が小型核戦略を打ち出すなど、核戦争の危険が増す中で迎える被爆75年の平和記念式典ですが、今年は「3密」をさけるため参列者は例年の1割程度に制限するとされています。
 式典に参加できない大勢の人がいるなか、例年以上の期待と注目が式典に寄せられており、とりわけ「平和宣言」の重みは増しています。しかし市長は記者会見で、今年の式典は「慰霊に目的を絞る」と発言されました。この発言の主旨は、これまでの「核兵器廃絶・世界恒久平和の実現」という基調を変えて「慰霊と祈り」だけの式典に劣化するのではと危惧する声が被爆者から出ています。
 まず、この発言の主旨についてお尋ねするとともに、被爆地からの核兵器廃絶のアピールが後退することはないのかお聞きします。

(市長)
 中原議員からの御質問にお答えします。「被爆75年被爆地の責務について」のうち、「平和記念式典の目的について」の御質問がございました。
 4月9日の記者会見での私の発言は、平和記念式典の開催に当たっては、密集や密接を避けるという新型コロナウイルスの感染防止策を十分に行う必要があることから、式典が持ち合わせてい
る慰霊、平和のアピール、平和教育といった要素のうち、原爆死没者の慰霊という要素を重視し、参列者を絞っていくということも考えられることを述べたものです。
式典が持ち合わせている他の要素を無視するということではありません。
 今年の平和宣言においても、核軍縮をめぐる現下の厳しい国際情勢や全人類が直面する新型コロナウイルス禍を踏まえつつ、被爆75周年の節目にふさわしい発信力のあるものにしたい、と考えています。さらに、平和首長会議加盟都市など市民社会の幅広いパートナーとも連携し、厳しい社会情勢の中ではありますが、市民社会に向けて可能な限り平和の発信を行っていぎたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 広島市議会の政策立案検討会議が昨年から今年にかけて実施した「平和の推進に関するアンケート」には、市長の平和宣言に対して率直で厳しい意見が述べられています。多かったのは「他人の言葉を借りるのでなく自分の確固たる信念として国に禁止条約の批准をもとめてほしい」というものです。
 また、「長崎市長の宣言と比べ、注目度が年々、低下している。長崎市長の平和宣言が全国枠で広島市長は地元ローカルでの放送が珍しくなくなった」という意見もあります。これは被爆地ヒロシマとして残念なことです。
 なぜ、そうなるのかと考えたとき、市長が座長を務める「平和宣言に関する懇談会」の会議が非公開で、広く市民の意見をくみ上げていないことにあるのではないと考えるものです。
 そこで3点、提案します。
 長崎市では、平和宣言は市長一人の考えでなく、できるだけ多様な視点を取り込み世界に届く平和宣言にするため、長年、「起草委員会方式」を取り、15人の委員からの様々なアドバイスで案が練られています。
 特に、学生の委員による若い世代ならではの率直な意見が平和宣言に変化をもたらしていると評価されています。広島市でも、若い世代も入れた起草委員会方式により平和宣言を作成されるよう提案します。

(市民局長)
 「平和宣言に関する懇談会」のメンバーにづいては、平和宣言が国内外の多くの人々に強く訴え掛けるものとなるよう、被爆者の体験談や平和への思い、あるいは核を巡る国内外の情勢や、より伝わりやすい表現方法などについて御意見をいただける方を選定するという考え方のもと、現メンバーの皆様に就任をお願いしているところです。
 これにより、広島市長として訴えるべき内容がきちんと整理でき、広く国内外に伝わる平和宣言が起草できていると考えており、現時点で見直すことは考えていません。

(中原ひろみ議員)
 また、平和宣言のなかに被爆体験を引用されますが、被爆者が式典で直接に訴えるプログラムにすることで、被爆の非人道性をより強く発信できるのではないでしょうか。

(市民局長)
 議員御提案の、被爆者が直接訴えるプログラムを平和記念式典に加えることについては、本市が平成23年から、平和宣言において被爆の実相や被爆体験を主要な事項として盛り込み、発信してぃることと軌を一にするものと考えています。
 しかしながら、式典が酷暑の中、屋外で長時間にわたって行われること、また、参列者が高齢化していることを考慮すると、現時点では、新たにプログラムとして追加することは困難であると考えています。

(中原ひろみ議員)
 さらに長崎では市民団体が、コロナ禍のなか資料館にこられない修学旅行生などに原爆資料館や平和公園を案内する「おうちで長崎原爆資料館」と題した動画サイトをユーチューブで配信されています。広島市でも展示内容を動画で配信されてはいかがですか。以上3点についてどのようにお考えですか。

(市民局長)
 新型コロナウイルスの感染拡大により、広島を訪問したくてもできない状況が当面続くものと見込まれる中、そうした方々に被爆の実相に触れていただくため、できる限りの取組を行ってぃきたいと考えています。
 このため、平和記念資料館では、修学旅行生に向けた被爆体験講話の収録映像を順次ユーチューブで公開するとともに、館内で展示中の新着資料展の内容を動画を交えてホームページでも公開しているところです。
 引き続き、インターネットを活用した被爆の実相の配信につぃて、可能なものから順次取り組んでいきたいと考えています。


②パークPFI事業について
(中原ひろみ議員)
松井市長のもとで、世界遺産原爆ドームの緩衝地帯であるバッファゾーン内に料亭「かき船」がつくられ、元安橋のたもとにはカフェ・ポンテが広がり、原爆ドーム正面の「おりづるタワー」にはオープンカフェが営業しています。その陰で、原爆犠牲ヒロシマの碑や広島郵便職員殉職碑などの慰霊碑は影を潜めています。
鎮魂と慰霊、核兵器廃絶を誓う慰霊碑のそばで飲食や飲酒をして金儲けするというのは、被爆者を冒涜することと同じではないでしょうか。
 市長は、今年度の新規事業で平和大通りの緑地部分を都市公園化するパークPFI制度を導入されようとしています。パークPFI制度は、公募で選ばれた民間事業者が公園内でカフェや飲食店などを運営し、売り上げの一部を公園施設の整備に使うという制度です。しかし、この一帯には原爆犠牲者を追悼する様々な慰霊碑が点在しています。ヒロシマは被爆という「DNA」を持つ都市です。
 にもかかわらず、被爆の実相を語り残す「まちづくり」が切り捨てられ、「にぎわい」ばかりが重んじられる被爆都市でいいのでしょうか。平和都市ヒロシマのまちづくりは、慎重であると同時に市民の意見をしっかり聞く姿勢が必要です。どのようにお考えですか。

(経済観光局長)
 今年度予定している、パークPFI制度を活用した平和大通りのにぎわいづくりに係る基本計画の作成に先立って、地域の方々のご意見をしっかりとお聞きすることとしており、これまでに、平和大通り沿道の町内会、商店街、事業者、被爆者団体など54件を訪問し、ご意見をお聞きしています。
その中には、カフェなどの常設施設を設置する場合は、慰霊碑や供木に特段の配慮が必要であるとのご意見もありますが、常設施設の設置を含め、総じて肯定的なご意見をいただいています。
 今後は、引き続き平和大通り沿道の地域の方々からのご意見をお聞きすることに加えて、広く市民の皆様からのご意見を聞く「意見募集」を行う予定です。これらのいただいたご意見や平和大通りの歴史的な背景などを踏まえながら、基本計画の作成を進めていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 そもそも平和大通りは、太平洋戦争で米軍の空襲による火災の延焼をとめる「防火帯」をつくるため、多くの住居が強制収用され建物を解体してできた通りです。解体作業に動員された学生・生徒、民間人の多くが原爆の犠牲になった場所です。夥しい市民の犠牲のもとに出来た通りだという独自の歴史があることを忘れてはなりません。他都市と同じように道路に緑地帯があれば開発すればよいというものではないのです。
 被爆地ヒロシマが被爆75周年に始めなければならない事業は、平和大通りを民間事業者の儲けの場にするためのパークPFI事業ではなく、戦争の加害と被爆の実相を伝える被服支廠の保存活用策を積極的に提案・具体化を図るなど、まちづくりの土台に平和行政を据えることが必要なのではありませんか。市の考えをお聴きします。

(経済観光局長)
 パークPFI事業は、民間事業者が公園内で営業する施設の収益の一部で、公園内のトイレ、ベンチなどの整備を行うなど、民間事業者の利益を地域に還元する仕組みとなっています。
 市民はもとより広島を訪れる世界中の人々が、平和大通りに点在する慰霊碑や供木運動で提供された樹木を巡り、静かに平和の尊さに思いを馳せたり、憩いや交流な.どができる空間を、持続的
に良好に保つ上で、パークPFI事業による民間活力を活用したまちづくりは有効であると考えています。
 なお、「平和大通りのにぎわいづくり」は、平成29年3月に策定した「ひろしま都心活性化プラン」に定める行程表に沿って進めているものです。

③緊急事態条項改憲について
(中原ひろみ議員)
 原水爆禁止世界大会イン・ニューヨークは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に立ち向かいながら世界の反核運動の英知を結集するためにオンライン国際会議を開きました。
 そのなかでグテーレス事務総長は「世界のあらゆる場所での即時停戦」を呼びかけるとともに、人類が新型コロナウイルスの脅威に直面するもとで、求められているのは分断や対立でなく市民社会を含めた国際的共同だと訴えられました。人類同士で戦争や対立している場合ではありません。
 しかし、日本政府は「新型コロナウイルスに対応するには、憲法に緊急事態条項が必要だとして、国会の憲法審査会で議論を期待したいなどと自らの改憲策動にコロナウイルス問題を利用しようとしています。国民には力を合わせて、コロナ危機を乗り越えようといいながら、国民の中で意見が二分する問題を強行しようというのは、究極の火事場泥棒であり許されません。
 自民党の改憲案には9条への自衛隊明記とともに、緊急事態条項が盛り込まれています。大地震など異常な大規模災害で国会を開くいとまがない場合、内閣は政令を制定できるというものです。つまり、内閣の権限を強化し、国民の権利を制限し、民主主義の機能を停止させる恐れが強くなります。
 世界の歴史から見ても、憲法の「緊急事態条項」が悪用されナチス・ヒトラーの独裁政権に道を開いたことは周知の通りです。
 戦後制定された日本国憲法で「緊急事態条項」を設けなかったのはこのような痛苦の経験によるものです。
①安倍政権による憲法への自衛隊明記と緊急非常事態条項導入は「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こす」危険性があると考えます。
②また、コロナで国民の命と暮らしが脅かされるなか、今やるべきことは、感染拡大防止と国民の命、暮らしを守るために必要な支援を大胆に素早くやり抜くことであり、憲法が定める生存権や財産権をいかに保障するのかという議論こそ必要です。この2点について市長の見解をお尋ねします。

(市民局長)
 新型コロナウイルスの感染拡大は、市民生活の安心・安全な生活を脅かす問題であり、感染の拡大防止に向けて徹底した対策を講ずるなど、国や県、市、医療機関、関係機関等が緊密に連携し、全力を挙げて取り組むべき問題であると考えており、憲法改正は、国会においてしっかりと議論をしていただくべき問題であると認識しています。


2.コロナ危機を乗り越え新しい社会を
 ①憲法を生かす政治を今こそ
 ・くらしと営業への支援について
(中原ひろみ議員)
 新型コロナウイルス感染拡大は社会全体を覆う「災害」です。緊急事態宣言のもと自粛要請により経済がストップしたことで、国民は収入が途絶え、生きていけない状況に陥り、かつて経験したことがない苦難に直面しました。こうしたなか感染拡大を防ぎながら市民の健康と暮らしをどう守るのか自治体の姿勢が大きく問われました。
 そこで、まず、暮らしと営業への支援についてお聞きします。
感染拡大防止のため多くの事業者が収入減を覚悟で自粛に協力してきました。その為、仕事を失った人もいます。再就職先もないというのが現実です。
 日本共産党市議団のアンケートには、「店の廃業が先か、首を切られるのが先か」「コロナでは死ななくても、生活苦で死ぬ。助けてください」「子ども二人は休校、親は仕事を失った。給食がないので子どもは毎日カレー、親は豆腐でしのいでいる」「マイホームのローンが支払えない、家を売るしかない」との悲鳴です。この声に応える支援策が必要ではありませんか。自助はもう限界です。
 国の一回限り10万円の特別定額給付金は遅いし、足りないとの声が多数寄せられています。美容院などは、県の感染拡大防止協力支援金の対象職種から外されたうえに、国の持続化給付金も収入の5割減少が基準となっているため申請できません。県からも国からも支援が受けられないことに不満の声が出ています。
 「災害」ともいうべき時に、「共助」を振りかざし、市長自身の考えに固執するのでなく、広く「市民の実態を掴む」謙虚な態度が必要です。
 岡山市長は経験したことのない「感染症」との戦いのなか、市長自らが各会派と市民の実態や願いを掴む懇談をされたと聞きました。そのような取り組みを通じて、収入が2割以上減収した事業所に現金給付する市独自制度を創設されています。見習うべき姿勢ではありませんか。
 国は、第2次補正予算で中小企業や個人事業主に対する家賃支援給付金を実施しますが、実質の給付時期は8月になるといいます。これでは、毎月の家賃の支払いができず、廃業や倒産を食い止められません。
 このような国・県の制度の遅れや不十分さをカバーすることが自治体に求めらる支援です。
 収入減に見合う継続的な現金給付が急がれています。今こそ、人間らしい最低限度の文化的な暮らしを保障する憲法25条の立場にたつ支援が必要だと思いますが、市長の認識を伺います。

(健康福祉局長)
 本市においては、従来から国や県との役割分担を明確にした上で、地域固有の課題解決など基礎自治体として必要な行政サービスを提供することを市政運営の基本としてきています。
 これまで社会福祉の分野において講じてきている新型コロナウイルス感染症対策についても、こうした考え方の下、個人や事業主を直接的に支援する国の対策を補完・補強するとともに、共助の精神を重視し、その活性化に資するものとすることにしたものです。

(中原ひろみ議員)
 「共助」ばかりを強調するのでなく、目の前で苦しむ市民の命を守り、事業の継続を支え、生活を支えるために、市がやれる支援策をすべてやり切る事です。市長はコロナ危機により一社も一店もつぶさせない、一人も路頭にまよわせないという決意で臨んでおられるのか、基礎自治体の首長としてのお考えをお尋ねします。

(経済観光局長)
 昨日、定野議員の御質問に市長が答弁いたしましたとおり、今回の新型コロナウイルス感染症に係る経済対策については、経済活動を抑制してでも新型コロナウイルスの感染拡大防止を優先するとの判断の下で、国が緊急事態宣言を行ったことにより、個々の事業者の経営努力では遠く及ばず、長期化すれば、倒産や廃業に直結するような厳しい状況が生じたことへの対応策であり、経済活動に影響を受けている事業者に対する直接的な支援は、基本的には、国や休業要請を行った県において措置すべきものと考えています。
 こうした認識の下、本市としては、日頃からの国・県・市の役割分担を念頭に置いた上で、一社も一店も潰させない、一人も路頭に迷わせないという決意の下で、県と協力して感染拡大防止協力支援金を支給するなど、「公助」による下支えにも取り組みつつ、それを補完・補強するために、地域での支え合い、事業者同士が連携した「共助」による取組を強力に支援していくこととしています。
 今後、「共助」による支援の輪をさらに大きく広げることで、事業者にとってより一層大きな支援につなげていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 緊急非常事態宣言は解除されましたが、新しい生活様式は「新しい自粛要請」であり、県外への移動が制限されているもとで、経済も雇用も暮らしも元通りには戻りません。引き続き、暮らしと営業・雇用を守るための支援策が不可欠です。

国は新たに地方自治体に2兆円の地方創生臨時交付金を追加します。この財源を使って、収入が減少した全ての事業者に届く支援金制度の創設や、水道料金や公営住宅、給食費等の減免を実施すべきと思いますが、市の考えをお聞きします。

(企画総務局長)
 今回、企業の業績や資金繰りの悪化、世帯の所得減などを直接的に緩和するための諸措置については、基本的に国及び県において講じられるべきものと考えており、本市としては、「共助」の精神に基づく地域での支え合い、事業者同士が連携した取組への支援となるようにしているところです。
 そうした中で、増額される地方創生臨時交付金については、国から示されている使い方の方向性も踏まえながら最大限活用し、国や県の「公助」による下支えの補強・補完に資するような対策を講じてまいりたいと考えています。

②コロナ禍の教訓を生かし社会の見直しを
 ・医療体制の立て直しについて
(中原ひろみ議員)
 人類の歴史においてペストやコレラ等の疫病の大流行が大量の死者を出し、経済と文明を衰退させ、国家を滅ぼす原因になってきましたが、新型コロナ問題でも「現代文明の限界」が暴き出されています。
 一旦疫病が流行れば、大規模な緊急経済対策を打たなければ生きていけないほど国民は貧しく疲弊し、中小零細企業の経営が行き詰まり、海外からの部品供給がストップして自動車の組み立てもできず、マスクにも衛生資材にもことかく経済社会だったということです。
 コロナ危機を通じて「すべてを市場原理にまかせて利潤を追求する外需頼みの、こんな社会でいいのか」という問いかけが始まっています。
 感染症はコロナの2波・3波をふくめ、今後も起きる可能性があります。今回の事態を教訓化し、「事前」の備えをつくることが求められています。
 そこでまず、医療体制の立て直しについてお聞きします。
ドイツは早い段階から一週間に90万件という大規模なウイルス検査を実施し余裕ある医療体制を整えていたことが、ヨーロッパ諸国のなかでも死亡者数も回復率も高い要因だと評価されています。
 一方、日本の一週間の検査数は2万5千件しかありません。検査数が極端に少ないのは、歴代自民党政権が進めてきた地方分権改革や行財政改革により、医療、福祉が削減されてきたことが要因です。感染病床は1997年当時の9,060床から1,869床に。保健所は706ヶ所から408ヶ所に、医師は1,713人から728人に、臨床検査技師も1,353人から746人へと減らされています。
 感染症病床や保健所の人員と体制の大幅削減が、PCR検査やクラスター対策の遅れの一因となったことは否定できません。
 全国的に感染症病床が少ないため、37.5℃の発熱が4日以上続くことが検査の基準にされ、東京では家庭で重篤化し犠牲となる方も発生しました。広島市も2014年に感染症病床を50床から16床へと削減しています。
 広島市では、最初の感染者が4箇所の病院を受診してPCR検査ができたことや、接触者相談センターの電話はつながらず、地域のクリニックは感染を危惧して受診に応じないという事態も発生するなど、発熱時の検査体制に関して市民のなかに大きな不安が広がりました。
 今後の感染症に備え、大規模なPCR検査が実施できるようにすることが必要です。保健所と保健センターの人員を増やし検査機材を整備し、日常的な公衆衛生業務の強化とともに、市民が安心して検査がうけられるようにゆとりある体制へと充実すべきではありませんか。

(保健医療担当局長)
 保健センターでは、通常の業務に加え、新型コロナウイルス感染症に関する市民や医療機関からの間合せへの対応や、感染が確認された患者等への積極的疫学調査の従事など、感染が拡大するにつれて職員の負担が大きくなっていました。
 このため、本年5月1日から、これまで夜間・休日のみとしていたコールセンターでの対応を平日昼間に拡大するとともに、回線数を大幅に増加し、受付体制を強化しました。さらに、5月25日から本市退職保健師を各保健センターに配置し、新型コロナウイルス感染症に関する相談や医療機関等との調整業務を専任で行えるよう体制を整え、職員の負担軽減を図るとともに、市民の利便性の向上に努めています。
 また、PCR検査については、現在、本市における1日当たりの検査可能件数は140件程度であることから、今後、PCR検査機器を新たに購入するなど、本市の検査体制を拡充するとともに、民間の検査機関や医療機関への委託を更に拡大するなどして、検査体制を強化してまいります。

(中原ひろみ議員)
 同時に、クラスターが発生しても医療崩壊を起こさないで済むように広島市の感染症病床をもとの50床に戻すべきではありませんか。

(保健医療担当局長)
 第二種感染症指定医療機関に指定されている舟入市民病院は、感染症法の改正による対象疾病の減少や、これに伴う一受入患者 数の大幅な減少を踏まえ、国の基準により、県から指定された病床数を上回る病床数を見直し、医療スタッフがより機動的・効率的に病棟業務に従事できるよう整備したものであり、現時点では、これを見直すことは考えていません。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の対応において、入院患者が増加した場合には、感染症病床以外にも患者を入院させることが可能であるとの国の通知を踏まえ、舟入市民病院では、この度、最大28人の患者を受け入れているごとから、引き続き、柔軟な対応を行うことによって、医療提供体制を確保したいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 また、国が地域医療のさらなる効率化を目指し、推し進めようとしている全国424の公的・公立病院の再編・統合計画の中止を求めるべきです。

(保健医療担当局長)
 昨年、国が公表した再編・統合の検討が必要な公立・公的病院については、人口構造の変化等に伴い、地域の医療を取り巻く状況が厳しさを増す中で、地域医療構想の達成や地域包括ケアシステムの構築の推進が求められており、とりわけ医療提供体制については、病床の機能分化や医療機関の連携強化等により、より質が高く効率的なものとしていくことが必要となってくることが背景にある゛ものと受け止めています。
 このため、公立・公的病院の再編・統合の検討については、国による機械的な分析だけで判断し得ない地域の実情に関する知見を補いながら、引き続き、地域医療構想調整会議において議論を尽くしていくべきであると考えています。


・開発から福祉分野へ転換を
(中原ひろみ議員)
 広島市は、200万人都市圏の拠点都市、さらには中四国地方の中枢都市として、大規模な都市開発事業を進めていますが、新型コロナウイルスの感染拡大と市民の大きな不安の広がりは、高層ビルが建ち並ぶ街をつくることよりも、危険なウイルスから市民を守ることができる安心のまちづくりの方が、より重要であることを明らかにしました。
 同時に、保健衛生・医療だけでなく、放課後児童クラブ、保育園・介護事業所・障がい者施設などの福祉分野が、社会を支えるためにいかに必要な事業なのかを再認識させました。
 これらの事業と施設の経営を守り、そこで働く従事者が働きつづけられる手厚い施策を進めるために、企業立地促進補助事業やアストラムライン、国道2号線の延伸などは凍結して必要な財源をつくるべきと思いますが、市長のお考えを伺います。

(財政局長)
 保育・介護・障害などの社会保障に関しては、国に第一義的な責務があることを前提に、本市としての役割を果たすため、引き続き、国・県の財政支援制度の積極的活用や、選択と集中の徹底、民間委託の推進などにより財源の確保を図ることで、その充実に努めてまいります。
 なお、企業立地促進補助や大規模プロジェクトの推進は、新たな投資を呼び込み都市の活力を生み出し、ひいては、税源をかん養するために重要であると考えており、社会保障を将来にわたって機能させていくための財源の確保に資するものと考えています。

③種苗法の改定について
(中原ひろみ議員)
 新型コロナウイルスの蔓延は医療や経済だけでなく安定した食糧確保にも変化をもたらしています。中国に依存していた玉ねぎやニンジンなど野菜類の輸入が滞り、技能実習生として予定していた海外からの農業労働者の渡航中止は、労働者不足に苦しむ日本の農業に打撃を与えています。また、ベトナムではコメの輸出制限が始まり、ロシアやウクライナは小麦の輸出量を見直しました。元国連食糧農業機関事務局長補の小沼博之氏は「地球規模の気候危機や新型コロナ感染拡大が今後さらに加速すれば、さらなる食糧輸出制限や食糧価格の高騰につながる懸念がある」と指摘しています。海外に多くの食料や農業労働力を依存する日本の国の在り方を見直す時です。
 現在、日本の食料自給率は37%まで低下し、農家の高齢化が進む中、野菜を中心にこの百年で在来種の7割が消滅しています。この現実は、国の存続に関わる深刻な問題です。しかし、日本政府は、食料自給率の向上どころか、種を開発、育成、管理する公的な責任をなくす「主要農作物種子法」の廃止に続いて、種と苗の自家増殖を原則禁止にする種苗法へと改正しようとしています。これは、日本の農業を多国籍企業に売渡すに等しい行為です。

 「種苗法が改正されると農家は毎年、種と苗の開発者に許諾料を支払い続けることになり、重い負担を強いられることになります。これでは、農業は守れませんが、市の認識をお聞きします。

(経済観光局長)
 種苗法における農産物の品種には一般品種と登録品種があり、この度の種苗法の改正案で許諾料が必要となる品種は、イチゴの新品種といった登録品種ですが、本市では、広島菜などの在来品種を始め、現在利用されているほとんどの品種は、開発者等の許諾が必要とならない一般品種となっています。
 種苗法の改正案については、現在、国会へ提出されていますが、新品種の開発者等の権利が保護され、国内で開発された優良品種の海外流出を防ぐことなどから、農業の競争力向上に資するものと考えています。

(中原ひろみ議員)
 国民の食を守るには、農業を守り安定した食糧確保こそ不可欠です。日本政府に対し、種苗法の改正を止め、「主要農作物種子法」を復活せよと求めるべきではありませんか。

(経済観光局長)
 種苗法の改正については、先ほど御答弁したとおり、農業の競争力向上に資するものと考えています。
 主要農作物種子法については、平成30年4月1日の廃止を受け、引き続き優良な種子の生産及び安定供給を図るため、広島県において、同年4月2日付けで「広島県稲,麦類及び大豆種子取扱要領」が制定され、さらに、議員提案による条例制定に向けて検討されていると聞いております。
 本市としては、県が定める要領等に基づいて農業振興に努めていきたいと考えています。

④危機管理・避難所の見直しについて
(中原ひろみ議員)
 新型コロナウイルスの問題が長期化すると言われるなか、感染症と大規模自然災害との複合災害の危険をどう防ぐかが急がれる課題となっています。
①「三密」を避ける状況下では、現在の指定緊急避難場所等で受け入れることができる避難者数はどの程度、少なくなるのでしょうか。
②これまで通りの避難者数を確保するには、避難所を増やすことが必要です。旅館やホテルなどの宿泊施設を避難所として位置付けることも必要ですがどのようにされるのか伺います。
 防災関係58の学会でつくるネットワーク「防災学術連携体」が緊急メッセージを出し、ウイルス感染のリスクが高いこれまでの避難方法とは違う避難方法を考えることが必要だとして、町内会で災害時の感染防止対策を話し合って相談しておくこと、さらに、公的避難所を利用する予定人数を調べて予め自治体が掴むことが重要とも指摘されています。このような取り組みについても、早期に始められるよう求めておきます。

(危機管理担当局長)
 指定緊急避難場所等で世帯ごとに適当な間隔をあけた場合の収容人員について、シミュレーションを行ったところ、避難世帯の人数構成にもよりますが、これまで想定していた収容可能な避難者数の2分の1から4分の1程度になるものと考えています。
 そのため、より多くの収容人員を確保できるよう、指定緊急避難場所等が小学校である場合は、通常使用する体育館とセットで教室等を使用することとしモおり、また、児童館など収容人員が少ない施設である場合は、開設する施設の変更や近隣施設の追加開設などの対応を進めています。
 旅館やホテルなどの宿泊施設を避難所として位置付けることについては、近年頻発している土砂災害を想定した場合でも、本市が既に指定している避難所が量的に不足する状況にはないと考えています。また、被害の発生が見込まれるのは、市の郊外が多いのに対し、主要なホテル・旅館はデルタ部に集中しています。
 こうしたことから、発災後、直ちにホテル・旅館を避難所として活用することは考えておりませんが、長期の避難生活となった場合には、特に配慮が必要な妊婦や高齢者への対応はもとより、感染症対策の面からも、ホテル・旅館の個室での生活は望ましいと考えており、現在、業界団体等に利用に当たっての条件確認などを行っているところです。

⑤子どもの学びと健康について
(中原ひろみ議員)
学校は「新しい生活様式」のもと6月から再開されましたが、子どもたちの心のケアをはじめ、「3密」をさける感染防止対策や、遅れた学習を取り戻す授業計画の策定、オンライン授業への取り組みなど、教師は多忙を極めていると聞いています。
国も、2次補正で教員の加配を打ち出しましたが、その規模は3,100人で全国の小中学校の10校に一人しか配置されず焼石に水です。
 日本教育学会が「提言」されているように、教室での密を避けるには10万人規模で教師を増やして20人学級を実施すべき時です。市としてもコロナ禍を契機に、校舎の増築、プレハブの増設や公共施設の利用などで20人学級の実施にむけて、検討を始めるべきではありませんか。
 国に対し、教師の大幅増員とともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーはじめ、学習や清掃、消毒、オンライン整備のための支援員のさらなる加配を求められるよう要望しておきます。

(教育長)
 小・中学校を20人以下の学級編制とするためには、ほとんどの学校で1クラスを2分割する必要があり、多くの教室の増設が必要になるとともに、学級担任に加えて各教科の担当など、多くの教員を新たに確保する必要があります。
 また、新型コロナウイルス感染症対策としての教室内の環境については、文部料学省の「衛生管理マニュアル」では、本市が該当する「感染レベル1」の地域にあっては、児童生徒の間隔を1メートルを目安に学級内で最大限の間隔をとるように座席配置を取ること」等、学校の新しい生活様式が示されており、これに基づき、感染リスクを可能な限り低減しつつ、通常の学級編制で授業を行っているところです。
 こうしたことから、本市の少人数教育については、20人以下学級ではなく、これまで行っている35人以下学級を中心とした取組により、教育内容の充実を図っていきたいと考えています。
また、新型コロナウイルス感染症対策については、国の「衛生管理マニュアル」を踏まえ、しっかり取り組んでまいります。

(中原ひろみ議員)
 夏休みが短縮され酷暑のなかで体育の授業をすることとなります。子どもの成長にとって身体を動かすことはとても必要なことですが、熱中症対策も不可欠です。酷暑のなか運動場の使用は控えなければなりません。プールも中止となりました。そうなると体育館を活用する以外ありません。
 これまで避難所として体育館にエアコン整備を求めてきましたが、改めて、子どもたちの夏場の運動施設として体育館にエアコン整備の必要性が高まっていると思いますがいかがですか。

(教育長)
 学校の体育館については、児童生徒の運動の場であるほか、地域の運動活動の揚、災害時の避難場所等の役割も担っており、そ うした利用に際してエアコンの整備は有用であると認識していま
す。
 一方で、その整備については、多額の事業費を要するため、国の中長期的な財源措置が必要であることから、国の動向や他都市の状況等も踏まえ、引き続き検討していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 休校による学習の遅れに関して国は、長期間で履修すればよいとの通達を出していますが、中学3年生、高校3年生の受験を控えた学年・生徒には時間がなく、将来にとても大きな不安を抱き、モチベーションが上がらないという声が届いています。
 5月13日には、受験内容に関する文部科学省初等中等教育局長通達が出され、「問題を選択制にする、面接、作文を取り入れる」など、必要な工夫と適切な範囲での出題が要請されたと聞いています。
 受験生が、安心して学びしっかり受験に臨めるように早期に試験の在り方などについて発信すべきと思いますが、いつごろどのような内容に決められるのかお聞きします。

(教育長)
 広島市立高等学校も含めた広島県公立高等学校入学者選抜の具体的な内容については、例年10月に公表しており、現時点では本年度についても同時期に公表する方向で、県教育委員会と協議を進めているところです。
 こうした中、本年5月13日付の文部科学省からの通知で、地域における中学校等の臨時休業等の状況を踏まえた出題範囲や内容、出題方法について配慮が求められており、今後再び学校が臨時休業になること等により、授業の進捗に影響が生じる場合には、県教育委員会と協議し、対応について検討していきたいと考えています。
 なお、大学入学者選抜については、現在、文部科学省において、一般入試を含めた入試日程、出題範囲、追試験の活用による受検機会の確保等について、全国高等学校長協会にアンケート調査の実施を依頼し、その結果を踏まえて6月中には「大学入学者選抜実施要項」を策定及び公表すると聞いており、これを受けて必要な情報を適宜、各学校を通じて受験生に伝えて参ります。

 

3.就学援助の適正化について
(中原ひろみ議員)
 今年2月に発表された「広島市行政経営改革推進プラン」で示された「就学援助制度の適正化」とは、①就学援助制度の認定基準に用いる生活保護基準額を、30年前の基準から直近の基準額に変える。②社会保険料を二重に考慮していた算定方式を変更する。この2点の見直しが検討されています。この適正化は小・中学生を持つ家庭にとって改善となる方向性を指すのかどうかまずお聞きします。

(教育長)
 今回行おうとしている適正化は、あくまで現行の就学援助制度の認定において、認定基準額に用いる生活保護基準額が平成元年度のままとなっていること、また、生活保護基準額に一定の係数を乗じて社会保険料等の負担を一部考慮した認定基準額と、所得から社会保険料等を差し引いたものとを比較しているため、社会保険料等を二重に考慮する算定式となっていることから、これらの課題の解消を図るために行うものです。
経費の削減や制度の充実を主目的とするものではありません。

(中原ひろみ議員)
 市は、社会保険料等を二重に考慮する算定式を見直すに当たり、生活保護基準額に乗じる係数を見直すのか、それとも、所得から社会保険料等の実額を控除する見直しにするのか、どちらの方法にするか検討しています。が、生活保護世帯が負担していない社会保険料などの実額を所得から控除して収入額を算定することは当然であり、どちらを選ぶか検討すること自体が大問題です。所得から社会保険料の実額が控除されないこととなれば、生活保護世帯と同水準かそれ以下の収入でなければ制度が利用できないことになりかねません。
 実際、申請者が自営業か、協会けんぽか給与の国保かで、実質の収入のあり方が3種類あり、収入に対する社会保険料の比率に2倍以上もの差があります。このような世帯別の条件の違いを考慮した実質収入を算出することの必要性について市の認識を伺います。

(教育長)
 給与所得者と事業所得者とでは、雇用主負担の有無の関係などから所得に対する社会保険料等の負担割合が異なるため、生活保護基準に一定の係数を乗じるという算定式と、所得から社会保険料等の実額を控除するという算定式とを比較すれば、後者の方がより生活実態に沿ったものになると考えています。

(中原ひろみ議員)
 その上で、重要な問題は、制度の適用の可否を決める収入基準です。
 社会保険料や税を除いた実質収入が、生活保護基準をどの程度まで上回る額を就学援助の適用対象とするかが重要となります。就学援助の認定基準額は、生活保護基準額より高い水準であるべきと思いますが、市の見解を改めて伺っておきます。

(教育長)
 就学援助については、生活保護を受けている者に準ずる程度に困窮している者、すなわち、生活保護者と同程度の生活水準である者が、本来、援助の対象となるものと認識しています。

(中原ひろみ議員)
 生活保護基準は、安倍政権の下で2度にわたって大きく切り下げられました。子どもを持つ家庭では1割を超える保護費の削減が行われており、これを取り返す上乗せが必要です。1.1倍以上で、やっと以前の生活保護水準に近づきます。
 文部科学省が発表している平成30年度の就学援助制度の状況によると、生活保護基準に一定の係数を掛けたものを認定基準にしている自治体のうち、倍数が1.2倍を超え、1.3倍以下」の自治体が52.6%と半数以上です。広島市は1.146倍です。広島市のように1.1倍を超えて1.2以下は3分の1と少数です。一方、1.2を超える自治体が3分の2を占めていることは重要な事実です。
 「適正化」するなら、現行の生活保護基準が極めて低く抑えられていることを考えても、広島市では、少なくとも生活保護基準の1.3倍を就学援助の認定基準とするのが「適切」であると提案します。どうされるかお答えください。

(教育長)
 認定基準額は、生活保護基準額に一定の係数を乗じて認定基準額を算出しております政令市のうち本市を除く18市でみますと、1.0倍から1.5倍と幅があり、また、社会保険料等の控除を行うかどうかについても違いがあり、これを行わない政令市が多くなっております。
こうしたことから、本市においては、生活保護基準額に乗じる係数の見直しを行うのか、所得から社会保険料等の実額を控除するという算定式の見直しを行うのか、慎重に検討していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 就学援助制度の適正化の結論をいつまでに出して、いつから実施するのか。

(教育長)
 できるだけ早期に結論を出したいと考えていますが、現在、新型コロナウイルス感染症対策に力を傾注しているところであり、就学援助の適正化の検討は、一旦、中断している状況です
そのため、現時点では、結論を出す時期については未定です。

TOPへ