議会での質問・答弁

2020年02月21日

2020年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議案質疑 中原ひろみ議員

第107号議案、令和元年度広島市一般会計補正予算(第4号)について
第116号議案 広島市学校施設整備基金条例の制定について


第107号議案、令和元年度広島市一般会計補正予算(第4号)について
(中原ひろみ議員)
 日本共産党広島市会議員団を代表して令和2年度第一回広島市議会定例会に上程された第107号議案、令和元年度広島市一般会計補正予算(第4号)のうち学校の情報教育環境整備についてお聞きします。
 これは、平成30年6月に、学校教育法の一部を改正する法律が公布され、小中高の授業で紙の教科書に代えて「デジタル教科書」(タブレット端末など)を使えるようになったことから、国の経済対策として約64億円の予算で、全ての小・中・高等学校、中等教育学校に校内LANの更新及び、高速大容量の通信ネットによる無線LAN環境の構築をはかるとともに、義務教育課程に段階的にタブレット端末を購入するとして、小学5年生、6年生、中学生、中等教育学校、特別支援学級の児童・生徒全員に一人一台のタブレット端末54,212台を整備しようというものです。

 おたずねします。
①この度の情報教育環境整備は、約34億円の国庫補助金に加え、26億円の市債、2億円の一般財源を使い実施しますが、国は、タブレット端末の費用負担は自治体の判断だとしています。必要な機器の整備に関して、個人負担は一切ないのか確認します。一台当たりの価格、一括購入なのか分離分割発注なのかもお聞きします。

(教育長)
 国は令和5年度までに義務教育課程の児童生徒1人1台の端末整備を実現するため、上限額4万5千円以内のものであれば全額補助を行う新たな補助制度を設けたところです。
 本市では、この補助制度を最大限に活用しながらタブレット端末を購入することとしており、個人負担を求めることは考えていません。
 なお、一括か分割かの発注単位については、今後検討して参ります。

(中原ひろみ議員)
②今後のメンテナンスや、機器の更新の費用負担はどうなるのでしょうか。

(教育長)
 国の「GIGAスクール構想の実現」に係る補助制度は令和5年度までで、端末の修繕などのランニングコストは、現在、補助対象外となっており、また、将来の端末更新については、文部科学省が、関係省庁や地方自治体等と協議をしながら、検討を進めるとされていることから、現時点では明確になっていません。
 これらについては、既に指定都市が連携して、補助制度の拡充やれ和6年度以降の継続について国に要望をしているところであり、引き続きしっかりと連携を図りながら、国に働きかけてまいります。

(中原ひろみ議員)
③市立高校6校に関しては、無線LAN環境は整備されますが、今回の国補助の対象は義務教育課程のみとなっているため、高校生のタブレット端末の整備は、国の補助対象外です。そのため、広島県は県立高校の保護者に負担を求めていますが、市立高校の生徒のタブレット端末の費用負担はどのようにされるのかお聞します。

(教育長)
 議員ご指摘の通り、国の「GIGAスクール構想の実現」に係る補助制度では、高等学校のタブレット端末は、義務教育課程とは異なり、補助対象外となっています。
 また、広島県では、県内の国公立・私立の高等学校等に在籍する非課税世帯の生徒に対する経済的負担の軽減策を講じつつ、来年度から、一部の県立高等学校において、保護者負担で端末を整備すると聞いております。
 本市では、広島市立の高等学校について、令和2年度に国の補助制度を活用して構内LANの更新・無線LAN環境の整備を行うことにしており、端末の導入は、LAN環境整備後の令和3年度以降になりますので、その導入までに県の取組や他の政令市の動向等も踏まえながら、費用負担のあり方について検討してまいります。

(中原ひろみ議員)
④デジタル教科書は法律上「教材」であり、無償化の対象となる「教科書」ではありませんが、タブレットは自宅に持ち帰ることができるのでしょうか。丁寧に扱える子どもたちばかりではありません。機器の管理だけでも教師の仕事は確実に増えると思いますが、タブレット端末の保管や充電、メンテナンスはどのようにされるのか伺います。

(教育長)
 この度導入する義務教育課程へのタブレット端末は公費で整備する学校備品であり、自宅に持ち帰らせることは想定しておりません。
 端末の保管や重電については、今後、各普通教室に整備する充電保管庫で行うこととしており、保管庫への収納は児童生徒が、施錠は教員が行うことを考えています。
 なお、端末に不具合が生じた際のメンテナンスについては、教員の負担軽減を図れるような方策について、端末導入までに検討していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
⑤衆議院の文部科学委員会の審議のなかで文科相は、デジタル教科書の使用はあくまで現場の判断だとして「使わないという教員は使わなくてよい」と答弁しています。市は、デジタル教科書の活用について現場の教師に任せるのか、それとも人事評価の評価項目として強制されるのか聞いておきます。

(教育長)
 令和元年6月に施行されました「学校教育の情報化の推進に関する法律」においては、「教科書として使用することが適切な内容のデジタル教材について、各教科等の授業においてデジタル教科書として使用することができるよう、その教育効果を検証しつつ、教科書に係る制度、これは教科書の位置付け、教科書の検定、あるいは児童生徒への無償の供与、等に関する制度を言いますが、これについて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」とされています。
 また、同じく令和元年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」では、文部科学省において、学習用デジタル教科書の効果・影響について検証を実施しつつ、最適な制度のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずることとされています。
 このように、学習者用デジタル教科書の位置づけについては、現時点で明確になっておらず、本市としても学習者用デジタル教科書の取扱いについては、決まっているものではございません。

(中原ひろみ議員)
⑥ICT教育の強要は、ICTに不慣れな教師にとっては、精神的負担になります。強引な導入は、教師の新たなストレスと多忙化につながり、働き方改革に逆行します。「どういう授業をするか」「事前にどのような研修を受ければよいのか」と不安の声も挙がっています。現場の教師の理解は進んでいるとは言えません。ICT教育を推進するためには、モデル校での実践の課題検証をはじめ、機器の使い方やICT時代に対応した授業設計や実践教育のあり方をしっかりと現場に徹底することが導入の前提だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

(教育長)
 ICT機器の導入当初には、機器操作等に不慣れなため、戸惑いや不安がある教員もいると思いますので、機器の扱い方を記した操作マニュアルを配布するとともに、初心者向けの研修を実施することなどにより、支援を行っていきたいと考えています。
 また、来年度、小学校2校、中学校1校を情報教育推進校に指定して、先行的に児童生徒のタブレット端末を整備し、これを効果的に活用するための授業計画や、指導方法等について実践研究を行うこととしており、そうした効果について公開研究会等を通じて、広く全校に普及していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
⑦また、いざ購入して授業で活用しようとしても、「教材がインストールできない」「ネットワークに接続できない」という初歩的な問題を始め、「正常に起動できない」「充電できない」「音が出ない」などの不良品にまつわるトラブルも想定されます。タブレット端末を購入さえすれば、あとは全て教育現場に丸投げというのでは、学校現場に大きな負担となります。ICT機器のメンテナンスや故障等に対応するICT支援員を各学校に配置すべきではありませんか。

(教育長)
 1人1台のタブレット端末の導入に伴い、これまで以上に端末のトラブルや故障等の件数が増加するものと想定されますので、教員の負担軽減につながるようなサポートの方法について、今後、検討していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
⑧保護者からも、デジタル画像の長時間使用による子どもの目や脳、体など健康への影響を心配する声もあります。保護者にも丁寧に説明し理解をはかることが必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

(教育長)
 タブレット端末などICTの活用に当たっては、国が作成した「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」において、正しい市政で端末を使用したり、画面が見やすくなるように端末の角度を調整したりするなど、目や身体への影響が生じないよう健康面に配慮する必要があると記載されています。
 タブレット端末を本格的に導入する際には、児童生徒に、健康面に配慮した正しい端末の使い方を指導するとともに、保護者に対して、こうした学校での取り組みや、家庭においてスマートフォン等のデジタル機器を使う際に注意していただきたい事項等を記載した文書を配布し、周知を図っていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
⑨今後、どのようなスケジュールでICT教育を全市に導入されていくのか、タブレット端末をどの程度、授業で活用し、どんな教育効果を上げようとされているかお聞きします。

(教育長)
 タブレット端末については、このたびの補正予算により、令和2年度に、小学校5年生と6年生、中学校1年生から3年生、高等部を除く特別支援学校の全学年分を購入することにしています。
 残りの小学校1年生から4年生については、今後の国の予算措置に寄りますが、現時点では、令和3年度に購入し、令和4年度中には、全学年でタブレット端末を使用できるようにしていきたいと考えています。
 この度整備するタブレット端末の具体的な使い方や効果については、例えば、個々の習熟度や後藤傾向に応じたドリルソフト等のデジタル教材を用いることで、各自のペースで理解しながら学習を進め知識を習得する学びが維持できます。また、インターネットを活用した情報収集、観察や実験時の写真や動画による記録が効率的にできるようになることなどが期待されております。
 なお、タブレット端末を授業でどの程度使うのかということについては、現時点では、決まったものはございません。

(中原ひろみ議員)
⑩文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、昨年12月、先端技術を活用し、1人1台のコンピューター整備により、一人ひとりの子どもに「個別最適化された学び」を推進する「GIGAスクール構想」を打ち出しました。子どもの学習傾向やスポーツ・文化活動などのデータを分析し、それぞれの子どもに「最適化」された学習内容を提供するというものです。この「GIGAスクール構想」に対し教育の専門家からは、公教育への企業の参入が進み、集団的学びがおろそかになり、画一的な教育につながるとの懸念も出ています。広島市は「GIGAスクール構想」をどのように受け止められているか伺います。

(教育長)
 これまでの学校の授業は、一律の内容を、一定のペースで、一斉に受け身で学ぶという形態が主でしたが、これからは、一人ひとりの習熟度に応じ自分のペースで学び、それをもとに他者と協働して更に学んでいくという、いわば個別最適化された能動的な学びへと転換をしていく必要があります。
 国が進める「GIGAスクール構想」は、児童生徒1人1台の端末を活用することなどにより、こうした学びを実現していくものであるというふうに受け止めています。

 

第116号議案 広島市学校施設整備基金条例の制定について
(中原ひろみ議員)
 第116号議案 広島市学校施設整備基金条例についてお聞きします。
 この条例の制定目的はなんでしょうか。なぜ今、条例が必要なのですか。

(教育長)
 廃校となった小河内小学校跡施設については、平成31年4月1日から5年間、民間事業者に優勝貸与することになりましたが、これにあたり、公社等建設時に受領した国費のうち、有償貸与額に係る国費相当額約33万6000円については、国庫に返還するか、学校施設の整備に要する経費に充てることを目的とした基金に積み立てるかという、必要が生じてまいりました。
 これを受け、基金を設けることとし、このたび、条例案及び積立金の補正予算案を提案したものです。

(中原ひろみ議員)
 いつまでに、いくらの基金を積立てるのか。

(教育長)
 積み立て時期については、議案議決後、速やかに積み立てたいというふうに考えています。

(中原ひろみ議員)
 積立てた基金を使って整備する具体的な施設があるのか教えてください。

(教育長)
 基金の充当先については、小河内小学校に関係した基金ですので、その統合先の飯室小学校の来年度の設備整備費に充てることを考えています。

【再質問】
(中原ひろみ議員)
 ICT教育は世界の流れでもありまして、これに遅れてはいけないというのもありますので、デジタル教科書も採用するということに対しては異議はないわけですが、いかにいいものであっても、現場が、合意がない、上から強制して押し付けるというのではやはり成功しないと私は危惧するものです。
 タブレット端末の1人1台というのは、世界的に日本が情報教育が遅れてるって言うんで、安倍総理の号令一下、1人1台ということが指示されて、急遽具体化されたということで、現場の先生達からすれば、驚いたというか、いつそんなことになったのかというような声が聞かれております。
 令和2年度に、先ほど申しました5年生6年生とか中学生とか進めていくと、令和3年度は小学校1年生から4年生までということですけれども、しっかり検証をしていくことがどうしても必要だと思います。
 改めて確認したいのは、マニュアルもできていない、その研究を今からするんだというふうにおっしゃったと思うんですが、この研究校で検証するというのは何校でどれぐらいの期間、1年間を通じて検証されるのか、具体的な取り組みの流れをもう一度確認をしたいと思います。
 広島では藤の木小学校で、もう10年ぐらい前からタブレット端末を使った授業がされているんじゃないですか。全国でもそういうモデル授業っていうのがあって、いろんな都市でやられておりますけれども、そういう実践研究校の発表会みたいなものがありまして、そういうところで先生たちの様々な体験をお聞きしますと、不具合の時の対応をいかに素早く人が助けに来てくれるのかということと、その人の配置のための予算が取れるのかということ、それからタブレットの授業やんなさいと強要されることが一番嫌だというような報告も聞いたところです。
 広島でもそういう先生たちの思いもあるでしょうし、全国での実践事例もしっかり検証して、とにかく買って始めればいいというのではなくやはり一歩一歩現場の先生たちの合意をもとに進めていってほしいと思うんですが、そのへんの市の考えをもう一度確認をさせていただきたい。

(教育長)
 ちょっと順不同になるかも分かりませんが、実践研究校ということで、これは先ほど答弁しましたが、小学校が2校と中学校が1校であります。どの程度の授業時間でやるのかということですが、いろんな形でのいろんな授業活動を通じてやるということなんで、時間的にはどれだけということは申し上げ難いのですが、そういう意味ではしっかり来年度またやるということです。
 今お話のあった多分一番の原因というのは、デジタル教科書のご質問がございました。デジタル教科書ということに関しては先ほど申し上げましたように、教材としての教科書なのか、もう教科書になってしまうのかというお話がございます。これは現在、紙の教科書というのがありますけども、法律上は教科書に代わるデジタル教科書も可能になる、というところまで、できるというところまで決まっております。
 ただし先ほど申し上げたように、教科書に関する制度、教科書の位置付け、紙とデジタルを併用するのか、デジタルだけで行くのか、あるいは検定をどうするのかというようなことについては、今後検討を加えその結果に基づきこうやって検証するという措置を講ずるということになっております。
 先ほど使用を強制するのかというお話がございました。仮に将来紙の教科書というのがなくなってデジタル化されたならば、強制うんぬんというより教科書がデジタルですので、これを使ってやらざるを得ない。ただしこれはすぐ来年度とか、再来年度に変わるというものではなく、当然実際に使いこなす、授業として成立するような使い方が出来なければ、それはできませんので、そういったところはまた今回「GIGAスクール構想」自身が昨年度の後半から出て参りまして、整備も急いでやるということになっています。
 ただし、せっかくこういう形で国費がついてICT環境整備を一気に進められるという状況ができてまいりましたので、基本的にはそれをしっかり活用して子どもたちに教育をしたい、それに向けてやりますが、現場の混乱ということはやはりあってはいけないというふうに思っております。
 ですから当然台数が増えればいろんなサポート、メンテナンスなどトラブルもあるでしょうし、そういったことをどういうふうにサポートしていくのかとか、そういうところも含めて、そんなに潤沢に時間はありませんけども、しっかり考えていきたいというふうに思っております。

TOPへ