議会での質問・答弁

2019年12月11日

2019年第5回 12月定例会 建設委員会 中森辰一議員

≪議員の発言

2019年12月議会 建設委員会での第106号議案、指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意についての質疑
(中森辰一議員)
 昨日の、本会議の質疑を補足する意味で、質疑を行う。
 まず、昨日の質疑の中の、関連道路事業費が37億円増額になることについて。
 高速道路整備事業費が310億円増やされるが、料金収入が増えるということなどで収支がつじつまがあうように説明されている。これは40年先までの見通しだということになっている。40年先のことというのは、だれも責任が持てる数字ではない。
 ここでは、310億円増える事業費に合わせられるように、収入の額も支出の額も合わすことができる。そういうことができるなら、今回、有料道路工事であるのに公共事業として行われる部分の37億円の増額、これは(公共事業費の増額ではなく)有料道路事業の中に含めればいいではないかと聞いた。40年先を見通した収支の数字は、あなたがたが(今の市の職員が)責任を負えるかというとそういうことにはならない数字だ。
 今回の公共事業費の増額分37億円は、公共事業費の上乗せではなくて、有料道路事業費に上乗せすればいいではないか、ということを聞いたがどうか?

(高速道路整備担当課長)
 今回、高速道路整備事業費(料金収入で償還する部分)が310億円増額しようとしているわけであるが、諸条件の変化により増額分も40年間で償還が可能になっているということであるので、(37億円を入れると)定められた40年の償還期間で償還することが難しくなることから、(37億円分を)組み入れることはできないと考えている。

(中森辰一議員)
 40年の償還期間の中で、市と県の出資金などは一番最後に償還される。それも、あなた方(市職員など)がその償還に責任を負えるわけではない。だからこの償還計画も推測に過ぎない。途中でどういう事態が起きるか分からない。その程度のものだ。ここで、あえて公共事業費部分を増やすのは、市民の納得は得られにくい。
 そもそも、有料道路でありながら、増額前で(全体で)1241億円、それが37億円増えるということだが、こんな巨額の公共事業で行われるということを知っている市民はあまりないのではないか。高速道路整備事業費は4000億円だと思っている人が多いのではないか。こういうことも含めて市民に説明する必要がある。
 昨日の質疑を含めて、市長も理事者も、「反省している」とは言ったが、結局、「申し訳なかった」という謝罪の言葉を一度も発していない。
 公社というのは、法に基づいた独立した組織だというが、市や県から言われて道路をつくって運営しているだけだ。違うか?

(高速道路整備担当課長)
 今回の事態で、市民の不信、不満を招いたことについては、市として重く受け止めているところである。本市として、高速道路事業を実施する主体である公社を指導監督する責任を負う立場として、深く反省しているところである。

(中森辰一議員) 
いやいや、市と県に道路をつくってくれと言われて、道路をつくって運営している組織でしょ、と聞いている?

(高速道路整備担当課長)
 広島高速道路公社は、県と市が、高速道路の整備・運営をするために、平成9年に設立した組織である。公社は、国に対して整備計画の認可を得て、高速1号線から5号線までの事業を実施しているところである。

(中森辰一議員)
 高速道路を造ると決めたのは市と県だし、財源の手当てをする権限と能力を持っているのも市と県だ。それも、市が主導している事業だ。公共事業部分は、1240億円余りの事業を市が直接やっている。財源面から言っても、昨日の質疑で指摘した通りだ。
 いずれにしても、公社だけでは何もできない。そういう意味では、市の下請け組織だ。
 その下請け組織が、間違いを犯した、ということなら、指導監督責任がある市が、監督不行き届きだったとして、謝罪する。私たちの社会では当たり前に行われてきたことだ。
 そういう当たり前のことができないのが、広島市なのか?
 「反省している」という答弁はあった。しかし、そういうのを謝罪とは言わない。
 県知事は、謝罪の言葉を発しているが、なぜ市はできないのか?

(高速道路整備担当課長)
 本市としては、公社を指導監督する立場として、深く反省しておるということである。この反省を踏まえて、公社の業務執行体制、あるいは組織体制等をしっかり点検し、体制強化を図る取り組みが早急に行われるように、公社への指導を徹底していくということで、その責任を全うしていきたいと考えているところである。

(中森辰一議員)
 そんなに、申し訳なかったというのがいやなんだね。我々には理解できない。
 次に、整備費の追加額、56億円の内訳の中に、消費税の増税や人件費、建設資材の高騰、建設発生土処分地の変更で、併せて25億円だというのがあった。その内、シールド工法分が16億円、NATM工法分が9億円だという説明だった。
 消費税の増税分や建設発生土処分地の変更によるものについては、増額の内訳として、昨日の答弁で報告された。それ以外に、人件費の高騰や建設資材の高騰、というのもある。なぜ、これらも値上がり分を手当てする必要があるのか?

(高速道路整備担当課長)
 シールドトンネル工事については、公告から工事契約までの期間が6カ月経過している。このことから、近年の労務費の高騰を踏まえて国が決めた特例措置に対応して、公告から契約までの労務費の上昇分について増額変更するものである。
 資材費については、シールドもNATM工法も同様であるが、契約約款に基くスライド条項があって、物価上昇が1.5%以上ある場合で事業者から申し出があった場合、増額するものとなっている。

(中森辰一議員)
 次に、シールドトンネル工事の契約に関して、市長は、金額が決まっていなかったから、公社とJV側と双方でやり取りをしてきた、それが87億円で合意できた、というようなことを答弁で言っていたが、どういうことか?

(高速道路整備担当課長)
 第三者委員会の報告書において、200億円の契約金額には6項目の工事費用が含まれていなかったと解さざるをえない、あるいは、公社がJVとの間で契約金額の見直しを協議することには相当の理由がある、とされていて、これに基いて、公社とJVが工事費について協議したものというふうに考えている。

(中森辰一議員)
 道路交通局長は、「本体工事一式200億円」という契約は、有効な契約だと答弁した。
 ということは、金額は200億円と決まっている。これは、公社とJV側の署名捺印がある正式な、有効な契約書であるから、二葉山のシールドトンネル工事の請負契約額は200億円だ。間違いないか?

(高速道路整備担当課長)
 議員が言われるように、当初契約額は200億円で契約したものであるが、第三者委員会の報告書において、契約金額には6項目の工事費が含まれていなかったと解さざるを得ない、ということと、公社がJVとの間で契約金額の見直しを協議することには相当な理由があるとしていて、この報告書を踏まえて、工事費について公社とJVが協議し、先日、11月14日に公社の方から発表があったが、その金額について、当初契約の200億円に立ち戻って、287億円という形で合意したものである。

(中森辰一議員)
 昨日も聞いたが、あいまいにして答えないが、この有効な契約を、いま、当初の契約と言った。当初の契約であろうが何であろうが、この契約はシールドトンネル工事を200億円で請け負いますと約束した正式な契約だ。違うのか?

(高速道路整備担当課長)
 契約書は有効である。1.4キロのシールドトンネル工事を施工する契約書になっているということである。

(中森辰一議員)
 そうなると、談合があったか、なかったか。これは、肝心なところを見せてもらえないので、いまだブラックボックスの中だ。推測しかできない。第三者委員会は「合意はなかった」としている。しかし、分からないところがあるが、二葉山シールドトンネル工事を200億円で請け負います、という契約は、厳として存在している。どういう事情があろうと、この契約を遂行する義務が、大林組ほかのJVにはある。間違いないか?

(道路部長)
 当初契約200億円でシールドトンネル工事が契約されているわけだが、第三者委員会の報告書では、6項目の工事費用が含まれていなかった、と解さざるを得ない、ということと、公社とJVとで契約金額の見直しを協議することには相当の理由がある、という判断がなされている。この判断を受けて、JVと公社の契約の中には、特記仕様書として、第50条の中に、変更協議に関する条項が設けられているのであって、この条項に基づいて、公社とJVとで協議を行ってきて、先月、工事費の合意に至ったというものである。

(中森辰一議員)
 そんなことを言ったら、最初から合意があったことになるのではないのか。私は、最初の契約について、JVの側はこの工事を遂行する義務があるのではないのかと聞いた。それについては、答えていない。もう一度答弁を。

(高速道路整備担当課長)
 契約書は、トンネル本体工一式ということなので、1.4キロのシールドトンネル工事を施工する契約であると認識している。

(中森辰一議員)
 第三者委員会の結論は、どうでもいい。昨日の本会議質疑でも明らかになったように、肝心なところが見えていない。馬庭議員も言ったではないか。資料を取り寄せたが黒塗りだったと。県議会では、第三者委員会は公社のお手盛りだという意見もあった。
 あなた方は、そういうものを、唯一の拠り所にして、第三者委員会の報告書ではこう言っている、と繰り返しているだけだ。
 これが、民間同士の契約だったらどうなるか。
 有効な契約を締結しておきながら、認識が違っていた、などというのは通用しないし、増額を要求して、工事を遂行しないとなったら、これは裁判に訴えられて負ける。
 そんなことは、百も承知だから、JV側は工事を遂行しているのではないか。
 後から増額協議をするという合意があったかどうかに関わりなく、有効な契約を締結した以上は、その契約上の義務を果たさざるを得ない。それが分かっていて契約したのだから、200億円で請け負う契約を締結したJV側には、工事を遂行する義務がある。
 仮に、それが分かっていなかったとしても、これはJV側の重大な過失であり、契約を履行する義務を免れることはできない。
 常識だ。どうお考えか?

(高速道路整備担当課長)
 契約は双方の合意をもって成立するものだと思っている。そうした中で、6項目の費用が入っていたかどうか、工事費用のところで双方に認識の違いがあった。という中で、今回工事が進んできた。そういう中で、第三者委員会に判断を仰いで、6項目の費用は含まれていなかったと、その工事費用について協議するのことには相当な理由がある、との第三者委員会の判断に基づいて、公社とJVは協議をして合意に至ったというものである。

(中森辰一議員)
 6項目の工事費についても、本当にそうなのか、という疑念もある。
 そもそも、1者しか工事を引き受けるところがない。これはJV側にとっては重大な強みだ。300億円の見積もりも、他と比較しようがないので、これが本当かどうかは分からない。他の会社が見積もったら200億円になるかもしれない。本当は200億円でいいが、100億円余分に見積もったのかもしれないではないか。それも比較できないからわからない。それを調査する能力も当時の公社にはない。こういうことじゃなかったのか。
 そうすると、最初から、200億円も300億円もというような工事費、その見積を出してもらうのに、1者しか応札がなかったという、ここから問題が始まっていると思うが、本当に300億円でないとできなかった工事なのかどうか、疑問だがどうか?

(高速道路整備担当課長)
 今回、認識の違いということで、公社とJVとが改めて協議をした。そのなかで、協議の進め方として、JV側が出した300億円の見積もりをもとに、細かい根拠の提出をJV側に求めた上で、妥当性を検証し、またさらに、他の発注機関の事例等を参考にして、土木工事標準歩掛が適用できる工種については、その歩掛を用いるとともに、特殊な工種で業者見積によらなければならない工種については、メーカーから見積もりを徴収したうえで積算したところ、増額が必要になるということが、公社として認識できたことから、それについて協議し合意したということである。
 こうした、公社の積算の方法や考え方については、本市は説明を受けているが、妥当なものであると考えている。

(中森辰一議員)
 最初の見積もりを大幅に減額したという、そのあたりのやり取りも明らかになっていない。本当はどうだったのかということが、明らかにならないような報告書などというのは信用できない。
 増額分を精査したら87億円になった、と言っている。
 本来は、公社は、裁判を起こして、200億円で工事を遂行するよう要求するべきだと思う。これが、契約の重みというものだと思う。契約の重みは、公社だけでなくて、JV側にも重いものだ。
 JV側には200億円の契約を遂行する義務がある。その200億円の契約を遂行する義務があるというところから交渉するのであれば、ゼロからいくらにしましょうかという交渉にするべきではないかと思う。それが、市や県や公社がやるべきことではないか。
 今回のような疑惑を招くような1者しか応札しない、こうしたシールドトンネル工事を施工できる会社は他にもある。実は、この大林組も、リニアのトンネル工事では談合の疑惑が言われたではないか。何社かあるのに、(他は)なぜ応札しなかったのか。施工能力がある会社が他にもあるのに、なぜ大林組他のJV1者しか応札しなかったのか。この最初から考えてみる必要があると思う。
 そういう点で、このようなことを二度と引き起こさないためにも、いったん契約したものはきちんとやってもらう、そういうところから、公社、市も県も要求するべきだと思う。こういう点について、もう一度考え方をうかがっておく。

(道路部長)
 今回のことについては、第三者委員会の報告の判断を踏まえて、工事契約の当事者である公社とJVの間において、契約書の契約約款の中の特記仕様書の中に、疑義が生じた場合は、発注者と受注者が協議し、適正額を増額できるといった記載があるので、これに基いて工事費の協議を行って、このたびの合意に至ったものである。

(中森辰一議員)
 第三者委員会の報告書ということを、あくまでも言うわけだが、肝心なところが黒塗りのままで公表されない、そういうものを信用するわけにはいかない、ということをもう一度言っておく。

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