議会での質問・答弁

2019年10月07日

2018年度決算特別委員会 総括質疑 中原ひろみ議員

(中原ひろみ議員)

日本共産党市会議員団を代表して平成30年度決算の総括質疑をおこないます。
 市長は、平成30年度決算の市長説明で、人口減少、少子高齢化に打ち勝ち、世界に誇れる町の実現に向けてワンステップ駆け上がるべく諸施策の推進に努めたと説明をされたところであります。
 果たして市民のくらしがワンステップ引き上がったのかという問題意識があります。勤労世帯の実質賃金は一世帯20万円ぐらい低下しているというのが調査の結果でありますし、貧困が進んでおります。先般の消費税増税を前に駆け込み消費をする力もないというのが実際の状況であります。このような状況にある市民生活を支えて、教育子育てなどのニーズにこたえられたのか、税金の使い方を検証したいと思います。
 まず、高速5号線二葉山トンネル工事についてうかがっていきますけれども、決算の審査意見書では、予算の執行はおおむね適正であったというふうになっております。
 経常収支比率は改善した、財政運営方針で目標としております収支の均衡及び市債残高も抑制されたと、まあ目標はどれもこれも達成したということでありますけれども、本当に問題なく過ごせた一年だったのか、私はとても疑問を持っております。
 平成30年度は、広島高速5号線二葉山トンネル工事の事業が掘削工事に着工した年でありました。この工事契約は、議会と市民をだます契約であったと私は指摘します。
 3つの不公正・非常識を検証したいと思います。第一に、広島高速5号線二葉山トンネル工事は、平成28年、2016年5月31日に契約が交わされたようですけれども、JV、事業体から契約額200億円では足りないとして、平成29年、2017年2月ぐらいから増額要求がされ続けておりました。そのことを市は、平成30年2018年8月末には知っていたというのは、高速道路公社からの増額についての報告書にも書いてありますけれども、しかし議会にも市民にも隠したまま工事は着工されたんです。工事着工は9月18日でした。知ったのは8月末。
 本来ならここで工事を止めて、本来の適正な額に結びなおすのが公正ではなかったでしょうか。まさにこれは、200億円でできないということがわかっていながら、工事に着工してしまえ、という非常に不公正な行政だと指摘したいと思います。
 この増額問題が議会と市民にわかりましたのは、着工して40日後のことであります。
 二つ目の問題は、弁護士や学識経験者で構成する第三者委員会というところが審議をされていましたけれども、結果、不適正な契約であったとされたわけです。不適正な契約と指示されたものが成り立つのかということであります。
 県議会でも議員の質問に答えて、土木建築局長が契約時に認識の違いが生じた原因として、7項目あるというふうに答弁をされております。
 契約額の上限の設定が適切でない。適正に予定価格が積算されていない。標準案の策定がなかった。入札契約方式の理解が不足していた。多数回の協議・打ち合わせによる弊害があった。入札契約手続きにおいて、不適切な対応があった。時間的に制約があった。ということであります。まさしくこれはでたらめな契約だったということにほかなりません。
 双方が自己に都合の良い解釈をして、そこに誤解が生じ、認識の違いとなった、こういうふうに第三者委員会が報告したわけですが、こんな契約は白紙に戻すべきじゃないでしょうか。
 三つ目は、事業費がいくらになるか、一番重要な問題を不問にしたままに工事だけは進めていく、こんなやりかたは市民社会では通用しないんじゃないでしょうか。まことに非常識極まりないものであります。事業費が確定しないのに事業を進めるやり方は、税金を扱う行政として正しいのでしょうか。これじゃあまるで作ったほうが勝ち、こんな事業じゃないですか。
 そこでうかがいますが、小池副市長。この4月に広島市に就任をされました。広島市が出資金、貸付金を出している組織において、このような不正な行政、ずさんな契約が行われたまま事業費もわからないのにどんどん事業だけは進めていく、こんなやり方についてどのような見解をお持ちでしょうか。

(委員長)
 道路交通局長

(中原ひろみ議員)
 委員長、私は副市長に聞いております。

(委員長)
 道路交通局長

(道路交通局長)
 このご質問についてはですね、諸関係の…

(中原ひろみ議員)
 委員長、なんで副市長が答えないんですか。委員長、もう結構です。要は答えられないということでしょう。わかりました。
 それでは、契約部におたずねいたします。市はいろんな契約をするわけです。しかしこれは直接契約するんですから、公社とは違うとおっしゃりたいんでしょうけれども、市の契約では、どのように契約額というのが積算されるんでしょうか。
 また、契約額に対して積算ミスがないのに、事業者から「増額してくれ」こういう要求が出てきたことがあるんでしょうか。

(工事契約課長)
 広島市におきましては、本市職員、又は外部委託した業者によって作成されました設計図面等に基づきまして、適切な工事単価等を使用いたしまして、本市で積算を行い設計金額及び予定価格を算定し、これに基づいて入札手続を行っているものでございます。
 また、本市が発注する建設工事における請負代金額の変更につきましては、工事内容及び設計図書等に変更が生じた場合などにおこなうものでございます。このような場合は工事着手前であっても変更契約を行うことはあり得ますけれども、実際に行った事例は現時点で工事契約課においては把握いたしておりません。

(中原ひろみ議員)
 第三者委員会の報告書がここにありますけれども、一応これを読ませていただきました。第三者委員会の意見では次のように述べております。
 200億円が契約額の上限額で、これを超えた場合は、入札手続は中止。設計施工提案に基づいて最後に出された設計数量や見積書と、入札時の見積書が違う場合には入札は無効。となるとしております。
 今回JVは、3回の見積書を出しましたけれども、最後の見積書ではそれまでの約300億円の事業額が、突然200億円へと、100億円減じた額になっております。6項目の材料費が見積書から削除されたことによるものであります。しかし、第三者委員会は、この除かれた6項目の工事は当初から施工が予定されていたもので、契約後に現地の条件変更があったわけではないので契約後に工事費用を増額することは本来できないと明確に述べております。
 契約は発注者と受注者が事業内容とその金額で合意したからこそ成立するわけでありまして、契約額の上限額の200億円で請け負えないというのであれば、本来この契約は成立をせずに入札不調になっていたはずなんです。しかしそうはならなかった。そうはさせなかった。それはなぜかということであります。
 報告書を読みますと、公社は入札不調だけは避けたい、事業に早く着工したいという思いがあったというふうに書いてあります。契約額の上限を再設定して、手続きをやり直した場合には事業の完成が大幅に遅れると。またJVが入札を断念すると工事が着工できない。このことを大変危惧したことから、材料費、セグメントなどの6項目の材料費を除いた見積書による契約を結んで、その後、契約変更によって増額できるというような期待をJVに持たせて契約した、とこのように書いてあります。
 このような認識で間違いないでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 公社としては、当時予定価格として算出した総額約200億円について、工事の完成に必要な費用はすべて含まれているとの認識であったということです。
 一方で第三者委員会において、委員ご指摘のようなことが記載されておりますけれども、公社とJVとの間で増額するとの合意がなかったとしても、公社は、JVの増額への期待や認識を知りつつ、事実上の価格交渉が行われていたというふうに第三者委員会で判断されたことにつきましては、深く反省すべきと考えているというふうに聞いております。

(中原ひろみ議員)
 反省すればいいことではないんじゃないでしょうか。もちろん反省はしてもらわないといけませんが、さらに委員会の報告書によりますと、JVは公社に対して、平成28年1月22日、請負工事費は260億円を超える、こんなふうに言っております。200億円の契約額との差を埋めない限り、撤退せざるを得ないと、こんなふうに言ったんです。続く28年4月13日、今度は10億円上がりましてね、270億円にはこだわっていないが、ゴールを先に決めないと、200億円の見積もりは出せない、こんなふうに言ったんです。そして契約日の5月31日には、材料費を除外したのはお互いの共通認識だったじゃないかと、増額の協議をしてもらわないとトンネル工事はできませんよと言っているわけであります。
 まさに、脅されたな、というふうに思っておりますけれども、これは、事業を進めたいという公社と広島市の弱みをJVににぎられているということじゃないですか。結局事業体の言いなりに、事業を進めながら事業額を決める、こういうことになってしまったわけであります。結局事業費はどこまでふくらむかわからない。こんなやり方が許されるのかどうか、まさに前代未聞だと指摘したいと思います。この200億円は、手付金のようなものだと私は受け止めております。
 そこで聞きますが、そもそも公社はトンネル掘削工事が200億円で実施可能と積算したからこそ決めたんじゃないかと思うわけです。どのような検討をして契約額を200億円にしたのか、また、事業を進めながら事業費を決めるというやり方を市は許すのか、なぜそんなに事業の開始を急がなければならないのか、完成が遅れたら何か困ることがあるのか、教えてください。

(高速道路整備担当課長)
 公社はこのシールドトンネル工事の入札にあたりまして、前の年の11月に工事公告をおこなっております。その際に工事契約の上限額を200億円と設定しておりますけれども、これは、公社が実施した予備設計の成果に基づいて、コンサルタントから出されてきた見積もりを参考に、200億円で工事実施可能という判断のもとで、設定したものでございます。
 工事を進めながら、工事費について協議をしているということでございますけれども、シールドトンネル工事につきまして、契約当事者でございます公社とJVにおいて工事を進めながら工事費の協議を行っていくということで合意しております。このことから、掘削工事に着工したというふうに公社からは聞いております。以上でございます。

(中原ひろみ議員)
 工事を進めながら事業費を決めるっていうのはそこが私は問題だと思うんですね。そしたらもともとの200億円の意味がないじゃないですか。最初からやりながら決めればよかったじゃないですか。やっぱり手付けなんですよ。公社としては、JVがやめると言っては困るからとにかく何かお金を払っておきたいと。つなぎとめておいてですね。で、JVもやりたいと思ってますから、どんどん工事費を膨らましていく、こういう構図が見えてきましたね。
 事業の開始を急がなければならない理由はおっしゃいませんでしたけれども、まあ事業が遅れれば遅れるほど収入は減る、事業計画の見直しをしなければいけないということなんでしょう。
 それで、いつ正式な事業費というのは確定するんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 現在、公社とJVの間で工事費の協議が続いております。本市としましては、その協議を見守っている状況でございます。このため、工事費の確定時期についてはお示しできませんけれども、早期に両社が合意することを期待しているところでございます。

(中原ひろみ議員)
 見守るようなことじゃいけんでしょう。出資金、貸付金、出しているわけですから。これは広島市が頼んだ事業ですよ。公社が単独でやりたいって言ったんじゃないわけですから。やはりそこは市がきちんと指導して、いついくらの金額でするのか明らかにするような指導力を発揮しなきゃいけないじゃないですか。第三者委員会の報告書では、JVは300億円見積もっていたということなんですが、100億円減額しております。
 ですからまあ100億円ぐらいの増額になるのかなというのは想定するところですが、仮にこの規模で増額した場合にどこから財源が出るのかという話があります。借金すれば市債も増えて、当然財政健全化などの各指標は変化するんじゃないでしょうか。どうなりますか?

(財政課長)
 広島高速5号線の整備費の財源についてでございますけれども、国からの無利子貸付金が35%、公社が自主調達する資金が15%、県・市からの貸付金が25%、県・市からの出資金が25%となっております。
 本市からの貸付金につきましては、後年度公社から返済されるものであり、出資金につきましても、公社が借入金を返済したのち、料金収入により県・市へ返還されることになっていることから長期的に見れば、本市財政への影響は軽微なものと考えております。
 なお、公社が事業費を増額し、本市が出資貸付けした場合、その財源として市債を発行することになりますので、市債残高や、将来負担比率など、財政指標に影響はあります。

(中原ひろみ議員)
 数値は軽微なものとおっしゃいましたけども、30年度決算の審議ですが、本来なら、事業費が足りないことがわかったときに、正確な事業費に組み替えて必要な市債であるとか貸付金をしていれば、様々な市債残高の指標が変わってきたということは今財政局もお認めになったわけです。
 そこでもう少し聞きますけれども、第三者委員会も、契約当時に事業費増額に対応できる財源が確保されていなかったということも指摘されております。一般社会では財源がなければ事業ができないわけですが、まあ税金で実施する事業だと高をくくっていた、親方日の丸式のところがあったかもしれませんけれども、まさに今度の決算は、本来なら今の指標とは違った指標になるべきであったというふうに私は指摘しておきたいし、今度の決算の各指標というのは本来必要な額の高速5号線分がないものでありますよ。事業をやっているのにそれがないような決算が成り立つのかと大変疑問に思うところであります。
 この問題は、春の、改選前の予算特別委員会でも私は質疑をしたところですけれども、その際費用便益比について、質疑をいたしました。
 1を上回れば、効果が大きいというこですが、1を下回れば、事業の必要性が懸念されるというわけです。まさに、1ぎりぎりの数字できた200億円です。ですからこれが、300億円になれば、当然1を下回るということで、この不適切な契約になった真相の一つは、この1を下回らないように調整したんじゃないかと私は申し上げたわけでありますが、市長は、1がどうなろうと必要な事業もあるんだ、というふうに答弁をされました。まあ100歩譲って、この事業が必要な事業だとしてもですね、不適正で不公平な契約を許すということにはならないと思うわけであります。
 第三者委員会のまとめでは、公社がJVと不適切な契約を交わした背景として、二つ指摘をしております。まず公社には13mでしたか、大断面のシールド工法を行う十分な知見がないというふうに指摘しております。二つ目は、総価契約単価合意方式というのが採用されたようですが、契約額の上限以内であれば、工事費の内訳とか、金額の多寡は問わないなど項目ごとに、適正な額を積み上げるという本来の積算方法が軽視された、ここに問題があるというふうに述べております。
 これはまさに、公社に市民の大切な税金を扱う資格がないんじゃないかと言わねばなりませんけれども、どのように受け止めてらっしゃいますか?

(高速道路整備担当課長)
 公社は今回のシールドトンネル工事の入札において、国等でも採用実績のあります、設計・施工提案交渉方式という方式を採用しております。
 今回のシールドトンネル工事につきましては、大断面のシールド工法であり、かつ高水圧下で高硬度の地盤掘削を行う特殊な工事あるということから、民間企業の優れた技術を活用するために採用したということでございます。

(中原ひろみ議員)
 すべての事業は公正・適正な価格で行われるべきということは皆さんも異論はないと思いますし、そのようになっているかというのを議会はチェックするためにあるのです。不適切な契約だったけれども、事業費もわからないけれども、すでに事業に着工したんだからもう仕方がないじゃないか、認めるしかないじゃないかというようなことでは、市民に説明責任が果たせないんですよ。私たち市議団のところにも連日長時間、この問題で怒り爆発の市民から連絡が来るわけです。みなさんのところにはないんでしょうか?どのように市民に説明したらいいのか私は教えてほしいと思いますよ。
 少なくとも、正式な事業費が確定するまでは事業はいったん中止するべきであって、200億円でやっていただいたらいいじゃないですか。200億円で契約したんですから。私はそのように思います。
 これまで必要性とか緊急性とか採算性がないと指摘して、対面通行の5号線は危ないし、住民の方が心配されているように、災害の時の地盤沈下とか急傾斜地の崩壊など様々な災害を誘発する原因にもなるから、この事業やめてくれということはずっと言われ続けてきましたけれども、今度は契約も適正にされていない。 どこから見てもこの事業は止めなきゃいけない、私たち憤りを感じる事業であって、広島市がこれを許すようなことであれば、今後いろんな事業の契約、南口の再整備とかアストラムラインとか大きな事業体しかできないような開発については5号線方式になるんじゃないですか。私は大変危惧しております。こんな税金の使い方は許されないとあらためて指摘をしたいと思います。
 開発は上限がない。どんどんどこまで増えるのかわかりませんが、それいけどんどんという感じですけど、市民のくらしの方は、ガクッと急ブレーキがかかっていると言いたい。
 不要不急の大規模開発や、企業呼び込み型の大盤振る舞いを見直して、予算の一部を組み替えて市民のために使っていれば、もっと住民要求にこたえられたんじゃないかという問題意識があって、5つの問題についてうかがいたいと思います。