議会での質問・答弁

2017年10月31日

2017年第4回10月臨時会 2016年度決算についての討論 中森辰一議員

おはようございます。日本共産党広島市会議員団を代表いたしまして,各会計決算等についての討論を行います。

 反対の決算は決算第1号,第9号,第10号,第11号,第12号,第16号の6件の決算であります。意見を付して賛成の決算は決算第2号,第3号,第8号の3件の決算です。その他の16件の決算と議案には賛成をいたします。

 まず,反対の決算について理由を述べます。決算第1号,広島市一般会計歳入歳出決算については,決算第9号,広島市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算,決算第10号,広島市介護保険事業特別会計歳入歳出決算,決算第11号,広島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算及び決算第16号,広島市開発事業特別会計歳入歳出決算と合わせて一括で述べます。
 厳しい財政状況が繰り返し強調される中で,これは別枠といった形で広島駅周辺の大規模事業が引き続き推進されております。二葉山にトンネルを掘っていいのかと周辺環境への深刻な悪影響が指摘されてきたにもかかわらず,また路線単体では全く採算がとれないのが明らかであり,そのために有料道路でありながら,その大方を税金で建設することになったにもかかわらず,さらに地元も市民からも建設反対の声が上がっているのも無視してあえて高速5号線建設が進められたことに強く抗議します。
 採算の問題では厳しい指摘があるのに,アストラムライン延伸に向けた整備事業も行われました。西広島駅北側の消火困難地区の解消に向けた取り組みや己斐中,己斐上地域の幹線道路の混雑と危険性解消のための新たな道路建設は必要だと考えますが,アストラムラインをくっつけると,後々市民負担の増大が強く懸念されます。アストラムライン抜きでの事業を求めるものです。
 他方で,市民の収入はふえるどころか減少している世帯もあり,全体として家計消費は減りつつある中で,医療費の増加に伴う国民健康保険料医療分や,後期高齢者医療保険料の引き上げが行われました。国民健康保険制度では,厳しい暮らしゆえに保険料を滞納せざるを得ない世帯への独自の保険料減免制度の抜本的改善は頑として拒否されたままであります。介護保険は制度改善どころかますます制度を利用しにくくする新総合事業の準備が始まりました。医療にしろ,介護にしろ,負担能力があるにもかかわらず大企業や大資産家,超高額所得者を大幅に減税したままで,制度の持続を名分にした国が進める社会保障制度の改定は常に市民負担をふやす一方であり,市民生活を守る立場からは改悪でしかありません。
 これらはノーマライゼーションを発展させていく世界の流れに逆行する障害者施策にも及んでいます。こうした社会保障制度の改悪に対して,市民生活を守る立場からの施策がほとんどなく,国の制度改悪を追認するような今の広島市の行政を認めることはできません。本来,市民福祉に活用すべき財源をわざわざ開発事業推進の特別会計をつくってプールするやり方にも賛成できません。
 決算第12号,広島市競輪事業特別会計歳入歳出決算ですが,私は今回の決算審査分科会であえてこの事業を取り上げました。今の競輪事業は荒廃した広島のまちの復興に必要な,当時としては巨額の財源を確保するための一手段とするという事業実施の本来の目的から外れてしまっています。また,機械工業の振興といっても年間500兆円という今日の日本の経済規模からすれば極めて小さい規模の事業になってしまっております。日本の法律では,賭博罪となるギャンブルの実施を正当化できる状況ではない中で,事業を行うことが自己目的化されている状況だと考えます。
 カジノの日本への持ち込みで議論になったように,公営ギャンブルはいつの場合も犯罪とつながるのをいかに防ぐかが重要な課題となっていて,他方では,近年,ギャンブル依存症が深刻な問題として強調されるようになっております。そうした重大問題がある中で,あえて公共の名でギャンブルを続ける意味はないと考えます。今,広島市競輪運営委員会でも事業の存廃の検討がされているようですが,競輪事業に携わる方々の新たな仕事の確保を急ぎ,廃止に向けて取り組まれるよう求めます。

 次に,意見を付して賛成の決算について順次意見を述べます。
 決算第2号,広島市住宅資金貸付特別会計歳入歳出決算ですが,既に随分以前に貸し付け事業は終了していて,事務のほとんどが返済の督促になっております。分科会で指摘があったように,年間の返済総額は極めて少なく,調定額の2%程度にすぎません。予算もそれに合わせたものになっています。他の会計と大きく違う点です。滞納の理由は,生活困窮となっていますが,全ての滞納案件がそうなのかどうか,1件ごとに明らかにして現実に返済不能な場合はそういう処理を行い,そうでない場合は本当に返済の意思があるのかどうか厳格に見きわめることが必要だと考えます。
 決算第3号,広島市母子父子寡婦福祉資金貸付特別会計歳入歳出決算についてですが,最近の傾向を見ると,母子世帯がふえているにもかかわらず母子の貸付件数が減少傾向にあります。必ずしも貸し付けがふえることがいいことではありませんが,いまだに賃金の男女格差が大きいことや女性の非正規労働者の比率が高いことを考えると,貸し付けの需要が減っているとは考えにくい状況だと思います。特に高校,大学への進学の際の困難が解消していない中で,事務を担当する現場のほうでは貸し付けを利用しにくい状況があるのではないかと考えていただいて,必要なら現実に即した新たな対応をされるよう求めておきます。

 最後に,決算第8号,広島市西風新都特別会計歳入歳出決算ですが,この会計で西風新都地区にかかわる企業立地促進補助金が扱われております。平成28年度に石内に工場が立地,建設され,ことし4月から五日市地区の学校給食の提供を始めた広島アグリフードサービス株式会社が立地補助金の交付申請を行い,昨年度中に交付,事業指定が行われました。この会社とは施設の建設費,運営経費全てについて十分な利益を保障した形で広島市が委託契約をしたわけで,だからこそ五日市地区の学校への給食提供業務に適した場所だとして石内に立地した。そういう立地企業に対して,わざわざ立地補助金を支給する理由がありません。私たちは立地補助金制度自体に疑問の声を上げてきましたが,広島市から利益を十分に保障されている会社に上乗せのようにさらに補助金を支給することはまともに市民に説明できないことであります。この会社への補助金交付はすべきでないことを申し上げておきます。