議会での質問・答弁

2018年03月26日

2018年第1回 2月定例会・予算特別委員会 平成30年度議案討論 藤井とし子議員

2018年3月27日(火)

【発言内容】

●反対

第1号議案  平成30年度広島市一般会計予算

第8号議案  平成30年度広島市西風新都特別会計予算

第9号議案  平成30年度広島市後期高齢者医療事業特別会計予算

第10号議案 平成30年度広島市介護保険事業特別会計予算

第11号議案 平成30年度広島市国民健康保険事業特別予算

第12号議案 平成30年度広島市競輪事業特別会計予算

第16号議案 平成30年度広島市開発事業特別会計予算

第24号議案 広島市個人番号の利用に関する条例の一部改正について

第27号議案 職員の退職手当に関する条例等の一部改正について

第32号議案 広島市湯の山温泉館条例の一部改正について

第42号議案 広島市国民健康保険条例の一部改正について

第43号議案 広島市介護保険条例の一部改正について

第49号議案 広島市旅館法施行条例の一部改正について

第59号議案 広島高速道路公社定款の変更に係る同意について

●意見を付して賛成

第36号議案 広島市児童福祉施設設備基準等条例の一部改正について

残りの議案は賛成

【発言動画】

YouTube 広島市議会動画チャンネル 平成30年広島市議会第1回定例会(3月27日(火))13:15

 

 

日本共産党の藤井敏子です。日本共産党市議団を代表して討論を行います。
反対する議案について順に理由を述べます。
第1号議案平成30年度広島市一般会計予算
第8号議案西風新都特別会計事業予算 
第16号議案開発事業特別会計予算
第59号議案 広島高速道路公社定款の変更に係る同意について
一括して反対の理由を述べます。
 平成30年度の予算編成の基本的な考え方は、200万人都市圏構想のもと、人口減少・少子高齢化に打ち勝ち、世界に誇れるまちの実現に向けてワンステップ駆け上がるための予算と説明されました。しかしその中身はさらなる大型開発重視のまちづくりであり、市民の暮らしが後回しになっており問題です。
 特に問題なのは、公債費が837億円と過去最高額になっているにもかかわらずさらなる大規模開発事業の優先予算になっていることです。
 公債費(市の借金返済額)が過去最高になったのは、これまでの広島市の身の丈を超えた大型事業を推進してきた市政のつけです。その結果、巨額の借金返済が市民生活にしわ寄せされています。
 しかも、新年度には住民の反対を無視して、採算性も必要性もない広島高速5号線トンネル工事がスタートする予定です。

 また、広島駅北口の再開発に続き、今度は広島駅南口側の再開発や採算性が見込めず、後で市民の負担が増えることが各方面から指摘されているアストラムライン延伸工事を始める予算など次々大規模開発予算がつけられています。将来世代にさらなる負担の押し付けになる点でも賛成できません。
 第2は一部企業への優遇予算となる企業立地促進補助事業の問題です。
今年度、企業立地促進補助金が昨年の2・5倍の46億円となっています。西風新都などに民間が所有する用地の売却促進のために、市内5万を超える中小企業、小規模事業所がある中でわずか23社に46億円もばらまくもので、必要性もなく市民が納得できるものではありません。
 一方、市民の暮らしは実質賃金の低下が続く中、格差と貧困がますます拡大しています。今年、10月からさらに生活保護費の生活扶助費の基準額が切り下げられれば一層格差の拡大を推し進めます。とりわけ子どもの貧困問題が深刻化しています。高齢者はさらなる年金給付の引き下げが続く中で、国保料、介護保険料の引き上げと負担増となれば、払いたくても払えない世帯は増えるばかりです。低年金で暮らす高齢者や子育て世代への支援の要望はますます高くなっているにもかかわらず本予算案はこうした市民の要望にまともに応えたものになっていません。とりわけ、子どもの予算をもっと増やすべきです。いじめによる自殺という痛ましい事件を2度と起こさないためにもいじめのない学校の実現は喫緊の課題です。教員がひとり一人に寄り添った教育ができる35人学級を中学校2年生3年生に拡大することを最優先で取り組むことを求めておきます。
 少子高齢化に向けては、住民同士の助け合い、ボランティアも大事ですが、市民のくらしの実態に沿ったくらしの支援や少子高齢化対策を本気で市の責任で進めるべきだと考えます。共生社会推進の名で、自治体の公的責任を後退させることがあってはなりません。
 
平和に関する予算についても触れておきます。
来年度予算では、市長は4月のヨーロッパでのNPT再検討会議第2回準備委員会への出席をはじめ、5月、6月と3回、平和都市広島市の市長として海外に出かけられることになっています。広島市長が外国にも積極的に出かけて行って、世界中の国が核兵器禁止条約に署名し、核兵器廃絶に大きく近づくよう取り組まれることは広島市長の使命だと思います。
その広島市長として、アメリカのトランプ政権が、核戦略見直しで核軍拡を推し進めようとしていることを厳しく批判するのは当然です。ところが、唯一の戦争被爆国の政府を自認する我が国の政府が、そのアメリカの核軍拡の方針を「高く評価する」と全面的に賛成だと表明したことに対して抗議の声をあげないのは全く理解できません。
思い返せば、昨年、国連で核兵器禁止条約が採択された時も、この条約に絶対署名しないと言明した我が国政府を厳しく批判せず、政府が唱えている「核兵器を持つ国と持たない国との橋渡しを行う」ことを求めただけです。
予算審議の中で、アメリカ政府の核軍拡政策を「高く評価する」とした政府に抗議すべきだと質したのに対して、市長は「政府の発言を認知して抗議すればそれを認めたことになる」として「了知したくない」から「抗議しない」と答弁されましたが、大変おかしな論理です。
我が国政府のこれまでの言動を考えると、表向きは核兵器廃絶の方針を掲げていても、本音は積極的に「核の傘」に入っていたい、だからこそ、オバマ政権のときに「核の傘」が縮小されるのに反対し、逆に大きくする今回の方針を「高く評価する」のではないでしょうか。
今回の市長の態度は、核兵器廃絶に向けての本気度が疑われかねないものと言わねばなりません。世界の核兵器廃絶運動のメッカであるヒロシマの市長として、この我が国政府の欺瞞性をきちんと見て、広島市民が納得できる態度をとっていただくよう、申し上げておきます。


次に、第9号議案 広島市後期高齢者医療事業特別会計予算についてです。
後期高齢者医療制度は新年度には広島県の保険料が改定され、1143円増の7万664円と1,6%引き上げられます。この制度は75歳以上の高齢者だけを別枠にし、高齢者の医療を抑え込むことを目的とした制度であり反対です。

第10号議案介護保険特別会計と第43号議案広島市介護保険条例の一部改正についてです。
来年度、介護保険料が基準月額5868円が6100円に引き上げられ、この制度が始まった時の2倍を超える保険料となっています。また、昨年度から要支援1,2の方は、介護給付から外され、市の総合事業の対象になりました。受け皿としての市が提案しているこれまでの8割の報酬になる基準緩和型サービスをうける事業所の確保が出来なければ、必要な介護がうけられない介護難民を生むことになります。よって賛成できません。

第11号議案国民健康保険特別会計と第42号議案 国民健康保険条例の一部改正についてです。
新年度から県単位化となる国民健康保険制度の保険料は、今後6年間で今よりも、医療費増加分を除いて3,8%引き上げる赤字解消計画が示されました。これまであまりにも高すぎる保険料を少しでも抑えるために出されていた市の一般会計からの補助金を廃止する計画です。補助金が廃止されたら保険料は際限なく引き上げることになる計画は賛成できません。特に、国民健康保険は高齢者や退職者など年収300万円以下が約8割を占める医療保険制度であり、もはや相互扶助では成り立たない制度です。国の国保への補助金の引き上げを求めるとともに広島市として、社会保障制度として位置付け、公的繰り入れを引き続き出来るように求めておきます。また、やむなく保険料を滞納している世帯に対して強権的な差し押さえはしないことも重ねて求めておきます。

第12号議案 広島市競輪事業特別会計予算です。
 ギャンブル依存症を増やすことにつながる公営ギャンブルを継続する必要性はありません。雇用対策をしっかりと行い、廃止すべきです。
 

第24号議案 広島市個人番号の利用に関する条例の一部改正について
 個人番号制度は、個人情報が漏えいする危険性があり、現実に漏えいの事故も起きています。この制度は廃止するべきであり、この制度を運用するための議案には反対です。

第27号議案 職員の退職手当に関する条例の一部改正について
 この議案は職員の退職手当について減額措置を講ずるための条例改正案です。
職員の退職手当についてはすでに、平成25年度に3年間で平均400万円の引き下げられています。今回の提案理由を見ると国や他の自治体の均衡を諮るとしか説明されていません。
退職手当は、人事院の見解にあるように、退職手当は退職後の生活を支える重要なものです。最高裁の判例では退職金は賃金であり、「公務員の退職手当法詳解」でも賃金の後払い的な性格を有としていますが、労働条件としての退職手当を法的根拠もなく、政治主導で一方的に不利益変更を決めることは、公務労働者の権利侵害です。よって反対です。
  
第32号議案 広島市湯の山温泉館条例の一部改正について
  この議案は広島県の公衆浴場入浴料金の統制額の改正に鑑み、湯の山温泉館の利用料金の上限額を引き上げようとするものです。広島県が上限額を引き上げるという理由だけで、市民の負担増になる利用料金を引き上げることには反対です。

第49号議案 広島市旅館業法施行条例の一部改正について
本議案は、「民泊サービス」の旅館業法の許可取得を促進するなど国の施行令が改定されたことから、広島市においても旅館業法施行条例に規定する営業施設の構造設備の基準の一部を緩和するものです。
本市の条例改正は、直接民泊サービスだけに係るものではありませんが、宿泊者の安全や安心を維持してきた規制を緩和し、安上がりの民泊を横行させる方向と一体であることは間違いありません。
このような規制緩和が、安全のためのコストをかけているホテル・旅館などの経営に打撃を与えることが懸念されます。旅館業法がめざす「旅館業の健全な発達」を阻害することになりかねないことから、本議案に反対いたします。

意見を付して賛成の議案は第36号議案
  広島市児童福祉施設設備基準等条例の一部を改正についてですが
これは、重度の障がいがあるため外出が難しく通所による支援が著しく困難な子どもたちが発達支援をうけることができるために、子どもたちの居宅を訪問して発達支援を行うサービスを新たに創設することに伴い、サービス事業所の設備基準等を定めようとするものです。
 障害のある子どもの居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与などの支援を行いますが、この制度を利用するのは、多くが医療的ケアの必要な子どもたちだと考えられます。派遣されるのは保育士などが想定されているようですが、看護師も派遣でき、療育と保育を一体でできるようなしくみにしてほしい、その場合は単価の引き上げが必要だという現場からの意見があります。
 今後こうしたことも視野に入れて制度を運用し、必要なら改善の要請を政府にしていただくよう求めておきます。
以上で討論を終わります。

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