議会での質問・答弁

2017年12月11日

2017年第5回 12月定例会 一般質問 中森辰一議員

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2017年12月6日

【発言内容】

1、子どもの医療費補助制度について

2、保育所待機児童問題について

3、放課後児童クラブについて

4、介護保険について

5、障がい福祉サービスの65歳問題について

6、就労継続支援A型事業について

7、国民健康保険について

8、生活保護制度について

【発言動画】

YouTube 広島市議会動画チャンネル 平成29年広島市議会第5回定例会


平和都市にふさわしい都市に向けて

(中森辰一議員)
 日本共産党広島市会議員団を代表して一般質問を行います。
広島市は「平和都市」を標榜してきましたが、私は、単に、世界に向かって核兵器廃絶と世界恒久平和を訴えているのが「平和都市」であるとは考えません。広島市に住む市民のだれもが、日々の暮らしが平和であり、展望をもって人間らしく生きていくことができる都市であり、その上で市民がこぞって平和を願い訴える都市であって初めて「平和」の名に値する都市になれると考えます。
 広島市の基本構想には、都市づくりの方向として、「人類史上最初の被爆都市である広島市は、平和を願い、平和都市の建設を進めてきた先人の努力を受け継ぎ、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、世界を牽引する都市を目指さなければならない」とし、「広島市は、先駆的精神を持ち、パートナーシップの構築とパラダイムの転換を図りつつ、市民生活の安寧の確保や活力ある地域経済の創出、文化的で活気ある美しい都市の創造など、広島で実現されていることや街のたたずまいがそのまま「平和」の意味であり、具現化であることを実感することのできる都市づくりに取り組み、『世界のモデル都市』を目指す必要がある。」と述べています。
 「活力ある地域経済」も、「文化的で活気ある美しい都市の創造」も、まずは「市民生活の安寧」が土台として確立していてこそ豊かに発展していくものです。
 つまり、「平和都市」に、明日の暮らしをどうしようかと怯えている市民がいてはなりません。医療を受けられずに手遅れで命の危険にさらされる市民がいてはなりません。すべての子どもに人間らしい暮らしと学びが保障されているべきです。すべての市民が展望を持って暮らすことができている必要があります。
 そうなるように、「平和都市」である広島市の行政は、すべての市民一人ひとりを大事にし、一人ひとりの暮らしの状況を知り、必要なあらゆる施策を行わなければなりません。それが「市民生活の安寧の確保」ということであり、これは広島市の大方針ですから、「平和都市」広島市の財源は、まずは、そのために使われるべきだと考えます。
 いわゆる「平和推進」ということと「市民生活の安寧」は一体でなければなりません。
 一人ひとりの市民生活を置き去りにした平和行政というのは本来成り立たないということです。
 地方自治法第1条にある通り、住民から税金を集めて行政を行うものは、本来どこでも、住民に対して平穏で不安のない暮らしを保障し発展させることが、第一番の役割です。ヒロシマは平和都市であるからこそ、そのもっとも先頭に立つ行政であるべきであり、少なくとも常に先駆的な努力を行うべきです。
 今日の広島市行政は、そうなっているかどうか、「市民生活の安寧の確保」に関わる、広島市としての社会保障施策について、いくつか聞いていきます。

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子どもの医療費補助制度について

(中森辰一議員)

まず、子どもたちに対する施策で、最初は子どもの医療費補助制度です。
 今年から、入院では一部負担なしで、対象を中学卒業まで拡げたことは大変良かったのですが、通院は、小学3年生までに拡げた一方、対象世帯を所得で分けて、所得が基準より多い世帯の子どもは一部負担をひと月最大4倍ないし6倍に大幅に増やすという全国で最悪の制度を導入してしまいました。
 これに対して、受診抑制の可能性が指摘されるなど、市民団体からも医療団体からも厳しい非難の声があがり、一部負担の見直しが強く要請されています。せっかく大きな予算を確保して改善したのに、その一部の予算を惜しんで、全国でも最悪の制度を導入したのは、「平和都市」として極めて恥ずかしいことだと言わねばなりません。
 この問題で8月に実施した、医療機関や子どもの保護者へのアンケートの結果の一部が公表されました。その中で、比較的高い所得とされた未就学児の保護者の19.4%、約2割の保護者が、一部負担が大幅に増えたので受診させなかったと、受診抑制が起きた例があることが明らかにされました。
一部負担が増えたために、受診の必要があったのに受診できなかった子どもが、一部であれ現に現れた、この事実は制度が改悪された結果として非常に重いものです。行政が考えた姑息な財政対策が、子どもの健康に悪影響を及ぼしたのですから、直ちに見直しをするべきです。どうされるか答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 保護者に対する調査において、通院の一部負担金の上限額が1日1,000円になった方のうち、19.4%が「一部負担金の上限額の引き上げを理由に受信させなかったことがある」と回答されました。
 一方、これらの方のうち、別の質問で「過去1年間に医療機関を受診させたほうがよいと思ったが、実際には受診させなかったことがある」と回答した方について、その理由を見ると、「最初は受診させようと思ったが、お子さんの様子を見て、受診させなくてもよいと判断したため」という回答が大半であり、「医療機関で患者負担を支払うことができないと思ったため」という回答はありませんでした。
 このような回答になったのは、子どもに受診が必要か否かを判断するに当たって、一部負担金の上限額の引き上げは、考慮の材料にはなっているものの、決定的な要因にはないものと考えます。
 今後、保護者や医療機関に対する調査をさらに分析し、また、平成29年診療分のレセプト等のデータ分析により、一部負担金区分ごとの受診状況の比較等を行ったうえで、その結果を踏まえ、医師会と意見交換を行いながら、必要な制度の充実に向けて検討してまいります。その際、国における全世代型の社会保障に向けた議論と本市の財源確保のあり方を念頭におくとともに、他都市の制度の状況も見つつ、本市の子育て施策全体のあり方を検討していく必要があると考えています。

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保育所待機児童問題について

(中森辰一議員)
 次に、保育所待機児問題への対応です。
 広島市は毎年保育所を増やしてはいますが、それ以上に入所希望が増える状況が続いています。保育所を増やすと需要が掘り起こされるという面もありますが、それは、今日の社会状況の中で、女性が経済的に自立したい、働いて世帯の収入を増やして子どもの将来に備えたい、ということですから、行政としてはむしろ積極的にとらえるべきです。
 問題は、保育所の増設計画が年度当初の待機児数だけを問題にしているところにあります。実際は、年度の初めに比べて、月を追うほどに待機児が増え、今年度も10月末で、1400人もの待機児がいます。この保護者たちは、待機状態のため職場復帰も就職もできません。ここを解消できる思い切った増設をしないと、待機児問題はなくなりません。
 発想を変えて、保育士の確保など困難な課題があっても、この点を見据えた取り組みをするべきです。どうされるか答弁を求めます。

(市長)
 本市においては、これまで、年々増加する保育需要に対応して、保育園、小規模保育事業所の新設などに取り組んでおり、平成24年度において、保育園等の数は181園、定員は23,287人でありましたけれども、平成29年度においては、249園、27,490人となり、5年間で68園、そして4,203人の受入枠拡大を図っております。
 また、合わせて、受け入れ枠を効率的に活用するための保育サービスアドバイザーによる情報提供や、安定的な保育士確保を図るための処遇改善など、ハード・ソフト両面から総合的な取組を実施し、年度当初の待機児童数は、平成24年度においては335人でありましたけれども、平成29年度は93人と、242人減少し、一定の成果を上げてきております。
 こうした成果は、直近のデータに基づく精度の高い推計を行い、保育需要の伸びを地区ごとに正確に把握するということをやったうえで、保育園等の新設を促すということに加えて、既存保育園の分園整備や認可外保育施設の認可化移行、さらには追加公募による小規模保育事業所の新設も促すといった、より実践的な取組によって達成してきているものでありまして、引き続き、こうした対応で注力していく必要があると考えております。
 したがいまして、年度途中に入園を希望され、入園待ちとなっている児童がいる状況を重く受け止めながらも、まずは、平成30年度当初の待機児童の解消に向けた着実な取組みを進めていくこととしております。

(中森辰一議員)
 次に、政府が7年以上の経験を積んだ保育士について、60時間の研修と役職につけることを条件に月額4万円、3年以上の経験者に対して月額5千円の給与の上乗せを始めました。しかし、上乗せの対象者数に制限があり、対応する経験者全員に上乗せされるわけではありません。今回の措置で、保育士確保において、今年度何らかの変化があったのかどうか、お答えください。

(こども未来局長)
 国が、平成29年度から新たに実施した「技能・経験に応じた処遇改善」は、私立保育園等におけるキャリアアップの仕組みの構築を目的に、新たに副主任保育士など中堅の役職を創設し、その職務・職責に応じた段階的な処遇改善を行うこととしたものです。
 こうした制度の趣旨を踏まえ、保育園等において処遇改善計画を策定し、現在、円滑な導入・実施に向けて鋭意取り組んでいるところであり、制度が定着し、処遇改善が確実に行われた後に、その効果が現れることになると考えています。

(中森辰一議員)
 今回、一部の保育士にのみ4万円の上乗せを実施したことが、保育士同士の感情的な摩擦を生み、チームで行う保育に支障が出かねない問題があるという保育所経営者からの指摘があります。あるいは、現場では人員がギリギリで60時間もの研修を実施すること自体に困難があります。広島市として、こうした指摘をどう受け止めるのか、どのように対応されるのか、お答えください。

(こども未来局長)
 段階的な処遇改善の制度の導入に当たっては、制度創設の趣旨を踏まえて、保育現場の職員が納得し、さらにその導入効果を高めるために、私立保育園協会等の関係機関などと協議を進めています。今後も進捗状況を聞きつつ、必要に応じて適切に対応してまいります。

(中森辰一議員)
 また、全産業平均の賃金水準からは月額11万円も低い実態に対して、上乗せが4万円しかないことについて、国は、女性の平均賃金との差は4万円程度だと言います。これは、日本の労働者の賃金の男女格差を前提にしたものです。日本の女性の社会的地位は未だ低く、男女の賃金格差は、2012年の統計ではOECD諸国の中で悪い順に3番目で、早急な改善が求められています。
 「国際平和文化都市」である広島市としては、先進国の中でも遅れた日本の男女格差が、平然と前提にされるという国の姿勢を正すべく行動するべきではないかと考えますが、市長はどのようにお考えか伺います。

(市民局長)
 男女格差是正に向けた取組については、国において既に次のように進められていると認識しております。
 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が平成27年8月に可決されておりますが、衆・参両議院の附帯決議において「男女間に賃金格差が存在する現状に鑑み、女性が職業生活において、意欲をもって能力を伸長・発揮できる環境を整備するため、公労使により賃金格差の是正に向けて検討することとし、適切な措置を講ずべき」とされています。
 その後、内閣に総理大臣を本部長として設置された「すべての女性が輝く社会づくり本部」は、「女性活躍加速のための重点方針2017」においても、女性活躍に資する働き方改革を推進するため、「働き方改革実行計画」等を踏まえ、同一労働同一賃金などの処遇改善の取組を推進するとされています。

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放課後児童クラブについて

(中森辰一議員)
 次に、放課後児童クラブについて質問します。
 広島市では、指導員のみなさんの献身的な支えで、放課後児童クラブが運営されてきました。この事業を、広島市は以前から有料化しようとしてきましたが、関係者の強い反対の中で未だ実施できていません。
 こうした中で、広島市は、市が行ったアンケートで保護者の多数が要望したとして、朝と夕方30分ずつの延長保育を有料で実施したいと、文教委員会で報告しました。ところが、これを担う指導員の側とは合意が取れていないことが明らかになっています。担い手と合意がとれないまま、延長に同意した一部の指導員だけで強行しようとしています。
 しかし、広島市の事業として延長保育をすれば、一人でも延長を登録した児童がいれば、どの施設でも指導員は残らなければならず、一部の指導員だけでは実施できません。できるところだけでやるとなれば、実施しない施設では同意しない指導員たちに非難の矛先が向くことになり、子どもを間においた保護者と指導員との協力関係に分断を持ち込むことになります。そこまでしてやると言われるのか、市長のお考えを伺います。

(教育長)
 放課後児童クラブの開設時間の延長については、本年7月に実施した利用者アンケートによると、年間を通して延長利用を希望する者は利用者全体の約3割で、そのうち8割強の利用者が、利用料金を負担してでも利用したいという意向がありました。また、長期休業中の朝の開設時間の延長に関しては、利用者全体の約8割が利用を希望していました。
 こうしたことを踏まえつつ、平日の夕方と土曜日の朝、長期休業中の朝と夕方の実施に関して労働組合等の関係者と調整を行ってきたところ、先般、放課後児童クラブ指導員で組織された労働組合から、長期休業日の朝の延長はやむを得ないと考える、また、延長は、一部施設のみで行うのではなく、市内全施設一斉に行うべきと考える、などの代案が示されました。
 本市としては、年間を通した延長利用の希望者が一定数おり、その多くが利用料金を負担してでも利用したいとの意向があることや、とりわけ長期休業中の朝の開設時間の延長を希望する者が多くいることを踏まえ利用者の期待にこたえるため、このたび、労働組合から示された代案も参考にしながら、引き続き関係者との協議・調整に努め、早期に延長サービスを実施していきたいと考えています。

(中森辰一議員)
 また、有料になれば、登録児童とそうでない児童が出てきます。そうなると現場では、30分早く開所している施設内に、登録児童は入れますが、登録していない児童は早めに来ても中に入れてもらえず、外で待たされる、夕方は、先に外に出されてしまうことになります。これは行政が、児童を家庭の事情によって差別するものです。
 「平和都市」がこんなことをしていいのでしょうか。市長はそういう事態を考えたことがありますか。お答えください。

(教育長)
 延長サービスの導入が決定した後には、延長サービスを利用するためには申込が必要であることや、有料のサービスであることなどを保護者に対し丁寧に説明する場を設け、十分に周知を図ることにより、確実に延長サービス利用の申し込みを行っていただくよう努めたいと考えています。
 それにもかかわらず、延長サービスを申し込んでいない児童を延長時間帯に保育しなければならない状況が続く場合には、まずは児童を預かった上で、延長サービスを申し込んでいる保護者との公平性の観点から、当該児童の保護者に対し、利用申込書を手渡して利用を促すなど、ねばり強く指導を続けていきたいと考えています。

(中森辰一議員)
 指導員の労働条件は劣悪でワーキングプア状態ですので、指導員がなかなか集まりません。昨年は、160人を募集して採用できたのは78人、半分です。子どもを差別するいやな職場になれば大勢の指導員がやる気をなくして辞めていくこともあり得ます。そうなれば、事業自体の運営が困難になります。
こんな状態で、保護者の延長要望が大きいことをチャンスとして、無理を承知で延長を強行しようとするのは、結局、これを事業全体の有料化の突破口にする思惑があるからではないでしょうか。そうなのか、そうではないのか、はっきりとお答えください。

(教育長)
 開設時間の延長については、先ほど、申し上げましたが、7月に実施した利用者アンケートの結果、一定の負担をしてでも利用したいという希望が多かったことを踏まえ、経済的な事情により利用できない世帯にも配慮しつつ、利用者に一定の負担を求めるようにした上で、来年度に実施する方向で検討しているものです。
 なお、放課後児童クラブ事業については、今後とも更なるサービス向上が必要となることが見込まれています。したがって、サービス向上に係る、基本時間を含めた受益と負担のあり方については、今回の優勝による開設時間の延長の利用状況等を踏まえつつ、今後、改めて、慎重に検討しなければならないと考えています。

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介護保険について

(中森辰一議員)
 次は、介護保険の問題です。
介護保険が始まって18年目。保険料の引き上げと、制度の改悪が繰り返され、当初のバラ色の宣伝は完全に色あせ、この制度は暮らしを圧迫し、介護を十分に保障できないものになっています。今回は3点に絞って質問します。
 今年から「介護予防・日常生活支援総合事業」が始まり、多くの事業者が利用者を守るためにやむを得ず報酬単価の低い事業を担わざるを得なくなりました。また、介護保険法の改悪で、要介護1と2が特別養護老人ホームの入所対象からはずされた影響が大きく、待機者数はおよそ2千人も減少しました。
介護サービス事業者の経営をより厳しく追い詰めたり、老後の生活の安心を願っていた人たちが無残にも切り捨てられる。これが「平和都市」広島市でも現実に起きています。こうした事態を市長はどのように受け止めておられるでしょうか。答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 総合事業の中で、本年度から開始した介護サービス事業者によるサービスの報酬単価は、適切水準であると考えており、事業者の経営への悪影響等に関しては、事業開始後間もないことから、今しばらくサービスの提供状況や事業者の動向等を注視した上で、必要に応じて適切に対処していきたいと考えています。
 特別養護老人ホームの待機者数の減少については、入所対象者が原則要介護3以上となった一方で、平成26年4月からの3年間で、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅といった、要介護状態等に応じた多様な生活の場を約1,700人分整備促進し、また、定期巡回・随時対応型訪問看護、小規模多機能型居宅介護をはじめ、要介護者の在宅生活を支えるサービスを提供する事業所の増加を促進するなど、多様なニーズに対応できる介護サービス提供体制の充実を図ったためであったと考えています。

(中森辰一議員)
 今後の総合事業の中心を担う地域包括支援センターを公募にしようということが検討されています。これは、一人一人の生活の質を重視してこそ重度化を防止できるという立場で業務を行おうとしていて、市が考える総合事業の推進の方向に沿わない事業所は、排除しようという無言の圧力ではないかという指摘があります。
 今日、介護行政は、特に地域の団体や住民との信頼関係の積み上げが重要になっているのに、中心の担い手が公募でコロコロ変わってしまうと、そのたびに地域との関係のつくり直しをすることになり、却って事業が滞ることになります。地域包括支援センターの地域との関係の積み上げは一朝一夕にはできず、相当な長期間の努力が必要です。それをご破算にするようなことはやめるべきだと考えますが、市のお考えをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 本市では、平成18年度に地域包括支援センターを設置して以降、地域との信頼関係や運営のノウハウの継続性を確保する観点から、毎年度、同一法人に委託して地域包括支援センター運営しており、現状においては、いずれのセンターも、ある程度、適切な運営が確保されている状況にあると認識しています。
 一方、地域包括支援センターは、原則、新規参入の機会がないことから、従来から公平性の担保に関する指摘があったことに加え、2025年を見据えて各日常生活圏域の地域包括ケアシステムづくりの要の機関として果たすべき役割の重要性が増しており、業務の更なる質の向上が欠かせないと考えています。
 こうしたことを踏まえ、今年度、広島市地域包括支援センター運営協議会において、委託先法人の公募制導入の是非や実施方法等について検討を行い、業務の継続性や地域とのつながりを維持するための方策を講ずるなど、センターの安定的な運営にも留意しつつ、公募制を導入することが適当である旨の結論を得ました。
 今後、この結論を踏まえ、市としての方針を決定し、第7期高齢者施策推進プランにも反映することとしています。

(中森辰一議員)
 昨年度から要支援のサービスを総合事業に移行した大阪府大東市では、要支援の方のケアプランはすべて地域包括支援センターが作成することとし、現行相当のサービスは市との協議が必要となりました。さらに、介護保険を離脱したり、単価の安いサービスに転換したら報酬に上乗せをしています。
 大東市では「元気出まっせ体操」というのを考案し、デイサービスよりサロンなどでの体操を優先させたり、介護保険を離脱する人の受け皿にしたりして、介護保険離脱とボランティアサービスへの転換を推進、地域包括支援センターがそれを担うことになったと思われます。その結果、介護保険を利用できなくなって自宅に閉じこもって孤立する人や、病状が悪化して、わずか1年で要支援から要介護5に重症化した例も出てきました。
 広島市でも、今年度から、大東市と同じような経済的インセンティブ、報酬の上乗せを導入する一方でケアプランへの指導を強め、広島市行政の意向を忖度するようなことになっているのではないかと思いますが、大東市のような事例を生んではなりません。よく現場の実情を聞き、個々の利用者の自己決定権を尊重し、一人ひとり異なる病状や体の状況、生活条件の違いを考慮した、生活の質を高めるためのケアプランになるよう市が支援することが大事ではないかと考えますが、どのように取り組まれるか伺います。

(健康福祉局長)
 介護予防ケアマネジメントは、介護予防と自立支援の視点を踏まえ、利用者の心身の状況、そのおかれている環境その他の状況に応じて、利用者自らの選択に基づき、適切なサービスや支援が包括的かつ効率的に提供されるよう実施されるべきものであると考えています。
 そのため、本市では、介護予防・日常生活支援総合事業の開始に当たり、介護支援専門員を各地域包括支援センターに増員するとともに、目標志向型のケアプランに基づき、生活機能の改善を図り、地域における自主的な介護予防の取組への移行を実現していくことについて評価する仕組みを導入しています。
 加えて、医師、歯科医師、リハビリ専門職等の専門職で構成する「地域ケアマネジメント会議」等において、専門的・客観的な助言を売る機会を設けることで、利用者一人一人の置かれた状況・改善可能性を的確にアセスメントし、適切なケアプランを作成することができるよう、地域包括支援センター等による介護予防ケアマネジメントの更なる質の強化を支えていくこととしています。

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障がい福祉サービスの65歳問題について

(中森辰一議員)
 次に、障がいのある人たちへの施策について伺います。
 まず、障がい福祉サービスのいわゆる65歳問題です。
 障がい福祉サービスを利用することで日常生活が成り立っているという人たちがたくさんおられます。様々な障がい福祉サービスが実施されていますが、その中で、ホームヘルプサービスなど介護保険でも行われているサービスは、65歳になると、介護保険のサービスに変わってしまうということが以前から大きな問題になっています。
 障がいのある人たちの収入は多くが障害年金のみで、住民税非課税ですが、この場合、障がい福祉サービスでは一部負担がゼロです。しかし、介護保険では収入がなくても一律に1割負担です。そのため、生活が脅かされるという問題と、必要な介護サービスを十分に利用できなくなりかねないということが、第一の問題です。
65歳になる前日までは一部負担がないのに、65歳になったとたんに一部負担が課されるというのは、明らかな年齢による差別的取り扱いであり、どのような理由を述べようと説明できません。
 また、障がい福祉サービスでは、個々に必要なサービスの量が確保されていたのに、介護保険ではその量に限度があって、特に重度の場合以外、障がい福祉サービスでつぎ足すことを認めてくれない実態があると当事者や関係者が訴えておられます。これも年齢による差別的取り扱いです。
 さらに、障がいの特性に配慮したサービスから、高齢者のための介護保険サービスに変わることによる、サービスの質の問題と、介護者が変わることを障がいのある人が受け入れがたい場合があるということもあります。
 このことについて政府は、障がい福祉サービスの事業所が介護保険の事業所を兼ねることができるようにして、これでいいだろうと言っています。しかし、障がい福祉サービスの報酬単価より介護保険の報酬単価の方が低いため、必死に現場を支えてきた事業者に、一方的に犠牲を押し付けるものになり、新たな矛盾をつくり出します。
 政府による、障がいのある人たちの実態や願いを無視した、余りにも理不尽なやり方を、「平和都市」広島市が、そのまま受け入れていていいのかが、問われます。
 以上、3点について、広島市としてどう受け止めているのか、国に改善を求めるのか、当面、独自に救済措置を実施するのかどうか、伺います。

(健康福祉局長)
 現に障害福祉サービスを利用して折られる方が65歳に到達され、介護保険サービスを利用される際の課題として、利用者負担が増える場合や、慣れ親しんだ障害福祉サービス事業所を継続して利用できない場合、サービス量が減る場合があることについては認識しています。
 このため、本市では、他の指定敏と共同で、国の責任において、障害者が必要とするサービスを継続的に安心して受けられる制度を構築することなどを要望してきました。
 その結果、国においては来年度から、65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用していた一定の高齢障害者の介護保険サービス利用者負担を軽減する仕組みを設けるとともに、介護保険または、障害福祉のいずれかの指定を受けた事業所がもう一方の制度の指定を受けることを可能とする「共生型サービス」を創設しました。
 また、本市としては、こうした国の制度改正に適切に対応するとともに、介護保険サービスへの移行に当たっては、個別に事情を丁寧に聴き取るなどしながら、引き続き、個々の障害者の状況に応じて、必要となるサービスが不足することのないよう、適切な障害福祉サービスの提供に努めてまいります。

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就労継続支援A型事業について

(中森辰一議員)
 次に、就労継続支援A型事業について質問します。
この事業は、障がいがあって通常の企業で働くことに困難がある人のうち、適切な支援があれば雇用契約にもとづいて働くことができる人に対し、働く場を提供して最低賃金を保障した上で、働くのに必要な知識や能力を高めるための訓練を行うものです。事業所は公的な支援を受けますが、独自のビジネスを行い仕事を確保して、その収益で賃金を支払います。10年前に、民間企業が参入できるよう規制緩和を行ったことで、事業所の数が20倍以上に急激に増えました。
 最近、各地で相次いでこの事業所が閉鎖され、そこで働いていた大勢の障がいのある人たちが職を失うという事態が起き、大きな問題になっています。広島でも先月、福山市と府中市の事業所が閉鎖され、働いていた障がいのある労働者112人が解雇されました。
 報道によると、福山市内の事業所の半数が赤字経営だといいます。
 この問題のポイントは、1日4時間働く事業所なら、仮に収益事業で利益がなくても、給付金という補助金で最低賃金を払えば経営が成り立つということです。こうした事業所では、収益を追求しなくてもいいので、働きに来ている障がいのある人たちを管理するだけの低賃金の職員を置けばよく、障がいのある労働者には働き甲斐のないごく簡単な作業をさせています。これでは、事業の目的を達することなどできません。
 同時に、現状では、障がいのある労働者に賃金を払えるだけの収益を、あげることができるほどの仕事を確保すること自体に困難性があることも事実です。
 こうした中、政府は今年4月、給付金頼みの事業所のあり方を是正するとして給付金を賃金に充てることを原則禁止する制度改定を行いました。そうなると今度は、経営が成り立たず閉鎖する事業所が増えてくるのではないかと心配されています。
 広島市内にも38か所のA型事業所がありますが、この間の報道を見て、A型事業所で働く人たちは自分のところはどうなのかと不安に思っておられるのではないでしょうか。
行政として、さしあたってやるべきことが二つあると思います。
 一つは、広島市として、県と協力しながら、個々の事業所を点検し、どのような仕事が行われているのか、どの程度の収益があるのか、継続して必要な賃金を確保できるほどの取引関係があるのか、事業所を運営する側の職員の給与はどういう水準なのかなど、A型事業所としての健全な経営が行われているのかどうかを確認する必要があります。
 いま一つは、こうしたA型事業所がきちんとした経営ができるように行政として必要な支援を行うということです。この点で、この事業を理解する一般企業を増やし、ビジネスとしてA型事業所と取引してくれる企業を広げることが必要です。また、そうした企業と取引関係を築くことができる企画能力、営業能力を持った人材が確保できるような支援が必要です。給付金はそのためにこそ活用されなければなりません。
 そうした経営の立て直しをする気がない、制度の隙を利用して儲けようというような事業者には撤退してもらうしかありませんが、その場合は、そこで雇用されていた人たちの仕事と生活の確保に行政として責任を負う必要があります。
 一昨年6月に行われた中小企業家同友会によるこの問題でのフォーラムでは、報告者から、A型事業は、この事業の公益性と非営利性を踏まえた上で、企業の経営センスと福祉の理念がかみ合うことで好循環が期待される制度であること、障がいのある人が労働者としての権利を保障され、働くことを通して、幸福を実現していくモデルであるべきであり、そこでは、ディーセント・ワーク、働きがいのある仕事、誇りが持てる仕事が行われるべきだと、問題提起されました。たいへん大事な提起だと思います。
 行政は、こうした立場でA型事業が行われるよう取り組む必要があると考えますが、今後どうされるか、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 就労継続支援A型事業所の経営状況については、事業実績報告書の提出を求めて確認しており、報告書において障害者の事業活動に係る収入が必要経費と障害者に支払う賃金を合わせた額より少ない場合は、経営改善計画書を提出するよう指導しています。
 今後は、経営改善計画書をもとに、収入が少ない事業所から順に実地指導を行い、経営改善に向けた指導等を行っていきたいと考えています。
 また、支援としては、障害者雇用拡大・定着のための企業向け講演会の機会を活用し、障害者雇用に対し理解のある参加企業と就労継続支援A型事業所との交流の場を設け、企業に対し、中小企業支援センターと連携し、経営課題の解決に関する助言等を行うことで、障害者がやりがいと誇りを持って働けるよう就労継続支援A型事業所の事業の質の向上を図ってまいりたいと考えています。

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国民健康保険について

(中森辰一議員)
 次に、広島市行政の市民一人ひとりの暮らしを守る姿勢を問わなければなりません。
 まず、国民健康保険の保険料は、医療給付費が増えればそれに合わせて、着実に引き上げられてきました。しかし、それを負担する被保険者世帯の収入は、この数年、一貫して減少傾向にあります。もともと、国保料は、他の医療保険に比べて所得に対する負担率が高く、所得の低い国保加入世帯の暮らしを脅かし続けてきました。当然、ギリギリの生活を凌ぐために、やむを得ず保険料を滞納せざるを得ない世帯が多いという深刻な問題があります。
 このような生活の実情を無視して高額の保険料を課すのは、言ってみれば行政による弱い者いじめです。こう言うと、広島市はいつも法定軽減制度があると言います。しかし、法定軽減では4人世帯の場合、切り下げられた生活保護基準の1.26倍程度の収入でやっと2割軽減するだけです。
 他の保険料や税の負担を考えれば、少なくとも生活保護基準の1.3倍以下の収入で、7割以上の思い切った保険料の軽減がなければ、実質の生活費は生活保護水準を下回ります。だからこそ、かつての広島市独自の減免制度ではそういう水準の減免を行っていました。かつて必要だと認めていた制度を法定軽減を理由にやらないというのは、市民の最低限の生活に責任を負おうとしないものと言わねばならず、それでは「平和都市」の行政とは言えないのではないでしょうか。
 憲法25条による最低限の生活の保障は生活保護制度だけではできないのです。今日、我が国では3割もの世帯が預貯金がないと言われています。こういう世帯の暮らしの実態もしっかりと踏まえる必要があります。
 少なくとも、預貯金がゼロあるいはわずかで、収入が生活保護基準の1.3倍以下の世帯に対して、その収入の状況に応じた思い切った保険料減免制度をつくる必要があります。こういう制度は広島市がもともと実施していた制度ですから、十分実施可能です。どうされるか答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 国保の保険料については、国において、所得が一定水準以下の世帯に対する法定軽減制度、倒産・解雇等により離職された方に対する軽減制度が設けられているほか、災害や失業等により所得が減少した場合の本市独自の減免制度を設けています。
 このうち、保険料の法定軽減制度については、平成26年度に対象が拡大されて以降、平成29年度まで、毎年度拡充されているところです。
 本市独自の減免制度については、平成17年4月から、災害や失業等により所得が減少し、前年の所得に基づく保険料の納付が困難な方に対する救済措置という制度本来の趣旨に沿うよう、見直しを行ったものであり、元の制度に戻すことは考えていません。
 生活に困窮されている方の生活の保障については、ナショナルミニマムの観点から、国において、制度設計が検討されるべきものと考えており、本市としては、保険料軽減・減免精度を適切に運用するほか、必要に応じて、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度等につなぐなど、それぞれの生活の実態を把握しながら適切に対応していきたいと考えています。

(中森辰一議員)
 一方、国保制度は来年度から県が管理するしくみに変わります。県は、保険料が上がるという批判について、6年間の激変緩和の期間中は一般会計からの補てんを行うから毎年の引き上げ幅は医療費の伸び程度だと言っていて、広島市も同じ事を言っています。7年目からの大幅な引き上げも問題ですが、毎年引き上げると言っているのは、国保加入世帯の収入が全体として減っていることを無視して、今後も際限なく保険料を引き上げていくと宣言したのに等しいことです。
 国民健康保険は国保法の第1条に、社会保障及び国民保健の向上を目的とすると述べてある通り社会保障制度です。しかし、現実は社会保障制度が市民生活を苦しめるものになっています。この現実をきちんと理解しているなら、加入世帯の収入が減っているのに、平然と毎年保険料を値上げするとは言えないはずです。社会保障制度なら、収入にきちんと配慮した負担に抑えるのが当然です。
 この点で、市や町にあれこれと指示している広島県には、国保法第1条の社会保障理念が全く念頭にないことが明らかになっていますが、保険料軽減のための独自の負担を一切しようとしていないことは、県民の暮らしに何ら責任を負おうという立場がない無責任な県政だと言わねばなりません。
 この際、県には社会保障の立場に立ち直してもらい、県民の命と暮らしを守る責任を果たすべく県としての財源の投入を求めていただきたい。さらに、県と県内市・町一体となって、保険料を引き上げない方策に取り組むとともに、国に対して抜本的に国の負担を増やすことを求めるべきですが、どうされるか、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 国保については、持続可能な制度として安定的に運営していくため、必要な支出を保険料や法定の公費等でまかない、収支が均衡していることが基本とされています。保険料上昇の抑制や法定外繰入の段階的な解消を図るため、県と市町が連携して、県全体で医療費適正化、収納率向上等に取り組むことにしています。
 これらの取組に必要となる財源確保については、必要に応じて、国に対して財政支援の拡充を要望していきたいと考えています。
 
(中森辰一議員)
 国民健康保険では保険料のあり方も問題です。他の保険制度にはない世帯員一人当たりいくらという保険料があります。世帯の所得とは別に、世帯の人数が増えれば増えるほど保険料が上がるというしくみです。同じ所得なら世帯の人数が増えればそれだけ生活は厳しくなるのに、さらに国保料も増えるというわけで、こんなひどいしくみはありません。
 今日、子育て支援ということが言われながら、子どもが増えれば保険料負担が増えるしくみは、広島市の子育て支援を進める方針とは相いれません。こんなしくみはなくすべきですが、広島市として是正に取り組まれるお考えはありませんか、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 国保は、みなが応分の負担を出し合って、お互いを支えあう相互扶助制度であり、収入を売る形態が多様である中で、所得割保険料のほか、被保険者均等割り、世帯平等割の保険料を政令で定める基準に従って算定されることとされています。
 子どもにも被保険者均等割りの保険料を算定することになりますが、保険料の法定軽減については、子どもが増えれば、軽減判定の所得基準額が緩和されることになります。また、この法定軽減は、平成26年度から、毎年度拡充が行われています。
 さらに、平成30年度から全国で1700億円の財政支援の拡充が行われる中で、子どもの被保険者数に応じた財政支援も行われる予定であり、これにより、子育て世帯を含め、保険料の伸びの抑制が図られるものと考えています。
 なお、昨年度、指定都市市長会として、国に対して、被保険者の所要の措置を講ずるよう要請したところであり、今後も、必要に応じて、国に要望してまいります。

(中森辰一議員)
 「平和都市」広島市では、だれでも必要な医療が受けられるまちでないといけないという点で、特に広島市ができることとして、一部負担が払えない国保の加入者がきちんと医療が保障されるようにするということがあります。国保一部負担減免制度は、この点で非常に重要な制度です。広島市では、以前は生活保護基準の1.3倍以下の所得を要件として、申請を更新することで、慢性疾患でも一部負担を心配することなく治療を続けることができました。ところが、現在は、この制度を改悪して、最長でも半年間しか利用できないものにしてしまっています。
 これでは、慢性疾患の方は治療を続けることができません。市は生活保護になるべきだと言いますが、この制度の対象者には生活保護になれない事情がある世帯がたくさん含まれています。「平和都市」が、わざわざ制度を改悪して、慢性疾患の治療を中断させるようなことをしていていいのかが、問われています。早急に元の制度に戻すべきです。
 また、来年度からの国保の県単位化後も、独自措置としてこの制度を実施するべきです。以上、2点について、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 国保の一部負担金の減免については、平成22年の国の通知により、減免期間は3か月までを標準とすること、療養に要する期間が長期に及ぶ場合は、必要に応じて生活保護担当など福祉部局との連携を図ることなどが示されました。
 こうした中、本市においても、平成25年4月から、収入が激変する事態が生じた場合の保険制度における一時的な救済措置という制度本来の趣旨に沿うよう、一部負担金の減免制度の見直しを行ったものであり、元の制度に戻すことは考えていません。
 また、国保の県単位化後における一部負担金の減免制度の取り扱いについて、県や他市町と検討しているところですが、当面は、各市町の基準により対応する方向で協議しています。

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生活保護制度について

(中森辰一議員)
 最後は、生活保護制度についてです。
 我が国では、生活保護が受給できるはずの世帯のうち2割から3割程度しか、受給できていないとされています。ヨーロッパで6割から7割と言われているのと比べると大きく遅れています。これは、生活保護を受給するのは恥だという考えがかなり浸透していることが一番大きいと言われています。政府も地方行政も、この制度の利用は最後の最後、何もなくなってから相談にいくところ、という意識を広げていて、生活に困っても気軽に申請できないからです。
 こう考えると、生活保護を申請するのはよほど困っている状態だということです。生活保護を申請したら、特別のことがない限り2週間以内に保護決定をしなければなりません。何もない状態ですから当然です。ところが、最近、保護決定が2週間を超えて1カ月もかかった例が増えています。東区では何と4割に及び、安芸区でも3割に上ると聞いています。申請者は何もないのですから、決定まで非常に不安な状態で過ごすことになります。それを1カ月もほっておくとはどういうことでしょうか。

(健康福祉局長)
 生活保護法では、扶養義務者の資産および収入の調査に日時を要するなど、特別の理由がある場合を除き、申請から14日以内に保護の要否決定をすることとされています。
 本市における申請から14日以内の決定割合について、平成28年度を見ると、中区85.8%、東区61.1%、南区88.4%、西区88.1%、安佐南区94.2%、安佐北区81.3%、安芸区68.6%、佐伯区81.9%となっています。
 年度によりばらつきがありますが、東区及び安芸区において平成28年度の割合が低いのは、資産調査や扶養交渉等に日時を要したケースが多かったためであり、今後とも法律の規定を踏まえて必要な調査を行い、適正な保護の要否決定を行ってまいります。

(中森辰一議員)
 なぜ、こうなっているのか、各区でどのような実態なのかを明らかにしていただきたい。さらに、この実態を直ちに是正するとともに、決定までの生活費を、保護決定を前提にきちんと保障する必要があります。どうされるか、答弁を求めます。
もう一点、そのための貸付資金が足りないので、保護決定までに必要な生活費を保障できないことがよくあります。実態を明らかにしていただきたい。
 また、これは保護決定されれば保護費と相殺するものですから、必要な額をきちんと確保し、足りなくて生活費を保障できない事態がないようにしていただきたい。以上、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 広島市社会福祉協議会において、平成31年度から、生活保護申請中の方への生活資金の貸付事業を実施しており、本市は、この事業の開始時に補助金を交付し、その後も、貸付資金の状況により、増資を行ってきています。
 平成29年10月末時点の貸付原資は、405万円であり、436件、360万円の貸付を行っており、資金残高は約45万円となっています。
 貸し付けに当たっては、申請者の手持ち金を確認しながら、限度額の範囲内で必要な額を決定し、適切に対応していることから、貸付資金の不足によって必要な交付が行われていないのではないかとの指摘はあたりません。
 貸付資金については、今後とも貸付に必要な額を確保してまいります。

(中森辰一議員)
 質問は以上でありますけど、もう一点申し上げたいことがあります。
 安倍首相と自民党は、憲法9条に第3項を加えて自衛隊を明記する憲法改定案を国会発議しようとしています。
 憲法9条2項では、「陸海空軍その他の戦力は持たない」と明確であります。戦力である自衛隊が明記されるのは、相反する条項となりますが、法律の原則では後から書き加えたほうが優先されます。つまり、第2項は意味のない条項に代わってしまうわけです。
 憲法に書き込まれようとしている自衛隊とは、多くの国民が支持している、災害で活躍する災害援助隊としての自衛隊ではありません。外国にも出かけて行って戦争を行うことができる軍隊としての自衛隊です。
 自衛隊が憲法9条に書き加えられれば、憲法9条は戦争を否定するものではなくなるということ、北朝鮮の問題が言われますが、この問題は、絶対に戦争にしてはならない。
 戦争になればそれこそ日本が、アメリカと一緒になって北朝鮮と対峙するということになるわけで、それこそ、ミサイル攻撃の目標になるのだということを広島市民の皆さんに訴えるということであります。以上で一般質問とします。

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2017年第5回 12月定例会 議員の発言