議会での質問・答弁

2017年11月09日

2017年第3回9月議会 経済観光環境委員会 中森辰一議員

2017年第3回 9月定例会 議員の発言

議会の録音

【世界遺産のバッファゾーンに対する水の都ひろしま推進協議会と広島市行政の姿勢について】

◆中森 委員

「水の都ひろしま推進協議会」というのがありまして、大学の先生や観光関係者などの専門家などの方々、いわゆる学識経験者といった方々が、広島市内の川と観光資源として活用しようという議論がなされてきています。元安川河岸のバッファゾーンの中に、今かき船やオープンカフェが営業しているんですけれども、この協議会があまりにも安易にこれを進めてきたのではないか、承認していたのではないかという思いがありまして、この協議会でどのような議論がなされてきたのか、議事録を取り寄せてみますと、破棄したものもあるということで、全部を読んだわけではないんですけれども、協議会の議事録を集めて読んでみました。そういう中で、この協議会について、特に世界遺産のバッファゾーンの扱いについて、どういう考えで議論されていたのかと、強い疑問がありますので、世界遺産を守るという立場で今回は手始めということでいくつか聞いていきたいと思います。細かいことも聞くなということもあるかもしれませんが、その中にですね、問題の本質もあると思っておりますのであえて細かく聞きたいと思っております。

まず基本的なことから確認しておきます。この協議会はどういう根拠に基づいて設置されているのか。どういう権限があるのか。お答えください。

 

◎おもてなし推進担当課長

水の都ひろしま推進協議会には平成14年に水の都ひろしまの実現に向けてへの重点的な取り組みが国の都市再生プロジェクトとして選定されたことから、同年10月に広島の河岸緑地等の豊かな水辺を市民・民間の創意工夫等最大限に生かしうる空間として活用し、海外からの来訪者にも誇りうる「水の都ひろしま」にふさわしい都市空間を創造することを目的として創られたものです。同協議会は先ほどございましたように大学教授等の有識者、市民団体、経済観光関係者、国・県・市の行政機関で構成されておりまして、市民民間の自由で多様な活用取組に対する河川河岸緑地等の積極的な開放などの先駆的な取り組み等を行っているところでございます。

 

◆中森 委員

私が聞いたのは、どういう根拠かということと、どういう権限があるのかということなんです。根拠とはすなわち公共空間を一定の範囲区切って、今現に民間業者に営業させているもんですから、そういう公共の空間、これはつまり市の財産、国民の財産です。これを民間業者に提供するというわけですから、これは当然何らかの法律に基づいていなければならないと思うわけです。法律に基づいて行われるということはそこに何らかの権限が生じることになりますのでそのことを聞いています。

 

◎おもてなし推進担当課長

河川区域においてオープンカフェ等設置するためには河川敷地占用許可準則に基づき、河川管理者から都市・地域等再生利用区域の指定を受ける必要があります。先ずはこの指定を受けるに当たってはあらかじめ河川管理者、地方公共団体等で構成する河川敷地の利用調整に関する協議会等の活用などにより、地域の合意にあたらなければならないとされています。「水の都ひろしま推進協議会」は河川管理者である国・県、それから地方公共団体である本市が委員となっておりますことから河川敷地占用許可準則上の利用調整に関する協議会となっているということです。

 

◆中森 委員

そういうことを含めて権限を持っているわけなんだと思うんですけれども、協議会で色々議題を決めて諮問したり、資料を提供したり、議論の結果をまとめたり、決まったことを各機関で具体化したりということがあると思うが、そういう機能、事務局ということだと思うが、どこが担っているのか、また、この協議会についてはどこが責任を負っているのでしょうか。

 

◎おもてなし推進担当課長

事務局は国・県・市が行っております。責任は事務局を含め推進協議会自体にあると考えております。

 

◆中森 委員

ということは行政も当然責任を持っているということですけれども、かき船「かなわ」もオープンカフェ「カフェ・ポンテ」も元安川河岸のうち世界遺産「原爆ドーム」のバッファゾーンの中に位置しております。問題は、このバッファゾーンの中での企画を検討するにあたって、このバッファゾーンの中なんだということについての認識がどうなのかなということなわけなんです。世界遺産「原爆ドーム」のバッファゾーンとはいうのはどういうものかということについてきちんとした認識をもって検討が行われていたのかどうかということだと思います。この点はどうでしょうか。

 

◎おもてなし推進担当課長

バッファゾーンを含む平和記念公園とその周辺の整備については平和記念施設保存整備方針において慰霊、鎮魂のための聖域としての静けさや雰囲気を確保する。平和について学び考えることができるような必要な整備を行う。来訪者のための憩いの場、賑わいの場を確保することなどを基本方針として掲げています。元安川オープンカフェ出店にあっては「水の都ひろしま推進協議会」において、平和記念施設保存整備方針での位置づけを踏まえ、平和記念公園の来訪者のために、憩いの場・交流の場を作るという役割を果たしていく必要があると考え、検討した結果、平和記念公園周辺にふさわしい上質感ある雰囲気作りなど広島らしいもてなしの水辺を作ること、平和記念公園周辺にふさわしい品格のある店舗デザインにすることなど。潤いと安らぎを感じられる風景を作ること。都心部の回遊性を高めることを事業コンセプトとし、実施場所である元保川の特性や環境を考慮しております。

 

◆中森 委員

これは広島市が出している文章にいろいろ書いてあること、認識しておられることだと思いますけれども、一番肝心な原爆ドームという世界遺産はどういう世界遺産であるのか、このバッファゾーンというのはどういう役割を担っているのか、そういったことについてきちんとした認識があるのでしょうか。

 

◎おもてなし推進担当課長

原爆ドームのバッファゾーンは文化遺産及び、自然遺産を人類全体のための世界の遺産として、損傷破壊等の脅威から保護し保存するという世界遺産条約の目的を達成するため、遺産の周囲に設ける緩衝地帯として、世界遺産条約の指針に則って設定したものであり、文化財保護法、都市公園法及び、広島市公園条例河川法、景観法及び、広島市景観条例などの国内法令等に基づき、適正に保護していくものと考えております。

 

◆中森 委員

ですから、オープンカフェは今京橋川でも行われているし、これから本川でも、もうやっているかもしれません、そういうところもあります。本川といってもバッファゾーンから外れたところですけれども。そういうところと、この元安川の河岸の、特に相生橋と平和大橋。この間の部分。これは対岸の本川の西側の河岸も同じことですけれども、ここはバッファゾーンであってほかの河岸緑地とは違うというきちんとした認識をもってこの取り扱いをしていかなければならないという風に思っているんですけれども、この点はそういう認識はちゃんとあるのかどうかもう一度お願いします。

 

◎おもてなし推進担当課長

元安川のオープンカフェの出店にあたりましては、先ほど申し上げた平和記念施設整備方針での位置づけを踏まえまして、募集要領に事業コンセプトとしまして、平和記念公園周辺にふさわしい上質感なる雰囲気作りなど、また平和記念公園周辺にふさわしい品格となるデザインにすることなどを決めておりますので、そこは元安川の特性や環境を考慮しておると考えております。

 

◆中森 委員

あえて聞くわけですけれども、経済局はバッファゾーンがどの範囲であるかというのをきちんと認識しておられるのでしょうか。或いはこの協議会のメンバーと事務局を出している国・県の職員さんはこのバッファゾーンがどの範囲であるのかということをきちんと認識しておられるのでしょうか。

 

◎おもてなし推進担当課長

認識していると考えております。

 

◆中森 委員

では伺いますが、あえてどの範囲か言ってみてください。

 

◎おもてなし推進担当課長

バッファゾーン自体がですね、図で区域を区切っているものですから、どこからどこまでというのを申し上げにくいんですけれども、紙屋町の方の電車通りから下流の要綱の対象範囲であるという風に認識しております。

 

◆中森 委員

バッファゾーンというのは通常の認識では非常に狭いかもしれませんけれども、結構広い範囲がバッファゾーンになっております。南北で言いますと、今の相生通りのもう一つ外側のブロックまで。それから南の方は平和大通りの外側。つまり土谷病院がありますけれどもあそこまであの設置地域も含めてバッファゾーンなんですよ。東西で言いますとね。島病院がありますけれども、あの島病院の前の通りまで。通りは含まないと思います。前の通りの向かいの建物のあたり、あのあたりまでが東側の範囲に入りますし、西側の方は本川小学校があるあの区域までがバッファゾーンに入っているわけです。つまり非常に広い。しかもそのバッファゾーンというのは実際にはですね、平和公園のようなそういう空間だけではありません。特に西側の方にはいろいろな店舗もあります。マンションもあります。そういった空間がつまりバッファゾーンになっています。今回、この最近新たにマツダが建てたあのビルですね。あそこも含めてバッファゾーンになっているわけですよ。そのバッファゾーンをどう考えるかということがこれまで、やはり私たちがこの世界遺産を守るということで非常に大きなテーマになってきたと思いますし、そのバッファゾーンで例えばいろんな事業をやるとか、建物を建てるとかですね。そういうことに当たってはやはり十分な配慮がいるということをこの間いろいろと議論をしてきました。その中でも特にこの元安川と本川のそれぞれの河岸ですね。平和公園の対岸の河岸までというのは、特に非常に重要なコア的な部分だという風に思っています。そういう風に平和公園と一体のものとして、あるいは世界遺産「原爆ドーム」と一体のものとして、少なくともバッファゾーンの中でもこの範囲には考えていくべきだという風に私たちは考えてきましたし、そういう風に主張もしてきました。そういう風にとらえてもらいたいということを、要求をしてきたわけです。そういうことを踏まえながらですね、続けていきたいと思うんですが、平成19年の10月の第12回協議会では、「元安川オープンカフェの拡充について」が議題になっております。議事録を一部紹介します。先ず事務局の発言ですが。「平和記念公園周辺のバッファゾーンという環境でもあり、平和に貢献する取り組みにしていくことが大切になっていると考えている。」これはバッファゾーンという認識がちゃんと事務局にあって、会議の中でも指摘しているということがわかります。これに対して渡辺さんという委員さんが「この場所は『広島の顔』を作るということになると思う。特に外国人へのサービスや情報発信をどうするかが重要である。『平和』のために集まってくる人に対する広島としてのホスピタリティを入れ込んでおかないといけない。」こういう風に発言して、続いて「ドリミネーションの時期には多くの人が夜遅くまで回遊しており、体を温める場所としてアルコールもあって大人の品格ある店づくりも必要ではないか。営業時間も柔軟に考えるべきである。」という風に発言しております。これに対して事務局は「アルコールについては関係者と相談したい。ホスピタリティの向上は店員をひろしま通認定試験合格者や外国語が話せる人にするなどが考えられ、出店計画の中で対応したい。」とアルコールを出すべきだという意見に対して、事務局は、すぐにその方向で進めると答えています。ここには、世界遺産「原爆ドーム」のバッファゾーンであり、原爆ドームがある川土手筋の中にあって、この並びには、慰霊碑が7つも設置されている、そういう点では原爆ドームの一連の特別のゾーンだという意識はどうもないように感じられます。普通の名所・旧跡に隣接した地域程度の認識しか、あえて事務局が「ここはバッファゾーンです」と言っているにもかかわらず、その程度の認識での議論しかしてないんじゃないかという風に感じられるんですよ。それに対する事務局の答弁はすぐにその要望に応えようという風なことになっております。負の世界遺産、世界遺産の中でもこれはやはり違う性格の世界遺産なわけです。この負の世界遺産のバッファゾーンの中ですから、それは難しいんじゃないか、と広島の行政なら言うんじゃないかという風に思うんです、そういう意識はどうも事務局自体になかったんじゃないかなという気がします。いったいこの世界遺産の「原爆ドーム」のバッファゾーンは、他の名所・旧跡と同じなんだろうか。世界遺産のバッファゾーンということになりますと、この負の世界遺産じゃない他の文化遺産の場合でもバッファゾーンの在り方、扱いは厳しく制限されなければなりません。ところがこの軽さはどうなんでしょうか。今の経済局として、このやり取りを聞いてどう思いますか。

 

◎観光政策部長

今の委員のご指摘というのはよくわかっております。私共としましては、このバッファゾーンについては非常に重要な場所であり、そして今課長の方からも答弁がありましたけれども、ここについては平和記念施設保存整備方針の中にきちっと書き込んで、そして慰霊・鎮魂のための聖域としての静けさ、そして雰囲気を確保する、これがやはり大きな目的になっております。その中でも、来訪者のための憩いの場、あるいはその賑わいの場を確保するということも併せて考えていくというのを入れております。そういう中で、我々はこの場所をより多くの方に訪れていただき、そして被爆の実相を学びながら、平和の尊さについて考えていただくと、そういったことをですね、中心に考えております。そこで今の、この賑わいとの調和というものをどうしていくかというのをこれからも経済観光局として追及していかなければならないという風に考えております。

 

◆中森 委員

今元安川のオープンカフェではアルコールは出されていますか。

 

◎おもてなし推進担当課長

出されていると認識しています。

 

◆中森 委員

ですからこの委員がおっしゃった通りになっているわけですよね。元安川のたもとからわずか数メートルしかない道路。東側の道路ですけれども。これを渡った先にはいくらでも飲食店などがあります。本通りの中には割と落ち着いた雰囲気のお店もあります。にもかかわらず、平和公園を夜に訪れる人たちがですね、体を温めたりする大人の品格ある店、どうしても、この元安川のたもとにないといけないのでしょうか、と私は非常に疑問に思うんです。なぜここにそんなものが必要なのか。ちょっと行ったらすぐにいくらでもあるじゃないかと思うんですが、どう思いますか。

 

◎おもてなし推進担当課長

平和記念施設保存整備方針におきましても人々が集い行動する場というものがあるということと、それから平和記念公園の周辺という場の特性を生かして、もてなしの水辺づくりを進めるために河岸緑地を民間に開放という観点で実施しているところでございます。

 

◎観光政策部長

今の答弁にちょっと補足をさせていただきます。この元安川オープンカフェの目的でございますけれども、ここは民間事業者による常設型オープンカフェを実施することで、河岸緑地である公共空間の有効活用を図るということと、あと平和記念公園来訪者に憩いと、そして交流の場を提供し、うるおいとやすらぎのある川辺の風景を創意するという、そういう目的でこのオープンカフェを設置しております。その中での、取り組み方針は先ほど課長が答弁しましたように平和記念公園の来訪者のために憩いの場・交流の場を作るというということで、平和について考え、語り合い、憩い、そして交流が生まれる空間づくりをする。そういった観点からですね、このオープンカフェを設置しているということでございます。

 

◆中森 委員

まあ、有効活用だという風におっしゃるんですけどね。私はね、この原爆ドームが何故世界遺産にあえて登録されたのか。この原点を忘れているんじゃないかと思うんですけれど。そもそも何故その整備方針の中に賑わいなどという言葉が出てくるのか。賑わいはいくらでもその外側であるじゃないですか。何故この非常に重要な空間の中に賑わいを持ち込んでくるのか。整備方針そのものが間違っているのではないですか。ほかの議員さんと一緒に今年ポーランドのアウシュビッツへ行ってきました。あそこで今現にこの元安川の河岸で行われているようなですね、ソフトクリームをぺろぺろなめながら歩くとかですね、こんなことはあり得ないんですよ、あそこでは。口の中に物を入れてね、ウロウロする、こんなことはあそこではありえないんですよ。アウシュビッツと提携をして何か事業を進めていくみたいなことを言われているけれども、ものすごい意識の差があるのではないか。ここを変えていかなければならないのではないか。同じ議事録の中にこういう発言もありました。山根さんという方ですけれども、「アルコールがないと採算が合わないし面白くない。コンサートを見てカフェで飲み平和を語る場として、国際的に広島の顔にもなる。苦情を言われる前にアルコールを出さないと決めるのではなく、被団協などから出てきたときに調整したらよいと思う。」と発言されています。どういう発言ですかね、これは。私は、これを読んですごく腹が立った。ここまでくると、バッファゾーンだという認識は仮にあっても、「原爆ドーム」という世界遺産がどういう性格の世界遺産であるのか、どういう理由で世界遺産に登録されたか、そのバッファゾーンというものが、どうあるべきであるかについては、ほとんどまともな理解がないのではないかという風に疑わざるを得ません。平和のための世界遺産だという認識はあるようですけども、問題がありそうなことをやれば、平和団体や被爆者団体などから抗議があるかもしれないけれども、その時はその時でどんどんやってしまえという、そういうイケイケドンドンみたいな発言がこの原爆ドームの世界遺産のバッファゾーンに関わって、行われているわけです。どう思いますか。

 

◎おもてなし推進担当課長

このような意見も踏まえましてですね、当該発言を受けて、事務局では元安川木陰でアルコールがメインにならないよう、宴会モードにならないような条件を検討したいと発言しており、これらの意見を踏まえまして平成19年度に初めて元安川のオープンカフェ出店者を募集した際には、その募集要領において飲酒を主体としない業態とし、平和記念公園周辺にふさわしい雰囲気を保つため、過度の飲酒とならないよう十分配慮をすること。さらにアルコールの提供に関して、問題が生じた場合は水の都ひろしま推進協議会と出店者、地元が協議し、その結果を踏まえ対応することとしています。この出店条件は平成25年度の再募集の際にも継続しております。

 

◆中森 委員

アルコールを飲んで大騒ぎをする、こんなことはとても許されることではありません。しかし、そもそもこの平和公園見ながらですね、原爆ドームを、碑があるから直接は見えませんけども、そういうものを眺めながらアルコールを飲んで、語らうと。飲んで語らうこと自体は否定しないです。それは良いでしょう。けれどここでやる必要があるのか。ここでそういう場を提供することがいいのかということを申し上げております。こういう意識の人たちが、世界遺産に関わることを議論している。世界遺産は広島市民だけの財産ではないと、昨年申し上げましたけれども、これは世界に対して申し訳ないことをしているのではないかという風に思います。国際平和都市だと標榜している広島市が、ヒロシマといえば世界中の人たちが知っている。その広島市が、世界遺産に対してこんな扱いをしていいのか、と思います。平成26年7月の第28回協議会では、元安川オープンカフェの出店契約について議題となっておりまして、国土交通省の委員から「応募条件で区域の設定をしておきながら、区域の利用をなし崩し的に認めるのはいかがなものか。」と疑問の声が上がっていいます。これに対して、広島市事務局が出店者の意向を実現できるように対応しようと動いていることが議事録からわかります。さらにそれに対して、この国土交通省の委員が「市は管理者の立場から守るべき所は守った方がいい。」と当然の意見を述べている。そもそも市民の公共空間を、行政の判断で民間業者の儲けの場に提供しようということですから、このこと自体、市民にも情報提供して意見を聞くのが当たり前ではないかと思います。そういうこともしないままに、民間業者が求めるままにさらに提供空間を広げようとするということは、市民の利益に反することになるのではないか。この事業は、試験期間を終えて新たな契約になっていますけれども、いずれにしても長期にわたって公共空間の専用を認めるものである。それだけに、この場所は市民が自由に立ち入ることができる空間であるという点で、慎重に市民の利害と調整を図る姿勢が必要です。にもかかわらず、市の行政が、民間業者の要求をどんどん受け入れていく姿勢になっていたのは、先に民間業者の利益ありきという姿勢じゃないのかと思うんです。川が氾濫しないために土手が築かれて、それをきちんと管理しつつ、土手上の空間を市民の公共空間として提供してきた国土交通省として、当然の疑問が呈されたということだと思います。それに対する広島市側の姿勢は明らかに業者の利益優先の姿勢ではないか。あらかじめ伝えておきましたから議事録を読まれただろう思いますが。この点はどう思いますか。

 

◎おもてなし推進担当課長

店舗等は応募要領で定められた区域内で事業を実施することが原則であり、区域外へ設置する場合には日よけを目的とした可動式オーニングや身体障害者用スロープ等の公共福祉の向上に資する目的で設置するものに限ってするものです。また、当初の募集要領におきましてはオーニング、看板、設備機器等、必要物品で営業区画内に設置することが困難なものについては推進協議会が承認するものに限り区画外に設置することができるものとするということがございまして、それを受けての事業者の要望があったものでございます。

 

◆中森 委員

そのことはまた後で聞きますけれども、大体元安川オープンカフェが設置された場所には、原爆で亡くなった郵便局の職員を慰霊する碑が設置されています。このオープンカフェの南側にも隣接して慰霊碑があります。この元安川東詰めの南側には3つの慰霊碑などが集中している場所です。わざわざ、こういう慰霊碑にカフェの施設が隣接するようなやり方で、つまり、毎年死没者の慰霊の行事も行われてきた慰霊碑をないがしろにするような形で、施設を設置するやり方自体が、私たちが思っている被爆都市ヒロシマ、平和都市ヒロシマの行政の在り方としては考えられないということです。なぜ、今の広島市の行政は慰霊碑に対する配慮をしなかったのか。慰霊碑が3つもあるようなところになぜあえてわざわざオープンカフェを設置したのでしょうか。

 

◎おもてなし推進担当課長

平成20年から今のオープンカフェになる以前にですね、スタンド式な簡易な飲食を提供するカフェがございまして、そこから実証実験を通じて今の箇所にオープンカフェを開設するものにございます。

 

◆中森 委員

私たちの方がね、もっと敏感にそういうような問題も早くから指摘しなければならなかったという風に思います。これは私たちの反省です。この慰霊碑の当事者たちや、私たちも厳しく批判した結果、今でこそ、慰霊碑の前のスペースを少しだけ広げておりますけど、最初は慰霊碑が埋もれるような状況になっておりました。今でも、大勢が集まって慰霊祭をやるようなスペースはありません。結局、慰霊碑など眼中にはなかったということだと思います。このオープンカフェを設置した民間業者も、そういう状態で設置されたのに知らん顔をしていた広島市行政にも、いかに人寄せをするか、賑わいということですけれども、ということにしか頭がいっていなかったのではないかと、ここは特別なエリアだという意識がなかったのではないかと私は思います。大学の先生のようですけれども、福田さんという協議会の委員が、国土交通省の委員と事務局のやり取りに対して、「協賛金をとるエリアが広がるということか。」と質問し、市が、そうだと答えている。これを読むと、協賛金がどんどんとれるようにした方がいいといった風に思えますバッファゾーンで公共が金儲けをしようといった発想が何故出てくるのか。こういう発想しか出てこないこと自体が、この協議会の世界遺産に対する理解が欠けている証拠だと思います。この協議会は、第28回ですかね。ずっと前のことではありません。おととしの平成26年のことです。今回は、このオープンカフェの問題だけにしますけれども、バッファゾーンに対する水の都ひろしま推進協議会の姿勢も、バッファゾーンをしっかり守る立場の広島市行政のこういう姿勢も容認できない。大いに問題ありだ。こういう姿勢はもう一度見直しをするという。是非考え直す必要があるのではないかと思いますが、今のやり取りを踏まえて答えてください。

 

◎観光政策部長

今の委員のご指摘は真摯に受け止めたいと思います。そして私共職員は、今委員からご指摘がありましたように、原点は決して忘れてはなりませんし、その原点にきちんと向き合いながらですね、仕事をしていかなければならないと思います。そして、今委員の方からもありましたけれども、やはりこのバッファゾーンを含みます原爆ドーム、そして、その周辺の区域については、改めて犠牲者の慰霊の気持ちということと、そして平和のたたずまいをしっかりと伝えると、そしてそこに訪れる方々の賑わいを感じられる調和をうまくしながらですね、この地域をしっかりと守っていくと、そういう気持ちを、中だけではなく、外にもきちんと伝えるという、そういう努力をしっかりとしていって、委員の指摘にあるような誤解を皆さんに与えないようにそういうふうに努めていきたいと考えております。

 

◆中森 委員

この整備方針の中での賑わいという言葉は、私は外すべきだと思います。アウシュビッツは、この広島の平和公園、資料館よりも大分多い見学者がおられるわけです。そういう意味では当然、大変賑わっています。入口のあたりはですね、多くの人が案内の方と相談をしたりなど、いろいろやっています。だけども、そこで飲食をするとかそういったことは全くないんですよ。みんな真剣な顔をしているわけです。そういうような雰囲気がここの中で作られないといけないのではないでしょうか。少なくともバッファゾーンの中でもこの河岸の所まではですね、そういう風な雰囲気をきちんと維持していく。その外側にはもう賑わいそのものが存在しているわけですよ。だけども、平和公園の外側の賑わいというゾーンと、それをきちんと区分けをする場所として、この河岸というのは非常に大事だと私は思っています。そういう風な意味では、この整備方針そのものを考えなおしていく、賑わいという言葉をなくすという改善がいると思います。それで、もう一点先ほど言いました、今のオープンカフェの営業の実態を少しお話ししておきます。今のオープンカフェを営業している業者は、ビル管理の分野でどんどん事業を拡大して来た会社です。このバッファゾーンでのオープンカフェ自体問題があると思いますが、それにしても、公共空間を利用する事業だからということで、契約の時の条件をきちんと守っているかどうか、先日私は見に行ってきました。写真も撮ってきました。この店があるおかげで、隣接する慰霊碑に注意を向ける人はほとんどいません。実態としてみえないのだから。川の方からみて、店の向こう側に位置している郵便の慰霊碑はないも同然です。平和公園の方から本通りに向かっていく人の目に、この慰霊碑が目に入ることはまずないと思います。そしてウッドデッキの実態です。ウッドデッキは、契約上はオープンスペースで、お客ではなくても誰でもスペースを利用できることになっているが、ウッドデッキの上は、まったくの店の専用スペースになっています。行ってみるとわかりますけども、これでは、あえて、ただ休憩するためだけにこのスペースに入って、注文をせずに椅子に座り続けるという勇気のある人はなかなかいないだろうと思います。あそこが、誰でも入れるスペースだということは、誰も知りません。オープンスペースだというのならウッドデッキを設けること自体に問題がある。これは行政の、皆さんの責任です。ここは公共空間なんだから、勝手に占有しているような実態は認められない。占有することができるのは、店舗の建物を建てている場所だけです。それ以外は全部オープンスペース。このことをもう一度はっきりさせる必要があります。通る人たちが、すぐわかるような場所には十分な大きさで、「ここはどなたでも休憩することができます。オープンスペースです。」という表示をしないとわかりませんよ、これは。行政の責任でそういう表示をするべきではないんですか。

 

◎おもてなし推進担当課長

先ほどご指摘がありました広場区域というのはパラソル、テーブル、イスなどを配置して、河岸緑地を訪れる一般利用者が自由に憩える、かつ店舗の開放部分として利用することもできる区域でございます。ただ、事業者が整備しましたウッドデッキ部分はですね、一般利用を排除するような店舗運営はしていないとは聞いてはおりますけれども、一方で入りにくいといったようなご指摘もいただいておるところでございますので、それにつきましては、また業者に一般の利用者も利用できる旨をわかりやすく表示するなど、より開放的な空間となるように、引き続き指導してまいりたいと思います。

 

◆中森 委員

以前にですね、この問題を指摘した際に、行政の方も行ってですね、事業者と話をして、その結果、小さい表示をすることにしました。確か2~3センチ×10センチ程度の小さいシールにそういう趣旨のことを書いて、道路側のウッドデッキの縦の部分に張り付けた。ほとんど目につきません。しかし今はですね、そういう表示さえもありません。もしかしたら、あるとしたら、今外側に出されているオレンジを積み上げている箱に隠れている。それが今の実態です。こんないい加減なことでいいんだろうか。やはり、ここはオープンスペースというのは明らかなので、ですからウッドデッキを設置したら、個々はオープンスペースだと誰も思いません。そういう表示の問題もありますが、このウッドデッキの問題は改めて見直しが必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

◎観光政策部長

私はこの4月に観光政策部にまいりまして、前任から元安川のオープンカフェにおいて、今委員からご指摘いただいたことは引き継いでおります。そしてこれまでの議会でもたびたびこの是正についてご指摘いただき、そしてそのたびに職員が、そのたびにといいますか、違反した都度ですね、是正に向けて指導をしておりましたが、長期にわたってこれが改善されていないという状況については、真摯に受け止めています。これまでの経過を私なりに調べて、そしてこの7月にこの出店者の代表取締役を訪ねて、そして今一番長期に問題となっているのがこのスロープ。この店舗の外にあるスロープにテーブルと椅子を設置して、そして店舗として利用している。これはそもそも出店契約書、そして水の都ひろしま推進協議会と出店者と交わした申し合わせ事項、営業に関わる申し合わせ事項に反しているので、スロープに戻すか、あるいはスロープが必要なければ撤去するかそれをお願いしたい。という話をしました。その後も8月に同社の幹部にお越しいただいて、改めてそれ以外の是正も含めて、お願いをし、さらに9月に入って、2回ほど、また同社の代表取締役と直接お話をし、今度は具体的に、第1回目には是正すべき内容を5点ほどきちんとお示しし、そして是正してほしいと伝え、2回目にはさらにそれらの5点について是正に向けた対応、例えば、今のスロープであれば、テーブルやイスなどをスロープから撤去する、スロープ部分を設け、店舗内に入れるようにすること。或いは今委員からもご指摘がありましたウッドデッキ、この店舗利用者じゃなくても利用できる区域が利用しづらいという声があるので、これについては河岸緑地の一般利用者が自由に利用できる場所であることを明記する。看板を設置する。そういう風に具体的に是正に向けた対応をお示ししているところです。今後も引き続きこうした是正を私自らやっておりますので、これを是正できるように力尽くしていきたいと考えております。

 

◆中森 委員

今5点とおっしゃられましたけれども、今言われたその中で、特に車いすの方が店舗に入れるようにということでわざわざ店の外に、約束した、契約した空間をはみ出して1メートル弱ぐらいのあらたなスロープを作った。しかし実態はそのスロープをつぶして、平らにしてですね、テーブルとイスが置いてある。で車いすの方が来られたらすぐにどけますというようなことを言うのかもしれないけども、簡単にはそのスロープ入り口を開けられないような状況で、そう簡単に動かないようなものも入口の所に置かれています。実態として店の拡張が行われたという風に言われても仕方がない。車いす用というのを口実にして店を拡張しているんだというふうなことになっているわけです。契約上は川へ向けて店の端から3メートル開けて通路を確保するという約束になっているのもかかわらず、実態は2メートルしかない。それから、それよりも、元安川の方に寄ったところで樹木との間に3メートルの空間を開けるということになっているのに、実はアイスクリームを売るんですかね、張り出したお店のようなものが新たに設置されてその空間も2メートルちょっとしかない。それから元安橋東詰めの通路と店の端との間も3メートル開けることになっていますが、これもいろいろなものが置いてあって実態として2メートルしかない。こういう実態があります。そういうものを今聞いた答弁では是正を求めてきたということなんですね。これは当然やっていかなければならないと思いますが、どうもこの間、かなり繰り返し、結構長い期間かけて是正を求めてきたにもかかわらず、私が行ってきたのは今週ですよ、今週見に行ったんです。だけども全く改善されていません。改善する気がない業者じゃないでしょうかこれは。公共の空間を占有しておきながら、この範囲で使っていいと言っているにもかかわらず、それを超えて、平気で営業空間に変えてしまっている。これは契約違反ですよ。こんなことをずっと続けて、誠実さがありませんね。これは悪質な業者じゃないんですか。こんな業者にね、重要なバッファゾーンを使わせていいんですか。これは契約解除するべきだと思いますがいかがですか。

 

◎観光政策部長

委員のご指摘の通りです。今後ですね、今私が口頭でずっと指導して是正を促していますけれども、これに応じない場合についてはですね、まず、文書による指導を検討するなど、水の都ひろしま推進協議会の方に諮ったうえで、厳しく対応していきたいと考えております。

 

◆中森 委員

厳しくやってください。これは水の都ひろしま推進協議会の方も改めて、自分たちが、企画したことについて、こういう実態になっているということもきちんと認識していただく。それから賑わいというものについてよくよく考えなおしていただきたい。確かに広島のこの世界遺産。原爆ドームというのは大変賑わっているところに位置していますから、それを排除するのはなかなか難しい。アウシュビッツとは立地状況が全然違います。それであるだけに、このバッファゾーンというのは非常に重要なんです。とりわけコア部分に近い隣接しているこの河岸緑地のあたり本川町の方もそうですけれども、両岸に関してやっぱり川土手の状況をきちんと平和公園と一体のものとして守っていくということをしないと、どんどんバッファゾーンとしての役割が果たせなくなってきている。このバッファゾーンの役割というのは広島市という立地条件だからこそ非常に大事なんだということをもう一度よく認識していただきたい。このことをもう一度申し上げます。また、かなわのことまでいっておりませんので、また改めて行います。

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