政策と活動

2021年07月15日

広島市が「黒い雨裁判」での原告勝訴の高裁判決を受け入れるよう求める要請

 市議団は15日、「黒い雨」裁判の控訴審で、14日に1審の判決を支持し県と市の控訴が棄却される、原告全面勝訴の判決が言い渡されたことを受け、広島市は一刻も早い対象区域の拡大を国に要請する立場に立つよう申し入れました。副市長が対応しました。


広島市長 松井 一實 様
日本共産党広島市会議員団

広島市が「黒い雨裁判」での原告勝訴の高裁判決を受け入れるよう求める要請

 日頃から被爆者援護行政にご尽力いただいていることと存じます。
 広島高等裁判所で行われていた「黒い雨裁判」控訴審において、7月14日に1審を支持し、広島市長、広島県知事及び厚生労働大臣による控訴を棄却しました。黒い雨被害者を被爆者と認めてさらに拡大して救済せよという原告の全面勝訴判決が言い渡されました。
 控訴審判決は、被爆者援護法の趣旨を曲解し被爆者を切り捨てる国の違法な姿勢を厳しく断罪しました。被爆者を規定する被爆者援護法第1条3号について「放射能の影響を受けるような事情のもとにあった者」とは「放射能による健康被害が生ずることが否定できない者」と明確に述べています。まさに現行の黒い雨の対象区域自体がそのような法の趣旨に沿ったものです。国が被爆者の認定について、固執してきた明確な科学的根拠が必要という主張が再び退けられたことを真摯に受け止めるべきです。上告することはこの法を否定するものであり許されません。
 一方、広島市は、1審判決について「黒い雨地域拡大を目指す本市の思いが司法の場で認知された」と評価しながら、国に従い控訴しました。 これは、長年黒い雨地域の拡大を一緒に求めてきた原告や黒い雨被害者にとって裏切りに等しい行為です。また、判決にかかわらず、国に対して被爆者の立場に立った政治判断を要望するとしていますが、広島市がやるべきことは、黒い雨被害者を被爆者と認めないとしてきた違法性を解消することです。
 これまで、広島市は判決を受け入れない理由として「判決を受け入れると原告だけに手帳を交付することになる」と原告以外が救済されないことを強調しました。しかし、かつて原告が勝訴した救護被爆訴訟では、市が判決を受け入れて原告に被爆者健康手帳を交付しました。判決が確定することで基準が変更されて多くの被爆者が救済された歴史を直視すべきです。
 被爆から76年目となる今年、高齢の原告のうち14名が被爆者健康手帳を切望しながら亡くなられています。上訴を繰り返して解決を先延ばしする国に追従することはもはや許されません。広島市が、真に被爆者の立場に立つなら、上告せず、原告に被爆者健康手帳を交付すべきです。そして、司法の判断に従い、一刻も早い対象区域の拡大を国に要請する立場に立つように強く要請いたします。