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06.05.25
横浜地裁が「公立保育園の民営化は違法」との画期的判決

 横浜市の市立保育園民営化をめぐり、その保育園に通う児童の保護者が同市を相手取り、民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判で横浜地裁は22日、保育園民営化は違法として同市に損害賠償の支払いを命じました。公立保育園の民営化が違法という司法判断が示されたのは全国で初めてです。

 横浜市は小泉「構造改革」の横浜版といわれる「行政改革」を進める中田宏市長のもと、「多様な保育ニーズに応える」として、04年度から06年度にかけて年4園(計12園)、市立保育園を社会福祉法人に民間移管(建物は売却、土地は無償貸付のうえ保育園廃止)しています。
07年度も4園を民間移管する予定で、この6月から移管先法人を募集。同市は「市立保育園5園分の運営費で民間認可保育所6園が運営できる」として、経費削減を民営化の大きな目的としています。

 今回の訴訟は、最初に民間移管された04年度の4園の保護者らが起こしたもの。同地裁は判決で、「児童福祉法24条は保育所を選択できる保護者の法的利益を保障している」とし、「決定事項で変更できない」との姿勢で民営化を進めた市の対応を批判。「早急な民営化を正当化する根拠も不十分で、裁量の範囲を逸脱、乱用したもの」と民営化を違法と判断しました。

 なお、民営化の取り消しについては「廃止から2年余りが経過しており、取り消しは無用な混乱を引き起こすことになりかねない」として原告側の請求を棄却しました。

大阪高裁は「経費削減」は正当な理由として「適法」としたが
横浜地裁は「児童、保護者の利益」を尊重して「違法」と判断


 4月には大阪高裁が、同じく公立保育園の民営化問題で行政側に損害賠償を命じていますが、経費削減は「正当な」目的だとして民営化は適法との判断。(下記参照)
 これに対して横浜地裁は、「さまざまな不利益を被る可能性がある児童、保護者」の利益が尊重されていないとして民営化を違法としており、まさに画期的な判決といえます。


参考: 大東市立保育園の民営化問題をめぐる大阪高裁判決について

 大東市立保育園の民営化をめぐって保護者が民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判では大阪高裁が4月20日、引継ぎ期間が短く、保護者の希望や意見を聞かぬまま民営化を進め、児童が心理的不安定になることの防止や保護者の懸念・不安を軽減するための「十分な配慮」がなかったとして、同市に損害賠償の支払いを命じています。

 同高裁は、民営化以降、登園を嫌がる児童やケガが多発し、「児童の安全に重大な危険が生じかねない状況」があったことを認める一方、それは「十分な配慮」をしなかった市の義務違反が原因であり、公立保育園の廃止処分によるものではないとしています。
また、公の施設の廃止は市の裁量に委ねられており、民営化による経費削減という「正当な」目的とその効果も認められるため、市の裁量の範囲を逸脱・乱用したものとはいえないとして、公立保育園の廃止処分は適法と結論付けています。


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