トップ議会情報・議員の発言 2009年基本構想・基本計画特委  議員発言 >中森辰一議員


2009年10月8日 基本構想・基本計画特別委員会 質疑 中森辰一議員

安心して子どもを産み育てることのできる環境の整備について
障害者福祉の充実について
広島大学本部跡地について
高速5号線について
食料自給率向上の取組みについて
放射能影響研究所について


(中森辰一議員)
 3回のこれまでの質疑を経まして出来上がった案が今回提案されて、この議決の中で議決をされるわけですが、そこで改めて個々の文章につて込められた考え方を伺い、中身を深めていきながら、それに沿った課題の提起もしていきたいと思います。そうしたことについて議事録にも残しておきたいという考えで質疑を行ないます。
 

安心して子どもを産み育てることのできる環境の整備

(中森辰一議員)
 基本計画55ページにあります、安心して子どもを産み育てることのできる環境の整備について、この点についてまず基本的な点の確認から進めていきたいと思います。「現状と課題」のところで、「子育てを家庭の責任のみに委ねるのではなく、社会全体で子どもを育てる環境づくりに取り組む必要がある」としております。この世に生まれ出てきた全ての子どもたち一人ひとりに対して、基本的にどの子も人間らしく扱われ社会の一員として成長できるように我々の社会が責任を負う、というのが広島市の考え方だというふうに受け止めるんですが、よろしいでしょうか。

(子ども未来局企画課長)
 安心して子どもを生み育てることのできる環境の整備を図るためには、社会全体で子育てを支援するというこれまでの考え方から、社会全体で子どもを育てるという考え方に発想を転換いたしまして、子育てを家庭の責任のみに委ねるのではなく、行政はもとより企業や地域社会を含めた社会全体で子どもを育てるという意識の醸成へと、具体的な仕組みづくりが必要です。例えば医療費や教育費など、子どもが健やかに成長するために欠くことのできない費用につきましては、親の所得や母親の就労、不就労などの家庭の状況に関わらず社会的に保障するなどの仕組み作りが考えられます。このような仕組み作りにつきましては、第一義的には国の責任において取り組むべき課題であると考えております。現在、国におきまして子ども手当て制度の創設、生活保護制度の母子加算制度の復活、公立高校生の授業料の無償化などが検討されておりまして、こうした取り組みが実現されることを本市として期待しております。また、子どもの置かれている状況を最もよく把握している地方自治体として、本市におきましても、子育てと仕事の調和に向けた支援や子育て家庭に対する物心両面での支援など、子どもと子育て家庭に対する支援の充実に取り組む必要があると考えております。そのため本年度末の策定に向け取り組んでおります、子どもに関する施策の総合的な計画におきまして、現在、子ども施策クロスセクションにおいて具体的な検討を行なっている施策を盛り込みまして、安心して子どもを生み育てることのできる環境の整備に努めたいと考えております。


(中森辰一議員)
 縷々述べていただいたんですけれども、私が述べたことに確認をしていただければいいと思ったんですが、取り組もうとしている施策や国の責任等につきましてもご説明いただきました。改めて、短い言葉で確認をしていただければいいんですけれども、「家庭での子育てが経済的に評価されるシステムの形成に取り組む」というのがありますし、「企業の子育て支援等が経済的に評価されるシステム」という記述もあります。こういった考え方が書き込まれるっていうのは、それぞれ具体的なある程度の具体的な理念があってのことかなと思うんですけれども、そういうものがあるのであれば、端的に簡単に教えてもらいたいと思います。

(子ども未来企画課長)
 例えばこれは、実際本市としてやるかどうかは別でございますが、例えば経済的に評価されるシステムであれば、子育て家庭に対する他都市であればクーポン券のような支給とか、保育園での所謂子育て支援とかそういったものがございます。今現在本市におきましては子どもに関する総合的な計画策定に取り組んでおります。現段階で本市として具体的な、どういったことをやるかということにつきましては、ご答弁できる状況にはございません。


(市長)
 こういった方向の施策は例えば、様々な契約、一般競争入札をする際に、評価項目の中に社会的な項目を加えて、例えば男女共同参画であるとか、障害者雇用であるとかそういった中に、今後の、当然方向性としては、例えば子育てに関する項目が付け加わると言うのは、ある意味では必然の流れであります。ですから既に種は蒔かれておりまして、それも本市だけではなくて、全国的に展開されてきているというふうに思います。


(中森辰一議員)
 よく分かりました。もう一つ敢えて聞くんですけれども、「社会全体で子どもを育てるという意識の醸成を図る」という文言があるんですけれども、ひとつは行政として子育てに積極的に税金を投入することについての、市民全体の合意作りということがあるのかなと思っておりますし、また市民全体に対して日常的に子どもに目を向けて欲しい、そういう要請もあるのかなと思いますし、子どもの育成の責任は偏に親にあるというこれまでの考え方から抜け出していく必要があるのではないか。こういったこともあるのかなと思うんですけども。その点他にも込められた考えがあるのかどうか、あれば教えていただきたいと思います。

(子ども未来企画課長)
 社会全体で子育てをするということで込められた意味、ということで、本市といたしましてはそういったことを取り組むために、現在検討を行なっております子どもの権利に関する条例(仮称)の設定、こういったこともその一つだと考えております。そういった条例を制定することによりまして、本市として社会全体で子ども支援、子育て家庭の支援に取り組む。また所謂、地域、企業、事業者そういった方々と一緒に推進していく必要がございますので、例えばそういったネットワーク作り、これも現在パワーアッププログラムに掲げておりますので、そういった点について検討を進めていきたいと考えております。


(中森辰一議員)
 今日は、現実的にはすぐに進めていくのが難しいかもしれないけれども、少し理想論みたいな話をするようになるかもしれないんですが、どういう社会を目指して、我々は取り組んでいくべきか、そういった点について考え方をぜひ共有したいというふうに思っているんです。それで57ページに「子育て家庭の経済的負担の軽減」という項目があります。四つの具体的な施策が掲げてあるんですけれども、こういうことがあるということを見て、もういっぺん確認をするんですが、社会が一人ひとりの子どもの成長、発達に責任を負う、こういう考え方があるのであれば、やはりそれは子育てをそれぞれの親だけの責任にはしないんだと、こういう発想が源にあるのかなというふうに思うんですけれども、そういう受け止めでよろしいですか。

(子ども未来企画課長) 
 現在改定に取り組んでおります、新たな子どもに関する総合的な計画の策定、その中で今、委員がおっしゃいましたようなことを基本的な視点として掲げております。


(中森辰一議員)
 現状でとかく、親だけの責任にしていくということがあったというふうに思うんですけれども、家庭の経済力が子どもの成長、発達に影響を及ぼすことになっている訳ですよね。これが残念ながら今の我々の社会の現状だと思います。子どもが生まれた家庭では、子どもとの関わりで悩む、子育てについて勉強をしていく、ほかの親たちや先輩と交流したり、そういうことを繰り返しながら、自ら努力をしつつ精一杯の愛情を注いでいく。そうした中で子育ての大きな喜びもあるんだと思います。そうした日常の直接的な子どもとの関わりでは、喜びもあるし大変さもある。親たちがそういうものを享受していくし、また担ってもらうべき責任でもあるというふうに思います。ただ、子どもたちは全て我々社会の宝物だ、こういう言葉があるんですけれども、そういう立場で子どもたちの成長発達に社会全体で責任を負うというのであれば、私は本来は、親たちの役割というのは、今申し上げたことまででいいんではないかと思います。それ以外に親たちに特別な経済的負担を課すべきなのか、というふうに思っております。つまり、第一の問題として、子育てに特別にお金が掛かることが無い社会にするべきではないか。こういうことが考えの根底にあるべきではないかというふうに思うんですけれども、これは出発点の、発想の問題なんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

(子ども未来企画課長)
 まず、一義的には養育責任というのは当然、親が負っているものでございます。ただそういった状況の中で、やはり今委員がおっしゃいまいたような経済的な問題とか、そういった点で難しい面が出る。これは子どもの権利条約の中にも「生活水準の確保」というのがございまして、国の責務ということになっております。従いまして、当然、医療でございますとか教育であるとか、そういったものにつきましては、これは社会全体で負うべきものだろうというふうに考えております。その他の分野につきまして、個々どこまでそれは個人が負担すべきものか、社会の方で担うべきものかというのは、個々の具体のものによって、また状況は違うのではないかというふうには考えております。


(中森辰一議員)
 市長が本会議で、大変重要な答弁をされたというふうに思うんですけれども、私はこういう問題については、いずれかは、貧困の問題だけに矮小化してはならないと思っております。いずれにしても子どもの家庭がおかれた社会的な条件、特に経済的な条件でその成長発達の過程に格差が無いようにしなければなりません。全ての子どもたちに対して、発達の可能性が最大限認識される必要があると思います。そうした発達の条件を我々の社会が作り上げる必要があるんだと思うんです。具体的に考えますと、例えば保育の必要な子に待ってもらわなくていいように十分に保育園を整備していく必要があります。本会議の答弁の中で子ども未来局長さんは、現状、待機者がいる、こういう中で選択せざるを得ないんだ、とこういうふうなことをおっしゃいましたけども、やはり現実に困っている、そういう状態が、これはまさに一番最初の出発点の貧困に対する対応だというふうに思うんです。そういう点ではこれはもう、すぐにでもぜひ克服していただきたい。それから今日では高等学校まで含めて子どもの数に応じて学校施設を整備していく。当然そこには十分な人の体制がなければなりません。同時に経済的な条件が教育を左右することがないような仕組みにしていくことが必要です。具体的には、今義務教育でさえも教育委員会の財政上の都合で、副教材などが保護者負担になっております。基準服、制服、体操服、上履きを初めとして、学校教育を行なう上でどうしても必要な物、それから学校側が用意させる物もあります。そういう購入費を保護者が負担せざるを得ません。こういう実態というのは「教育は無償とする」と憲法には書かれているわけですけれども、こういう実態が未だにあるということは大変問題ではないか、というふうに思います。入学をするときなどに、そういった物の費用負担の心配をしなくていいようにする必要がある。高校も同様だと思います。高校の場合は、通学距離によっては、例えば通学費の支援の問題も出てまいります。今新しい政権の中でこういったことも含めて検討が始まっているようでありますけれども、そういうことをおおいにやっていただきたいと思います。更に本人が希望し、能力があれば、学費や生活費の心配をせずに大学で学べるような仕組みが必要です。よく取り上げられますけれども、学力世界一のフィンランドが実現したように、こういうことを目指していくべきではないでしょうか。そういう社会になって初めて、全ての親たちが安心して子どもを生み育てることができるようになるのではないかと思います。そういう基本認識を持って子どもの総合計画も、まあ来年スタートするわけですけれども、策定していくべきではないかというふうに思うんですけれども、この点はどうでしょうか。

(子ども未来企画課長)
 子どもが健やかに育つための環境作りというのは非常に重要だと考えております。当然今、現段階の計画策定におきましては、基本的な考え方として、そういったことで取り組んでおります。ただ、現実的に、先ほどのご答弁でいたしましたように、所謂国において対応すべき課題もあると考えております。そういったことにつきましては、政令指定都市市長会であるとか、そういった所で国の方に要望しておりますし、本市としてできること、所謂地方自治体の、実態をよく知っている本市としてできる取組み、それと国において対応していただく課題、そういったことで全般的な中で取り組んでいきたいというふうに考えております。


(中森辰一議員)
 広島市は分野によっては大変頑張ってやっていただいてるというのはあると思うんですけれども、現実、お話をすると、財源をどうするのかということになる訳です。よく考えていただきたいことは、今年の当初予算で広島市の教育費は510億円、これに対して公債費が752億円もあります。借金払いの方が教育費の1.5倍もあるわけです。言わば過去の不要不急の投資のツケが子どもたちの未来への投資を妨げております。一方ここ数年は徐々に予算規模も大きくなっているにも関わらず、教育費は年々減少しております。やはり税金を使う順序ということをもう一遍よく見る必要があるんではないかと思うんです。現状はかつてに比べますと子どもの数は激減しております。逆に考えますと、そうした子どもたち一人ひとりにかける税金の規模をかつてなく大きくできる条件があるのではないか。教育費総額を減らさずに着実に子どもたち一人当たりの予算額を増やして、あるべき姿に近づけていくために最大限の努力をしていくということが、広島市に求められているんではないかというふうに思うんです。先ほど、国の責任というようなこともありました。確かにその通りだと思います。先日の新聞を読みますと、障害者自立支援法が作られた時に、親が見る条件が無い子どもたち、そういった子どもたちについては「自立支援法を適用せずに従来の措置制度を適用してもよい」ということが、国において通達をされたようですけれども、しかしその実際の運用では厳しい条件を付けて制限をしていた、ということが分かりました。まさに時代に逆行するような、子どもたちがそれによってどういうことになるのか考えもせずに、ただただひたすら政府の支出を減らしたい、そういう立場で政策を具体化していく。本当に時代に逆行したような誤った政治をやってきたからこそ、先の政権が国民の審判を受けたのではないでしょうか。そういう誤った政治に対して、やはり市民の暮らしをどう守っていくのか、そういう立場でやはり敢然と立ち向かっていく。ここにこそ地方自治体の役割があるのではないかと思うんです。基本計画を進めていくにあったては、今申し上げたような姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、子ども未来局長さん、教育長さん、それぞれ子どもの分野を担当しておられる訳ですけれども、皆さんの姿勢をぜひお聞かせいただきたいと思います。

(子ども未来局長)
 少子化の中で日本の活力を維持していくためには、日本の将来を担ってくれる子どもたち、この子どもたちがきちんと成長し育っていってくれることを、我々は全精力を傾注してその努めを果たしていく必要があるものと考えております。先般の本会議で市長の方から答弁されました、その最後のところの言葉を、強く私の・・と思っております。「広島市として市民の皆様の理解を得つつ、全力を尽くす覚悟でございます」


(教育長)
 基本的な考え方ということでございますが、先ほど中森委員から教育費が伸びていないじゃないかというご指摘がありましたけれども、限られた財源の中にあっても少人数指導の段階的な導入であるとか、或いはひろしま型カリキュラムの来年からの本格的な導入とか、相当思い切った財政的な負担を伴う施策を講じてきています。そういう中で、教育の機会均等ということで申し上げますと、教育基本法第4条第1項にあるんですけれども、「すべて国民は等しくその能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位また門地によって差別されない」という規定がございます。また第4条第3項では「国地方公共団体は能力があるにも関わらず経済的理由によって就学が困難な者に対して奨学の措置を講じなければならない」と法律上の努力義務も課されておる訳です。教育が持っておる重要な役割に鑑みまして、財政的な問題点は確かにありますけれども、未来局長から答弁がありましたように、先般の市長の答弁でも、財政的に大変厳しい状況にあってもやるべきことはやるんだという、強い決意表明をいただきましたので、教育委員会としてもその意を解して積極的に取り組んでまいりたいと思います。


(中森辰一議員)
 ありがとうございます。ひろしま型カリキュラムに関しては、私どもは異論がありますけれども、それは別の機会に言うといたしまして、今教育長が述べられた原則、やはりこれはなかなかまだ現実には実現をしていないものです。この原則はただ単に義務教育に限られるものではなくって、今日の社会の思いというのは高等教育まで含めてということではないかと思っております。ただ現実にはこれまでの国政の現状であったりとか、地方自治体においては財政の課題であったりとか、そうした取り組みをしていくには多くの課題があります。しかしフィンランドのような社会にしていきたいと考えて施策に取り組むのと、現状のままでいいというふうな考えのまま施策をするのでは雲泥の差があると思います。市長の本会議の答弁には大変力を得た訳ですけれども、そうした思いで提起をいたしました。困難でもあのフィンランドをぜひ目標においていただいて、改善に取り組まれるように期待をしたいと思います。

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障害者福祉の充実

(中森辰一議員)
 基本方針にバリアフリー化の推進というのがあります。私どもの社会は障害のある方々に対してバリアフリーな社会、ノーマライゼーションの考え方に基づく施策が行き渡った社会を目指していくべきだというふうに思っております。広島市はそういうお考えだというふうに思うんですけども、一言で確認をさせてください。

(障害者施策総合推進担当課長)
 障害者施策の基本理念ということで端的にお答えいたしますけど、目指すべき方向性というのは、障害のある人も無い人も全ての市民が社会のあらゆる活動に自由に参加し、その能力を最大限に発揮する。そして人格と個性を尊重しながら支えあうことができるような社会を実現していくことだというふうに考えております。そのためには、障害者の活動を制限して社会の参画を制約している要因を取り除いて、障害者が住み慣れた地域で自立して生活できるように支援していくことが肝要というふうに考えております。

(中森辰一議員)
 現状と課題の所に「ハード、ソフト両面にわたる社会のバリアフリー化を推進する必要がある」と述べておりまして、基本方針の所でも同様の項目が掲げてあります。広島市が重視している課題であるということがよく分かります。そこで、どういうバリアフリー化であるのかということを聞いておきたいと思うんですけども、障害のある方が一人の人間として生きていくうえで、つまり社会生活を営んでいくうえで、人々の意識のバリアを取り除いていくという問題以外に、障害者にとっての社会の物理的な条件を、障害の無い人と同じ条件により近づけることが、私どもの今日の社会に求められております。バリアフリーというのは、道路を含めた社会施設、公的な施設、民間の施設、或いは自宅などの個別の物理的な障壁を取り除いて、身体的な障害があってもより自由に行動できるようにする、ということだけではありません。社会生活や行動が誰であっても障害の無い人と同じようにできる必要があります。その上で、私どもの社会は障害のある方々に対して移動の自由も保障しなければならないけれども、同時にコミュニケーションの自由、誰とでもコミュニケーションが自由にできる条件を保障しなければならないと思います。少なくとも技術的に可能なところから進めていく必要があります。この点についてお考えを再度確認しておきたいと思います。

(障害者施策総合推進担当課長)
 ご指摘いただきましたとおり、障害のある無しに関わらず、誰もが安全に安心して暮らせるよう、また誰もが同様に社会に参画できるようにするためには、建物、或いは移動、情報、制度、慣行、意識なども含めたハード、ソフト両面にわたって社会のバリアフリー化を推進していく必要があると考えておりますので、ご指摘もありましたとおり、特にICTを利活用した支援につきましては、現在でも視覚、聴覚障害者に対する情報コミュニケーション支援などに取り組んでおるところでございますけども、今後ともそういった障害者の社会参加や自立に繋がるようなICTを活用したような支援などにはより積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

(中森辰一議員)
 今おっしゃったような施策の方向っていうのは基本計画の中に述べられていると思うんですよね。その上で敢えて確認をさせていただきたい訳ですけれども、やはりどうしても必要なことは、私どもの社会のバリアフリー化の前提は、やはり経済的な理由で移動の自由とコミュニケーションの自由が妨げられてはならない、ということだと思います。誰であっても、というのは特に経済的なバリアがあってはならない、ということです。行政がその気になりさえすれば、そのバリアは取り除くことができます。障害のある方が社会の一員として今日の技術開発水準の恩恵を十分に享受して、自らの力でより自由に行動して、より自由に社会とコミュニケーションを取るために、障害が無い人なら必要が無い特別な経済的負担をさせる社会であってはならないということ、そういう広島市にしていくべきであるというふうに思います。そういう思想というものが、この68ページから69ページにかけての文章に貫かれている必要があるというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

(障害福祉部長)
 障害者自立支援法の施行の際には、障害者の自己負担が激増するという状況にございましたので、本市では他都市に先駆けて独自の負担軽減策を講じました。今後もこのように障害者の立場に立って障害者福祉の施策を進めてまいりたいというふうに考えております。

(中森辰一議) 
 広島市が、あの法律が施行されたときに取られた施策というのは、大変先駆的で素晴らしいものであったというふうに思うんですね。ただ私は先ほど子どものことで、「政府の逆行した誤った政治に・・」ということを言いました。そういった誤った政治が行なわれたときに、やはりもう徹底して「そういう政治は誤りだ」という立場で、基本的には私どもが考える方向と同じであったというふうに思うんですけれども、もっと徹底していただきたかったなというふうに思っているんです。基本構想の中で、国際平和文化都市が目指す平和の意味するもの、というようなことがですね、書かれているんですけれども、私は、先ほど私が申し上げたような原則ということが確立されている、ということが本当の平和というものの意味するところであるのではないかなと、勝手に解釈しているんですけれども、その点につていかがでしょうか。

(障害福祉部長)
 基本構想の中では2ページからの課題解決のための指針の中に、障害者と健常者のパートナーシップの構築ということを掲げております。また施策の構想の11ページのところには、障害者の福祉を出発点とした市民福祉の増進を図る、ということとしております。こうした取り組みを進めていくことが、基本構想の都市づくりの方向の4ページにございます「広島で実現されていることは、そのまま平和の意味であり、具現化であることを実感することができる都市づくりのひとつである」というふうに考えております。

(中森辰一議員)
 広島市で実現されている、そういうことが平和というものなんだということをかんじてもらう。それは誰でも、障害のある方々の問題として考えれば、徹底的にバリアの無い、そういう社会が目指されているということではないかと思っておりますので、ぜひそういう立場を貫いて頑張っていただきたい、ということを申し上げておきたいと思います。

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広島大学本部跡地

(中森辰一議員)
 広島市は広島大学と一緒になって知の拠点にするという構想を打ち上げましたけれども、残念ながら期待に反して、マンションが建つというような話になりました。その事業計画自体は民間事業者の都合で今白紙になってしまったわけですけれども、その計画は10年間具体的な事業が進まないままになっております。しかし、せっかく知の拠点構想ということが提起されているわけですから、広島市としてその構想に相応しい具体的な計画を作って進めていく責任があるんではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

(都市活性化局次長)
 広島大学本部跡地につきまして、都心部に残された貴重な大規模未利用地でございます。本市といたしましても、広島大学とともに引き続き広島の知の拠点再生プロジェクトの実現に向けて取り組むことが重要だと考えております。現下の厳しい経済情勢の中、民間の資金とノウハウを活用してプロジェクトを実行するためには、民間事業者が参画しやすい条件を整える必要があると考えておりまして、広島大学とともに今年度末までに事業スキームを再構築し、プロジェクトの実現を図ってまいります。


(中森辰一議員)
 広島市のスタンスということで、少しやりとりしたいんですけれども、これまでの、白紙になりましたけれどもマンション事業の利益でインターナショナルスクールをつくる程度のことにしかならない、ということではですね、知の拠点という構想は一体何なのかということになるんではないかと思います。一番、私は問題があるなと思っているのは、知の拠点をつくるという構想の具体化に向けて、広島市が本気で主体者として関わろうとしているんだろうかということです。広島市にはこの知の拠点に相応しい事業を大学とともに自ら主体者となって具体化をし事業を推進する責任があるというふうに思います。知の拠点ということになりますと、本質的に水準の高い人材育成と研究のための機関をつくるということになるんではないかなというふうに思うんです。それが直ちに民間企業の直接的な利益に繋がる事業になるとはなかなか考えにくいのではないか。少なくともかなり長期的な視点に立った事業計画とならざるを得ないというふうに思います。そうしますと、商業ベースではなかなか難しいと思います。やはりこれは非営利を基本にせざるを得ないんではないでしょうか。それから、土地取得のために莫大な初期費用が必要になっていくというふうになりますと、非営利の事業を進めていくという障害になります。その点で、平和記念都市建設法というのがまだ生きているわけですけれども、これを活用して、借り受けるにしても、譲り受けるにしても、跡地を無償で活用できるように取り組むことが必要ではないでしょうか。それは、財務経営センターの判断能力を超えておりますから、これは政治に働きかけていくしかないというふうに思います。それはせっかくこれまでの官僚政治の枠を超えようという新しい政権ができたわけですから、この新しい政権が無償で提供してもいいと納得できるような公共性の高い知の拠点構想に相応しい計画をつくって新政権に働きかけていく、そこに広島市の役割が発揮されるべきではないでしょうか。もう一つは、主体者としてはそうした計画を具体化し、推進していく際に必要となる財政負担はしていく、こういう立場が必要ではないかと思うんです。これまで知の拠点構想だと言いつつ、県も市もお金を出さないという、こういう制約がありまして、非常に限定的な具体化しかできなかったのだと認識しております。この点は、大学側も大変残念な思いでおられるんではないでしょうか。口を出すからにはある程度の金も出す。こういう立場が必要だと思います。以上二点についてお考えをお聞かせください。

(都市活性化局次長)
 広島大学本部跡地につきましては、独立行政法人公立財務経営センターが所有しております。これは委員もご承知と思います。同センターは当跡地を処分することによりまして、国立大学法人等の教育研究環境の整備の財源に充てることを目的として設立された団体でございます。よりまして無償譲渡や減額譲渡の措置を受けることは困難だという認識でございます。財政措置をというご提案をいただきましたが、現状、本市は厳しい財政状況が今後も続くと見込まれております。当跡地については、民間資金とノウハウを活用してプロジェクトの実現を図る必要があるという認識でございます。


(中森辰一議員)
 私が述べたことをよく効いていただきたかったと思うんですけれども、今答弁していただいた枠を出ない限りは、決して前には進まないんではないかと思うんです。先ほど広島市の役割として、もっと政治に働きかけるべきだというふうに申し上げました。平和記念都市建設法、もう随分経っておりますけれども、これはまだ生きている法律なわけですよ。生きているんであれば、どう活用していくかということをやはり広島市として、広島市しか考えることができないわけですから、検討するべきじゃあないでしょうか。今までいろいろ枠があるというふうにお考えがあったかもしれませんけども、それをやっぱり突破していくということはできるんじゃないかと思うんです。財務経営センターというのは、ただお金を出してもらって売却するということが使命の外郭団体ですよ。ここの判断では難しい。ですから政治に働きかけるべきだというふうなことを申し上げました。お金の問題は、全く出せないということであればですね、それはもうやっぱり難しいんじゃないでしょうか。何らかの水準の高い人材育成センターであるとか、研究機関であるとか、そういったようなものを、例えば誘致するという場合も、例えば広島市は企業を誘致するためにお金を投入してるじゃないですか。そういう発想も要るんじゃないかなということを申し上げたつもりです。ぜひこの点はですね、検討をしていただきたい。そうしないとただお題目を並べているだけで、決して前に進むことはない、というふうに思います。もうひとつ広島市にとっても、広島大学にとっても、被爆建物としての理学部1号館の保存にはこれは責任があります。その中で広島市の責任はとりわけ大きいというふうに思います。この基本計画の中でも、「被爆建物の保存継承をすすめる」こういった趣旨の記述があります。しかし姿勢を見ますと、民間の施設の保存に若干の補助金出すという程度のものです。これは民間が壊すと言ってしまうと、それ以上はなかなか難しい問題になります。一方公共が所有する被爆建物がまだ幾つも残っております。これらは、行政機関がその気になれば保存が可能です。理学部1号館もその一つだと思います。この問題ではやはり市も一定の財政負担をする。そういう立場で最大限の保存活用に取り組むべきだというふうに思いますし、ぜひそうしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点はどうでしょうか。

(都市活性化局次長)
 先ほど事業スキームを年度末までに構築するとご答弁いたしましたが、事業スキームを再構築するにあたっては、民間事業者等からのヒアリング結果を踏まえまして、旧理学部1号館の取扱いについて(精査する?)必要があります。このため現在旧理学部1号館の保存活用につきまして、広島大学の専門家に依頼し、全事業者が実施していた建物調査の結果の検証や現地調査を行っていただいております。引き続き専門家の意見を聞きながら、他の建築物の事例などを参考に、耐震補強や改修の方法、それに要する費用の検討などを行なった上で、保存範囲や活用方法について検討し、旧理学部1号館の取扱いも含めまして本年度末までに事業スキームを再構築してまいります。


(中森辰一議員)
 一点だけもう一度確認をします。その理学部1号館の保存活用という件に関しては、少なくとも民間には任せないという立場だということでよろしいですか。

(都市活性化局次長)
 直接のご答弁になるかどうか分かりませんが、今申しました民間事業者等からのヒアリングの中で、旧理学部1号館を民間事業者が保存整備の上、運用することは大きなリスクがあるという意見をいただいておりますので、これを踏まえてスキームを検討したいと思います。

(中森辰一議員)
 敢えて申し上げますけれども、これは民間に任せていたのでは、保存活用は困難だというふうに思います。広島市が行政としての責任で保存活用をすすめていくということが市民から要請されているんだということを、ぜひ自覚して取り組んでいただきたいと思います。

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高速5号線

(中森辰一議員)
 基本計画では、敢えて高速5号線の建設促進ということが掲げられております。これはどういうお考えによるものでしょうか。

(道路部長)
 広島高速道路の整備につきましては、平成18年に高速道路公社が国交大臣に許可を得ました整備計画、これに基づいて進めておりまして、1号から5号までの5路線を平成25年度までの全線完成を目標に段階的に供用を図るということになっております。この整備計画の許可手続きに当たりましては、本市は議会の方の議決をいただいた上で整備計画の内容について合意をいたしておりまして、現時点では広島高速道路5路線を計画的に整備していくということが本市の基本的な考え方でございます。


(中森辰一議員)
 なぜ、敢えて高速5号線を促進するというふうなことを書いたのかということなんですけどもね。5号線についてはこれまでいろいろ問題を指摘してきたわけですけれども、複数の専門家から根拠を明らかにした上で、「トンネルをつくれば周辺で土砂災害が引き起こされる危険性が極めて高い」と大変切実に指摘をされました。そのために、トンネルをつくっても災害の危険性はあるのか、無いのかの検討を様々な分野の専門家に委嘱をして慎重に検討することになったはずですけれども、その点は間違いないでしょうか。それから今の状況はどうなっているのか、端的にお答えください。

(道路部長)
 ただ今ご説明ありましたように、高速5号線につきましては、トンネル周辺にお住まいの方々から、トンネル建設への不安と反対の声が上がっております。このために地域住民の安全性を確認することを目的といたしまして、学識経験者で構成いたします検討委員会を設置いたしまして「トンネル建設に伴う周辺地域への影響」につきまして、客観的データに基づき科学的に審議検討をいただいている状況でございます。

(中森辰一議員)
 そこで「安全である」ということが、トンネル建設の前提条件であるというふうに私は認識しておりますけれども、それでよろしいですか。

(道路部長)
 現在の検討委員会は、トンネル建設に伴います住民の安全を確認するため、これが目的で設置したものでございます。

(中森辰一議員)
 要するにそういうことだということですね。しかしこの基本計画には40ページに単に「高速5号線の整備を促進する」と書かれておりますし、136ページにも「高速5号線の整備促進」とだけ書かれております。これは現在までの到達点と整合していないのではないかと思うんですけれども、いかがですか。

(道路部長)
 先ほどもちょっとご答弁いたしましたけれども、現時点では高速5号線、5路線につきまして計画的に整備するというのが、本市の基本的考え方でございまして、一方で先ほどの検討委員会の方ですけれども、先の9月13日第1回の検討委員会が行なわれました。この検討委員会、少し続いてまいりますけれども、現段階では検討委員会の結論、或いは方向性も示されていないという状況でございまして、現時点では高速道路5路線の整備をしていくという方針を基本的な考え方の基に、高速5号線の整備促進ということうを、記述をさせていただいております。


(中森辰一議員)
 先ほど前提条件を申し上げました。安全であるということが確認されるということが、トンネル建設の前提条件である。もしそうであるなら、実際は、先ほど述べられましたけれども、来年度も含めておそらく安全性の検討が慎重に行なわれていくんだろうというふうに思うんです。安全でないということになれば、これまでの計画が大きく変わっていくことになります。単に5号線の整備促進とだけ書いたのでは、そういう今の到達点、何をしようとしているのか、どういう考え方で進めようとしているのかということを反映していることにはなりません。事実と違う記述だということではないでしょうか。それとも検討委員会の設置は、市にとっては単なる見せ掛けでどっちにしても建設をする、そういう意志表示なのか、というふうに住民の皆さんは受け取るんじゃないでしょうか。いかがですか。

(道路部長)
 検討委員会での検討結果、仮に住民生活に大きな影響が生じるであるとか、或いは事業費が大幅に増加するというようなことが明らかになりますと、この事業の前提が変わってくることになります。そうなれば本市としては、この事業の進め方について改めて県、或いは高速道路公社と協議を行う必要があるというふうには考えておりますが、繰り返しますけれども、現段階では委員会の結論、方向性が示されていないという状況でございますので、これまでの本市の基本的な考え方で整備促進ということを記述させていただいております。


(中森辰一議員)
 それは、先ほどから言ってるようなことと違うと思うんです。敢えて、5路線を整備することになっているからとおっしゃったけれども、これからは、ここに書いてあることが違ってですね、場合によってはこれは変更する可能性もあると、そういうものでしょ。そういうものを、わざわざですね5号線という固有名詞をあげて、整備促進ということを書けばね、まだ違うじゃないか、今まで何をやってきたのか、何のために議論してきたのか、広島市は何のために取り組んでいるのか、ということになるじゃありませんか。これはね、この記述は容認できない部分だと思いますよ。今の到達点に相応しい文章になるように、例えば高速5号線の整備促進という文言を削って、「高速道路計画の推進」程度にとどめておく、そういうふうにすべきじゃないんですか。そうしないと改めて不信を買うことになりませんか。周辺の方々から。どうされますか。

(道路部長)
 先ほど来、ご答弁繰り返しで恐縮でございますけれども、現在の検討委員会はトンネル建設に伴う住民の安全を確認していくということを目的といたしておりまして、この住民の安全が確認できれば、次のステップに進んでいくということでございまして、基本的には市としては現状におきましては、高速5路線を整備を進めていくという基本的な考え方を持っているというふうに認識いたしております。


(中森辰一議員)
 前提条件が新たに加わった訳ですね。その前提条件、例えば書き込むっていうなら別ですよ。先ほど安全という問題での前提条件を書き込むか、或いは曖昧にして「5号線」という言葉を取ってですね、高速道路を整備促進するという形に変えていくのか、そういうふうにしないとおかしいんじゃないですか。これまでのまさに枠に囚われただけの文章だと思います。これはぜひそういう検討をされるか、なんらかの付帯条項を後からでも付け加えられるか、説明を加えるのか、そういうようなことが必要だと思います。

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食料自給率向上の取組

(中森辰一議員)
 農業の問題についてはまだよく知らない点がありますけれども、この文言に関して少し質問したいと思います。現状の自給率は確か、非常に数字が低かったと思います。これは広島市の農業、どういうものを作っているかといえば、構成の問題で数字が小さくなっているんだろうと思います。その中でカロリーベースで自給率が問題になっている訳です。そうすると主食である米の生産量を引き上げていくということが、やはり大事になってくるんじゃないかということ、素人ながら考える訳です。この生産量を引き上げていくことを直接的な目的にした取組というのがあるのかどうか、この点を簡単にお答えいただけないでしょうか。

(農業担当部長)
 お米の生産につきましては、機械化が進みまして、管理に手間がかからないという面でほかの作物に比べまして、生産は比較的容易でございます。しかしながら米の価格が安い、或いは機械への投資額が大きいと、こういう面から経営の効率化が課題となっております。本市の生産状況を見ますと、平均耕作面積が約30アールとなっております。こういう小規模の面におきまして稲作を進めるということは、なかなか採算が合わない面がございます。ということで、お米を進めるというのはそういう面から見ますと若干難しい面があるかなと思っております。

(中森辰一議員)
 効率化が課題であるというふうにおっしゃった訳ですけれども、そういうことを踏まえて本来は国政のところでね、そういうところに合った政策を進めていくべきなんだと思うんです。国内農業が興廃している状況というのはこれは広島市でも同様であろうと思うんです。これまで農業の分野でも市場原理一辺倒の構造改革を推進して、農産物輸入をますます拡大する一方で、価格保障政策を放棄してきました。今年度の農業予算は、これは国の問題ですけども2000年度に比べ9,300億円も削減をされ、半減しております。昨年の前半は世界の穀物自給がかつてなく逼迫して穀物価格が市場最高値になりました。世界的な食糧危機に発展していった訳です。農水省も穀物価格の中長期的な値上がりは必至だというふうに予測しているようですけれども、食糧は今や金さえ出せばいつでも輸入できる、そういう時代ではなくなってきております。食糧の問題は時として戦争の原因にもなります。穀物の生産に適した豊かな国土を持っている我が国が食料自給率を抜本的に引き上げていくということが21世紀の国際社会に対する重大な責務だというふうに、私どもは考えております。本来は政府が自給率向上と日本農業発展に取り組んでいくべき課題だと、問題だというふうに思います。豊な農村地域を抱えている広島市として、主食である米の需用拡大を図る取組と併せて自ら米の生産の可能性を生かして、高めていくことで自給率向上に少しでも貢献していく必要があるんではないかなとというふうに考えているところです。現状は、米を作って農家が得る収入が経費を賄うことができません。1995年には米農家が受け取る価格は60キロで2万円を超えておりましたけれども、今や1万3千円前後でしかありません。農家の平均的な労働時間数で割りますと1時間の労働単価は僅か179円にしかならないというふうに言われております。最低賃金を1000円にしようという今の時代に、これでは農業を続けようという意欲を無くすのは当然だと思います。全国の自治体の担当者も同様ですけれども、これまでの政府の農業政策は問題だと考えながらも、そうした政府の政策の枠の中で矛盾を感じながら、広島市なりの施策を実施してきたんじゃないかなと思うんです。そうした中で最初の自給率向上という目標に対して広島市はどこまでならできる、というふうにお考えなのか、その辺りをお聞かせいただけないでしょうか。

(農業担当部長)
 現在、米の生産につきましては、市内に水田面積が2,628ヘクタールございます。平成17年度の広島市の食料自給率(カロリーベース)は、その時点で3%という低い数字になっておりますが、仮にこの水田2,628ヘクタール。現在では約半分が生産調整のため、水田の作付面積が半分となっております。仮にこれを全部お米を作った場合、3%の数字が1ポイントは上がりまして4%になる、そういう数字でございます。なかなか食料自給率、カロリーベースで数字を示すということは、本市にとってはなかなか難しい面がございます。一方では本市の特徴を生かしまして、市内、都市近郊という消費地に近い条件、これを生かしまして生産効率の高い小松菜やホウレン草、そういう鮮度の要求されます軟弱野菜の生産振興に取り組んでいます。こういう新興を行いまして、収益性の高い農業の振興を図っているところでございます。しかしながらこういう軟弱野菜につきましては、カロリーベースの数字になかなか反映されない面がございます。食糧自給率を数字的にいきますとそういう成果を表しにくい面があるかなと思っております。そういうことで現在本市におきましては、こういう小松菜を初めとします軟弱野菜の占有率或いは生産量、そういう数字を本市の相応しい自給率にあたる指標として現在検討しているところでございます。


(中森辰一議員)
 大いに努力は、そういう面でもねしていただきたいというふうに思うんですけれども、敢えて基本構想の中で述べられている訳で、これはまあ1ポイント程度しか上がらないということかもしれませんけれども、世界的にもう飢餓状態にある穀物を買いたいと思っても買えない、そういう国もある中でですね、やはり我が国の責任というのは非常に大きいと思いますし、広島市もどうしてもぜひ少しでも貢献できるような努力をしていただきたいなというふうに思っているところです。なかなか難しいんだというふうなお答えもありましたけども、それはぜひ努力をお願いしたいと思います。
 今度の新政権は、日本の農産物輸入自由化しか関心が無い、アメリカとの自由貿易協定交渉を促進する、こういう公約を掲げております。これは我が国の農業に壊滅的な打撃を与えますし、自給率を極端なところまで落ち込ませてしまう、そういう政策だと私どもは考えております。そうならないように、ぜひ現場から声を上げていくことが必要だろうというふうに思います。そういう中で現況の農業生産を維持発展させていく。同時に頑張って米作りを続けている農家を励ますような施策について、ぜひ知恵を絞ってですね頑張っていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。

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放射線影響研究所について

(中森辰一議員)
 通告してはおりませんけれども、答弁は求めませんが意見だけ述べておきたいことがあります。71ページに放射線影響研究所の工学部跡地への移転を促進する、というものがあります。既にこの1日に契約をしてしまいましたけれども、いくら平和利用だけだと契約書に書き込んでも、実際に研究成果をアメリカ側に渡してしまえばそれが軍事利用されてしまう可能性を否定することにはならないと思います。「アメリカは核テロ対策のために資金を出す」と資金提供の目的がはっきりしております。だからこそ被爆者団体の方々が強い反対の意志表示をしておられるんだと思います。地元の放影研の地元連絡協議会で三宅副市長は「放影研は日米共同運営で元々運営資金の半分はアメリカのエネルギー省から出されている訳ですから、特に反対する理由が無いなどの発言をされて容認の態度を取られてやに聞いておりますけれども、広島市の行政のトップがこういう考えでいいんだろうか、というふうに思います。エネルギー省が核兵器開発を担ってきたことは周知のことであります。そのエネルギー省が財政難を言いながらなぜ放影研の運営から手を引かないのかは、考えれば明らかなことであります。蓄積された被爆者のデータや研究成果をアメリカが軍事利用したいがために手放したくないということだと思います。放影研の現場の方々はそんなことは考えてもおられないかもしれませんけれども、エネルギー省の方はそういう考えがあるからこそ手放さないと考えるべきではないでしょうか。放影研の問題で差し迫って求められていることは、アメリカの核開発の紐に繋がれた状態を断ち切って、早く日本単独の運営に移行することであって、広島市としてはそれを強く求めるべきであるし、働きかけていくべきであるというふうに思います。アメリカ政府の紐付きのままで市民の税金も使って放影研を比治山から下してその機能を高めることは、被爆地広島の求めるところではなかろうと思います。それとエネルギー省が移転費用の分担を嫌って主に財政的な理由で前に進まないというふうに認識をしております。そういう意味でもアメリカと手が切れさえすれば、課題解決の展望が開けることになると思います。広島市としては本気で移転を進めたいとお考えであれば、むしろアメリカの頸木から早く解放されるように運動することこそが先決ではないかと思います。その点を申し上げておきたいと思います。三宅副市長が発言されたことについては、詳しく申し上げることができませんでしたけれど、もしなにかあればお願いします。
 
(三宅副市長)
 委員のご意見はよく分るんですが、事実が違うことは訂正していただきたいと思います。当日、協議会に出席されていた被爆者の代表は、賛成でした。で、まあ、その方お一人が賛成ではなくて、被爆者団体は7団体協議をして、賛成のほうが多かった。ま、そういう事情はきちっとこの場で明らかにしていただきたいと思います。それから私は、あの私の発言をあまりこう約(つづ)めて「アメリカからどうせ半分お金が出ているから」と言ったのは、実はあの、余りにもそのある種、まあ私の考えですが、教条的な発言が一つありましたので、それを、要するに対テロ対策があるからということだけを問題にして反対するんでは現実的でない。ただその目的でいくと確かに論理的整合性はやや取れないところがあるかもしれないが、まあ、被爆者の方々も是非ともその老化に伴う免疫の低下であるとか、そういうことっていうのは、我々も明らかにしてほしいので、それに対策が取れるんならこれほど有難いことは無いという強い意見もありましたし、医療従事者の方からも「それは是非その契約書にある頸木を付けて、是非とも実現したい」ということもありましたし、まあ、そういうことの中で、まあ敢えてそういう問題はあっても、そちらに踏み出したということなんです。それからもう一つ、あの、対テロ対策というのは世の中にあってはいけないというような事ではないと、もしそういうことがあれば何らかの防御をして民間人を含めて守らなきゃいけないという事実はある訳ですから、対テロ対策を工夫すということをもって、その、核戦争に進んで行くんだという、まあそういう風な論法でお話をされては、私としてはとても迷惑な感じが致します。

(中森辰一議員)
 あと1分ほどありますけども、おそらく、確か年間2億円程度の資金提供だったかなという風に思うんですけども、その、被爆者の、被爆をされた方々の免疫の問題で研究をするというのは大事なことだという風に思います。まあその点は、私はやはり最初に戻りますけれども、本来やっぱりあの、その程度の資金をね、なぜ日本は出せないのだろうか、という風にも思うんですよ。元々の、まあ、日米共同運営という、やっぱりそういう枠組みが非常に大きいなという風に思っているんですけれども、やっぱりそこを早く脱していくという努力が、やはり我々に求められているんではないかという風に思うんです。まあこの移転問題というのも、随分長いこと、10年以上にわたって続いてきている訳ですけれども、そのやっぱり最大の障害はアメリカ側であったんではないかという風に思うんです。その今の、まああの日本の政治もアメリカの政治も変わっていこうとしている訳ですから、そういうことも踏まえながら、改めてこういう元々の原則に立ち返った考え方で取り組んでいくべきではないかという風に、三宅副市長の発言について、違うっていうことを言った点については、お詫び申し上げておきます。以上で終わります。

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