トップ議会情報・議員の発言2015年第4回9月定例会 議員発言 >議案質疑・近松さと子議員


2015年9月25日 本会議 議案質疑 近松さと子議員

 第83号議案 平成27年度広島市一般会計補正予算 五日市地区の学校給食調理等委託について
 第87号議案 広島市原爆ドーム保存事業基金条例及び広島平和記念資料館条例の一部改正について
 第90号議案 地方独立行政法人広島市立病院機構中期計画の変更にかかる認可について


●第83号議案 平成27年度広島市一般会計補正予算
・五日市地区の学校給食調理等委託について


(近松さと子議員)
 今議会に15年間で83億円を支払う債務負担行為が提案されています。
今年3月からプロポーザルで公募し8月末に、弁当会社を親会社とする業者が選定されました。五日市の学校給食センターを廃止し、民間の施設で、民間業者が調理にあたる全面的な民営化です。五日市の給食センターのうち当面は2センター、その後には、すべてを廃止し、小学校中学校22校12,000食の給食を民間の施設に委ねるものです。
 食育基本法と一緒に出された食育推進基本計画では、生きた教材としての学校給食の重要性や、学校内にある調理室でおこなう単独調理方式の普及をうたっています。現在、本市の小学校の8割、五日市地区以外の小学校ほとんどは、学校の調理室でつくる単独調理方式です。そもそも、本市として給食センター方式と単独調理方式どちらが望ましいと考えておられるのかお聞きします。

(教育長)
 本市における学校給食については、現在実施している自校、センター、デリバリーのいずれの方式でも、学校給食の目標は達成できるものと考えています。

(近松さと子議員)
 6月議会の一般質問の答弁で、政令市では、学校給食センターが77施設あり、民設民営のセンターは、6カ所あるといわれました。そこでお聞きします。このうち、市の施設ではなく民間の施設である本市のような事例があるのでしょうか。

(教育長)
 政令指定都市には民設民営の事例はありませんが、手法として似ているPFIの事例は6事例あります。いずれも契約期間中、運営を民間に任せ、契約期間満了後に施設の所有権を市に移転するBOT方式が4カ所、民間が建設後、ただちに施設の所有権を市に移転するBTO方式が2カ所となっています。


(近松さと子議員)
 五日市地区では、広島市の学校給食センターが廃止され、民間施設での給食提供となります。栄養士や栄養教諭の配置が大きくかわります。市の施設でないため、国基準の栄養職員の配置が認められず、国による給与負担がゼロになります。これまで、6名いた正規の栄養職員や栄養教諭は、配置できなくなります。
 新しい学習指導要領の総則に「学校における食育の推進」が明記され、各教科等でも食育に関する記述が充実されました。栄養教諭や栄養職員の役割をどのようにお考えですか。食育の必要性が高まる中で、五日市地区に栄養職員が配置できないことは、食育推進にとって、大きな後退ではありませんか。
 また、委託された民間の施設で、市の職員は、直接指示は出せませんが、食材の検査や給食調理方法の確認を行うとしています。市の職員としていますが、誰が行うことになるのでしょうか。

(教育長)
 学校栄養職員等は、学校給食管理は元より、食育の推進役としての重要な役割を担っており、現在、本市では国の配置基準に従って配置しています。
 このたびの給食センターについては、市が給食の実施主体者としての責務を果たしつつ、より一層安全でおいしい学校給食を確実かつ安定的に提供していくために、市の栄養士等を配置するなどの体制を整備したいと考えています。
 なお、学校における食育の推進は、学校長のリーダーシップの下、教職員が連携して教育活動全体の中で取組を進めていますが、このたびの事業候補者からも、食育の講座やイベント、体験学習の実施などの提案を受けており、官民一体となった食育の推進も期待できると考えています。


(近松さと子議員)
 今回、プロポーザルに公募したのは、ハーベスト社と今月設立予定の広島アグリフーズです。五日市の子どもたちの給食をゆだねて大丈夫なのか、83億円を15年間払うのにふさわしい内容なのか今議会で審議しなくてはなりません。
 ところが、議案を審議するために、議会へ示された資料は、選定結果の点数がしめされたA4用紙1枚だけでした。何が提案されて、どのように評価されたのでしょうか。
 インターネットで調べたプロポーザルの応募要項にしめされた金額は、当初74億円でした。今回、83億円という金額が提案されましたが、9億円の増額の理由は何でしょうか。

(教育長)
 新たな給食センターは、平成29年4月開設であることから、このたび予算計上した事業費83億5,344万円は消費税10%で計上しています。一方、募集要項に示した概算事業費は消費税8%で計算しているため、この消費税の影響を除けば実質的な差額は7億5,835万円となります。
 この差額が生じた要因としては、概算事業費は他都市の過去の建設実績などをもとに積算しており、その時点よりも建設資材や人件費等が高騰していることや通常の給食センターより高度な衛生管理の施設整備計画が提案されていることなどが考えられます。
 このたびの事業候補者の提案は、本市が示す酵母用船及び選定基準に照らしても最も優れた内容であり、また提案額についても、他都市において今年度契約を締結する学校給食センターの事例と比較してイニシャルコスト、ランニングコストともに安価となっています。

(近松さと子議員)
 当初の委託料74億円のうち、24億円を建設費や設備費相当の固定経費として払うとしていましたが、83億円の事業費では、固定経費分をどのように見積もっておられますか。

(教育長)
 固定経費については、約30億円の提案がなされており、内訳としては施設や設備の整備費に加え、その保守管理費などが計上されています。
 事業候補者の提案内容や事業費については、今後、契約締結に向けて事業候補者と調整する中で、安全・安心な学校給食を提供することを前提に精査し、決定する予定です。


(近松さと子議員)
 22校すべてに調理室を整備するには約29億円と答弁されました。他の区と同じように小学校に給食室を整備するには、15校で約19億円必要ということになります。
 センター方式から単独調理校方式へ転換するのに、決して無理な金額ではありません。どのようにお考えですか。

(教育長)
 議員がお示しされた単独調理公方式の整備費22校で約29億円、15校で約19億円は、施設や設備の整備費のみの試算であり、今後15年間で必要となる保守管理費をはじめ、備品等の更新費用および修繕費等を含んでおりませんし、人件費についても含んでいません。
 人件費については、22校を単独調理公方式にした場合、今後15年間で、約67億5,000万円と算出しています。
 単純に建設費約29億円と人件費約67億5,000万円のみを足した場合でも、約96億5,000万円となり、今回の提案額を大幅に上回ることから、単独調理方式への転換は困難だと考えています。


(近松さと子議員)
 ましてや、委託料とはいえ、設備や施設整備の経費を見込んでいます。税金で営利企業の資産を作るのに等しいものです。税金の使い方としてふさわしいとお考えですか。

(教育長)
 このたびの給食センターは、民間事業者が自ら資金を調達して建設・運営する施設であり、その総事業費のうち、本市は15年間の給食調理委託に必要となる施設設備費や運営経費のみを支払うものであり、民間企業の資産形成に繋がるものではありません。


(近松さと子議員)
 選定結果では、アグリフーズ広島の自己アピールが満点になっていますが、何がどのように優れていたのでしょうか。
すでに東京都武蔵村山市で完全民営化の給食工場の実績のあるハーベストではなく、なぜ、今から新会社を立ち上げるという広島アグリフーズが選ばれたのでしょうか。

(教育長)
 (仮称)広島アグリフーズの独自アピールについては、
@学校給食用の野菜等を地元農家から直接調達することを提案しており、本市が推進する地産師匠の促進が期待できること。
Aまた、施設を有効活用し、高齢者施設への療養食の提供等、いわゆる6次産業化のモデルとなる独自事業も計画しており、新たな雇用創出等、地域経済の活性化も期待できること。
などが高く評価されました。
 なお、(仮称)広島アグリフーズのグループ会社は、第3セクター方式で設立された安芸高田市の学校給食センターにおいて約3,000食の調理委託を行っている実績があります。


(近松さと子議員)
 選定結果の点数表を示されただけでは、この議案が妥当かどうか判断のしようがありません。PFI事業などでは、事業者の提案書も議会にしめされます。
 五日市12,000人の子どもたちの心と体を育てる学校給食の問題です。議会に対して、情報がほとんど示されていないのに、83億円の委託事業の是非を判断することは困難です。どのようにお考えですか。
 審査委員会の議事録等も議会に示し説明する必要があると思うのですが、どのようにお考えですか。

(教育長)
 このたびの公募型プロポーザルは、PFI法に基づくものではなく、あらかじめ公表した選定基準につき、学識経験者の意見も踏まえ、事業候補者の提案内容を適切に審査した上で本市の委託目的を満たす最も優れた事業候補者を選定したものであり、選定までに必要な手続きは適切かつ公正に行っています。
 また、その審査結果については、速やかに審査項目ごとの各社の得点比較を公表するとともに、関係議員に対し、事業候補者の優れている内容等を説明しました。
 なお、このたびの事業者選定にあたっては、この公募型プロポーザルが最適な手法であること、更に、その選定方法についても議会にも報告し、説明しています。
 提案書の内容については事業者の著作権等の問題もあり、事業候補者選定の目的以外には事業者に無断で使用できないと定めています。議事録を含め、開示請求があった場合には、広島市情報公開条例に基づき適切に対応してまいります。

(近松さと子議員)
 最後に、今回の計画推進にあたって、当該の保護者に対して市は正式な説明は全く行っていないことについておうかがいします。
 本計画に対する「請願署名」が10,843筆提出されています。署名をした市民から「いつも子どもが教育委員会名の手紙を(学校から)たくさん持って帰るのに、何でこのことだけは私たち(保護者)に知らせないんですかね。」という声が返ってきたといいます。
 市の担当者は、「センターからセンターへの建て替えに過ぎない、センター方式は佐伯区では定着している」として、市民・保護者への説明の必要はないと回答しています。この判断は「組織としての判断」だと断言していますが、誰がどのような理由で判断されたのでしょうか。

(教育長)
 佐伯区においては、旧五日市町時代に自校調理方式からセンター方式に変更したところであり、すでに定着していることから、今回の建替えに当たっても、この方式を引き継ぐことにしました。


(近松さと子議員)
 こうしたやり方で、市としての説明責任が果たされていると言えるのでしょうか。

(教育長)
 市民・保護者への説明については、昨年の9月議会の文教委員会以降、志PTA協議会会長、佐伯区PTA連合会会長に対し、五日市地区学校給食センターの老朽化の現況と早期の建替えの必要性や、建替え手法の検討結果と実施手法について逐次説明を行い、また、佐伯区PTA連合会理事会においても適宜丁寧に説明しています。
 具体的には、平成27年3月には、佐伯区PTA連合会理事会に担当課長が出席し、佐伯区の全部の小・中学校のPTA会長、副会長、学校長に対し建替え手法やプロポーザルの実施等について説明しました。
 6月には、プロポーザルの開始の報告と公募要件やスケジュール等について説明を行うとともに、必要に応じて保護者への説明等に活用していただくよう「建替えに係るQ&A」を配布しました。
 さらに、今月9月にも同様に、プロポーザルの結果及び今後のスケジュール等について説明しました。
 なお、PTAや学校長に対しては、保護者からの質問や疑問があればいつでも問い合わせいただくようお伝えしております。
 今後とも引き続き、適宜ていねいに説明を行ってまいります。


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●第87号議案 広島市原爆ドーム保存事業基金条例及び
広島平和記念資料館条例の一部改正について


(近松さと子議員)
 原爆ドーム保存基金に、被爆建物保存などを加える条例改正と平和資料館の観覧料を引き上げる議案がだされました。
 あの日の記億をとどめる被爆建物は、広島市保有の広大理学部一号館など86か所がのこされています。そのうち、66か所は民間建物です。その民間建物の保存が急がれます。
 保存費用の3/4、3,000万円を上限に市が負担する制度がありますが、所有者には、自己負担がネックとなり、この20年間で14カ所が解体されました。最近では、南区の三戸商店が取り壊され、惜しむ市民が煉瓦の保存を呼びかけたことが記憶に新しいところです。
 被爆70年を機に、こうした被爆建物の保存について、原爆ドーム保存基金の対象に加えようというものです。
 ところが、今回、保存基金の条例と平和資料館の観覧料の値上げがセットで提案されて一つの議案になっています。提案理由の文章は、被爆建物保存と平和資料館の充実のために、基金条例を改正し平和資料館の観覧料金を値上げすると読めます。
 そこでお聞きします。被爆建物を保存する財源の確保のため、平和資料館の観覧料金を値上げするということでしょうか。
 そもそも、公の施設の使用料の目的はなんですか。資料館の観覧料について、どのように考えておられますか。
 平和資料館で入館者の心を打つのが、学徒動員で作業中に原爆死した少年の真っ黒なお弁当や3歳でなくなったしんちゃんの三輪車です。原爆の非人道性を告発しています。市長も為政者や世界の人びとに見てほしいという呼びかけをしています。
 博物館法では、観覧料は無料が原則です。アウシュビッツも観覧料は必要ありません。資料館は、博物館の登録はされていませんが、負の記憶を後世に伝えるさまざまな資料が展示されています。博物館法に沿った議論があってもしかるべきです。
 今回、それぞれが、別々の議論のある条例改正をセットにするのは、筋が違いませんか。別べつの議案として検討すべき性質もので、提案し直すべきではありませんか。


(市民局長)
 平和記念資料館の観覧料は、地方自治法第225条の「普通地方公共団体は、(略)公の施設の利用につき使用料を徴収することができる。」との規定に基づき、公の施設の利用に対しその反対給付として徴収しているものです。
 今回の平和記念資料館の観覧料の改定は、これまで44年間低廉な額で据え置いてきたものを、施設の管理運営にかかる実費等を考慮し、小中学生を無料とするような減免措置を継続しつつ、長崎市の原爆資料館並みにするものです。
 また、引き上げによる増収分は、施設の管理運営に充てるとともに、基金に積み立てることとした額は、相当額を一般財源から原爆ドーム保存事業等基金に積み立て、来年度から、被爆建物の保存事業被爆の実相を守り、広め、伝える事業の拡充に充てるよう、一体的に取り組みたいと考えています。
 こうしたことから、この一連の取り組みにかかわる二つの条例の一部改正を一つの議案として提案したものです。

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●第90号議案 地方独立行政法人広島市立病院機構中期計画の
   変更にかかる認可について


(近松さと子議員)
 安佐市民病院移転建て替えが提案されました。
今回の提案は、昨年2月に議会で否決された荒下への移転建て替え案に対して、緩和ケアや地域包括ケアの病床など病院機能の一部を現在地に残す修正をおこなったというものです。市長は、住民からのまちづくりの提案をうけて再度検討したといいます。8月29日の安佐北区で住民説明会を開き、市長が出向いてこの新しい移転案を示しました。
 昨年の移転案の否決後、新聞記事には、「市長と議会との対立」「政争」とかかれましたが、「現在地」か「荒下」か建て替え地をめぐって、安佐北区民の意見が分かれ、区内住民を二分した問題であることに違いはありません。どのような認識でおられますか。

(健康福祉局長)
 安佐市民病院に関する議論は、安佐北区のまちづくりの進め方と関連させるか否かについて、地域住民のみなさんの思いや考えを受け止めながら進めるべきものであったにもかかわらず、平成25年から始まった建替え場所を巡っての議論は、移転することの賛否を問う議論に終始した感があります。
 昨年2月の議会において、安佐市民病院の全面移転案が否決された際に、地元におけるまちづくりの議論が十分に行われていないという指摘を受けたことから、今回の提案については、地域住民のみなさんと市とがその思いや考えをお互いに主張し受け止めた上で、「医療機能の分化整備案」としてとりまとめたところであり、ようやく本来の議論ができるようになったと考えています。


(近松さと子議員)
 移転案に反対意見の多くが、高陽や白木などから病院が遠くなることと現在地周辺のにぎわいが失われることでした。現在地に一部機能が残るとしても1日5,000人の利用がある病院がなくなるわけです。商売に影響が出る住民もあるでしょう。病院や職員の駐車場や賃貸住宅として貸していた賃料も入らなくなります。しかし、周辺のみなさんは、恩恵を受けていただけではありません。毎日昼夜を問わず、入ってくる救急車のサイレンの音や病院前の交通渋滞による不便さもがまんして、40年間共存してきました。反対されてきた地域への新しい移転案の説明は、行われたのでしょうか。
 今回、新しい移転案の説明会の参加者は、各学区ごとに4人の役員に限られたために、市長の説明を直接聞きたかったという住民が少なくありません。4人学区の代表の声が、町内の総意だとお考えでしょうか。
 市長は、「地域住民の思いに真摯に向き合う」といわれました。
 議会への提案の前に、広く住民に説明する機会を設けるべきではなかったのでしょうか。

(健康福祉局長)
 安佐市民病院の建替えについては、地元説明会を、平成25年に2度にわたり都合24回開催し、可部自治連からは3度にわたり、病院の高度急性期医療の拡充、災害拠点性の供花や、病院移転後の跡地に地域住民が日常的に受診できる医療機能の整備等を求める提言をいただくなど地域住民のみなさんからご意見をお聞きしております。
 今回の地域にお示しした整備案については、昨年2月の議会に提案した全面移転案を撤回した上で、これまでいただいた地域住民のみなさんのご要望を踏まえたものであり、今後、広島市立病院機構において、地域住民のみなさんのご意見を伺いながら、具体的な内容を詰めていくべき性格のものになっています。
 なお、これまでの間に医療機能の分科整備後の北館の運営について、どのようにするのかといった違憲もあったことから、機構における現時点での検討状況なども加味した上で、先週末、安佐北区の466人の町内会長に文書、資料をお送りし、着いた説明したところです。


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《再質問》


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日本共産党広島市議会議員団
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