トップ議会情報・議員の発言2015年第6回 12月定例会 議員発言 >藤井とし子議員の議案討論


2015年12月15日 本会議 藤井とし子議員の議案討論

   ≪反対する議案≫
   ●第97号議案 平成27年度広島市一般会計補正予算(第3号)
   ●第102号議案 広島市個人番号の利用に関する条例の制定について
   ●第105号議案 広島市市税条例の一部改正について
   ●第124号議案 変更契約の締結について

   ≪意見を付して賛成の議案≫
   
●第99号議案 平成27年度広島市下水道事業会計補正予算
   ●第100号議案 平成27年度広島市安芸市民病院事業会計補正予算
   ●第114号議案から第120号議案 公の施設の指定管理者の指定に関する議案


 安佐南区の藤井とし子です。日本共産党市会議員団を代表して、今定例会に提出された議案について討論を行います。
≪反対する議案≫
(藤井とし子議員)
 まず反対の議案は、第97号議案 平成27年度広島市一般会計補正予算(第3号)、第102号議案 広島市個人番号の利用に関する条例の制定について、第105号議案 広島市市税条例の一部改正について、第124号議案 変更契約の締結についての議案です。
意見を付して賛成する議案は第99号議案 平成27年度広島市下水道事業会計補正予算、第100号議案 平成27年度広島市安芸市民病院事業会計補正予算。第114号議案から第120号議案 公の施設の指定管理者の指定に関する議案です。
その他の議案は賛成です。

はじめに、第97号議案と関連する124号議案の反対の理由を述べます。
 一般会計補正予算のうち、広島駅新幹線口ペデストリアンデッキの整備について、事業費を増額するとともに、工期延期に伴う繰り越し明許の設定を行い、あわせて、UR都市機構への償還金に係る債務負担行為を設定するものです。
この事業については、市財政が厳しい時に、急いで整備するべき事業でないこと。このデッキ整備によって、地上部分の横断歩道を廃止するなど、歩行者より、自動車優先の整備計画であること。東西のホテルにつながる通路になっているにもかかわらず、事業費負担を負わせていないことは納得できません。以上の理由で反対です。

次に第102号議案と第105号議案です。この2議案はマイナンバー法の施行に伴い、特定個人番号を広島市の独自の事務において使用するために利用範囲を定めるものと、それに伴い広島市市税条例を一部改正するものです。
国は、各種行政手続きの手間が省けて便利になると宣伝しますが、国民にとっては、個人カードを使った人だけの身分証明以外にほとんどメリットはありません。むしろ個人番号の漏えい、紛失しないように厳重な管理を押し付けられるものです。今後、銀行口座、証券などの購入や生命保険の契約時にも証券会社や保険会社でマイナンバーを使うことになっており、役所だけでなく民間の事業所にも広がるため、情報の流出や悪用の危険性が一層高まります。総務委員会の質疑を通じて、来年1月から「個人番号カード」の交付発行業務を派遣社員が担うことが明らかになりました。全国的に見てもベネッセなどの派遣社員が個人情報を売買したなどの犯罪も発生しており、市民の大事なプライバシーを派遣で行うことは止めるべきです。
国レベルでは、3400億円の巨費をかけ、広島市でも12億円を超える経費がすでに費やされ、来年度以降も、4億円を超える債務負担行為が設定されています。住基ネットにかけた費用は無駄になり、国家的な情報基盤整備のためと、今度は、住基ネットの7倍の費用を費やし、地方自治体や民間事業者に莫大な経費・事務負担をかけさせて、国民のプライバシーを重大な危険にさらすマイナンバー法の実施そのものに反対であり、よってこの議案は反対です。


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≪意見を付して賛成の議案≫
(藤井とし子議員)
 つぎに、意見を付して賛成する議案について意見を述べます。
 100号議案 安芸市民病院事業会計予算と114号議案から120号議案までの議案は公の施設の指定管理者の指定とそのための債務負担行為についての議案です。
 指定管理者制度が平成18年から導入されましたが、制度そのものが、限りなく管理経費と人件費の削減を競わせるという制度であり、結局、市民サービスの低下につながると私たちは、制度導入そのものに反対してきました。また、事業者から見たら、指定管理期間があるために、雇用者は契約社員とせざるを得ず、指定管理者制度を継続することは、結果的に、非正規雇用による低賃金で不安定な労働条件で働く市民を生み出す、抜け出すことのできないループにますます陥ることになります。指定管理者制度はやめて、直営に戻すことを求めて置きます。

 最後に、下水道事業会計補正予算第1号についてです。
 この問題は、賛否いずれに手を上げるにしても、市民の理解が得られる説明が必要だと考えますので、詳細に、賛成する理由を説明します。
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、第11条で、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」と、産業廃棄物処理の大原則を規定しています。その上で、同法第12条で、事業者は産業廃棄物を処理事業の許可を受けた業者に委託できるとの規定を設けています。
その場合は、処理を委託する事業者に「産業廃棄物管理票」の発行を義務付けるとともに、受託した運搬業者、処理業者に対して、委託された業務が終了した際には、そのことを記した管理票を、委託した事業者に「送付」することを義務付け、排出事業者の方は、処理業者から「管理票」を受け取れば、処理が終了したことを確認したことになり、それをもって事業者の責任が果たされるという規定になっています。
 広島市は、この規定による手続きにより、リバースから処理は終了したとの「管理票」を受け取っており、法律が求める手続きは完了しているのであり、この点で、広島市には、手続き上の瑕疵はありません。
 現実にはその後、処理が終了して肥料になったものが、適切に販売されないため屋外に放置された状態となり、他の事業者が排出したものと一緒になって、周辺に被害を及ぼす状況となりました。
 他方、広島県は、リバースという産廃処理業者が処理業務を行うことができるものとして「業」の許可を与えた許可権者であり、当然、業者に不都合があれば指導し処分を行う責任と権限を持っており、今回の事態に対して、実際に、業者に撤去の措置命令を出し、ついに「業」の許可の取り消しをも行っています。
 そういう強力な権限を持つ県が、今度はその権限を手続き上瑕疵がない広島市に向けて、排出した事業者に問題の最終責任があるとして放置されたものの撤去を勧告し、それに従わないとして「措置命令」を出すぞと言ってきているわけです。
 県は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第11条の原則を盾に、市が委託した処理業者が処理を終了せず放置しているから市が責任を取れと求めているものと考えます。しかし他方で、法は、処理は終了したとの処理業者からの「産業廃棄物管理票」を受け取れば、事業者としての責任はなくなるとしています。これは、法の不備だと言わざるを得ません。
 結局、国が決めた法による手続き上瑕疵がない広島市に責任の所在を求めるとすれば、法第11条にある、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」との規定以外にはありません。
 実際、法第12条の3第8項には、虚偽の記載のある管理票が送付されたときなどの際、事業者は、処分の状況の把握と「適切な措置」を講じなければならない、としています。
管理票を受け取るだけでは、管理票に虚偽があるかどうかはわかりません。つまり、管理票を受け取るだけではだめだということです。
 事業者は、法第11条の「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」という規定の通りにしなければならないのであって、下水汚泥という産業廃棄物を肥料に再生利用するというのは、本来、広島市が自ら行わなければならず、そうなれば肥料になったものを販売しきってこそ、処理が終わったということになります。
 法12条第5項以下は、そうしたことを処理業者に委託してもいいということであり、その際の手続きの規定が不十分であるために、今回の事態になったのだと考えます。
 リバースは、大量に肥料化処理をしましたが、処理した肥料を適切に販売できないまま外に放置したもののようです。広島市の下水汚泥は肥料になっていたとしても、販売されないまま外に放置され、周辺環境に悪影響を及ぼしている一部分となっているわけです。
 「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」との法が課した義務を最後まで果たすためには、肥料化されたものが、実際に消費者への販売が終わるまでが責任だと考える以外にはありません。
 被害が起きている世羅町からは、町長、町議会議長、所管の常任委員会委員長の3人の方が、松井市長に面会され、早期処理を要請されたそうです。広島市が出した下水汚泥が一部でも被害の一端を担っているとしたら、その事態を解決するために市が動くことには、道義的な意味での理由を求めることもできると考えます。
 広島市は、今回のことを教訓として、法の不備を改善するよう政府に求めていただきたい。
そして、法第11条に則って、肥料化するなら、肥料にしたものの消費者への販売が完了するまでが、事業者としての責任であるということで、委託する処理業者に対応していただきたい。
 また、広島市のような政令指定都市は、国が結んだWTO協定により、この規模の業務委託を行うときは、必ず公募による入札を行わなければならず、最低価格をつけた業者に特段の問題がみあたらなければ、その業者に委託しなければなりません。実際上、広島市は業者を選ぶことができません。
 無責任な業者に委託しなくてもいいようにするべきであり、このような委託事業をWTO対象から外すように、強く求めていただきたい。
 以上が、本議案に賛成する理由と、付する意見です。
 以上で討論を終わります。


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