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2013年6月25日 本会議 議案質疑 中原ひろみ議員

 ●第51号議案 平成25年度 広島市一般会計補正予算
 ●第52号議案
 ●第69号〜第76号議案



(中原ひろみ議員)
 日本共産党市会議員団を代表して、第2回定例会に上程された議案について質疑します。


●第51号議案 平成25年度 広島市一般会計補正予算

(中原ひろみ議員)
 まず第51号議案 平成25年度広島市一般会計補正予算(第1号)の、3事業について伺います。最初に、黒い雨体験相談・支援事業についてです。
 原爆投下後、今日にいたるまで、黒い雨被害者団体の皆さんは、被爆時の体験と病歴を語り、自治体と政府に「黒い雨を浴びた者を被爆者として認めてほしい」「全ての降雨域を第1種健康診断特例区域に指定してほしい。」と繰り返し要望されてきました。
 広島市と県も、08年度に調査を行い、「黒い雨」は従来言われていたよりも広範囲に降り、未指定地域住民の黒い雨体験者は、心身健康面が被爆者に匹敵するほど不良であった」との結果報告を発表するに至りました。
 しかし、厚労省の検討会は、「黒い雨降雨域を確定することはできなかった」「要望地域における広島原爆由来放射線による健康影響としての合理的根拠にはならない」とし、黒い雨被害者の願いを認めない報告書を提出した経緯があります。そうしたなか、今議会に、黒い雨を体験した住民の健康不安の軽減を図ることを目的に、保健師や専門医師等による相談事業および健康診断の自己負担額を助成する事業が国からの受託事業としてスタートすることになりました。
 単なる相談だけでなく癌健診の助成を含む事業として具体化されたことは、国も、黒い雨を浴びた人の、放射能による健康被害の影響を否定できなかったと言うべきでしょう。そこで、お聞きします。
@ 相談はいつ、どこで、受けることができるのですか。また、がん検診も助成の対象となると聞いていますが、全ての癌が対象ですか。詳細な事業内容をお聞きします。

(健康福祉局長)
 黒い雨体験者に対する相談については、本市の原爆被害対策部援護課に、千人の保健師等を配置したうえで常設の申請・相談窓口を設け、申請の受付を行うとともに、保健師が相談に応じ、必要な助言・保健指導等を行います。
 この保健師相談の結果、より専門的な相談等が必要と認められる方については、毎月一回程度別途本市中心部に会場を設けて、放射線が人体に与える影響や本人の健康状態に関する医学的な説明・指導等を行う「専門医相談」を実施します。
 なお、専門医相談を受ける際には、原則として、事前に健康診断等を受け、その結果の持参を求めることにしています。
 また、精神健康面での専門的な相談が必要と認められる方に対しては、精神科医等との相談を行います。
 さらに、本市中心部からの距離が遠く、また、相談者も多いと見込まれる安佐南区、安佐北区、安芸区、佐伯区においては、先ほど申し上げた申請受付、保健師相談、専門医相談等を一つの会場で行う巡回相談会を、各区1〜2回程度実施することにしています。

 専門医相談等を受けるため、特定健康診査及びがん検診を受診し、自己負担が生じた場合には、その額を助成することにしています。
 この女性の対象となるがん検診は、健康増進法に基づき本市が実施している胃がん、肺がん、大腸がん、乳がんの5種類です。


(中原ひろみ議員)
A この事業の対象者は何人と見込んでいますか、また対象者は、どのように確認するのですか。

(健康福祉局長)
 事業対象者は、被爆者健康手帳または第一種健康診断受診者証の交付を受けていない方であって、昭和20年8月6日に本市が被ばく地域の拡大を求めた区域内において黒い雨を経験したとして、現在健康不安があると訴えられる広島市在住の方です。
 申請に来られた方に対し、広島市在住という要件については、その場で健康保険証等により住所確認を行うこととし、その他の要件については、本人の申し出によることにしています。
 事業の対象者数については、原爆投下当時に対象地域にいたと推計される人数を基に、地域ごとの黒い雨体験率や、本市等が実施した「原爆体験者等健康意識調査」において「放射線による病気の不安がある」などとした方の割合等を踏まえ、全体で約1,600人を見込んでいます。


(中原ひろみ議員)
B 対象者の中ですでに癌にかかっている方や、癌の発症が確認された方の治療費は、今回の事業の対象となるのですか。ならないのであれば、国に対して、医療費補助などの支援策を求めるべきだと思いますが、いかがですか?

(健康福祉局長)
 今回の事業は、黒い雨を体験したことによる住民の健康不安の軽減を図ること等を目的としており、医療費については、助成対象ではありません。
 次に、黒い雨体験者に対する医療費助成を求めていくことについてですが、本市では、これまで平成20年度に実施した調査で判明した黒い雨降雨地域を第一種健康診断特例区域に指定するよう求めてきました。
 この区域に指定されれば、第一種健康診断受診者証が交付され、さらに、特定の疾病があると認められた場合には、被爆者健康手帳の交付を受けることができ、それにより、自己負担分を負担しないで医療を受けることができるようになります。
 従って、お尋ねの医療費の問題については、黒い雨体験者に対する特別の助成を求めるという形でなく、これまでの取り組み姿勢からすれば、被爆地域の指定拡大を目指すことで対処すべき問題と考えております。 


(中原ひろみ議員)
C この事業により得られるデータは、内部被爆を科学的・医学的に解明し、黒い雨被害者が被爆者であるとの根拠を示す説得力のあるデータとなりえると考えます。市の見解はいかがですか。
D この相談・支援事業で幕引きにせず、健診データを活用し、黒い雨降雨域全域を第一種健康診断特例区域として国に認めさせる新たな取組をすべきだと思うがどう考えておられますか。

(健康福祉局長)
 この事業によって、ご指摘のような有用なデータが得られるかどうかは、事業を実施していない現時点では定かではありませんが、本市としては、まずは、この事業を着実に進めることにより、相談者の相談記録や健診結果等のデータを収集していきたいと考えています。
 そのうえで、当該データから黒い雨体験者の健康面での実態等の把握に努め、その結果を踏まえながら、被爆地域の拡大要望に活用することを検討していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 次に緊急雇用創出事業の一環として進める新成長ビジネス等雇用推進事業についてお聞きします。
 この事業は、医療、エコ、観光、製造業などを営む起業後10年以内の市内企業において、新規雇用と人材育成をはかる目的で、総額1億2625万円を使い、新規雇用一人につき月額、最大30万円を支援しようとするものです。お聞きします。
●この事業の対象になる起業後10年以内の企業は市内に何社ありますか。この事業で雇用する人数をお聞きします。

(経済観光局長)
 この事業の対象となる企業後10年以内の企業は、平成21年経済センサス基礎調査を基に試算すると、5,102事業所となります。
 また、雇用される失業者の人数は、66人を予定しています。

(中原ひろみ議員)
●緊急雇用創出事業で新規雇用された労働者の雇用期間は、半年あるいは一年ですが、働く者は短期雇用でなく、正規雇用として働き続けることを求めています。契約期間満了後に、経営者が労働者を使い捨てにせず、正規雇用へとつなぐ「しくみ」を考えるべきですが何か対応策があるのか伺います。

(経済観光局長)
 正規雇用への転換を促すため、新成長ビジネス等を営む事業者が契約期間満了後に正規雇用した場合には、一人当たり30万円の一時金が支給される仕組みが用意されております。


(中原ひろみ議員)
●雇用者一人に、支払われる補助金額はどのようにして決めたのですか。社会保険料なども含まれていますか。経営者が雇用者支援金をピンハネすることがないよう、例えば、緊急雇用した会社名の公表や、雇用者への雇用契約書の説明義務を事業者に課すなどの、手立てを講じることが必要だと考えますがどうお考えですか。

(経済観光局長)
 事業者への支給額については、雇用する失業者の労働時間、勤務日数及び賃金は、事業者で同様の業務に従事している正規雇用者に準ずるという要件を設け、上限額を、初任給に社会保険料や職場外研修、その他の経費を加味し、月額30万円としています。
 雇用前に事業者の賃金等の労働条件を確認し、支給された給与の明細を提出させることなどにより、正当な賃金が支給されるようにいたします。


(中原ひろみ議員)
●合わせて、平成21年度から始まった緊急雇用創出事業で雇用された労働者数とその内、正規職員に転換できたケース数と率を教えてください。

(経済観光局長)
 本市が平成21年度から平成24年度までに実施した緊急雇用創出事業において新規雇用された失業者の人数は3,338人で、このうち176人、5.3%が正規雇用に転換しています。


(中原ひろみ議員)
 次に広島大学本部跡地の有効活用についてです。
 旧理学部一号館と、その敷地を国立大学財務・経営センターから無償で取得できたことで、被爆建物の保存にむけた劣化状況調査の予算が計上されました。そこでお聞きします。
@ 750万円の予算で敷地内の建物を全てが調査できるのですか。調査範囲・内容をお聞きします。

(都市整備局長)
 旧理学部1号館は、昭和6年に建てられ、その後、昭和8年に一部増築されましたが、たてられた年代もほぼ同じであり、また、建物の使用や、回収の時期、経年変化による劣化の状況もほぼ同程度と考えられます。 
 このため、調査の効率や費用なども考慮し、調査の範囲としては、建物を代表する前側部分を対象に行うように考えております。
 具体的な調査内容としては、外壁タイルのはがれや屋上防水の破損の範囲等を調査します。
 また、コンクリートのコアを採取して、強度や中性化の度合いを検査するとともに、柱や壁の寸法等を確認したうえで、建物の耐震性能を明らかにします。
 以上の結果をもとにして、いくつかの保存パターンごとに概算の改修費を算出することとしています。


(中原ひろみ議員)
A 調査結果はいつごろ公表されるのですか。

(都市整備局長)
 今回の理学部1号館の調査は、今年度いっぱいかかる見込みです
ので、調査結果の公表は新年度になるものと考えています。

(中原ひろみ議員)
B 調査の結果、たとえ劣化が予想を超えて激しくても、被爆遺跡として残すという市の方針に変わりはないのか確認しておきます。跡地は「知の拠点」として活用するとしていますが、市は具体的な活用策をお持ちなのか聞いておきます。

(都市整備局長)
 旧理学部1号館については、従来から保存・活用を検討することとしており、その方針は変わっておりません。
具体的な活用策については、今のところ持ち合わせておりませんが、今回の劣化状況調査を実施したうえで、検討してまいりたいと考えています。



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●第52号議案

(中原ひろみ議員)
 次に、第52号議案 平成25年度広島市開発事業特別会計補正予算(第1号)ついて伺います。
 このたび、西部開発臨海埋め立て地を、(株)イズミ等に高値で売却できたことにより、92億3400万円の収入を市が得ることになりました。今回、その収入を開発基金に積み立てるというものです。お尋ねします。
@ この開発事業は市民の税金を使って行われたものです。市民の財産を処分して得た収入は市民の暮らしを支える予算に使えるようにすべきと考えますが、いかがですか。
A 開発事業基金は、老朽化した橋の補強・架け替えや保育園の耐震診断や補強など、に使えないと説明されてきましたが、それは何故ですか。
B どんな事業なら使えるのか聞いておきます。

(都市整備局長)
 開発事業基金は、西部開発事業の土地分譲によって生じた余剰金を原資として平成元年3月に設置したものであり、目的は開発事業を円滑かつ効率的に推進するためとされています。
 その使途は、広島市特別会計条例第1条の規定により、「臨海部開発事業、内陸部開発事業、都市再開発事業及び住宅分譲事業」の4つの開発事業に限定されています。
 議員ご提案の老朽化した橋の補強・架け替えや保育園の耐震診断・補強などは対象とされておらず、使途とはなりません。
 開発事業基金は、これまで西風新都開発事業や五日市急行整備事業などに活用されており、今後も、本市の都市づくりを推進していく上での貴重な財源として、B・Cブロックの再開発事業のような、条例で定めている事業に活用していきたいと考えています。



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●第69号〜第76号議案

(中原ひろみ議員)
 最後に、職員の給与減額措置に関する議案について、第69号議案 平成25年度広島市一般会計補正予算(第2号)から第76号議案 職員の給与の臨時特例に関する条例の制定についての8つの議案について、一括して質問します。
 これらの議案は、職員の給与及び管理職手当を来年の3月末までの9ケ月間、平均で6.2%削減するものです。この給与減額は、東日本大震災を受けて国が国家公務員の給与を昨年4月から2年間、平均7.8%カットをしていることから、地方にも同率の圧縮を迫るものです。が、地方公務員の給与削減を前提に地方交付税を一律に削減するやり方は、前代未聞です。地方固有の財源を国の勝手な基準で削減し、自治体の給与決定に手を出すやり方は、地方自治への国の介入です。さらに、復興財源が被災地から遠く離れた全国の建設事業や企業の立地補助金などに流用されていることは納得できない話です。
 全国知事会会長の山田啓二京都府知事は「地方を国の奴隷のように使っている」。神奈川県知事は「地方自治の理念に照らして容認できない」など、国の乱暴なやり方に地方からも反発の声が開かっています。自治の本旨から言えば給与をどうするかは地方自治体の権限であり、国にとやかく言われる筋合いではありません。
@ 「国に従え」式のやり方は問題ですが、市長はどのように受け止めておられますか?

(企画総務局長)
 先日、市長が、田尾議員にご答弁いたしましたように、国が地方公務員の給与減額を前提として地方交付税を減額したことは、地方の自主性、自立性の観点から容認できるものではないと考えています。

(中原ひろみ議員)
A 今回の措置によって、国が削った交付税総額と、本市への影響額を教えてください。

(財政局局長)
 今回の国の措置では、地方財政計画において約8,500億円の地方公務員給与費の削減が計上されており、その一般財源相当分約7,850億円が地方交付税の総額から減額されます。
 本年度の本市の地方交付税への影響額は、国が示した算定方法によると、約25億円の減額となります。


(中原ひろみ議員)
B 今回の6.2%の削減率は、職員一人当たりではいくらの減額となりますか。と各行政職別の削減額も教えてください。

(企画総務局長)
 今回の一時的な給与減額による本市職員一人当たりの9か月間の平均削減額は、約19万1千円となります。
 行政職の職位ごとの職員一人当たり平均削減額は、局長級は約58万2千円、部長級は約51万円、課長級は約46万円、課長補佐級は約25万9千円、係長級は約21万5千円、一般職員のうち行政職給料表の3級相当の職員は約15万9千円、1・2級相当の職員は約7万2千円となります。


(中原ひろみ議員)
C 公務員給与を減らせば、今でも冷え込んでいる地方経済に大きな打撃となり、政府が唱えるデフレ不況脱却に逆行すると考えますが市の認識はいかがですか。

(財政局長)
 この度の給与削減によって生じる財源は、いったん財政調整基金に蓄えておくことになりますが、今後、市民に行政サービスを提供していくために活用するものであり、その活用を進めていく中で、地域経済の活性化にも貢献していくものと考えます。今後とも、地域経済の活性化に向けて、財政運営に意を用いてまいります。


(中原ひろみ議員)
D 国は地方分権といいながら、これまで三位一体改革で地方交付税を減らし、地方を財源不足に追い込んできました。この間の交付税削減額を聞いておきます。

(財政局長)
 三位一体改革の最終年度である平成18年度と、三位一体改革前の平成15年度とを比較しますと、本市の影響額は、地方交付税と臨時財政対策債を合わせて約204億円の減でした。

(中原ひろみ議員)
E 地方自治体は財政が厳しさを増すなか、ここ10年以上にわたって職員の削減や給与カットに取り組んできました。広島市でも首長の給与や議員の歳費を削減してきました。総務省の統計でも1998年度から2012年度までに966の自治体が自主的に給与の削減に取り組み、その累計総額は2兆1,000億円に達するとしていますが、広島市では同時期にどのくらいの給与削減を実施してきたのかお聞きしておきます。

(企画総務局長)
 本市では、平成14年1月から平成19年12月まで、一般職を対象とした独自の給与カットを行っておりまして、この削減額は、約71億円となっております。


(中原ひろみ議員)
F そもそも、3割自治と呼ばれるように、企業の本社所在地や原発立地という"特殊要因"がなければ、財政自立できない仕組みになっていることが問題です。交付税は地方の地域格差をなくし、どこでも安心して暮らすための必要最低限の財源保障です。国が恣意的に交付税を削減できる法的な根拠があるのですか。

(財政局長)
 このたびの地方交付税削減は、地方公務員の給与を国に準じて削減する旨の閣議決定を受け、本年3月に地方交付税法等が改正されたものです。

(中原ひろみ議員)
G 今回の給与減額は、来年3月までの期間限定ですが、このような横暴なやり方が今後も繰り返されることがないよう国に抗議と申し入れをすべきだと思いますがどうされるのですか。

(企画総務局長)
 国に対しては、衆議院及び参議院の総務委員会での附帯決議である「地方公務員の給与は各地方公共団体が地方公務員法の規定に基づき自ら決定すべきものであること」等を順守されるよう、全国市長会や広島県市長会等を通じて主張してきていますが、これからも、主張していかなければならないと考えています。

(中原ひろみ議員)
H 地方の財源確保を保障することこそ、地方自治発展の土台です。地方財政の重要な柱である地方交付税が持つ、本来の財源保障と調整機能を回復し、住民の暮らしを守る必要な地方交付税総額を確保するように国に求めるべきですが、どうされますか。

(財政局長)
 ご指摘の通り地方交付税総額の確保は重要な課題であります。本市はこれまでも、全国市長会や指定都市市長会を通じて、地方交付税の総額を確保するよう、国に対して重ねて要望しているところであり、今後もあらゆる機会をとらえて、国に働きかけをしてまいります。



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