トップ議会情報・議員の発言2013年第5回 12月定例会 議員発言 >厚生委員会・近松さと子議員


2013年12月17日 厚生委員会 近松さと子議員の質問(大要)

 ●国保料の算定方式について
 ●討論 国保条例改正に反対
 ●黒い雨降雨地域拡大問題について



●国保料の算定方式について

(近松さと子議員)
 国保の算定方式の変更について一点お聞きします。広島市の認識はどうなのか、今までと変わらないのでしょうか。算定方式の変更で、国保料が大幅に引き上げられる世帯が出ることになる。大幅に上がるのが55%9万世帯。下がる世帯が42%7万世帯。これらの世帯はどのような所得で世帯の構成はどのようになっているのでしょうか。

(保険年金課長)
 保険料の総額は変わりません。増加する世帯が56%、その中で単身世帯が34.5%2人世帯が14.4%3人世帯が4%、4人以上の世帯が3.1%です。
減少する世帯は単身世帯は20.3%、2人世帯は16.1%、3人世帯は3.9%4人以上が1.9%
です。


(近松さと子議員)
 上がる世帯はどのような所得なのかということを聞いています。

(保険年金課長)
 単身世帯で所得が増加する世帯は、収入階層で180万円以下の方。2人世帯で約380万円以下の方。3人世帯で約500万円以下。4人以上で約700万円以下の方となります。
所得が減少する世帯は、今申し上げた収入以上の方となります。上限額があります。最高額77万円を払われている方については変わりません。


(近松さと子議員)
 核心について答えていません。今までは市民税方式で、今からやろうとしている所得方式は旧但し書きという名前で呼ばれていました。旧但し書きにしようという国の流れがある中で、広島市は最後の最後まで市民税方式をとってきました。それはなぜかということを今まで市議会の中で議論されて、課長さんたちも明確に答弁されてきました。今からやろうとする旧但し書きという算定方式、所得方式の特徴というのは、中間所得の方、高所得の方は負担が軽減されますが、その一方で比較的低所得の世帯、低所得で多人数だったり、障害者のいる世帯、ひとり親世帯、そういった生活の困難を抱える世帯ほど、大幅に値上げをされる、急激に上がる世帯が出るということです。なぜ市民税方式を維持してきたのですか。

(保険年金課長)
 そもそもこの方式を利用した理由、この特徴については本会議でも局長が答弁しました。今残っている資料でしかこちらではわかりませんが、当時の考え方としては…


(近松さと子議員)
 最初に市民税方式を選択した時の古い時代のことではなくて、旧但し書き方式という、これからとろうとしている所得方式を国ではどんどん進められて移行していく中で、なぜ市民税方式を維持してこられたのか。それについてお聞かせください。

(保険年金課長)
 これまでにも、所得方式にするという議論はありました。その際には低所得の方や子育て世帯の方について、かなり負担が重くなるということで、改正できませんでした。ただこのたびは国が、全国統一の方式にするというふうに政令を改定しました。そういうことから、広島市としても改正せざるを得ない状況であり、そのために影響の出る世帯については4年間にわたる激変緩和措置を設けることにしたものです。


(近松さと子議員)
 これまでの議論の中でも、2010年9月の厚生委員会での市の答弁では、国保は命綱だと。そして社会保障であるから低所得者への配慮が必要だと。そういう立場に立つと明確に答弁されました。今でもその認識はありますか。

(保険年金課長)
 そういう認識を持っております。

(近松さと子議員)
 今回一般質問でも聞きました。今回例を出したのが、4人世帯・子育て世帯300万円の収入で、今保険料が20万です。それが、算定方式を変更することで、39万になる。約2倍の保険料の負担増になる。軽減措置をされたとしても、33万円という1.6倍の負担増が、こういう困難を抱える世帯にのしかかってくるということで紹介しました。この負担について公平だと思うかとお聞きしたら、それに対して市の局長の答弁は、全国で国保世帯は同じように負担しているのだから公平だとおっしゃった。広島市の、これまでの「低所得者への配慮必要だ、国保は命綱だ」と答弁されてきた、ここからすると大きな後退だと思うのですがいかがでしょうか。

(健康福祉局長)
 私の本会議の答弁は今申し上げた通りです。過去2010年の答弁で低所得者への配慮というようなことを答弁したこともまた事実であろうかと思います。それまでは算定方式は政令においていわゆる任意で選択できると。これは昭和30年代最初に導入した時からあえて積極的に変える理由もないし、そうした効果もあるということでずっと維持してまいりました。政令改正がなければあえてそれを変える必要もないと思います。ただし、やはりそこは全国統一で、現在全国の99%以上が既にそういう形でシフトしておりますので、そういう中で政令改正が行われまして本市としてもそっちに移行して行くとせざるを得ない、法律的にはそういう状態になってまいりました。そういうなかで、確かに大きな影響があるのでどういうことができるかということで、議会の意見を聴きながら我々も当初の考えを修正しましたけど、均等割の割合を下げて少しでも多人数世帯の負担をこれは向上策として軽減させていこうと。あとは、できるだけなだらかにしていこうと。そういった意味では低所得者への配慮、弱者への配慮、思いという意味ではそこは変わっておりません。今の制度の中で最大限何ができるかということを考えてやった結果が、現在の案としてお示ししているものです。


(近松さと子議員)
 この算定方式は、国の法令の改正からということではありますが、国保の運営というのは広島市が独自に行ってきているものです。本市独自が広島市民の国保加入者のとりわけ低所得者への配慮行う、そういう本市独自の立場をとるんだということで、この問題についても考えていただくことを申し述べたいと思います。

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●討論 国保条例改正に反対

 国保は、国保法第1条で社会保障と明記し、国に財政責任をもとめ、自治体に運営の責任を課しています。高齢者や無職者などが半数以上を占め、加入者の7割が年収200万円以下という中で、文字通り医療制度の命綱です。国が財政責任を後退させるなかで、これまで、広島市は、市民の声・議会の声を聞いて国保について、広島市独自の政策をおこなってきました。

 象徴的なのは、2008年、保険証がなく手遅れになってなくなるという悲劇が報道されました。こうしたことを繰り返してはいけないと滞納者への保険証の取り上げはやめました。窓口で10割支払う資格証の発行を控えたのです。

 また、昭和40年台から、窓口の負担が重い・医者代がはらえないという低所得者への減免制度をおこなってきました。全国から視察に訪れる広島市の窓口での減免制度を国が見習って、減免制度を全国に広がっています。

 しかし、「市民の命綱だ。本市独自に守る」という立場が大きく崩れようとしています。昨年の事務事業見直しで、国が示した低い基準に合わせるといって窓口での負担減免制度を災害などで、家計が急変した世帯のみを対象にするなど大きく後退させました。

 全国で、算定方式が所得方式への切り替えが進む中で、最後の最後まで市民税方式をとってきたのも、「市民の命綱だ。本市独自に守る」という立場にたってきたためです。

 今回、算定方式を変更するという国の動きに従い、低所得の社会的弱者の世帯に重い負担を課すようなことは、これまでの本市の立場を投げ捨てる事であり、議会での議論とも矛盾するものです。到底認められません。

 また、高すぎて払えない滞納者が増えることも予想されます。滞納者への差し押さえ禁止財産を狙い撃ちした全額差し押さえは、違法だという判決が確定しても、誤りはないと強弁されています。差し押さえで市民を脅して、生活を困窮させるような国保行政をもはや福祉行政とはいいません。これから、県単位化など広域化の動きも強くなってきますが、広島市が「国保は、市民の命綱だ。本市独自に守る」という立場にたたないかぎり、市民の命も健康も守れなくなります。議員のみなさんには、市民の立場に立って判断してきたこれまでの議会の努力に反することを申し述べて反対の討論とします。

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●議案外質問 国保のねらい撃ち差押えについて

(近松さと子議員)
 ねらい撃ち差押えについてお聞きします。
 鳥取県での滞納整理のため児童手当差押えの事例は広島高裁で違法という判決が出ました。鳥取県も控訴せず確定しました。この判決について認識をお聞きしたら、国税徴収法75条、「差押え禁止財産は差し押さえてはいけない。年金も、生活費部分は差し押さえてはいけない」という趣旨を踏まえて行うという答弁でありました。
 しかし、二つ事例を紹介しましたが、再び言いますが、年金を差押えられた方の事例で言いますと、年金差押えの時にはほかの生活費があるというふうに考えられて差し押さえられたということですが、そのことについて認識を聴きたい。そして差し押さえられた後に生活困窮に陥ってしまったのではないかということをお聞きしても、まあ何とか生活している、執行停止をしたかのだからいいではないかという答弁でした。差押えの前と後とでその方が生活困窮に陥っているのかどうか市はきちんと判断すべきだと思います。そうでないと、差押え禁止財産、生活費部分は差し押さえてはいけないという趣旨を踏まえた対応、滞納整理にならないと思います。
 まず四月に差し押さえられた時に、ほかに生活費があるはずだから差押えてもいいというふうに考えられたということですが、いったい財産調査をどのようにされたんでしょうか。

(保険年金課長)
 ご指摘の事例については、数年前から滞納が続き、何度も電話や催告書の送付、家庭訪問など行った結果分割納付の約束をされましたが履行されず、それ以降は一切応じてもらえなかったため、ご本人から詳しい事情をお聴きすることができなかったということがあります。こうした中で平成24年度の保険料賦課台帳の内容、それと年金の支給状況などを調査確認した結果、事業を営んでおられ、主たる収入としてその事業による給与収入があり、収入は年金だけではなかったこと、また、年金が振り込まれる口座には、光熱水費の支払いの形跡がなかったことからこの講座のみが生活資金と考えられる口座ではなく、これをすべて差し押さえたとしても生活が著しく窮迫することはないと判断して、差押えを行ったものでございます。


(近松さと子議員)
 この方は事業を行っていましたので役員報酬がもらえるだろう、ということと、公共料金の引き落としの形跡がないということをもって、年金が入る口座は生活費には使われていないというふうに判断されたとうかがいました。しかし、この方が保険年金課と話し合われたのは前年の9月です。そのときは役員報酬が入ると思って、返せますというふうに話をされていました。しかしその後経営が傾いて、3月には廃業されているわけです。ですから、4月に差し押さえる時点で、税には執行停止の願い出もされていましたし、報酬などが入っているほかに収入があると市のほうが思われたのなら確実に報酬は入っているのかどうか、市税などに問い合わせるなりして確認する必要があったんじゃないでしょうか。
 それと、公共料金が引き落とされた形跡がないということですが、それは滞納があったから引き落とされてなかっただけです。水道料金も、滞納があって、口座から引き落とされることができなかった。それだけ逼迫されていたから口座引き落としの形跡がなかったということです。そこらはもっと想像力を広げて考えていただければわかることですし、本人に確認をしようと思えばそれができないはずはないんです。この方は24時間365日の営業をされていましたので、もっと早く電話でもされればその方の生活状況は分かっていたはずです。それについてはどう思われますか?

(保険年金課長)
 この方は、議員が先ほどおっしゃったように、9月にお会いして事情をうかがいました。その時に納付の約束をされましたが、それ以降その約束を履行されることもなく、何度もこちらからお電話も差し上げています。そうしたことから市として把握できのは、24年度賦課台帳、こちらの方で給与収入がございましたので、それについて確認して年金だけの収入ではないと思い、差し押さえたものでございます。


(近松さと子議員)
 それではこの方に本当に生活費あるかないかどうか確かめることができないんじゃないでしょうか。他の収入があると思われるのなら、生活費がある口座も別に探すべきですし、これは十分な確認を怠っているといえるのではないでしょうか。

(保険年金課長)
 差押え後にこの方は来られました。この時初めて事業が廃止して生活に困窮しているということが申しだされました。その結果市としてはこれ以上の差し押さえは困難だと判断しました。この方は差し押さえた金額以上にかなり滞納が残っていました。そういったことから、これ以上の差し押さえはしないということで執行停止の手続きをしております。そういうことで、払えるだけは払っていただいて、それ以上は生活が困窮されないように対応しているところでございます。

(近松さと子議員)
 年金を差押えられた後のことについてはまたあとで聞きます。この4月に年金を差し押さえられたその時点で、この方が生活費がほかにあると思うのは、そういう認識は誤りではないですかということをお聞きしているんです。市税の方には滞納があって、3月27日には執行停止も願い出ています。やはりこの方に確実に年金以外の収入があるかどうかを確認するという努力を例えば同じ市の中の市税事務所に問い合わせればすぐに分かったはずです。こういうことをなぜされなかったのでしょうか。

(保険年金課長)
 たしかに、後から市税のほうに訪ねていく、それはただ単に会社の方の事業廃止について出されておりまして、そこには国保料のことは一言も書いてございません。そういったことから保険年金課として知り得ることができなかったということでございます。

(近松さと子議員)
 それは自動的には知ることはできないかもしれませんが、市のほうが一本市税事務所に問い合わせれば、国保のほうが問い合わせれば、この方の状況はすぐにわかるはずです。そして、この年金しか生活費がない、そのことが明らかになって、それならば生活費部分は差し押さえてはいけないという趣旨を踏まえた対応ができたんじゃないかということです。それについてはどうですか。

(保険年金課長)
 繰り返しになりますが、市として知り得る限りの情報で差し押さえを行ったものであり、この時点で生活困窮されることはないとして差し押さえたものでございます。


(近松さと子議員)
 市が聞いたのは、前年の、まだ商売廃業する前の状況です。それを把握されて、そのあと商売はどんどん傾いてしまいまして、にっちもさっちもいかなくなって、本人が市へ、国保へ連絡することもできないままに差し押さえられてしまったということです。その前に市税のほうに本人は、廃業してもう払うことができないと言われていますから、本人とすれば、市へそれだけ連絡すれば通じるものと思われたのに、突然生活費である年金が差し押さえられて、無一文になってしまった。そしてそのあとのことです。無一文になって夜逃げ同然で実家親元に帰られたわけです。親元と言いましてもこの方はもう70歳ですから親御さんも大変な年です。そういうところへ恥を忍んで帰らざるを得なかったということなんですが、差押え後のそういう状況、差し押さえたためにそういう状況になった、そのことについてはどのように認識されていますか。

(保険年金課長)
 差し押さえたのち2週間ほどして本人が来られました。事情をおうかがいし、執行停止の手続きを進めております。それと、ご本人の方は、現年度の保険料は払おうというご意志があって、一括というのは難しいということで、担当者が話をして、分割で支払っていいただいているという状況です。


(近松さと子議員)
 その後執行停止をされたということは、生活困窮に陥ってらっしゃると認めたからではないのですか。

(保険年金課長)
 差し押さえた金額以上にかなりの多額の滞納がありました。で、これ以上の支払いは困難だと認め、現在執行停止の手続きを進めています。

(近松さと子議員)
 差押え後の生活状況は、生活困窮に陥っていると認められているということですよね。確認します。

(保険年金課長)
 滞納額が多額にあって、それを払えるほどの生活能力がないということで手続きを始めているところです。


(近松さと子議員)
 なぜ生活困窮状態であると認められないんでしょうか。これは生活困窮状態でないということなんでしょうか。

(保険年金課長)
 今は生活困窮ということで執行停止の手続きを進めておりますので、滞納額を払ってしまったら生活困窮してしまうということで、手続きを進めているものでございます。

(近松さと子議員)
 生活困窮に陥られたのは、この年金を差押えられたために生活困窮に陥られて、夜逃げ同然で親元に帰らざるを得なくなったということですから、この差し押さえた年金17万円、生活費であったわけですから、返すべきじゃないかと思うんですが、どうですか。

(保険年金課長)
 今現年度分の保険料を少しずつでも払っていただいております。そういったことから、今差し押さえた金額を返す必要はないと考えております。


(近松さと子議員)
 差押え禁止財産は差し押さえてはいけない、生活費は差し押さえてはいけないという国税徴収法75条というものが意味をなさなくなってくるんです。生活費であっても、他の収入があるんではないかというような見込みで差し押さえる、その後も他のまだ保険料(滞納)があるから、それを払っているから返さなくてもいい、というような理屈では、この法令上の規定というのが全く意味をなさないということになってしまうんじゃないでしょうか。もちろん滞納はあるべきではないし、税金も保険料も払わなくてはいけませんが、しかし、そのために様々な理由で生活困窮に陥るような場合は執行停止などの処分ができるようになっています。そういうなかで、滞納分を払うために、生活困窮に陥らせるようなことはしてはいけない、それが地方税法15条の7の趣旨だと思います。そのためには差押え禁止財産を生活費分を差し押さえる、それは厳格に差し押さえてはいけない、厳格に運用することが、やはり趣旨を踏まえたことだと思うんですが、いかがお考えですか。

(保険年金課長)
 国税徴収法第75条は、差し押さえることができないとされている、差押え禁止財源であり、年金については、77条になりますが、一部差押え禁止とされており、これは、生活困窮に陥られないように必要最低限の生活費を確保するという趣旨であると理解しております。今回の事例につきましては、主たる収入がほかにある、年金だけでないということ、それから、必要な生活費口座ではないと判断しておこなったものであり、適切であったと考えております。ただ、今後確かに議員おっしゃいますように、差押えするということは、生活に困られている方にとっては影響がかなりあると思いますので、今後も丁寧にこちらからできること調べられることはやって行こうと考えております。


(近松さと子議員)
 今回のことは権限乱用だと思います。この方も裁判に訴えることも含めて考えているということですので、この場で決着がつかなければ裁判所で決着をつけてもらわざるをえないのかと思って本当に残念な思いです。以上です。

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