トップ議会情報・議員の発言2013年第5回 12月定例会 議員発言 >一般質問・近松さと子議員


2013年12月12日 本会議 一般質問 近松さと子議員

     ●被爆地ヒロシマの市長として
     ・憲法原理に背く特定秘密保護法

     ・原爆症認定制度の見直しを
     ●国の社会保障解体から市民生活の防波堤に
     ・生活保護制度について
     ・介護保険制度について
     ・国民健康保険制度について
     ・子ども子育て新制度について
     ●ゆきとどいた教育を
     ・土曜日授業について
      ―(再質問)―
     

 日本共産党市会議員団を代表して一般質問をおこないます。


●被爆地ヒロシマの市長として
・憲法原理に背く特定秘密保護法

(近松さと子議員)
 最初に、憲法に明記された国民の知る権利を保障する国民主権の原理、基本的人権の尊重、平和主義を否定する秘密保護法の採決に怒りをもって抗議するものです。
希代の悪法である秘密保護法には、広島県医師会も反対声明を出しました。秘密を取り扱う人への適正評価という名でおこなわれる身辺調査で通院歴など医療情報の提供が義務付けられていることに、患者との信頼関係を損なう医療への介入だと批判しています。広島県弁護士会をはじめ、全国55のすべての弁護士会やマスコミ、映画人、ノーベル賞受賞の科学者のみなさんなど幅広い各界各層の慎重に・反対だという声を無視し、採決を強行したことは、歴史に残る暴挙です。内容はもとより強行採決という進め方も異常であり、成立後の新聞世論調査でも76%が、「議論が十分でない」と答えています。
この法案をすすめた与党自民党幹事長は、ブログで市民のデモをテロ活動と敵視する記事を書き、報道機関も処罰すると述べ、秘密保護法は、単なるスパイ防止のための法律ではなく、国民を監視し、さまざまな自由を抑え込む弾圧法だということを自ら示しました。今また、共謀罪も検討するといわれています。
この法律の狙いは、アメリカの軍事情報を共有し、戦争司令塔である国家安全保障会議設置法と一体に「アメリカといっしょに海外で戦争できる国」につくりかえることにあります。これまで、核持ち込みの密約も隠されてきました。核兵器の情報も特定秘密にされて、非核3原則もなし崩しで空文化されてしまいます。
憲法を守るべき行政の長として「被爆地ヒロシマは、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地である」と答弁されている市長として、秘密保護法は、国民主権、基本的人権、平和主義という憲法の基本原理と相いれないものであると思いますが、どのようにお考えですか。お答えください。

(企画総務局長)
 特定秘密保護法は、国の安全保障に関する秘密の漏えいを防止し、国と国民の安全の確保に資することを目的としたものでございます。
 この法律については、国民の知る権利が侵害されるのではないかなど、強い懸念や反対の意見が多数あることは承知しています。
 国民の知る権利など憲法上保障された基本的人権については、この法律の目的である国民党の安全の確保との間で適切な調整がなされる必要があると考えています。
 法律においても、その適用にあたり、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道等の自由に十分に配慮しなければならない旨の規定が設けられています。
 本市としては、この法律の施行までの間において十分な議論が重ねられ、御懸念のようなことが起きないよう、適正な運用がなされるべきものと考えています。



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・原爆症認定制度の見直しを

(近松さと子議員)
 原爆症認定についてお聞きします
「3年間の議論はなんだったのか」先週4日、厚労省が設置した「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の最終報告は、積極的な認定をという被爆者の願いと相対するものでした。安倍首相は、今年の平和式典で「今なお苦痛を忍びつつ、原爆症認定を待つ方に、一日でも早く認定がおりるように最善を尽くします」,「被爆された方々の声に耳を傾け、より良い援護策を進めていきます」と述べました。被爆者からは、「被爆者を前に語ったこの決意は、偽りだったのか」と批判の声があがっています。
 2003年、全国の被爆者が、国を相手取った原爆症認定集団訴訟に立ち上がりました。各地の裁判所は、原告被爆者たちの主張を認めて、政府厚労省に対し、幅広く原爆症と認めて必要な援護策を講ずるようにとの判決が相次ぎました。27回も敗訴した国は、2009年お詫びの談話を発表し、今後訴訟の場で争う必要のないよう「確認書」を被爆者とかわしました。認定基準もがんや白血病のほか、心筋こうそくや慢性肝炎など放射線が原因と認められる7種類の病気になった被爆者について、積極的に認定する方針を打ち出しました。
 ところがこの間、認定却下が相次ぎ、新基準は「絵に描いた餅」という状況が生まれ、被爆者は、やむなく、第2次の集団訴訟を提訴する事態となりました。
 一縷の望みをもって、見守っていた認定制度の見直し検討会がだした最終報告では、認定基準の緩和を求める司法判断を事実上無視して、現行制度を維持するだけでなく、原爆放射線の影響を狭く見て、認定範囲をさらに狭めることにもなりかねない方向も盛り込まれています。
 無念の思いで、被爆者は立ち上がり、今月3日100人規模で再びノーモアヒバクシャ訴訟全国原告団を結成することになりました。もうこれ以上、裁判に勝てば認定する、裁判に訴えなければ認定しないというような,冷酷な認定行政を病に苦しむ高齢な被爆者に対してつづけてはなりません。
 市長も今年の平和宣言で、「国に被爆者支援の充実をもとめる」と述べられています。国厚労省に対して、被爆者のねがいに沿った原爆症認定制度に急いであらためることをもとめるべきではありませんか。ご答弁をもとめます。

(市長)
 近松議員からのご質問にお答えします。「被爆地広島の市長として」のうち、「原爆症認定制度の見直しを」についてのご質問がございました。
 原爆症認定制度の見直しについては、国が平成22年12月に設置した「原爆症認定制度のあり方に関する検討会」において協議が重ねられ、今月4日に最終報告書がとりまとめられたところであります。
 この報告書では、認定制度をより良い方向に見直していくべきという認識は全ての委員に共有されたものの、放射線起因性の考え方を巡り、意見の一致が見られず、本検討会が目指した行政認定と司法判断との乖離の解消が十分に図られない内容となってしまったことは大変残念に思っています。
 今後、この報告書を受け、双方の主張を調整し、対応方策を決定するのは政治判断ということになると思いますが、本市としては、行政認定と司法判断の乖離を埋めるという検討会設置の趣旨に立ち返り、高齢化し病気に苦しむ被爆者に寄り添った制度になるよう、国として踏み込んだ方策を講じていただきたいと考えています。
 これを伝えるため、今月16日に、長崎市とともに、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に対する要望を行うことにしております。
 その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。 



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●国の社会保障解体から市民生活の防波堤に

(近松さと子議員)
「負担を増やし給付を減らす」流れにもの申す
これは、全国の認知症の人と家族の会の広報誌ぽれぽれに連載されている記事のタイトルです。以下一部を紹介します「8%の消費税増税が決まりました。大方の期待に反して、増税と負担増・給付抑制の二重負担の提案が相次ぐ現状は、期待はずれを超えて背信的と言えます。出されるのは、その場しのぎ的な政策ばかりです。その一方で目立つのは経済対策です。増税して新たな経済対策に出費するのは、増税分を転用するのと同じです。企業だけは、被災地のための復興特別税のいち早く免除だそうです。経済の成長のみ追いかけて結局社会保障もしぼむのではないか。まず、福祉ありきで社会のあり方をけん引すべきです。財源は、消費税のような逆進的な負担ではなく、累進的な負担を企業にも個人にもしてもらう。安心が健全な消費を生み、経済を活性化させる。こんなおだやかな暮らしを望みます」とあり、大いに共感しました。
 オレンジプランと名付けて認知症対策を推進するといいながら、社会保障は給付切り下げと負担増へむかう逆コースへの怒りの声です。
いまこそ、消費税に頼らない、応能負担に基づいた大金持ちや大企業に応分の負担をもとめる税金の取り方にあらためるべきです。そして、幅広い世論となってきた大企業にため込まれた内部留保を賃上げに回し、中小企業に還流させて、生活と経済再生を図ることが、税収も増やす道です。
先の国会で成立した社会保障プログラム法は、自己責任を強調し公助という言葉さえ消して、ひたすら社会保障の解体へつきすすむプログラムをしめしました。また、「平時モードにする」といって地方交付税を削減し、国の言いなりになれば加配するという恣意的な運用をさらに強めようとしています。国のすすめる地方自治体財政を圧迫し、社会保障の解体につきすすむやりかたにたいして、やめよとこえをあげ、市民のくらしや福祉を守り、市民生活の防波堤になるべきではありませんか。こうした立場から、生活保護、介護保険、国民健康保険・子ども子育て支援新制度について、お聞きします。
最初に、市民の命綱である生活保護制度についてお聞きします。


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・生活保護制度について

(近松さと子議員) 
 6月の国会で、会期切れというだけでなく、日弁連や研究者などから反対の声があがり、廃案になった生活保護法の改正が、先の国会で強行されました。餓死や凍死などの悲劇を繰り返す「水際作戦が合法化」されるのではないかと指摘されています。
これまで、保護の申請を書面による要式行為とせず、申請時に揃っているに越したことはないが、預金通帳のコピー・住居の賃貸契約書のコピーなどの書類は、申請後に提出してもよいというものでした。「DV被害を受け、着の身着のままで飛び出してきた」こんな場合など、揃えられない事例はすくなくありません。
書類の義務づけで「書類が揃えられないのならば、生活保護の申請は受理できません」ということがあたりまえになるということでしょうか。違法な申請権侵害であるとされてきた窓口で申請者を追い返す水際作戦が、法改正で、合法化されるということではありませんか。

(健康福祉局長)
 改正後の生活保護法においては、国会における議員ご指摘のような議論も経て、申請書に添付する書類は、「特別な事情があるときは、申請時に添付しなくてもよい」との規定が追加されたところであり、このたびの改正は、ご指摘のような運用につながるものではないと考えています。


(近松さと子議員)
 また、扶養義務の強化がしめされました。現在でも、親族には「扶養できませんか?」という照会が行われています。高額の所得や資産がある場合を除き、強引に扶養を求めているわけではありません。どのような収入申告を、どこまで義務付けるのですか。扶養義務の強化については、障害者の福祉的就労の場である共同作業所の関係者からも反対の声が上がりました。これまでも障害者や家族のみなさんは、「地域で自立した生活を送りたい」「親なきあとの生活の場がほしい」とグループホームやケアホーム建設をめざし、バザーや募金活動をおこない、涙ぐましい努力を重ねてきました。
念願のグループホームに入居して、あたりまえの生活がしたいという重い障害の青年たちに、サラリーマンの父親から仕送りをしてもらえとなるのですか。それでは、躊躇せざるを得なくなり、自立の願いをあきらめ、家族依存に逆戻りさせることになり、地域で自立した生活をめざすとうたった本市の障害者基本計画の理念とも相反するものです。
今回の法改正で、申請書類の厳格化や扶養義務の強化がされれば、申請者を委縮させ、保護から遠ざけることになりかねません。生活保護制度の利用資格のある所得水準のうち、現に利用している割合・ほそく率が2割程度に抑えられている状況の中で、申請やすくして、必要な人にいきわたる漏給防止こそが求められているのではありませんか。

(健康福祉局長)
 扶養義務者については、現在でも福祉事務所が必要と認めるときは扶養紹介を行っているところですが、今回の法改正により、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していない場合などには、自治体が、扶養を行えない事情などの報告を求めることができるようになります。
 本市としては、法改正の趣旨を踏まえるとともに真に生活に困窮する市民が保護を受けられないという事態が生じないよう、適切に対応してまいります。 


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・介護保険制度について

(近松さと子議員)
 次に介護保険制度です。「介護保険はかけ捨てか」と怒りの声が上がっています。プログラム法は、来年、介護保険法の大幅な改悪を迫り「保険あって介護なし」という深刻な状況をうみだそうとしています。  
9月の厚労省は、介護保険の7つの区分のうち「要支援」の認定を受けている軽度者全国で150万・本市で16000人の介護予防サービスを自治体の地域支援事業へ段階的にうつすことをしめし、全国から批判の声が沸き起こりました。
 反対の声を受けて、厚労省は、7つのサービス全部移行する方針を撤回し、デイサービスとホームヘルプサービスのみ自治体事業へと移す案を示しています。修正案で、訪問看護やリハビリなどについては、引き続き介護保険によるサービスを継続するとしたのは、全国一律の保険給付でなければ支障をきたすという理由からです。それならば、デイサービスとホームヘルプだけを保険から外していいと言う理屈は成り立ちません。
 自治体事業になると、全国一律のサービスでなくなり、内容も利用料もサービスの単価も広島市が独自に決めて、受け皿を確保しなくてはいけません。単価については、現在の報酬以下に設定するとしています。そのため、担い手は、ボランティアなどでもよいとしています。
広島の介護保障をもとめる会が、要支援に認定された高齢者430人にアンケートを実施したところ、9割がデイサービスとホームヘルプを利用しています。「ヘルパーさんのおかげで元気になった」「家事に不足がなくなり、生活が安定」「定期的に運動することで元気になった」「相談相手が増えた」と答え生活不安の改善や健康維持に、大きく役立っていることがわかります。さらに、友人や相談相手ができることで、閉じこもりや孤立を予防する効果もあらわれています
 元々、要支援に認定された軽度者への介護サービスは、介護予防として介護保険に位置づけられ、重度化を防止するためとされてきました。全国で400万人といわれる軽度認知障害の高齢者は、適切な支援がなければ、5年で認知症になるといわれています。高齢化が進むなか、重度化を予防するための介護予防の充実は、ますます重要になっています。要支援と認定された高齢者に対する保険給付は、これまで通り行うよう国に求めるべきですが、どのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 要支援者は、生活支援のニーズが高く、その内容も配色や見守りなど多様なものが求められています。こうした多様なニーズに答えるためには、介護サービス事業者以外にも、NPO、民間企業、ボランティアなど、多様な事業主体による重層的なサービスが地域で提供される体制の構築が重要です。
 このため、国において、市町村が、地域の実情に応じ、住民主体の取組を含めた多様な主体による柔軟な取組により、効果的かつ効率的にサービスを提供できるよう、要支援者に対する訪問介護・通所介護について、地域支援事業に移行させる方向が示されています。
 これにより、多様なサービス提供体制が地域で構築されれば、要支援者の介護予防、重度化予防の充実につながるものと考えられます。
 本市としては、今後の社会保障審議会介護保険部会の取りまとめや、介護保険法の改正の内容、国が示す予定のガイドラインの内容等を踏まえ、要支援者にとって必要なサービスが適切に提供されるよう、制度改正への対応について、次期高齢者施策推進プランを策定する中で、しっかりと検討してまいります。


(近松さと子議員)
 さらに、特養ホームの入所を待っている要介護2以下の高齢者を門前払いにしようとしています。高齢者が門前払いを食らえば、ますます、仕事を辞めざるを得ない家族が増え、全国40万人という介護退職は、経済や社会にとってもおおきなマイナスではないでしょうか。
今回は、高齢者数がピークを迎える2025年に向けておよそ2000億円削減の中長期計画につながる介護保険改悪の第一歩です。財政支出の抑制を狙う国は、自治体に削減の目標と計画を策定すべきと押し付けています。今のままサービスを維持すれば、自治体負担が増え、財源が厳しいとすれば、量と質の低下を余儀なくされます。国が、公的な責任を果たして、利用する人も支える人も安心できる制度こそ「持続可能な社会保障」だと思いますが、どのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 介護保険料は、制度の施行当初は全国平均3000円以下でしたが、高齢化の進展に伴う介護サービス利用者の増加やサービス内容の充実を図ったことにより、すでに5000円弱となっています。
 社会保障審議会介護保険部会の資料によると、今後の高齢化の進展、特に要介護者の出現率が高い75歳以上の高齢者が急激に増加していく中、現行のサービス水準を維持していくならば、平成37年度(2025年度)には、保険料は8200円程度になるとされています。
 加えて、保険料の他に、国、県、市の税による公費負担も同様に増大していくことが見込まれます。
 今後、人口減少と高齢化が一段と進む社会の中で、介護サービスに要する費用を保険料と税で賄う仕組みを維持するとすれば、引き続き減少が見込まれる生産年齢層の負担を増大させ続けていくことが必要になりますが、それにも限界があります。
 このように、現行の制度のままでは制度の持続可能性に重大な問題が生じることから、現在、介護保険制度の見直しが行われているところです。行的責任は、こうした制度の見直しを通じて制度全体を維持していく中で、果されていくべきものと考えています。



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・国民健康保険制度について 

(近松さと子議員)
 国民健康保険制度についてお聞きします。
算定方式の変更による社会的弱者への保険料大幅値上げの問題です。
 来年度から本市は、国の広域化に向けての保険料算定方式の統一ともいえる法改正をうけて、保険料の算定を、住民税方式から所得方式に変更すると示されました。これにより、さまざまな税控除が反映されなくなり、障がい者・ひとり親世帯、子育て世代など、困難や生活の苦労が多い世帯ほど、大幅な値上げ額になります。現在は、子ども2人4人世帯収入300万円で保険料年間20万円ですが、所得方式では39万円と約2倍に跳ね上がるという試算がしめされました。
 これを受けて・市の激変緩和措置は、保険料総額がかわらない中で、算定方式の変更で下がる世帯の引き下げ分を減らし、大幅に上がる世帯の上昇分を抑えるというものです。それでも4年後に37万円になります。さらに、国が行うとしている低所得者への軽減策をおこなっても、33万円1.6倍です。そもそも、今でさえ高いのに、社会的弱者であり、生活保護基準相当の収入の低所得世帯に、1,6倍の値上げという保険料負担について、公平な負担だとお考えですか。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の算定方式は、これまで保険者が任意に選択できる中で、本市では、市民税の所得割額を基に算定する方式を採用していました。
 しかし、国において、税制改正により国民健康保険料に影響が生じないよう、全国の99%以上の市町村がすでに採用していた基礎控除後所得を基に算定する方式に統一する政令改正が行われたことから、これを受け、本市もこのたび算定方式を変更するものです。
 これにより、全国との比較という意味では公平な状況になると考えていますが、一方で、保険料負担の増加が著しい世帯が生じることから、そうした世帯に対しては、平成29年までの4年間にわたる激変緩和措置を実施することにしたいと考えております。


(近松さと子議員)
 これまで、市は、賦課割合を変更するなどの激変緩和策の工夫をしめし、その努力を否定するものではありませんが、加入者同士の軽減策でも、そして、期待した国の軽減策でも2倍の負担を1,6倍に減らしたにすぎず、とうてい容認できません。算定方式の変更をしなくてはならないのなら、一般財源を原資にして、本市独自に軽減策を行うしかないのではありませんか。

(健康福祉局長)
 我が国における国民健康保険事業は、本来、保険集団を構成する加入者からの保険料収入を基本財源としつつ、それを補完するために法令等によって認められた特定の財源を追加投入することによって運営すべき事業として実施されているものです。
 そのため、本市の運営している国民健康保険事業についても、一般会計からの繰入は、法令や国の通知で定められている保険料の軽減措置にかかる経費や事業費、診療報酬の審査支払手数料などとともに、保険料収入額が見込みを下回った場合の収支不足など保険料収入を補完する性格のものに限定をしています。
 このたびの激変緩和措置は、保険料の算定方式を変更することに伴うものであり、保険料総額を変えるものではないため、それにかかる費用については、徴収すべき保険料を負担する加入者全体で調整すべきものであると考えております。


(近松さと子議員)
 運営を市から県単位にする広域化についてお聞きします。
 国保は、国保法第1条で社会保障と明記し、国に財政責任をもとめ、自治体に運営の責任を課しています。高齢者や無職者などが半数以上を占め、加入者の7割が年収200万円以下という文字通り医療制度のセーフテイネットです。国は、医療費に対する国庫負担金を引き下げ、その後も責任を後退させ続けてきました。その負担が、高すぎる保険料となって加入者を苦しめ、滞納世帯は2割にのぼり、1割が正規の保険証を奪われています。
 国は、プログラム法で2017年に、現在の市から県単位の運営へ移行する・広域化を強く押し出しました。市が運営することで、現在は、国保加入者も入った運営協議会で、医療機関の数や医療費が違う地域の実情に合わせた運営方針をとることができました。県単位になって、住民の声にこたえた市独自の減免制度や資格証を出して保険証を取り上げないという判断が継続できるのでしょうか。

(健康福祉局長)
 先の国会で成立した「持続可能な社会保険制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(いわゆるプログラム法)」では、「国民健康保険の運営について、財政運営をはじめとして都道府県が担うことを基本とする」との方針が示されていますが、市町村の独自措置の扱いや都道府県と市町村との役割分担などについては規定されておらず、今後、国において、都道府県や市町村の意見を聴いた上で、別途決定される予定になっています。
 本市としては、広域化によって本市の被保険者に過度の負担が生じることになるとすれば、生活に大きな影響を及ぼすことから、広域化に向けた検討の進捗状況に応じ、広島県や他の市町と十分に協議・調整を行っていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 保険料滞納も深刻な本市は、ますます保険料の徴収業務を強化していくことになるのではありませんか。
小規模自治体の運営が大変だから広域化するといいますが、自治体による繰り入れをおこなっているのは、多くが大規模自治体です。全国で3500億円の法定外の繰り入れが行われています。国は財政基盤を安定化させるといいますが、それに見合う財源を示していません。繰り入れもなく財源も不十分となれば、保険料のさらなる値上げを招くのではありませんか。
 国が責任を果たし、抜本的に負担金を増やして、身近な自治体である市が運営するこれまでのやり方が、市民のいのちと健康を守る観点からもふさわしいと考えますが、どのように認識されていますか。

(健康福祉局長)
 市町村が運営する国民健康保険には、小規模保険者が多く財政が不安定であること、被保険者の年齢構成による医療給付の格差等に伴い、保険料負担に大きな違いが出ていることなどの課題があります。
 広域化については、こうした課題に対処するため、運営主体を市町村単位から都道府県単位に拡大し、財政基盤の安定化及び都道府県内の保険料負担の平準化を図ることをねらいとしているものと認識をしており、こうしたことを踏まえれば、進めていく必要があるものと考えております。


(近松さと子議員)
 差押え禁止財産の狙い撃ち差押え
 国保の問題に関連して「差押え禁止財産を狙い撃ちした差押え」問題について、お聞きします。裁判所は再び、職権乱用で違法の判決を下しました。
 11月27日広島高裁松江支部は、「差押え禁止財産の狙い撃ちは違法」と今年の3月の鳥取地裁に続いて、二審も断罪しました。県民税の滞納に対して、児童手当がはいったその日に預金口座から差し押さえたのは、不当であるとして、差し押さえ金額13万円を返済するように命じました。「実質的に児童手当を原資として租税の徴収をすることを意図した」と認定したものです。もはや、差し押さえ禁止財産である児童手当も通帳に入れば、預金・貯蓄だといって言い逃れることはできません。鳥取県は控訴を断念し、差押え禁止財産の狙い撃ちはやめると方針転換をしました。
 市税の滞納整理についてお聞きした6月議会では、裁判の行方を見守るとされていましたが、確定した高裁判決について、どのように受け止め、今後に生かしていくのかをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 広島高裁松江支部の判決の事例は、国税徴収法第75条で差し押さえることができないとされている差押禁止財産と同等の扱いとなっている児童手当の差し押さえ事例であり、ご指摘の本市の事例とは異なるものと認識しています。
 なお、本市の事例については、数年前から滞納が続き、何度も電話や催告書の送付、家庭訪問などを行いましたが、保険料の支払いがなく、折衝にも応じてもらえない状況にありました。
 そうした中で、差押え他行口座には光熱費等の支払いの形跡がなかったことから、この講座のみが生活資金と考えられる預金口座ではなく、これを差押えたとしても生活が著しく窮迫することはないとの判断をして差押えを行ったものであり、適切な処分であったと考えています。

(近松さと子議員)
 これまで、私たちも、国保料の滞納を理由に、ほとんどゼロに近い通帳に、年金と給与という差押え禁止財産が振り込まれたその日を狙い撃ちし、全額差し押さえた事例を問題にしてきました。
 児童手当については、差し押さえることができず、また、年金や給与については、最低生活費等を割り込む金額は差押えすることができないということを承知されているはずです。
 国保の滞納整理について、この判決をどのように受け止めておられますか。今後、差し押さえ禁止財産を狙い撃ちした違法な差し押さえをやめるべきではありませんか。
 判決にあるように、違法に差し押さえた金額は返済するべきですが、どのようにお考えですか。

(財政局長)
 本年11月27日の広島高裁松江支部の判決のポイントは、児童手当が口座に振り込まれた9分後に預金債権を差押えたものであることから、実質的に児童手当を受ける権利自体を差押えたのと変わりがないと認め違法としたものです。
 本市では、児童手当等の差押え禁止財産が振り込まれる預貯金を差押えるにあたっては、差押え禁止財産に相当する額を控除して差し押さえる取扱いとしております。
 今後も引き続き適正な滞納処分を行ってまいります。



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・子ども子育て新制度について

(近松さと子議員)
 子ども子育て新制度についてお聞きします。
 国は、保育・子育てにかかわる施策の大転換をおこなおうとしています。早ければ、2015年再来年4月から、子ども子育て支援新制度を自治体に実施させるとしていますが、全体像が明らかにされず、不安や疑問の声が上がっています。
 「経済的格差がこどもの保育の格差につながることは許されない」という保育関係者の運動に押されて、国は、認可保育園について、自治体に保育の実施義務があるとした児童福祉法に24条1項を残しました。しかし、認可保育園以外は、施設と保護者との直接契約にして、保護者に給付し、保育を商品として売り買いし、企業の参入を促進していく仕組みが導入されました。
 保護者の入所手続きも大きく変わります。保育の時間が、親の就労時間によって二つに分けられ上限が設定されます。パートであれば、短時間の利用となり、子どもの集団保育が成立できず大問題です。
 さらに、保育料の負担が増加するのではないかと懸念されます。国は、公定価格を検討する過程で、保育料の水準は、これまで通りといいますが、国の基準は、三歳未満児で最高10万円と高すぎる水準であることから、全国で自治体が軽減措置をしてきました。本市が行っている保育料の軽減のための負担額はいくらでしょうか。
 また、私立保育園の運営費も、職員処遇改善や障害児保育加配など、国基準の不十分な点を補うために、市が補助を行ってきました。本市の単市補助額は、どのくらいになるのかお示しください。
 現行の保育園運営費は、国・自治体・保護者が負担していますが、そこに占める国庫負担は、本市でも14%にしかすぎません。
 新制度に移行して、こうした職員の処遇改善や障害児保育など保育園の運営にかかわる公費負担の水準は、維持されるのでしょうか。

(こども未来局長)
 現在、国が示している保育料の基準額に対して、保護者負担の軽減のために本市が負担している額は、平成24年度決算ベースで試算すると約24億8千万円です。
 また、市立保育園運営費に関し単市で補助している額は、同じく平成24年度決算ベースで約6億6千万円となっています。
 子ども・子育て支援制度における保育園運営費の基準額は、国において、質の確保・向上が図られた保育を提供するために必要な水準とすることを基本に「公定価格」として定めることになっています。 本市としては、この公定価格を踏まえて検討することとしていますが、検討に当たっては、利用者及び事業者への影響を十分考慮したいと考えています。


(近松さと子議員)
 新制度では、認可保育園以外の保育の施設や事業が多様化することで、保育基準や保育条件に格差がもちこまれようとしています。これまでビルの一室などで行っている認可外の保育施設も一定基準を満たせば、小規模保育事業として公費支出の対象になります。認可外保育施設での死亡事故の多さを見れば、子どもの安全や発達を保障するにふさわしい基準が求められています。
 待機児解消加速化プランでも、新制度の先駆けとして小規模保育事業をすすめようとしていますが、本市も事業化されるお考えですか。また、保育従事者の半数を保育士資格のない人にも認める基準について、広島市としてどのようにお考えですか。

(こども未来局長)
 現在、国が示している待機児童解消加速化プランのメニューには、子ども・子育て支援新制度に先駆けて「小規模保育』を実施しようとする事業者に対する整備費、運営費の支援が盛り込まれており、本市としても、保護者のニーズを踏まえつつ、保育の質を確保することを前提にしながら、「小規模保育」の実施について検討しています。
 その検討に当たり、議員ご指摘の保育従事者の半数を保育士資格のない人にも認める基準については、保育の質の確保の観点から、厳密に検証する必要があると考えています。
 その検討に当たり、議員ご指摘の保育従事者の半数を保育士資格のない人にも認める基準については、保育の質の確保の観点から、厳密に検証する必要があると考えています。



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●ゆきとどいた教育を

(近松さと子議員)
 事務事業見直しで出された児童発達支援サービスの負担軽減についてお聞きします
今日は、療養援護金について障害児のお母さんからの手紙を紹介します。
 「私は、健常者の5歳児と障害児の1歳の子どもを持つ母親です。これまでも乳幼児医療制度について、本当にありがたいと思っています。二人目は、心疾患障害を持って生まれましたが、社会福祉に支えられて生きていることを実感しています。
 2回目の手術をするときに、私が息子に付き添いました。家から遠く病院食をとるしかありませんでした。そんなとき療養援護金がどんなにありがたく、心強く思ったことでしょう。また、病院では、子どもを産んで一度も自宅に帰れずにいるおかあさんや、もっと重い病気をもった子どものおかあさんに会いました。入退院を繰り返すうちに、タクシー券はなくなり、自腹でしんどいなど、健常児の入院とは違った部分もあるのではないでしょうか。ぜひ、廃止を見直してください」というものです。
 昨年の事務事業の見直しで、乳児・重度障害者・ひとり親家庭医療費公費負担制度のうち、入院時の食費の負担軽減である療養援護金の段階的廃止を決めました。理由は、障害があろうとなかろうと、施設・病院それぞれどこにいようと、食費の負担は自己負担すべきというものです。重い病気・障害があるが故、度重なる入院は、医療費こそ無料といえ、さまざまな負担が家族の上に重なっていきます。こうした負担を取り除いてこそ、安心して治療に専念することができ、誰もが医療にかかれることを保障することになり、公平だといえるのではないでしょうか。
 今年度の見直しで、食事の負担はすべきではないとして、療育を受ける子どもの食費負担の市の単独補助年間予算130万円をなくすとしています。給食も療育の一環だといわれるとおり、多様な食形態に取り組み、医師から「3歳までミルクでも仕方ない」と言われていた子が、4歳になって、やわらか煮を食べられるようになった事例や一人一人の好みに合わせて、油で揚げる、とろみをつけるなど偏食対応食の取り組みで、小学校に行ってほとんど食べられるようになった事例が次々と生まれています。
 児童発達支援サービスでの給食の保護者負担を軽減する予算の自立支援予算の中での割合はいくらでしょうか。一人あたりにすれば、1日いくらの補助をおこなっていたのですか。なぜこうしたささやかな軽減策も惜しまれるのでしょうか。

(健康福祉局長)
 福祉関係予算のうち、障害児の自立支援に係る平成25年度当初予算額は19億9613万5千円です。食費負担助成は134万3千円ですので割合は、0.07%です。また、一人一日当たりの補助額は、平均で約120円です。


(近松さと子議員)
 国の支援策が進んできたからといいますが、先ごろ採択された障害者権利条約でも障害者団体と国との基本合意でも、ハンディキャップのための費用は、無料を基本としています。給食も療育の一環と認めるのなら、国の補助に本市が上乗せする制度を守るべきではないでしょうか。
 一方、障害児の児童発達支援サービス利用料負担軽減は、対象者を広げ100万円予算化するといいます。障害児の家族にすれば、要求を実現するためには、他の障害児の制度が削減されるとしかみえません。どのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 本市における事務・事業見直しについては、全ての事務・事業を対象とし、事業目的に照らした事業の妥当性・必要性、事業手法の有効性・効率性、事業に対する市の関与のあり方という主に3つの観点から見直しを行っています。
 ご指摘の事業についても、金額の高にこだわらず、こうした観点から公的助成のあり方について見直しを行った結果、障害児の通所に係る利用者負担に対する助成については、同様のサービスを利用している方との間での不公平を是正するため、助成対象を拡大してはどうかと考えたものです。
 一方、食費負担助成については、障害の種類によっては施設において食事を通じた接触指導や機能訓練を行う場合もありますが、こうした指導は、食費負担ではなく基本的に利用者負担に含まれているものであり、食費そのものは障害のあるなしに関わらず、そして、通園・通所しているか否かに関わらず必要なものです。
 また、国の食事提供加算の拡大により、多くの世帯ですでに負担額が引き下げられている状況を考慮しますと、平成18年の児童福祉法改正に伴う激変緩和措置としての本制度の役割は薄れてきており、引き続き助成を続けることは公平性を欠くと考え、この度、廃止してはどうかとの方向性をお示ししたものです。
 このように、本事業の見直しについては、それぞれの課題に応じて見直しを行った結果を合わせてお示ししたものであり、一方の制度を拡充するために他の制度を廃止するというものではございません。



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・土曜日授業について

(近松さと子議員)
 市教委は、この8月に学校経営活性化の取り組みとして、業務改善、ICTの利活用に加え、土曜授業を実施するモデル校を募集され、阿戸小・阿戸中、温品中、山本小の4校で実施さる計画だと聞いています。このうち、土曜授業については、2014年4月以降に実施される予定といいます。
 そもそも、学校五日制地域全体で子どもを育てていこうと導入されたものです。この20年間、地域の行事が計画されており、スポーツクラブ、習い事など、子どもたちの土曜日に過ごし方は様々な形で定着しています。こうした中で、モデル校で土曜授業を実施されることについてお聞きします。
 モデル校で土曜授業を実施する目的はなんですか。

(教育長)
 土曜授業は、学校週五日制の趣旨を踏まえながら、土曜日を効果的に活用し、家庭や地域との連携の下、開かれた学校づくりの推進・充実を図るために実施するものであり、モデル校において土曜授業の効果等について、検証することを目的としております。


(近松さと子議員)
 土曜授業を実施するに当たり、保護者や地域との合意が必要だと考えます。また、現在でも、教師も子どもも疲労感が強いのに、土曜日まで授業となれば、ますます教師は準備などで多忙となり、子どもたちの休息が奪われることになりますが、これらのことはどのようなお考えですか。

(教育長)
 モデル校での土曜授業は、平成26年4月以降に実施することとしており、その実施に当たっては、保護者及び地域との十分な連携を図ることが大切であると考えております。
 また、現在実施されております土曜日の教育活動、スポーツ活動等の状況など、学校や地域の実情を踏まえて、教職員の勤務状況、児童生徒の負担等を考慮しながら、実施内容や頻度等について、実践研究を進めて参ります。


(近松さと子議員)
 「学校経営活性化の取り組み計画」では、こうした土曜授業を実施することにより「過密期間・日程の緩和」をはかるように計画されていると聞きましたが、一体どのような効果を狙っていますか。

(教育長)
 土曜授業の実施により、社会人等の協力を得た取組や、地域と連携した体験活動など、特色ある教育活動を展開できるとともに、これまで平日に実施しておりました地域と連携した教育活動等を土曜日に実施することによって、平日の過密状況が緩和されるなどの効果が期待できると考えております。



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 ―(再質問)―


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