トップ議会情報・議員の発言2012年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 報告質疑


2012年2月14日 本会議 村上あつ子議員の包括外部監査報告に対する質疑 

 ●第三セクターへの貸付金について
 ●母子・寡婦福祉資金貸付について
 ●広島高速道路公社出資金について


(村上あつ子市議)
 日本共産党市会議員団を代表して、H23年度包括外部監査結果報告について質疑をおこないます。今回の外部監査のテーマは、未収金、貸付金、出資金及び基金に関する事務の執行について行われました。
 2010年(H22年)度末現在においての市の財産については、収入未済残高は111億円、貸付金残高は907億円、有価証券残高は164億円、出えん金残高は1,142億円で、合計2,919億円となっており、市税収入2,011億円と比較して多額となっています。
 「このような状況においては、広島市の保有する財産について、より一層の、合規制、経済性、効率性の観点からの事務の執行が求められる」とし、「債権の回収については、付随する債務保証・損失補償が実行される可能性によって、今後の市の財政に大きく影響を与えるおそれがある」と監査人は述べています。
 2015年までの財政運営については、当面の4年間で449億円の収支不足を解消するための提案がされていますが、ムダを省きながら市民生活を守り、財政再建を進めるという立場で数点お聞きします。

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●第三セクターへの貸付金について

 (村上あつ子市議)
 はじめに第三セクターへの貸付金についてです。2009年度の貸付金等の残高は、2,905億4,700万円で、これは標準財政規模の107.5%となっており、第三セクターへの財政支援が市の財政に大きく影響していることが伺えます。
  監査報告では、とりわけ「単年度融資」に言及しており、実質的には長期の貸付とみなすべきとの意見が述べられています。
 市は、第三セクター等への支援で、年度始めに一定額の貸付をおこない、融資先は年度末の1週間前に金融機関から借り入れを行い、市に返済されていますが、その1週間後の新年度にはほぼ同額の貸付がおこなわれ、これが繰り返されているわけですが、こういった「単年度融資」がおこなわれている団体と、いつから、いくらの貸付けがおこなわれているのか。また、その団体が金融機関借入れにあたり、市が債務保証あるいは損失補償をおこなっているものがあれば併せてお答え下さい。
 総務省の通知においても「第三セクター等に対する短期貸付を反復かつ継続的に行う方法による支援は、安定的な財政運営及び経営の確保という観点からは、本来長期貸付け又は補助金の交付等により対応すべきものであり、当該第三セクター等が経営破たんした場合には、その年度の地方公共団体の財政収支に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、早期に見直すべきである」としています。市としては、このまま続けていくのでしょうか。見直すお考えはありませんか。

(財政局長)
 土地開発公社に対する無利子の単年度融資についうては、平成元年度から行っており、平成23年度当初予算では、貸付金として263億2,717万5千円を計上しています。また、同公社には、700億円を限度額とする債務保証を行っています。
 単年度融資の見直しについては、土地開発公社は、その保有地の適切な利活用等の方針を検討した上で、平成25年度末までに解散することを検討しており、これに併せて検討していきます。
 その他の第三セクターについて、単年度融資を長期貸付に改めるには、新たに長期貸付金の財源を確保するための財政負担や個々の第三セクター等の状況等を踏まえ、慎重に対応する必要があると考えています。

(市民局長)
 旧広島勤労者職業福祉センター(平成23年4月に広島市文化財団及び広島市ひと・まちネットワークと合併して、広島市未来都市創造財団に名称変更している)に対する単年度融資については、21年度から行っており、平成23年度当初予算では、貸付金として1億7千万円を計上しています。なお、同財団には、債務補償等は行っていません。


(教育長)
 (財)広島都市整備公社に対する、学校施設の先行建築に要する資金に係る無利子の単年度融資は、昭和58年度から行っており、平成23年度当初予算では、貸付金として58億9,790万8千円を計上しています。また、同公社には、100億円を限度とする損失補償を行っています。

(村上あつ子議員)
 市が指導調整要綱に基づき指導している第三セクター(株式会社)の中で、債務超過に陥っている第三セクターとその出資比率をお聞きします。

(経済局長)
 経済局が所管している第三セクターの中で債務超過に陥っているのは株式会社広島市産業情報サービスで、その出資比率は34.5%です。

 本市は、昭和60年8月に通商産業省の「ニューメディア・コミュニティ構想」のモデル地域指定を受け、昭和63年2月に地域産業の情報化を推進する第三セクターとして、本市のほか、基盤技術研究促進センター、協同組合広島総合福祉センター、富士通(株)など13者の出資のもとに株式会社広島市産業情報サービスを設立いたしました。
 本市は、同社に対しまして、6億5,190万円の出資のほか、平成3年度から単年度貸付を行い、同社の経営を支援してまいりましたが、大型ホストコンピューターを利用したシステムより商工センター等の中小企業の情報化を進めるという同社の計画は、その開発に多額の経費を要したにもかかわらず、情報機器の小型化、多機能化などの急速な技術進歩により、利益をもたらすことができませんでした。
 そのため、同社は、平成6年度末に債務超過に陥るなど多額の累積赤字を抱えることとなり、これに比例して、当初は4億円であった本市の短期貸し付けも平成8年度には8億7千万円にまで増大しました。
 その後、同社は、本市及び本市所管の公益法人等からの受託業務jを経営の柱とするとともに、人件費等経費の節減に努めた結果、平成9年度から平成22年度まで14期連続して黒字を計上し、本市の短期貸し付けも、平成23年度には6億円にまで縮減することができました。
 しかしながら、同業他社との競合が激しくなる中で、本年度には赤字転落が必至の状況となり、今後も経営健全化の見通しが立たないことから、やむを得ず解散・清算することとなりました。このような事態に立ち至ったことは、誠に遺憾であります。今後とも、第三セクターの適切な指導調整に努めてまいります。

(都市活性化局長)
 第三セクターへの貸付金についてご質問がありました。
 まず、債務超過となっている第三セクターとその出資比率についてですが、都市活性化局が所管している広島地下街開発株式会社は債務超過となっており、市の出資比率は43.3%です。

(村上あつ子議員)
 監査報告では、経営改善スキームの検証の必要性が指摘されています。広島地下街株式会社は2006年策定から5年が経過しており、広島高速交通株式会社は2003年策定から8年が経過、広島駅南口開発株式会社は2005年の策定から6年が経過しています。現行の長期収支計画を見直したうえで、市が主導して経営改善スキームを策定すべきですがどうされますか。

(都市活性化局長)
 広島地下街開発株式会社及び広島駅南口開発株式会社ともに、借入金の金利引き下げや返済繰り延べなどの経営改善スキームを適用しており、この経営改善スキームに基づく長期収入計画について、毎年度、実績との比較による検証を行っております。
 現時点で、広島地下街開発株式会社については、長期収支計画を上回る借入金の返済を行っています。また、償却前利益、いわゆるキャッシュフローについても、両社とも長期収支計画以上を確保しています。
 監査結果報告書の意見にありますように、長期収支計画と実績との乖離状況や周辺環境の変化などを総合的に判断し、必要に応じて長期収支計画を見直し、その結果を踏まえ、経営改善スキームの見直しを行うかどうかを検証する必要があると考えています。

(道路交通局長)
 広島高速交通株式会社は、本市が51%出資している株式会社で、平成22年度末現在で18億7,485万7千円の債務超過となっています。

 広島高速交通株式会社に対する単年度融資については、平成15年度から行っています。以降、毎年度5億円ずつ減額しながら、平成23年度当初予算では貸付金として165億円を計上しています。
 また、広島高速交通株式会社には、元本とその利息に対して損失補償を行っています。
 広島高速交通株式会社では、平成15年3月に「アストラムライン経営健全化計画」を策定し、これまで経営の改善に取り組んできましたが、この計画は、平成24年度に終了することから、さらなる経営の改善を図るため、平成25年度を初年度とする次期経営健全化計画の策定に向けて、現在、検討を行っています。


(村上あつ子議員)
 債務超過に転落した広島市産業情報センターに対し、市はこれまで21年間毎年、毎年繰り返し貸付を行ってきました。市の貸付金でかろうじて単年度黒字を計上していましたが、今年度ついに赤字に転落する見込みとなり、1月末をもって会社は解散することとなりました。清算手続きに入っていますが、今年度貸付した6億円と出資金6億5,190万円は回収の見込みはありません。
 お聞きしますが、そもそも公共が設置する必要があった会社だったのでしょうか。結果的に市民に損失を与えたわけですが、税金をこのような使い方をしたことについて、市民にどのように説明されるのでしょうか。市として、この会社が解散に至ったことについて今後の教訓にしていかなくてはいけません。お考えをお聞かせ下さい。

(経済局長)
 結果といたしましてこの株式会社広島市産業情報サービスがやむを得ず解散清算となったことでございますが、このことにつきまして(の教訓は)、今後とも第三セクターの適正な指導調整に努めることが、当面の私どもの責務だと考えております。

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●母子・寡婦福祉資金貸付について

(村上あつ子議員)
 まず、2010年度(H22年度)の貸付金を受けている人数と金額をお聞きします。また、返済状況はどのような状況なのかお答え下さい。
 報告によると、収入未済額の中には、制度の運用を開始した1981年(S56年)に発生したものがずっと計上されており、この中には、すでに死亡しているケースもあるということです。明らかに回収が不可能なものはいつまでも残さず、不納欠損処分にすべきではないでしょうか。どうされますか。お答え下さい。

(子ども未来局長)
 平成22年度の貸付件数及び貸付額は、母子福祉資金が1,214件、5億3,808万6,515円、寡婦福祉資金が56件、2,566万7,700円です。また、平成22年度の貸付金元利収入の償還率は、母子福祉資金の現年度分が84.8%、過年度分が6.7%、寡婦福祉資金の減年度分が86.8%、過年度分が86.8%、過年度分が5.1%となっています。

(財政局長)
 これらの貸付金は、本市が債権放棄の手続きを行わない限り、不能欠損処分ができない私債権です。本市では、公平性等の観点から、安易な不能欠損処分を行うべきではないとの考えのもと、これまで処分は行ってきていません。しかしながら、今後、貸付金の回収に伴う費用対効果や事務処理の効率化等の観点も踏まえ、関係部局と連携しながら不能欠損処分のあり方について検討していきたいと考えています。

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●広島高速道路公社出資金について

(村上あつ子議員)
 広島高速道路公社に対して、これまで376億8,750万円の出資をおこなってきています。市の財政に大きな負担を強いていることは言うまでもありません。
 通常、高速道路建設は料金収入で建設費を回収することになっていますが、広島高速道路事業については、事業費の見積もりと料金収入の見込みとの乖離が大きくなったため事業計画の見直しを行い、関連道路部分は一般財源を投入することとしました。さらに、高速5号線は費用対効果がきわめて低いことから1号線から5号線の5路線をプール制にして料金設定をすることに変更をしました。つまり、5号線はつくる前から赤字が明らかな路線ということです。このまま計画を進めて、はたして公社に出資してきた建設費は償還されるのか、市民が心配するのは当然です。
 お聞きしますが、監査人が述べているように、建設費の償還状況を市民にきちんと知らせる必要があると考えます。どうされますか。償還計画と実績、その評価についてもお聞きします。

(道路交通局長)
 本市としても、広島高速道路建設費の償還状況は広島高速道路公社の経営状況を判断する上で重要な事項と考えています。
 このため、今年度の包括外部監査を受けている段階から、公社に対し、建設費の償還状況について広く市民に周知できる環境を整備することが望ましいという包括外部監査人のご意見を伝えていました。
 これらを受け、公社ではより一層の経営の透明化に資すると考え、今月から公社ホームページで償還状況の計画と実績を公表しています。
 広島高速道路建設費の償還状況を示す、料金収入等の収益から管理費及び借入利息等の費用を差し引いた収支差の累計は、平成22年度末時点で計画の約164億円に対し、実績は160億円となり、対計画比約97%となっています。
 実績が計画を下回っていることから、公社では、案内標識の更なる充実による利便性の向上、集客施設等への道路案内図の配付や電子看板(デジタルサイネージ)の活用による高速道路の情報提供など、利用者の増加につながる取り組みをしています。
 本市としては、こうした公社の取組について注視しながら、着実な実施を求めていきたいと考えています。


(村上あつ子議員)
 また、供用開始されている1号・2号・4号線について、それぞれの総事業費を有料道路部分と関連道路部分にわけてお答えください。また、関連道路のうち合併施行分はどうなっているのかをお聞きします。

(道路交通局長)
 高速1号線については、有料道路事業分の総事業費は約705億円、関連道路事業分として東1区福田線の総事業費が約21億円です。
 高速2号線については、有料道路事業分の総事業費は約380億円、関連道路事業分として広島西風新都線の約167億円です。


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トップ議会情報・議員の発言2012年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 報告質疑
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