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2011年9月29日 本会議 中原ひろみ議員の議案討論

 ≪反対の議案≫
    第75号議案 広島市市税条例の一部改正 (金持ち優遇減税の延長)
 ≪意見を付して賛成の議案≫
    第84号議案 広島南道路太田川工区橋梁新設工事の契約締結 (低入札)
 公共工事の品質確保について


 日本共産党市会議員の中原ひろみです。議員団を代表して、平成23年度9月定例会に上程された議案の討論をします。
 反対の議案は、第75号議案広島市市税条例の一部改正です。第84号議案広島南道路太田川工区橋梁新設工事については意見を付して賛成します。残りの議案は賛成です。



≪反対の議案≫
   第75号議案 広島市市税条例の一部改正 (金持ち優遇減税の延長)


 反対する議案について、その意見を述べます。
 第75号議案は、地方税法の改正に伴い、今年12月末までの期限付き実施となっていた上場株式等の譲渡所得等に係る課税軽減の期限を、平成26年まで、さらに2年間延長・継続するというものです。軽減の内容は、本来の税率20%を10%へと税負担を半分に軽減します。
 この軽減税率は平成15年度の税制改正において、金融市場の活性化を図り、個人投資家の積極的な市場参加を促すためだとして、上場株式の譲渡益や配当による収益に対する減税策としてスタートしました。
 しかし、上場株式を持ち、株の売り買いで収益をあげられる階層は、庶民ではなく、資金力をもった一部の富裕層です。上場株の売り買いや配当により得た収益に対し、税率を半分にするのは「金持ち優遇減税」としか言いようがありません。
 額に汗して働いた勤労市民の税率と、株の譲渡益や配当により「濡れ手に粟」で得た利益に対する税率が、同じ10%というのは納得できません。庶民の預貯金の利子にかかる税率20%の半分でもあります。
 庶民には定率減税廃止などで増税を押しつけながら、おカネを右から左に動かしただけで得た所得には10億円稼ごうと100億円稼ごうと、たった10%の課税。こんな不公平がまかり通っていたのでは、「働くのが馬鹿らしい」という風潮を広げてしまいます。
 ここで目を世界に向けて見ましょう。株式譲渡益1億円に対する実効税率を国際比較すると、アメリカとドイツは26.4%、イギリス27.1%、フランス31.3%です。それに対して日本の10%という優遇税率は、国際的にも異常です。
 しかも、欧米では、財政危機打開の財源として、富裕層や大企業の経営者自身が「我々に課税せよ」と声をあげています。「大企業・資産家には減税し、庶民には増税」と主張している日本の財界・大企業とは、あまりも違いすぎます。
 いま日本は、東日本大震災や福島原発事故、相次ぐ台風被害に見舞われ、復旧・復興への財源が必要ですが、民主党政権も自民党・公明党も、財源と言えば消費税の増税など庶民に負担を求める主張ばかりです。日本では富が偏在しています。わずか2.6%の人が、譲渡所得の72.5%を占めているのです。税は「応能負担」が原則であり、ここにこそ課税すべきです。
 証券優遇税制による減税で、広島市は1年間に約2,200万円の貴重な税収を失うことになります。2,200万円の税収があれば、エアコン整備の早期実施など、市民のニーズにもっと応える施策ができます。
 広島市においても、いかに歳入を増やすかが緊急課題となっている時、負担能力のある市民に対し、税を軽減する不公平税制を継続する議案には賛成できません。

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≪意見を付して賛成の議案≫
   第84号議案 広島南道路太田川工区橋梁新設工事の契約締結 (低入札)


 この議案は、広島南道路太田川工区橋りょう新設工事の契約締結です。
 この工事の予定価格は、約79億6,700万円ですが、落札価格は約51億円で、予定価格からは約28億円、調査基準価格からは約7億円も低い低入札です。
 ここまで安い工事費で、果たして品質が確保され、かつ、工事に携わる多くの下請け労働者に、人間らしく暮らせる賃金がきちんと保障されるのか不安が拭えません。重層的な下請けの間で、「ピンはね」といった不公平取引はないのでしょうか。市が発注した公共事業でワーキングプアをつくることはあってはなりません。
 先の6月議会においても、広島南道路観音工区道路新設工事の契約は61%の低入札でした。
日本共産党市会議員団は、談合も貧困もない公正な発注や取引の確立で、労働者に適正な賃金と労働条件を保障し、地元発注による雇用の安定・継続を進める「公契約条例」の制定を求めてきました。
 本日の議会には、「公共工事における地元事業者への受注機会の拡大を求める決議案」が上程されるようですが、低入札が続く中、今こそ公共工事の質の向上と、地域経済の振興に貢献できる公契約条例の制定が急務です。改めて早期の公契約条例の制定を求めておきます。

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公共工事の品質確保について

 最後に一言申し上げます。
 市は、広島高速2号線、3号線の橋脚に欠陥が発見されたという事態を踏まえ、高速道路の品質確保のために、今後は、溶接が規格値内であることを確認した報告書の提出、また、作業員の名簿や資格、検査を行ったことが確認できる資料を提出させるなど、請負業者に新たな規定を義務付け、検査体制を強化するとしています。
 しかし、すでに国は、平成17年3月に、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」を施行し、公共工事の発注者の責務として、工事の監督及び検査、並びに工事中及び完成時に施工状況の確認、評価の事務を適切に実施しなければならないとしています。
 この法律に照らせば、これまでの公共工事において、工事の過程における適宜の品質確認を適正に実施してこなかった広島市にもその責任があるということを指摘しておきます。
 以上で討論とします。

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